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【発明の名称】 キノコ栽培における種菌接種方法
【発明者】 【氏名】稲富 聡

【氏名】難波 謙二

【要約】 【課題】液体種菌接種の利点を生かし、簡単で安全に種菌培養、液体種菌接種ができるキノコ栽培における種菌接種方法の提供。

【解決手段】大鋸屑、コーンコブ等の固形培地材料を主体とした人工培地を使用して培養した固形培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈し、その希釈液を濾過し、得られる種菌が浮遊した種菌混合液をキノコ栽培用培地に接種する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】大鋸屑、コーンコブ等の固形培地材料を主体とした人工培地を使用して培養した固形培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈し、得られる種菌が浮遊した種菌混合液をキノコ栽培用培地に接種することを特徴としてなるキノコ栽培における種菌接種方法。
【請求項2】固形培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈し、その希釈液を濾過して種菌が浮遊した種菌混合液を得る請求項1に記載キノコ栽培における種菌接種方法。
【請求項3】水その他の液体材料を主体とした人工培地で培養した液体培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈して種菌が浮遊した種菌混合液を得、該種菌混合液をキノコ栽培用培地に接種することを特徴としてなるキノコ栽培における種菌接種方法。
【請求項4】種菌混合液の接種は、ポンプを使用してキノコ栽培用培地に散布する請求項1、2又は3に記載のキノコ栽培における種菌接種方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シメジ等のキノコを、大鋸屑やコーンコブ粉砕物等の固形材料を主体とした人工培地を使用して栽培するに際し、該培地に種菌を接種するためのキノコ栽培における種菌接種方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エノキ、シメジ、マイタケ、エリンギ等のキノコ類を、大鋸屑やコーンコブ粉砕物等の固形材料を主体とした人工培地を使用して栽培するに際しては、オガ種菌と称されている種菌が使用されている。このオガ種菌は、キノコ栽培と同様の固形材料を使用した培地に菌糸を蔓延させた状態の種菌培養培地を粉砕したものであり、その接種は、図3に示すように、広口瓶形状をした栽培容器1に人工培地2を詰めた後、前記種菌3を培地中央の縦穴内に投入することにより行われている。
【0003】また、近年においては、種菌用の菌体を、液体培地を充填した培地に接種し、攪拌しつつ、液体培地内に分裂菌糸や分生菌糸が分散した状態で増加するように培養し、その培養液を液体種菌として栽培用培地に散布することにより接種する方法が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したオガ種菌を接種する方法は、図3に示すように、接種された種菌が培地に開けた中心孔4を塞ぐため、培養中の空気の抜けが悪くなり、菌糸の繁殖を阻害し、菌糸が培地に蔓延するまでに時間がかかる。また、培地と種菌の接触面積が小さいため、分布も不均一になり易いという問題がある。
【0005】この点、前述した液体種菌を使用する場合は、中心孔を塞ぐことなく、培地表面全域に種菌を接種することができるため、通気性がよく、菌糸の繁殖条件が良くなり、その分布も均一なものとすることができる利点がある。
【0006】しかし、従来の液体種菌を使用する方法は、種菌を液体培地で培養する場合に培地を静置した状態にしておくと菌糸が絡まりあって塊状となってしまうため、これを防止するために攪拌装置が必要となり、このため、一度に必要量の種菌が得られるように、容量の大きな培養タンクを使用し、無菌的に培養が可能な特殊な培養システムによって培養しなければならずコスト高となるという問題がある。
【0007】しかも、容量の大きな培養タンク内で培養するものであるため、雑菌により汚染されるとタンク内全体が使用不能となり、培養を最初からやり直さなければならないという危険度を常に抱えているという問題があった。
【0008】本発明は、このような従来の問題に鑑み、液体種菌接種の利点を生かし、簡単で安全に種菌培養、液体種菌接種ができるキノコ栽培における種菌接種方法の提供を目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための本発明の特徴は、大鋸屑、コーンコブ等の固形培地材料を主体とした人工培地を使用して培養した固形培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈し、得られる種菌が浮遊した種菌混合液をキノコ栽培用培地に接種するキノコ栽培における種菌接種方法にある。
【0010】尚、この方法において、固形培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈し、その希釈液を濾過して種菌が浮遊した種菌混合液を得ることが好ましい。尚、粉砕程度が高い場合には濾過を要しない。
【0011】また、本発明の他の特徴は、水その他の液体材料を主体とした人工培地で培養した液体培地培養種菌を粉砕した後、これを滅菌水で希釈して種菌が浮遊した種菌混合液を得、該種菌混合液をキノコ栽培用培地に接種するキノコ栽培における種菌接種方法にある。
【0012】上記各特徴のキノコ栽培における種菌接種方法において、種菌混合液の接種は、ポンプを使用してキノコ栽培用培地に散布することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0014】図1は本発明を実施する装置の概略を示しており、図中符号10は滅菌水混合攪拌機であり、11は濾過機、12は種菌混合液攪拌機、13は種菌混合液送液ポンプ、14は種菌接種機、15は種菌接種機14に備えた種菌混合液散布ノズルである。
【0015】この方法は、図2に示す従来例と同様に、広口瓶形状をした培養容器1に、大鋸屑やコーンコブを主体とした固形培地材料2を充填し、従来と同様に種菌を接種して培養する。培養容器1内の培地に菌糸が蔓延するまで培養し、塊状となった菌糸蔓延培地を種菌原料として使用する。
【0016】培養容器1内で塊状となっている種菌原料を、掻き出し機を使用して掻き出すことにより粉砕しながら滅菌水混合攪拌機10内に投入する。滅菌水混合攪拌機10には必要量の滅菌処理した水(滅菌水)を収容しておき、これに必要量の粉砕した種菌原料を混合し、攪拌させる。これによって、種菌原料の粉砕によって細かく裁断された菌糸を滅菌水内に浮遊させて希釈液を得る。
【0017】この希釈液を濾過機11に送り濾過する。この濾過は、後述する接種に際しての散布ノズル14を通すことに支障が生じる大きさの固形培地材料を濾過によって除去するものであり、この濾過によって、散布による接種に適切な大きさの菌糸が混入した種菌混合液を得る。
【0018】この種菌混合液をポンプ13により種菌接種機14に送り、種菌混合液散布ノズル15から、栽培容器1内に詰めた人工培地2の表面に散布することにより接種する。
【0019】尚、上述の例に使用する培養容器1は、通常のキノコ栽培に使用されている広口瓶形状の栽培容器と同じものを使用し、通常のキノコ栽培と同じ環境で種菌の培養を行う。この他、種菌培養用の特別の容器、例えば平箱状の容器等を使用して菌糸蔓延までの培養を行い、得られた塊状の菌糸蔓延培地を粉砕機で粉砕するようにしてもよい。
【0020】また、菌糸蔓延培地を種菌接種機14による接種に支障が無い程度まで細かく粉砕し、濾過工程を省略しても良い。
【0021】この種菌接種方法では、種菌を滅菌水で希釈した希釈液をキノコ栽培用の人工培地に散布して接種するものであるため、図2示すように、培地に開けた中心孔4を塞ぐことなく、培地表面全域に種菌3が接種されることとなり、通気性がよく、菌糸の繁殖条件が良くなり、その分布も均一なものとなる。
【0022】また、従来のように、種菌の塊状化を防止しつつ必要な量を液状培地で培養するものではなく、通常のキノコ栽培と同様にして菌糸を蔓延させたものを種菌として使用できるものであるため、雑菌に汚染された場合の危険負担が少ない。
【0023】上述の例では、種菌培養を固形培地により行い、塊状の固形培地培養種菌を得ているが、種菌の培養は、液体材料を主体とした液状人工培地を使用して培養したものであってもよく、この場合、液状人工培地内で菌糸が絡み合って塊状となった液体培地培養種菌を粉砕機で粉砕し、これを滅菌水に混合して希釈し、種菌混合液となす。
【0024】このようにして得た種菌混合液を前述した例と同様にポンプ13により種菌接種機14に送り、種菌混合液散布ノズル15から、栽培容器1内に詰めた人工培地2の表面に散布することにより接種する。
【0025】上述の各例において、種菌培養に使用する源種菌は、液体培養基又は固体培養基の何れによって培養したものであってもよく、また、滅菌水に栄養液やpH調整液を加えて希釈液を得るようにしてもよい。
【0026】また、ポンプ13は無菌状態を維持しつつ送液できるものであれは何でもよい。
【0027】
【発明の効果】上述のように、本発明に係るキノコ栽培における種菌接種方法においては、培養後の種菌を滅菌水で希釈し、得られる種菌が浮遊した種菌混合液をキノコ栽培用培地に接種するようにしたことにより、従来の固形培地で培養したものを粉砕して種菌として接種する方法に比べ、液状種菌の散布によって接種ができるため、培地に開けた中心孔を塞ぐことなく、培地表面全域に種菌を接種することができるため、通気性がよく、菌糸の繁殖条件が良くなり、その分布も均一なものとすることができると同時に、種菌の培養は、従来のキノコ栽培と同じ設備により栽培と同時に行うことができるため、種菌培養のための特別の設備を必要とすることなく、しかも雑菌による汚染に対する危険負担を少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】390034142
【氏名又は名称】ホクト産業株式会社
【出願日】 平成13年5月30日(2001.5.30)
【代理人】 【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
【公開番号】 特開2002−345333(P2002−345333A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−161717(P2001−161717)