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【発明の名称】 植物栽培用培地
【発明者】 【氏名】森 久和

【要約】 【課題】古紙は、一部植物栽培用培地として再利用される以外にもリサイクルが行われ再生使用されている。しかし、紙質やコスト面で問題があり、再生使用されなかった残りの古紙の殆んどは焼却処分され、自治体等ごみ焼却炉の負荷増の一因となっている。古紙以外にも木材鋸屑、竹材鋸屑、紙・段ボール鋸屑、樹皮、籾殻などが産業廃棄物として処分されている。

【解決手段】木材鋸屑、竹材鋸屑、紙・段ボール鋸屑、樹皮、籾殻、古紙等を炭化させたものに、高吸水性樹脂粉末を空孔込みの容積比で0.1〜1.1%含ませて植物栽培用培地を形成させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】木材鋸屑、竹材鋸屑、紙・段ボール鋸屑、樹皮、籾殻、古紙等を炭化させたものに高吸水性樹脂粉末を加えて形成させたことを特徴とする植物栽培用培地。
【請求項2】前記炭化させたものに、高吸水性樹脂粉末を空孔込みの容積比で0.1〜1.1%含むことを特徴とする請求項1記載の植物栽培用培地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然の土、ロックウール等に代えて植物の栽培に使用しうる培地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の植物の栽培に用いられている培地は、自然の土、ロックウール、バーミキュライト、発泡ウレタン、苔類のみずごけ・ピートモス等で、これらを用いて直接屋外での栽培、ハウス栽培、水耕栽培等が行われてきた。
【0003】このうちロックウール(ガラス質からなる繊維)、バーミキュライト(蛭石を高温処理したもの)、発泡ウレタン等はカイワレ大根等の水耕栽培に使用されるが、素材コストが高く、使用後の廃棄処分も問題となる。ロックウールは、ガラス質のため燃えず、腐敗もしないため、その処分は埋立て以外方法がない。また、発泡ウレタンは焼却すると腐食性の有毒ガスが発生し焼却炉を傷めるとともに、環境も汚染させ好ましくない。
【0004】これらロックウール等の培地で栽培した植物では、培地から植物を抜いたとき、根が培地にからみついて容易に分離することができない。野菜等の場合、根に培地の一部が付着したままの状態では、食品としては好ましくない。そして、根が培地にからみついて残っているため、再使用もなかなか困難である。
【0005】特開昭63−126428には、空孔込みの容積比で12%以上の人口土壌(ロックウール、グラスウール、ポリエステル繊維)と同じ空孔込みの容積比で0.1〜1.0%の高吸水樹脂を含むことを特徴とする人口潅水不能な屋外でも使用できる培土が提案されている。
【0006】ずっと以前から木炭、籾殻を炭化させた炭、これらのなかに含まれる灰は、植物の成長を助け、植物の生長に有害な病原菌の繁殖を押さえる役目があるとされて、水田、畑地に散布あるいはすきこまれて使用されてきた。近年その木炭を露地栽培、ハウス栽培、温室栽培に試みた結果、植物の生育状況が非常によかった、果実の糖度が上がったという良い結果と、あまり効果がなかったなどいろいろな結果が報告されている。しかし、木炭を使用したため悪い結果がでたという報告は極めて少なかった。(炭やきの会編;環境を守る炭と木酢液、社団法人家の光協会発行、平成9年3月8日、第11刷、p.113〜125)。
【0007】近年、廃棄物を利用した栽培用培地が提案されている。一例をあげると特開平8−224044公報には、段ボールの切断加工等において多量に発生する産業廃棄物としての紙粉を植物栽培用の資源として利用することで、安価で特別な肥料管理等を必要とせず、しかも栽培植物の根との分離が容易な栽培用基材が提案されている。また、特開平8−266148公報には、主原料として木材の細かいチップあるいは大鋸屑に高吸水性樹脂を加え、前記両材料を澱粉糊等の粘質接合剤によって所望の形状に構成してなる人口土壌も提案されている。さらに、インターネット、ローカルヘッドライン、高知新聞社には、高知工科大学の坂輪教授らが行った古紙を粉砕、鉢状に成形、炭化処理してなる古紙再生の炭の鉢での植物の栽培事例が紹介されている。(yahoo、平成13年5月検索)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の従来技術によれば、古紙は、前記の炭の鉢(成形体を炭化させた炭素質植物栽培床)として再利用される以外にもリサイクルが行われ再生使用されている。しかし、紙質やコスト面で問題があり、再生使用されなかった残りの古紙の殆どは焼却処分され、自治体等ごみ焼却炉の負荷増の一因となっている。
【0009】特開平8−224044公報に記載された植物栽培用基材は、紙粉が水の存在下で湿潤され、所定形状に成形され、乾燥固形化させるという処理工程が必要である。また、ローカルヘッドライン(高知新聞社)に掲載された植物栽培床の炭の鉢も古紙を粉砕、鉢状に成形、炭化させるという処理工程が必要なため、培地製作コストアップ要因になることは否めない。
【0010】そこで、本発明は、木材鋸屑、竹材鋸屑、紙・段ボール鋸屑、樹皮、籾殻、古紙等を有効活用して、植物の生育に最適な植物栽培用培地を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するために、請求項1の発明は、木材鋸屑、竹材鋸屑、紙・段ボール鋸屑、樹皮、籾殻、古紙等を炭化させたものに高吸水性樹脂粉末を加えて形成させたことを特徴とする植物栽培用培地。また、請求項2の発明は、前記炭化させたものに高吸水性樹脂粉末を空孔込みの容積比で0.1〜1.1%含むことを特徴とする植物栽培用培地。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いる木材鋸屑や古紙等の炭化は、工業用の炭化炉では平炉、ロータリキルン、流動炭化炉等を用いて行う。農家等が庭先や空き地で炭化を行うには、籾殻のような粒状のものは平地にそのまま積み上げても炭化できるが、古紙、樹皮等のように平面状のものは焼却炉やドラム缶を改造した炭化炉を用いて行う。
【0013】本発明で用いる高吸水性樹脂粉末は、高分子電解質等の水溶性ポリマーを何らかの方法で不溶化した化学製品で、自重の数百倍から1000倍ほどの水を吸収して、これをゲル状にする性質を有するものであれば橋かけポリアクリル酸塩系、イソブチレン/マレイン酸塩系、デンプン/ポリアクリル酸塩系、PVA/ポリアクリル酸塩系、橋かけPVA系、デンプン/ポリアクリロ等であればどれを用いてもよい。
【0014】本発明の植物栽培用培地は、木材鋸屑や古紙等を炭化させたものが主成分なので、含まれている灰分によって弱アルカリ性を示す。弱アルカリ性(pH7.0〜8.0)を好むのはホウレン草、キンセンカやスイートピー等であるが、多くの植物は弱酸性(pH5.5〜6.5)を好む。なかにはさつきやつつじのように酸性(pH4.5〜5.5)を好む植物もある。そこで、改造した焼却炉やドラム缶を使用しての炭化過程で煙から採取される酸性の木酢液(pH2〜3)、市販の木酢液、希釈した塩酸等を用いて、酸性を好む植物には栽培用培地のpH調整を行う。
【0015】本発明では、木材鋸屑や古紙等の炭に高吸水性樹脂粉末を加え植物栽培用培地とするが、本栽培用培地自体には、植物の生育に必要な栄養分はカリを主成分とする灰成分以外含まれていない。そこで栄養分として大量に必要な要素のチッ素、リン酸、カリ、中量に必要な要素のカルシウム、マグネシウム、イオウ、そして、微量に必要な要素の鉄、ホウ素、塩素、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンを本発明の培地に加える必要がある。これらの栄養分を化学肥料だけで補充することはなかなか困難なので、化学肥料に天然物の鶏糞、牛やぶたの糞、落ち葉等の堆肥、米ぬか等を組み合わせて肥料とし、木材鋸屑や古紙等の炭とよく混合して栽培用の培地とする。
【0016】栽培用培地のpH調整は、これら化学肥料等との混合時に行ってもよいし、炭化炉での消火時に弱酸性の水を用いて行ってもよい。なお、乾燥したままの本発明の培地用の炭がミキサー内や閉めきった室内で浮遊すると、着火源があれば炭塵爆発を起こすので、化学肥料等との混合時には注水しながら行い、混合が終われば湿らせた状態で保存する方が良い。その方が天然ものの糞や落ち葉等の発酵が進み、植物の栽培に適した培地となる。
【0017】本発明の植物栽培用培地成分は、木材鋸屑や古紙等を炭化させた炭に高吸水性樹脂粉末を加えたものなので、炭自体でも炭化過程で生成したマクロの孔(10〜40μm)やミクロの孔(1〜5nm)によって水分や肥料成分を保持する能力がある。これに高吸水性樹脂の浸透圧、親和力、ゴム弾性力にもとづいた自重の数百倍から1000倍ほどの水分を吸水する能力が加わることになる。この培地成分の炭や高吸水性樹脂に保水された水分を植物が利用するので、自然の土に比べ水やりの回数は少なくなって、植物育成作業の省力化になる。
【0018】本発明の植物栽培用培地成分は、木材鋸屑や古紙等を炭化させた炭と紙おむつに使われている高吸水性樹脂、それに堆肥等を加えたものなので、栽培した植物ともども一般家庭でも紙屑、生ごみや使用した紙おむつを出すのと同様な廃棄処分ができる。
【0019】本発明の植物栽培用培地容器としては、園芸用に市販されているプラスチック鉢、発泡スチロール鉢、育苗箱(硬質塩化ビニール製)、育苗用のポリポット(薄いポリエチレンフィルム製)、連結ポット(多くのポットが連結して一つの育苗箱になったもので、紙や薄いポリエチレンフィルムでできている。)、ピートポット(ピートモスを圧縮して作ったポット)、素焼き鉢、駄温鉢、化粧鉢、コンテナ・ボックス(プランター、タブ(木樽)等)等いずれを用いてもよい。しかし、植物の育成段階や市場への出荷段階では、プラスチック鉢や育苗用のポリポットに植え付けられている方が、駄温鉢等に植え付けられているよりは軽いため、作業性は良好となる。
【0020】ポリポット等での根がついたままの輸送では、適宜水やりすることにより新鮮なまま目的地に運ぶことができ、花卉等の場合は、本発明の植物栽培用培地を根につけたままの状態で鉢等に植え替えれば、長期間観賞に供することができる。又、ねぎ、みつば、しそ、パセリ等の野菜ではベランダ等日当たりのよいところにおいておけば、必要量だけ摘み取って食することができる。
【0021】本発明の植物栽培用培地の成分は炭と樹脂、それに堆肥等を加えたものなので、湿った状態でも自然の土に比べれば軽い。そのため、植物の育成段階や出荷段階での取り扱いや運搬も容易となり、トラック等運搬車両の燃費向上に寄与できる。重量比をL64cm×W23cm×H18cmの大きさのプランターの中に本発明の湿った植物栽培用培地と自然の土を入れ比較すると、プランター1個当りの重量は、前者は6〜7Kg、後者は13〜14Kgで、本発明の培地は自然の土の約半分の重さである。そのため、力の弱い女、子供でも容易に取り扱ったり運搬できる。
【0022】鉢やポリポットに本発明の植物栽培用培地を入れて栽培する以外に水田、畑地等に直接溝を掘るか、側面4面を木材、プラスチック等で枠組みした中に本発明の培地と鶏糞や堆肥等を加えたもので植物を栽培すれば、毛細管現象で上昇してくる大地にしみ込んだ水分が利用できるので、水やりの回数がプラスチック鉢等で育成するよりは減り、作業の省力化になる。しかし、植物の根が本発明の培地を超えて土のなかにまで伸びることは否めない。ポリポット等に植え替えての出荷時には、植物の根に付着した土を除いておかないと、一般家庭で紙屑、生ごみや使用した紙おむつを出すのと同様な廃棄処分ができなくなる。
【0023】このため、木材、プラスチック等で側面4面を構成し、底面を本発明の培地が通り抜けないだけの細かい目の金属製、プラスチック製等の網を用いて枠組み材を構成すれば、毛細管現象で上昇してくる大地にしみ込んだ水分が利用できる。この底面に用いる網としては、目合1〜3mmほどのステンレス織網、樹脂製のトリカルネットロール、寒冷紗、防風ネット、遮光シート、防虫ネット等が好ましい。この枠組み材を地面の上において植物を栽培すれば、根が網を超えて伸びていても網の下面で根を切断することができるので、出荷用のポリポット内等への土の混入は防げる。
【0024】本発明の植物栽培用培地は、自然の土と同様、繰り返し使用することができる。植物栽培後、水、鶏糞、米ぬか、落ち葉等の堆肥を加えてそのまま放置するか、黒くて薄い樹脂製の袋に入れて太陽の当るところに放置しておくと培地内に残った根も発酵して堆肥となり、樹脂製の袋内は夏場では高温となるので殺菌もされる。このしばらく放置した培地を育成する植物に応じてpH調整することで、培地としての再使用が可能となる。
【0025】
【実施例】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0026】(実施例1)本実施例では、籾殻と古紙を炭化させたものに高吸水性樹脂粉末(住友精化(株)製アクアキープSA60)を加えたものを植物栽培用培地として用いた。籾殻は平地に積み上げて炭化させたが、古紙は市販の竪円筒型の焼却炉(本体φ37cm×H49cm、煙突φ19cm×H58cm)を用いて空気の侵入を極力抑えて炭化させた。本発明の植物栽培用培地に鶏糞、化学肥料、水を加えよく混合させたものをプランターに入れ、ハーブ(ポリジー、カモミール)の種を秋に蒔いた。このプランターは、南向きの2階のベランダに置いて、表面が乾かない程度に水やりをした。発芽し、ある程度大きく成長したところで、同じプランター内で間引きを兼ねて植え替えた。適宜水やりしながら育てたところ翌年の1月にはポリジーの花が咲いた。このポリジーは、5月頃まで花の付いている茎たけを伸ばしながら花を咲かせつづけた。一方、カモミールは5月初旬から中旬にかけて花を咲かせ、いい香りを漂わせた。
【0027】(実施例2)本実施例では、木材鋸屑、籾殻、古紙を炭化させたものに高吸水性樹脂粉末(住友精化(株)製アクアキープSA60)を加えたものを植物栽培用培地として用いた。籾殻は平地に積み上げて炭化させたが、木材鋸屑、古紙は実施例1で使用したものと同様な市販の焼却炉を用いて炭化させた。本発明の植物栽培用培地に鶏糞、米ぬか、落ち葉の堆肥、水を加えよく混合させたものをプランターに入れ、カーネーション、カモミールの種を秋に蒔いた。このプランターは、南向きの2階のベランダに置いて、表面が乾かない程度に水やりをした。発芽し、ある程度大きく成長したところで、同じプランター内で間引きを兼ねて植え替えた。適宜水やりしながら育てたところ翌年の4月末にはカモミールが開花し、いい香りを漂わせた。カーネーションは、5月下旬に開花を始めた。
【0028】(実施例3)本実施例では、古紙を炭化させた炭を用いた。古紙は実施例1で使用したものと同様な市販の焼却炉を用いて炭化させた。この古紙の炭に鶏糞、米ぬか、水、市販の木酢液を加えよく混合させた。pHが弱酸性になったことを確認後、高吸水性樹脂粉末(住友精化(株)製アクアキープSA60)の添加割合を変えて植物栽培用培地を作成し、その培地をポリポットに入れてサルビヤ(改良ボンファイアー、発芽率50%以上)の種を4月に蒔いた。このポリポットを南向きの2階のベランダに置いて、適宜水やりしながら生育状況を観察した。その結果、発芽状況はどのポリポットもほぼ同じであったが、播種後、約1ヶ月後の生育状況は大きく異なった。高吸水性樹脂粉末の空孔込みの容積比が0.1%の培地では、播種した種10個当り平均9本生育し、0.2%の培地では平均8本、0.3%の培地では平均7本、0.4%の培地では平均5本、0.6%の培地では平均4本、1.1%の培地では平均1本の成長であった。これらのことから高吸水性樹脂粉末の混合割合は、空孔込みの容積比で0.1〜0.3%程度が適正と思われるが、混合割合が0.4〜1.1%のものについては水やりを同じ頻度で行ったため、根腐れを起こした可能性もある。なお、高吸水性樹脂粉末の混合割合が1.1%を超えると水やりのとき培地が大きく膨張して根を機械的に傷めたり、プランターなどからはみ出るなどの弊害が大きくなる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、木材鋸屑、竹材鋸屑、紙・段ボール鋸屑、樹皮、籾殻、古紙等を炭化させたものを植物栽培用培地として用いることにより、これら産業廃棄物の有効活用が可能となった。
【0030】また、本発明の植物栽培用培地の原料は無尽蔵に近く、安価に手に入り、培地製作コストも安く、かつ繰り返し使用も可能で直接屋外での栽培、ハウス栽培等の植物栽培用培地として用いることができる。
【出願人】 【識別番号】301031794
【氏名又は名称】森 久和
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−354939(P2002−354939A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−166002(P2001−166002)