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【発明の名称】 人工光を用いたイネ科植物の育苗装置
【発明者】 【氏名】勝又 政和

【要約】 【課題】イネ科植物の定植後の花芽分化を促進することができる人工光を用いたイネ科植物の育苗装置を提供する。

【解決手段】温度制御装置22、湿度制御装置23および炭酸ガス濃度制御装置24で、イネ科植物の苗を生育する環境条件を整え、外部光を遮蔽して光源パネル14からの人工光を苗に照射する際に、青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを照射する。また、植物観測装置15および養液成分分析装置20によって生育状態を検知し、この検知された生育状態に応じて光源パネル14からの青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみの照射期間を光源制御装置21で制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 イネ科植物の苗を生育する環境条件を整え、外部光を遮蔽して人工光のみを前記苗に照射可能な人工光を用いたイネ科植物の育苗装置において、前記苗に前記人工光として青色光のみを照射する光源手段を備えたことを特徴とする人工光を用いたイネ科植物の育苗装置。
【請求項2】 前記光源手段から青色光に加え遠赤色光を照射することを特徴とする請求項1に記載の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置。
【請求項3】 前記苗の生育状態を検知する検知手段と、前記検知された生育状態に応じて前記光源手段からの青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみの照射期間を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置。
【請求項4】 前記光源手段からの青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを前記苗に照射する際に、前記生育状態の所定期間にのみ照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イネ科植物の苗に人工光を照射することにより開花を促進する人工光を用いたイネ科植物の育苗装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から植物苗に人工光を照射し、育苗を促す技術が植物栽培の分野に取り入れられている。この種の発明として例えば次の■〜■の公報に記載されたものがある。■特開平9−149729号公報に記載された植物の育苗方法は、植物の育苗段階において波長670〜950nmの赤色または赤外光を補光するというものである。■特開平9−8715号公報に記載された育苗照射方法とその装置は、光源にランプを用いて補光しながら植物苗を生産し、苗の形質を良くするというものである。■特開平7−36811号公報に記載された短日性植物の電照栽培法は、長日条件で花芽分化が遅くなる短日性植物において半導体光源からの光を補光することにより花芽分化を制御するというものである。■特許3018148号公報に記載された花卉の栽培方法は、ペニチュアの栽培時に育苗期以降に異なる複数の波長を制御しながら照射するというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の人工光を利用した育苗方法による植物栽培の分野で、今後需要が見込まれる利用方法の1つとして作物の苗生産が挙げられる。その中でもイネ科植物は、食用としての大きな産業的価値があり、早期収穫や品種改良時の世代促進のためには生育期間の短縮が必須である。このためイネ科植物の花芽分化を天候に左右されない人工光のみの照射で促進する苗生産技術があれば生育期間を短縮することができると考えられる。
【0004】しかし、上記従来の■〜■の方法は、太陽光に対する人工光による補光であり全て人工光の照射により行うものではない。また■の方法は、ペチュニアの他にゼラニウムおよびポインセチアの栽培法に関するもので草丈や花に関する形および蕾の数などを制御することが目的であって、イネ科植物の花芽分化を促進する目的とは異なる。
【0005】そこで本発明は、イネ科植物の定植後の花芽分化を促進することができる人工光を用いたイネ科植物の育苗装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置は、イネ科植物の苗を生育する環境条件を整え、外部光を遮蔽して人工光のみを苗に照射可能な人工光を用いたイネ科植物の育苗装置において、苗に人工光として青色光のみを照射する光源手段を備えたことを特徴としている。
【0007】イネ科植物の苗に、青色光のみを照射することによって、イネ育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることが実験で得られた。
【0008】また、本発明の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置においては、光源手段から青色光に加え遠赤色光を照射することを特徴とすることが好適である。
【0009】イネ科植物の苗に、青色光および遠赤色光の双方のみを同時に照射することによって、青色光のみの照射時よりも更に花芽分化の促進が早まることが実験で得られた。
【0010】また、本発明の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置においては、苗の生育状態を検知する検知手段と、検知された生育状態に応じて光源手段からの青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみの照射期間を制御する制御手段とを備えたことを特徴とすることが好適である。
【0011】イネ科植物苗の生育状態、一例として葉数が0〜7の間に青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを照射すれば、効果的にイネ育苗時における定植後の花芽分化が促進されることが実験で得られた。
【0012】また、本発明の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置においては、光源手段からの青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを苗に照射する際に、生育状態の所定期間にのみ照射することを特徴とすることが好適である。
【0013】育苗期間において所定期間にのみ青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみをイネ科植物の苗に照射することによって、イネ育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることが実験で得られた。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態にかかる人工光を用いたイネ科植物の育苗装置について図面を参照して説明する。図1は実施形態にかかる人工光を用いたイネ科植物の育苗装置の構成図である。この図1に示す育苗装置10は、外部光を遮蔽する遮蔽容器11の内部に、イネ科植物12を栽培する植物栽培槽13と、光源パネル14と、植物観測装置15と、温度センサ16と、湿度センサ17と、炭酸ガスセンサ18とを備え、遮蔽容器11の外部に、養液成分分析装置20と、光源制御装置21と、温度制御装置22と、湿度制御装置23と、炭酸ガス濃度制御装置24とを備えて構成される。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0015】植物栽培槽13は、イネ科植物栽培用の養液をイネ科植物12に供給し、その養液成分の制御が可能な機構となっており、例えば一般的にイネの育苗に用いられるロックウールなどに栽培養液潅水装置を組み合わせたものや、水耕栽培装置や、NFT(サンスイ式水耕)型養液栽培装置、噴霧式養液栽培装置など様々な栽培装置が適用される。
【0016】養液成分分析装置20は、植物栽培槽13の養液成分を測定するものであり、例えばpH測定装置、EC測定装置や、イオンクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、原子吸光測定装置などが適用される。
【0017】植物観測装置15は、イネ科植物12の生育状態を観測するものであり、カメラと画像処理装置を組み合わせた装置、蛍光測定装置、サーモグラフィーなどが適用される。また生育状態は、葉齢(葉数)、草丈、葉色(蛍光情報を含む)、葉面温度などから判断される。
【0018】光源パネル14は、イネ科植物12の栽培の最小単位ごとに赤色光、青色光および遠赤色光の何れか、又はそれら光を組み合わせて照射するものである。この光源パネル14の光源には、単色性に優れた半導体レーザーや発光ダイオードの他に波長特性の異なるランプ、又は蛍光灯に所定波長の光を通過させるフィルタを取り付けたもの等が用いられる。また光源パネル14の上記各種光の照射および出力は個別に調整することができ、青色光の波長は430〜490nm、遠赤色光の波長は700〜780nmであるとする。これら波長はイネ科植物の光受容体に対応したものである。
【0019】光源制御装置21は、養液成分分析装置20での養液成分測定結果および植物観測装置15での生育状態観測結果に応じて光源パネル14の照射および出力のレベルを制御するものである。
【0020】温度制御装置22は、養液成分測定結果および生育状態観測結果に応じて遮蔽容器11内の温度を制御するものであり、この制御は温度センサ16で検出される温度が目標温度となるように遮蔽容器11内に配置された図示せぬ加熱/冷却器を制御することによって行われる。
【0021】湿度制御装置23は、養液成分測定結果および生育状態観測結果に応じて遮蔽容器11内の湿度を制御するものであり、この制御は湿度センサ17で検出される湿度が目標湿度となるように遮蔽容器11内に配置された図示せぬ加湿器を制御することによって行われる。
【0022】炭酸ガス濃度制御装置24は、養液成分測定結果および生育状態観測結果に応じて遮蔽容器11内の炭酸ガス濃度を制御するものであり、この制御は炭酸ガスセンサ18で検出される炭酸ガス濃度が目標値となるように遮蔽容器11内に配置された図示せぬ炭酸ガス発生器を制御することによって行われる。
【0023】このような構成の育苗装置10によるイネ科植物の育苗を、図2に示すフローチャートを参照して説明する。但し、イネ科植物12はイネのキタイブキであるとする。
【0024】図2のステップS1において、イネの苗を通常の環境で栽培する。但し、通常の環境とは太陽光だけでなく、各種ランプおよび半導体光源、その他植物を生育できる環境であれば種類を問わない。この場合、遮蔽容器11を解放して太陽光を植物栽培槽13のイネに照射するか、外部光遮蔽状態で光源パネル14から一般的な蛍光灯と同様な光を照射する。
【0025】次にステップS2において、イネの苗が照射開始条件に達したか否かを判断する。照射開始条件に達したか否かは、播種後日数や、前述した植物観測装置15で観測される生育状態、又は養液成分分析装置20の測定で得られる養液成分中の養分吸収量の変化などにより判断される。ここでは生育状態の葉齢から判断されるものとする。但し、葉齢の定義は抽出しはじめている最も新しい葉を基準とする。
【0026】従って照射開始条件に達していなければステップS1に戻り、達した場合、ステップS3において本育苗装置10による光照射を行う。この照射は遮蔽容器11で外部光を完全に遮蔽し、また温度制御装置22、湿度制御装置23および炭酸ガス濃度制御装置24で遮蔽容器11内の温度、湿度および炭酸ガス濃度を目標値に制御する状態で、光源パネル14から青色光および遠赤色光の双方のみを照射する。
【0027】この照射後、ステップS4において、照射終了条件の葉齢に達したか否かを判断する。この判断結果、達していなければステップS3に戻って照射を続け、達していればイネの育苗が完了となる。
【0028】次に、上記のステップS3において青色光および遠赤色光の双方のみを照射する根拠を図3および図4を参照して説明する。
【0029】図3は、イネ(キタイブキ)を播種後、青色光および遠赤色光照射、青色光のみ照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの葉齢の違いを示す図である。図4は、イネ(キタイブキ)を播種後、青色光および遠赤色光照射、青色光のみ照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの日数の違いを示す図である。但し、図3および図4においてグラフ棒の塗り潰し区間は育苗期間(光処理期間)、白抜き区間は定植後の止め葉に至る期間であるとする。また、育苗期間の照射の条件は、青色光および遠赤色光が光量200μmol/m2sで、青色光および遠赤色光の出力比(青色光2mW/cm2:遠赤色光1mW/cm2)とした。
【0030】図3および図4において、イネ(キタイブキ)を播種後、5葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射して育苗し、この後加温による温度管理可能な温室内(図示せず)に定植し、この状態でイネの止め葉に至る期間は図4の(d)に示すように約36日で、葉齢は図3の(a)に示すように7葉弱であった。同様に青色光のみを照射した際の止め葉までの期間は(e)に示す約43日で、葉齢は(b)に示す7葉であり、高圧Naランプ光のみを照射した際の止め葉までの期間は(f)に示す60日以上で、葉齢は(c)に示す11葉以上であった。
【0031】このことから青色光および遠赤色光を同時に照射することがイネ育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることがわかる。また青色光のみでも、遠赤色光を併用した場合よりも効果は薄れるが、花芽分化の促進に有効であることがわかる。
【0032】このキタイブキ以外の品種においても同様の効果を確認した。花芽分化を促進する期間はイネの早生、晩生によって異なり、キタイブキ、キララ、初雫などの早生品種では、その品種においても5葉期までの上記光照射処理によって花芽分化を促進できることが確認された。山田錦などの晩生品種では、5葉期までの光照射処理では花芽分化促進効果がなく、7葉期までの光照射処理により効果が現れる。これらの花芽分化促進効果を図5〜図10に示す。
【0033】図5は、早生品種のイネ(キララ)を播種後、青色光および遠赤色光照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの葉齢の違いを示す図である。図6は、早生品種のイネ(キララ)を播種後、青色光および遠赤色光照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの日数の違いを示す図である。但し、図5および図6においてグラフ棒の塗り潰し区間は育苗期間(光処理期間)、白抜き区間は定植後の止め葉に至る期間であるとする。
【0034】この図5および図6の場合、葉齢が5葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射して育苗し、この後加温による温度管理可能な温室内に定植し、この状態でイネの止め葉に至る期間は(i)に示す約43日で、葉齢は(g)に示す7葉である。同様に高圧Naランプ光のみを照射した際の止め葉までの期間は(j)に示す60日以上で、葉齢は(h)に示す10葉以上である。このことから青色光および遠赤色光を同時に照射することが早生品種のイネ(キララ)育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることがわかる。
【0035】図7は、早生品種のイネ(初雫)を播種後、青色光および遠赤色光照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの葉齢の違いを示す図である。図8は、早生品種のイネ(初雫)を播種後、青色光および遠赤色光照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの日数の違いを示す図である。
【0036】この図7および図8の場合、葉齢が5葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射して育苗し、この後加温による温度管理可能な温室内に定植し、この状態でイネの止め葉に至る期間は(m)に示す約38日で、葉齢は(k)に示す8葉である。同様に高圧Naランプ光のみを照射した際の止め葉までの期間は(n)に示す約48日で、葉齢は(l)に示す10葉ある。このことから青色光および遠赤色光を同時に照射することが早生品種のイネ(初雫)育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることがわかる。
【0037】図9は、晩生品種のイネ(山田錦)を播種後、高圧Naランプ光のみ照射、5葉期と7葉期まで青色光および遠赤色光照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの葉齢の違いを示す図である。図10は、晩生品種のイネ(山田錦)を播種後、高圧Naランプ光のみ照射、5葉期と7葉期まで青色光および遠赤色光照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの日数の違いを示す図である。
【0038】この図9および図10の場合、葉齢が5葉に至るまで高圧Naランプ光を照射して育苗し、この後加温による温度管理可能な温室内に定植し、この状態でイネの止め葉に至る期間は(r)に示す60日以上で、葉齢は(o)に示す11葉以上である。同様に葉齢が5葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射した際の止め葉までの期間は(s)に示す60日以上で、葉齢は(p)に示す11葉以上であり、7葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射した際の止め葉までの期間は(t)に示す約47日で、葉齢は(q)に示す8葉である。このことから青色光および遠赤色光を同時に照射することが晩生品種のイネ(山田錦)育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることがわかる。
【0039】以上説明した本実施形態の育苗装置10によれば、温度制御装置22、湿度制御装置23および炭酸ガス濃度制御装置24で、イネ科植物の苗を生育する環境条件を整え、外部光を遮蔽して光源パネル14からの人工光を苗に照射する際に、青色光のみを照射するようにした。イネ科植物の苗に青色光のみを照射することによってイネ育苗時における定植後の花芽分化の促進に有効であることが実験で得られた。従って、止め葉に至る日数が短縮されるので、出穂が早まり早期収穫が実現可能となる他、品種改良における世代促進などが実現可能となる。また、イネの育苗において晩生品種を早生品種と同様に生育することができるので、晩生品種の栽培期間を短縮することが可能となる。更に同一品種で育苗環境を変えることにより早生および晩生を選択することができ、作柄の幅が広がることが期待される。
【0040】また、光源パネル14から青色光に加え遠赤色光を照射することによって、青色光のみの照射時よりも更に花芽分化の促進が早まることが実験で得られた。この場合も上記同様の効果を得ることが可能となる。
【0041】また、植物観測装置15および養液成分分析装置20によって生育状態を検知し、この検知された生育状態に応じて光源パネル14からの青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみの照射期間を光源制御装置21で制御するようにした。イネ科植物苗の生育状態、一例として葉数が0〜5の間に青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを照射すれば、効果的にイネ育苗時における定植後の花芽分化が促進されることが実験で得られた。従って、イネ科植物苗の生育状態に応じて青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを照射すれば、効率よく花芽分化を促進させることができ、照射期間を抑えることができるので、その分、電力コストを低減することが可能となる。
【0042】またイネの品種により、一例として早生品種の場合は葉齢が4〜5葉、晩生品種の場合は葉齢が6〜7葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射して育苗することが定植後の花芽分化の促進に有効であることがわかる。
【0043】更に、本育苗装置による育苗では、育苗期間のうちの一定期間照射するのみでもイネの花芽分化を促進する効果がある。この効果を図11および図12に示す。
【0044】図11は、イネ(キタイブキ)の葉齢が3葉に達するまで高圧Naランプ光や太陽光などで育苗を行い、この時点から5葉に至るまでの期間を青色光および遠赤色光照射で育苗したもの、および、0葉から5葉までの期間を、青色光および遠赤色光照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの葉齢の違いを示す図である。図12は、イネ(キタイブキ)の葉齢が3葉に達するまで高圧Naランプ光や太陽光などで育苗を行い、この時点から5葉に至るまでの期間を青色光および遠赤色光照射で育苗したもの、および、0葉から5葉までの期間を、青色光および遠赤色光照射、高圧Naランプ光のみ照射の各条件において育苗したイネの定植後の止め葉に至るまでの日数の違いを示す図である。
【0045】葉齢が3の時期から5葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射して育苗し、この後加温による温度管理可能な温室内に定植したイネの止め葉に至る期間は(x)に示す約39日で、葉齢は(u)に示す7葉であった。同様に0葉から5葉に至るまで青色光および遠赤色光を照射して育苗したイネの止め葉までの期間は(y)に示す約38日で、葉齢は(v)に示す7葉であり、高圧Naランプ光のみを照射して育苗したイネの止め葉までの期間は(z)に示す60日以上で、葉齢は(w)に示す11葉以上である。
【0046】このことから図2に示したフローチャートのステップS2の照射開始条件を葉齢3葉とし、ステップS4の照射終了条件を葉齢5葉とすることによって少ない照射期間でイネ育苗時における定植後の花芽分化促進効果が得られる。従って、コストを低減させることができる。但し、照射開始および終了条件はイネの各品種に応じて最適値を設定することができる。
【0047】
【発明の効果】本発明の人工光を用いたイネ科植物の育苗装置は、イネ科植物の苗を生育する環境条件を整え、外部光を遮蔽して人工光のみを苗に照射する際に、その人工光として青色光および遠赤色光の双方又は青色光のみを照射することによって、イネ育苗時における定植後の花芽分化の促進を早めることが可能となる。従って、止め葉に至る日数が短縮されるので、出穂が早まり早期収穫が実現可能となる他、品種改良における世代促進などが実現可能となる。
【出願人】 【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
【出願日】 平成13年7月30日(2001.7.30)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
【公開番号】 特開2002−345337(P2002−345337A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−230367(P2001−230367)