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【発明の名称】 底面濾過装置
【発明者】 【氏名】小川 創市

【要約】 【課題】吸水口及び排水口を有して水槽底部の砂利層内に埋没すると共に内部に吸水路が形成される吸水体と,排水口に接続され水槽内を上下方向に延びる吸上げ管と,この吸上げ管に接続されるポンプとを備え,該ポンプにより水槽内の水を砂利層,吸水体及び吸上げ管を順次経由して循環させるようにした底面濾過装置において,砂利層に広範囲に亘り略均等に抵抗少なく水を流通させ得るようにして濾過能率を向上させ,メンテナンス頻度を大幅に減らす。

【解決手段】吸水体Kは,水槽底面Vbをその略全面に亘って覆う扁平な箱状に形成され,該吸水体Kの上壁部4a上面には横断面V字状の複数条の溝状水路G1,G2が形成され,これら溝状水路の底部には,吸水口となる多数の小孔1が上壁部4a上面の略全面に亘って分布するように開口する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水槽(V)内の底部に敷かれ濾過材として機能し得る砂利層(J)と,吸水口(1)及び排水口(2)を有して前記砂利層(J)内に埋没するよう設置されると共に内部に吸水路(3)が形成される吸水体(K)と,前記排水口(2)に接続されて水槽(V)内を上下方向に延び上端部が水槽(V)内に開口した吸上げ管(P)と,この吸上げ管(P)に接続されるポンプ(A)とを備え,このポンプ(P)を用いて,水槽(V)内の水を前記砂利層(J),吸水体(K)の吸水口(1),吸水路(3)及び排出口(2),並びに吸上げ管(P)を順次経由して循環させるようにした底面濾過装置において,前記吸水体(K)は,水槽(V)の底面(Vb)をその略全面に亘って覆う扁平な箱状に形成され,その吸水体(K)の上壁部(4a)上面には横断面V字状の複数条の溝状水路(G1,G2)が形成され,これら溝状水路(G1,G2)の底部には,前記吸水口となる多数の小孔(1)が前記上壁部(4a)上面の略全面に亘って分布するように開口していることを特徴とする,底面濾過装置。
【請求項2】 前記吸水体(K)は,下面を開放した扁平な箱状のケース本体(4)と,このケース本体(4)に着脱可能に結合されて該ケース本体(4)の開放下面を覆う底板(5)とを備え,それらケース本体(4)と底板(5)との対向面の少なくとも一方には,該ケース本体(4)の扁平な内部空間に所定経路の前記吸水路(3)を画成する水路形成用突壁(4w)が一体的に形成されることを特徴とする,請求項1に記載の底面濾過装置。
【請求項3】 前記上壁部(4a)の裏面には,前記複数条の溝状水路(G1,G2)にそれぞれ対応して複数条の突条(T1,T2)が形成されており,それら突条(T1,T2)の形成により前記上壁部(4a)の裏面に生じた凹所(6)がエア溜まりとならないよう,該上壁部(4a)には前記凹所(6)の高位置においてエア抜き孔(7)が形成されることを特徴とする,請求項1又は2に記載の底面濾過装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,金魚,熱帯魚,海水魚等の飼育用水槽内の底部に敷かれた砂利層を通して水槽内の水を循環濾過するようにした底面濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記底面濾過装置としては,例えば,水槽内の底部に敷かれた砂利層と,吸水口及び排水口を有して砂利層内に埋没するよう設置されると共に内部に吸水路が形成される吸水体と,前記排水口に接続されて水槽内を上下方向に延び上端部が水槽内に開口した吸上げ管と,この吸上げ管内の下部に加圧エアを噴出させるエアポンプとを備え,該ポンプを用いてエアストーンより噴出させた加圧エアの気泡が吸上げ管内を上昇する際の上昇力を利用して,水槽内の水を前記砂利層,吸水体の吸水口,吸水路及び排出口,並びに吸上げ管を順次経由して水槽内に循環させるようにした構造のものが従来公知である(たとえば特公平7−41131号公報,特公平7−73644号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで,このような底面濾過装置は,水槽内の水を,砂利の敷きつめられた底面からその水面近くまで万遍なく循環させて濾過できるため濾過能率が良いというメリットがある反面,濾過装置の清掃などのメンテナンスが面倒であるというデメリットがあった。
【0004】また従来装置では,砂利層内に埋没させる吸水体が,パイプ状の枠体を縦横に枠組みした枠組み体より構成されていて,その各枠体に吸水口が形成されていたので,吸水口を水槽底部の略全域に亘って高密度に分布させることが困難であり,そのため,濾過層として機能する砂利層に広範囲に亘って水を略均等に流通させることが難しく,砂利層の濾過作用にムラが発生して,所期の濾過能率が得られないという問題がある。即ち,砂利層に水槽内の水が適度に流通すると,その砂利層に住み付く好気性微生物の活動が活発化して残餌,糞等の有機物の分解を促進するが,上記濾過作用にムラが発生すると,好気性微生物の分布や活動にもムラが生じて,砂利層の一部では濾過された有機物の分解が遅れ,これが水槽内の水を早期に汚してしまうことから,水替え,清掃等のメンテナンスを高い頻度で行う必要が生じる。また従来装置では,パイプ状の枠体に吸水口を形成するため,その吸水口を下向きとし且つそれが砂利で塞がれにくくするために該枠体を複雑な断面形状に形成する必要があり,それだけ吸水体の構造が複雑となる。
【0005】本発明は,斯かる実情に鑑みてなされたものであり,水槽の底面に広く敷かれる濾過層としての砂利層に広範囲に亘り略均等に抵抗少なく水を流通させることができるようにして,その濾過能率を大幅に向上させ,しかも濾過装置のメンテナンス頻度を従来のものよりも大幅に減らすことができるようにした,構造簡単な底面濾過装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために,請求項1の発明によれば,水槽内の底部に敷かれ濾過材として機能し得る砂利層と,吸水口及び排水口を有して前記砂利層内に埋没するよう設置されると共に内部に吸水路が形成される吸水体と,前記排水口に接続されて水槽内を上下方向に延び上端部が水槽内に開口した吸上げ管と,この吸上げ管に接続されるポンプとを備え,このポンプを用いて,水槽内の水を前記砂利層,吸水体の吸水口,吸水路及び排出口,並びに吸上げ管を順次経由して水槽内に循環させるようにした底面濾過装置において,前記吸水体は,水槽底面をその略全面に亘って覆う扁平な箱状に形成され,その吸水体の上壁部上面には横断面V字状の複数条の溝状水路が形成され,これら溝状水路の底部には,前記吸水口となる多数の小孔が前記上壁部上面の略全面に亘って分布するように開口している。
【0007】この請求項1の発明の上記特徴によれば,砂利層の下側に,多数の小孔よりなる吸水口を広範囲に亘り高密度に分布させることができ,これら多数の吸水口を通して水槽内の水の吸い込みが緩やかに且つ略均等に行われるから,水槽の底面に広く敷かれる濾過層としての砂利層に広範囲に亘り略均等に抵抗少なく水を流通させることができる。これにより,砂利層の各部に水槽内の水が適度に流通するため,その砂利層に住み付く好気性微生物の活動が活発化して残餌,糞等の有機物の分解が促進され,砂利層の濾過能率が大幅に向上して水を効果的に清浄化できるから,水替え,清掃等のメンテナンスの頻度を少なくできる。また吸水体の上壁部に各吸水口が上向きに形成されても,その吸水口は,該上壁部の断面V字状の溝状水路の底部に開口しているため,その開口部が砂利で塞がれるのを効果的に回避でき,しかも上記溝状水路に対応して上壁部の裏面側に形成される突条を補強リブとして利用できて,上壁部の剛性強度の向上が図られる。
【0008】また請求項2の発明によれば,請求項1の発明の上記構成に加えて,前記吸水体は,下面を開放した扁平な箱状のケース本体と,このケース本体に着脱可能に結合されて該ケース本体の開放下面を覆う底板とを備え,それらケース本体と底板との対向面の少なくとも一方には,該ケース本体の扁平な内部空間に所定経路の前記吸水路を画成する水路形成用突壁が一体的に形成される。この特徴によれば,吸水体を広く扁平な箱状に形成しても,その内部空間に,吸水口から排水口へ向かって所定経路を辿り且つ該経路に沿う水流を生成案内する前記吸水路を簡単な構造で難なく画成でき,従ってその内部空間が広く扁平なものであっても,そこに水を万遍なくスムーズに流通させることができる。
【0009】また請求項3の発明によれば,請求項1又は2の発明の上記構成に加えて,前記上壁部の裏面には,前記複数条の溝状水路にそれぞれ対応して複数条の突条が形成されており,それら突条の形成により前記上壁部の裏面に生じた凹所がエア溜まりとならないよう,該上壁部には前記凹所の高位置においてエア抜き孔が形成される。この特徴によれば,水槽底部に吸水体をセットする際に,その上壁部の前記凹所にエアが取り残されても,そのエアをエア抜き孔を通して難なく排出することができ,セット作業を的確に行うことができる。また上記エア抜き孔は,砂利で塞がれなければ,吸水口としても機能させることが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態を,添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】図1は,本発明濾過装置を備えた水槽の斜視図,図2は,濾過装置の拡大平面図(図1の2線矢視の拡大図),図3は,図2の3−3線に沿う拡大断面図,図4は,図2の4−4線に沿う拡大断面図,図5は,図2の5−5線に沿う拡大断面図,図6は,図2の6−6線に沿う拡大断面図,図7は,図2の7−7線に沿う拡大断面図,図8は,濾過装置の底面図,図9は吸水体ユニットの斜視図,図10は,底板を取り外した状態の吸水体ユニットの底面図,図11は,吸水体ユニット相互の接続過程を説明するための平面図,図12は,吸水体と吸上げ管との接続部を示す分解斜視図である。
【0012】先ず,図1〜図7において,本実施例の底面濾過装置Fは,水槽V内の底部に敷かれ濾過材として機能し得る大磯等の砂利よりなる砂利層Jと,吸水口1及び排水口2を有して砂利層J内に埋没するよう設置されると共に内部に吸水路3が形成される吸水体Kと,排水口2に接続されて水槽V内を上下方向に延び上端部が水槽V内に開口した吸上げ管Pと,この吸上げ管P内の下部に収容したエアストーンSにエアチューブCを介して接続される,水槽V外のエアポンプAとを備えており,前記吸上げ管Pは,吸盤等を利用して水槽Vの内側面に固定される。
【0013】而してエアポンプAを作動させてエアストーンSから吸上げ管P内の下部に加圧エアを噴出させると,その吸上げ管P内を上昇するエア気泡の上昇力により該管P内に上昇水流が発生し,これにより,水槽V内の水が砂利層J,吸水体Kの吸水口1,吸水路3及び排出口2,並びに吸上げ管Pを順次経由して水槽V内に戻されるように水の循環が生じる。その水の循環に伴い,砂利層J内では水中の残餌,糞等の有機物の濾過が行われ,その濾過した有機物の一部は,砂利層Jに存する好気性微生物によって分解される。尚,以上の構成・作用は,エアポンプを用いた従来公知の底面濾過装置と同様である。
【0014】前記吸水体Kは,その全体が合成樹脂材より構成されるものであって,水槽Vの底面Vbをその略全面に亘って覆う平面視長方形の扁平な箱状に形成される。この吸水体Kは,図示例では下面を開放した扁平な箱状のケース本体4と,このケース本体4に着脱可能に結合(図示例では摩擦連結)されて該ケース本体4の開放下面を覆う底板5とより構成される。ケース本体4の上壁部4aの裏面には複数の位置決めピン4pが間隔をおいて一体に突設されており,また底板5は,前記複数の位置決めピン4pを抜き差し可能に嵌合させる位置決め孔5hが形成される。
【0015】前記吸水体Kの扁平板状の上壁部(即ちケース本体4の上壁部4a)の上面には横断面V字状の複数条の溝状水路が形成される。それら溝状水路は,図示例では水槽Vの長手方向に沿ってそれぞれ延びて互いに略等間隔で平行する第1溝状水路G1群と,これら第1溝状水路G1群と交差するように水槽Vの横方向に沿ってそれぞれ延びて互いに略等間隔で平行する第2溝状水路G2群とから構成される。また前記第1,第2溝状水路G1,G2にそれぞれ対応して前記上壁部4aの裏面には,その縦横に配列された第1,第2突条T1,T2がそれぞれ形成される。
【0016】前記各溝状水路G1,G2の底部の適所(図示例では第1,第2溝状水路G1,G2の交差部)には,前記吸水口となる多数の小孔1が前記上壁部4a上面の略全面に亘って広範囲に分布するように且つ上向きに形成される。また前記上壁部4aの上面には,第1,第2溝状水路G1,G2とは角度をなして各小孔1より放射状(図示例では十字状)に延び出す先細りの斜め溝状水路gが形成される。図2〜7に示すように,前記上壁部4a上に敷設される砂利層Jは,前記溝状水路G1,G2,gの開口上面を覆うことになるが,これらの水路G1,G2,gは,断面V字状であるため,砂利により塞がれることがなく,その砂利層Jを通過して濾過された水は,上記溝状水路G1,G2,g内を通って吸水口としての小孔1に向かい,該孔1から吸水体K内の吸水路3へと緩やかに且つ円滑に流れる。
【0017】また前記上壁部4aの裏面には,該裏面における前記突条T1,T2の形成に伴い該突条T1,T2に囲まれた多数の方形状凹所6が形成される。そして,これら凹所6がエア溜まりとならないように,前記上壁部4aには,その各凹所6の高位置において小孔よりなるエア抜き孔7が形成される。
【0018】更に前記上壁部4aの隅部には排水孔2が形成され,この排水孔2の開口縁部と吸上げ管Pの下端部との間が,公知のバヨネット機構Mにより着脱可能に嵌合接続される。即ち,吸上げ管Pの取り付けに際しては,その下端部外周の係止爪Paを排水孔2開口縁部の切欠き状凹部2aに合致させつつ該下端部を排水孔2内に押し込んで所定角度回すようにすればよい。尚,吸上げ管Pの上端部には,必要に応じて延長管Psが着脱可能に嵌着されていて吸上げ管Pの有効高さを随時に延長できるようになっており,その延長管Psの上端部には,水槽V内に開口した横向きの水戻し口が設けられる。
【0019】また図10を併せて参照して,吸水体Kのケース本体4と底板5との対向面の少なくとも一方(図示例ではケース本体4の裏面)には水路形成用突壁4wが一体的に形成される。この水路形成用突壁4wにより,吸水口としての各小孔1から排水口2に向かって所定経路(図示例では格子状の経路)を辿り且つ該経路に沿う水流を生成案内する吸水路3が該ケース本体4の扁平な内部空間に画成される。従って吸水体K(ケース本体4)を広く扁平な箱状に形成しても,その内部空間に所定経路の吸水路3を簡単な構造で難なく画成でき,その広く扁平な内部空間に水を万遍なくスムーズに流通させることができて,砂利層Jの濾過能率を向上させることできる。
【0020】更に図8も参照して,吸水体Kの内部には,水路形成用突壁4wを挟んで前記吸水路3と隣接する複数の扁平小空間3′が画成される。この扁平小空間3′は,水路形成用突壁4wに形成した連通孔20を介して吸水路3に連通しており,従って該扁平小空間3′へ対応する小孔1より吸い込まれた水は,連通孔20を通して吸水路3内の水流と合流するように緩やかに流れるので,該扁平小空間3′に水の淀みが生じる虞れはない。
【0021】また前記底板5の裏側には,これを水槽Vの底面Vbに圧着させる複数の吸盤8と,前記位置決めピン4pを利用して底板5の略全面に渡り取り回される線状ヒータHとが適宜固定手段を以て取付けられ,該ヒータHは,水槽V外の電源にコードを介して接続される。尚,底板5の裏面と水槽底面Vbとの間の扁平な底空間3″は,前記扁平小空間3′と直接連通しており,従ってヒータHで暖められた温水は,該底空間3″から扁平小空間3′及び連通孔20を経て吸水路3内の水流と合流するので,該温水を水槽V内に確実に還流させることができる。
【0022】また図11に明示されるように吸水体Kは,図示例では,相互に接続可能な平面視正方形状の吸水体ユニットKu,Kuの結合体又は単体より構成してサイズ可変としている。即ち,その各吸水体ユニットKuは,下面を開放した扁平な箱状のケース本体要素4uと,このケース本体要素4uに着脱可能に結合されて該要素4uの開放下面を覆う底板要素5uとより構成される。
【0023】各吸水体ユニットKuのケース本体要素4uの側壁適所には,結合雄部10と結合雌部11とが形成されており,相隣なるケース本体要素4uの側壁相互を隣接させて,それら側壁の対応する結合雄部10と結合雌部11とを係合させることにより両ケース本体要素4uを一体的に結合することができる。また各ケース本体要素4uの側壁適所には,連通孔形成用の複数の切れ目12cが形成されており,従って両ケース本体要素4uを一体的に結合する場合に,前記切れ目12cで囲まれた蓋部分12を押して該切れ目12cを破断することで,連通孔4hを簡単に形成することができ,この連通孔4hを通して両ケース本体要素4u内の各吸水路要素3u相互を連通させることができる。
【0024】従って,本実施例のように2個の吸水体ユニットKu,Kuを結合して吸水体Kを構成した場合には,相互間が結合される2個のケース本体要素4u,4uによりケース本体4が構成され,またその両ケース本体要素4u,4uの開放下面をそれぞれ覆う2個の底板要素5u,5uにより底板5が構成され,更に2個のケース本体要素4u,4u内の吸水路要素3u,3uにより吸水路3が構成される。
【0025】また各ケース本体要素4uの上壁部の複数の隅部には,排水口形成用の切れ目13cがそれぞれ形成されている。従って前記切れ目13cで囲まれた蓋部分13を押して切れ目13cを破断することで,排水口2を簡単に形成することができる。
【0026】次に前記実施例の作用について説明する。上記構成の底面濾過装置Fを図1に示すように水槽V内に設置した状態で,エアポンプAを作動させてエアストーンSから吸上げ管P内の下部に加圧エアを噴出させると,その吸上げ管P内を上昇するエア気泡の上昇力により該管P内に上昇水流が発生し,これにより,水槽V内の水が砂利層J,吸水体Kの吸水口1,吸水路3及び排出口2,並びに吸上げ管Pを順次経由して水槽V内で循環する。その循環に伴い,砂利層Jでは水に含まれる残餌,糞等の有機物の濾過(即ち砂利への付着,堆積)が行われ,その濾過した有機物の一部は,砂利層Jに存する好気性微生物によって分解される。
【0027】ところで図示例では,水槽Vの底面Vbをその略全面に亘って覆う扁平な箱状に形成される吸水体K(ケース本体4)の上壁部4a上面に横断面V字状の各複数条の第1,第2溝状水路G1,G2を縦横に設けており,これら溝状水路G1,G2の底部(図示例では交差部)に,吸水口となる多数の小孔1を,該上壁部4aの略全面に亘って分布するように開口形成しているため,砂利層Jの下側に,多数の小孔1よりなる吸水口を広範囲に亘り高密度に分布させることができ,これら多数の吸水口1を通して水槽V内の水の吸い込みが緩やかに且つ略均等に行われるから,水槽Vの底面に広く敷かれる濾過層としての砂利層Jに広範囲に亘り略均等に抵抗少なく水を流通させることができる。その結果,砂利層Jの各部に水槽V内の水が適度に流通し,その砂利層Jにおける好気性微生物の活動が活発化して残餌,糞等の有機物の分解が促進されるため,全体として砂利層Jの濾過能率が大幅に向上して水を効果的に清浄化でき,水替え,清掃等のメンテナンスの頻度を少なくできる。
【0028】また吸水体Kの上壁部4aに各吸水口1を上向きに形成しても,それは,該上壁部4aの断面V字状の溝状水路G1,G2の底部(図示例では特に交差部)に開口しているため,その開口部が砂利で塞がれるのを効果的に回避できる。しかも上記第1,第2溝状水路G1,G2にそれぞれ対応して上壁部4aの裏面側に形成される第1,第2突条T1,T2を補強リブとして利用できるから,構造の簡素化を図りつつ上壁部4aの剛性強度を高めることができる。
【0029】また吸水体Kの上壁部4aの裏面には,前記第1,第2突条T1,T2の形成により該上壁部4aの裏面に生じた多数の凹所6がエア溜まりとならないよう,各凹所6の高位置において小孔よりなるエア抜き孔7が形成されるため,水槽Vの底部に吸水体Kをセットする際に,その上壁部4a裏面の前記凹所6にエアが取り残されても,そのエアをエア抜き孔7を通して難なく且つ自動的に排出することができて,その残留エアのために吸水体Kが妄りに浮き上がる心配はなくなり,セット作業を能率よく的確に行うことができる。
【0030】以上,本発明の実施例について説明したが,本発明はその実施例に限定されることなく,本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば,前記実施例では,底面濾過装置Fにおける水の強制循環を行わせるためにエアポンプAを使用し,このポンプAから供給されて吸上げ管P内を上昇するエア気泡の上昇力を利用して該管P内に上昇水流を発生させるようにしているが,本発明では,斯かるエアポンプに代えて,水の強制循環作用を発揮し得る他のポンプ,例えば水中で水の吸込,吐出を直接行う水中ポンプを使用して,底面濾過装置における水の強制循環を行わせるようにしてもよい。
【0031】また前記実施例では,吸水体Kを平面視で正方形状に形成しているが,これを水槽Vの底面形状に合わせて他の適当な平面形態,例えば長方形,円形等に形成しても良いことは勿論である。
【0032】また前記実施例では,吸水体Kを相互に接続可能な吸水体ユニットKuの結合体又は単体より構成してサイズ可変としたが,本発明では,吸水体Kをサイズ不変の一個の吸水体ケースのみより構成してもよい。
【0033】また前記実施例では,砂利として天然の砂利を用いたが,本発明の砂利としては水槽Vの底面に敷かれて濾過材として機能し得る粒状体であればよく,例えばその少なくとも一部に人工の砂利,珊瑚片等を含んでもよい。
【0034】また前記実施例では,吸上げ管Pを吸水体Kの上壁部4a上に一体的に立設して該吸水体Kの排水口2に直接接続したものを示したが,本発明では,吸上げ管を吸水体Kより分離構成して,図示しない接続管を通して該吸水体Kの排水口2に接続してもよい。
【0035】また前記実施例では,吸水体Kを,ケース本体4とその開放下面を覆う底板5とより構成したものを示したが,本発明では,ケース本体4の開放下面を水槽の底面Vbに密接させてケース本体4と水槽底面Vb間に吸水路3を直接形成することにより,底板を省略可能である。
【0036】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば,水槽底面をその略全面に亘って覆う扁平な箱状に形成される吸水体の上壁部上面に横断面V字状の複数条の溝状水路を設け,これら溝状水路の底部に多数の小孔を形成して,それら小孔により,上壁部上面の略全面に亘って分布する多数の吸水口を構成したので,砂利層の下側に,多数の小孔よりなる吸水口を広範囲に亘り高密度に分布させることができ,これら多数の吸水口を通して水槽内の水の吸い込みが緩やかに且つ略均等に行われるから,水槽の底面に広く敷かれる濾過層としての砂利層に広範囲に亘り略均等に抵抗少なく水を流通させることができ,その結果,砂利層の各部に水槽内の水が適度に流通し,その砂利層における好気性微生物の活動が活発化して残餌,糞等の有機物の分解が促進されるため,全体として砂利層の濾過能率が大幅に向上して水を効果的に清浄化でき,水替え,清掃等のメンテナンスの頻度を少なくできる。また吸水体の上壁部に各吸水口を上向きに形成しても,その吸水口は,該上壁部の断面V字状の溝状水路の底部に開口しているため,その開口部が砂利で塞がれるのを効果的に回避できる。しかも上記溝状水路に対応して上壁部の裏面側に形成される突条を補強リブとして利用できるから,構造の簡素化を図りつつ上壁部の剛性強度を高めることができる。
【0037】また特に請求項2の発明によれば,前記吸水体は,下面を開放した扁平な箱状のケース本体と,このケース本体に着脱可能に結合されて該ケース本体の開放下面を覆う底板とを備え,それらケース本体と底板との対向面の少なくとも一方には,該ケース本体の扁平な内部空間に所定経路の吸水路を画成する水路形成用突壁が一体的に形成されるので,吸水体を広く扁平な箱状に形成しても,その内部空間に,吸水口から排水口へ向かって所定経路を辿る前記吸水路を簡単な構造で難なく画成でき,従ってその内部空間が広く扁平なものであっても,そこに水を万遍なくスムーズに流通させることができ,砂利層の濾過能率を一層向上させることできる。
【0038】また特に請求項3の発明によれば,吸水体上壁部の裏面には,複数条の溝状水路にそれぞれ対応して複数条の突条が形成されており,それら突条の形成により上壁部の裏面に生じた凹所がエア溜まりとならないよう,該上壁部には前記凹所の高位置においてエア抜き孔が形成されるので,水槽底部に吸水体をセットする際に,その上壁部の前記凹所にエアが取り残されても,そのエアをエア抜き孔を通して難なく排出することができて,セット作業を的確に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】390014465
【氏名又は名称】株式会社水研
【出願日】 平成13年1月17日(2001.1.17)
【代理人】 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開2002−209470(P2002−209470A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−8668(P2001−8668)