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【発明の名称】 竿体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】明上 誠治

【氏名】細谷 靖典

【要約】 【課題】レインボー発色を行えるものでありながら、軽量化を図ることのできる真空蒸着竿を提供する。

【解決手段】管状体の表面にしごき塗装方法によって塗装膜2を形成するとともに、塗装膜2の表面を平滑に表面仕上げを施し、その仕上げ塗装膜面2に真空蒸着法によって干渉薄膜Aを設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状プリプレグを芯材に巻回して焼成することにより筒状に形成された管状体の外面に塗装膜を形成すると共に、この塗装膜の外面に対し、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を、薄膜材料によって7000Å以下の厚さに形成してある竿体。
【請求項2】 シート状プリプレグを芯材に巻回して焼成することにより筒状に形成された管状体の外面に塗装膜を形成すると共に、この塗装膜の外面に対し、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を、薄膜材料の物理蒸着によって7000Å以下の厚さに形成してある竿体。
【請求項3】 塗装膜の外面を平滑面に形成してある請求項1又は2記載の竿体。
【請求項4】 塗装膜の外面を穏やかな起伏を呈する波状面に形成してある請求項1又は2記載の竿体。
【請求項5】 干渉薄膜を、その膜厚が不均一な状態に形成してある請求項3又は4記載の竿体。
【請求項6】 シート状プリプレグを芯材に巻回して焼成することにより筒状に形成された長尺状管状体の外面に塗装膜を形成すると共に、この塗装膜を形成した長尺状管状体とこの長尺状管状体に蒸着物質を供給する蒸発源とを、前記長尺状管状体の各部分と前記蒸発源との間隔が異なる状態となるように、相対向する状態で真空容器内に配置し、前記蒸発源における前記長尺状管状体の軸芯に沿った蒸発面長さを前記長尺状管状体の軸芯長より短く設定し、蒸発源から蒸発された蒸発物質を前記長尺状管状体の外面に付着させて、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を形成してある竿体。
【請求項7】 引き揃え強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたシート状プリプレグを芯材に巻回して形成した長尺状管状体の外面に塗装膜を形成し、この塗装膜を形成した長尺状管状体とこの長尺状管状体に蒸着物質を供給する蒸発源とを相対向する状態で真空容器内に配置し、前記蒸発源における前記長尺状管状体の軸芯に沿った蒸発面長さを前記長尺状管状体の軸芯長より短く設定し、抵抗加熱により蒸発源から蒸発された蒸着物質を前記長尺状管状体の外面に付着させて、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を形成してある竿体の製造方法。
【請求項8】 長尺状管状体が干渉薄膜を蒸着される前の状態で、その長尺状管状体の軸芯方向に沿って断面径を徐々に変化させるテーパ状に形成してある請求項6又は7記載の竿体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、釣り竿として組み合わせて使用される竿体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の釣り竿では表面に様々な色相の塗料で着色を行い、又、模様等を形成して外観を向上させると共に、表面の保護を行っており、この塗装に用いる塗料はウレタン樹脂、アクリル樹脂等の塗料のベースに顔料等の色素を混入して所望の色相に着色し、シゴキ塗装、スプレーガンを用いた吹き付け塗装等の手段で釣り竿の外面に塗布している。尚、シゴキ塗装は、ゴム等の可撓性素材に形成された開口部に塗料の供給を行い乍ら、開口内面に接触する状態(シゴキ状態)で竿体を挿通させることで竿体の表面に塗料の塗布を行う塗装方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、竿体に所望の色相の外観を得る塗装を行うことを想定するに、この塗装を行う際には適当な厚みで塗料の塗布を行っている。又、表面の特定の部位に所望の色相の模様等を形成するには、特定の部位にのみ塗料を重ねて塗布することも多い。
【0004】更に、釣り竿においては装飾性を高める目的から、特定の部位に多種の色相を混在させる(多色の着色を行う)塗装を必要とすることも多いが、このように多くの色相を得ようとすると、夫々の色相の塗装を適当な厚みで形成しなくてはならず、塗布の手間からも困難なものとなっている。
【0005】つまり、竿体の表面の特定の部位に着色する場合に、塗装前にマスクを配置する工程を必要とする等、作業工程が増して作業が複雑になるばかりで無く、塗膜に適当な厚みを必要とすることから、乾燥に時間を要し、又、このように塗料の塗布を行うものでは、多色の着色を行うものほど塗膜が厚くなって竿体の重量が増し、着色を行った部位が盛り上がった形状となって手触りも悪化するので改善が望まれている。
【0006】本発明の目的は、着色を目的とする膜による重量増加が僅少でありながら、表面の手触りも良好で、発色を良好に行ない得る竿体を合理的に構成する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1にかかる発明による特徴構成は、シート状プリプレグを芯材に巻回して焼成することにより筒状に形成された管状体の外面に塗装膜を形成すると共に、この塗装膜の外面に対し、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を、薄膜材料によって7000Å以下の厚さに形成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】〔作用〕上記特徴によると、干渉薄膜の膜厚を極めて小さく(膜厚は普通7000Å以下)できたので、干渉薄膜の表面に光線が射した場合には、干渉薄膜の表面で反射した光線、及び、干渉薄膜の塗装膜側の境界面で反射した光線夫々が干渉し合って、所定の波長の光線が消滅(消光)する結果、この消滅した波長の補色となる色相の反射光を得る(発色を呈する)ものとなる。
【0009】つまり、本発明では、干渉薄膜が極めて薄い膜に形成されるので、重量増大を殆ど伴わず、薄膜形成部に盛り上がりを感じないものとなり、この干渉薄膜に顔料等の色素を含ませなくとも、光線が入射する状況下で発色する。しかも、竿体の表面が粗面であっても、表面を研磨する如き困難な処理を行わずとも塗装膜の形成という簡便な処理で輝度の高い発色を得るものとなる。因みに、白色光線が干渉によって黄緑色光が消滅(消光)した場合には、黄緑色の補色、即ち紫色の反射光を得るものとなる。干渉薄膜の膜厚が7000Å以下の極薄いものであるから、干渉薄膜層を設けることによる重量増加は余りなく、竿の軽量化に寄与できる。
【0010】以上のような作用に加えて、干渉薄膜を竿体に施した作用がある。
[ 1] 置竿をして魚の当たりを待つ間に、穂先の部分が波の上下に呼応して上下方向に曲がり動作を繰り返して穂先竿が円弧状に曲がる場合や、竿を振って仕掛けを投げ入れる際に釣り竿全体が曲がりを生ずる場合や、魚を釣り上げる際に竿体が円弧状の曲がりを生ずる場合に、竿体の各部分において入射光線の角度が連続的に変化する。したがって、釣り人から見て膜厚が見掛け上連続的に変化することになるので、円弧状に曲がった穂先竿等の曲率に対応したレインボー発色状態が見られ、竿を振り下ろす途中等で曲率が変化するとその曲率の変化に合わせてレインボー発色状態が変化することになり、竿操作をする本人だけでなく、近隣の釣り人の目も引くものとなる。そして、レインボー状態が変化する点を着目することによって魚の当たりとして捉えることができ、当たりを捉えるのがより容易になり、釣果にもよい影響を与える。
[ 2] 竿体は筒状で外形は円形であるので、太陽光が一定の方向から射しても、竿体外面の円周方向に沿った部分毎に入射光線の角度が異なってくるので、干渉薄膜の膜厚は一定であっても、入射光線に沿った方向での有効膜厚は変化することになるので、円周方向に沿った状態でレインボー発色が見られることになり、視認性が向上する。特に、竿を側方から見ることになる近隣の釣り人の目を引き付けることになる。
[ 3] 置竿で釣りを行う場合に、視認性が高いところから、誤って、竿を踏みつけるといった、不測の事態を未然に回避できる。
【0011】〔発明の効果〕したがって、着色を目的とする膜による重量増加が僅少で済み、かつ、部分的な装飾を施しても盛り上がりがなく表面の手触りが良好で、元竿の握り部において長時間握り続けることが多く、又、中間竿等にも握り操作することもあるだけに、竿の軽量化と手触りの向上は釣り操作を軽快で楽なものにする。しかも、顔料等の色素を含まずとも着色した外観となり、竿体の表面処理に過剰な手間を掛けずとも高い輝度の発色を得て良好に視認できる竿体が合理的に構成されたのである。特に、竿が曲りを生ずる場合にレインボー発色状態が現出するので、竿を持つ本人だけでなく近くの釣り人の目も引き付けるものとなり、魅力のある商品となる。
【0012】〔構成〕請求項2にかかる発明による特徴構成は、シート状プリプレグを芯材に巻回して焼成することにより筒状に形成された管状体の外面に塗装膜を形成すると共に、この塗装膜の外面に対し、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を、薄膜材料の物理蒸着によって7000Å以下の厚さに形成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0013】〔作用効果〕上記特徴によると、干渉薄膜を形成するのに、物理蒸着法を採用しているので、製品としての竿に、製造ロッド毎の差異がなく、製品の均質化が図れるとともに、塗装膜を多層化する必要がないので、一行程で所望の装飾状態を得ることができるとともに大幅な竿の軽量化が図れ、特に、長く伸ばして(ズーム状態に引き伸ばして)使用するために軽量化の要請が高い鮎竿等を持ち重りのしない竿とできる。
【0014】〔構成〕請求項3に係る発明による特徴構成は、請求項1又は2に係る発明による構成において、前記塗装膜の外面を平滑面に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】〔作用効果〕管状体に形成した塗装膜の外面に干渉薄膜を形成するので、管状体の表面が粗面であっても塗装膜によって平滑化した面を前記境界面とした反射光線を得るものとなり、乱反射を抑制して輝度の高い発色となる。したがって、薄い膜厚ではあるが、何層にも塗料を塗布する状態と同じ発色の効果を得ることができ、竿の軽量化に寄与できる。
【0016】〔構成〕請求項4に係る発明による特徴構成は、請求項1又は2に係る発明による構成において、塗装膜の外面を穏やかな起伏を呈する波状面に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0017】〔作用効果〕このように塗装面を穏やかな起伏を呈する波状面に形成することによって、6又は図7に示すように、干渉薄膜の表面が波の形状に沿った向きとなるために、その面が左右前後上下斜めに向かうものとなり、レインボー発色状態を呈するとともに、見る方向を変えると竿体の発色が微妙に変化するものとなる。
【0018】〔構成〕請求項5に係る発明による特徴構成は、請求項3又は4に係る発明による構成において、前記干渉薄膜を、その膜厚が不均一な状態に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0019】〔作用効果〕図6又は図7のように、干渉薄膜の膜厚が異なっている部位に入射した光線は、夫々の部位において吸収される波長が異なることから発色が異なる為に、多種の顔料を用いずとも多色発色が可能となり、塗装膜を多層化することなく、単一の行程で均質な干渉薄膜が得られる。
【0020】〔構成〕請求項6に係る発明による特徴構成は、シート状プリプレグを芯材に巻回して焼成することにより筒状に形成された長尺状管状体の外面に塗装膜を形成すると共に、この塗装膜を形成した長尺状管状体とこの長尺状管状体に蒸着物質を供給する蒸発源とを、前記長尺状管状体の各部分と前記蒸発源との間隔が異なる状態となるように、相対向する状態で真空容器内に配置し、前記蒸発源における前記長尺状管状体の軸芯に沿った蒸発面長さを前記長尺状管状体の軸芯長より短く設定し、蒸発源から蒸発された蒸発物質を前記長尺状管状体の外面に付着させて、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0021】〔作用効果〕このような製造方法を経て形成された竿体は、請求項1〜5に係る発明によって発揮された作用効果を発揮するとともに、上記のような製造方法の採用による作用効果も発揮するものである。つまり、真空容器内に設置した蒸発源における前記長尺状管状体の軸芯にそった蒸発面長さを前記長尺状管状体の軸芯長より短く設定しているので、蒸発源と長尺状管状体とを真空容器内において、前記長尺状管状体の各部分と前記蒸発源との間隔が異なる状態となるように、相対向する状態で配置すると、蒸発源に近い管状体の部分は蒸着する干渉薄膜の膜厚が厚いものとなり、蒸発源より遠い管状体の部分程蒸着する干渉薄膜の膜厚が薄くなる傾向にある。したがって、長尺状管状体と蒸発源との長さ関係を設定するだけで、干渉薄膜の膜厚が竿体の軸芯方向で異なり、かつ、連続的に変化するので、レインボー発色が顕著に表れる。仕掛けを投げ入れる等の場合に竿体が円弧状に曲がりを生ずると、各竿部分のレインボー発色状態が変化することは、先に述べた通りである。そして、管状体の部分毎に膜厚を異なる製造を行なうについて、何らの工夫を必要とするわけではなく、長尺状管状体と蒸発源とを真空容器内で対向する状態に配置するだけでよく、蒸発源より遠い位置では蒸着物質の密度が薄くなり、蒸発源に近い位置では蒸着物質の密度が濃いという、真空蒸着の特性を生かした製造方法を活用するだけで、従来の竿体には見られない装飾性の高い竿を提供することができたのである。
【0022】〔構成〕請求項7に係る発明による特徴構成は、引き揃え強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたシート状プリプレグを芯材に巻回して形成した長尺状管状体の外面に塗装膜を形成し、この塗装膜を形成した長尺状管状体とこの長尺状管状体に蒸着物質を供給する蒸発源とを相対向する状態で真空容器内に配置し、前記蒸発源における前記長尺状管状体の軸芯に沿った蒸発面長さを前記長尺状管状体の軸芯長より短く設定し、抵抗加熱により蒸発源から蒸発された蒸着物質を前記長尺状管状体の外面に付着させて、その表面で反射した光線と、塗装膜側の境界面で反射した光線とを干渉させる干渉薄膜を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0023】〔作用効果〕従来は、竿のような長尺のものでかつ筒状を呈するものについては、真空蒸着法の適用は考えられていなかった。したがって、多様な発色状態を呈する竿の表面装飾を得るには、前記したように、何層にも亘って塗料を塗布する方法しかなかった。しかし、このような重ね塗りを行うものでは、塗料層が厚いものとなるところから、竿自体の重量が重いものとなり、昨今のように長尺化する鮎竿等で持ち重りのするものとなり、改善が望まれていた。このような点を考慮して本願発明は竿体の真空蒸着を用いた表面装飾に着手したものであり、干渉薄膜として屈折率の適切なものを選定することによって、極薄い膜厚のものであれば顕著な干渉効果による発色を確認することができた。そして、干渉薄膜を施す対象が筒状の長尺部材であるところから、極薄い膜厚でありながら、請求項6に係る発明についての作用効果でも述べたように、竿体の軸芯方向に異なる膜厚のものでかつ連続的にその膜厚が変化するものにできるとする長尺物ならではの特有の装飾を得ることができたのである。
【0024】〔構成〕請求項8に係る発明による特徴構成は、請求項6又は7に係る発明の特徴構成において、長尺状管状体が干渉薄膜を蒸着される前の状態で、その長尺状管状体の軸芯方向に沿って断面径を徐々に変化させるテーパ状に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0025】〔作用効果〕管状体の外面がテーパ状を呈するのは、これら管状体の複数本を継いで振り出し竿等に使用するものであるところから、それら管状体に表面装飾を施した場合であっても、装飾した外面がテーパ状を維持していることが必要である。このような点について考慮すると、真空蒸着法の適用は極薄い膜厚の装飾が可能であるので、テーパ状態を維持することができ、製作上の手間等が少なくできるのである。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1(イ)、(ロ)には釣り竿に用いる管状体1を表しており、(イ)に示す管状体1は表面の全面に干渉薄膜Aを形成し、(ロ)に示す管状体1は部分的に干渉薄膜Aを形成し、夫々とも干渉薄膜Aの部位に多色の発色を得るよう構成されている。
【0027】つまり、管状体1は、炭素繊維、ガラス繊維等の高強度繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂を含浸させたシート状のプリプレグを芯材に巻回して焼成することにより、筒状に成形されており(製造工程は図示せず)、この管状体1の外面に対しシゴキ塗装、スプレー塗装等の手段により単層、若しくは、多層の塗装膜2を形成し、更に、塗装膜2の外面Sを滑らかに仕上げている。尚、この塗装膜2は、従来からの塗装技術と同様の技術が用いられると共に、クリヤ塗装等により外面Sを滑らかに仕上げており、更に、この塗装膜2は黒色等、この塗装膜2で強く光線を反射しない色系にして、前記干渉薄膜Aの発色を容易に認めるようにしている。
【0028】前述のように、管状体1の全面に干渉薄膜Aを塗布で形成する場合には、図3に示す如く、容器3に液状の薄膜材料Aを満たし、この容器の薄膜材料Aが供給される部位のゴム材4の開口の内面に接触させる状態で管状体1を長手方向に移動させて管状体1の外面に塗布を行う、所謂、シゴキ塗装を採用しており、又、部分的に塗布を行う場合には、図4に示す如く、タンポ5等に液状の薄膜材料を含ませて人為的に塗布するタンポ塗りの手段を採用しており、この塗布後に夫々とも乾燥させて干渉薄膜Aを得る。
【0029】干渉薄膜A(乾燥後の薄膜材料)の屈折率は1.60〜1.80程度となり、又、シゴキ塗装の場合には平均して4000Å程度の膜厚となり、タンポ塗りの場合には平均して7000Å程度の膜厚となり、乾燥後には干渉薄膜Aの膜厚dが図2に示す如く、波状に増減する不均一な状態となる。
【0030】この薄膜材料は、アクリル系の樹脂成分1.7%と、溶剤としてのトルエン38.8%と、溶剤としての酢酸38.8%と、チタン系添加剤20.7%とで成り、塗布後にはトルエンと酢酸が揮発してアクリル系の樹脂成分とチタン系の添加剤とで薄膜を形成し、このチタン系の添加剤が干渉薄膜の屈折率を調節するものとなっている。
【0031】尚、従来からクリヤ塗装に用いられている塗料では透明の樹脂成分が40%程度で、溶剤が60%程度であり、この成分と比較して本発明の薄膜材料は、溶剤に対する樹脂成分の比率を大きく低下させて塗布時に薄膜化しやすくすると共に、チタン系添加剤を含ませることにより屈折率の調節を行い干渉を発生させやすくしている。
【0032】又、光線の干渉は物理の公式、nd=(2m+1)λ/4で表され、(n:薄膜の屈折率、d:薄膜の膜厚、m:整数、λ:光線の波長)
この式を満たす波長の光線が消滅(消光)する。尚、この公式では光線の波長の1/4の膜厚、若しくは、光線の波長の1/4の膜厚に波長の1/2の整数倍の膜厚を付加した膜厚でも干渉を生ずるものであり(この条件を満たすものでも、10μm以上の膜厚では干渉不良になる)、白色光線が干渉により黄緑色光が消滅(消光)した場合には、黄緑色の補色、即ち紫色の反射光を得るものとなる。
【0033】又、前述のように部材同士を物理的に接触させて干渉薄膜Aの塗布を行うものでは、前述した公式にあてはめて可視光線域の殆どの光線の波長を消滅させる程度の膜厚の増減が確認されている。
【0034】このように干渉薄膜Aを形成したものでは図2に示す如く、干渉薄膜Aの表面で反射された光線R1と、干渉薄膜Aの管状体側の境界面(塗装膜2の外面Sの部位)で反射された光線R2とが干渉する結果、その部位の膜厚d、干渉薄膜Aの屈折率に対応して特定の波長が消滅して発色すると共に、前述のように干渉薄膜Aの膜厚dが同図に示す如く、波状に変化する如く不均一になっているので、この干渉薄膜Aにおいて可視域における殆どの色相の発色が得られ、管状体1の全面に干渉薄膜Aを形成したものでは管状体全面で、又、管状体1の外面に部分的に干渉薄膜Aを形成したものでは、その部分において虹色の外観となり、極めて良好な装飾性を具備するものとなる。
【0035】〔別実施例〕本発明は上記実施例以外に、以下のように構成しても良い。
(イ) 図5に示すように、管状体1を真空容器6に収め、抵抗加熱等の手段により蒸発源7から蒸着物質(薄膜材料)を蒸発させて管状体1の表面に蒸着する、所謂、真空蒸着の手段を用いて管状体1の表面に干渉薄膜Aを形成する。又、この蒸着時には、真空容器6の内部にモニター板等を配置し容器外から膜厚を計測しながら、所望の膜厚を得るよう制御して良く、蒸発源7と管状体1との間に網状等の遮蔽体8を配置して膜厚を不均一に形成するよう実施することも可能である。
【0036】尚、所望の膜厚を得るために単色測光法、二波長測光法、波長走査法等の手段を用いて高い精度での膜厚を得るようにすることも可能である。又、この蒸着物質は弗化マグネシウム(MgF2 )、酸化チタン(TiO2 )等、光学ガラスのコーティングに用いる酸化物以外に、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属を用いても良い。
【0037】(ロ) 図6に示すように、管状体1の表面に対し、その外面が平滑で無い塗装膜2(表面が緩やかに波立つ形状の塗装膜2)を形成すると共に、この塗装膜2の外面Sに対して、その表面が平滑となる干渉薄膜Aを形成する。このように干渉薄膜Aを形成することにより、干渉薄膜Aの膜厚が不均一になり虹色の発色を得るものとなる。
【0038】(ハ) 図7に示すように、管状体1の表面に対し、その外面が平滑で無い塗装膜2(表面が緩やかに波立つ形状の塗装膜2)を形成すると共に、この塗装膜2の外面Sに対して、その表面が更に平滑で無い外面(波立つ外面)となる干渉薄膜Aを形成する。このように干渉薄膜Aを形成することにより、干渉薄膜Aの膜厚が不均一になり局所においても虹色の発色を得るものとなる。
【0039】(ニ) 図8に示すように、管状体1の表面に対し、その外面が平滑で無い塗装膜2(表面が緩やかに波立つ形状の塗装膜2)を形成すると共に、この塗装膜2の外面Sに対して、略一定の膜厚となる干渉薄膜Aを形成する。このように干渉薄膜Aを形成することにより、管状体1の表面の発色が全体として定まった色相となるものであり乍ら、この管状体1を見る方向によって発色が微妙に変化するものとなる。
【0040】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成5年7月26日(1993.7.26)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2002−10727(P2002−10727A)
【公開日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願番号】 特願2001−158802(P2001−158802)