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【発明の名称】 環境筏ならびにそれを利用した人工池および人工河川
【発明者】 【氏名】石川 一夫

【要約】 【課題】水面レベルの変化の影響を受けることなく、快適に水生植物を育成することができる環境筏と、この環境筏を使用して容易に低コストで自然な雰囲気をつくり出すことができる人工池および人工河川を提供する。

【解決手段】水生植物5が活着可能な床部2と、この床部2に取り付けられ、浮力を有するフロート3とを具備した環境筏1。連結金具4が具備され、水中アンカーや隣接する環境筏1と連結可能となされたもの。フロート3は、床部2周縁の少なくとも一箇所に、途切れた箇所を形成するようになされ、この途切れた箇所から水中の生物が床部2上へ行き来できるようになされた環境筏1c。床部2に活着される水生植物5の保護ネットを具備したもの。照明手段が具備され、床部2に活着された水生植物5を夜間に照明するようになされたもの。環境筏1を浮遊させてなる人工池10および人工河川。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水生植物が活着可能となされた床部と、この床部に取り付けられ、浮力を有するフロートとを具備したことを特徴とする環境筏。
【請求項2】 連結具が具備され、水中アンカーや隣接する環境筏と連結可能となされた請求項1記載の環境筏。
【請求項3】 床部周縁上にフロートが取り付けられ、このフロートは、床部周縁の少なくとも一箇所に、途切れた箇所を形成するようになされ、この途切れた箇所から水中の生物が床部上へ行き来できるようになされた請求項1または2記載の環境筏。
【請求項4】 床部に活着される水生植物の保護ネットを具備した請求項1ないし3の何れか一記載の環境筏。
【請求項5】 照明手段が具備され、床部に活着された水生植物を夜間に照明するようになされた請求項1ないし4の何れか一記載の環境筏。
【請求項6】 請求項1ないし5の何れか一記載の環境筏を浮遊させてなる人工池。
【請求項7】 浄化装置の運転および停止によって水嵩が変化するようになされた請求項6記載の人工池。
【請求項8】 請求項1ないし5の何れか一記載の環境筏を浮遊させてなる人工河川。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水上に浮遊させて使用する環境筏と、この環境筏を浮遊させた人工池および人工河川に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの大型建築物に隣接して設けられた空地、その他、公園などには、人工池を設けるといったことが行われている。
【0003】従来より、このような人工池においては、水生植物を活着させることで、より自然な雰囲気を高めるといったことが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の人工池においては、水質を維持するために浄化装置を使用しているのが通常であるため、浄化装置の運転時と停止時とで水面レベルの上下が激しくなる。
【0005】その結果、このような人工池に活着させた水生植物は、水面レベルが上昇した際に水中に没してしまったり、水流でダメージを受け易くなり、育成が困難になってしまう。したがって、このような水生植物を活着させた人工池は、水生植物を維持管理するために、充分な手入れを要したり、常に浄化装置を運転させて水面レベルを管理するといったことを行わなければならず、維持管理が煩わしくコストが嵩むといった不都合を生じることとなる。
【0006】本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、水面レベルの変化の影響を受けることなく、快適に水生植物を育成することができる環境筏と、この環境筏を使用して容易に低コストで自然な雰囲気をつくり出すことができる人工池および人工河川を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の環境筏は、水生植物が活着可能となされた床部と、この床部に取り付けられ、浮力を有するフロートとを具備したものである。また、連結具が具備され、水中アンカーや隣接する環境筏と連結可能となされたものである。さらに、床部周縁上にフロートが取り付けられ、このフロートは、床部周縁の少なくとも一箇所に、途切れた箇所を形成するようになされ、この途切れた箇所から水中の生物が床部上へ行き来できるようになされたものである。さらに、床部に活着される水生生物の保護ネットを具備したものである。さらに、照明手段が具備され、床部に活着された水生生物を夜間に照明するようになされたものである。
【0008】また、上記課題を解決するための本発明の人工池は、上記環境筏を浮遊させてなるものである。また、浄化装置の運転および停止によって水嵩が変化するようになされた人工池である。
【0009】さらに、上記課題を解決するための本発明の人工河川は、上記環境筏を浮遊させてなるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】図1ないし図3は環境筏1の全体構成の概略を示し、図4は同環境筏1を使用した人工池10を示している。
【0012】すなわち、この環境筏1は、床部2と、フロート3とを具備して構成されている。
【0013】床部2は、床材21上に、不織布22を敷設して構成されている。
【0014】床材21は、樹脂製で、長さ3m、幅1m、厚み40mmとなされ、全体が、40mm×40mmで区画された格子状となされている。この床材21には、図5に示すように、それぞれボルトナット41によってステンレス製の連結金具4が固定される。この連結金具4を使用することで、水中アンカー(図示省略)に環境筏1を固定したり、他の環境筏1と接続したりすることができる。この連結金具4を固定する位置としては、特に限定されるものではなく、環境筏1の使用状況に合わせて、床材21の外周縁部に設けられたり、底面に設けられたりする。また、床材21についても、その上側に活着されることとなる水生植物5に対して人工池10の水を供給することができるだけの水はけ性を確保することができ、かつ、水生植物5を支持することができるだけの強度を維持することができるものであれば、特に上記したような格子状の樹脂製のものに限定されるものではない。
【0015】不織布22は、床材21よりも一回り小さい大きさとなされ、厚みが5cmとなされた樹脂製のマット状となされたものを使用することができる。この不織布22の具体的なものとしては、例えば新光ナイロン株式会社製 商品名ヘチマロンなどを使用することができる。この不織布22は、床材21の上に設けた状態で、樹脂バンド6によって固定される。なお、この不織布22としては、特に樹脂製のマット状のものに限定されるものではなく、水生植物5が活着可能なものであればどのようなものでも使用することができる。また、このような不織布22を使用せず、直接床材21に活着させるものであってもよい。
【0016】フロート3は、樹脂製の管材31とエルボ継手32とを接続して矩形状に枠組みして構成される。このフロート3は、床材21と略同じ大きさとなるように枠組みされ、この床材21の外周縁部上に設けられる。また、フロート3の天端部分には、空気孔(図示省略)が設けられ、四季の温度変化によってフロート3内の空気が膨張してフロート3が割れてしまうといったことを防止することができるようになされている。このフロート3は、床材21に樹脂バンド6によって締結固定される。また、フロート3は、表面にネット状の偽装材33が被覆され、樹脂製の管材31とエルボ継手32とを接続して構成していることが判らないようにカモフラージュされている。この偽装材33としては、ネット状のものに限定されるものではなく、椰子の皮、木の皮などを被覆したものであってもよいし、管材31やエルボ継手32に印刷やプリントを施して偽装するようになされたものであってもよい。このフロート3は、環境筏1全体の重量やこの環境筏1の床部2に活着される水生植物6の重量などに応じて、必要な浮力が得られるように大きさを調整したものが使用される。
【0017】この環境筏1は、図1に示すような長方形状のものに限定されるものではなく、図6に示すように正方形状の環境筏1aであってもよいし、図7に示すように、ドーナツ状となされた環境筏1bであってもよい。
【0018】また、環境筏1は、図8に示すように、矩形状となされたフロート3の二辺を無くし、並行する二本の棒状のフロート3を有するようになされた環境筏1cであってもよい。
【0019】さらに、環境筏1は、図9に示すように、床部2に活着される水生植物5を保護するように、保護フレーム11および保護ネット12が設けられた環境筏1dであってもよい。
【0020】さらに、環境筏1は、フロート3を、床材21上に固定するようになされているが、図10(a)に示すように、床材21の外周に固定するようになされた環境筏1eであってもよいし、図10(b)に示すように、床材21の下に固定するようになされた環境筏1fであってもよい。このフロート3の固定具合によって環境筏1、1e、1fは、使い分けることができる。例えば、床部2を水中または水面に設けるような場合は、図1ないし図3に示す環境筏1または図10(a)に示す環境筏1eを使用する。また、床部2を水面または水上に設けるような場合は、図10(a)に示す環境筏1eまたは図10(b)に示す環境筏1fを使用する。
【0021】このようにして構成される環境筏1は、床部2の不織布22上に水生植物5を活着させて人工池10に浮かべて使用される。この水生植物5としては、特に限定されるものではなく、例えば、イ、ホソイ、クサイ、コウガイゼキショウ、ハナビゼキショウ、ミズアオイ、コナギ、ホテイアオイ、ヒロハイヌノヒゲ、シラタマホシクサ、ショウブ、セキショウ、ミズガヤツリ、ヒメクグ、アゼガヤツリ、ウシクグ、タマガヤツリ、ホタルイ、サンカクイ(サギノシリサシ)ウキヤガラ、フトイ、ヒンジガヤツリ、ゴウソ、マコモ、ヨシ、ヘラオモダカ、アギナシ、ウリカワ、ガマ、コガマ、ヒメガマ、ミクリ、キショウブ、カキツバタなどを挙げることができる。ただし、水生植物5の種類によっては、人工池10で飼っている間鴨などの水鳥に食べられてしまうものがあるため、このような水生植物5を活着させる場合は、図9に示すような保護ネット12が設けられた環境筏1dを用いることが好ましい。
【0022】人工池10は、石垣などである程度自然な雰囲気が形成されているが、建物7に面した部分に、コンクリート護岸10aや、周り階段10bの柱10cや、フェンス10dなどの人工的な造形物が設けられている。このような人工池10において、環境筏1は、人工的な造形物を隠すように、コンクリート護岸10aに沿った位置や、柱10cの周りや、フェンス10dの周りに設けられる。この際、環境筏1同士は、隣接する環境筏1同士を連結金具4を介してロープなどで連結される。また、環境筏1全体は、水中アンカー(図示省略)から延設させたロープを、幾つかの環境筏1の連結金具4に連結することによって水上に固定される。
【0023】これにより、人工池10自体の景観は、コンクリート護岸1aや柱1cやフェンス10dなどの人工的な造形物が隠されて、より自然環境に近い状態にすることができる。また、環境筏1全体は、ある程度ロープに余裕を持たせた状態にして固定しておくことで、水面を吹く風や人工池10内の水流で浮遊し、風や水流により変化する眺望を楽しむことができることとなる。
【0024】また、環境筏1の不織布22に活着させた水生植物5は、不織布22に根を張り、余剰の根が水中に浮遊し、枝葉が水上に出た状態となる。したがって、水生植物6は、人工池10に直接根付くといったことにならないので、人工池10に装備された浄化装置(図示省略)の運転および運転停止によって水嵩が上下するようなことがあっても、枝葉が水に浸かってしまったり、根が干上がってしまったりする心配が無く、快適に育成することができる。
【0025】また、環境筏1は、人工池10に浮かべておくことができるので、人工池10で飼育している間鴨などの鳥類を止めるのに利用することができ、これら鳥類が夜間に野良犬などに襲われることなどを防止できる。
【0026】さらに、環境筏1は、水上に浮かび、水中に根が浮遊した状態となるので、人工池10で飼育している魚類にとっても、有効な漁礁とすることができる。特に、図7に示すように、二本の棒状のフロート3を有する環境筏1cを使用すると、フロート3の無い部分から、床部2上に、外部の小魚などが自由に出入りできることとなるので、漁礁としてさらに効果的なものとすることができる。
【0027】また、このような環境筏1を使用した人工池10においては、上記したように、環境筏1によって水生植物5、鳥類、魚類などのを快適に育成することができるので、より自然環境に近い状態にすることができる。
【0028】なお、本実施の形態において、環境筏1は、人工池10の人工的な造形物を隠すようにして設けられているが、このような位置に設けることに限定されるものではなく、単に人工池10の真ん中に設けるものであってもよい。
【0029】また、本実施の形態において、環境筏1は、人工池10に設けるようになされているが、流れを形成した人工河川などにおいても、水生植物5の根付きを気にする必要も無く、有効に使用することができる。また、環境筏1は、人工池10や人工河川などでの使用に限定されるものではなく、必要に応じて、自然の池、河川、湖、ダム、用水路などにおいて使用することもできる。
【0030】また、環境筏1には、太陽光充電した電力で夜間照明するようになされたライト(図示省略)などが設けられていてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によると、水生植物を床部に活着させ、フロートで浮遊させた状態とすることができるので、水面レベルの変化の激しい人工池や人工河川、用水路などであっても、水生植物が水中に没したり、干上がったりすることなく、快適に水生植物を育成することができる。
【0032】また、このように水生植物を快適に育成することができるので、人工池や人工河川であっても自然な雰囲気を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
【出願日】 平成13年5月31日(2001.5.31)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
【公開番号】 特開2002−354950(P2002−354950A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−165093(P2001−165093)