| 【発明の名称】 |
緑化コンクリート材 |
| 【発明者】 |
【氏名】星野 禮三
|
| 【要約】 |
【課題】植物の発芽率と成長及び根の活着の良い緑化コンクリートを提供する。
【解決手段】この発明の緑化コンクリート材は、セメントに対し、砕石その他の普通粗骨材を配合してなるコンクリート材において、シリカ系鉱物を粒径0.1mm以上の骨材又は必要に応じてパウダー状の添加材として添加配合するものである。上記シリカ系鉱物には珪藻土とパーライト又はそのいずれか一方を用いることができる。またコンクリートの保水性を補う保水性助材として竹材,やし材,木材等を粉砕してなる繊維質材又はピートモスその他の植物性繊維質材のいずれか1種又は2種以上を添加することもできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セメントに対し、砕石その他の普通粗骨材を配合してなるコンクリート材において、シリカ系鉱物を骨材又は添加材として添加配合してなる緑化コンクリート材。 【請求項2】 シリカ系鉱物よりなる骨材として、粒径0.1mm以上のものを用いた請求項1の緑化コンクリート材。 【請求項3】 シリカ系鉱物よりなる添加材としてパウダー状のものを用いた請求項1又は2の緑化コンクリート材。 【請求項4】 シリカ系鉱物が珪藻土とパーライト又はそのいずれか一方である請求項1乃至3の緑化コンクリート材。 【請求項5】 シリカを含む補助的な骨材又は添加材としてバーミキュライトを添加配合してなる1乃至4の緑化コンクリート材。 【請求項6】 コンクリートの保水性を補う保水性助材として竹材,やし材,木材等を粉砕してなる繊維質材又はピートモスその他の植物性繊維質材のいずれか1種又は2種以上を添加してなる請求項1乃至5の緑化コンクリート材。 【請求項7】 緑化用植物の種子又は胞子を添加混入してなる請求項1乃至6の緑化コンクリート材。 【請求項8】 セメント,シリカ系鉱物の骨材及び/又は添加材,補助的な添加材,保水助材の2種以上のものを予め所定の配合で混合したものを袋その他の容器に包装してなる請求項1乃至7の緑化コンクリート材。 【請求項9】 請求項1乃至8のコンクリート材を用いて現場打ち又はプレキャスト部材として形成してなる緑化コンクリート材。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は造成地の法面,建築物表面,土木構造物表面,河川湾岸等に用いる緑化用のコンクリート材に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来上記のような緑化コンクリートとしては比較的粒径の大きい骨材を、例えばセメント1に対して4〜6程度の割合で混合してポーラス状にしたものを固化させ、その骨材間隙部分に土を入れた状態で、播種して植生を実現していた。 【0003】しかし上記緑化用コンクリートでは、植物が発芽してその根が間隙内の土壌部分に根付くものの、コンクリート自体に根が活着しないために、土の流出や草に対する外力の作用でコンクリート面から抜け落ちる等の欠点がある。 【0004】また上記の他にセメントに粉砕木材やチップ等の有機質部材を混合して使用し、コンクリート表面側に根張り用の多数の小穴を穿設して植生を図る試みも行われているが、この場合もコンクリート自体に根が活着しないために、上記同様芝の剥離や抜け落ち等の問題がある。この発明は上記のような問題点を解決するための緑化コンクリート材を提供せんとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明のコンクリート材は、第1にセメントに対し、砕石その他の普通粗骨材を配合してなるコンクリート材において、シリカ系鉱物を骨材又は添加材として添加配合してなることを特徴としている。 【0006】第2にシリカ系鉱物よりなる骨材として、粒径0.1mm以上のものを用いたことを特徴としている。 【0007】第3にシリカ系鉱物よりなる添加材としてパウダー状のものを用いたことを特徴としている。 【0008】第4にシリカ系鉱物が珪藻土とパーライト又はそのいずれか一方であることを特徴としている。 【0009】第5にシリカを含む補助的な骨材又は添加材としてバーミキュライトを添加配合してなることを特徴としている。 【0010】第6にコンクリートの保水性を補う保水性助材として竹材,やし材,木材等を粉砕してなる繊維質材又はピートモスその他の植物性繊維質材のいずれか1種又は2種以上を添加してなることを特徴としている。 【0011】第7に緑化用植物の種子又は胞子を添加混入してなることを特徴としている。 【0012】第8にセメント,普通骨材,シリカ系鉱物の骨材及び/又は添加材,補助的な添加材,保水助材の2種以上のものを予め所定の配合で混合したものを袋その他の容器に包装してなることを特徴としている。 【0013】第9に請求項1乃至8のコンクリート材を用いて現場打ち又はプレキャスト部材として形成してなることを特徴としている。 【0014】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態につき説明すると、セメントとして普通ポルトランドセメントを用い、普通骨材としては、一般に使用される粒径の砕石又は砂利、必要に応じて細粒砂を用いることができる。 【0015】コンクリートに植物の根の活着やそのための保水性を付与する鉱物としては、多量の珪酸を含有するシリカ系の鉱物、例えば珪藻土(SiO2含有量80%以上),パーライト=真珠岩(同70%以上),バーミキュライト=蛭石(同36%以上)等が使用される。 【0016】上記シリカ系鉱物は、植生に用いられる種類やその他の条件に応じて、例えば粒径0.1〜30mmのものを骨材として適宜粒選又は混合状態で使用するほか、上記機能性付与のためのシリカ成分補給を目的として、シリカ成分を多量に含む珪藻土やパーライトをセメントと同程度の粒径(例えば45μm)に粉砕したパウダー状の添加材を添加する場合がある。 【0017】なお、このシリカ成分は、セメント等に対する所定配合割合の下で保水性や根の活着付与のためにシリカ系鉱物全体として60%以上、望ましくは70%以上の含有量を備えていることが望ましく、添加材は主としてこの調整のために使用される。またこれらのシリカ成分はセメントのアルカリを中和し、植物種子の発芽及び育成を助長する。 【0018】なお、シリカ系の鉱物として用いる珪藻土やパーライトは多孔質で、一般に濾過材,吸水材,土壌改良材として用いられるが、軽量性又はその吸着性を活かして防臭壁材等として用いることもある。 【0019】セメント中には殆ど存在しないシリカ成分そのものが、中性か弱酸性で植物の発芽や成育に不可欠の成分であるとともに、発明者の知見によれば、これをコンクリートに適量を保って添加すると、コンクリートの強度アップや早強化の作用があるほか、後述するようにコンクリートの保水性を高めるために木材チップ等の有機質材を混入した場合は、コンクリート内における分解を早め、コンクリートの多孔質化を促す効果がみられる。 【0020】これは珪藻土内の空隙部に水分や空気と共にバクテリアの付着を促すことによるものと推測され、通常は長期にわたって残存するコンクリート内の木材チップ等が、約6〜10ヶ月前後で分解されてコンクリートがポーラス化する事実からも裏付けられる。このことは珪藻土自体がもつ植生への発芽成育の促進効果のほかに、コンクリートへの植生を高める別の効果をもたらすことをも意味するものである。 【0021】そして珪藻土と同様に多量のシリカ成分を含む多孔質材であるパーライトやパーミキュライトも、コンクリート材に添加すると珪藻土と略同様な機能を発揮することが確認された。 【0022】またこれらのほか、コンクリートの保水性を補い粘着性の付与、ひび割れ防止等のために繊維状をなし一定の吸水性を備えているセピオライトを、さらに保水による膨潤化を促して止水性を付与するために少量のベントナイトをそれぞれ必要に応じて少量添加する場合がある。 【0023】その他、コンクリートへの保水性を付与し、経時分解とともに植生のための肥料成分ともなる有機質材(例えば竹材,やし材,木材等を粉砕してなる繊維質材,ピートモスその他の植物性繊維質材)を1種又は2種以上混合したものを添加することもできる。 【0024】 【実施例】次に、セメントと普通骨材に対して、シリカ系鉱物として珪藻土粒,珪藻土パウダー,パーライト粒等をその他の骨材としてゼオライト粒をそれぞれ適宜組み合わせて添加混練したコンクリート材で、約30×180×200(mm)のブロックを試料A〜Eとして形成し、それぞれ上面に直接同量の西洋芝の種を均一に播種して東京都内の屋外環境で発芽成長させた場合(但し、種の乾燥を防止するため適度の散水を伴う)の実施例を表1,表2によって説明する。 【0025】表1は試料A〜Eの使用材料とその配合料を示し、表2は各試料の発芽率,成長度合,各試料(コンクリートブロック)に対する根の活着度合の観察結果を示すものである。 【0026】表2における各観察項目は、播種後において約10mmに発芽した時点から平均約40〜50mm前後に成長する迄を観察したもので、発芽率はブロック上面全体の発芽状況を目測することによって行った。また発芽後の根の活着は、発芽した芝を指で引き抜いた際に殆ど抵抗なく引き抜けるものを×印で、全体の半数以上が一定の引き抜き抵抗を感じるものを△印で、さらに大半の芝が引き抜き抵抗によって茎の切断を生じるものを○印で表した。 【0027】 【表1】各試料の材料配合量単位:リットル 但し、( )内の数字は粒径(mm) 【0028】 【表2】各試料の植生状況比較(注)A〜Bの( )内は播種日=2001年 【0029】この実験は試料A〜Eの播種日と観察日が異なり外気温や湿度,日照量等の発芽及び成育の環境条件が共通しないために必ずしも単純比較できない部分もあるが、全体としての傾向や、実用性の可否についての観察結果の判断は可能であり、A〜Eいずれの試料も、夏や冬の酷暑期や厳寒期を除けば、概ね実用に耐えるものであると思料される。 【0030】同時に行った普通骨材と普通ポルトランドセメントで成形したもの、シリカ(珪酸成分)が少なく又は殆ど含有しない骨材や添加材(パウダー)の添加では播種後7日前後経過しても殆ど発芽せず、発芽しても2〜3日以内に枯死することも確認されている。 【0031】また全体的に砕石経が小経(例えば5mm)のもののみの場合より、10〜20mmのものを多く含んだ粗骨材の場合がコンクリートの空隙部分が多くなるとともに発芽や成長が良く、シリカ系鉱物も例えば3〜30mmの粗粒径の骨材として用いた場合が、発芽,成長,根の活着共に良い結果が出ることが判明した。 【0032】同様に珪藻土等の多量のシリカを含む骨材や添加材の添加により好結果が得られ、骨材にシリカ成分の少ないもの(例えばバーミキュライト等)を用いる場合は、珪藻パウダーの添加等でシリカ成分を補うことが望ましいことも判明した。また貝殻類等の粒状物を補助骨材として使用した場合も、上記の場合と同様にシリカ成分の補給を行うことが望ましい。 【0033】 【発明の効果】以上のように構成される本発明によれば、コンクリート材としてセメントと普通骨材のほかにシリカ系鉱物の骨材や添加材を添加することにより、コンクリートの吸水性や保水性を与え、植物の種子の付着や発芽,根の活着等を促すので建築物や土木構造物,築造物表面,河川や通路法面等のコンクリート施工面への緑化が容易に実現できる。 【0034】また粗骨材を用いることにより、保水性を保ちながら透水性を保つので雨水の吸収や湧水の放出にも効果的であり、ビオトープ等湿地帯の護岸材として使用した場合の水の交換もスムースで、水質劣化の防止も実現できる。 【0035】さらにコンクリート材に木材チップ等の有機質添加材を添加することにより、吸水性,保水性が高まるとともに、植生の肥料成分としても機能するほか、分解性もよく、分解後はコンクリートの多孔質化を実現するので、植物の活着や透水性,保水性をさらに高める等の効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】300047161 【氏名又は名称】株式会社東豊マテリアル
|
| 【出願日】 |
平成13年5月28日(2001.5.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081673 【弁理士】 【氏名又は名称】河野 誠
|
| 【公開番号】 |
特開2002−345332(P2002−345332A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月3日(2002.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−158995(P2001−158995) |
|