| 【発明の名称】 |
海産物の処理方法、及びその方法により製造した人工魚礁 |
| 【発明者】 |
【氏名】橘 紀久夫
【氏名】棚橋 達治
【氏名】鈴木 裕明
【氏名】松井 時雄
【氏名】大野 卓
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| 【要約】 |
【課題】これまで廃棄物として扱われてきたカキ殻等の海産物の有効な処理方法を提供し、さらにその方法に伴って製造される有用な人工魚礁を提供する。
【解決手段】貝殻や魚類の骨、甲殻類の殻等のカルシウムを含有する海産物のの形状又は性状を変更し魚礁としての機能を付与する処理を行う。さらにこの方法によって形成される人工魚礁が海産物混入ブロックを備えたものとし、複数の海産物混入ブロック間又は単独の海産物混入ブロックに、餌料生物が棲息可能な隙間を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】貝殻や魚類の骨、甲殻類の殻等のカルシウムを含有する海産物を処理する方法であって、当該海産物の形状又は性状を変更し魚礁としての機能を付与する処理を行うことを特徴とする海産物の処理方法。 【請求項2】貝殻や魚類の骨、甲殻類の殻等のカルシウムを含有する海産物を処理する方法であって、当該海産物の形状又は性状を変更しセメントやモルタル等のコンクリート組成物に混合した状態で硬化させることによって海産物に魚礁としての機能を付与する処理を行うことを特徴とする海産物の処理方法。 【請求項3】カップ、ペットボトル、弁当容器等の人手で取り扱い得る程度の小型軽量な市販汎用容器を型枠として、この型枠内で前記海産物及びコンクリート組成物を硬化させるようにしている請求項2記載の海産物の処理方法。 【請求項4】請求項1、2又は3に記載の方法において、海産物を粉砕する工程を含む海産物の処理方法。 【請求項5】請求項1、2、3又は4に記載の方法において、海産物を洗浄して当該海産物に付着した有機物を洗い流す工程を含む海産物の処理方法。 【請求項6】請求項2、3、4又は5に記載の方法により成型した海産物を含有するコンクリート製の複数の海産物混入ブロックを具備してなる人工魚礁であって、隣接する海産物混入ブロック同士の間に、餌料生物が棲息し得る隙間を形成していることを特徴とする人工魚礁。 【請求項7】隣接する海産物混入ブロックの少なくとも一方に湾曲面又は凹凸面を形成し、その湾曲面又は凹凸面とそれに対向する他方の海産物混入ブロックの面との間に前記隙間を形成している請求項6記載の人工魚礁。 【請求項8】各海産物混入ブロックをブロック本体とそれを支持する脚部とから構成するとともに、それら複数の海産物混入ブロックを積み重ねて、少なくとも下段側の海産物混入ブロックのブロック本体と上段側の海産物混入ブロックのブロック本体及びその脚部とによって形成される空間に前記隙間を設定している請求項6記載の人工魚礁。 【請求項9】前記複数の海産物混入ブロックを同時に保持する保持手段を設けている請求項6、7又は8記載の人工魚礁。 【請求項10】保持手段が、複数の海産物混入ブロックを収容可能な収容部を具備し該収容部及び前記隙間に海水が出入可能な籠や網等の収容器具である請求項9記載の人工魚礁。 【請求項11】保持手段が、各海産物混入ブロックに形成した貫通孔と、それら貫通孔に同時に挿入可能な棒状又は紐状をなす挿入体とから構成している請求項9記載の人工魚礁。 【請求項12】海底において潮流で流失し得ない程度に安定設置可能な台座を具備し、前記保持手段によって保持された海産物混入ブロックを保持手段ごと台座に載置し又は取り付けている請求項8、9又は10記載の人工魚礁。 【請求項13】請求項2、3、4又は5に記載の方法により成型した海産物を含有するコンクリート製の単独の海産物混入ブロックからなる人工魚礁であって、当該海産物混入ブロック自体の一部に、餌料生物が棲息し得る隙間を形成していることを特徴とする人工魚礁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、収穫した魚介類の殻や骨等の海産物の処理方法、及びその方法によって形成される人工魚礁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より漁業地域において、カキやホタテ貝に代表される貝殻、魚の骨、エビやカニ等の甲殻類の殻等の海産物は、一般に廃棄物として処理されている。このような海産物はそのまま海に投棄すると海洋汚染につながるため、特に可食部を取り外した後のカキ殻等が漁港や加工工場の一角に堆高く積み上げられている様子がしばしば見受けられるところであるが、積み上げられたカキ殻から発生される腐敗臭が大きな問題となっている。また、カキ殻が占有しているスペースも増大する一方であり、廃棄物処理業者にカキ殻の処理を依頼するとコストが極めて高くつくことになる。 【0003】一方、カキ殻等のような海産物はカルシウムを多量に含有しており、有用魚介類が餌とする餌料生物を培養し得る効果があることが予想される。そこで、網状をなす通水性ケースにカキ殻を入れて海中に投入するようにした「人工魚礁用集魚ケース」(特開平6−141727号)や、収納籠に充填したカキ殻をモルタルによって一体に固めて海中に投入するようにした「餌料培養礁及び餌料培養礁を備えた人工魚礁」(特開平11−225612号)などが考えられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、前記「人工魚礁用集魚ケース」では、集魚ケース内のカキ殻同士が衝突して破壊したり経時変化によってカキ殻が脆くなって崩壊すると、集魚ケースからカキ殻が流出するため、餌料培養効果が低下するという不具合がある。また、前記「餌料培養礁及び餌料培養礁を備えた人工魚礁」では、多量のカキ殻をモルタルで固めているため、餌料培養礁内部すなわちカキ殻同士の間に形成された空間への潮通りが悪く、培養礁内部での高い餌料培養性能が期待できず、表層部のみが主たる餌料培養領域となるため、餌料培養効果が低いという不具合がある。さらに前記いずれのものにしても、餌料培養可能な部位の周囲を細かい網状のケースや籠で囲んだ構成を有しているため、漁業の目的とする魚介類が餌料生物を捕食しづらいという問題もある。 【0005】本発明は、以上のような諸問題を解決するため、これまで廃棄物として扱われてきたカキ殻に代表される海産物の有効な処理方法を提供するとともに、その方法に伴って製造される有用な人工魚礁を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、貝殻や魚類の骨、甲殻類の殻等のカルシウムを含有する海産物の処理方法であって、当該海産物の形状又は性状を変更し魚礁としての機能を付与する処理を行うことを特徴としている。 【0007】なお、魚礁としての機能とは、基本的には海底に安定設置し得る程度のアンカーとしての機能や、海藻を生育させたり餌料生物や有用魚介類を集め得る機能をいうが、集まってきた餌料生物や有用魚介類をその場で培養・増殖させ得る機能も含まれる。また、「海産物の形状や性状の変更」とは、例えばカキ殻等の海産物を砕いて元の形状から変化させることや、海産物に付着した不要な物体や物質を除去すること、海産物を固めて成型品に加工することなどを意味している。 【0008】このような方法によると、カキ殻等の廃棄物として扱われてきた海産物を、魚礁機能を持たせて有効利用することができ、廃棄物の減量やそれに伴うスペースや費用の削減、資源の有効利用に寄与するとともに、有用魚介類が餌とする餌料生物の有効な培養ができると考えられている含カルシウム海産物を利用した好適な魚礁を形成して漁獲高の向上や良好な漁場の形成にも貢献することができる。 【0009】具体的に、好適に魚礁機能を付与し得るような本発明の方法としては、海産物の形状又は性状を変更しセメントやモルタル等のコンクリート組成物に混合した状態で硬化させることによって海産物に魚礁としての機能を付与する処理を行うようにする方法が挙げられる。この場合、海産物をコンクリート工場などに運搬する手間や費用を省き、魚介類が漁獲された海辺でその殻等の海産物を簡便且つ低コストで処理できるようにするためには、カップ、ペットボトル、弁当容器等の人手で取り扱い得る程度の小型軽量な市販汎用容器を型枠として、この型枠内で前記海産物及びコンクリート組成物を硬化させるようにすることが好ましい。特に型枠として利用する容器が使用済のものであれば、廃棄物の再利用に寄与し得ることにもなる。なお、型枠としては市販汎用容器に限定するものではなく、本目的のために新たに製造された型枠を使用してもよい。 【0010】また、海産物の形状の変更として好ましい方法、具体的にはコンクリート組成物と混入するのに適した海産物の形状変更の方法を採用するには、上述の方法において海産物を粉砕する工程を含むことが望ましい。 【0011】カキ殻等を積み上げておくと、それに付着した有機物が腐敗して悪臭が発生するが、餌料生物の培養効果を低減することなく腐敗臭の発生を抑制するためには、上述の方法において海産物を洗浄して当該海産物に付着した有機物を洗い流す工程を含むことが好ましい。なお、この洗浄工程を含まない方法を採用する場合には、海産物を長期間放置することなくできるだけ早く処理することが望ましいが、有機物が付着したままの状態であってもその有機物を餌とする海中の微生物などが発生することも考えられ、その微生物を目当てに魚介類を集めることも期待できる。 【0012】また、本発明の人工魚礁は、上述した方法により成型した海産物を含有するコンクリート製の複数の海産物混入ブロックを具備してなり、隣接する海産物混入ブロック同士の間に、餌料生物が棲息し得る隙間を形成していることを特徴としている。 【0013】従来の人工魚礁には、魚介類を集めてそれを獲るという蝟集作用が望まれていたが、最近ではより高い漁獲高と安定した漁場を形成するために人工魚礁において魚介類を培養して増殖させるという効果が求められるようになってきている。このような考えに基づくと、本発明の人工魚礁であれば、海産物混入ブロックには餌料生物の培養効果があると考えられるカルシウム成分を多く含むカキ殻等の海産物が含まれているうえに、それをコンクリートで安定化しているため、複数の海産物混入ブロックの間に形成される隙間に多毛類や小型甲殻類等の餌料生物を効率的に蝟集させることができ、それを餌とする魚介類を効率よく培養・増殖させて、良好な漁場を形成し漁獲高を向上することができる。また、海産物混入ブロック間の隙間は、稚魚の隠れ場所としても適している。しかも各海産物混入ブロックは、上述の方法に基づいて成型されるものであるため、資源の有効利用、廃棄物の有効利用を適切に図ることができる。 【0014】複数の海産物混入ブロック間の隙間を簡単に形成するためには、隣接する海産物混入ブロックの少なくとも一方に湾曲面又は凹凸面を形成し、その湾曲面又は凹凸面とそれに対向する他方の海産物混入ブロックの面との間に前記隙間を形成することが好ましい。 【0015】その他にも前記隙間を簡単に形成するとともに安定した人工魚礁を構成するためには、各海産物混入ブロックをブロック本体とそれを支持する脚部とから構成するとともに、それら複数の海産物混入ブロックを積み重ねて、少なくとも下段側の海産物混入ブロックのブロック本体と上段側の海産物混入ブロックのブロック本体及びその脚部とによって形成される空間に前記隙間を設定することが有効である。 【0016】複数の海産物混入ブロックの海中での安定化を図り、長期に亘って安定した人工魚礁を形成するためには、人工魚礁に、複数の海産物混入ブロックを同時に保持する保持手段を設けることが好ましい。 【0017】具体的に好ましい保持手段としては、複数の海産物混入ブロックを収容可能な収容部を具備しその収容部及び前記隙間に海水が出入可能な籠や網等の収容器具が挙げられる。このような籠や網の通水性を確保するための目の大きさは、あまり小さくては餌料生物を捕食しようとする魚介類が入ることができず、あまり大きくては収容された海産物混入ブロックが流失してしまうため、これらの不具合が起こらない程度の適宜の大きさに設定すればよい。 【0018】その他の保持手段として好ましい構成のものには、各海産物混入ブロックに形成した貫通孔と、それら貫通孔に同時に挿入可能な棒状又は紐状をなす挿入体とから構成したものが挙げられる。 【0019】海底における人工魚礁の更なる安定化を図るためには、人工魚礁に海底において潮流で流失し得ない程度に安定設置可能な台座を具備させて、前記保持手段によって保持された海産物混入ブロックを保持手段ごと台座に載置し又は取り付けることが望ましい。 【0020】以上に述べた人工魚礁はいずれも複数の海産物混入ブロックを備えたものであるが、上述した本発明の方法により成型した海産物を含有するコンクリート製の海産物混入ブロックは単独で人工魚礁を構成するものであってもよく、その場合は海産物混入ブロック自体の一部に、餌料生物が棲息し得る隙間を形成することが好ましい。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。 【0022】以下の説明では、本発明によるカキ殻の処理方法の一実施形態と、その方法によって形成される人工魚礁の複数の実施形態について述べるものとする。 【0023】まず、本実施形態におけるカキ殻の処理方法は、図1に示すように、海Pから収穫したカキを漁港やその近くにある加工工場などの海辺Qで実施されるものである。すなわち収穫したカキから可食部を取り外したカキ殻Aを、第1の処理工程ST1として洗浄し、そのカキ殻Aに付着した有機物を十分に洗い流す。この工程では、流水下でカキ殻Aを手で洗ってもよいが、適宜の洗浄機を利用して洗浄しても構わない。次に、洗浄したカキ殻Aを、第2の処理工程ST2として適宜の粉砕機を通過させることによって粉末状に粉砕する。なお、適切な粉砕機がない場合は、カキ殻Aを足で踏んだり石で叩いたりして粉砕しても構わないし、粉砕したカキ殻Aの大きさは、例えば粉末よりは大きい粉砕物(Ab)とするなど適当に設定することができるが、ここでは粉末として説明を進める。そして、第3の処理工程ST3として、このカキ殻粉末Aaを、コンクリート組成物であるセメントやモルタル(ここではセメントZとして表記する)及び水と混合したうえで型枠Yに流し込み、セメントZを硬化させて、海産物混入ブロックBを成型する。ここで使用する型枠Yとしては、海辺で本方法を簡便に行うことを想定して、紙コップやプラスチックコップ等のカップ類、ペットボトル、弁当の空き箱等の小型軽量の市販汎用容器が挙げられるが、以下に説明する種々の人工魚礁に適用される様々な形状の海産物混入ブロックBを成型する際には、それぞれの形状に対応する適宜の型枠Yを使用すればよい。したがって、以下の各人工魚礁に対応する説明では型枠Yについては詳述しないものとする。また、セメントZとカキ殻粉末Aaとの混合比は、成型後の海産物混入ブロックBの強度低下を極力抑えつつカルシウムを含有するカキ殻粉末Aaの割合を最大限とするように、セメントZを1とした場合カキ殻粉末Aaを3〜5の割合としているが、必ずしもこれに限られるものでもない。しかして、成型した複数の海産物混入ブロックBを、第4の処理工程ST4として籠や網等の収容器具に詰めるなどの方法により保持させて人工魚礁Cとした状態で、漁場を形成すべき所定の海域に投入する。なお、海産物混入ブロックBを保持するための手段としては、上述の収容器具に限らず以下で説明する種々の方法を採用することができる。また、上述のように収容器具などで保持させた海産物混入ブロックBをそのまま海Pに投入してもよいが、その収容器具などを更により安定性の高い台座等に取り付けた状態のものを人工魚礁Cとして海Pに投入することも可能である。 【0024】以上に説明したカキ殻Aの処理方法に基づいて、前記第3の処理工程ST3で成型される海産物混入ブロックB及び最終的に海Pに投入される人工魚礁Cの種々の態様について以下に述べる。 【0025】まず、図2に示す人工魚礁C1の第1の実施形態は、4種類の異なる形状の海産物混入ブロックB1、B2、B3、B4(必要に応じて単に「ブロック」と称する。以下の実施形態においても同様)を組み立てたものを、収容器具として略直方体の外形状をなす籠W1に詰め込んだ構成のものである。なお、ブロックB1、B2、B3、B4の成型(第3の処理工程ST3)に際しては、それぞれの形状に対応する型枠Yを使用している。ブロックB1は、正面視H字形をなすもので、対向する2壁の側面B11をいずれも外側に凸となるように緩やかに湾曲させている。ブロックB2は、正面視T字形をなすもので、長尺な壁の側面B21を前記ブロックB1と同様に湾曲させている。また、ブロックB3は正面視I字形をなすものであり、ブロックB4は正面視略正方形状をなすものである。そして、各ブロックB1、B2、B3、B4の奥行き寸法を略等しく設定するとともに、角部に丸みを持たせている。しかして、ブロックB1の対向する2壁の間に形成される凹部B12に、別のブロックB1の一部やブロックB2の一部、及びブロックB3を位置づけるようにして全体として略直方体をなすように組み立てて、隅に配置されたブロックB2の外方において余った空間にブロックB4を配置している。ここで組み立てた状態のブロックB1、B2、B3、B4の一部を断面図として図3に示す。すなわち第3の処理工程ST3において成型された各ブロックB1、B2、B3、B4は、コンクリート組成物であるセメントZとカキ殻粉末Aaとが混在した状態にある。また、ブロックB1、B2、B3、B4の表層部は多孔質であるため、多数の孔hが空いている。一方、籠W1は、海中で腐食しにくい金属製やカーボン製の棒を直方体の枠状に組み立てた骨格部W11と、この骨格部W11の周囲に張り巡らせた網部W12とからなり、内部を収容部W13としている。網部W12の網目は、最も小さいブロックB4が脱落しない程度の大きさである。しかして網部W12の一部を開閉可能にしておいて、直方体状に組み立てたブロックB1、B2、B3、B4を収容部W13内に収容してその全体を人工魚礁C1としている。なお、収容部W13にブロックB1、B2、B3、B4を組み立てながら順次入れていってもよい。組み立てられたブロックB1、B2、B3、B4においては、隣接するブロックB1、B2、B3、B4の対向する湾曲面同士の間や、丸みを持たせた角部の周囲に隙間sが形成されるが、この隙間sの大きさが極力小さくなるように各ブロックB1、B2、B3、B4を組み立てるようにしている。なお、比較的小さいブロックB3やB4の代わりに石等を詰めても構わない。また、ここでは収容器具として籠W1を使用した例を示したが、その代わりに強度及び耐久性のあるネット等を用いてもよい。 【0026】このような構成の人工魚礁C1を、例えば水深5〜15mの海底に沈設すると、前記隙間sには、前記網部W12を通じて常に新鮮な海水が流れ込むため、表側の隙間sから奥の方の隙間sまで多毛類や小型甲殻類等の餌料生物にとって格好の棲息場所となる。さらにブロックB1、B2、B3、B4の表層部に空いた孔hも餌料生物の棲息場所となる。またその結果、餌料生物を目的に集まってくる有用魚類の産卵場所にもなって、生まれた稚魚にとっても隙間sや孔hが良好な隠れ場所となる。すなわちこの人工魚礁C1及びその周囲において有用魚類を増殖・培養することができ、良好な漁場を新たに形成することが可能である。なお、以上の説明では組み立てた状態のブロックB1、B2、B3、B4を籠W1に収容したものを人工魚礁C1としたが、その状態のものをさらに安定した比較的重量の重い台座に取り付けてこれを人工魚礁として沈設することもできる。台座には、板状のコンクリートブロックや既存の人工魚礁、自然岩などを適用することができる。 【0027】次に、図4に示して説明する人工魚礁C2の第2の実施形態は、5種類の異なる形状をなす扁平な海産物混入ブロックB5、B6、B7、B8、B9を金属棒W2でいわゆる串刺しにした状態のものを、コンクリート製の台座V1に取り付けたものである。ブロックB5は、球体の一部を横切る面で切り取ったような円盤状をなすものである。また、ブロックB6は平面視十字形をなすものであり、ブロックB7は平面視H字形をなすものであり、ブロックB8は平面視Y字形をなすものであり、ブロックB9は平面視八角形状をなすものである。これらブロックB5、B6、B7、B8、B9を第3の処理工程ST3において成型する際にも対応する適宜の型枠Yを使用している。また、ブロックB5、B6、B7、B8、B9それぞれの中央部には、前記金属棒W2を挿入し得るように、厚み方向に向けて貫通孔B51、B61、B71、B81、B91をそれぞれ形成している。なお、各ブロックB5、B6、B7、B8、B9が、セメントZとカキ殻粉末Aaとから構成されている様子は、図3に断面図で示したように第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。以下の実施形態においても同様である。すなわちこれら貫通孔B51、B61、B71、B81、B91及び金属棒W2は、この実施形態において複数のブロックB5、B6、B7、B8、B9を同時に保持し得る保持手段を構成している。しかして各貫通孔B51、B61、B71、B81、B91に金属棒W2を挿入したうえで、この金属棒W2を台座V1に突き立てている。なお、台座V1の形状によっては、金属棒を横方向或いは斜め方向に架け渡すようにしてもよい。金属棒W2へのブロックB5、B6、B7、B8、B9の取り付けに際しては、任意のブロックB5、B6、B7、B8、B9を適宜の順に取り付けるがことができる。その際、隣接するブロックB5、B6、B7、B8、B9同士の対向する面が平坦であれば、若干の距離を置いてブロックB5、B6、B7、B8、B9を配置すると、ブロックB5、B6、B7、B8、B9同士の間に隙間sが形成されるため、この隙間sにおいて餌料生物を棲息させることができる。また、ブロックB6、B7、B8、B9が、ブロックB5の如く湾曲する面を有していれば、距離を置かずに詰めた状態で金属棒W2に取り付けても、ブロックB5、B6、B7、B8、B9同士の間に隙間sを形成することができる。なお、詳述しないが、この人工魚礁C2の海底への投入などの取り扱いは前記第1の実施形態と同様である。また、この実施形態では、金属棒の代わりにカーボンその他の素材からなる棒状の部材や、ロープ等の紐状の部材を適用することもできる。さらに、棒状や紐状のいずれの部材を視凹した場合であっても、それらが細すぎたり挿入される貫通孔が大きすぎたりするとブロックが回転して隙間sに棲息する餌料生物が墜ちてしまうおそれがあるため、若干の回転は許容されるもののブロックがあまり回転しすぎないようにしておくことが有効である。 【0028】次に、図5に示す人工魚礁C3の第3の実施形態は、ボール状をなす海産物混入ブロックB10を各辺の寸法が略等しい直方体状の籠W3に多数詰め込んだものを、コンクリート製の台座V2に載置して取り付けた構成のものである。ブロックB10は、図6に拡大して示すように、第2の処理工程ST2において前記カキ殻粉末Aaよりも比較的粗く粉砕したカキ殻粉砕物Abを、第3の処理工程ST3においてセメントZと混合して硬化させた直径数cm程度の大きさのものである。その表面には、カキ殻粉砕物Abが金平糖のように凹凸をなして表出している。籠W3の構成は前記第1の実施形態のものと同様であるため説明を省略する。そして、この籠W3内に、多数のブロックB10を密に詰め込んでいる。このようにすることによって詰め込まれたブロックB10同士の間には、餌料生物が棲息可能な隙間sが形成されることになる。一方、台座V2は、板状をなす本体V21の表面に平面視十字形をなす起立壁V22を一体に形成したものである。しかして、起立壁V22によって仕切られた本体V21の表面に、ブロックB10を詰めた籠W3を4つ載せて適宜の手段で固定することによって、人工魚礁C3を構成している。このようにした人工魚礁Cの取り扱いも、前記第1及び第2の実施形態と同様である。 【0029】なお、この第3の実施形態においては、次に示すような変更を加えることができる。すなわち、ブロックB10を詰め込む籠W4を平板な外形状をなすものとすることで、図7及び図8に示すような変形例が可能となる。 【0030】図7に示す人工魚礁C4は、前記と同様の台座V2を有するもので、起立壁V22で仕切られた本体V21の表面の上方における空間に、それぞれ複数(図示例では3つずつ)の籠W4を上下に所定距離ずつ離間させて配置している。各籠W4は、側壁V22から略水平に延びるアーム(図示省略)等に取り付けている。このようにすることで、一つの籠W4に収容されるブロックB10の数量を減らしつつ、隣接する籠W4同士の間に空間tが形成されるので、籠W4内のブロックB10同士の間の隙間sには、新鮮な海水が通りやすくなって、餌料生物をより効率よく増殖させることができるうえに、稚魚が隠れるための空間も増やすことができる。 【0031】このように、平板状の籠W4を利用すれば、籠W4の台座への取り付け方向の自由度を高めることができる。図8に第3の実施形態の変形例として示す人工魚礁C5は、台座V3を平板状の本体V31と、その本体V31の表面に起立させた平面視Y字形の起立壁V32に、ブロックB10を詰め込んだ籠W4を取り付けたものである。起立壁V32には、それぞれ外方に向けて側面視コ字形に開口する凹部V32aを形成しており、その凹部V32aに略垂直に立てた状態の籠W4を取り付けている。また、起立壁V32の上面には穴V32bを形成しているため、その穴V32bに有用魚介類が好む海藻Xを生育させることも可能である。また、起立壁V32によって仕切られた本体V31の表面には、第3実施例と同様にブロックB10を詰め込んだ籠W3を載置して取り付けることも可能である。このような構成の人工魚礁C5であっても、前記第3の実施形態や図7に示した変形例と同様の効果を得ることができる。また、これら第3の実施形態及びその変形例で適用したブロックB10の形状は、ボール状のものに限らず三角形や四角形、俵形など種々のものを適用することができる。 【0032】また、図9に示す人工魚礁C6の第4の実施形態は、前記第1〜第3の実施形態のものよりも若干大がかりなものである。具体的に説明すると、この人工魚礁C6は、大小複数(図示例では4つ)の略相似形状をなす海産物混入ブロックB100を上下に積み重ねたものである。各ブロックB100は、平板状をなすブロック本体B101と、そのブロック本体101の下向面側から一体に外下方に突出させた複数の脚部B102とからなる。ブロックB100は、図3に示したものと同様に、セメントZとカキ殻粉末Aaとから構成されているが、第2の処理工程ST2において形成されたカキ殻粉末Aaを然るべきコンクリート工場へ運搬し、そこで第3の処理工程ST3として成型を行ったものである。各ブロックB100は、ブロック本体B101から脚部B102を上下に貫通する貫通孔を有しており、4つのブロックB100を積み重ねた状態で全てのブロックB100の貫通孔が上下に連通するようにしている。そして、それら貫通孔にボルトW5を挿入したうえで、ナットW51で固定している。しかして、これら貫通孔とボルトW5及びナットW51は、この実施形態における保持手段を構成している。このようにしてブロックB100を積み重ねた人工魚礁C6では、下段側のブロックB100におけるブロック本体B101の上向面と、上段側のブロックB100におけるブロック本体B101の下向面及び脚部B102との間に隙間sが形成されるため、この隙間sを餌料生物の棲息場所及び有用魚介類の増殖場所とすることができる。ここで、隙間sは上記各実施形態における隙間sよりも若干大きいものであるため、この隙間sには、アワビやイセエビなどの大型の魚介類の生息にも有益である。なお、ここでは大きさが異なる相似な複数のブロックB100を積み重ねたが、これらは同一形状のものを積み重ねても異形状のものを積み重ねてもよい。 【0033】さらに、図10に示す人工魚礁C7の第5の実施形態は、コンクリート製の台座V4上に、上下に対をなす平板状のコンクリート板V41、V42を配置して、それらコンクリート板V41、V42の間に球状をなす海産物混入ブロックB10を多数詰め込んだ籠W6を配置したものである。籠W6の平面視形状は、コンクリート板V41、V42の形状に対応させている。コンクリート板V41及びV42の側部は、断面L字形状をなす金属製のフレームV43で支持されており、両コンクリート板V41、V42間は、三段分の籠W6の高さ程度に離間させている。そして、上側のコンクリート板V41に接するように、コンクリート板V41、V42間には2つの籠W6をフレームV43に支持させている。また、下側のコンクリート板V42の上面には細長い凹凸形状を形成している。しかして、下側のコンクリート板V42と下側の籠W6との間には、籠W6一つ分乃至それ以上の高さの隙間Sが形成されるようにしている。さらに、上側のコンクリート板V41の上面には、平面視正方形状をなすコンクリート製の魚礁用プレートV44を複数載置した状態で取り付けている。この魚礁用プレートV44の表面には、砂利などの形状を模した凹凸形状V441を形成しており、この凹凸形状V441に海藻が根付きやすいようにもしている。このような構成の人工漁礁C7であれば、籠W6内のブロックB10間に形成される隙間sにおいて前記各実施形態と同様に餌料生物や稚魚を有効に生育させることができる上に、比較的大きな隙間Sにはアワビやイセエビなどの比較的大型の魚介類を好適に生育させることができるという両方の機能を兼ね備えることが可能であり、きわめて有用な凹魚礁C7とすることができる。 【0034】なお、本発明の海産物の処理方法やその方法に基づいて製造される人工魚礁は、上述したカキ殻以外にもホタテ貝等の他の貝類の貝殻や、魚類の骨、エビやカニ等の甲殻類の殻の処理に際しても適用することができるものである。特に、処理方法においては、海産物を洗浄する第1の処理工程や粉砕する第2の処理工程は必要に応じて省略することができる。また、成型される海産物混入ブロックやそれを用いて作られる人工魚礁も、例えば単独の海産物混入ブロックのみを人工魚礁とするなどの種々の変更を加えることができる。その他、各部の具体的構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。 【0035】 【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。 【0036】すなわち、本発明の海産物の処理方法は、貝殻や魚類の骨、甲殻類の殻等のカルシウムを含有する海産物を処理するに際して、その海産物の形状や性質・状態を変更して魚礁機能を付与する処理を行うようにしている。このため、これまで廃棄物として扱われてきたカキ殻等の海産物を、魚礁として有効に利用することができ、廃棄物の減量するとともに海産物を置いていたスペースや費用を削減でき、資源の有効利用を図って、餌料生物及び有用魚介類の有効な培養ができる良好な漁場を形成できることにもなる。 【0037】具体的に、カキ殻等の海産物の形状や性質・状態を変更してセメントやモルタル等のコンクリート組成物に混合した状態で硬化させたコンクリート成型品を魚礁とする方法を採用すれば、海産物に魚礁機能を用意に付与することが可能である。特にこの場合、混合した海産物及びコンクリート組成物をカップ等の小型軽量の市販汎用容器を型枠として硬化させるようにすれば、魚介類が獲れた海辺でその殻等の処理を簡単にできるため、コンクリート成型品を製造するために海産物をコンクリート工場などに運搬する手間や費用を省略することができるうえに、使用済のカップ等を利用すればゴミを有効に再利用することができる。 【0038】また、上述の方法において海産物を粉砕する工程が含まれていれば、カキ殻等の海産物の嵩を減らして省スペース化や運搬コストの低減を図ることができるとともに、コンクリート組成物と混入する際にもそれに適した状態に海産物を形状を変更することができる。 【0039】また、上述の方法において海産物を洗浄してカキ殻等の海産物に付着した有機物を洗い流す工程が含まれていれば、餌料生物の培養効果を低下させずに付着した有機物が腐敗することによる悪臭の発生を抑制することができる。 【0040】さらに、本発明の人工魚礁は、上述した方法により成型した海産物を含有するコンクリート製の複数の海産物混入ブロックを備えたものであって、隣接する海産物混入ブロック同士の間に形成した隙間に餌料生物が棲息し得るようにしている。このようなものによれば、各海産物混入ブロックに含まれるカルシウム成分を多く含むカキ殻等の海産物によって餌料生物の培養効果が期待できるとともに、コンクリート組成物によって海産物混入ブロックそのものの構造の安定化を図ることができる。しかも、隙間には多毛類や小型甲殻類等の餌料生物を効率的に蝟集させてその隙間を魚介類の稚魚の隠れ場所とすることで、人工魚礁において長期に亘って安定的に魚介類の培養・増殖できる良好な漁場を形成することができるだけでなく、従来は廃棄物扱いされていた海産物の有効利用を図ることもできる。 【0041】特に、隣接する海産物混入ブロックの少なくとも一方に湾曲面又は凹凸面を形成し、その面とそれに対向する他方の海産物混入ブロックの面との間に前記隙間を形成するようにすれば、餌料生物や稚魚を好適に棲息させられる有用な隙間を簡単に形成することが可能である。 【0042】その他、ブロック本体とそれを支持する脚部とから構成される海産物混入ブロックを複数積み重ねて、少なくとも下段側の海産物混入ブロックのブロック本体と上段側の海産物混入ブロックのブロック本体及びその脚部とによって形成される空間を前記隙間とした場合にも、好適な隙間を簡単に形成することができる。 【0043】また、人工魚礁に複数の海産物混入ブロックを同時に保持する保持手段を設けている場合には、海中で海産物混入ブロックがばらばらになってしまわないため長期に亘って安定した人工魚礁を構成することが可能である。 【0044】具体的に保持手段として、通水性を有し複数の海産物混入ブロックを収容可能な収容部を具備する籠や網等の収容器具を採用したり、各海産物混入ブロックに形成した貫通孔とそれらに同時に挿入可能な棒状又は紐状をなす挿入体とから保持手段を構成すれば、複数の海産物混入ブロックを簡単にひとまとめにすることができる。 【0045】また、人工魚礁が海底において安定設置可能な台座を具備するものとして、保持手段ごと海産物混入ブロックを台座に載置し又は取り付けるようにすれば、海底において人工魚礁をさらに安定設置することができる。 【0046】さらに、上述した本発明の方法により成型した海産物を含有するコンクリート製の海産物混入ブロックは、単独で人工魚礁を構成するものであってもよいのは勿論であって、その場合は海産物混入ブロック自体の一部に、餌料生物が棲息し得る隙間を形成すると、複数の海産物混入ブロックからなる上記の人工魚礁と同様の効果を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183266 【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月2日(2000.11.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085338 【弁理士】 【氏名又は名称】赤澤 一博 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−136242(P2002−136242A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月14日(2002.5.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−335859(P2000−335859) |
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