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【発明の名称】 植物におけるリゾチーム遺伝子の使用
【発明者】 【氏名】リユデイガー・ハイン

【氏名】クラウス・シユテンツエル

【要約】 【課題】植物に有害生物に対する抵抗力を付与するための遺伝子構造物の使用。

【解決手段】菌・カビおよび動物性有害生物に対してイネもしくはとうもろこしの抵抗力を増大させるためのリゾチームを発現するリゾチーム遺伝子構造物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 菌・かびおよび動物性有害生物に対してイネもしくはとうもろこしの抵抗力を増大させるためのリゾチームを発現するリゾチーム遺伝子構造物の使用方法であって、該遺伝子構造物が、Tiプラスミド由来のTRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るかまたは該キメラ遺伝子融合物を含んで成ることを特徴とする方法。
【請求項2】 菌・かびおよび動物性有害生物に対して増大した抵抗力を有するイネもしくはとうもろこしを作出すためのリゾチームを発現するリゾチーム遺伝子構造物の使用方法であって、該遺伝子構造物が、Tiプラスミド由来のTRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るか、または該キメラ遺伝子融合物を含んで成ることを特徴とする方法。
【請求項3】 リゾチーム遺伝子構造物が非植物性起源のリゾチーム遺伝子を有する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】 リゾチーム遺伝子構造物がにわとりのアルブミンリゾチーム遺伝子および/またはT4−フアージリゾチーム遺伝子を有する請求項1または2記載の方法。
【請求項5】 リゾチーム遺伝子構造物がプラスミドpSR2−4上に存在するものであるか或いは、本質的にそれと同様に作用するそのDNA配列を有する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】 菌・かびおよび動物性有害生物に対する抵抗力を増大させるためにプロトプラストを包含するイネもしくはとうもろこしの細胞または種子および該植物の部分を包含するイネもしくはとうもろこしを形質転換するためのリゾチームを発現するリゾチーム遺伝子構造物の使用方法であって、該構造物が、Tiプラスミド由来のTRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るかまたは該キメラ遺伝子融合物を含んで成ることを特徴とする方法。
【請求項7】 菌・かびおよび動物性有害生物に対する増大した抵抗力を有し、そしてゲノム中に1個以上のリゾチーム遺伝子構造物を担持する形質転換されたプロトプラストを包含するイネもしくはとうもろこしの細胞あるいは種子および植物の部分を包含するイネもしくはとうもろこしであって、該遺伝子構造物がTiプラスミド由来のTRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るか、または該遺伝子融合物を含んで成ることを特徴とするイネもしくはとうもろこし。
【請求項8】 (a)Tiプラスミド由来のTRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るか、または、これらのキメラ遺伝子融合物を含んで成ることを特徴とする、1個以上のリゾチーム遺伝子構造物がプロトプラストを包含するイネもしくはとうもろこしの細胞のゲノム中に導入され、そして、適宜、(b)完全に形質転換された該植物が、形質転換された該植物細胞(プロトプラストを含む)から再生され、そして適宜、(c)該植物(種子を含む)の所望の部分が結果として得られる形質転換された該植物もしくはそれらの子孫から得られる、ことを特徴とする、請求項7記載の、菌・かびおよび動物性有害生物に対して増大した抵抗力を有する形質転換されたプロトプラストを包含するイネもしくはとうもろこしの細胞または種子および植物の部分を包含するイネもしくはとうもろこしの作出方法。
【請求項9】 菌・かびおよび動物性有害生物に対して増大した抵抗力を有するイネもしくはとうもろこしの種子、枝条または台芽を作出すため、あるいは、新規な該植物またはそれらの双子葉植物の種子、枝条または台芽を作出すための、請求項7記載の、形質転換したプロトプラストを包含するイネもしくはとうもろこしの細胞または種子および植物の部分を包含するイネもしくはとうもろこしの使用方法。
【請求項10】 請求項7記載の形質転換したイネもしくはとうもろこしの細胞あるいは該植物を繁殖させることによって得ることのできる、菌・かびおよび動物性有害生物に対して増大した抵抗力を有する、イネもしくはとうもろこしの種子、枝条または台芽。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菌・かびおよび動物性有害生物に対する植物の抵抗力を増大させるための、植物中でのリゾチーム遺伝子構造物の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】穀物植物の世界の収穫のかなりの部分が、有害生物によつて常に破壊されている(1967年の潜在的生産高の損失は35%であつた;Chemistry of Pesticides,K.H.Buechel 著、John Wiley & Sonc,New York、1983年6頁参照)。従つて、穀物植物に有害生産が繁殖するのを減少または阻止するために適切な、全ての可能な手段を研究し、利用すべき緊急な要求がある。
【0003】国際出願公開 WO 89/04371には、特定のバクテリアに対する抵抗力を増大させるための、特定のリゾチーム遺伝子を有する植物の形質転換が記述されている。
【0004】
【発明の構成】TRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上(好適には1個)のキメラ遺伝子融合物のリゾチーム遺伝子から成るか、または、これらのキメラ遺伝子融合物を有することを特徴とするリゾチームを発現する1個以上(好適には1個)のリゾチーム遺伝子構造を、植物のゲノム中に導入することによつて、菌・かびおよび動物性有害生物に対して植物の増大した抵抗力が得られることを見い出した。
【0005】従来技術の知識では、本発明に従つて用いられる遺伝子構造の助けで、病原に対する植物の特に際立つた抵抗力が達成されたことは驚くべきことであり、そして、予想ができなかつた。
【0006】リゾチームという言葉は、天然にある酵素EC3.2.1.17の群を表わす。例として、にわとりのアルブミンリゾチームおよびT4−フアージリゾチームが挙げられる。
【0007】リゾチーム遺伝子は、RNAに転写されそしてタンパク質に翻訳された後、リゾチームの公知の性質を有する酵素の生成を生じる(適切な環境下で)いかなる核酸(DNA)をも意味するとして理解されるものとする。
【0008】リゾチーム遺伝子構造物もしくはそれらの構成要素は、それらの機能を妨げないか、大きくは妨げない、他のDNA配列を、例えば、それらの最初の部分および/または終りの部分に、有することができる。
【0009】リゾチーム遺伝子およびリゾチーム遺伝子構造物の他の構成要素は、それらの起源となる有機体のゲノム中(リゾチームをコードしないか、そして/または非調節配列、例えばイントロン、を含む“ゲノム的”形態)、に含まれるのと同様の形で、或いは、逆転写酵素/ポリメラーゼの助けでmRNAを通して得られる(そしてもはやイントロンを含まない)cDNA(“コピー”DNA)に相当する形で、存在することができる。
【0010】本発明に従つて用いることのできるリゾチーム遺伝子構造物において、DNA配列は、本質的に同様に作用する他のDNA配列に置き換えることが可能である。
【0011】それらはまた、末端に、特別な遺伝子操作に適切なDNA配列(例えば“リンカー”)を有することができる。
【0012】本発明に従つて用いることのできる好適なリゾチーム遺伝子構造物は、プラスミドpSR2−4中に存在するように、リゾチーム遺伝子に加えて、TRプロモーターおよび大麦α−アミラーゼのシグナルペプチト配列を有するキメラ遺伝子融合物から成るか、或いは、これらを含んで成る。
【0013】本発明に従う好適なリゾチーム遺伝子構造物は、にわとりのアルブミンリゾチーム遺伝子および/またはT4−フアージリゾチーム遺伝子を有する。特にT4−フアージリゾチーム遺伝子が好ましい。本発明に従つて用いられる特に好適な遺伝子は、プラスミドpSR2−4中に存在するようなT4−フアージリゾチーム遺伝子、並びに、本質的に同様に作用するDNA配列である。
【0014】TRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチト配列およびプラスミドpSR2−4に含まれるような、T4−フアージリゾチーム遺伝子のタンパク質を暗号化する領域のキメラ遺伝子融合物の使用が、特に強調される。
【0015】必要ならば、T4−フアージリゾチーム遺伝子、TRプロモーターおよび大麦α−アミラーゼのシグナルペプチト配列から成るか、或いは、この遺伝子融合物を有するところの遺伝子融合物を有する配列は、制限酵素の助けでプラスミドpSR 2−4から通常の方法で得られる。
【0016】リゾチーム遺伝子は、遺伝子構造物中に完全に存在することができる、即ち、それらの自然のままの調節部分(特にプロモーター)を有するか、或いは、タンパク質リゾチームをコードする構造遺伝子の形態でのみ、存在することができる。
【0017】プラスミドpSR2−4を有する大腸菌株TBI pSR2−4を、DeutscheSammlung von Mikroorganismen[ドイツ国微生物収集](DSM)、MascheroderWeg 1b、D−3300 Braunschweig、ドイツ連邦共和国に、特許手続きの目的のための微生物に関するブダペスト条約(the Budapest Convention of Microorganisms for the Purpose of Patent Proceedings)の規定に従つて、寄託し、その受託番号はDSM5455(寄託日:1989年7月25日)である。
【0018】本発明に従えば、有害生物、特に菌・かびおよび動物性有害生物、特に節足動物、例えば昆虫およびダニおよびまた線虫に対する抵抗性、或いは、増大した抵抗性、を得ることが可能である。これに関連して特に強調すべきは、植物病原の菌・かびである。
【0019】有害昆虫は、特に次の種類の昆虫である:直翅目(Orthoptera)、ハサミムシ目(Dermaptera)、シロアリ目(Isoptera)、アザミウマ目(Thysanoptera)、半翅目(Heteroptera)、同翅目(Homoptera)、鱗翅目(Lepidoptera)、鞘翅目(Coleoptera)、膜翅目(Hymenoptera)および双翅目(Diptera)。
【0020】有害なダニ類は特に:ホコリダニ(Tarsonemus spp.)、ミカンリンゴハダニ(Panonychus spp.)およびナミハダニ(Tetranychus spp)である。
【0021】有害な線虫類は特に:プラチレンカス(Pratylenchus spp.,)、ヘテドデラ(Heterodera spp.)およびメロイドギネ(Meloidogyne spp.)である。
【0022】植物病原の菌・かびは特に:プラスモジオフオロミセテス(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、キトリジオミセテス(Chytridio‐mycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、嚢子菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)である。
【0023】上に示した属名の範中に含まれる菌・かびによる病気の原因となるいくつかの病原菌を例示するが、これによつて限定されるものではない:ピチウム(Pythium)種、例えば苗立ち枯れ病(Pythium ultimum);フイトフトラ(Phytophthola)種、例えば疫病(Phytophthora infestans);プソイドペロノスポラ(Pseodoperonospora)種、例えばべと病(Pseudoperonospora humuli 又はPseudoperonospora cubense);プラスモパラ(Plasmopara)種、例えばべと病(Plasmopara viticola);ツユカビ(Peronospora)種、例えばべと病(Peronospora pisi又はPeronospora brassicae); エリシフエ(Erysiphe)種、例えばうどんこ病(Erysiphe graminis);スフアエロテカ(Sphaerotheca)種、例えばうどんこ病(Sphaero-theca fuliginea);ポドスフエラ(Podosphaera)種、例えばうどんこ病(Podosphaera leucotricha);ベンチユリア(Venturia)種、例えば黒星病(Venturia inaequalis);ピレノホラ(Pyrenophora)種、例えば網斑病(Pyrenophora teres又はPyrenophora graminea)(分生胞子器型:Drechslera、同義:Helminthosporium);コクリオボルス(Cochliobolus)種、例えば斑点病(Cochliobolus sativus)
(分生胞子器型:Drechslera、同義:Helminthosporium);ウロミセス(Uromyces)種、例えばさび病(Uromyces appendiculatus);プシニア(Puccinia)種、例えば赤さび病(Puccinia recondita);ふすべ菌属(Tilletia)種、例えば網なまぐさ黒穂病(Tilletia caries);黒穂病(Ustilago)種、例えば裸黒穂病(Ustilago nuda又はUstillago avenae);ペリキユラリア(Pellicularia)種、例えば紋枯病(Pellicularia sasakii);ピリキユラリア(Pyricularia)種、例えばいもち病(Pyricularia oryzae);フーザリウム(Fusarium)種、例えばフーザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum);灰色かび属(Botrytis)種、例えば灰色かび病(Botrytis cinerea);セプトリア(Septoria)種、例えばふ枯病(Septoria nodorum);レプトスフエリア(Leptosphaeria)種、例えばレプトスフエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum);セルコスポラ(Cercospora)種、例えばセルコスポラ・カネセンス(Cercospora canescens); アルテルナリア(Alternaria)種、例えば黒斑病(Alternaria brassicae)及びプソイドセルコスポレラ(Pseudocercosporella)種、例えばプソイドセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotricho ides)。
【0024】更にヘルミンチトスポリウム カルボナム(Helminthosporium carbonum)が挙げられる。
【0025】本発明に従えば、実質的にすべての植物に上記の有害生物に対する抵抗力もしくは増大した抵抗力を与えることが可能である。当然のことながら、穀物植物中、例えば、もみの木類、えぞ松類、ドーグラシアス(douglasias)、松類、から松類、ぶな類およびオーク類のような森林植物、並びに例えば穀物類(特に小麦、ライ麦、大麦、からす麦、きび、米およびとうもろこし)、じやがいも類、豆類、大豆類、落花生類、野菜類(特にキヤベツ種およびトマト類)、くだもの(特にりんご、西洋なし、さくらんぼ、ぶどう、かんきつ類、パイナツプルおよびバナナ)、油やし、紅茶、ココアおよびコーヒー低木、タバコ、サイザル麻および綿のような食料品および原料を作り出す植物中、そして例えばラウオルフイア(Rauwolfia)およびジギタリスのような薬用植物中に、抵抗力を作り出すことへの特別な要求がある。
【0026】既に提案したように、リゾチーム遺伝子構造物が、本発明に従つて、1個以上のコピーで(ゲノムの同じ座、或いは、違つた座に)、天然植物ゲノム中に導入される。既にリゾチーム合成可能な植物では、1個以上の追加的、選択的“異質の”リゾチーム遺伝子を導入することによつて、著しく増大した抵抗作用が生じ得る。
【0027】既に記述したように、本発明に従つて形質転換された植物細胞および植物の増大した抵抗力は、農業および林業、観賞用植物および薬用植物の生産、そして植物の品種改良において、重要である。例えば、薬学的に有用な物質を得る目的で植物細胞を培養する時に、特に菌・かびに対して増大した抵抗性を有する植物細胞を利用できるのはまた、優位である。
【0028】本発明はそれ故また、(a) TRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るか、または、これらのキメラ遺伝子融合物を含んでなる1個以上のリゾチーム遺伝子構造物が、植物細胞(プロトプラストを含む)のゲノム中に導入され、そして、適宜、(b) 完全に形質転換された植物が、形質転換された植物細胞(プロトプラストを含む)から再生され、そして適宜、(c) 植物(種子を含む)の所望の部分が、結果として得られる形質転換された植物もしくはそれらの子孫から得られる、ことを特徴とする、菌・かびおよび動物性有害生物に対して増大された抵抗力を有する形質転換された植物細胞(プロトプラストを含む)および植物体(種子および植物の部分を含む)を作り出す方法に関する。
【0029】菌・かびおよび動物性有害生物に対する増大した抵抗力を有し、1個以上のリゾチーム遺伝子構造物を有する、形質転換した植物細胞(プロトプラストを含む)および植物(種子および植物の部分を含む)、並びに、上記の方法により得ることができるこれらの形質転換された植物細胞および植物は、また、本発明の主題である。
【0030】本発明の部分はまた(a) TRプロモーター、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列および1個以上のリゾチーム遺伝子のキメラ遺伝子融合物から成るか、これらのキメラ遺伝子融合物を含んでなるリゾチーム遺伝子構造物の使用、および、菌・かびおよび動物性有害生物に対して増大した抵抗力をもたらすところの植物細胞(プロトプラストを含む)および植物(種子および植物の部分を含む)を形質転換するための、ベクター、および、リゾチーム遺伝子構造物を含む、本発明に従う形質転換された微生物の使用、並びに、(b) 増殖物質を作り出すため、新規な植物およびその増殖物質を作り出すための、本発明による形質転換された植物細胞(プロトプラストを含む)および植物(種子および植物の部分を含む)の使用および、当然のことながら、(c) 特別な抵抗性を増大させることによる、菌・かびおよび動物性有害生物を駆除し、制御するためのリゾチーム遺伝子構造物の使用。
【0031】リゾチーム遺伝子構造物を植物の遺伝物質、または植物細胞、の中に導入するために利用できる、数多くの種々の方法がある。遺伝子は、一般的な通常の公知の方法で移すことが可能で、そして、当業者によつて、各場合とも難なく、この方法は適切であることがわかる。
【0032】アグロバクテリウム・ツメフアシエンス(Agrobacterium tumefaciences)のTi−プラスミドは、異質なDNAを、双子葉植物および単子葉植物のゲノム中に移すために、特に好適でそして広く用いられるベクターとして利用され得る。リゾチーム遺伝子構造物が、適切なTi−プラスミドのT−DNA中に導入(例えばZanbryski他、1983年)され、そして、植物を感染させるか、葉盤を感染させるか、或いは、アグロバクテリウム・ツメフアシエンスとプロトプラストとを共培養することによつて、移される。
【0033】別法として、リゾチーム遺伝子構造物を、多陽イオン、或いは、カルシウム塩類とポリエチレングリコールの存在下で、プロトプラスト質体と一緒に培養することができる(例えばDavey他、1980年;Hain他、1985年;Krens他、1982年;Paszkowski他、1984年)。
【0034】DNAの取り込みは、また電場(エレクトロポレーシヨン)によつて追加的に促進され得る(例えばFromm 他、1986年)。
【0035】DNAはまた、物理的に加速したDNAを担持する粒子で、花粉に衝撃を与えることによつて、植物の花粉から公知の方法で導入され得る(EP−A 0.270,356参照)。
【0036】植物は、適切な培養基の助けで公知の方法によつて再生される(例えばNagyおよびMaliga、1976年)。
【0037】例えば、通常の方法(例えばVan Haute他、1983年)で、プラスミドpSR2−4は、例えばpGV3850;もしくはそれらの誘導体(Zambryski他、1983年)を有するアグロバクテリウム・ツメフアシエンスに移され得る。形質転換の成功は、ノパリン(nopalin)もしくはNPT(II)を検出することによつて調べることができる。また、リゾチーム遺伝子構造物はバイナリーベクター(例えばKonczおよびSchell、1986年)中で無性生殖させられ、上述のように適切なアグロバクテリウム種に移される(KonczおよびSchell、1986年)。植物に移すことができる形態となつたリゾチーム遺伝子構造物を有する結果として得られるアグロバクテリウム種は、植物を形質転換するために更に用いられる。
【0038】好適な具体例として、単離されたプラスミドpSR2−4が、直接的遺伝子転移による通常の方法で植物プロトプラストに転移される(例えばHain他、1985年)。この方法では、プラスミドは、環状、しかし好適には直線状、の形態で存在できる。
【0039】プラスミドpSR2−4が、レポーター遺伝子と共に用いられる場合、カナマイシン耐性プロトプラストが、リゾチームの発現について試験される。
【0040】形質転換(遺伝子導入)した植物、もしくは植物細胞は、例えばリーフディスク形質転換(例えばHorsch他1985年)、再生する植物プロトプラストもしくは細胞培養をアグロバクテリウム・ツメフアシエンスと共培養すること(例えばMarton他1979年、Hain他1985年)、或いは、直接DNA−トランスフエクシヨンすること、による公知の方法で調製される。結果として得られる形質転換された植物は、試験管中でのレポーター遺伝子の発現についての選択、例えばカナマイシンスルフエートのリン酸化(Reis他、1984年;Schreier他1985年)によるか、或いは、ノパリン(nopalin)シンターゼの発現(Aerts他、1983年に従う)によるか、または、ノーザンブロツト分析とウエスターンブロツト分析によるリゾチームの発現によつて、検出される。形質転換した植物のリゾチームは、特別な抗体を用いる公知の方法で検出することも可能である。
【0041】形質転換された植物細胞は、特に適切な培養基の助けで、一般的に常用されている方法を用いて培養され、完全な植物に再生される。
【0042】形質転換された植物細胞、並びに、リゾチームを有する形質転換された植物は、植物病原性の菌・かびおよび動物性有害生物、特に昆虫、だに、および線虫、に対して相当に改良された抵抗力を示す。
【0043】本発明に関して“植物”という言葉は、完全な植物ばかりでなく植物体の部分、例えば葉、種子、塊茎、切り枝などを示す。“植物細胞”は、プロトプラスト、細胞系、植物カルスなどを含む“増殖物質"は、形質転換させた植物および植物細胞を繁殖させるために用いられる植物および植物細胞を示す。
【0044】本文中“本質的に同様に作用するDNA配列”という言葉は、本発明にはまた、リゾチーム遺伝子もしくはその部分の機能がリゾチームをもはや形成しないか、或いは、調節遺伝子部分がもはや有効でなくなる程には影響を受けないような、改変も含まれることを意味している。適当な改変は、DNA配列、個々のコドンおよび/または個々の核酸を置き換えるか、加えるか、および/または除くかすることで行なわれ得る。
【0045】本発明に従つて用いられる微生物における“突然変異体”は、本発明を実施するのに必須な特徴をいまだ有している改変された微生物、特に特定のプラスミド、を示す。
【0046】下記の例示する具体例は、本発明をより詳細に具体的に説明することを意図したものである。
1.用いたプラスミド構造pSR2−4に関する記述(第1図参照)
プラスミドpSR2−4は、TRプロモーター(Velten他、1984年)、大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列およびT4−フアージリゾチーム遺伝子のたん白質をコードする領域(K.Durring、博士論文、Cologne大学、1988年)からの、表現ベクターpAP2034(VeltenおよびSchell、1985年)中に組み込まれたキメラ遺伝子融合物を有するプラスミドpSR2−4の大きさは9.3Kbである第1図プラスミドpSR2−4(9.3Kb)は下記のように示される:pTR = A.ツメフアシエンスからのデユアル植物プロモーターocs pA = オクトピンシンターのポリアデニレーシヨン配列領域KmR = カナマイシン耐性遺伝子、植物中で活性g7pA = アグロバクテリウム遺伝子7のポリアデニレーシヨン領域CbR = カルブペニシリン耐性遺伝子SmR = ストレプトマイシン耐性遺伝子SpR = スペクトマイシン耐性遺伝子線影の部分 = 大麦α−アミラーゼのシグナルペプチド配列lys = T4−フアージリゾチームをコードする配列以下に記述する方法に従つて、リゾチーム遺伝子構造物を、例えばタバコおよびじやがいも中に移植した。
【0047】既に上に説明したように、容易に単離され得る形態で、プラスミドpSR2−4を有する大腸菌株TBI pSR2−4がDeutsche Sammlung von Mikroorganismen(ドイツ国微生物収集)に寄託されている。
2.タバコの形質転換a)タバコ苗条培養およびタバコプロトプラストの単離:ニコチアナタバキユム(Nicotiana tabacum)(Petit Havanna SR1)は、ホルモンの入つていないLS培地(Linsmaier and Skoog 1965年)上に苗条無菌培養として増殖させる。苗条培養は、約6〜8週間の間隔で新鮮なLS培地に移植する。苗条培養を24〜26℃、12時間光(1000〜3000ルツクス)で、成長キヤビネツト中に保存した。葉のプロトプラストを単離するために、約2gの葉(長さ約3〜5cm)を、新しいかみそりの刃を使用して、小片に切断する。この葉の物質を、K3培地(Nagy and Maliga 1976年)、0.4mサツカロース、pH5.6、2%のゼルラーゼ(Zellulase)R10(Servaによる)および0.5%のマセロチム(Macerozym)R10(Servaによる)を含有する酵素溶液20ml中、室温で14〜16時間培養する。この後、プロトプラストを0.30mmと0.1mmのスチール製ふるい上で濾過することによつて、細胞の断片から分離する。濾液を10分間100×gで遠心分離する。この遠心分離中、損傷を受けていないプロトプラストが浮遊し、そして酵素溶液の上部の端に帯状に集まる。細胞の破片のペレツトおよび酵素溶液をガラスキヤピラリーで吸引することによつて除去する。予め洗浄したプロトプラストを、新鮮なK3培地(浸透性の活性剤として0.4Mサツカロース)で10mlとし、再び浮遊させる。洗浄培地を除去し、培養または引き続くアグロバクテリアによる感染(コカルチヤーのため1−2×105/mlに希釈する。プロトプラスト濃度を血球計算盤中で測定する。
b)アグロバクテリウム・ツメフアシエンスとのコカルチヤーによる再生タバコプロトプラストの形質転換:以下では、Marton他、1979年の方法を若干修正した方法を用いた。プロトプラストを上述したように単離し、K3培地(0.4Mサツカロース、0.1mg/1 NAA、0.2mgのキネチン)中1−2×105/mlの密度で、暗所で2日間そして26℃で弱い光(500ルツクス)の下、1〜2日間培養する。最初の原形質分裂が生じるとすぐ、最少A(Am)培地中のアグロバクテリウム懸濁液(密度、約109アグロバクテリア/ml)の30μlを、3mlの再生プロトプラストに加える。同時培養期間は、暗所で20℃、3〜4日である。この後、たばこ細胞を12mlの遠心分離管に移し、海水(600 mOsm/kg)で10mlに希釈し、60×gで10分間ペレツト状にした。この洗浄工程を1〜2回更に繰り返して、ほとんどのアグロバクテリアを除去する。細胞懸濁液を5×104/mlの密度で、1mg/l NAA(ナフチル−1−酢酸)、0.2mg/lケネチン、および500mg/lのセフアロスポリン抗生物質のセフオタキシム(Cefotaxime)と共に、K3培地(0.3mサツカロース)中で培養する。各週、細胞懸濁液を新鮮なK3培地で希釈し、培地の浸透価を、コカルチヤー後2〜3週間、週当りサツカロースを0.05m(約60mOsm/kg)づつ徐々に減らし、カナマイシンを用いた希釈(100mg/lカナマイシンサルフエート)(Sigmaによる)、660mg/gの活性カナマイシン)をアグロースービードータイプ培養(Shillito他、1983年)中で開始する。カナマイシン−耐性のコロニーが、背景の遅れたコロニーからの選択が始まつた後3〜4週間で、区別される。
c)DNAを用いたタバコプロトプラストの直接形質転換、硝酸カルシウム/PEG形質転換180μlのK3培地中の約106プロトプラストを、ペトリ皿中でμl当り0.5μgのpSR2−4を含有するONA水溶液20μlと一緒に注意深く混合する。200μの融合溶液(0.1Mの硝酸カルシウム、0.45Mのマンニトールおよび25%のポリエチレングリコール(PEG6000)、pH9)を、続いて注意深く加える。15分後、5mlの洗浄溶液(0.275Mの硝酸カルシウム、pH6)を加え、そして、更に5分後、遠心分離管にプロトプラストを移し、60×gでペレツト状にする。このペレツトを少量のK3培地中に摂取し、次章に記述するように培養する。二者択一的に、プロトプラストはHain他、1985年の方法で形質転換され得る。
d)DNAで培養したプロトプラストの培養およびカナマイシン−耐性のカルスの選択修正“ビードータイプ培養”技術(Shilito他1983年)をこの培養に用い、カナマイシン耐性コロニーの選択を下記に示す。DNAでプロトプラストを処理した後1週間後(C参照)、この細胞懸濁液3mlを、5cmのペトリ皿中で、3mlのK3培地(0.3Mのサツカロース+ホルモン類;1.2%の(Seaplaque)LMT Agarose(低融点のアガロース、Marine Colloidsによる)と一緒に混合する。この目的のため、乾燥アガロースを加圧滅菌し、K3培地を加えた後、この混合物を極超短波中で短時間沸騰させる。アガロースが固化した後、アガロース盤(ビード)を包埋したタバコミクロカルスと一緒に、次の培養および選択のために10cmのペトリ皿に移し、各場合共、10mlのK3培地(0.3Mのサツカロース、1mg/lのNAA、0.2mg/lのキネチンおよび100mg/lのカナマイシンスルフエート、Sigmaによる)を加える。この液状の培地を毎週交換する。この処置の間に、培地の浸透価は次第に降下する。交換培地(K3+km)を毎週サツカロース0.05M(約60mOsm)づつ減らす。
【0048】DNA形質転換後のカナマイシン耐性タバココロニーの選択ダイアグラム:【0049】
【表1】

【0050】(K3培地:1mgのNAA、0.2mgのキネチン)A=DNA摂取E=アガロース中に包埋S=カナマイシンによる選択(100mg/lのカナマイシンスルフエート)
K=カナマイシン耐性のコロニーが背景から明白に区別できる。
e)カナマイシン耐性植物の再生カナマイシン耐性コロニーが直径約0.5cmに達するとすぐ、それらの半分を再生培地(LS培地、2%のサツカロース、0.5mg/lのベンジルアミノプーンBAP)に移し、24℃で12時光(3000〜5000ルツクス)の成長チヤンバ中に保存する。他方の半分は、1mg/lのNAA、0.2mg/lのキネチン、0.1mg/lのBAPおよび100mg/lのカナマイシンスルフエートを有するLS培地上で、カルス培養として繁殖させる。再生した苗条が約1cmの大きさになつた時、それらを切り取り、根をはらせるために、成長調整剤を含有しない1/2LS培地(1%のサツカロース、0.8%の寒天)に移す。100mg/lのカナマイシンスルフエートを有する1/2MS培地上に、この苗条を根づかせた後、土壌に移植する。
f)アグロバクテリウム・ツメフアシエンスによる葉盤の形質転換葉盤の形質転換のため(Horsch他1985年)無菌苗条培養の葉、約2〜3cmの長さのもの、を直径1cmの盤上に打ち抜き、この盤を、Am培地中の適切なアグロバクテリア(約109/ml)(b参照)の懸濁液を用いて、約5分間培養する(以下を参照)。この感染させた葉の断片を、ホルモン類の入つていないMS培地(以下を参照)上に、約24℃で3〜4日間保存する。
【0051】この間、アグロバクテリウムは葉の断片上に成育する。その後、この葉を断片をMS培地(0.5mg/mlのBAP、0.1mg/mlのNAA)中で洗浄し、500μg/mlのセフオタキシム(Claforan)および100μg/mlのカナマイシンスルフエート(Sigmaによる)を含有する同様の培地(0.8%の寒天)上に置く。この培地は2週間後新しくするものとする。プロトプラストした苗条は、更に2〜3週間後、見えるようになる。苗条の再生は選択圧なしでも平行して行なうものとする。再生した苗条は、例えばノパリンシンターゼもしくはスチルベンシンターゼ活性のための、生物学的試験によつて、形質転換に関して試験するものとする。この方法において、1〜10%の形質転換した苗条が得られる。
形質転換に関する生化学的検出方法植物組織中のノパリンの検出:ノパリンは下記に示すように、OttenおよびSchilperoort(1978年)およびAerts他、(1979年)によつて示される方法で検出される。植物物質(カルスもしくは葉の断片)50mgを0.1Mのアルギニンを有するLS培地中のエツペンドルフ(Eppendorf)管中、室温で一晩培養する。その後植物物質を吸収性の紙でブロツトし、ガラス棒を用いて新しいエツペンドルフ遠心分離管中でホモジナイズさせ、このホモジナイズした液を、エツペンドルフ遠心分離中で2分間遠心分離する。2μlの上澄み液を電気泳動のための適切な紙(Whatman 3MM紙)(20×40cm)上に点として塗布し、乾燥する。この紙を可動相(5%のぎ酸、15%の酢酸、80%の水、pH1.8)で飽和させ、400Vで45分間、電気泳動を行なつた。ノパリンは陰極に向かつて移動する。その後、この紙を熱風中で乾燥し、フエナントレンキノン染料を通して、移動する方向に通過させる(エタノール中の0.02%のフエナントレンキノンと60%濃度エタノール中の10%のNaOHを同量)。乾燥した紙を長波長のUV光下で検査し、写真をとる。この試薬で、アルギニンおよびアルギニンの誘導体は蛍光性の黄色に着色する。
ネオマイシンホスホトランスフエラーゼ(NPTII)酵素検定:植物組織中のNPTII活性は、Keisis他(1984年)によつて記述される方法、およびSchreier他(1985年)によつて修正された方法で、カナマイシンのイン・サイチユー法リン酸化によつて検出される。50mgの植物組織を、ガラス粉末を添加した50μlの抽出緩衝液(10%のグリセロール、5%の2−メルカプトエタノール、0.1%のSDS、0.025%のブロモフエノール・ブルー、62.5mMトリス pH6.8)中、氷上でホモジナイズさせ、この混合物を4℃で10分間エツペンドルフ遠心分離器中で遠心分離する。50μlの上澄み液を、天然ポリアクリルアミドゲル(145×110×1.2mm;分離ゲル:10%アクリルアミド、0.33%のビスアクリルアミド、0.375Mトリス pH8.8、収集するゲル:5%のアクリルアミド、0.165%のビスアクリルアミド、0.125Mトリス pH6.8)に移し、4℃60Vで一晩電気泳動を行なつた。ブロモフエノール・ブルー標識がゲルから出て移動し始めるとすぐ、このゲルを10分間蒸留水で2回、30分間反応緩衝液(67mMトリスマレイン酸塩、pH7.1、42mM MgCl2、400mM塩化アンモニウム)で1回洗浄する。このゲルを、同じ大きさのガラス板上に置き、基質のカナマイシンスルフエート(20μg/ml)および20〜200uCi 32pATP(Amersham)を含有する反応緩衝液中、1%濃度のアガロース40mlの層でおおつた。このサンドイツチ状にしたゲルを室温で30分間培養し、そしてホスホセルロース紙P81(Whatman)のシートを、アガロースの上に置く。この上に、濾紙3MM(Whatman)4層と2〜3枚のペーパータオルを配する。3〜4時間後、イン・サイチユーでりん酸化した放射性カナマイシンホスフエートの、P81紙への移行が停止する。このP81紙を、プロテナーゼKと1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の溶液中、60℃で30分間培養した後、80℃で、10mMりん酸塩緩衝液pH7.5の250ml中で3〜4回洗浄し、乾燥し、そして−70℃で1〜12時間オートラジオグラフをとる(XAR5−フイルム、コダツク)。
T4−フアージリゾチーム遺伝子発現の検出a) 細胞培養および植物からのm−RNAの単離細胞培養および植物からRNAを単離するために、植物物質1g当り0.1gの無菌石英砂、1μlのβ−メルカプタエタノールおよび1mlのHO緩衝液(0.4Mトリス/HCl pH8、0.1M NaCl、0.04M EDTA、5%SDS、65℃)を加え、そして、この混合物をホモジナイズした。1mlのフエノール/クロロホルム(1:1)を加えた後、更に約2分間この混合物をホモジナイズした。このホモジエネートを遠心分離管に移し、この管を激しく振とうした。遠心分離(10′、10000×g、室温)後、更に2mlのフエノール/クロロホルムを加え、この管を激しく振とうした後、遠心分離した。ポリサツカロイドを除くため、1/4の容積のエタノールを水相に加え、この混合物を氷上に10分間置いた後、10000×g、4℃で10分間遠心分離した。その後、核酸を2倍の容積のエタノールを用いて沈殿させ、−70℃で保存した。沈殿したRNAをその後、2mlづつに分けた酢酸ナトリウム(3M、pH6)で2〜3回洗浄した。このRNAを100μlの無菌水に溶解した。
b) RNAの電気泳動RNA変性:RNAの電気泳動のため、6.75μlのRNA(20μg)に、3μlの5倍緩衝液(0.2M MOPS、50mM酢酸ナトリウム、5mMEDTA pH7)、5.25μlのホルムアルデヒド(37%濃度)および15μlのホルムアミド(脱イオン化した)を、加えた後、56℃で15分間変性を生じさせた。
【0052】アガロースゲルの調製:3.5gのアガロースを200mlの水中で沸騰させ、この混合物を60℃に冷却した後、5倍の緩衝液70mlとホルムアルデヒド62mlを加えた。この溶液を水で容積350mlとし、ゲル装置中に充填した。この変性RNAを3μlの色標識と1μlのエチジユームブロマイド(5mg/ml)と混合した後、100Vで6時間電気泳動を行なつた。
c) ノーザンブロツテイング法:引き続いてこのゲルを無菌水中で10分間3回洗浄した。このRNAを、標準ブロツテイング方法(20×SSC中3〜4時間)を用いて、ニトロセルロースフイルター(Maniatis他1982年)に移した。
d) ノーザンブロツト上の雑種形成:pSR2−4から単離したSal I断片100ngを、放射性標識(比活性>4×108cpm/μg)のため、ニツク翻訳を受けさせる。ThomzikおよびHain 1988年によつて記述される方法により、42℃で一晩雑種形成を行なつた。
【0053】この方法は、形質転換したタバコ中のT4−フアージーリゾチームに特異なmRNAの合成を検出するために用いられる。
ウエスタンブロツテイング法によるタバコ中のT4−フアージリゾチームの検出タバコから全タンパク質を単離するために、100mgの植物物質を2倍に濃縮したSDSサンプル緩衝液(150mMトリス/HCl pH6.8、2%SDS、20%グリセロール、0.004%ブロモフエノール・ブルー200mM DTT、5mMアスコルビン酸および10mM CHAPS)中でホモジナイズした後、この混合物を95℃で5分間培養した。遠心分離(10000×g、5分間)した後、整除できる数に分けた上澄み液(10〜100μgの全タンパク質)を、15%のSDSポリアクリルアミドゲルに移し、60Vで12時間電気泳動を行なつた。分離したタンパク質を、その後、移動緩衝液(25mMトリス塩基、192mMグリシンおよび20%のメタノール)中、エレクトロブロツテイング(2時間、0.8〜1A)によつて、PVDFイモビロン(Immobilon)膜へ移した。ひき続いてこの膜をPBA中の5%のウシ科の動物の血清アルブミン(BSA)中で30分間培養した。PBA中の0.1%のBSAを用いて3回洗浄した後、この膜を多クローン性T4−リゾチームに特異な抗体と共に2時間培養した。0.1%のBSA/PBA中で3回洗浄(各々5分間)した後、この膜を、金で標識した抗体(Auro ProbeR kit,Janssen Chemieからのやぎ抗−ラビツト)を用いて、この業者によつて示されるように2時間培養した。PBA中の0.1%のBSAおよび水で洗浄した後、この膜をエンハンサー/イニシエーター(1:1)で着色させた。
3.ソラナムチユーベロサム(Solanum taberosum)(じやがいも)の形質転換EP−A 0,242,246、14〜15頁、プラスミドpSR2−4のリゾチーム遺伝子構造物を有するTiプラスミドを有するアグロバクテリア、に記載されるのと全く同様の方法による形質転換で形質転換した。
【0054】特に規定されていない限り、上記実施例中の全ての百分率は重量%である。
【0055】上記実施例に従つて得られた植物細胞および植物において、リゾチーム遺伝子の存在はサザンブロツト分析法によつて確認された。リゾチーム遺伝子の発現は、特定の抗体の助けによるノーンブロツト分析法およびリゾチームで検出された。形質転換したそして形質転換していない植物(比較のため)に、ボトリシスシネラ(Botrytis cinera)およびアルテルナリアロンギペス(Alternaria longipes)の胞子懸濁液を噴霧した後、1週間後、菌・かびによる感染を記録した。形質転換していない比較植物に比べて、形質転換した植物は、菌・かびによる感染に対して、増大した抵抗力を示した。
増大した抵抗力の検出例菌・かびによる植物の病気に対して、植物中で合成されたリゾチームによつて増大された抵抗力を試験するために、植物を病原と一緒に培養し、その感染の度合いをパラメーターとして用いた。
【0056】用いた試験病原体はAlternaria longipes(Ell & Everh)MasonおよびBotrytis cinerea Presである。
【0057】タバコの植物を標準土壌(Balsterによる)が入つているポツト(直径11cm)中に鉢植えし、実験を開始するまで、23℃で相対湿度70〜80%の温室中で成育させる。この植物に必要な水と栄養を与える。接種のため、5〜8週目の古い植物の葉に病原体の胞子懸濁液を流れ出すまで噴霧する。引き続いて、この植物を病原体の好む条件下、初期の相対湿度100%で21℃、で培養する。4〜8日後、植物の健康状態を、感染させた葉の部分を基準にして、パーセントで測定する。
【0058】表(IおよびII)からわかるように、実施例2に従つてpBR2−4で形質転換した植物は、野生種のSR1に比較して、Alternaria longipes並びにBotrytiscinereaに対して低い感染を示している。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】植物もしくは植物細胞の形質転換に用いた培地のいくつかを以下に示す。
【0062】Am培地3.5g K2HPO41.5g KH2PO40.5g クエン酸 Na30.1g MgSO4×7H2O1 g (NH4)2SO42 g グルコース1リットルに対してタバコの無菌苗条培養用の培地マクロ要素:MS塩の濃縮物の1/2ミクロ要素:MS塩の濃縮物の1/2Fe EDTA Murashige および Skoog(MS)ミヨ・イノシトール 100 mg/lサツカロース 10 mg/l寒天 8 g /lビタミン類 パントテン酸Ca 1 mg/lビオチン 10 mg/lニコチン酸 1 mg/lピリドキシン 1 mg/lチアミン 1 mg/l加圧滅菌前のpH5.7K3培地Nicotiana tabacum petit Havana SRI、Nicotiana tabacum Wisconsin 38およびNicotiana Plumaginifolia プロトプラスト培養用(Nogy および Maliga、1976年)
マクロ要素 NH4NO3 250 mg/l KNO3 2500 mg/l CaCl2×2H2O 900 mg/l MgSO4×7H2O 250 mg/l NaH2PO4×1H2O 150 mg/l (NH4)2SO4 134 mg/l CaHPO4×1H2O 50 mg/lミクロ要素 H3BNO3 3 mg/l MnSO4×1H2O 10 mg/l ZnSO4×4H2O 2 mg/l KI 0.75 mg/l Na2MoO4×2H2O 0.25 mg/l CuSO4×5H2O 0.025 mg/l CoCl2×6H2O 0.025 mg/lFe EDTA Na2EDTA 37.2 mg/l FeSO2×7H2O 27.8 mg/lイノシトール 100 mg/lサツカロース 137 g/l (= 0.4M)キシロース 250 mg/lビタミン類 ニコチン酸 1 mg/l ピリドキシン 1 mg/l チアミン 10 mg/lホルモン NAA 1.0 mg/l キネチン 0.2 mg/lpH5.6 フイルター無菌Linsmaier および Skoog 培地(Linsmaierおよび Skoog 1965年)
再生プロトプラスト培養用およびタバコ腫瘍およびカルスの組織培養用。LinsmaierおよびSkoog(LS)培地は下記の修正を行なつたMurashigeおよびSkoog培地(MurashigeおよびSkoog、1962年)である:−0.1mg/lの代わりに0.4mg/lの高濃度でチアミンを計量−グリシン、ピリドキシンおよびニコチン酸を不使用。

下記の参考文献は、植物もしくは植物細胞の形質転換に関連しており、本発明に従つて用いられるリゾチーム遺伝子に関連している:Aets M,Jacobs M,Hernalsteens JP,Van Montagu M,Schell J(1983年)Arabidopsis thalianaのクラウンゴール腫瘍の誘導および試験管培養。Plant Sci Lett.17:43−50 Davey MR,Cocking EC,Freeman J,Pearce N,Tudor I(1980年)単離したAgrobacteriumプラスミドによるPetuniaプロトプラストの形質転換。Plant Sci Lett 18:307−313 K.Duering、博士論文、Cologne大学1988年:Wundinduzierbare Expression und Sekretion von T4 Lysozym und monoklonalen Antikoerpern in Nicotiana tabacum[創傷誘導の表現およびT4−リゾチームの分泌作用およびNicotiana tabacum中の単クローン抗体]。Fromm ME,Taylor LP,Walbot V(1986年)エレクトロポレ−シヨンによる遺伝子転移後のとうもろこしの安定形質転換。Nature 319:791−793Hain,R.,Stabel,P.,Czernilofsky,A.Pp.,Stein biss,H.H.,Herrera-Estrella,L.,Schell,J.(1985年)植物プロトプラストによる選択可能なキメラ遺伝子の取得、組込み、発現および遺伝子伝達、Molec Gen Genet 199:161−168Horsch RB,Fry JE,Hoffmann NL,Eichholtz D,Rogers SG,Fraley RT(1985年)遺伝子を植物中に移植するための簡単で一般的な方法。Science277:1229−1231Krebs FH,Molendijk L,Wullems GJ,Schilperoort RA(1982年)Ti-プラスミドDNAによる植物プロトプラストの試験管形質転換。Nature 296:72−74Koncz C,Schell J(1986年)TL−DNA遺伝子5のプロモーターは、Agrobacterium linaryベクターの新奇な種が有する共生体的遺伝子の組織に特異な表現を制御する。Mol.Gen.Genet.(1986年)204:338−396Linsmaier DM,Skoog F(1965年)タバコ組織培養の有機的成長因子要求。Physiol Plant 18:100−127Marton L,Wullems GJ,Molendijk L,Schilperoort PR(1979年)Agrobacterium tumefaciensによるNicotiana tabacumからの培養細胞の試験管形質転換。Nature 277:1229−131Nagy JI,Maliga P(1976年)Nicotiana Sylvestrisの葉肉プロトプラストからのカルス誘導および植物再生。Z Plfanzenphysiol 78:453−455Otten LABM,Schiperoort RA(1978年)LyposinおよびNopalinデヒドロゼナーゼ活性の検出のための迅速マイクロスケール方法。Biochim biophys acta 527:497−500Paszkowski J,Shillito RD,Sanl M,Mandak V,Hohn T,Hohn B,Potrykus I(1984年)植物への直接遺伝子転移。EMB0 J 3:2717−2722Shillito RD,Paszkowski J.Potrykus I(1983年)アガロース平板およびビードタイプ培養技術は、数多い植物種中のプロトプラスト誘導のコロニーの発展を可能にしそして刺激する。Pl Cell Rep 2:244−247Maniatis T,Fritsch EF,Sanbrook J eds.(1982年)分子クローン化、研究室マニユアル。Cold Spring Harbor,New York。J.E.Thomzik and R.Hain(1988年)、Brassica napus L.中のトリアジン耐性クロロプラストの伝達および分離Theor Appl Genet(1988年)76:165−171。
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【0063】下記の公開された特許出願も示す。
ヨーロツパ特許公開−A 116,718ヨーロツパ特許公開−A 159,418ヨーロツパ特許公開−A 120,515ヨーロツパ特許公開−A 120,516ヨーロツパ特許公開−A 172,112ヨーロツパ特許公開−A 140,556ヨーロツパ特許公開−A 174,166ヨーロツパ特許公開−A 122,791ヨーロツパ特許公開−A 126,546ヨーロツパ特許公開−A 164,597ヨーロツパ特許公開−A 175,966PCT特許 84/02913PCT特許 84/02919PCT特許 84/02920PCT特許 83/01176ヨーロツパ特許公開−A 0,270,356
【出願人】 【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【出願日】 平成2年8月6日(1990.8.6)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉
【公開番号】 特開2002−306004(P2002−306004A)
【公開日】 平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願番号】 特願2002−41734(P2002−41734)