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【発明の名称】 合鴨農場
【発明者】 【氏名】村上 義孝

【要約】 【課題】外敵の侵入、合鴨の逃走や感電などのトラブルが発生せず、合鴨農法の長所が十分に発揮され、収穫量増大を図ることのできる合鴨農場を提供する。

【解決手段】合鴨農場1は、水田2の周囲に形成された通水溝3と、通水溝3の外側の畦4に沿って立設された防護フェンス5と、水田2のコーナー部分に通水溝3と連通して設けられた貯水池6など備えている。防護フェンス5は、地面上に略垂直に立設された遮蔽板9と、遮蔽板9の上に略水平に配置された水平板10と、水平板10の上方に互いに間隔をおいて略水平に張設された複数の電線11とで構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地面上に略垂直に立設された遮蔽板と、前記遮蔽板の上に略水平に配置された水平板と、前記水平板の上方に互いに間隔をおいて略水平に張設された複数条の電線とで構成された防護フェンスを圃場の周囲に設けたことを特徴とする合鴨農場。
【請求項2】 前記圃場の外周部と前記防護フェンスとの間に通水溝を形成した請求項1記載の合鴨農場。
【請求項3】 前記圃場の一部に、前記通水溝と連通した貯水池を設けた請求項2記載の合鴨農場。
【請求項4】 前記貯水池の壁面の少なくとも一部を石垣で形成した請求項3記載の合鴨農場。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水稲栽培と合鴨の飼育を併行して行うことができる合鴨農場に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、水稲栽培を行っている水田で合鴨を飼育する、いわゆる合鴨農法が実施されている。合鴨農法においては、飼育している合鴨が水田の草や虫を食べることで雑草や病害虫の駆除が行われるので、除草剤や消毒剤などの化学薬品の使用を抑制するとともに、水稲収穫量の増大を図ることができる。
【0003】合鴨農法を実施する場合、通常の水田のままでは、飼育している合鴨が逃げたり、犬やイタチなどが侵入して合鴨を襲撃したりするので、水田の周囲に何らかの防護手段を設けることによって合鴨農場が形成されている。従来から用いられている防護手段としては、水田を囲む畦に沿ってネットフェンスあるいは電線などを張設するという方法がとられている。
【0004】図5は従来の合鴨農場の一例を示す部分斜視図であるが、水田50の周囲の畦51に沿って、複数条の電線52が互いに一定間隔を置いて水平に張設されている。これらの電線52は、商用電源によって作動する電源装置53の一方の出力端子54に接続され、他方の出力端子55は地中に埋設されたアース線56に接続されている。
【0005】水田50で飼育されている合鴨や、犬などが電線52に触れると、電線52を流れている電流によって軽く感電するので、合鴨は水田50の外へ逃亡しないようになり、犬などは水田50へ侵入しないようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図5に示す従来の合鴨農場の場合、水田50の周囲に張設された電線52どうし、あるいは電線52と地面との隙間が比較的広く、水田50の内外の見通しもよいので、これらの隙間を通って合鴨が水田50から逃げたり、犬などが水田50内に侵入したりすることがあり、防護機能が不十分である。また、最下部に位置する電線52aは、地面から10cm程度しか離れていないので、地面や水面に接してショートしたり、畦から伸びてきた雑草が電線52aに触れて電圧が低下したりするトラブルが生じている。
【0007】また、従来の合鴨農場の場合、水田50内で飼育されている合鴨が電線52に触れて感電すると、その後は電線52を忌避するようになるため、電線52から2〜3m程度離れた領域、すなわち水田50の外周部分には合鴨が全く寄り付かないようになる。このため、水田50の外周部分には雑草などが繁茂し、病害虫の駆除も不完全となり、合鴨農法の長所が十分に発揮されなくなる。
【0008】一方、ネットフェンスを用いた合鴨農場の場合、刈り払い機などを用いて畦の雑草を刈る際に、刈り払い機のカッタがネットフェンスに触れてネットフェンスを切断したり、カッタに巻き込んだりすることがあり、除草作業の阻害要因となっている。
【0009】本発明が解決しようとする課題は、外敵の侵入、合鴨の逃走や感電などのトラブルが発生せず、合鴨農法の長所が十分に発揮され、収穫量増大を図ることのできる合鴨農場を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の合鴨農場は、地面上に略垂直に立設された遮蔽板と、遮蔽板の上に略水平に配置された水平板と、水平板の上方に互いに間隔をおいて略水平に張設された複数条の電線とで構成された防護フェンスを圃場の周囲に設けたことを特徴とする。
【0011】このような構成とすることにより、圃場は、地面から上に向かって遮蔽板、水平板および複数条の電線が配置された防護フェンスで包囲された状態となるため、地面を徘徊する犬やイタチなどの外敵の侵入、圃場で飼育されている合鴨の逃走や感電などのトラブルが発生しない。また、合鴨が感電を恐れて防護フェンスを忌避することもなくなり、圃場内をまんべんなく動き回りながら草や虫を食べるので、合鴨農法の長所が十分に発揮され、収穫量の増大を図ることができる。
【0012】また、圃場の外周部と防護フェンスとの間に通水溝を形成することにより、圃場で水稲を栽培する際の合鴨の移動経路として通水溝を利用できるほか、圃場の水管理に有効に利用することができる。
【0013】さらに、圃場の一部に、通水溝と連通した貯水池を設けることにより、圃場で飼育されている合鴨が鳥獣などに襲われたときの緊急避難場所として貯水池を利用することができるほか、貯水池で魚類を飼育することもできる。
【0014】また、貯水池の壁面の少なくとも一部を石垣で形成することにより、石垣の隙間を貯水池で飼育する魚類の棲家として利用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態である合鴨農場を示す平面図、図2および図3は図1に示す合鴨農場の部分斜視図、図4は図1におけるA−A線断面図である。
【0016】図1に示すように、本実施形態の合鴨農場1では、圃場である水田2の周囲に連続した通水溝3が形成され、通水溝3の外側の畦4に沿って防護フェンス5が立設され、水田2のコーナー部分に通水溝3と連通する貯水池6が設けられ、貯水池6の近傍に飼育箱20が配置され、水田2の側方には通水溝3と連通する入水口7および排水口8が設けられている。
【0017】図2および図3に示すように、防護フェンス5は、地面上に略垂直に立設された遮蔽板9と、遮蔽板9の上に略水平に配置された水平板10と、水平板10の上方に互いに間隔をおいて略水平に張設された複数の電線11とで構成されている。これらの電線11は、畦4のコーナー部分に立設された支柱12に碍子13を介して係止されるとともに、支柱12同士の間は、水平板10上に立設された逆V字形状の補助支柱14に碍子15を介して係止されている。
【0018】本実施形態では、地面から水平板10までの高さを30〜40cm程度、電線11の間隔を20〜30cm程度、地面から最上部の電線11までの高さは120〜150cm程度としているが、これらに限定するものではないので、使用条件に応じて変更することができる。
【0019】電線11は商用電源で作動する電源装置16の一方の出力端子17に接続され、他方の出力端子18は地中に埋設されたアース線19と接続され、電線11とアース線19との間に電圧が印加されている。
【0020】図4に示すように、貯水池6の壁面は石垣21で形成され、その上に石Sが積み上げられ、貯水池6の中に貯められた水Wの中では魚Fが飼育されている。また、貯水池6の近傍に配置された飼育箱20では、合鴨のヒナなどを飼育することができる。
【0021】本実施形態の合鴨農場1において、水田2は、地面から30〜40cm程度の高さまで立設された遮蔽板9および水平板10と、これらの上に略水平に張設された複数条の電線11とで構成された防護フェンス5で包囲されているため、飼育されている合鴨などは水田2の外を見ることができず、周囲を徘徊する犬やイタチなどは水田2の様子を見ることができない。すなわち、合鴨や犬などの目線は遮蔽板9で完全に遮断されている。
【0022】したがって、地面を徘徊する犬やイタチなどの外敵の侵入や、水田2で飼育されている合鴨の逃走を防止することができ、合鴨が電線11に触れて感電し、死傷することもない。したがって、合鴨が感電を恐れて防護フェンス5を忌避することもなくなり、水田2をまんべんなく動き回りながら草や虫を食べるので、雑草や病害虫の駆除が十分に行われ、除草剤や消毒剤の使用を抑制することができ、合鴨農法の長所が十分に発揮され、収穫量の増大を図ることができる。
【0023】防護フェンス5を構成する遮蔽板9および水平板10はT字構造を形成しているため、強度が大きく、風などで容易に変形することがなく、雨の日などは、体力の弱いヒナ鳥などが水平板10の下で雨宿りすることもできる。また、遮蔽板9および水平板10は、畦4の雑草を刈り払い機で刈り取る際の作業の妨げにならず、刈り払い機のカッタが遮蔽板9などに触れたときに巻き込まれたり、破損したりすることもない。
【0024】また、水田2の外周部と防護フェンス5との間に連続した通水溝3が形成されているため、水田2で水稲を栽培する際の合鴨の移動経路として通水溝3を利用できるほか、水田2の水管理に有効に利用することができる。本実施形態では通水溝3は、幅50cm程度、深さ20〜30cm程度であるが、これに限定しないので、水田2の面積や排水性などに応じて任意に変更することができる。
【0025】さらに、水田2のコーナー部分に、通水溝3と連通した貯水池6が設けられているため、水田2で飼育されている合鴨が鳥獣などに襲われたときの緊急避難場所として貯水池6を利用することができるほか、貯水池6で魚類を飼育することもできる。
【0026】また、貯水池6の壁面は石垣21で形成されているため、貯水池6で飼育されている魚Fは石垣21の隙間を棲家として利用することができる。本実施形態では、貯水池6のサイズを縦2m、横4m、深さ1mとしているが、これに限定するものではないので、水田2の面積、合鴨の飼育数などに応じて変更することができる。
【0027】本実施形態の合鴨農場1は、水稲の栽培を行っている水田2で合鴨を飼育するものであるが、本発明はこれに限定するものではないので、水稲以外の農作物を栽培する圃場で、合鴨以外の動物を飼育する場合においても利用することができるものであり、その場合においても、本実施形態と同様の機能、効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0029】(1)地面上に略垂直に立設された遮蔽板と、遮蔽板の上に略水平に配置された水平板と、水平板の上方に互いに間隔をおいて略水平に張設された複数条の電線とで構成された防護フェンスを圃場の周囲に設けたことにより、地面を徘徊する犬やイタチなどの外敵の侵入、圃場で飼育中の合鴨の逃走や感電などのトラブルが発生せず、合鴨が感電を恐れて防護フェンスを忌避することもなくなり、合鴨農法の長所が十分に発揮され、収穫量増大を図ることができる。
【0030】(2)圃場の外周部と防護フェンスとの間に通水溝を形成することにより、圃場で水稲を栽培する際の合鴨の移動経路として通水溝を利用できるほか、圃場の水管理に有効に利用することができる。
【0031】(3)圃場の一部に、通水溝と連通した貯水池を設けることにより、圃場で飼育されている合鴨などが鳥獣などに襲われたときの緊急避難場所として貯水池を利用することができるほか、貯水池で魚類を飼育することもできる。
【出願人】 【識別番号】501020785
【氏名又は名称】村上 義孝
【出願日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【代理人】 【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
【公開番号】 特開2002−209467(P2002−209467A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−8265(P2001−8265)