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【発明の名称】 植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法
【発明者】 【氏名】高品 善

【氏名】加藤 良一

【要約】 【課題】植物組織培養技術によって甘果オウトウ栽培種から不定芽を誘導する方法を提供する。

【解決手段】甘果オウトウ栽培種の組織の切片を、オーキシン類が含まれる溶液または培地等に一定時間浸漬するか、または一定時間低温処理した後、植物ホルモンとして少なくともサイトカイニン類が含まれる培地等で培養して不定芽を誘導することを特徴とする植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 甘果オウトウ栽培種の組織の切片を、オーキシン類が含まれる溶液または培地等に一定時間浸漬した後、植物ホルモンとして少なくともサイトカイニン類が含まれる培地で培養して不定芽を誘導することを特徴とする植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【請求項2】 甘果オウトウ栽培種の組織の切片を、凍結しない程度の低温で一定時間処理した後、植物ホルモンとして少なくともサイトカイニン類が含まれる培地等で培養して不定芽を誘導することを特徴とする植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【請求項3】 甘果オウトウ栽培種の組織が、茎頂培養系の小植物体の小葉または冬芽中の小葉である請求項1または請求項2の植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【請求項4】 溶液または培地等に含まれるオーキシン類が、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸またはナフタレン酢酸である請求項1の植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【請求項5】 培地等に含まれるサイトカイニン類が、チジアズロンである請求項1または請求項2の植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【請求項6】 甘果オウトウ栽培種が、「佐藤錦」、「ナポレオン」、「紅秀峰」または「紅てまり」である請求項1または請求項2の植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、植物組織培養技術によって甘果オウトウの栽培種から不定芽を誘導する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】甘果オウトウが属するバラ科植物の核果類において、組織培養によって再分化系を確立した報告には以下の研究例がある。Hammerschlagらはモモの未熟胚を培養してカルスを誘導し、そのカルスから不定芽を形成させた(Theor. Appl. Genet., vol.70,248〜251頁,1985)。Manteらは、スモモの成熟胚の子葉を培養して不定芽形成に成功した(Plant Cell Tissue Organ Cult., vol.19, 1〜11頁、1989)。また、酸果オウトウの未熟胚の子葉を培養して不定芽が誘導されたという報告もある(Plant Cell Tissue Organ Cult., vol.19, 1〜11頁、1989)。
【0003】甘果オウトウ(Prunus avium L.)を組織培養して再分化系を確立した報告としては、未熟胚を培養して不定芽を誘導した例(Lane and Cossio, Can. J. Plant Sci. vol.66, 953〜959頁, 1986)、未熟胚の子葉を培養して不定胚を誘導した例(De March et al., Plant Cell Tissue Organ Cult., vol.34, 209〜215頁, 1993)があるが、これらは、受精胚を利用しているため親品種と遺伝的に異なるという点で育種的利用が限られる。
【0004】甘果オウトウのクローン組織を利用した報告としては、葉片を培養して不定芽を形成させた例(Hammatt and Grant, Plant Cell Rep., vol.17, 526〜530頁,1998)、根の切片を培養して不定芽を形成させた例(Pedrotti and Cornu, ActaHortic., vol.289, 141〜142頁,1991)があるが、これらの報告は野生種の中でも一部の系統に限られた例である。一方、栽培種を用いた例としては、葉片からの不定芽誘導(Yang and Schmidt, Gartenbauwissenschaft, vol.57, 7〜10頁,1992)が報告されているが、この報告もごく1部の品種においてのみ、低頻度に誘導できたに過ぎず、いまだ甘果オウトウの再分化培養系は確立したとはいえる状態にない。
【0005】これまでに「佐藤錦」や「ナポレオン」等の日本における甘果オウトウ栽培種の主要品種については、組織培養による不定芽または不定胚を経由した再分化系の確立は、全く報告されていない。
【0006】一方、Prunus canescens B.の茎頂培養系の小植物体を材料にして、その小葉を0.1〜10 mg/Lのオーキシン系植物ホルモンを含む液体培地に48または96時間浸す前処理をした後、0.5 mg/Lのオーキシン系植物ホルモンを含む培地上でそれらを培養した結果、高頻度で不定芽が誘導されたことが報告されている(Antonelli and Druart, Acta Hortic., vol.280, 45〜50頁, 1990)。しかし、このようなオーキシン類が含まれる培地に一定時間つける特殊な前処理方法や、この前処理をした後、培養する培地にどのような植物ホルモンを加えるかの検討を、甘果オウトウの栽培種に適応して研究を進めた例は今まで全くなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】「佐藤錦」や「ナポレオン」等の産業上の利用価値の高い甘果オウトウ栽培品種からは組織培養法によって不定芽を誘導することが可能となれば、例えばそれらの有用品種の苗木を簡便かつ一定品質で量産することが可能となる。また、遺伝子導入等による品種改良も可能となる。
【0008】この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、従来は不可能であった植物組織培養の技術によって、今まではことは不可能であった甘果オウトウ栽培品種からの組織培養法による不定芽誘導方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この出願は、前記の課題を解決するための第1の発明として、甘果オウトウ栽培種の組織の切片を、オーキシン類が含まれる溶液または培地等に一定時間浸漬した後、植物ホルモンとして少なくともサイトカイニン類が含まれる培地等で培養して不定芽を誘導することを特徴とする植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法を提供する。
【0010】またこの出願は、第2の発明として、甘果オウトウ栽培種の組織の切片を、凍結しない程度の低温で一定時間処理した後、植物ホルモンとして少なくともサイトカイニン類が含まれる培地で培養して不定芽の発生を誘導することを特徴とする植物組織培養による甘果オウトウ栽培種の不定芽誘導方法を提供する。
【0011】以下、発明の実施形態を示し、前記発明についてさらに詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】第1発明および第2発明の各方法において、甘果オウトウ栽培種としては、日本および海外で栽培されている甘果オウトウの全ての品種を対象とすることができる、特には、現在の日本において特に利用価値が高い「佐藤錦」、「ナポレオン」、「紅秀峰」および「紅てまり」の各品種を対象とすることが好ましい。
【0013】第1発明および第2発明の各方法において、培養する切片は、通常の不定芽誘導に用いられる小葉等を用いることができるが、特には、甘果オウトウの茎頂培養系の小植物体の小葉切片または冬芽中の小葉切片が好ましい。小葉を使用する場合、葉を分割することなく、例えば垂直方向に2〜3の切れ目を形成することが、不定芽誘導率の向上のために好ましい。なお、組織切片は、事前に滅菌処理を行うようにする。
【0014】第1発明の方法においては、前処理として、オーキシン系植物ホルモンを含む溶液または液体培地に組織切片を一定時間浸す。オーキシン系植物ホルモンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸やナフタレン酢酸を使用することができるが、これらに限定されることはなく、その他のオーキシン活性を示す成長調節物質等を使用することができる。オーキシン系植物ホルモンの培地濃度は、2〜20 mg/L程度とすることができる。処理時間は、3〜96時間、好ましくは6〜72時間、最も好ましくは12〜48時間である。
【0015】第2発明の方法においては、前処理として、凍結しない程度の低温で組織切片を処理する。低温処理は、0〜8℃、好ましくは2〜6℃程度の冷蔵庫内に組織切片を一定時間保管するか、あるいは同様の温度に冷却した溶液または液体培地等に組織切片を浸漬させてもよい。このような低温処理時間は、3〜96時間、好ましくは6〜72時間、最も好ましくは12〜48時間である。
【0016】第1発明および第2発明の各方法においては、前処理後の組織切片を、サイトカイニン系植物ホルモンを含む培地で培養する。培養培地に含ませるサイトカイニン類としては、天然のカイネチン、trans-ゼアチン、イソペンテニルアデニン、合成サイトカイニンであるベンジルアデニン、4-ベンジルアミノベンゾイミダゾール、N,N'-ジフェニル尿素系のもの(例えば、N-(2-クロロ-4ピリジル)-N'-フェニル尿素など)等を特段の制限なく使用することができるが、特に、チジアズロンを使用することが好ましい。培地中のサイトカイニン類の濃度は、2〜20mg/L程度とすることができる。またこの培地には、0〜0.5 mg/L程度のオートキシン系植物ホルモンを含有させてもよい。特に、第2発明の方法(前処理としてオートキシン系植物ホルモン含有培地を使用せず、低温処理を行う方法)では、不定芽誘導のための培地にオートキシン系植物ホルモンを含有させることが好ましい。
【0017】不定芽誘導のための培養は、例えば、20℃〜30℃の温度で、30日間以上行う。このような培養によって、組織切片の切り口に現れたカルスから、不定芽が誘導される。
【0018】以下、実施例を示し、この出願の発明方法についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0019】
【実施例】実施例1平成10年6月〜8月および平成11年6月〜7月にかけて、「佐藤錦」、「紅秀峰」および「紅てまり」の果樹体から新梢を採取し、枝の各節にある葉芽(冬芽)を以下の茎頂培養系の確立に用いた。冬芽を70%エタノールに30秒間浸した後、20%アンチホルミンに15〜20分間浸して滅菌した。滅菌蒸留水でそれらをよく濯ぎ、茎頂を実体顕微鏡下で摘出した。摘出した茎頂部は、0.1 mg/Lベンジルアミノプリン、3%ショ糖および0.6%寒天を含む4倍希釈したMurashige & Skoog(MS)培地で約30日間培養した。次に、それらを、1.0 mg/Lのベンジルアミノプリン、0.1 mg/Lのインドール酪酸、0.1 mg/Lのジベレリン酸、1 mMフロログルシン、3%ショ糖および0.7%寒天を含むFeNaEDTAを使用した修正MS培地(シュート増殖培地)で培養して増殖させた。このシュート増殖培地上で継代培養している茎頂培養系において、新しいシュート増殖培地に植え込んで28日後の小植物体から上位展開葉を切り出して以下の実験に用いた。
【0020】平成11年7月〜11月にかけて、以下を実施した。「紅秀峰」の茎頂培養系の上位展開葉(小葉)の中央脈に、1枚の小葉が分離されないようにして、垂直方向に切れ目を2〜4箇所つけた(図1)。その小葉を、5 mg/Lまたは10 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)および2%ショ糖を含む液体Woody Plant (WP)培地中に1日間浸した。次に、0〜10 mg/Lのチジアズロン(TDZ)、0または0.1mg/Lのナフタレン酢酸(NAA)、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地を、25mLずつ滅菌済みのプラスチックシャーレに入れて準備した。このWP培地上に1日間浸漬した小葉を置き、25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で60日間培養した。培養し始めて21日後から、中央脈の切れ目に形成されたカルスから不定芽が誘導された(図2-1)。また、不定芽誘導率を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】表1に示したように、チジアズロンが含まれる培地で培養することで、不定芽を誘導することができた。一方、チジアズロンが含まれない場合、不定芽は全く誘導されなかった。
【0023】誘導された不定芽は、増殖・生長させた後(図2-2)、発根(図2-3)および馴化(図2-4)させて植物体まで育てることが可能であった。これまでに多数の再分化個体が得られ、これらの培養方法に再現性のあることが示された。
実施例2実施例1の方法で準備した「紅秀峰」、「佐藤錦」および「紅てまり」の茎頂培養系を用いて、以下を実施した。
【0024】これらの栽培種の上位展開葉(小葉)の中央脈に、1枚の小葉が分離されないようにして、垂直方向に切れ目を2〜4箇所つけた。それらの小葉を、10 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸および3%ショ糖を含む液体WP培地中に1日間浸した。次に、10 mg/Lのチジアズロン、0または0.1 mg/Lのナフタレン酢酸、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地を、50 mLづつ滅菌済みのプラスチックシャーレに入れて準備した。このWP培地上に1日間浸された小葉を置き、25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で60日間培養した。その結果、10 mg/Lのチジアズロンのみを含む培地で培養すると、「紅秀峰」の場合は10%の誘導率で、「佐藤錦」の場合は5%の誘導率で、不定芽がそれぞれ誘導された。「紅てまり」の場合は、10 mg/Lのチジアズロンおよび0.1 mg/Lのナフタレン酢酸を含む培地で培養すると、10%の頻度で不定芽が誘導された。
実施例3平成12年2月〜3月にかけて、実施例1の方法で準備した「紅秀峰」の茎頂培養系を用いて以下を実施した。
【0025】上位展開葉(小葉)の中央脈に、1枚の小葉が分離されないようにして、垂直方向に切れ目を3箇所つけた(図1)。また、他の試験区として、その小葉を中央脈に垂直に2分割した(図1)。次に、それらを、5 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)および3%ショ糖を含む液体WP培地中に1日間浸した。また、他の試験区として、それらをその液体WP培地中に浸さなかった。次に、各試験区の葉片を、5 mg/Lのチジアズロン、0.1 mg/Lのナフタレン酢酸、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地上で25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で60日間培養した。結果(不定芽誘導率)を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】以上の結果から、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸を含む液体培地に浸すことが、不定芽誘導に有効であることが確認された。また、小葉を中央で2分割すると、不定芽誘導率は著しく低下した。
実施例4平成11年3月〜10月初めまで雪室で保存されたポット栽培の「佐藤錦」の枝から、枝の長さが12〜15 mmに1つの冬芽が付くように切り出した。それらを70%エタノールに30秒間浸した後、6倍に希釈した漂白剤中に20分間浸して滅菌した。滅菌蒸留水でそれらを3回濯ぎ、付着した水分を取り除いた。そして、冬芽から外皮を除き、7〜9枚の小葉を取り出した。それらを10 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸を含む液体WP培地中に1日間浸した。次に、10 mg/Lのチジアズロン、0.1 mg/Lのナフタレン酢酸、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地を、50mLづつ滅菌済みのプラスチックシャーレに入れて準備した。このWP培地上に1日間浸された小葉を置き、25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で60日間培養した。結果は、34片の小葉中から9片の小葉において基部の切り口に出現したカルスから、数個体づつ不定芽が誘導された(図2-5)。
実施例5平成12年1月末〜3月初めにかけて「佐藤錦」の果樹体から冬芽の付いた枝を採取し、それを水に挿して25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で数日間それぞれ育成させ、冬芽をほころばせた。次に、枝の長さが12〜15 mmに1つの冬芽が付くように切り出した。それらを70%エタノールに30秒間浸した後、6倍に希釈した漂白剤中に20分間浸して滅菌した。滅菌蒸留水でそれらを3回濯ぎ、付着した水分を取り除いた。そして、冬芽から外皮を除き、7〜9枚の小葉を取り出した。それらを5または10 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸を含む液体WP培地中に1日間浸した。次に、10 mg/Lのチジアズロン、0.1 mg/Lのナフタレン酢酸、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地を、50 mLずつ滅菌済みのプラスチックシャーレに入れて準備した。このWP培地上に1日間浸された小葉を置き、25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で40日間以上培養した。
【0028】その結果、小葉の基部の切り口に出現したカルスから、 5 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸を含む液体培地中に浸した場合は3%の誘導率で、10 mg/Lの2,4-−ジクロロフェノキシ酢酸を含む液体培地中に浸した場合は12%の誘導率で不定芽がそれぞれ誘導された。
実施例6平成12年4月中旬に「ナポレオン」の果樹体から冬芽の付いた枝を採取し、それを水に挿して25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で3日間育成させ冬芽をほころばせた。次に、枝の長さが12〜15 mmに1つの冬芽が付くように切り出した。それらを70%エタノールに30秒間浸した後、6倍に希釈した漂白剤中に20分間浸して滅菌した。滅菌蒸留水でそれらを3回濯ぎ、付着した水分を取り除いた。そして、冬芽から外皮を除き、7〜9枚の小葉を取り出した。それらを10 mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸またはインドール酢酸を含む液体WP培地中に1日間浸した。次に、10 mg/Lのチジアズロン、0.1 mg/Lのナフタレン酢酸、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地を、50 mLづつ滅菌済みのプラスチックシャーレに入れて準備した。このWP培地上に1日間浸された小葉を置き、25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で40日間以上培養した。
【0029】その結果、小葉の基部の切り口に出現したカルスから、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸を含む液体培地中に浸した場合は33%の誘導率で(図2-6)、ナフタレン酢酸を含む液体培地中に浸した場合は9%の誘導率で不定芽がそれぞれ誘導された。なお、インドール酢酸を含む液体培地中に浸した場合は、不定芽は全く誘導されなかった。
実施例7平成12年2月中旬に「佐藤錦」の果樹体から冬芽の付いた枝を採取し、それを水に挿して25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で4日間育成させ冬芽をほころばせた。次に、枝の長さが12〜15 mmに1つの冬芽が付くように切り出した。それらを70%エタノールに30秒間浸した後、6倍に希釈した漂白剤中に20分間浸して滅菌した。滅菌蒸留水でそれらを3回濯ぎ、付着した水分を取り除いた。そして、冬芽から外皮を除き、7〜9枚の小葉を取り出した。それらを4℃に冷却した液体WP培地中に1日間浸した。次に、10 mg/Lのチジアズロン、0.1 mg/Lのナフタレン酢酸、3%ショ糖および0.6%寒天を含むWP培地を、50 mLづつ滅菌済みのプラスチックシャーレに入れて準備した。このWP培地上に冷却した液体培地中浸された小葉を置き、 25℃、16時間明期/8時間暗期の光条件下で40日間以上培養した。
【0030】その結果、小葉の基部の切り口に出現したカルスから、3%の誘導率で不定芽が誘導された。
【0031】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、植物組織培養技術による甘果オウトウ栽培種からの不定芽誘導が可能なる。これによって、遺伝子導入等によって形質転換した甘果オウトウの栽培種を得ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【識別番号】593022021
【氏名又は名称】山形県
【出願日】 平成13年2月26日(2001.2.26)
【代理人】 【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
【公開番号】 特開2002−247928(P2002−247928A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−50855(P2001−50855)