トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 溶融スラグを混合した植物培養土
【発明者】 【氏名】小林民雄

【要約】 【課題】生活廃棄物、又は廃棄汚泥の加熱処理で生成した溶融スラグにより、植物育成用の土壌の改良を実現し得る構成を提供すること。

【解決手段】生活廃棄物、又は廃棄汚泥に対する加熱処理を行うことによって生成した溶融スラグを、酸性を呈する培養土原料に混合することによってpH値を5.5〜7.0に設定したことによる植物培養土、広範な植物に適切な生育土壌とすることを可能とする植物培養土。
【特許請求の範囲】
【請求項1】生活廃棄物、又は廃棄汚泥に対する加熱処理を行うことによって生成した溶融スラグを、酸性を呈する培養土と混合することによってpH値を5.5〜7.0に矯正したことによる植物培養土。
【請求項2】植物培養土の基材として、酸性を呈する火山灰土や赤土等の土壌、草炭等の有機質資材とパーライト等の無機質資材を選択し、100ccの基材に対し、溶融スラグを1〜60gの重量の割合にて混合したことを特徴とする請求項1記載の植物培養土。
【請求項3】加熱処理に際し、発泡剤を添加することを特徴とする請求項1記載の植物培養土。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、適切なpH値を有する植物培養土の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生活廃棄物、廃棄汚泥から生じたスラグについては、アスファルト、セメントなどに混合され、土木・建築用の材料として使用される。
【0003】他方、産業廃棄物のうち、例えば製鉄の工程から生じたスラグなどを原料とする特殊の焼却灰については、土砂と混合することによって、植物培養土として使用する技術は、既に提唱されているが、生活廃棄物、又は廃棄汚泥の溶融スラグは、シリカ等(SiO等)、酸化アルミニウム(Al)、及び酸化カルシウム(CaO)を含有し、溶出試験などで安全性が確認されているにも拘らず、土壌や有機質資材と混合したうえで植物培養土として採用する技術はこれまでは提唱されていない。
【0004】その原因は、生活廃棄物、又は廃棄された汚泥の溶融スラグを、土壌や有機質資材と混合する客観的基準が確立されていないことに、基本的原因が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の如き従来技術の条件に着目し、生活廃棄物、及び廃棄汚泥による溶融スラグを、所定の基準に基づいて植物培養土として使用する構成を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するため本発明の構成は、生活廃棄物、又は廃棄汚泥に対する加熱処理を行うことによって生成した溶融スラグを、酸性を呈する培養土に混合することによってpH値を5.5〜7.0に設定したことによる植物培養土からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】近年、堆肥、及び厩肥等有機質の肥料や資材の使用頻度が減少し、化学肥料を使用するために、降雨等の影響により酸性的な日本の土壌はさらに酸性化しつつある。
【0008】然るに、生活廃棄物、及び廃棄汚泥による溶融スラグは、酸化アルミニウム(Al)、及び酸化カルシウム(CaO)等を相当量含有しているため、pH値は8〜12の値を呈し、アルカリ性を示すことが多い。
【0009】他方、植物の育成に適合するpH値は、植物の種類によりその適正な範囲が相違しているが、pH値が5.5〜7.0の場合には広範な植物の育成に適合し得ることがこれまでの知見で知られている。
【0010】然るに、現状では培養土に使用する大抵の土壌は酸性を呈し、pH値が5.5以下であることが多い。
【0011】このような場合、本件発明では、溶融スラグを培養土に混合することによってpH値を5.5〜7.0に矯正することで、植物の生育が適正な培養土を得ることが可能である。
【0012】溶融スラグと培養土との純然たる混合物の場合には、比較的比重が大きいため、所定の体積を有する植物培養土として取り扱う場合に、相当の労力を必要とする場合がある。
【0013】このような難点を防ぐために、加熱処理を行う段階において、生活廃棄物、又は廃棄汚泥に対し発泡剤を添加し、加熱処理に伴う発泡によって、植物培養土の各部位に直接的に空洞を生じた状態とし、これによって植物培養土の比重を低下させることができる。
【0014】上記の比重低下のために採用される発泡剤としては、通常、炭酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等の無機化合物、ジアゾアミノベンゼン、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物等の分解性発泡剤を使用することが多い。但し、これらの分解性発泡剤自体は、一定のアルカリ性を有しているので、採用する量に応じて、酸性を呈する培養土の量を増やすか、又は酸性度の高い培養土を使用すると良い。
【0015】以下、実施例に従って説明する。尚、以下の実施例1、2は、何れも群馬県において、「環第17号」を以って軽量証明事業登録を受けているパリノ・サーヴェイ株式会社に委ねた試験結果を示している。
【0016】
【実施例1】pH値がそれぞれ5.0、5.2を示すような状態にて酸性化しており、かつ以下の組成による培養土A、及び培養土Bに対し、水分の含有量を5.9(10g/kg)とし、単位体積当りの重量を1.43(g/ml)とし、pH値を11.2とする溶融スラグを各培養土100ccに対し、1〜30gの割合にて混合した。

【0017】溶融スラグの混合による培養土のpH値の変化は以下の表記載の通りである。

【0018】このように、前記溶融スラグを混合することによって酸性化した培養土のpH値を酸性から弱酸性まで矯正することができ、植物の種類に応じた生育に適切なpH値の培養土を製造することができる。
【0019】
【実施例2】一般に、酸性に弱い農作物、サニーレタス、二十日大根等では、火山灰土や赤土の酸性を呈する土壌での生育は不適合であるとされている。
【0020】前記溶融スラグを混合することによって実施例1記載のように、pH値を5.0〜6.0に矯正した場合と、矯正していない場合とについて、植物の育成の程度を対比した。
【0021】二十日大根及びサニーレタスについて、5号プラスチックポットを供試ポットとし、当該ポットの下層に700mlの鹿沼土を充填後、その上側に 1000mlの培土を充填し、以下のような肥料を用意した。

上記肥料を以下のような状態によって施用した。

注 *施肥は、窒素として200mg/lを施用した。(施用量:2.5g/鉢)
**リン酸改良は、リン酸10mg/100gになるように施用した。
以上のような各試験区に対し、以下のような作物を以下の順序によって播種、間引き、及び生鮮調査を行った。

注 *播種:二十日大根は、各ポット3ヶ所に3粒ずつ播種した。サニーレタスは、各ポット3ヶ所に6粒ずつ播種した。
注**間引き:二十日大根は、各ポット1ヶ所1本、計3本にした。サニーレタスは、各ポット1回目に1ヶ所4本に、2回目に1ヶ所1本、計3本にした。
【0022】前記の播種、間引きを経た上での最終的な調査結果は、以下の表記載の通りである。
(1).二十日大根
(2).サニーレタス
【0023】このように前記調査の場合には、pH値を矯正した培養土で栽培した農作物の生育は増大し、良好な収穫が得られることが確認された。
【0024】
【発明の効果】このように本発明は、生活廃棄物、又は廃棄汚泥を加熱処理することによって得られる溶融スラグという、比較的入手しやすい材料を用いて植物育成の培養土の改善に資することができるので、その価値は極めて絶大である。
【出願人】 【識別番号】399054033
【氏名又は名称】株式会社ホーネンアグリ
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
【公開番号】 特開2002−354938(P2002−354938A)
【公開日】 平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願番号】 特願2001−166140(P2001−166140)