| 【発明の名称】 |
トランスジェニック植物における雄性不稔のための可逆的核遺伝システム |
| 【発明者】 |
【氏名】シグナン アンドリュー エム.
【氏名】アルバートソン マーク シー.
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| 【要約】 |
【課題】遺伝私的な方法の利用によって植物における発生を変更する方法の提供【解決手段】 植物の発生は、調節性要素ならびに花粉の形成および機能を抑制する様式で作用することができるDNA配列を含む遺伝的構築物を用いて植物に形質転換を施し、それにより、形質転換された植物を可逆的に雄性不稔にすることによって変更することができる。特に本発明は、ドミナントネガティブ遺伝子および葯特異的なプロモーターの利用に関する。雄性不稔は、植物の中にドミナントネガティブ遺伝子を抑制する第2の遺伝的構築物を組み込むことによって消失させられる。また、本発明は、植物における葯特異的なプロモーターとしての役割を果たす能力を発揮する新規なDNA配列にも関する。
【解決手段】植物の発生は、調節性要素ならびに花粉の形成および機能を抑制する様式で作用することができるDNA配列を含む遺伝的構築物を用いて植物に形質転換を施し、それにより、形質転換された植物を可逆的に雄性不稔にすることによって変更することができる。特に本発明は、ドミナントネガティブ遺伝子および葯特異的なプロモーターの利用に関する。雄性不稔は、植物の中にドミナントネガティブ遺伝子を抑制する第2の遺伝的構築物を組み込むことによって消失させられる。また、本発明は、植物における葯特異的なプロモーターとしての役割を果たす能力を発揮する新規なDNA配列にも関する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】雄性不稔植物の作出方法であって、(i)花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、および(ii)花粉の形成または機能に不可欠な細胞に特異的で、該DNA配列に機能的に連結しているプロモーターを含む組換えDNA分子を含む形質転換植物を作出する工程、ならびに、該DNA配列が発現されると雄性不稔が達成される条件下で植物を育成する工程を含む方法。 【請求項2】遺伝子産物が外因性DNAメチラーゼである、請求項1記載の方法。 【請求項3】遺伝子産物がサイトトキシンである、請求項1記載の方法。 【請求項4】プロモーターが葯特異的なプロモーターである、請求項1記載の方法。 【請求項5】外因性メチラーゼ遺伝子がDAMメチラーゼ遺伝子である、請求項1記載の方法。 【請求項6】プロモーターが葯特異的なプロモーターである、請求項5記載の方法。 【請求項7】請求項1記載の方法により作出される植物。 【請求項8】lexAとC1の融合タンパク質をコードする遺伝子を含む組換えDNA構築物。 【請求項9】組換えDNA構築物であって、(a) 植物において発現すると花粉の形成または機能を阻害するドミナントネガティブな遺伝子に機能的に連結している組織特異的プロモーターの中に組み込まれたlexA DNA結合部位、および(b)誘導型プロモーターに機能的に連結しているDNA配列によってコードされているlexAリプレッサーを含む組換えDNA 構築物。 【請求項10】組織特異的プロモーターが葯特異的プロモーターである、請求項9記載の組換えDNA 構築物。 【請求項11】葯特異的プロモーターが、5126プロモーター、または、その変種、変異配列、もしくは派生配列である、請求項9記載の組換えDNA 構築物。 【請求項12】ドミナントネガティブな遺伝子が、サイトトキシン、ジフテリアトキシンAフラグメント、細胞分裂周期変異遺伝子、またはメチラーゼをコードする遺伝子より選択される、請求項9記載の組換えDNA 構築物。 【請求項13】細胞分裂周期変異遺伝子が、トウモロコシに由来するCC遺伝子、ならびに、WT遺伝子およびP68からなる群より選択される、請求項12記載の組換えDNA 構築物。 【請求項14】メチラーゼがDAMメチラーゼである、請求項12記載の組換えDNA構築物。 【請求項15】誘導型プロモーターが、化学的な除草剤毒性緩和剤(chemicalherbicidal safner)によって誘導可能である、請求項9記載の 組換えDNA構築物。 【請求項16】組織特異的プロモーターが葯特異的プロモーターであり、遺伝子産物がDAM、メチラーゼであり、また、誘導型プロモーターが化学的な除草剤毒性緩和剤によって誘導可能である、請求項9記載の組換えDNA 構築物。 【請求項17】植物において可逆的な雄性不稔性を作出する方法であって、(a)(i)植物において発現すると花粉の形成または機能を阻害する遺伝子産物をコードする第一のDNA配列に機能的に連結している組織特異的プロモーターの中に組み込まれたlexA DNA結合部位、および(ii)lexAリプレッサーをコードし、誘導型プロモーターに機能的に連結している第二のDNA配列を含む組換えDNA 分子を含む植物体を提供する工程、および(b)該植物体を誘導物質に曝して、組換えDNA分子の雄性不稔性を無効にする工程を含む方法。 【請求項18】組織特異的プロモーターが葯特異的プロモーターである、請求項17記載の方法。 【請求項19】ドミナントネガティブな遺伝子が、サイトトキシン、ジフテリアトキシンAフラグメント、細胞分裂周期変異遺伝子、またはメチラーゼをコードする遺伝子より選択される、請求項17記載の方法。 【請求項20】誘導物質が化学的な除草剤毒性緩和剤である、請求項17記載の方法。 【請求項21】組織特異的プロモーターが葯特異的プロモーターであり、遺伝子産物がDAM、メチラーゼであり、また、化学的誘導物質が化学的誘導物質である、請求項17記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】発明の背景本発明により、カスケード的に作用して植物の表現型に可逆的な効果を及ぼすことができる調節因子および構造遺伝子を含む遺伝的構築物によって植物に形質転換を施すことにより、植物の発生を変更させることができる。これに適した構築物には、組織特異的プロモーター、ドミナントネガティブ遺伝子、および一つのDNA結合タンパク質と結合した転写アクチベーターをコードするヌクレオチド配列が含まれる。特に、本発明は、ドミナントネガティブ遺伝子としてのDAMメチラーゼ遺伝子、および可逆的に雄性不稔であるトランスジェニック植物を産生するための葯特異的プロモーターの使用に関する。 【0002】雄性不稔の植物を産生するための可逆的遺伝システムに対して需要があり、特に自殖性植物に対して需要がある。市場販売のための雑種種子の産生は、大規模かつ重要な産業である。雑種種子から成長した雑種植物は、2つの遺伝的に異なる育成系統の交配による雑種強勢効果の利益を受ける。雑種子孫の商業的に望ましい農学的な達成とは、典型的には生長力、収量、および均一性において、双方の親よりも優れていることである。放任受粉した品種と比べて雑種種子の品種の方がより良い達成が得られるため、農業家が栽培するためには雑種種子の方がより魅力的であり、したがって市場においても高値が付けられる。 【0003】自己種子の混入のない雑種種子を産生するためには、他家受粉を確実に行わせ、自家受粉から防御するために、受粉制御の方法を実施しなければならない。受粉制御の機序には、機械的、化学的、および遺伝的な手段が含まれる。 【0004】雑種種子を産生する機械的な手段は、関心のある植物の雄花と雌花とが空間的に離れている、または雄性植物と雌性植物とが別々である場合に用いることができる。例えば、トウモロコシ植物は、植物体の茎頂にある花部に花粉を産生する雄花があり、茎に沿った葉の葉腋において雌花を付ける。トウモロコシの外部交配は、自家受精を予防するために雌性親の房を機械的に取り除くことによって確実になる。トウモロコシなどの植物の雑種種子の産生には房の除去が現在は行われているが、この過程は、実際に房の除去に要する費用および雌性親の房を除去する結果としての収量の減少の両方の面で、大きな労働力および経費を要する。 【0005】しかし、目的の主要な農作植物の大部分は、同じ花の内部に機能的な雄性器官および雌性器官の両方を有しており、したがって、除雄は簡単な手続きではない。花粉が放出される前に花粉形成性の器官を徒手的に除去することは可能ではあるが、この形式の雑種産生は極めて多くの労働力および費用を要する。この方式において種子は、回収される種子の価値および量が労力に見合うことが補償される場合のみに産生される。 【0006】雑種種子を産生する第2の一般的手段は、化学物質を用いることにより、生育中の花粉形成を抑制または阻害することである。花粉発育破壊剤と呼ばれるこれらの化学物質は、一時的に雄性不稔を引き起こすために用いられる。花粉発育破壊剤の使用による雑種種子の商業的産生は、その化学物質の価格および有用性、ならびに適用の信頼性および作用の長さによって制限される。花粉発育破壊剤の深刻な限界はそれが光毒性作用を持つことであり、その程度は遺伝子型に依存する。その他の限界には、これらの化学物質が、開花期間が長い農作物に対しては、新たに産生された花には影響を及ぼさない可能性があるため、有効でない可能性があることが含まれる。その結果として、化学物質の反復適用が必要になる。 【0007】野外農作物に関する現在の商業的な雑種種子産生システムの多くは、受粉管理の遺伝的な手段に依存している。花粉の形成ができない、花粉の放出ができない、または自己受精を生化学的に行うことができない花粉を産生する植物が、雌として用いられる。自己受精を行うことができない植物は、「自家不和合」(SI)であると呼ばれる。自家不和合性システムの使用に伴う困難には、自己不和合性の雌性系統の有用性および繁殖、ならびに自己不和合性の安定性が含まれる。場合によっては、自己不和合性は化学的に克服することができ、また、花粉を阻害する生化学的な機序が活性化される前に未成熟のつぼみに徒手的に授粉することもできる。不活性化することができる自己不和合性システムは、自家受粉の生化学的な阻害の有効性を遮断したり、または減少させたりするストレスの強い気候条件に対してしばしば非常に脆弱である。 【0008】商業的な種子産生のためにより広範な関心をひくものは、雄性不稔を引き起こす、花粉制御に基づく遺伝的機序のシステムである。これらのシステムには、2種類の一般的なタイプがある。(a)遺伝子雄性不稔。これは一つまたはそれ以上の核遺伝子に起因する花粉形成の不全である。(b)細胞質遺伝的雄性不稔。通常、「細胞質雄性不稔」(CMS)と呼ばれる。この場合には、細胞質内オルガネラ、一般的にはミトコンドリアにおける変化によって、花粉形成が阻害または発育不全を受ける。 【0009】CMSの使用を含む交雑計画は作られているが、その商業的な価値には限界がある。CMSシステムの一例は、適切な核のバックグランドにおいて、細胞質内に位置するミトコンドリアで成熟花粉形成の不全を引き起こすことができる特異的な変異である。場合によっては、核のバックグランドが細胞質の変異を補うことができ、正常な花粉形成が起こることがある。特異的な核の「回復遺伝子」は、CMSミトコンドリアを持つ植物の花粉形成を可能にする。一般的に、商業的種子産生のためのCMSの利用には、3種類の育成系統、すなわち、雄性不稔系統(雌性親)、雄性不稔系統と遺伝子同型であるが完全に機能的なミトコンドリアを含む維持系統(maitainer line)、および雄性親系統の使用が含まれる。雄性親系統は、特異的な回復遺伝子を運んでいる可能性があり、このため通常は「回復系統」と呼ばれ、雑種種子に対して受精能を与える。 【0010】雑種からの種子の回復が重要でない植物性農作物などの農作物については、回復を行わずにCMSシステムを用いることができる。雑種の果実または種子が商業的産物である農作物については、雑種種子の受精能を雄性親における特異的な回復遺伝子によって回復させるか、または雄性不稔の雑種に授粉しなければならない。非回復性の雑種の受粉は、受粉を果たすために、雑種に少ない割合の雄性捻性の植物を含ませることによって達成することができる。大部分の種においては、すべての細胞質内オルガネラは卵細胞のみから遺伝するため、CMSの特性は母系遺伝し、このことによってこのシステムの利用は限定される。 【0011】CMSシステムには、これを雄性不稔の植物の産生のための唯一の解決策とすることを妨げる限界がある。例えば、トウモロコシにおける一つの特定のCMSの種類(T-細胞質)は、ある特定の菌類の感染によって産生される毒素に対する感受性を付与する。現在も多数の農作物に用いられてはいるが、CMSシステムは特定の環境条件において崩壊する可能性がある。 【0012】核の(遺伝子の)不稔は、優性であることも劣性であることもある。優性不稔は、雌性系統の繁殖が可能である場合の雑種種子の形成のためのみに用いることができる(例えば、インビトロにおけるクローン性繁殖による場合)。劣性不稔は、捻性および不稔性の植物を容易に区別することができる場合に用いることができる。しかし、遺伝子不稔システムの商業的有用性は、クローン性繁殖および自己繁殖性の植物の雌性列の間引きに要する費用によって限定される。 【0013】植物の発生を変更しうる遺伝子の発見は、房の除去、CMS、およびSIを含むその他の今日の使用可能な方法には欠点があるため、雄性不稔を誘導する遺伝的な方法を開発するために特に有用であると考えられる。 【0014】遺伝的な方法の利用によって植物における発生を変更する方法の探索により、本発明のメチラーゼ遺伝子に到達した。特異的な遺伝子またはプロモーターのDNAのメチル化パターンの変化は、遺伝子発現の変化の原因となる。DNAのメチル化は、植物および動物の両方の発生過程における遺伝子の調節に関与する因子である。 【0015】メチル化のパターンは、メチル感受性のCpG含有プロモーター(遺伝子)の利用などの方法によって確定される。一般的に、高い活性で転写される配列はメチル化されている。動物においては、メチル化の部位はCpGの部位(残基)で修飾されている。アデニン(a)およびシトシン(c)(DNA内に存在するヌクレオチド)のメチル化の遺伝的制御は、細菌および哺乳類の種においては、遺伝子による影響を受ける。しかし、植物においては、メチル基の部分は配列CXGに存在する。ここでXはA、C、またはTであることができ、Cはメチル化残基である。その他の系においては特にGATCの部位におけるメチル化が知られているが、Aのメチル化による不活性化は植物においては知られていない。 【0016】トランスジェニック植物において希望する目的を達成するために、組織に特異的な、またはその他のメチル化が誘導される可能性については、当分野では何ら示唆は得られていないが、当業者には、プロモーターのメチル化が遺伝子の活性化を引き起こし、トランスジェニック生物体の表現型を変えることができることが知られていた。 【0017】例えば雄性不稔を引き起こすなど、植物の発生を制御するために、標的志向的なメチル化をその手段と想定することは、例えば、GATCを標的とする大腸菌DNAのアデニンメチラーゼ(DAM)のようなメチラーゼ遺伝子といった、遍在する標的に対する普遍的な不活性化作用を持つ遺伝子の発現を、それがなければ植物に有害な影響を及ぼす特異的な発生の段階を制御するための手段として用いることに伴う困難が障害となるであろう。DAMの標的は多くのプロモーターに存在しており、したがって、細胞の生存能のために不可欠なプロモーターおよび/または遺伝子を不活性化することからの、植物の生存能の維持という問題が推測される。外来ベクターにより宿主系に導入されるメチル化を「区分化」するための方法がなければ、遺伝的な手段によって雄性不稔を産生するための手法としてのメチル化の成功を期待することはできないであろう。 【0018】本発明は、植物発生における変化を引き起こすDAMのような遺伝子の区分化および該遺伝子の操作のための方法および組成物を提供する。 【0019】発明の概要本発明は、そのDNA分子が組み替えDNA構築物の一部である場合に、葯組織において一つのDNA配列の発現を調節することができるヌクレオチド配列を含む、単離DNA分子に関する。 【0020】この単離された分子は、DP5055のSca-NcoI断片のヌクレオチド配列、図1の第1488ヌクレオチドに位置する開始コドンから相対的に上流に少なくとも503塩基対の長さで伸びたヌクレオチド配列、図1の第1488位のヌクレオチドに位置する開始コドンから相対的に上流に第-503位から第-1位まで伸びたヌクレオチド配列、図1の第1488位のヌクレオチドに位置する開始コドンから相対的に上流に第-587位から第-1位まで伸びたヌクレオチド配列、図1の第1488位のヌクレオチドに位置する開始コドンから相対的に上流に第-890位から第-1位まで伸びたヌクレオチド配列、または図1の第1488位のヌクレオチドに位置する開始コドンから相対的に上流に第-503位から第-134位まで伸びたヌクレオチド配列を含むことができる。 【0021】本発明はさらに、発現した場合に花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、DNA配列の発現を制御することができるオペレーター、オペレーターと結合することができ、該ドミナントネガティブ遺伝子の転写を活性化することができるDNA結合タンパク質をコードする遺伝子、およびDNA配列と機能的に連結することができる組織特異的なプロモーター、を含む組換えDNA構築物に関する。 【0022】本発明の組換えDNA構築物は、植物において発現した場合に花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、該DNA配列の発現を制御することができるオペレーター、および遺伝子産物をコードする該DNA配列と結合し、花粉形成または機能に不可欠である細胞に対して特異的なプロモーターを含むこともできる。さらに他の態様において、この組換えDNA構築物はさらに、選択マーカー遺伝子、DNA結合領域をコードするDNA配列、または活性化ドメインをコードするDNA配列を含むことができる。 【0023】一つの態様において、本発明の組換えDNA構築物のDNA配列によってコードされる遺伝子産物は細胞毒であることができる。他の態様において、プロモーターは葯特異的なプロモーターであることができ、構築物は構築物DP5814、DP6509、PHP8036、PHP8037、またはPHP6520を含むことができる。さらに他の態様において、オペレーターはlexAオペレーターであることができる。さらに他の態様において、組換えDNA構築物はさらに選択マーカー遺伝子を含むことができる。 【0024】本発明の他の態様において、この組換えDNA構築物は、上記に定義した組換えDNA構築物のオペレーターと結合することができるDNA結合タンパク質をコードするDNA配列、および該DNA配列の発現を制御するプロモーターを含む。この組換えDNA構築物は、さらに選択的マーカー遺伝子を含むことができる。一つの態様において、この組換えDNA構築物のDNA結合タンパク質はlexAタンパク質であることができる。他の態様において、プロモーターは花粉の形成または機能に不可欠である細胞に特異的であることができる。さらに他の態様において、このプロモーターは、以前に定義した、単離DNA分子を含む葯特異的なプロモーターであることができる。このさらに他の態様において、この構築物のプロモーターは誘導性のプロモーターまたは構成的プロモーターであることができ、構成的プロモーターとしてはトウモロコシ・ユビキチンプロモーターを用いることができる。組換えDNA構築物は、PHP6522またはPHP6555であることができる。 【0025】本発明が関するそのほかの面は、上記に定義した、単離DNA分子を含む発現ベクターである。この発現ベクターはさらに、そのDNA配列がプロモーターと機能的に連結した、遺伝子産物をコードするDNA配列を含むことができる。一つの態様において、発現ベクターの遺伝子産物は、花粉の機能または形成に障害を及ぼす。さらに他の態様において、発現ベクターのDNA配列は、プロモーターに関して非相同的である。また、本発明は、発現ベクターを含むトランスジェニック植物にも関する。 【0026】本発明の他の態様には、遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を調節する能力を発揮するプロモーター5126fのヌクレオチド配列を含む、葯特異的なプロモーターが含まれる。本発明の一つの態様において、この遺伝子産物は花粉の機能または形成に関与する。他の態様において、遺伝子産物はサイトキシンを含む。 【0027】本発明のさらに他の態様は、植物において可逆的な雄性不稔を産生するための方法に関する。この方法には以下の段階が含まれる。(a)第1の植物に対して、植物に雄性不稔を発現させるような組換えDNA構築物による形質転換を施す。この際、構築物は(i)花粉の機能または形成を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を制御し、このDNA配列と機能的に連結した組織特異的なプロモーターに埋め込まれているlexAオペレーター、および(ii)lexAリプレッサーをコードし、誘導性のプロモーターと機能的に連結したDNA配列、を含む。(b)構築物の雄性不稔性の効果を打ち消すために、この植物を誘導物質にさらす。他の態様において、この組織特異的なプロモーターは、葯特異的なプロモーターであることができる。本発明の他の態様において、葯特異的プロモーターには、遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を制御できるプロモーター5126のヌクレオチド配列が含まれる。さらに他の態様において、遺伝子産物はドミナントネガティブ遺伝子であることができ、それはDAMメチラーゼであってもよい。 【0028】また、本発明は雄性不稔の植物、ならびに雄性不稔の植物を産生するための以下の段階を含む方法に関する。(a)遺伝的な形質転換が可能な花粉産生性の植物のゲノムに対する、(i)植物において発現した場合に花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、(ii)そのDNA配列の発現を制御するオペレーター、および(iii)花粉の形成または機能に不可欠である細胞に特異的であり、遺伝子産物をコードするDNA配列と機能的に連結したプロモーター、を含む組換えDNA分子の導入。(b)DNA配列の発現の結果として雄性不稔が達成されるような条件下における花粉産生性の植物の育成。本発明のこの面の他の態様において、この遺伝子産物はサイトトキシンであることができる。さらに他の態様において、本発明のプロモーターは葯特異的なプロモーターであることができる。さらに他の態様において、この葯特異的なプロモーターは、遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を調節する能力を発揮するプロモーター5126のヌクレオチド配列を含むことができる。またさらに他の態様において、オペレーターはlexAオペレーターであることができる。雄性不稔の植物を産生する方法にはさらに、選択マーカー遺伝子を含めることができる。 【0029】本発明はさらに、雑種種子、ならびに雄性不稔の植物から雑種種子を産生するための以下の段階を含む方法に関する。(a)遺伝的な形質転換が可能な花粉産生性の植物のゲノムに対する、(i)植物において発現した場合に花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、(ii)そのDNA配列の発現を制御するオペレーター、および(iii)花粉の形成または機能に不可欠である細胞に特異的であり、遺伝子産物をコードするDNA配列と機能的に連結したプロモーター、を含む組換えDNA分子の導入。(b)DNA配列の発現の結果として雄性不稔が達成されるような条件下における花粉産生性の該植物の育成。(c)雄性不稔の系統に由来する花粉による雄性不稔の植物の交雑。花粉は、そのゲノムの内部に、DNA結合タンパク質をコードするDNA配列、およびそのDNA配列の発現を制御するプロモーターを含む組換えDNA分子が組み込まれており、このタンパク質は雄性不稔の植物の組換えDNAのオペレーターと結合することができる。(d)受精能を回復した雑種種子の収穫。本発明のこの面の他の態様において、この遺伝子産物はサイトトキシンであることができる。他の態様において、プロモーターは葯特異的なプロモーターであってもよい。本発明の他の態様において、この葯特異的なプロモーターは、遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を調節する能力を発揮するプロモーター5126のヌクレオチド配列を含むことができる。またさらに他の態様において、オペレーターはlexAオペレーターであることができる。雄性不稔の植物を産生する方法にはさらに、選択マーカー遺伝子を含めることができる。 【0030】また、本発明の一つの面は、以下の段階を含む植物における可逆的な雄性不稔の産生方法である。(a)遺伝的な形質転換が可能な花粉産生性の植物のゲノムに対する、(i)植物において発現した場合に花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、(ii)そのDNA配列の発現を制御するオペレーター、および(iii)花粉の形成または機能に不可欠である細胞に特異的であり、遺伝子産物をコードするDNA配列と機能的に連結したプロモーター、を含む第1の組換えDNA分子の導入。(b)DNA配列の発現の結果として雄性不稔が達成されるような条件下における花粉産生性の植物の育成。(c)雄性捻性である雑種植物を作成するための、雄性不稔の系統に由来する花粉による雄性不稔の植物の交雑。この際、この花粉は、そのゲノムの内部に、DNA結合タンパク質をコードするDNA配列、およびそのDNA配列の発現を制御するプロモーターを含む第2の組換えDNA分子が組み込まれており、このタンパク質は雄性不稔の植物の組換えDNAのオペレーターと結合することができる。本発明のこの面の他の態様において、この遺伝子産物はサイトトキシンであることができる。さらに他の態様において、本発明のプロモーターは葯特異的なプロモーターであることができる。本発明のさらに他の態様において、この葯特異的なプロモーターは、遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を調節する能力を発揮するプロモーター5126のヌクレオチド配列を含むことができる。またさらに他の態様において、オペレーターはlexAオペレーターであることができる。一つの態様において、第1の組換え分子または第2の組換えDNA分子はさらに選択マーカー遺伝子を含むことができる。本発明の他の態様において、DNA結合タンパク質はlexAタンパク質であることができる。また他の態様において、第2の組換えDNA分子のプロモーターは、花粉の形成または機能に不可欠である細胞に特異的なプロモーターであり、葯特異的なプロモーターであることもできる。この葯特異的なプロモーターは、そのDNA分子が操作可能な組換えDNA構築物の一部である場合に葯組織においてDNA配列の発現を調節することができるヌクレオチド配列を含む、単離DNA分子を含むことができる。第2の組換えDNA分子のプロモーターは、誘導性のプロモーターまたは構成的プロモーターであることができ、それはトウモロコシ・ユビキチンプロモーターであってもよい。 【0031】本発明の他の面は、そのDNA分子が操作可能な組換えDNA構築物の一部である場合に葯組織においてDNA配列の発現を調節することができるヌクレオチド配列を含む単離DNA分子を含む発現ベクターを含有する、形質転換した植物細胞、およびこのような植物細胞から再分化した植物である。この発現ベクターはさらに、そのDNA配列がプロモーターと機能的に連結した、遺伝子産物をコードするDNA配列を含むことができる。また、本発明は、雑種種子および本発明の方法によって産生される雄性不稔の植物の作出にも関する。 【0032】本発明による、植物の発生に影響を与えるためのカスケード的機序を作成するための形質転換性の遺伝的構築物において、2種類の遺伝的システムを併用した。第1のシステムは、例えば転写アクチベーターの発現などの遺伝子の発現を制御する組織特異的なプロモーターを重点とする。第2のシステムは、花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、例えば、その発現産物が花粉の形成および機能に障害を及ぼすメチラーゼ遺伝子のようなドミナントネガティブ遺伝子を含む。 【0033】本発明の特有な成分は、これらの両方のシステムの要素が組み込まれ、特異的な調節因子および存在する遺伝子に依存して独特の表現型を引き起こすように相互作用することができる調節性の要素および構造遺伝子を含む、形質転換性の遺伝的構築物である。一つの親植物においてこの構築物が存在することにより、本発明のいくつかの利点が生じる。例えば、雄性不稔を達成するための一段階アプローチが実施されている。例えば、本発明は、植物における可逆的な雄性不稔の産生において、組織特異的なプロモーター、ドミナントネガティブ遺伝子、およびドミナントネガティブ遺伝子を活性化することができる転写アクチベーターを包含する特異的なDNAの区域を含む、遺伝的構築物の使用を企図している。したがって、一つの面における本発明は、雄性捻性を操作するための新たな核となる基盤を提供する。 【0034】さらに明確には、本発明に適した遺伝的構築物は、ドミナントネガティブ遺伝子、ならびにドミナントネガティブ遺伝子の上流に位置した場合にDNA結合遺伝子および発生における特異的な時点または複数の時点で発現を調節するプロモーターと共同してドミナントネガティブ遺伝子の発現を制御する特異的なDNAの区域を含む。 【0035】ドミナントネガティブ遺伝子は、発現した場合、植物に優性表現型をもたらす。ハースコビッツ(Herskowitz)(1987)は、「ドミナントネガティブ」の用語を、過剰発現した場合に野生型の遺伝子の活性を失わせる変異型のポリペプチドをコードする遺伝子という意味で用いた。野生型の遺伝子とは、それに変異が由来する遺伝子のことである。この記載において、「ドミナントネガティブ遺伝子」という熟語は、この遺伝子を受け取る宿主細胞の内因性の遺伝的過程を破壊すると同時に、単一のコピーにおいて効果的であるか、または遺伝子産物の産生量の増加もしくは遺伝子の複数のコピーの同時発現のいずれかによる遺伝子の過剰発現によって効果を生み出す可能性がある産物をコードする遺伝子に適用される。ドミナントネガティブ遺伝子の部類の具体例は、細胞障害性遺伝子、メチラーゼ遺伝子、および成長抑制遺伝子である。ドミナントネガティブ遺伝子には、ジフテリア毒素A鎖遺伝子(Czako and An, 1991),トウモロコシにおけるCDCなどの細胞分裂周期の変異(Colasanti, et al., 1991),WT遺伝子(Farmer, et al., 1994),およびP68(Chen, et al., 1991)が含まれる。本発明の遺伝的構築物におけるドミナントネガティブ遺伝子の候補遺伝子として、大腸菌から単離された遺伝子などのDAMメチラーゼ遺伝子も例示される。候補遺伝子は、それが由来する源に対して、有害であっても有害でなくともよい。実際に、候補遺伝子はその源において本質的な機能を果たしうる。 【0036】例証となる態様において、特異的な植物組織の発生に変更を及ぼすための遺伝子のメチル化を行わせる候補のドミナントネガティブ遺伝子は、DAMメチラーゼ遺伝子である。この遺伝子は、花粉の形成または機能に不可欠である遺伝子領域を不活性化し、これにより、優性不稔の植物を形成するために用いられる。 【0037】特に、本発明の第1の遺伝的構築物の構成因子は以下の通りである。 【0038】トウモロコシC1遺伝子などの転写アクチベーターが、lexAなどの細菌のDNA結合タンパク質と融合される(Brent and Ptashne, 1985)。「lexA-C1」と命名されたこの遺伝子融合体は、5126プロモーターなどの葯特異的なプロモーターの制御の下に置かれる。この遺伝的構築物は、5126::lexA-C1と命名される。 【0039】DAMメチラーゼ遺伝子は、lexA結合部位(Lex)を含む最小の35Sプロモーターの後方に置かれ、以下のように、35S-lexAop::DAMの記号で示される。 【0040】35S-lexAop::DAMおよび5126::lexA-C1は、同一のプラスミド上に存在する2つの別々の転写単位であり、このプラスミドは好ましくは選択マーカー遺伝子を含んでいる。 【0041】本発明の構築物を含むトランスジェニック植物は、当該の植物種が再分化に対する感受性をもつ限り、これと同一な構築物により形質変換を受けた培養物から再分化させることができる。 【0042】植物は、本明細書において開示した方法および当業者に周知の方法により、形質転換された細胞もしくは培養物、または移植片から再分化させることができる。本文脈における「培養物」は、細胞の凝集体、カルス、または培養に適したそれらの誘導体を包含する。方法は植物の種によって異なる。種子は、再分化した植物、または当業者に周知の育種法を用いた、同じ種の適した植物との間の交雑種から採取する。 【0043】以前に記載した第1の構築物が植物に形質転換された場合、DAMメチラーゼ遺伝子の葯特異的なプロモーターのみによって転写が制御されている状況と比べて発現量の増加という結果が起こる。発現の増強は、Lexオペレーターと特異的に結合し、DAMメチラーゼ遺伝子の発現を制御して雄性不稔を引き起こす、転写アクチベーターlexA-C1の産生に起因する。本発明の方法は特に、例えばトウモロコシにおいて変異した時にドミナントネガティブの表現型をもたらす遺伝子の発現のために魅力的である。一般に、これらの遺伝子によってコードされる遺伝子産物は、野生型のタンパク質、例えばトウモロコシCDC21遺伝子などの機能を妨げるために高度に発現する必要がある。 【0044】この効果を消失させるために、第1の構築物を有する第1の植物は、5126またはその他の適したプロモーターを含む第2の構築物を含有する第2の植物と交配される。その他の適したプロモーターは、5126欠失変異プロモーター、またはDNA結合タンパク質lexAのみを発現するlexA遺伝子と融合された構成的プロモーターなどのその他の葯特異的プロモーターを含む。このタンパク質はlexAオペレーターと特異的に結合するが、遺伝子の発現は活性化しない。むしろそれは発現を抑制し、このためDAMメチラーゼ遺伝子の発現を遮断し、第1および第2の遺伝的構築物の両方を有する植物を雄性捻性にする。 【0045】本発明による、このシステムの構成因子を利用する他の方法は、lexA DNA結合部位(すなわち、lexAオペレーター)を組織特異的なプロモーターである5126に埋め込み、lexAリプレッサーの発現を誘導性のプロモーターと共役させることである。5126プロモーターの転写によって発現する遺伝子はすべて、lexAの発現を誘導する化学物質を適用することによって遮断(抑制)される。lexAリプレッサータンパク質は、5126プロモーター内に位置するlexAopと結合し、DNAのこの領域と結合した結果として、レポーター遺伝子の発現を遮断する。例えば、このシステムをDAMメチラーゼ遺伝子とともに用いる場合は、化学的誘導物質の適用により、不稔性の表現型は消失し、植物は雄性捻性になる。 【0046】例として、適した遺伝子構築物は以下の成分を含む:1.5126::lexA-op::DAMメチラーゼ、2.[ホルモン(オーキシン、サリチル酸)、化学的毒性緩和剤およびその類似物によって誘導することができるプロモーター]::lexA、および3.例えば除草剤もしくは抗生物質に対する抵抗性を付与するもの、またはアミノ酸の補償もしくは核酸栄養要求性に影響を与える選択マーカー。この構築物が植物に組み込まれた場合、結果として生じる表現型は、化学的誘導物質の非存在下においては雄性不稔である。しかし、誘導因子を適切な時期に適用することにより、雄性捻性の植物を得ることができ、不稔性構築物を含む植物と捻性を回復させるための抑制性構築物を含む植物とを遺伝的に交雑させる必要がなくなる(米国特許出願第07/848,465号を参照)。除草剤抵抗性遺伝子の例には、グルホシネート(バイアロフォス(bialophos))抵抗性に対するBARおよびPATが含まれる。 【0047】本発明の構築物が、除草剤抵抗性遺伝子などの選択マーカーと連結した場合には、結果として生じる構築物は、雄性不稔の植物と雄性捻性の植物からの花粉とを交雑させることにより生じる植物に対して除草剤を適用することによって分離した雄性捻性の植物を破壊する方法を可能とする。雄性不稔の植物のみが生き残るであろう。 【0048】植物を形質転換させるために用いた組換えDNA構築物においてこのシステムの構成因子を利用する他の方法は、組織特異的なプロモーター(例えば葯特異的なプロモーター5126)に、DNA配列の発現を制御することができるオペレーター(例えばlexAオペレーター)を埋め込むことである。この際、この組織特異的なプロモーターは、例えばDAMメチラーゼなどのドミナントネガティブ遺伝子のような、花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物を産生するDNA配列と機能的に連結している。このようなオペレーターの埋め込みは、本発明のプロモーターのヌクレオチド配列の上流または下流に、それを(当業者に周知の方法に従って)配置することを含む。 【0049】この効果を消失させるために、第1の構築物によって形質転換された植物は、5126またはその他の適したプロモーターを含む第2の構築物を含有する第2の植物と交配される。この際、その他の適したプロモーターは、5126欠失変異プロモーター、または例えば第1の構築物のオペレーターと結合することができるDNA結合タンパク質lexAを発現するlexA遺伝子のような、DNA結合タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御する構成性プロモーターなどの、その他の葯特異的プロモーターを含む。明確に言えば、このDNA結合タンパク質は、第1の構築物のオペレーターと結合して発現を抑制し、このために花粉の形成および機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を遮断し、第1および第2の遺伝的構築物の両方を有する植物を雄性捻性にする。 【0050】特殊な態様において、第2の構築物によって産生されるlexAリプレッサータンパク質は、第1の構築物における5126プロモーターに埋め込まれたlexAオペレーターと結合し、DNAのこの領域との結合の結果として、例えばDAMメチラーゼなどのドミナントネガティブ遺伝子のような、花粉の形成および機能を抑制する遺伝子の発現を遮断し、形質転換された植物を雄性捻性にする。 【0051】本発明の構築物が、除草剤抵抗性遺伝子などの選択マーカーと連結した場合には、結果として生じる構築物は、雄性不稔の植物と雄性捻性の植物からの花粉とを交雑させることにより生じる植物に対して除草剤を適用することによって分離した雄性捻性の植物を破壊する方法を可能とする。雄性不稔の植物のみが生き残るであろう。 【0052】本発明の他の態様によれば、葯特異的な5126プロモーターなどの組織特異的なプロモーターと機能的に連結したドミナントネガティブ遺伝子としてメチラーゼ遺伝子を有する遺伝的構築物は、本発明の実践のために適している。植物の発生を変更するための方法は、本発明の様相を代表している。このような方法には、好ましくは、(a)メチラーゼ遺伝子および適したプロモーターを含む遺伝的構築物による植物の形質転換、および(b)メチラーゼ遺伝子が発現する環境における植物の育成、およびそれによる、発生過程のために不可欠である一つまたは複数の遺伝子のプロモーターのメチル化によっての、その発現の変更、という段階が含まれる。 【0053】雄性不稔の植物を作出するためには、プロモーターは、好ましくはタペータム、葯、または初期の花粒粉のような特異的な組織においてのみ、花粉の形成または機能に不可欠である組織においてのみ遺伝子を発現させる。構築物は、花粉の形成または機能を抑制することができる遺伝子産物をコードするDNA配列として、メチラーゼ遺伝子を含むこともできる。適したメチラーゼ遺伝子の一つは細菌のDAM(DNAアデニンメチル化)遺伝子である。起源となる細菌には大腸菌が含まれる。DAMの部類の遺伝子は、ヌクレオチド配列GATCにおいてアデニンのN6位をメチル化する。構築物は標的DNAを含み、それは標的DNAによるmRNAの合成を抑制するため、ドミナントネガティブである。 【0054】組織特異的なプロモーターは、例えば特異的な組織における遺伝子などのDNA配列の発現を制御することができるプロモーターである。植物において可逆的な雄性不稔を引き起こすためには、組織において活性化しており、直接的または間接的に花粉の構造および/または機能に影響を与えるプロモーターが特に適している。 【0055】組織特異的なプロモーターの探索は、植物遺伝学における新規な概念による恩恵を受けており、正常な植物のmRNAから変異を取り除くことにより、本発明における目的とする機能である葯の発生に特異的に関連するゲノムの領域において正常と異なるmRNAが得られた。本発明に適した一つの態様は、例えば5126と命名された新規な植物プロモーターの活性DNA配列のような、葯特異的なプロモーターである。 【0056】メチラーゼ遺伝子および適したプロモーターを含む遺伝的構築物の利用による、雄性不稔の系統の産生のための方法および組成は以下に記載した。 【0057】植物の雄性不稔の表現型と、本発明の遺伝的構築物の植物の核ゲノム内への挿入との相関を明らかにするため、植物のDNAのサザンブロット分析を実施した。この分析により、雄性不稔が本発明の遺伝的構築物の存在と相関することが明らかになった。 【0058】本発明の一つの態様において、分離される雄性捻性の植物が野外で生育しないように破壊するために、構成的プロモーターを選択マーカーと連結させ、プロモーターによる調節を受けるメチル化遺伝子を含む遺伝的構築物を有する植物の中に導入した。このシステムは、その系において雄性捻性の近交系の植物が同じ種類の雄性不稔の植物と交配される、不稔性の近交系を維持する場合に有用である。雌性の雄性不稔の植物から採取した種子は、選択因子に対する抵抗性の有無に関して1:1に分離されるであろう。植物に対して選択因子を噴霧することもできる。その結果、選択マーカー遺伝子を維持している植物のみが生き残る。これらの植物は、メチル化性の構築物による形質転換を受けた植物である。 【0059】また、本発明は、本発明の方法によって産生された雄性不稔の植物、およびこのような植物の種子にも関する。 【0060】本発明による、植物の発生に影響を与えるためのカスケード的機序を作成するための形質転換性の遺伝的構築物において、2種類の遺伝的システムを併用した。第1のシステムは、例えば転写アクチベーターの発現などの遺伝子の発現を制御する組織特異的なプロモーターを重点とする。第2のシステムは、花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列、例えば、その発現産物が花粉の形成および機能に障害を及ぼすメチラーゼ遺伝子のようなドミナントネガティブ遺伝子を含む。 【0061】本発明の特有な構成要素は、これらの両方のシステムの要素が組み込まれ、特異的な調節因子および存在する遺伝子に依存して独特の表現型を引き起こすように相互作用することができる調節性の要素および構造遺伝子を含む、形質転換性の遺伝的構築物である。一つの親植物においてこの構築物が存在することにより、本発明のいくつかの利点が生じる。例えば、雄性不稔を達成するための一段階アプローチが実施されている。例えば、本発明は、植物における可逆的な雄性不稔の産生において、組織特異的なプロモーター、ドミナントネガティブ遺伝子、およびドミナントネガティブ遺伝子を活性化することができる転写アクチベーターを包含する特異的なDNAの区域を含む、遺伝的構築物の使用を企図している。したがって、一つの面における本発明は、雄性捻性を操作するための新たな核となる基盤を提供する。 【0062】さらに明確には、本発明に適した遺伝的構築物は、ドミナントネガティブ遺伝子、ならびにドミナントネガティブ遺伝子の上流に位置した場合にDNA結合遺伝子および発生における特異的な時点または複数の時点で発現を調節するプロモーターと共同してドミナントネガティブ遺伝子の発現を制御する特異的なDNAの区域を含む。 【0063】ドミナントネガティブ遺伝子は、発現した場合、植物に優性表現型をもたらす。ヘルスコビッツ(Herskowitz)(1987)は、「ドミナントネガティブ」の用語を、過剰発現した場合に野生型の遺伝子の活性を失わせる変異型のポリペプチドをコードする遺伝子という意味で用いた。野生型の遺伝子とは、それに変異が由来する遺伝子のことである。この記載において、「ドミナントネガティブ遺伝子」という熟語は、この遺伝子を受け取る宿主細胞の内因性の遺伝的過程を破壊すると同時に、単一のコピーにおいて効果的であるか、または遺伝子産物の産生量の増加もしくは遺伝子の複数のコピーの同時発現のいずれかによる遺伝子の過剰発現によって効果を生み出す可能性がある産物をコードする遺伝子に適用される。ドミナントネガティブ遺伝子の部類の具体例は、細胞障害性遺伝子、メチラーゼ遺伝子、および成長抑制遺伝子である。ドミナントネガティブ遺伝子には、ジフテリア毒素A鎖遺伝子(Czako and An, 1991),トウモロコシにおけるCDCなどの細胞分裂周期の変異(Colasanti, et al., 1991),WT遺伝子(Farmer, et al., 1994),およびP68(Chen, et al., 1991)が含まれる。本発明の遺伝的構築物におけるドミナントネガティブ遺伝子の候補遺伝子としても、大腸菌から単離された遺伝子などのDAMメチラーゼ遺伝子は典型的な例である。候補遺伝子は、それが由来する源に対して、有害であっても有害でなくともよい。実際に、候補遺伝子はその源において本質的な機能を果たしていることもできる。 【0064】例証となる態様において、特異的な植物組織の発生に変更を及ぼすための遺伝子のメチル化を行わせる候補のドミナントネガティブ遺伝子は、DAMメチラーゼ遺伝子である。この遺伝子は、花粉の形成または機能に不可欠である遺伝子領域を不活性化し、これにより、優性不稔の植物を形成するために用いられる。 【0065】特に、本発明の第1の遺伝的構築物の構成因子は以下の通りである。 【0066】トウモロコシC1遺伝子などの転写アクチベーターが、lexAなどの細菌のDNA結合タンパク質と融合されたもの(Brent and Ptashne, 1985)。「lexA-C1」と命名されたこの遺伝子融合体は、5126プロモーターなどの葯特異的なプロモーターの制御の下に置かれる。この遺伝的構築物は、5126::lexA-C1と命名される。 【0067】DAMメチラーゼ遺伝子は、lexA結合部位(Lex)を含む最小の35Sプロモーターの後方に置かれ、以下のように、35S-lexAop::DAMの記号で示される。 【0068】35S-lexAop::DAMおよび5126::lexA-C1は、同一のプラスミド上に存在する2つの別々の転写単位であり、このプラスミドは好ましくは選択マーカー遺伝子を含んでいる。 【0069】本発明の構築物を含むトランスジェニック植物は、当該の植物種が再分化に対する感受性をもつ限り、これと同一な構築物により形質転換を受けた培養物から再分化させることができる。 【0070】植物は、本明細書において開示した方法および当業者に周知の方法により、形質転換された細胞もしくは培養物、または移植片から再分化させることができる。本文脈における「培養物」は、細胞の凝集体、カルス、または培養に適したそれらの誘導体を包含する。方法は植物の種によって異なる。種子は、再分化した植物、または当業者に周知の育種法を用いる、細分化した植物と同じ種の適した植物との間の交雑種から採取する。 【0071】上述した第1の構築物が植物に形質転換された場合は、DAMメチラーゼ遺伝子の葯特異的なプロモーターのみによって転写が制御されている状況と比べて発現量の増加という結果が起こる。発現の増強は、Lexオペレーターと特異的に結合し、DAMメチラーゼ遺伝子の発現を制御して雄性不稔を引き起こす、転写アクチベーターlexA-C1の産生に起因する。本発明の方法は特に、例えばトウモロコシにおいて、変異した時にドミナントネガティブの表現型をもたらす遺伝子の発現のために魅力的である。一般に、これらの遺伝子によってコードされる遺伝子産物は、野生型のタンパク質、例えばトウモロコシCDC21遺伝子などの機能を妨げるために高度に発現する必要がある。 【0072】この効果を消失させるために、第1の構築物を有する第1の植物は、5126またはその他の適したプロモーターを含む第2の構築物を含有する第2の植物と交配される。その他の適したプロモーターは、5126欠失変異プロモーター、またはDNA結合タンパク質lexAのみを発現するlexA遺伝子と融合された構成的プロモーターなどのその他の葯特異的プロモーターを含む。このタンパク質はlexAオペレーターと特異的に結合するが、遺伝子の発現は活性化しない。むしろそれは発現を抑制し、このためDAMメチラーゼ遺伝子の発現を遮断し、第1および第2の遺伝的構築物の両方を有する植物を雄性捻性にする。 【0073】本発明による、このシステムの構成因子を利用する他の方法は、lexA DNA結合部位(すなわち、lexAオペレーター)を組織特異的なプロモーターである5126に埋め込み、lexAリプレッサーの発現を誘導性のプロモーターと共役させることである。5126プロモーターの転写によって発現する遺伝子はすべて、lexAの発現を誘導する化学物質を適用することによって遮断(抑制)される。lexAリプレッサータンパク質は、5126プロモーター内に位置するlexAopと結合し、DNAのこの領域と結合した結果として、レポーター遺伝子の発現を遮断する。例えば、このシステムをDAMメチラーゼとともに用いる場合は、化学的誘導物質の適用により、不稔性の表現型は消失し、植物は雄性捻性になる。 【0074】例として、適した遺伝子構築物は以下の構成因子を含む。 1.5126::lexA-op::DAMメチラーゼ、2.[ホルモン(オーキシン、サリチル酸)、化学的毒性緩和剤およびその類似物によって誘導することができるプロモーター]::lexA、および3.例えば除草剤もしくは抗生物質に対する抵抗性を付与するもの、またはアミノ酸の補償もしくは核酸栄養要求性に影響を与えるなどの選択マーカー、。この構築物が植物に組み込まれた場合、結果として生じる表現型は、化学的誘導物質の非存在下においては雄性不稔である。しかし、誘導因子を適切な時期に適用することにより、雄性捻性の植物を得ることができ、不稔性構築物を含む植物と捻性を回復させるための抑制性構築を含む植物とを遺伝的に交雑させる必要がなくなる(米国特許出願第07/848,465号を参照)。除草剤抵抗性遺伝子の例には、glufosinate(bialophos)抵抗性に対するBARおよびPATが含まれる。本発明の構築物が、除草剤抵抗性遺伝子などの選択マーカーと連結した場合には、結果として生じる構築物は、雄性不稔の植物と雄性捻性の植物からの花粉とを交雑させることにより生じる植物に対して除草剤を適用することによって分離された雄性捻性の植物を破壊する方法を可能とする。雄性不稔の植物のみが生き残るであろう。 【0075】植物を形質転換させるために用いた組換えDNA構築物においてこのシステムの構成因子成分を利用する他の方法は、組織特異的なプロモーター(例えば葯特異的なプロモーター5126)に、DNA配列の発現を制御することができるオペレーター(例えばlexAオペレーター)を埋め込むことである。この際、この組織特異的なプロモーターは、例えばDAMメチラーゼなどのドミナントネガティブ遺伝子のような、花粉の形成または機能を抑制する遺伝子産物を産生するDNA配列と機能的に連結している。このようなオペレーターの埋め込みは、本発明のプロモーターのヌクレオチド配列の上流または下流に、それを(当業者に周知の方法に従って)配置することを含む。 【0076】この効果を消失させるために、第1の構築物によって形質転換された植物は、5126またはその他の適したプロモーターを含む第2の構築物を含有する第2の植物と交配される。この際、その他の適したプロモーターは、5126欠失変異プロモーターまたは例えば第1の構築物のオペレーターと結合することができるDNA結合タンパク質lexAを発現するlexA遺伝子のような、DNA結合タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するその他の葯特異的プロモーターを含む。明確に言えば、このDNA結合タンパク質は、第1の構築物のオペレーターと結合して発現を抑制し、このために花粉の形成および機能を抑制する遺伝子産物をコードするDNA配列の発現を遮断し、第1および第2の遺伝的構築物の両方を有する植物を雄性捻性にする。 【0077】特殊な態様において、第2の構築物によって産生されるlexAリプレッサータンパク質は、第1の構築物における5126プロモーターに埋め込まれたlexAオペレーターと結合し、DNA配列のこの領域との結合の結果として、例えばDAMメチラーゼなどのドミナントネガティブ遺伝子のような、花粉の形成および機能を抑制する遺伝子の発現を遮断し、形質転換された植物を雄性捻性にする。 【0078】本発明の構築物が、除草剤抵抗性遺伝子などの選択マーカー遺伝子と連結した場合には、結果として生じる構築物は、雄性不稔の植物と雄性捻性の植物からの花粉とを交雑させることにより生じる植物に対して除草剤を適用することによって雄性捻性の分離された植物を破壊する方法を可能とする。雄性不稔の植物のみが生き残るであろう。 【0079】本発明の他の態様によれば、葯特異的な5126プロモーターなどの組織特異的なプロモーターと機能的に連結したドミナントネガティブ遺伝子としてメチラーゼ遺伝子を有する遺伝的構築物は、本発明の実践のために適している。植物の発生を変更するための方法は、本発明の様相を代表している。このような方法は、好ましくは以下の段階を含む。 (a)メチラーゼ遺伝子および適したプロモーターを含む遺伝的構築物による植物の形質転換、および(b)メチラーゼ遺伝子が発現する環境における植物の育成、およびそれによる、発生過程のために不可欠である一つまたは複数の遺伝子のプロモーターのメチル化によっての、その発現の変更。 【0080】雄性不稔の植物を産生するためには、プロモーターは特異的な組織においてのみ、好ましくはタペータム、葯、または初期の花粒粉のような、花粉の形成または機能に不可欠である組織においてのみ遺伝子を発現させる。構築物は、花粉の形成または機能を抑制することができる遺伝子産物をコードするDNA配列として、メチラーゼ遺伝子を含むこともできる。適したメチラーゼ遺伝子の一つは細菌のDAM(DNAアデニンメチル化)遺伝子である。起源となる細菌には大腸菌が含まれる。DAMの部類の遺伝子は、ヌクレオチド配列GATCにおいてアデニンのN6位をメチル化する。構築物は標的DNAを含み、それは標的DNAによるmRNAの合成を抑制するため、ドミナントネガティブである。 【0081】組織特異的なプロモーターは、例えば特異的な組織における遺伝子などのDNA配列の発現を制御することができるプロモーターである。植物において可逆的な雄性不稔を引き起こすためには、組織において活性化しており、直接的または間接的に花粉の構造および/または機能に影響を与えるプロモーターが特に適している。 【0082】組織特異的なプロモーターの探索は、植物遺伝学における新規な概念による恩恵を受けており、正常な植物のmRNAから変異を取り除くことにより、本発明における関心のある機能である葯の発生に特異的に関連するゲノムの領域において正常と異なるmRNAが得られた。本発明に適した一つの態様は、例えば5126と命名された新規な植物プロモーターの活性DNA配列のような、葯特異的なプロモーターである。 【0083】メチラーゼ遺伝子および適したプロモーターを含む遺伝的構築物の利用による、雄性不稔の系統の産生のための方法および組成は以下に記載した。植物の雄性不稔の表現型と、本発明の遺伝的構築物の植物の核ゲノム内への挿入との相関を明らかにするため、植物のDNAのサザンブロット分析を実施した。この分析により、雄性不稔が本発明の遺伝的構築物の存在と相関することが明らかになった。 【0084】本発明の一つの態様において、分離される雄性捻性の植物が野外で生育しないように破壊するために、構成的プロモーターを選択マーカーと連結させ、プロモーターによる調節を受けるメチル化遺伝子を含む遺伝的構築物を有する植物の中に導入した。このシステムは、その系において雄性捻性の近交系の植物が同じ種類の雄性不稔の植物と交配される、不稔性の近交系を維持する場合に有用である。雌性の雄性不稔の植物から採取した種子は、選択因子に対する抵抗性の有無に関して1:1に分離されるであろう。植物に対して選択因子を噴霧することもできる。その結果、選択マーカー遺伝子を維持している植物のみが生き残る。これらの植物は、メチル化構築物による形質転換を受けた植物である。 【0085】また、本発明は、本発明の方法によって産生された雄性不稔の植物、およびこのような植物の種子にも関する。 【0086】好ましい態様の詳細な説明本発明は、例えば雄性不稔を引き起こすことなどを目的として、植物の発生に影響を及ぼすための、転写アクチベーター、ならびにドミナントネガティブ遺伝子を活性化するために、DNA結合部位に作用できる遺伝子、ドミナントネガティブ遺伝子、ならびにDNA結合部位に作用する遺伝子を制御する組織特異的なプロモーターを含む適したプロモーターを含む、遺伝的構築物の利用に関する。トランスジェニック植物における適したドミナントネガティブ遺伝子には、サイトトキシン遺伝子、メチラーゼ遺伝子、および成長抑制遺伝子が含まれる。ドミナントネガティブ遺伝子には、ジフテリア毒素A鎖遺伝子(Czako and An, 1991)、トウモロコシにおけるCDCなどの細胞分裂周期の変異(Colasantiら、1991)、WT遺伝子(Farmerら、1994)、およびP68(Chenら、1991)が含まれる。例証となる態様においては、その発現産物が植物のDNAにおけるアデニン残基のメチル化を触媒するDAMメチラーゼ遺伝子が用いられる。メチル化されたアデニンは、このようなメチル化された残基は植物のDNAにおいては内因的には認められないことから、メチル化アデニンは細胞の生存能には影響を与えず、そこでDAMメチラーゼ遺伝子が発現する組織のみにおいて認められると考えられる。DNA結合のために適したシステムはlexA-C1システムである。一般的に、この構築物は外因性であり、適したプロモーターを含む。 【0087】発生過程に変更を加えることは、雄性不稔の植物を産生するために特に有用である。雄性不稔の植物を産生する一つの方法は、メチラーゼタンパク質に関するセンス遺伝子を含む組換え分子(遺伝的構築物)を用いて植物細胞に形質転換を施すことである。適したプロモーターは、発生の制御のための戦略に応じて選択する。例えば、一つの戦略は、葯組織特異的なプロモーターを用いることにより、葯組織においてメチラーゼ遺伝子を選択的に発現させるというものである。雄性不稔の植物を産生するためには、常法(材料および方法の項を参照)に従って、形質転換された細胞を植物体に再分化させることが必要であろう。 【0088】本発明の他の態様において、雄性不稔の植物は、花粉の形成および/または機能に不可欠である細胞において選択的に発現するプロモーターの制御の下にメチラーゼ遺伝子が置かれることによって産生される。 【0089】本明細書における「外因性」とは、その環境に対して異物である事柄を意味し、特に本明細書では、宿主植物の正常な遺伝的総体において認められないか、または内因的な状態の場合よりも高いレベルで発現する、遺伝的構築物の部類を意味する。 【0090】「適したプロモーター」には、タペータム細胞、花粉母細胞、または初期の小胞子を含む花粉の形成および機能に不可欠な細胞における遺伝子の発現を制御する、組織特異的または細胞特異的なプロモーターが含まれる。 【0091】花粉の発生または機能に不可欠である細胞に選択的に影響を及ぼすために計画された態様において、タペータム細胞などの特異的な細胞または組織において遺伝子の発現を調節するプロモーターが、DNA結合タンパク質またはメチル化センス遺伝子をコードする遺伝子を制御するために用いられる。 【0092】この文脈における適したプロモーターは、タペータム組織のみにおいて発現を引き起こす組織特異的な調節性要素である。このような適したプロモーターの一つが、5126クローンに由来し、DNA配列の発現を葯組織に限定させる、前記の5126プロモーターである。この5126プロモーターは、図1に示す通り、5126のゲノムのクローンのコード領域から上流に位置する、葯組織においてDNA配列の発現の制御または調節が可能なヌクレオチド配列を含む。5126プロモーターの欠損変異体もまた、後出の(B)項において特徴づけを行ったように、葯組織において所望の選択的な発現をもたらす5126プロモーターのヌクレオチド配列の特異的な領域に加えて、本発明における利用のために適している。このような5126プロモーターの特異的な領域の特徴づけはすでに行われており、後出の(B)項に示している。その他の適したプロモーターには、G9、SGB6、およびTA39が含まれる。TA39プロモーターの単離および利用の詳細は、本明細書の材料および方法の項に提示している。 【0093】本発明に関して、「植物における雄性不稔」という状態は、生存可能な花粉を全く放出しない、100%の不稔性を意味する。この状態は、放出された花粉の測定および発芽検査などの方法を含む、当業者には周知の方法によって確かめることができる。 【0094】「葯特異的プロモーター」は、植物の一部またはその他のすべての組織よりも、葯組織における関連する遺伝子の転写を高レベルにさせるDNA配列である。好ましくは、このプロモーターは葯のみにおいて発現を指図する。例えば、5126プロモーターは、葯細胞において発現する。遺伝子の葯特異的プロモーターは、葯組織において遺伝子の発現を指図するが、根、子葉鞘などのその他の組織においては指図しない。この特異的なプロモーターは、例えば、公表されている欧州特許出願第93810455.1号において説明されている。 【0095】「オペレーター」(または「DNA結合部位」)は、構造遺伝子の5'端の方向に位置するDNA分子であり、活性化または抑制の機能のいずれかを有するDNA結合タンパク質によって認識および結合されるヌクレオチド配列を含むDNA分子である。リプレッサータンパク質がその同族のオペレーターと結合することにより、その構造遺伝子の転写の抑制が引き起こされる。例えば、lexA遺伝子はlexAオペレーターと結合するリプレッサータンパク質をコードしている。 【0096】「単離DNA分子」は、生物体のゲノムのDNAに統合されていない、DNAの断片である。単離DNA分子は化学的に合成されたものでもよい。 【0097】「発現」という用語は、遺伝子産物の生合成を意味する。例えば、構造遺伝子の場合、発現には、構造遺伝子のmRNAへの転写、およびmRNAの一つまたはそれ以上のポリペプチドへの翻訳が含まれる。「クローニングベクター」は、宿主細胞内において自律的に複製する能力を持つ、プラスミド、コスミド、またはバクテリオファージなどのDNA分子である。クローニングベクターは、そのベクターの本質的な生物機能を失うことなく、確定できる様式で外来のDNAを挿入することができる制限酵素認識部位を典型的には一つまたは少数含んでおり、また、クローニングベクターによって形質転換された細胞の同定および選択における利用に適したマーカー遺伝子を含む。マーカー遺伝子は、典型的には、テトラサイクリン抵抗性またはアンピシリン抵抗性を提供する遺伝子を含む。 【0098】「発現ベクター」は、宿主細胞において発現される遺伝子を含むDNA分子である。典型的には、遺伝子の発現は、構成的または誘導性のプロモーター、組織特異的な調節性要素、およびエンハンサーを含む特定の調節性要素の制御の下に置かれている。このような遺伝子は、調節性要素と「機能的に連結している」と呼ばれる。 【0099】以下の例は、本発明の特異的および好ましい態様の見本として示したものである。これらの例は、本発明の範囲をいかなる様式においても限定するものではない。本発明の精神および範囲にとどまる限りにおいて、多くの変更および修正を施すことが可能であることが理解されるべきである。 【0100】例1.5126プロモーターの単離および特徴解析(A)方法葯特異的なプロモーターの単離のために用いた方法は、トウモロコシについては新規なものであった。適した遺伝子を単離するために発生的境界域の前および後にmRNAを採取することができるので、適した葯組織特異的な遺伝子が発現すると考えられる発生時期が決定された後のみに遺伝子単離に関するサブトラクション法のみが有用であった。 【0101】雄性捻性のトウモロコシからの葯および雄性不稔のトウモロコシからの葯の発生を詳細に比較した結果、小胞子の変性が起こるわずか前の時点での葯のmRNAのサブトラクションにより、独自の葯特異的なmRNAを得られることが示唆された。全体のRNAは、小胞子の変性が起こるわずか前の時点に雄性不稔の植物の葯から単離した。優性の雄性不稔変異株Ms44を用いる場合、これは小胞子生成における花粉四分子期またはその前後の時点に葯を採取することを意味した。また、捻性の同胞種の植物からの葯もこの時期に採取した。雄性捻性および雄性不稔の植物を、mRNAの源として収集した。 【0102】(1)RNAの単離:これは、当業者に周知であるグアニジン・イソチオシアネート法により実施した。 【0103】(2)mRNAの単離:これは、インビトロゲン(Invitrogen)社製のオリゴdTカラムを用いて行った。 【0104】(3)cDNAライブラリーの構築:ライブラリーは、優性の雄性不稔変異株(Ms44)およびその雄性捻性同胞種(ms44)のトウモロコシ貯蔵(イリノイ大学のトウモロコシ保存センター(Maize Stock Center)から入手することができる)の雄穂のmRNAから作成した。このライブラリーは、pCDNAIIベクターおよびBstXI部位におけるクローニングによる二方向クローニング法を用いたインビトロゲンにより作製した。 【0105】(4)サブトラクション:サブトラクションは、インビトロゲン社の「The SubtractorI」の2.3版の操作マニュアルに記載されている通りに実施した。優性の雄性不稔ライブラリーからの標識したcDNAをドライバーとして用い、標識していない雄性捻性のライブラリーをテスターとして用いた(材料および方法の項を参照)。この新たなライブラリーは#5と命名され、独自の優性捻性のcDNAを複数含んでいることが予期された。 【0106】(5)ユニークなクローン:クローンを無作為にライブラリー#5から単離し、挿入物をゲル精製した後、P32を用いて無作為に六量体(hexamer)標識するとともに、ニトロセルロース上でスロットブロット処理を施した。重複クローンは交差ハイブリッド形成法により無効化した。5126はサブトラクション・ライブラリー#5から選び出した一つのクローンである。このクローンの葯特異性を確かめるため、それを雄穂以外のcDNAとハイブリダイズさせた。 【0107】(6)完全長cDNAの単離:5126の完全長のcDNAを得るため、部分的な5126のcDNAクローンを単離し、m13汎用プライマー 5' TGTAAAACGACGGCCAGT 3'(M13 UP)(配列番号:2)およびm13の逆プライマー 5' CAGGAAACAGCTATGACC 3'(M13 RP)を用いて塩基配列を決定した。この5126の部分的なcDNAクローンは、27ヌクレオチドから成るポリA+尾部を含む594塩基の挿入物を含む。全体のRNAおよびmRNAを、ライブラリー構築のために単離した。このcDNAライブラリーは、ストラタジーン(Stratagene)社が、Uni-Zap XR定方向クローニングシステムを用いて作成した(EcoRIからXhoIまでを含む)。完全長の5126 cDNAを得るために、部分長の5126 cDNAからのEagI断片を用いて1×106個のPFU細胞をスクリーニングした。宿主細菌としてはER1647(NEB)を用いた。均一性を有する10個の陽性クローンが精製された。プラスミドは、Uni-Zap XRベクターからの、pBluescript SK(-)ファージミドのインビボ切り出しによって作製した(ストラタジーン・ラムダザップ(Lambda Zap)指導マニュアル、14ページを参照)。塩基配列の決定は、クローンp5126-5に関して、アメリカ合衆国バイオケミカル・カンパニー(United States Biochemical Company)により行った。この塩基配列は図18に示した。両鎖の塩基配列は完全に決定され、これは部分長のcDNAの配列と合致した。部分長のcDNAに対するノーザンブロットでは、転写物の長さは約1.5Kbであることが示された。p5126-5の長さは1.485Kbであり、このことはそれが完全長のcDNAの全体またはほぼ全体を有していることを示している。 【0108】(7)ゲノムの単離:ゲノムライブラリーは、Sau3A1を用いて部分的に分解され、λDASHII(Stratagene)のBamHI部位にクローニングされた、トウモロコシ近交系B73のDNAから作成した。部分長の5126 cDNAからのEagI断片を用いて1×106個のPFU細胞をスクリーニングした。宿主細菌としてはER1647(NEB)を用いた。3回のスクリーニングの後、均一性を有する3個のクローンを単離した。これらのλクローンからDNAを、ベロニーおよびレコード(Bellony and Record)(1989)により報告された方法を用いて単離し、制限部位のマッピングを行った。3個のクローンはすべて同一であり、長さは約18Kbであった。 【0109】(B)プロモーター5126の特徴解析(1)ノーザン分析:部分長の5126 cDNAに由来するEagI断片を、トウモロコシの黄化葉、根、生育6日目の苗の緑色葉、減数分裂前の葯を伴う雄穂、減数分裂期の葯を伴う雄穂、花粉四分子期から単核小胞子期までの葯を伴う雄穂、および「ear shoot」から得たポリA+のmRNAを含むノーザン膜のプローブとして用いた。EagI断片は、アマーシャム社製のエンハンスド・ケミルミネッセンス(ECL)システム(Enhanced Chemiluminescence system)を用いて、西洋ワサビペルオキシダーゼによりラベルした。プローブハイブリダイゼーションおよび膜洗浄は、ECLシステムの製造者のプロトコールに従って実施した。転写物とハイブリダイズしたcDNAプローブの長さは約1.6kbであり、花粉四分子期から単核小胞子期までの葯を伴う雄穂からのmRNAのみに存在した。 【0110】(2)塩基配列分析:5126のcDNAプローブとハイブリダイズさせた、ラムダDASHIIにおける3種のゲノムクローンを単離した。3種のクローンとは、5125.4、5126.5、および5126.8である。 【0111】ゲノムクローンの一つである5126.8から約5kb長のHindIIIIII断片を単離し、ベクターBluscriptII KS+(Stratagene)のHindIIIIII部位にサブクローンした。2つの異なる方向に挿入されたHindIIIIII断片を含む2種類のプラスミド、DP4769およびDP4770を構築した。このプラスミドDP4769およびDP4770については、m13汎用プライマー、m13逆プライマーおよびオリゴヌクレオチド 5' CCTTCATCAGCTTCTGGCAG 3'(DO776)(配列番号:4)を用いて、1本鎖に関して部分的に塩基配列を決定した。DO776の塩基配列は、5126 cDNA挿入体の5'部位の配列に由来する。DP4770の2本鎖の塩基配列は、以下のオリゴヌクレオチド(それぞれ、配列番号5から8)を用いる「プライマー・ウォーキング法」によって決定した。即ち、5' AGATCTCGGCCAGGCCCTTG 3'(DO990)、5' GAGTTGATGAAGTGA 3'(CWG4770)、5' GAGATCAATCAGCTAGAGG 3'(PG2-2)、および5' TAAACCTAAGGCC 3'(PG2-3)。HindIIIIII部位からD0990に隣接する領域までのDP4770の配列の長さは1594塩基である。 【0112】ゲノムクローン5126.8から約6kb長のSacI断片を単離し、ベクターBluscriptIIKS+(Stratagene)のSacI部位に挿入した。2つの異なる方向に挿入されたSacI断片を含む2種類のプラスミド、DP5053およびDP5054を作製した。SacI断片は、DP4769およびDP4770のために用いたHindIIIIII断片と、1207塩基対にわたって重複している。この重複はDP4769およびDP4770の領域の5'側に存在し、5126のcDNA挿入体と相同である。DP5053の2106個の塩基の配列は、DP4770の塩基配列決定のために用いたものと同じオリゴヌクレオチドに加えて、オリゴヌクレオチド 5'AATAGCCTAATTTATTAG 3'(PG2-4)、オリゴヌクレオチド 5' ACATGTTTCAAGTTCAA3'(PG2-5)、オリゴヌクレオチド 5' CTTGTCAGAAGTTGTC 3'(PG2-5C)、およびオリゴヌクレオチド 5' CAACCATTACCGATGAA 3'(PG2-6C)(それぞれ、配列番号9から12)を用いるプライマー・ウォーキング法によって決定した。 【0113】5126遺伝子のその他のコード配列の決定には5'RACE法を用いた。5'RACEプライマー伸長は、トウモロコシ雄穂からのポリA RNAによるプライマー伸長のために、DP4770の配列に由来するオリゴヌクレオチド 5' ACGAGCGGACGCACGACAG 3'(DO1168)(配列番号:13)による5'RACEシステム(Gibco BRL)を用いて実施した。TaqIDNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)によるPCR増幅のためには、同じくDP4770の配列に由来する入れ子プライマー 5' TCCGTCGCCATCTGCGTCAC 3'(配列番号:14)、およびアンカープライマー 5' CACGCGTCGACTAGTACGGGIIGGGIIGGGIIG 3'(配列番号:15)(DO805)(5'RACEシステムに含まれるアンカープライマーに改変を加えたもの)を用いた。この5'RACE法の産物を、pT7Blue(R)ベクターにサブクローンした(ノバーゲン(Novagen)社より入手した)。このPCR産物を含むクローンはCGR3Bと命名された。このプラスミドの塩基配列は、DO805、DO1398、およびm13汎用プライマーを用いて決定した。この5'RACE PCR挿入体は412塩基長である。B73ライブラリーから得たゲノムクローンおよび本来のクローンと比べると、新たなA632ライブラリーに属するほぼ完全長のcDNAの間には多型が認められる。 【0114】CGR3Bの塩基配列はDP4770の586塩基と一致しており、ゲノム配列において123塩基のイントロンを含む。このイントロンは、高度に保存されたイントロン・スプライスモチーフ(5' GTおよび3' AG)を含む。推定上の開始コドンは、残る配列を伴うフレームにおいて見いだされる。この開始コドンは合理的な開始コドンモチーフ(CGATGG)を有している。この推定上の開始コドンのすぐ上流に存在する、CGR3Bの配列はATに比較的富み、これは5'非翻訳cDNA配列の特徴である。推定上の開始コドンの上流に位置するCGR3Bには90個のヌクレオチドがあり、これは植物における5'非翻訳領域としては合理的な長さである。さらに、DP4770において相同であるCGR3B配列の5'末端は、合理的なTATAボックス(TATATA)の35塩基下流にある。5126-5配列はCGR3Bの配列と重複しており、CGR3Bはさらに上流に43塩基を有する。 【0115】このサイズは、ノーザンハイブリダイゼーションから推測される転写物のサイズである約1.6kbと合理的によく祖関する。 【0116】(3)部位特異的突然変異誘発DP5055を作製するために、オリゴヌクレオチド 5' GCTGCTCACCATGGCAAAGCAAC3'(DO1398)(配列番号:16)を用いて、DP5053の推定翻訳開始コドンにおいてNcoI部位を作成するため部位特異的突然変異誘発(Su and El-Gewely, 1988)を用いた。 【0117】(4)レポーター構築物レポーター構築物DP5062を作製するために、5126のコード領域の5'側に位置する約4kbのScaI-NcoI断片をDP5055から単離し、ベクター、ホタルルシフェラーゼ領域、およびプロテイナーゼI遺伝子の非翻訳領域(PinII)を含むDP1672のSmaI-NcoI断片と結合させた。ポリクローニング領域におけるHindIII部位からATG開始コドンの587塩基上流にあるHindIIIIII部位までの配列(DP5121)の除去、またはポリクローニング領域におけるPstI部位からATG開始コドンの170塩基上流にあるPstI部位までの配列(DP5122)の除去により、DP5062の5126プロモーター断片の5'端に欠失を導入した。プロモーター断片の5'端からのさらなる欠失は、翻訳開始コドンの855塩基対上流にあるSphI部位、開始コドンの503塩基対上流にあるNdeI部位、または開始コドンの216塩基対上流にあるKpnI部位を用いることにより作製した。DP5062はSphIまたはNdeIを用いて分解し、T4DNAポリメラーゼにより平滑末端化し、ポリメラーゼを不活性化した後にNcoIにより分解した。結果として生じたプロモーター断片を、PinII3'領域と融合させたルシフェラーゼリポーターのベクターを含む、DP1672のSmaI/NcoI断片にクローニングした。これにより、DP5131(SphI欠失体)およびDP5130(NdeI欠失体)を作成した(図2)。KpnI欠失体(DP5164)は、(1)プロモーター/ルシフェラーゼ連結部を含むKpnI/ClaI断片、(2)ClaI/AlwNIルシフェラーゼ/PinII-3'/ベクター断片、および(3)DP5062の残るベクター片のAlwNI/KpnI断片、の3つの断片を連結することによって得た。 【0118】(5)トランジェントアッセイ図3は、完全長の5126プロモーター−ルシフェラーゼ構築物(DP5062)またはプロモーター欠失誘導体による形質転換を受けた場合の、花粉四分子期から初期単核期までの葯において得たルシフェラーゼ比活性を示したものである。本質的には、翻訳開始コドンの503塩基対上流にあるNdeI部位までの欠失変異体においては完全な活性が観察されたが、開始コドンの216塩基対上流にあるKpnI部位まで欠失したものでは活性がほぼ完全に失われた。開始コドンの170塩基対上流にあるPstI部位までの欠失したものでは全く活性が残らなかった。このことから、不可欠な要素は、翻訳開始コドンから上流に170塩基対から503塩基対までの間に存在する可能性が高いと考えられる。 【0119】図4は、本来の5126プロモーター断片リポーター構築物(DP5062)および2種類の重要な欠失変異体(DP5130およびDP5164)を用いた場合の、葯、子葉鞘、根、および胚形成性懸濁培養細胞におけるルシフェラーゼ比活性を、陽性対照(positive control)および組織特異的な対照(「構成的な」CaMV 35Sプロモーターによる制御を受けるルシフェラーゼリポーター遺伝子を含むDP1528、および葯特異的なプロモーターSGB6による制御を受けるルシフェラーゼリポーターを含む)と比較して示したものである。NdeI欠失体においては、完全長のプロモーター断片について観察される組織特異性が維持されていた。 【0120】図5は、5126(-503)プロモーターの葯活動性のタイミングを示したものである。この欠失プロモーターは、減数分裂期から中期の単核小胞子期まで活性であったが、初期の単核小胞子期において最も活性が高かった。 【0121】例2.DAMメチラーゼプラスミドの構築DAMメチラーゼ遺伝子は大腸菌から得た。どの植物に由来するメチラーゼ遺伝子も適している。 【0122】DAMメチラーゼ遺伝子(Brooks.ら、1983によれば、195−1132ヌクレオチド)は、部位特異的突然変異誘発(Su and ElGewly, 1988)により改変し、開始コドンATGの9ヌクレオチド5'側に位置する第186ヌクレオチドにSmaI部位を導入したものである。DP5814(図6)は、トウモロコシの形質転換に用いたプラスミドであり、これは構成的に発現するBAR遺伝子に対してcisの関係で葯特異的なDAMメチラーゼ遺伝子を含む。このプラスミドは、DP5130(図2)からの5126葯特異的プロモーター領域のNdeI−NcoI欠失体を含む500塩基対のXhoI/NcoI断片と、上記の改変DAMメチラーゼ配列を含む1.0kb長のSmaI/BamHI断片とを連結することにより構築した。XhoI/NcoI 5126プロモーター断片上に含まれるNcoI部位は、クローニングのための平滑末端を作成するため、確立したプロトコール(Sambrookら、1989)に従い、T4DNAポリメラーゼ(Boehringer-Mennheim)を用いることによってdNTPで満たした。その結果、プロモーター/遺伝子連結部には、以下の配列によってコードされる3個のN端残基が付加された(本来のDAMメチラーゼ遺伝子が開始するMETには下線を施した。これは「ブロックス(Brooks)ら、1983」におけるヌクレオチド195-197に対応する)。 5' CCATGGGGACAATG 3'(配列番号:17) DAMメチラーゼの発現は、ジャガイモプロテイナーゼ阻害性II遺伝子(ヌクレオチド2−310、Anら、1989による)の3'PinII配列を含む320塩基対のBamHI−NotI断片を結合することによって終結する。1.6kb長のXhoI−NotIDNA断片上に含まれるこのキメラ型遺伝子は、pBluescript(Stratagene)のバックボーンにおいて、増強されたカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(-421から+2までのヌクレオチドで、-421から-90までは直列型反復配列。Gardnerら、1981)、タバコモザイクウイルス(TMV)のリーダー配列(Gallieら、1987において報告された、79塩基対のHindIII−SalI断片)、トウモロコシ・アルコール脱水素酵素遺伝子のAdh-S対立遺伝子からのイントロン1を含む579塩基対の断片(Dennisら、1984)、酵素フォスフィノスリシン・アセチルトランスフェラーゼをコードするBAR遺伝子(ヌクレオチド160−704、Thompsonら、1987による。ここで第160ヌクレオチドは、MET開始コドンを作成するためにGからAに変更されている)、およびジャガイモプロテイナーゼ阻害性II遺伝子(ヌクレオチド2−310、Anら、1989による)からの終止配列、を含む単子葉植物性の発現プラスミドにおけるXhoI−NotI制限部位にクローニングした。 【0123】例3.雄性不稔の植物の産生植物を、DP5814によって形質転換させた。DP5814は、大腸菌のDAMメチラーゼ遺伝子と融合させたNdeI欠失誘導体、およびpinIIターミネーターを含む。このプラスミドは、BAR遺伝子と融合させたカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターを倍加した形で含む(Thompsonら、1987)。 【0124】構築物PHP6522(図13)は、DAMメチラーゼ遺伝子のコード配列をlexAの第1−202アミノ酸までのコード領域と置換した点を除き、DP5814に関して説明したものと同じである(Golemis, 1992)。 【0125】構築物PHP6555(図14)は、DP6522に関して説明したものと同じであるが、5126プロモーターを、トウモロコシ・ユビキチンプロモーターおよび1.9kb長のPstIDNA断片上に含まれるイントロンと置換した点のみが異なる。DP5814を、Bialophos抵抗性の植物が再分化するカルス細胞株であるHiタイプII(B73×A188)の内部に射撃導入した(Armstrong, 1991)。雄性捻性の対照とするため、形質転換を施していない植物も育成した。トランスジェニックおよび対照のカルスを、PCR法によって分析した。 【0126】当該の植物の種および用いた培養物の種類が再分化に対する感受性を有する限りにおいて、メチラーゼ遺伝子構築物を含むトランスジェニック植物を、同じ構築物によって形質転換された培養物から細分化させることができる。この文脈における「培養物」とは、培養に適した、細胞の凝集体、カルス、またはそれらの誘導体を包含する。 【0127】植物は、本明細書において開示した方法および当業者に周知の方法により、形質転換された細胞もしくは培養物、または移植片から再分化させることができる。方法は植物の種によって異なる。種子は、再分化した植物、または当業者に周知の育種法を用いて得られる、細分化した植物と同じ種の適した植物との間の交雑種から採取する。 例4.トウモロコシ植物の受精能に対する5126::DAMメチラーゼの効果【0128】DP5814構築物を用いて形質転換され、再分化したトウモロコシ植物を、DAMメチラーゼのコード領域の有無に関してPCR法により分析し、受精可能な花粉を産生する能力に関して点数をつけた。 【0129】大腸菌のDAMメチラーゼ遺伝子の有無を判定するために、当業者に非常に周知の方法であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた。用いたオリゴヌクレオチドはDO1266およびDO1267である。これらのオリゴヌクレオチドは以下の配列を有する。 DO1266(配列番号:18):5' ATG AAG AAA AAT CGC GCT TTT TTG AAG TGG GC-3'DO1267(配列番号:19):5' TCA CCC AGG CGG GCA AAA TCA GCC GAC A-3'これらのオリゴ体は、大腸菌のDAMメチラーゼ遺伝子を特異的に増幅するためのPCR法におけるプライマーとして用いた。 【0130】PCRにおいてDAMメチラーゼ遺伝子に関して陽性であった25種の独立した一次トランスジェニック・トウモロコシを分析した。これらのDAMメチラーゼに関してPCR陽性である植物のうち22種が雄性不稔であった。これらの植物に対して実施したサザン分析により、単一コピーまたは複数コピーの挿入が存在することが検出された。これらの雄性不稔の植物における花粉の発生を、PCR陰性または非形質転換植物のいずれかと比較した顕微鏡検査では、減数分裂前および減数分裂期の小胞子はすべての植物において観察することができたが、花粉四分子期の小胞子は、DAMメチラーゼ遺伝子に関してPCR陽性で、雄性不稔である植物に由来する葯においてはまったく観察されなかった。小胞子発生におけるこの変性は、5126NdeI欠失プロモーターの制御の下で発現した場合に、発生の同様の段階においてルシフェラーゼ活性が最初に検出されたとの観察結果と一致しており、初期の小胞子発生時期におけるDAMメチラーゼ遺伝子の発現が、正常な花粉の形成を妨げることを示唆する。 【0131】雄性不稔のトウモロコシ植物に対して、形質転換していないトウモロコシ植物に由来する花粉を授粉し、その種子を出芽させ、結果として得られた植物について、メチラーゼ遺伝子の存在と雄性不稔の相関を確定するために、除草剤抵抗性を有する雄性不稔の植物という条件および35S:Bar-5126:DAMメチラーゼ構築物の存在という2つの条件に関する同時分離を行った。13種の独立した雄性不稔のT0事象に由来するT1集団のサザン分析により、雄性不稔のバイアロフォス抵抗性の植物のすべてが大腸菌のDAMメチラーゼ遺伝子およびBAR遺伝子を含み、一方、雄性捻性のバイアロフォス感受性の分離群はこれらの遺伝子を含んでいないことが明らかになった。 【0132】T0植物においてなされた観察と同様に、減数第一分裂と花粉四分子期との間の時期に小胞子発生の変性が起こった。 例5.植物における雄性不稔の表現型と、メチル化の能力を持つ遺伝的構築物の挿入との相関を調べるためのサザンブロット法9mlのCTAB抽出緩衝液(100mMトリスpH7.5、1%ヘキサデシルトリメチル−臭化アンモニア、0.7M塩化ナトリウム、10mM EDTA)を、凍結乾燥した300mgの葉組織に添加し、ボルテックス処理の後、65℃で1時間インキュベートした。5mlのクロロホルム/オクタノール(24:1)溶媒を添加し、5分間混合した。抽出物に対して、2500rpmの遠心処理を30分間行った。最上層を取り除いて新しい試験管に入れ、11mlのCTAB沈降緩衝液(CTAB抽出緩衝液の組成から塩化ナトリウムを除いたもの)を添加した後、反転して30分間放置した。この試料に対して2000rpmの遠心処理を10分間行った。ペレットを再懸濁化するために、100mMトリス(pH7.5)、10mM EDTA、0.7M NaClからなる溶液2mlを添加し、60℃で15分加熱した。10μlのRNAseA(10mg/ml)を添加し、37℃で30分間インキュベートした。5mlの冷却した100%エタノールを試験管に添加し、ゆっくりと混合した後、曲率9インチのパスツールピペットを用いてDNAをすくい取り、76%エタノールおよび0.2M酢酸ナトリウムを含む試験管に入れ、20分間放置した。DNAを76%エタノールおよび0.2M酢酸ナトリウムを含む新しい試験管に入れ、水分を除き、300μlのTE(10mMトリス[pH7.5]、1mM EDTA)中に再懸濁した。制限酵素によって分解した5μgのゲノムDNAを、トリス−酢酸緩衝液を含む0.8%のアガロースゲル上で電気泳動した。この際、ゲルが膜状に変形するように調製するために、500mlの0.25M HCl中にて20分間、0.4M NaOH、0.6M NaClから成る溶液500ml中にて40分間、および500mlの0.5Mトリス(pH7.5)、1.5M NaClから成る溶液500ml中にて30分間、それぞれインキュベートした。25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を用いて、アマーシャムナイロンFP膜上へ転写した。変形後、膜を80℃の真空中で加熱した。膜は、最初に用いる前に、0.1XSCP(1XSCP、0.1M NaCl、16mMリン酸ナトリウム、pH7.0)および0.1%SDSを含む溶液中で30分間、65℃でインキュベートした。P32−dCTPでラベルしたDNAプローブは、アマーシャム社から提供されたランダムプライマーラベル化キットを用い、製造者の指示に従って作製した。DAMメチラーゼに特異的なプロモーターを作製するために、DP5814から635塩基対のBamHIDNA断片を単離して標識化した。BAR特異的なプロモーターを作製するために、DP5814から560塩基対のNcoI−BamHIDNA断片を単離して標識化した。ラベルしたプローブは10分間95℃で変性させ、20mlのハイブリダイゼーション緩衝液(0.1X硫酸デキストランを含む0.1XSCP)中の濾紙に添加し、65℃で一晩インキュベートした。0.1%SDSを含む65℃の0.1XSCPで濾紙を3回洗浄した。この濾紙をスクリーン(Dupont)とともに-70℃でX線フィルムに露光させた。 【0133】実施例6.トランジェントアッセイプラスミドの構築プラスミドL87を作製するため、lexA202遺伝子を含むHindIII/XhoI片(Golemis and Brent, 1992におけるpEG202の第734−1406ヌクレオチド)を、pBluescript SK+(Stratagene)中にクローニングした。このプラスミドの位置指定変異誘発(Su and ElGewley, 1988)を、オリゴヌクレオチドDO2326(配列番号:20):5' CCGTTAACGCTTTCATGACGCCCGGAATTAAGC 3'を用いて実施した結果、lexA-202リーディングフレームの開始ATG(ヌクレオチド754、Golemis and Brent, 1992)にBspHI部位が挿入され、プラスミドL87BspHI(図7)が得られた。L87BspHIから得られる、lexA配列をコードするBspHI/EcoRI断片の第1−202残基を含むキメラ型遺伝子を、前記のトウモロコシC1の第144−273残基のEcoRI/HpaI断片とインフレーム融合し、pBluescriptのバックボーンにおいて、増強されたカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(-421から+2までのヌクレオチドで、-421から-90までは直列型反復配列。Gardnerら、1981)、タバコモザイクウイルス(TMV)のリーダー配列(Gallieら、1987において報告された、79塩基対のHindIII−SalI断片)、トウモロコシ・アルコール脱水素酵素遺伝子のAdh-S対立遺伝子からのイントロン1を含む579塩基対の断片(Dennisら、1984)、およびジャガイモプロテイナーゼ阻害性II遺伝子(ヌクレオチド2−310、Anら、1989による)からの終止配列、を含む単子葉植物性の発現プラスミド中に導入し、プラスミドL121を得た(図8)。構築物DP5817(図9)は上記の、増強されたCaMVプロモーター、TMVリーダーAdhイントロン、およびpinIIターミネーター配列を含む。L87BspHIからのBspHI/SmaI断片上に位置する、lexAタンパク質の第1−202残基をコードする配列(Golemis and Brent, 1992におけるpEG202の第754−1382ヌクレオチド)を、L121に見いだされるlexA-C1キメラ型遺伝子との置換により、Adhイントロンの下流にクローニングした。 【0134】レポータープラスミドDP6232(図10)は、以下のヌクレオチド配列を有する相補性のオリゴヌクレオチド、DO2448およびDO2449上に存在する、lexA DNA結合部位が3回直列反復された配列を含む。 DO2448(配列番号:21): 5' GATCTACTGCTGTATATAAAACCAGTGGTTATATGTACAGTACTGCTGTATATAAAACCAGTGGTTATATGTACAGTACGGATG 3'DO2449(配列番号:22): 5' ACTACATATATTTTGGTCACCAATATACATGTCATGACGACATATATTTTGGTCACCAATATACATGTCATGCCGATG 3'【0135】これらのオリゴ体をアニーリングした後、切断されたCaMVプロモーター、TMVリーダー、ADHイントロン、ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子のコード領域(+53−+1708、deWetら、1987)、およびPinII終結配列からなる上流に位置するBgIII/NdeI断片(第-33−+2ヌクレオチド、Gardnerら、1981を参照)として、pBluescriptのバックボーンにクローニングした。 【0136】構築物DP6509(図11)は、トウモロコシ植物において発現するために設計された3つのキメラ型遺伝子を含むプラスミドである。また、このプラスミドは、前記の通りルシフェラーゼのコード配列に9塩基対を付加した状態を維持して、DP6232のDAMメチラーゼ遺伝子に関して説明したように、切断されたCaMVプロモーター、TMVリーダー、ADHイントロン、およびpinIIターミネーターの上流にlexA結合部位を含む。葯特異的な転写アクチベーター5126::lexA-C1をコードする遺伝子配列は、上記のDAMメチラーゼ・レポーター遺伝子のすぐ下流に位置する。この遺伝子は、L121に関して説明したように、DP5130からの5126プロモーター配列、LexA202-C1キメラ配列、およびPinII配列を載せたXhoI/NcoI断片を含む。このプラスミドにコードされる第3の遺伝子は、DP5814に関して説明したように、pBluescriptのバックボーン上に、増強されたCaMVプロモーター、TMVリーダー、Adhイントロン、BARコード配列、およびpinIIターミネーターを含む。 【0137】構築物DP6520(図15)は、DAMメチラーゼ遺伝子およびpinIIターミネーターのコード配列がジフテリア毒素コード領域および遺伝子7ターミネーターによって置換されている点を除き、PHP6509に関して説明した内容と同じである(Czako and An, 1990)。 【0138】構築物PHP8036(図16)は、5126プロモーターの第-503−-134位に加え、DP6509に関して説明したように、最小の-33 CaMVプロモーター、TMVリーダー、ADH1イントロン、DAMメチラーゼのコード領域、およびpinIIターミネーターの上流にlexA結合部位が融合したものを含む。また、このプラスミドは、1.9kbのトウモロコシ・ユビキチンプロモーターおよびイントロンを、ストレプトマイセス・ビリドクロマジェネス(Streptomyces viridochromagenes)に由来する改変型のフォスフィノスリシン-N-ア-セチルトランスフェラーゼ遺伝子(Pat)およびノパリン合成酵素遺伝子(Droge, et al.)と融合させることによって構築される選択マーカー構築物であるUbi-Patも含む。 【0139】構築物PHP8037(図17)は、650塩基対のSalI/BamHIDNA断片内に含まれるトウモロコシAdh1イントロンが、プラスミドの5126:lexA:DAMメチラーゼ部分から除去されている点を除き、PHP8036と同じである。 実施例7.lexA-C1とlexAのいずれか一方、または両方の一過性の同時発現によるlexA結合部位を含むルシフェラーゼレポーターの発現【0140】以下の2つの疑問点を明らかにするために実験を行った。まず第1は、細菌のDNA結合タンパク質であるlexAが、植物細胞における遺伝子の発現を促進および増強させることができるかどうかである。第2は、lexAタンパク質が転写アクチベーターlexA-C1と同時発現することにより、アクチベーター介在性の遺伝子発現を抑制するかどうかである。 【0141】lexAタンパク質は、lexA DNA結合部位(「lexAオペレーター」)を含むDNAの領域と結合すると考えられるが、mRNAの合成を開始するために必要な植物由来の転写成分を増加させることはないと考えられる。しかし、DNA結合タンパク質に対して転写アクチベーターとして作用することができるタンパク質領域を並置することにより、リポーター遺伝子の発現の増強が起こると考えられることが示されている(Rudenら、1991)。lexA遺伝子がトウモロコシ細胞におけるリポーター遺伝子の発現を促進する能力を検討するため、転写活性化ドメインをコードするトウモロコシC1遺伝子の領域(Goffら、1991)を、DNA結合タンパク質lexAと対応するDNAの領域とインフレーム融合させ、ハイブリッド遺伝子lexA202-C1を作製した。このハイブリッド遺伝子は、図8に示すようなプラスミドL121を作製するため、構成的プロモーター35Sの転写制御の下に置かれた。 【0142】さまざまな量のこの構築物を、lexA結合部位を含む一定量のルシフェラーゼレポーター遺伝子、すなわちプラスミドDP6232とともに、トウモロコシの胚形成性懸濁細胞内に同時射撃導入した。図12に示した通り、レポーター単独の場合はルシフェラーゼ比活性はきわめて低かったが(総タンパク質量1μg当たり14光単位(14LU/μg)、lexA-C1トランスアクチベーターを射撃1回当たり5ng以上の量を同時射撃導入した場合には、高いルシフェラーゼ活性(>9000LU/μg)が検出された。 【0143】lexAタンパク質がルシフェラーゼの高レベルの発現を抑制するかどうかを確定すめ、図9に示す35S:lexA構築物を含むプラスミドDP5817を、DP6232およびL121とともに、L121またはDP5817の量を各種変更しながら同時射撃導入した。図12に示す通り、lexA-C1構築物およびレポーターを含む投与物に対するDP5817の追加により、ルシフェラーゼ活性の低下が生じた。これらのデータを総合すると、トウモロコシの胚形成性懸濁細胞において、lexA-C1融合タンパク質が同時発現した場合にはlexA DNA結合部位を含む遺伝子の発現の増強が認められること、およびこの発現はlexAタンパク質によって抑制されるであると考えられる。 【0144】例8.雄性捻性の植物の復帰本発明によれば、雄性不稔の植物を雄性捻性に復帰させるためにはいくつかの戦略がある。タペータム特異的なプロモーター5126のようなプロモーターが転写アクチベーターLexA-C1遺伝子と融合し(本明細書では5126::LEXA-C1と呼ぶ)、その遺伝子のLexA部分がLexAオペレーター(LexAop)と呼ばれるDNA領域と結合する細菌のLexAタンパク質をコードし、その遺伝子のC1部分が、例えば最小の35Sプロモーターなどの最小のプロモーター要素の内部にLexAopを含む遺伝子の転写の活性化を促進するためのトウモロコシの転写機構と相互作用するトウモロコシC1タンパク質をコードしている場合にはカスケード的効果が起こる。 【0145】雄性不稔のトウモロコシ植物を作製するために、DAMメチラーゼ遺伝子を、最小のCAMV 35Sプロモーターと融合させたLexAopの制御の下に置いた。同じプラスミド上に、5126::LexA-C1領域および選択マーカー35S:BARが含まれる(図11、DP6509)。この構築物を導入した場合、葯におけるDAMメチラーゼ遺伝子の発現によって植物は雄性不稔となる。LexA-C1は5126による調節を受ける。 【0146】5126::LexA-C1およびLexAop::DAMメチラーゼを含む雄性不稔の植物に受精能を回復させるため、このような植物を、LexAのDNA部分のみと融合した5126プロモーターまたはその他の適したプロモーターを含む植物と交雑させた。5126:lexAを含む遺伝的構築物の存在は雄性捻性と対応する。lexAopと結合するタンパク質を発現するが、DAMメチラーゼ遺伝子の転写の活性化は行わない遺伝子の存在下においては、DAMメチラーゼタンパク質の合成は抑制され、そのためこの植物は雄性捻性となる。 【0147】トランスジェニック・トウモロコシは植物、本明細書で説明したように、プラスミドPHP6522、PHP6555、およびPHP6520を含むように作製される。雄性不稔性の構築物であるPHP6520を含むトランスジェニック・トウモロコシ植物を作製したトランスジェニック事象のうち、5件はT0世代において雄性不稔であることが確かめられ、3件は雄性捻性植物であることが確かめられた。雄性不稔を生じた事象のうち3件においては、T1世代における雄性不稔の表現型に関して、イグナイト(Ignite)抵抗性を用いる分離法によって分析した。その結果を表1に示す。 【表1】
【0148】雄性不稔の事象である937.59.35.2と937.63.25.1とを、ユビキチンプロモーター(PHP6555)または葯特異的プロモーター(PHP6522)の制御下にそれぞれ置かれたlexA遺伝子を含む植物に由来する花粉を用いることにより交雑した。結果は、不稔性の構築物(PHP6520)および抑制性の構築物(PHP6522または6555)の両方を含む植物は雄性捻性となるが、不稔性の構築物PHP6520のみを含む植物は雄性不稔となると考えられるというものであった。 【0149】トランスジェニック事象は前記の通り、最小のCaMVプロモーター(PHP8036またはPHP8037)と並置するようにlexA結合部位が埋め込まれた、改変型の5126プロモーター(図1の内容のうち、第1488部位の開始コドンから相対的に-503から-134の位置にあるヌクレオチド配列)を含む構築物を用いて実施した。これらの構築物を導入した場合、DNAメチラーゼ遺伝子の発現により、抵抗性の植物は雄性不稔となる。PHP8036またはPHP8037のいずれかを含むこのような雄性不稔の植物は、構成的(PHP6555)または組織特異的(PHP6522)な様式でlexAリプレッサーが発現する植物と交雑された。結果は、不稔性の構築物(PHP8036またはPHP8037)および抑制性の構築物(PHP6522または6555)の両方を含む植物は雄性捻性となるが、一方、不稔性の構築物であるPHP8036またはPHP8037のみを含む植物は雄性不稔となると考えられるというものである。 【0150】材料および方法サブトラクション・プローブ法(Invitrogen社による):サブトラクションcDNAプローブの作製は、サブトラクション・ライブラリーの作製方法と同様の方式によって行った。この方法の概略を以下に図示する。この図式では、誘導された(メッセージ+)mRNAプールから、ラベルしたcDNAをまず合成する。その結果生じるcDNA−RNAハイブリッドを、鋳型mRNAを除去するためにアルカリ処理し、続いてプールB(メッセージ-)からの過量の光ビオチン標識mRNAとハイブリダイズさせる。その結果生じる光ビオチン標識RNA/cDNAハイブリッドを遊離ストレプトアビジンと結合させ、選択的フェノール/クロロホルム抽出によりハイブリッド混合物から除去する。サブトラクションライブラリーの手順と同じく、ハイブリッドを形成していない(誘導された)cDNAを残して、ストレプトアビジン−光ビオチン標識核酸複合体を抽出する。結果として得られるサブトラクトされたcDNAプローブは、ハイブリダイゼーションブロットまたはスクリーニングライブラリーのために直接用いることができる。 【0151】
【0152】サブトラクションcDNAプローブの使用により、組織特異性を持つ稀な転写物に対応するcDNAクローンを同定する機会が増す。典型的なcDNAプローブにおいて、その全体の構成はmRNAの豊富さと比例している。各種の程度で発現した遺伝子に特異的な配列のためのcDNAプローブを豊富にすることにより、プローブは意図するクローンに対してさらに特異的となり、それはライブラリーのスクリーニングを容易にする。サブトラクションcDNAライブラリーは、特定の組織または誘導された細胞の状態に独特である豊富さに乏しいmRNAを示すcDNAクローンを同定するために、サブトラクトされたプローブとともに用いることができる。サブトラクトされたcDNAのライブラリーを用いる利点は、非サブトラクトcDNAライブラリーと対比して、スクリーニングする必要のあるクローンの数が少ないことである。 【0153】トランジェントアッセイの方法:トウモロコシ胚形成性懸濁細胞培養物は、記載された方法(Bowen, 1992)で懸濁液中に保管され、3日から4日毎に継代培養されている未成熟の胚に由来する。細胞を継代培養して2日後に収集し、射撃導入を行う前に、50mg/mlの密度の0.25Mマンニトールを含む増殖培地中にて一晩処理した。各射撃導入に際して、1mlの増殖培地で予め湿らせた濾紙上に25mgの細胞を載せた。3μgのレポータープラスミドDNA(DP6232)ならびに種々の量のDP5817および/またはL121(0.01−3μg)を、0.75mgの径1.8μmのタングステン製微粒子に沈着させ、製造者の指示(DuPont)に従い、PDS1000ヘリウム銃を用いてその混合物の6分の1を細胞内に射撃導入した。24時間後、細胞を収集し、1.5mlのスクリューキャップ式微小遠心管に移し、以下の手順のすべてを通じて4℃に維持した。試料を0.mlのGUS溶解性緩衝液によりホモジェナイズし(Rao and Flynn, 1990、ただし界面活性剤を全く用いない条件に改変した)、遠心処理により不要物を沈降させた。ルシフェラーゼアッセイは、積算時間10秒の設定で蛍光測定器(モデル2010;Analytical Luminescene, San Diego, CA)を用い、カリス(Callis)ら(1987)の記載に従って実施した。タンパク質の濃度は、バイオラッド(BioRad)社製タンパク質アッセイキットを用いて測定した。抽出物中のタンパク質は一般に抽出1回当たり0.75〜1.5μgであった。ルシフェラーゼの非活性(1μ/μg)は、25μlの抽出物のルシフェラーゼ光単位の測定によって算出し、抽出物1μl当たりの該当するタンパク質濃度に基づいて数値を修正した。表1に示したルシフェラーゼ活性は、各処置について3回行った射撃導入の結果の平均を表示したものである。小胞子特異的mRNAと相同な配列を含むTA39ゲノムクローンの単離;TA39プロモーター【0154】この実施例は、核酸プローブの利用が可能なすべての小胞子特異的なmRNAと相同な配列を含むゲノムDNAクローンを単離する方法を提供する。ここで説明する手法は、小胞子特異的な調節性配列を、その利用可能なプローブと相同である小胞子特異的なmRNAを有するすべての植物種から単離するために有用である。 【0155】タバコの葯特異的なcDNAクローンであるTA39は、UCLAのロバート・ゴールドバーグ(Robert Goldberg)博士から入手した。TA39は、いくつかのタペータム特異的な転写物に関して観察されるものと同様の時間的パターンを示して、約組織からのmRNAとハイブリッドを形成する(Kultunowら、1990)。インサイチュ(insitu)ハイブリダイゼーションにより、TA39が-1から+1までのステージ中は小胞子および結合組織において低いレベルで存在するが、ステージ1から6まではタペータムにおいてレベルが上昇することが示された(Goldbergら、1993)。 【0156】選択された植物のゲノムライブラリー、例えば、MboIで部分的に分解し、プラスミドEMBL-3にクローニングされた、N. tabacum, var. NK326(Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, California)に由来するDNA断片の市販ライブラリーは、cDNAクローンTA39に対する相同性を持つクローンに関してスクリーニングされている。サムブルック(Sambrook)ら(1989)に記載されている方法のような、標準的なハイブリダイゼーション法が用いられた。候補のクローンには、一貫したハイブリダイズ性のプラークが精製されるか、または存在しないことが示されるまで、プラークの採取、再平板培養、およびTA39cDNA挿入物による再プローブ化から成る精製のためのサイクルを3回またはそれ以上施した。 【0157】TA39cDNAクローンに関するタバコのゲノムのDNAクローンは、2種類の異なるファミリーが同定されており、それぞれのファミリーの中に2つの一部重複するクローンが得られている。それぞれのファミリーの一つのクローンを特徴分析のために選択し、それらを8B3クローンおよび14B1クローンと命名した。これらのゲノムクローンのそれぞれにおけるTA39と相同な領域は、この相同な領域の上流または下流に隣接する領域と併せて、制限酵素切断分析およびDNAハイブリダイゼーションによりマッピングされた。 【0158】これらのコード配列および関連する5'側の推定上の調節性領域をサブクローンとして単離し、続いて塩基配列の決定のためにさらにサブクローニングした。このようにして、ストラタジーン(Stratagene)社より入手したexoIIIおよびリョクトウヌクレアーゼを用いることにより、それぞれのゲノムクローンの欠失体の入れ子状セットを作製した。アイオワ州立大学の核酸研究施設において、入れ子状欠失体の塩基配列を、自動DNAシーケンサー(Applied Biosystems 373A)を用い、サンガー(Sanger)のジデオキシ・チェーンターミネーション法により決定した。TA39のcDNA挿入物についても、比較のために塩基配列を決定した。小胞子特異的なmRNAのTA39 cDNAと相同な領域において、ゲノムクローン8B3は完全にTA39と相同であり、一方、ゲノムクローン14B1の相当する部分では、TA39との相同性は約90%であった。 【0159】ゲノムクローン14B1および8B3の転写のための開始点を、推定状の翻訳開始部位の83塩基上流に位置する単一ヌクレオチドに対するプライマー伸長実験によりマッピングした。それぞれのクローンにおいて、マップされた転写開始点の31塩基対上流に完全なTATAボックスが見いだされ、両方のクローンとも、転写開始点の下流に110個のアミノ酸から成る主要なオープンリーディングフレームがそのまま存在していた(すなわち、転写開始部位から相対的にみて「+83」と呼ばれる位置)。また、両方のクローンとも14B1および8B3のクローンの翻訳終止コドンのそれぞれ29塩基対および37塩基対下流の位置にポリアデニル化認識部位を有していた。 【0160】形質転換の方法 双子葉植物に対する形質転換の方法には、直接DNAを到達させるための、多くの異なる既知の方法が含まれる。好ましい方法は、葉移植片に対する微粒子銃による微粒子の射撃導入である。その他の方法には、移植片に対するアグロバクテリウム・デリバリー法、アグロバクテリウムとプロトプラストとの共培養、電気穿孔、プロトプラストへのPEG取り込みもしくはその他の直接的DNAデリバリーまたは類似の方法、などが含まれる。トウモロコシなどの単子葉植物について好ましい方法は、射撃導入による処置を受けた細胞にDNAを直接到達させることであるが、電気穿孔などのその他の方法も用いることができる。 【0161】植物の細胞は、本発明の外来性のDNA配列により、従来の方式において形質転換される。形質転換された植物がアグロバクテリウムの感染に感受性を持つ場合は、無力化したT1プラスミドであり、外来性のDNA配列を含むベクターを用いることが好ましい。形質転換は、例えば欧州特許第0 116 718号および欧州特許第0270 822号などに記載されている手順を用いて実施することができる。好ましくは、T1プラスミドベクターは、境界配列の間、または少なくとも正しい境界配列の上流の位置に外来DNA配列を含む。植物細胞を形質転換させるために、直接遺伝子導入(例えば、欧州特許第0 237 356号、PCT国際公開85/01856号、および欧州特許第0 275 069号を参照)、例えば米国特許第4,684,611号に記載されているインビトロ(in vitro)でのプロトプラストの形質転換、例えば欧州特許第0067 553号および米国特許第4,407,956に記載されている植物ウイルスを介する形質転換、および米国特許第4,536,475に記載されているリポソームを介する形質転換などの手順により、その他の種類のベクターを用いることもできる。 【0162】形質転換される植物がトウモロコシである場合は、トウモロコシのいくつかの系統に関してフロム(Fromm)ら(1990)およびゴードン-カム(Gordon-Kamm)(1990)により記載されたものなどの、最近開発された形質転換の方法が用いられる。 【0163】形質転換される植物がイネである場合は、イネのいくつかの系統に関してシマモト(Shimamoto)ら(1990)、ダッタ(Datta)ら(1990)、クリストウ(Christou)ら(1991)およびリー(Lee)ら(1991)などにより記載されたものなどの、最近開発された形質転換の方法が適している。 【0164】形質転換される植物がコムギである場合は、トウモロコシおよびイネに関する前記の内容と類似した方法を用いることができる。好ましくは、単子葉植物、特にイネ、トウモロコシまたはコムギなどの穀類の形質転換のためには、微粒子銃による形質転換または電気穿孔などの直接的なDNA導入の方法が用いられる。このような直接的な導入の方法が用いられる場合は、本質的には本発明のDNA配列、QMトウモロコシ遺伝子および関連する調節領域のみが植物のゲノムに組み込まれるように、形質転換のためのDNAを最小にすることが好ましい。これに関して、本発明のDNA配列が構築され、細菌の宿主生物体におけるプラスミドにおいて複製される場合は、そのDNA配列を用いて植物を形質転換する前に、細菌の宿主生物体における増殖に必要とされる、複製起点、宿主生物体の選択のための抗生物質耐性遺伝子などのようなプラスミド配列を、外来性DNA配列を含むプラスミドの部分から分離しておくことが好ましい。デュポン(DuPont)社製ヘリウム銃のためのタングステン/DNA法の手順(微粒子銃による微粒子射撃導入による形質転換) 径1.8μmのタングステン微粒子60mgを測りとり、15mlの遠心管に入れる。2mlの0.1M HNO3を添加し、20分間氷上にて超音波処理する。HNO3を取り除く。1mlの滅菌脱イオン水を添加し、試料を2mlのサーステッド(Sarstedt)管に移す。軽く超音波処理する。遠心処理し、粒子をペレット状にする。H2Oを取り除く。1mlの100%EtOHを添加し、軽く超音波処理する。遠心処理し、粒子をペレット状にする。H2Oを取り除く。1mlの100%EtOHを添加し、軽く超音波処理する。遠心処理し、粒子をペレット状にする。EtOHを取り除く。1mlの滅菌脱イオン水を添加する。超音波処理する。250μlの懸濁液をピペットで4本の2ml試験管に移す。各試験管に750μlの滅菌脱イオン水を添加する。使用するまでの間はタングステン試料を凍結しておく。50μlのタングステン/H2O懸濁液をピペットで1.5ml試験管に移す(最初に超音波処理する)。10μgのDNAを添加し、混合する。50μlの2.5M CaCl2を添加し、混合する。20μlの0.1Mスペルミジンを添加し、混合する。軽く超音波処理する。10000RPMで10秒間遠心処理する。上清を除く。250μlの100%EtOHを添加し、軽く超音波処理する。10000RPMで10秒間遠心処理する。上清を除く。60μlの100%EtOHを添加する。 トウモロコシの形質転換破砕しやすい胚形成性のタイプIIカルス(Armstrong, 1991)を、B73を用いて授粉したA188株から単離した1-2mmの接合子胚から育成し、レジスター(Register)ら(1994)に記載されている方法で維持した。形質転換を行う前の4-6カ月は、カルスを2週間毎に継代培養した。形質転換に際して、カルスを液体培地中に懸濁化し、孔径710μmのフィルターメッシュを用いて濾過し、40mg/mlの密度に再懸濁した。200mgのカルス細胞をグラスファイバー製のフィルター上に均等に広げ、金の代わりに1.0μmのタングステン粒子を用いる条件以外は、レジスターら(1994)らの記載に従って微粒子の射撃導入を実施した。形質転換体の選択および植物の再分化はレジスターらの記載に従って実施したが、すべての適した培地において、バイアロフォスの濃度は3mg/lに上げた。 安定なトランスジェニック植物を回収するための、トウモロコシの形質転換の手順第1日 細胞を液体培地中に置いた後、濾過する(710μm)。100-200mgの細胞を収集して径5.5cmのグラスファイバー製フィルター上に、径3.5cmの広さに広げる。細胞を培地に移し、一晩インキュベートする。 第8日 フィルターおよび細胞を培地から取り出し、水分を除いた後に射撃導入を実施する。フィルターおよび細胞を培地に戻す。 第5日 フィルター上の細胞を選択培地(3mgのバイアロフォスを含む)に移す。 第12日 フィルター上の細胞を新しい選択培地に移す。 第19日 細胞をフィルターからはがし取り、8.6%の低融点シーアガロースを含む5mlの選択培地中に分散させる。細胞および培地を、20mlのゲルライト(gel-rite)凝固培地を含む2枚の100mm×15mmのプレート上に広げる。 第40日 形質転換体と考えられるものをプレートから採取する。 第61日 新たなコロニーの有無に関してプレートを検査する。 【0165】参照文献
【0166】 【配列表】(1) 一般情報:(i) 出願人:(A) 名称: PIONEER HI-BRED INTERNATIONAL, INC.(B) 街路名: 700 CAPITAL SQUARE, 400 LOCUST STREET(C) 市名: DES MOINES(D) 州名: IOWA(E) 国名: UNITED STATES OF AMERICA(F) 郵便番号: 50309(ii) 発明の名称:トランスジェニック植物における雄性不稔のための可逆的核遺伝システム(iii) 配列数: 23(iv) 文書通信情報:(A) 宛名: Foley & Lardner(B) 街路名: 3000 K Street, N.W., Suite 500(C) 州名: D.C.(E) 国名: USA(F) 郵便番号: 20007-5109(v) コンピューター読み取りフォーム:(A) メディア形式: Floppy disk(B) コンピューター: IBM PC comptible(C) 運転システム: PC-DOS/MS-DOS(D) ソフトウェア: PatentIn Release #1.0, Version #1.30(vi) 現出願データ:(A) 出願番号:(B) 出願日:(vii) 親出願データ:(A) 出願番号: US 08/351,899(B) 出願日: 08-DEC-1994(viii) 弁護士/代理人情報:(A) 氏名: BENT, Stephen A.(B) 登録番号: 29,768(C) 参照/明細書番号: 33229/377/PIHI(ix) 電気通信情報:(A) 電話: (202)672-5300(B) ファックス: (202)672-5399(C) テレックス: 904136(2) 配列番号:1の情報:(i) 配列の特性:(A) 配列の長さ: 1490塩基対(B) 配列の型: 核酸(C) 鎖の数: 二本鎖(D) トポロジー: 直鎖状(xi) 配列の記載:配列番号:1:
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| 【出願人】 |
【識別番号】591119196 【氏名又は名称】パイオニア ハイブレッド インターナショナル インコーポレイテッド 【氏名又は名称原語表記】PIONEER HI−BRED INTERNATIONAL,INCORPORATED
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| 【出願日】 |
平成7年12月7日(1995.12.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102978 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 初志 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−354954(P2002−354954A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月10日(2002.12.10) |
| 【出願番号】 |
特願2002−66072(P2002−66072) |
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