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【発明の名称】 水田用給水装置
【発明者】 【氏名】小野寺 恒雄

【氏名】大久保 学

【氏名】小川 真人

【要約】 【課題】各耕作区への給水を効率よく行えるとともに、給水側パイプラインへの土砂等の逆流を確実に防止することができる水田用給水装置を提供する。

【解決手段】耕作区給排水口14を有する給水枡15内に、給水側パイプライン19に接続して鉛直方向に立ち上がった給水パイプ20の上端開口部に設けられた弁座25と、給水パイプ19の軸線方向に移動して弁座25を開閉する弁体26と、弁体26の開閉操作を行う操作部28とを備えた給水弁16を収納し、給水パイプ20の外周に設けたガイド部材(下部円筒体30)により逆流防止部材(上部円筒体)31を上下動可能に支持して給水弁16の外周を水密状態に囲繞する逆流防止堰17を設けるとともに、逆流防止部材31上縁の上昇端を水田の通常水位より上方に位置するように設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給水側パイプラインから供給される用水を水田の耕作区に供給するための給水装置であって、側壁に耕作区に連通する耕作区給排水口を設けた給水枡内に、給水側パイプラインに接続して鉛直方向に立上がった給水パイプの上端開口部に設けられた弁座と、前記給水パイプの軸線方向に移動して前記弁座を開閉する弁体と、該弁体の開閉操作を行う操作部とを備えた給水弁を収納し、前記給水パイプの外周にガイド部材を設け、該ガイド部材により逆流防止部材を上下動可能に支持して給水弁の外周を水密状態に囲繞する逆流防止堰を設けるとともに、前記逆流防止部材上縁の上昇端を水田の通常水位より上方に位置するように設定したことを特徴とする水田用給水装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水田用給水装置に関し、詳しくは、給水パイプから供給される用水を水田の各耕作区に供給するための水田用給水装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年の大区画圃場整備事業では、大型作業機械の効率的運用のために、従来のオープン水路ではなく、農道に給排水用のパイプラインを埋設する形態となることが多い。このようにパイプラインによって水田の給排水を行う場合は、水田の水位を自動的に設定水位に調節したり、給排水を一括して行ったりするための機器が必要となり、このための機器も各種提案されているが、従来のものは、ユニットが大型であったり、操作が複雑であったりするなどの欠点があった。
【0003】さらに、給水側のパイプラインにおいては、パイプライン内に土砂等が侵入すると、用水の供給に支障を来すことがあるため、土砂等を含んだ用水が給水側パイプラインに逆流することを防止する必要がある。
【0004】そこで本発明は、給水パイプから供給される用水を水田の耕作区に供給するための給水装置において、各耕作区への給水を効率よく行えるとともに、給水側パイプラインへの土砂等の逆流を確実に防止することができる水田用給水装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の水田用給水装置は、給水側パイプラインから供給される用水を水田の耕作区に供給するための給水装置であって、側壁に耕作区に連通する耕作区給排水口を設けた給水枡内に、給水側パイプラインに接続して鉛直方向に立上がった給水パイプの上端開口部に設けられた弁座と、前記給水パイプの軸線方向に移動して前記弁座を開閉する弁体と、該弁体の開閉操作を行う操作部とを備えた給水弁を収納し、前記給水パイプの外周にガイド部材を設け、該ガイド部材により逆流防止部材を上下動可能に支持して給水弁の外周を水密状態に囲繞する逆流防止堰を設けるとともに、前記逆流防止部材上縁の上昇端を水田の通常水位より上方に位置するように設定したことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の水田用給水装置の一形態例を示す縦断面図である。この水田用給水装置11は、耕作区12の側縁、例えば農道13の傾斜面部分に設けられるものであって、耕作区12に連通する耕作区給排水口14を側壁に設けた給水枡15と、該給水枡15内に収納された給水弁16と、該給水弁16の外周を水密状態に囲繞する逆流防止堰17とにより形成されている。
【0007】前記給水枡15は、その下半部が地中に埋設された状態で設置されており、底板18には、農道13等に沿って埋設された給水パイプライン19から鉛直方向に分岐した給水パイプ20が貫通する通孔21が設けられている。また、前記耕作区給排水口14には、土砂流入防止堰22が設けられている。この土砂流入防止堰22は、耕作区給排水口14の両側に設けられたガイド溝23に、上下位置調節可能かつ着脱可能に挿入されており、土砂流入防止堰22の上下位置を調節したり、取り外したりすることにより、給水枡15内への土砂の流入を抑制するようにしている。なお、土砂流入防止堰22は、上下位置調節可能にすることなく、最上位位置に固定された状態のものであってもよい。さらに、給水枡15の上部開口には、農道13等からの土砂や異物の落下侵入を防止するための蓋体24が設けられている。
【0008】前記給水弁16は、給水枡15内に立上がった前記給水パイプ20の上端開口部に弁座25を設け、この弁座25をパイプ20の軸線方向に移動する弁体26によって開閉するように形成されている。弁体26は、支持部材27の上端に回動可能に支持されたハンドル28に螺合する弁軸29の下端に取付けられており、前記ハンドル28を回すことにより弁軸29を介して弁体26を上下動させるように形成されている。この給水弁16は、ハンドル28を操作して弁体26の開度を適当に調整することにより、給水パイプライン19から給水パイプ20を上昇して給水枡15内に流入する用水量を調整することができる。
【0009】前記逆流防止堰17は、ガイド部材となる下部円筒体30と、逆流防止部材となる上部円筒体31とからなるものであって、下部円筒体30の下端は、給水枡15の底板18に水密状態で固着されており、上部円筒体31は、この下部円筒体30の外周面に、適度な摺動抵抗と水密性を得るために設けられたゴムリング32を介して上下動可能に支持されている。この上部円筒体31の移動範囲は、最も引き上げたときに、その上縁の上昇端が耕作区12内の通常水位より上方位置になるように設定されている。
【0010】この逆流防止堰17は、上部円筒体31の上縁が田面水位より上方に位置するように引き上げて給水弁16の周囲を覆うような状態にしておくことにより、耕作区給排水口14から土砂流入防止堰22を越えて給水枡15内に土砂が流入しても、土砂による給水弁16の汚染を防止できるとともに、給水パイプ20内への土砂の逆流を防止して給水パイプライン19内に土砂が侵入することを確実に防止できる。
【0011】また、上記逆流防止堰17は、下部円筒体30の下端を給水枡15の底板18に接着、溶着等の手段で固定し、この下部円筒体30の外周に上部円筒体31をはめ込むようにするだけで簡単に形成することができる。さらに、上部円筒体31を下方に押し下げることにより、給水弁16の保守、点検も容易に行うことができる。
【0012】この水田用給水装置11は、給水弁16から逆流防止堰17を越えて給水枡15内に流入した用水が、更に前記土砂流入防止堰22を越えて前記耕作区給排水口14から耕作区12内に供給される。このとき、水田設置部の傾斜によって給水パイプライン19の上下位置で水圧が大きく異なっていても、各水田用給水装置11における弁体26の開度を適切に調整することにより、必要十分な量の用水を各耕作区12に満遍なく供給することができる。また、給水パイプ20を給水パイプライン19に対して鉛直方向に設置することにより、給水パイプライン19内の空気を給水装置11から排出することができる。これにより、給水パイプライン19内に発生した空気溜りを解消して通水不足を未然に防止でき、さらに、給水パイプライン19内が瞬間的に負圧となることによる給水パイプライン19の破損を防止できる。
【0013】また、この水田用給水装置11は、給水弁16の弁座25の高さを前記耕作区給排水口14の下縁より下方に配置するようにしているので、給水パイプ20からの用水は、給水枡15内に溜まっている用水中に噴出することになり、給水パイプ20から噴出した用水が耕作区12に勢いよく直接流入することがない。さらに、弁体26が給水パイプ20の軸線方向に移動して給水パイプ20の開口端に設けた弁座25を開閉するようにしているので、給水パイプ20から噴出する用水を弁体26で受け止めて水勢を弱めることができ、耕作区給排水口14から耕作区12に流入する用水の水勢を更に弱めることができる。これにより、耕作区給排水口14の周辺の土砂が用水の流入によって流されることがなくなる。
【0014】また、このような水田用給水装置11において、弁体26の全開時における弁座25からの距離を、弁座内径の50%以上にしておくことにより、代掻き時等に大量の用水が必要なときには、給水弁16を全開状態にすることによって大量の用水を耕作区12に供給することが可能となる。
【0015】なお、給水枡15内の用水や土砂等を排出するための排水パイプ等を接続できるパイプ接続部33を給水枡15の底部に設けておくこともできる。
【0016】図2は、本発明の水田用給水装置の他の一形態例を示す縦断面図である。なお、図2に示した形態例において、図1に示した前記形態例の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0017】この水田用給水装置51は、直角エルボ状の給水パイプ52を使用した例を示すものであって、給水パイプ52の水平方向部分53を給水枡54の側壁55に設けた通孔56を通して給水側パイプラインに接続し、給水パイプ52の鉛直方向部分57の上端に前記形態例と同様に形成された給水弁16を設けている。
【0018】給水弁16を水密状態で覆う逆流防止堰58は、給水パイプ52の鉛直方向部分57の上部に固着されたリング状のガイド部材58と、このガイド部材58にゴムリング59を介して上下動可能に支持された円筒状の逆流防止部材60とにより形成されている。このように形成した逆流防止堰58においても、逆流防止部材60の上縁の上昇端が耕作区12内の通常水位より上方位置になるように設定しておくことにより、耕作区給排水口14から給水枡54内に流入した土砂によって給水弁16が汚染されたり、給水パイプ52に土砂が逆流することを防止できる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水田用給水装置によれば、各耕作区に必要十分な量の用水を満遍なく供給することができるとともに、給水弁から給水パイプラインへの土砂等の逆流を確実に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】596029085
【氏名又は名称】株式会社パディ研究所
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
【公開番号】 特開2002−354948(P2002−354948A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−166135(P2001−166135)