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【発明の名称】 苗処理機
【発明者】 【氏名】松浦 憲夫

【氏名】浅野 士郎

【氏名】玉井 利男

【氏名】井関 秀夫

【要約】 【課題】従来、育苗ハウス等の地面上に敷設された苗箱の苗を車輪等の走行装置により苗箱の上方で機体を走行させながら剪断刃により所定の高さに揃えて剪断する苗処理機においては、機体の走行性能を良好に保持するためにあまり機体が膨大化しないように構成しなければならず、同機体で苗に複数の処理を同時作業で施すべく複数種の苗処理装置を設けることが困難である。従って、複数種の苗処理を施そうとすると別の種類の苗処理機で別々に作業を行わなければならなくなり、結果的に全体的な苗処理の作業能率が低下するおそれがある。

【解決手段】複数の育苗ポットを備えた苗箱の搬送案内経路5に沿って、前記苗箱で育苗された苗の絡みを解す解し具2と、苗を所定の高さに剪断する主剪断装置3と、苗箱より横方向にはみ出す苗を剪断する横剪断装置4とを、順に配設したことを特徴とする苗処理機1とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の育苗ポットpを備えた苗箱Aの搬送案内経路5に沿って、前記苗箱Aで育苗された苗の絡みを解す解し具2と、苗を所定の高さに剪断する主剪断装置3と、苗箱より横方向にはみ出す苗を剪断する横剪断装置4とを、順に配設したことを特徴とする苗処理機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数の育苗ポットを備えた苗箱で育苗された苗の絡みを解したりあるいは苗を剪断したりして苗に処理を施す苗処理機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】育苗ハウス等の地面上に敷設された苗箱の苗を、車輪等の走行装置により苗箱の上方で機体を走行させながら剪断刃により所定の高さに揃えて剪断する苗処理機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の苗処理機は、苗箱の上方で機体を走行させながら苗に処理を施すものであるので、機体の走行性能を良好に保持するためにあまり機体が膨大化しないように構成しなければならず、同機体で苗に複数の処理を同時作業で施すべく複数種の苗処理装置を設けることが困難である。従って、複数種の苗処理を施そうとすると別の種類の苗処理機で別々に作業を行わなければならなくなり、結果的に全体的な苗処理の作業能率が低下するおそれがある。
【0004】また、機体を走行させながら作業をするものであるので、機体が走行する路面が例えば荒れていたり傾斜したりしていて不良な状態にあると苗処理作業の作業精度が悪化するおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、複数の育苗ポットpを備えた苗箱Aの搬送案内経路5に沿って、前記苗箱Aで育苗された苗の絡みを解す解し具2と、苗を所定の高さに剪断する主剪断装置3と、苗箱より横方向にはみ出す苗を剪断する横剪断装置4とを、順に配設したことを特徴とする苗処理機とした。
【0006】従って、この苗処理機1は、搬送案内経路5に沿って苗箱Aを搬送させると、解し具2により苗箱Aの苗の絡みを解し、主剪断装置3により苗を所定の高さに剪断し、横剪断装置4により苗箱Aより横方向にはみ出す苗を剪断する。
【0007】
【発明の効果】よって、苗箱の苗の絡みを解す作業と苗を所定の高さに剪断する作業と苗箱より横方向にはみ出す苗を剪断する作業とを同時に行うことができ、これらの苗処理作業の全体的な作業能率を向上させることができる。
【0008】また、搬送案内経路に沿って苗箱を搬送させて苗処理作業を行うものであるので、苗処理作業の作業精度を良好に維持することができ、苗処理作業を適正に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1及び図2は、苗処理機1を示したものである。この苗処理機1は、苗箱A内で育苗されたいぐさ苗等の植物の絡みを解す解し具2と、前記植物を所定の高さに揃えて剪断する主剪断装置3と、苗箱Aより横方向にはみ出す植物を剪断する横剪断装置4と、前記苗箱Aを搬送するための搬送案内経路5とを備えて構成される。尚、この苗処理機1は主としていぐさ苗に処理を施すのに使用されるため、以下の説明はいぐさ苗を処理するものとして説明する。
【0010】図6に示すように、いぐさ苗が育苗される苗箱Aは、可撓性を有するプラスチック製であり、複数の育苗ポットpが縦横に並び、各ポットp同士を開口部側のプレ−ト状のポット連結部aで互いに連結して構成されている。苗箱Aの左右中央部にはポットpとポットpの間隔が広い広間隔部bが設けられ、この広間隔部bを挟んで各ポットpは同数(左右方向で4個、前後方向で32個)づつの2群に分かれている。育苗ポットpの底部には、水抜きと苗取り出しのための切れ目cが形成されている。苗箱Aの左右両端の縁部dには苗移植機で間欠送りする時に使用される角孔eを設けており、この角孔eはポットpの長手方向の間隔に合わせて設けられている。
【0011】苗処理機1は、複数の脚部6と該脚部6に支持される水平面状の基板7とを備え、該基板7から更に前後2本の上下フレーム8及び該上下フレーム8の上端部を繋ぐ天板支持フレーム9を備えている。尚、該天板支持フレーム9には天板10を載置して取り付けている。尚、天板支持フレーム9の前後方向の中途部には、左右方向に延びる解し具取付フレーム11を設けている。
【0012】解し具2は上部から前下方に向けて延設されるプレ−トで構成されており、この解し具2が左右並列に計7個設けられ、搬送案内経路5を通過する苗箱Aの左右方向における互いのポットp間にそれぞれの解し具2が入って左右のポットp間で絡み合う互いのいぐさ苗の茎nの絡みを解くようになっている。尚、該解し具2は、その上端部を前記解し具取付フレーム11に取り付けられ固定される。左右に並ぶ解し具2は、隣接する解し具2との互いの前後位置が異なるように前後位置を互い違いにずらせて設けられている。解し具2の下端は、搬送案内経路5を通過する苗箱Aの上面から約1mm程度の苗箱Aに近づいた位置に配置されている。尚、解し具2の下端は該解し具2の前端と同位置となっており、この解し具2の下端から後側に向けて設けられた解し具2の下面2aは、若干の後上がりの傾斜面となっている。
【0013】主剪断装置3は、左右水平に長く設けられた主剪断刃13と該主剪断刃13の剪断作用を生じさせるべく該主剪断刃13を小さく揺動させる主エンジン14とを備えて構成され、主剪断刃13により搬送案内経路5を通過する苗箱Aのいぐさ苗の茎nを所定の高さで剪断するようになっている。前記主剪断刃13は、左右方向の一側端を主エンジン14に固着したカウンタケ−ス15に取り付けて支持されており、解し具2の前下端より後上側で該解し具2の上端より前下側の位置に配置されている。尚、主エンジン14の動力がカウンタケ−ス15内のクランク機構等を介して主剪断刃13に伝動され、該主剪断刃13が左右方向に小さく揺動する構成となっている。主エンジン14は正面視L字型の主エンジンフレ−ム16に取り付けられて支持されており、前記主エンジンフレ−ム16は基板7に左右2か所の取付部17を介して取り付けられ、該取付部17は締付ボルト17a及び固定ナット17b等で構成されて取付高さが調節可能な構成となっている。従って、前記取付部17の取付高さの調節により、主エンジンフレ−ム16の機枠に対する高さや左右傾斜姿勢を調節することで主剪断刃13の高さや左右傾斜姿勢を調節することができる。これにより、苗箱Aの左右方向にわたって主剪断刃13による苗の剪断高さを揃えたり、主剪断刃13による苗の剪断高さが所望の高さとなるべく変更して調節したりでき、主剪断刃13による苗の剪断高さの適正化を図ることができる。
【0014】横剪断装置4は、左右のディスクカッタ18と該ディスクカッタ18を回転駆動させるための副エンジン19と該副エンジン19の動力をディスクカッタ18の回転軸18aに伝達する伝動ベルト20とを備えて構成され、左右のディスクカッタ18により搬送案内経路5を通過する苗箱Aから左右外方に突出するいぐさ苗の茎nを剪断するようになっている。尚、いぐさ苗の茎nは鉛直方向に対して横方向に傾いて放射状に伸びる性質があるため、苗の茎部nが平面視で苗箱Aから外方に突出しやすくなるのである。左右のディスクカッタ18は、機枠に支持される左右共通の回転軸18aと一体回転するように側面視で同位置に設けられ、且つ解し具2及び主剪断刃13より後側に設けられている。副エンジン19のエンジン出力プ−リ19aから伝動ベルト20を介して前記回転軸18aと一体回転する従動プ−リ21へ伝動され、前記回転軸18aが駆動することにより左右のディスクカッタ18が図1視及び図5視で右回りに同回転する構成となっている。従って、ディスクカッタ18の回転により苗の茎nが上方へ持ち上げられながら剪断されることとなるので、鉛直方向に対して横方向に傾いて放射状に伸びる性質があるいぐさ苗の茎nを鉛直方向に修正しながら剪断することができ、ディスクカッタ18を逆方向に回転させて剪断するのに比して苗株間のいぐさ苗の茎の絡みを抑えると共にスムーズに剪断することができる。ディスクカッタ18の外周は、鋸刃状に構成され、ディスクカッタ18の回転方向とは反対側に鋭角である刃18bの頂点(先端)が向くように構成されている。これにより、ディスクカッタ18の刃18bにより苗の茎nをひっかけて傷めるようなことを抑え、苗の茎nをスムーズに剪断することができる。
【0015】搬送案内経路5は、苗箱Aの下側となる位置に左右3列のプレ−ト状の案内レ−ル22,23と苗箱Aの上側の左右両端となる位置に苗箱浮き上がり防止プレ−ト24とを備えて構成される。左右3列の案内レ−ル22,23のうち左右中央の案内レ−ル22は、苗箱Aの左右中央部の広間隔部bの左右どちらか一方のポット列のポットp上端部とポット連結部aとで構成される角部に当接して苗箱Aの左右方向の位置決めがなされるようになっている。一方、左右両端の案内レ−ル23は、左右中央の案内レ−ル22により苗箱Aの左右位置の位置決めがされた状態で該苗箱Aの左右両端の縁部dの端部に下側から当接して苗箱Aの左右傾斜を防止しながら苗箱Aとの接触抵抗を低減させてスム−ズに該苗箱Aを搬送できるようにしている。左右の苗箱浮き上がり防止プレ−ト24は、解し具2の前端より苗箱搬送の下手側で主剪断刃13の搬送上手側からディスクカッタ18の下端部に至るまで苗箱搬送方向に長く設けられ、前記案内レ−ル22,23で搬送される苗箱Aの左右両端の縁部dに上側から当接し、苗箱Aが上方に浮き上がらないようにしている。該苗箱浮き上がり防止プレ−ト24の前側(苗箱搬送上手側)の端部は、搬送案内経路5を通過する苗箱Aの左右外側に位置するように左右外方に傾斜させて屈曲している。従って、搬送案内経路5で苗箱が上方へ浮き上がり気味で搬送されてきても、苗箱Aが苗箱浮き上がり防止プレ−ト24にひっかかることを抑え、苗箱Aが破損するのを防止している。また、左右の苗箱浮き上がり防止プレ−ト24の間隔がその前端(苗箱搬送上手側の端部)で苗箱Aの左右幅より大きくなっており、搬送案内経路5で苗箱Aが左右にずれた状態で搬送されてきても、苗箱浮き上がり防止プレ−ト24の前端部に案内されて苗箱Aの左右位置が修正されるようになっている。
【0016】横剪断装置4の後側(苗箱搬送下手側)には、泥落し装置25を設けている。この泥落し装置25は、搬送案内経路5の下側に泥落し用回転ブラシ26を備えて構成されており、この泥落し用回転ブラシ26が副エンジン19からブラシ用伝動ベルト27等を介して回転駆動することにより育苗行程で苗箱Aの底面にこびりついた泥を落す構成となっている。
【0017】ところで、いぐさの栽培行程について説明すると、苗圃場で苗箱Aを使用して育苗しいぐさ苗を分けつさせて元の親株に対し約20倍程度に大きくする。その苗を株分けして、再度、人手かあるいは自動的に苗箱Aの育苗ポットpへ挿し苗する挿苗機等により、苗箱Aの各育苗ポットpに充填された培土に灌水して比較的水分の多い軟弱な状態の苗床へ挿苗して育苗する。尚、苗箱Aで育苗するにあたり、苗箱Aの下に苗箱Aの育苗ポットpに対応する位置に底孔が開いた専用のアンダ−トレイ(図示せず)を敷き、前記底孔からいぐさ苗の根が置床に伸長して養分を吸収して成育する。この行程を必要に応じて繰り返し(通常2回程度苗箱で育苗する)、増株を図る。尚、苗が育苗されると、アンダ−トレイごと苗箱Aを苗圃場から取り上げるが、このとき、アンダ−トレイから下方に伸びる苗の根を切断して取り上げる。そして、育苗された苗を苗箱Aごと専用の移植機30へ装填し、該移植機30により適期(通常11月頃)に本圃場(水田)に移植し、本圃場でいぐさを栽培するようになっている。
【0018】前記移植機30は、走行車体31の後方に苗植付部32を装着した構成となっており、機体を走行させながら圃場に苗を移植する構成となっている。前記苗植付部32には苗箱供給路33を設け、この苗箱供給路33の上部(供給上手部)33aへ作業者が苗箱を装填すると、苗箱Aの左右両端の縁部dの角孔eに作用する送り爪34により苗箱Aが苗箱供給路33に沿って下方の苗押出装置35の位置まで搬送され、苗押出装置35の苗押出ピン35aが苗箱Aの底側から切れ目cを通って育苗ポットp内に突入していぐさ苗を苗箱Aから押し出し、押し出された苗を受けとって下方へ搬送する苗搬送装置36及び該苗搬送装置36で搬送された苗を植付装置37へ向けて左右方向に搬送する横送りベルト38を介して苗を植付装置37へ搬送し、前記植付装置37が圃場に苗を植え付けるようになっている。尚、苗が押し出された後の空の苗箱Aは、苗押出装置35の位置から苗箱供給路33に沿って前上方の空箱収容枠39へ搬送され、前記空箱収容枠39に回収されるようになっている。
【0019】この移植作業において、いぐさ苗の茎nは鉛直方向に対して横方向に傾いて放射状に伸びる性質があるため、隣接する育苗ポットpの互いの苗株の茎同志が絡み合いやすく、苗株の茎同志が絡み合うと苗押出装置35で苗を押し出すときや苗搬送装置36あるいは横送りベルト38で苗を搬送するときに苗が干渉し合って適正な姿勢あるいは位置に苗が供給されず、ひいては植付装置37へ苗が不適正な姿勢あるいは位置に供給されて植付深さや植付姿勢が不適正になったり、場合によっては植付装置37へ苗が供給されずに植付欠株を生じるおそれがある。また、いぐさ苗の苗丈が異常に長かったりすると、移植機30での苗の搬送過程において苗が移植機30の部材と干渉して姿勢あるいは位置が不適正となるおそれがあり、最終的に植付装置37へ苗が不適正な姿勢あるいは位置に供給されて植付深さや植付姿勢が不適正になったり、場合によっては植付装置37へ苗が供給されずに植付欠株を生じるおそれがある。また、いぐさ苗の茎nが鉛直方向から横方向に傾いて放射状に伸びる性質があることから、平面視で苗箱Aの横方向の外方に苗の茎nが突出しやすくなり、その突出する苗の茎nが移植機30の苗箱供給路33の側壁部と接触したり苗箱Aの左右両端の縁部dの角孔eと移植機30の送り爪34との間に咬み込んだりして、前記苗箱供給路33でスムーズに且つ適正に苗箱Aを搬送できずに、最終的に植付装置37へ苗が不適正な姿勢あるいは位置に供給されて植付深さや植付姿勢が不適正になったり、場合によっては植付装置37へ苗が供給されずに植付欠株を生じるおそれがある。そこで、本実施例の苗処理機1により苗を解したり剪断したりして処理を施してから、苗を移植機30へ供給するようになっている。
【0020】次に、前記苗処理機1の作用について説明する。まず、作業者は、搬送案内経路5の始端部に苗箱Aをセットする。そして、主エンジン14及び副エンジン19を始動して、主剪断装置3の主剪断刃13及び横剪断装置4のディスクカッタ18を常時駆動状態にし、作業者が搬送案内経路5の始端部にセットした苗箱Aを該始端部側から押し込んで搬送する。すると、解し具2により育苗ポットp間での苗の茎部nの絡み合いが解かれ、その後主剪断装置3の主剪断刃13により苗が所定の高さに剪断される。このとき、苗箱浮き上がり防止プレ−ト24により苗箱Aの浮き上がりが規制されているので、主剪断刃13により適正な高さで苗を切り揃えることができる。主剪断刃13で剪断された苗は、横剪断装置4のディスクカッタ18により苗箱Aの左右側方に突出する苗の茎部nを切断する。その後、泥落し装置25により、苗箱Aの底面にこびりついた泥を落すのである。以下、先の苗箱に続いて次の苗箱を搬送案内経路5の始端部から押し込んで搬送していき、複数の苗箱Aに苗処理作業を行っていくようになっている。尚、苗処理が施されて搬送案内経路5の終端部に達した苗箱Aは、作業者が順次苗処理機1から取り出していくようになっている。
【0021】以上により、この苗処理機1は、複数の育苗ポットpを備えた苗箱Aの搬送案内経路5に沿って、前記苗箱Aで育苗された苗の絡みを解す解し具2と、苗を所定の高さに剪断する主剪断装置3と、苗箱より横方向にはみ出す苗を剪断する横剪断装置4とを、順に配設している。
【0022】従って、苗箱Aの苗の絡みを解す作業と苗を所定の高さに剪断する作業と苗箱Aより横方向にはみ出す苗を剪断する作業とを同時に行うことができ、これらの苗処理作業の全体的な作業能率を向上させることができる。また、解し具2により苗の絡みを解してから主剪断装置3又は横剪断装置4により苗を剪断する構成としているので、苗の茎部nが絡み合うことによって異様に変形した状態で苗を剪断するのを抑制でき、適正な苗の状態あるいは位置で苗の剪断を行うことができる。従来の解し具を備えていないで苗を所定の高さに剪断する剪断刃を設けた剪断機においては、苗の茎部nが絡み合うことによって異様に変形した状態で苗を剪断するおそれがあり、実際に所望の高さあるいは位置で苗を剪断できないおそれがある。
【0023】また、搬送案内経路5は、解し具2より前側(苗箱搬送上手側)と泥落し装置25より後側(苗箱搬送下手側)とにそれぞれ苗箱1枚分以上の長さの苗箱Aを搭載可能なスペ−スを有している。これにより、搬送案内経路5の始端部に苗箱Aを供給するときは、一旦苗箱Aを解し具2より前側(苗箱搬送上手側)の前記スペ−スに載せてから搬送方向に押し込んで搬送させることができるので、苗箱Aの搬送作業を容易に行える。また、搬送案内経路5の終端部から苗箱Aを取り出すときは、泥落し装置25による泥落し作業が完了してから苗箱Aを取り出すことができるので、苗処理作業が完了した苗箱Aを作業者の都合の良いタイミングで取り出すことができ、苗箱Aの取り出し作業を容易に行える。
【0024】また、主エンジン14及び副エンジン19を停止させた状態で搬送案内経路5において苗箱Aを搬送させることにより、解し具2による苗の絡みを解す作業のみ行うこともできる。また、主エンジン14のみを駆動させた状態で搬送案内経路5において苗箱Aを搬送させることにより、解し具2による苗の絡みを解す作業と主剪断装置3による苗を所定の高さに剪断する作業とを行い、横剪断装置4による苗箱Aより横方向にはみ出す苗を剪断する作業及び泥落し装置25による苗箱Aの底面の泥を落す作業を行わないようにすることもできる。また、副エンジン19のみを駆動させた状態で搬送案内経路5において苗箱Aを搬送させることにより、主剪断装置3による苗を所定の高さに剪断する作業のみを行わないようにすることもできる。このように、複数種の苗処理作業を行える苗処理機1において、苗の種類や苗の成育状態に応じて必要な作業のみを行うことができ、苗処理機1の汎用性を向上させることができる。尚、解し具2を上方に退避可能な構成として、解し具2による苗の絡みを解す作業を行なわないようにできる構成としてもよい。また、ブラシ用伝動ベルト27の伝動状態と非伝動状態とを切り替えできるテンションプ−リ等のクラッチを設け、泥落し装置25による苗箱Aの底面の泥を落す作業のみを行える構成としてもよい。
【0025】また、横剪断装置4により苗箱Aから左右外方に突出するいぐさ苗の茎nを剪断するので、苗の茎nが移植機30の苗箱供給路33の側壁部と接触したり苗箱Aの左右両端の縁部dの角孔eと移植機30の送り爪34との間に咬み込んだりするのを抑制でき、前記苗箱供給路33でスムーズに且つ適正に苗箱Aを搬送でき、移植機30において適正な植付深さや植付姿勢で植付作業を良好に行うことができる。また、横剪断装置4により苗の側方で上下方向に剪断することとなるので、苗の茎nの絡みを低減させることができる。尚、前記横剪断装置4と併せて苗箱Aの左右中央部となる広間隔部bに横剪断装置4と同様のディスクカッタ18が通過するように設け、前記広間隔部bで苗を上下方向に剪断する構成とすることにより、広間隔部bでの苗の茎nの絡みを低減させることができ、移植機30においてより適正な植付姿勢あるいは植付深さでの植付を図ることができる。
【0026】主剪断装置3の主剪断刃13は解し具2の前下端より後上側で該解し具2の上端より前下側の位置に配置され、苗箱Aの搬送方向において解し具2が苗に解し作用を施している間に主剪断刃13が苗を剪断するようになっているので、解し具2で苗の茎部nを解し分けながら主剪断刃13で苗を剪断することとなり、前記主剪断刃13による苗の茎部の剪断高さの適正化が図られる。尚、側面視で前下方から後上方へ斜めに延びる解し具2と天板10との間の楔形状のスペースSに主剪断刃13を配置したので、機体のコンパクト化が図られる。尚、解し具2は、左右方向で苗箱Aの育苗ポットp間に位置する左右並列に計7個設けた構成としたが、苗箱Aの左右両側部にも追加して左右並列に計9個設けた構成とし、より苗の茎nの鉛直方向への矯正作用を促して主剪断刃13による苗の茎部の剪断高さの適正化を図ることができる。
【0027】また、解し具2の下面2aが若干の後上がりの傾斜面となっているので、該解し具2の前下端をできるだけ下方の苗箱Aに近づけて育苗ポットpから鉛直方向に対して横方向に傾いて放射状に伸びたいぐさ苗の茎nにその根元側から解し作用を施すことができて解し作用の合理化を図りながら、苗箱Aの上面と解し具2の下面2aとの近接範囲を小さくすることができ(苗箱Aの上面と解し具2の下面2aとが近接する前後長さを短くすることができ)、解し具2による搬送案内経路5での苗箱Aの搬送抵抗を低減することができ、搬送案内経路5において作業者が苗箱Aを押し込んで容易に搬送することができる。
【0028】また、隣接する解し具2の前後位置を互い違いにずらせているので、隣接する解し具2の解し作用が同時に作用しないため、隣接する解し具2により無理に苗の茎nを矯正しようとするのが抑えられ、苗の茎nを傷めるようなことを抑制することができる。更に、隣接する解し具2の解し作用が同時に作用しないことに加え、全ての解し具2による搬送案内経路5での苗箱Aの搬送抵抗が同時に作用しないので、搬送案内経路5での苗箱Aの搬送抵抗を低減することができ、搬送案内経路5において作業者が苗箱Aを押し込んで容易に搬送することができる。
【0029】また、苗箱浮き上がり防止プレ−ト24が主剪断装置3の主剪断刃13及び横剪断装置4のディスクカッタ18の剪断作用位置に設けられているので、前記剪断作用位置で苗箱Aの搬送案内経路5の案内レール22,23からの浮き上がりが防止され、苗の茎nの剪断高さ及び剪断位置を適正に安定させることができる。更に、苗箱浮き上がり防止プレ−ト24が解し具2の前端より苗箱搬送の下手側に設けられているので、解し具2による苗の茎nの絡みの解し作用が始まるときに無理に苗箱Aが案内レール22,23に押さえ付けられないため、解し具2による苗の茎nの絡みの解し作用が始まるときに該解し作用による苗箱Aの搬送抵抗を軽減することができ、苗の茎nが損傷したり苗床が苗箱Aの育苗ポットpから抜け出たりするようなことを抑えられる。
【0030】また、いぐさ苗の栽培において置床に伸長した根を切断して取り上げられた苗箱Aの底面には置床の泥がこびりつきやすいが、泥落し装置25により苗箱Aの底面にこびりついた泥を落すので、移植機30の苗箱供給路33でスムーズに且つ適正に苗箱Aを搬送でき、移植機30において適正な植付深さや植付姿勢で植付作業を良好に行うことができる。尚、この泥落し装置25は泥落し用回転ブラシ26により構成したが、苗箱Aの底面に高圧水を噴射する高圧水噴射ノズルにより苗箱Aの底面の泥を落とすようにしてもよい。
【0031】尚、苗箱Aの底面に作用する動力カッタやブラシ等により、苗箱Aの底面に残留する根を切断あるいは除去する根除去装置を設けてもよい。いぐさ苗の栽培においてはいぐさ苗の直根性が強いため、置床に伸長した根を切断しても長い根が苗箱Aの底面に残ることがある。この根除去装置により苗箱Aの底面に残留する根を除去するので、移植機30の苗箱供給路33で苗箱Aの搬送抵抗が軽減されスムーズに且つ適正に苗箱Aを搬送でき、移植機30において適正な植付深さや植付姿勢で植付作業を良好に行うことができる。
【0032】尚、主剪断装置3又は横剪断装置4で剪断された部分(切り屑)を例えば圧風により吹き飛ばして苗箱Aの側方に排出するような切り屑排出装置を設けてもよい。この切り屑排出装置により、苗箱上に苗の剪断された部分(切り屑)が残らなくなるので、移植機30で苗を移植するときに苗の剪断された部分(切り屑)が移植機30内で詰まったりして移植作業に悪影響を与えないようにすることができる。尚、回収袋を装着して該回収袋に苗の剪断された部分(切り屑)を回収するようにすると、苗の剪断された部分(切り屑)の廃棄作業が容易になると共に、清潔な状態で苗処理作業をすることができ作業環境の向上を図ることができる。
【0033】尚、主剪断装置3の主剪断刃13の前後傾斜角度を調節可能に設けてもよい。苗箱の搬送で主剪断刃13によりいぐさ苗の茎部nが苗箱搬送上手側に押されて曲がったりあるいは機体の進行方向に傾斜した状態となると、いぐさ苗の茎の主剪断刃13による剪断面は剪断中は主剪断刃13の前後傾斜角度と略同等となるが、剪断された後に主剪断刃13により押されていたいぐさ苗の茎が主剪断刃13から解放されるため、いぐさ苗の茎が曲がったりあるいは機体の進行方向に傾斜した状態から元の状態に復帰しその結果、前記剪断面は水平に対して前後に傾斜した状態となるばかりでなく、苗の剪断高さも不適正になる。ところが、主剪断刃13の前後傾斜角度を調節可能とすることにより、前記剪断面を水平に近い状態にでき、また苗の丈方向に対して垂直に主剪断刃13を作用させることができるので苗の剪断高さの安定化も図ることができる。
【0034】尚、主剪断装置3又は横剪断装置4は、それぞれ主エンジン14又は副エンジン19により駆動するため、これらのエンジン14,19のスロットルレバ−(図示せず)をそれぞれ操作して作動速度を調整することができ、苗の強度(成育度合)や苗の剪断状況や目標とする作業能率に応じて適正な作動速度に調整することができる。同様に、泥落し装置25は、副エンジン19により駆動するため、苗箱Aの底面の泥の付着量や泥質又は目標とする作業能率に応じて適正な作動速度に調整することができる。
【0035】尚、この発明の実施の形態において機体に固定された解し具2について詳述したが、苗の絡みの解し効果を向上させるべく解し具を可動させる構成としてもよい。尚、この発明の実施の形態は搬送案内経路5において作業者が苗箱Aを押し込んで搬送する構成のものについて詳述したが、モータ等の動力により苗箱を自動的に搬送するものであってもよい。
【0036】尚、この発明の実施の形態における苗処理機1は主エンジン14及び副エンジン19により駆動する構成のものを示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成13年5月31日(2001.5.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−354944(P2002−354944A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−164828(P2001−164828)