| 【発明の名称】 |
固化性植生培土及び植生方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】福間 晋作
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| 【要約】 |
【課題】培土を流亡させず、砂塵のように飛散させず、更に、飛来する種子を定着させない植生培土を提供する。培土を流亡させないことで、培土中の有機物や肥料の有効利用を図る。
【解決手段】水和凝固剤(セメント)の使用に代えて、布海苔を混入させた固化性植生培土を用いることによってアルカリ障害や培土のコンクリート化を防止し、かつ、培土の固化を実現する。布海苔の粘着力・結合力によって、土壌、有機物、無機物等の培土構成粒子を通気性及び通水性を保持させた状態で互いに接着・一体化させ、培土構成粒子が雨水、風等でばらばらになることを防ぐ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】植生培土に布海苔を混入することを特徴とする植生培土。 【請求項2】布海苔の混入は、植生培土の表面部分のみとすることを特徴とする請求項1記載の植生培土。 【請求項3】布海苔の混入割合を、全培土重量の2%〜20%とすることを特徴とする請求項1又は2記載の植生培土。 【請求項4】植生培土は、1種以上の有機質培土を含むことを特徴とする請求項1〜3記載の固化性植生培土。 【請求項5】植生培土は、保水材を含むことを特徴とする請求項1〜4記載の固化性植生培土。 【請求項6】植生培土を敷設する場所の傾斜度に応じて、布海苔の混入割合を変えることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれかの固化性植生培土を用いた植生方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乾燥地、法面、建物屋上、建物壁面等、植物の生育条件が良好でない場所において好適な植生用の固化培土及び植生方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、例えば、道路の法面に植生を行う場合であって、法面の土壌が雨水等で流亡する惧れがある場合には、緑化パネルを用いたり、法面吹き付け工法、土壌固化法などを用いることが知られている。しかし、これらの手段を採用すると、逆に植生環境が悪化する場合があるばかりでなく、雨水等で流れ出した土砂が、側溝、雨どいなどの排水孔に蓄積され、2次災害を引き起こす問題もあり、環境破壊につながる惧れがあった。また、培土の流亡に伴って、土壌中の有機質や化学肥料が流亡して、植物に有効に活用されないという問題もあった。また、仮に法面に培土管理の面から適正な植生工法を採用したとしても、飛来する雑草の種子が繁茂して、育成しようとする植物が負けてしまい当該植物の生育が阻害されて生育不良となるなどの惧れもあった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、上記従来技術の不具合を解消することにあり、植生培土を固化させることによって、培土を流亡させず、また、砂塵のように飛散させず、更に、飛来する種子を定着させない植生培土を提供することにある。また、更に培土を流亡させないことで、培土中の有機質や肥料の有効利用を図ることも本発明の課題とするところである。 【0004】 【課題を解決する手段】上記課題に鑑み、植生培土に植物を配置後、培土を固化して植物を栽培する植生法に着目して更に研究を続けた結果、従来の植生培土に添加する水和凝固剤(セメント)の使用に代えて、布海苔を用いることによって水和凝固剤によるアルカリ障害や植生培土のコンクリート化を防止し、かつ、培土の固化が実現できることを見出した。 【0005】更に本発明では、散水あるいは加湿により植生培土を固化させることで、固化培土にポーラス状の空隙部を形成でき、保水性、通気性が良好となる。その結果、り柔軟な培土粒子間結合により、植物の根の伸長を阻害することなく生長を促進する面緑化に使用する固化培土が得られることを見出した。 【0006】上記課題を達成するために、下記の手段を講じた。即ち、請求項1記載の植生培土は、植生培土に布海苔を混入することを特徴とし、布海苔の粘着力・結合力によって、土壌、有機物、無機物等の培土構成粒子を通気性及び通水性を保持させた状態で互いに接着・一体化させ、培土構成粒子が雨水、風等でばらばらになることを防ぐ。 【0007】請求項2記載の植生培土は、上記手段において、布海苔の混入は、植生培土の表面部分のみとすることで、布海苔の混入量を最小限に押えつつ、培土表面を固化して、所期の作用を達成させる。 【0008】請求項3記載の植生培土は、上記いずれかの手段において、布海苔の混入割合を、全培土重量の2%〜20%とすることで、所期の作用を達成することができる。 【0009】請求項4記載の植生培土は、上記いずれかの手段において、植生培土は、1種以上の有機質培土を含むことで、植生環境がよく肥効が長い培土が実現される。 【0010】請求項5記載の植生培土は、上記いずれかの手段において、保水材を含むことで、育苗床などでの苗の伸長・育成に好適な環境を実現する。 【0011】請求項6記載の植生方法は、上記いずれかの手段によって得られた植生培土を、植生培土を敷設する場所の傾斜度に応じて、布海苔の混入割合を変えることで、固化の程度を変化させ、植物の好適な育成と培土の流亡防止の両方を実現する。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。 (育成する植物種)本発明の植生培土が適用される植物種は、どのような種類であっても構わない。しかしながら、急な傾斜地、極端に乾燥する場所、日当り不良地、風害が大きい場所など、劣悪な条件でも植生培土によって育成可能な植物はその種類が限定される。本実施例では、その特性(後述)からセダムを選択する。 【0013】(セダムの利用)劣悪な条件でも育成可能な植物として、セダムを利用することの有利性は本出願前知られている。夏の乾燥する地域においては、通常の雑草等の植物の種子は発芽しないで枯れてしまう事が多いが、ベンケイソウ科マンネングサ属の総称で多肉植物のサボテンに近いセダム(Sedum)は、約90日間水がなくても生きていける特性があり、秋田県から五島列島に分布している。セダムは、世界的には約500種類あり、南アフリカ等のハワイと同じ20度前後の温帯で自生しているが、実際の施工で有用な種類は6種類程度である。その中には、通常の植物は塩水がかかると枯れるが、ある種のセダムは、塩水をかぶってもその成長は、一層強くなるなど塩害に強い種類があり、さらには、気温−15℃〜60℃の範囲で生育が可能で、給水は60日〜80日に1回の降水で足りるものもある。本実施例では、その中でも乾燥に強い品種(mexicanum britt.和名メキシコマンネングサ)を採用している。セダムは発芽率が悪いことから、播種によらず挿し木で増殖するのが効率的で、苗床では、5〜20cmの大きさになるまで育成する。 【0014】(苗床)苗床においては、椰子ネット又は不織布に培土を保持させ、その表面に布海苔をコーティングして固化植生培土を形成し、以って、該植生培土にセダムの幼木(穂木)を挿し木する。上記苗床の具体例を図1を用いて説明する。図1に示すように、鋤取り地面1上に、水はけ用の砕石2を一定高さに(3cm程度)積み上げ、その上に、厚み1mm程度の防根シート3を敷設した上、固化培土4を一定高さ(2cm程度)に設け、その上に椰子殻マット5を配置して苗床とする。そして、この苗床上にセダムを挿し木する。なお、水はけの良いところであれば、砕石2層は敷設する必要はない。通常、セダムは苗の注文があると、上記苗床で3ヶ月ほど育成・養生したあとしっかり根付かせたうえ、採苗して現場に発送することになる。苗床の培土は、以下に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限り包含されるものである。 【0015】本実施例に用いられる植生培土は各種のものが使用されるが、具体的には、天然又は人工的に作られた土壌や有機質又は無機質からなる培土に有機質粒子及び無機質粒子の団粒体、繊維体よりなるバーク、ピートモス、水苔、パルプ、ロックウール、グラスウール、吸水繊維、高分子吸水樹脂などを単独もしくは複数加え、更に有機肥料、伐採材を使用したコンポスト肥料又は有機合成肥料など肥料成分を添加したものである。無機培土としては、パークライト、バーミキュライト、クレイボール、赤玉土等があり、また有機質培土としては、燻炭が挙げられる。また、補量としては、伐採材を使用したコンポスト肥料を使用することにより、植生に有効な成分と伐採材片が適度な空隙を培土中に作って発根が促進される。 【0016】本実施例に用いられる固化材、即ち、布海苔は植生培土と混合され、水蒸気や水分で植生培土を固化する。この布海苔には、添加量を増減して固化の度合いを調整することができる。また、布海苔は配合量により植物根の伸長圧力が勝れば生育空間を拡張することができ、固化具合により、表面に飛来した種子の発芽根力では侵入できない強度を持たせることができ、またこのようにすることにより防草効果を得ることができる。このような防草効果を持たせる場合には、土壌層の全層を固化する必要はなく、表面層のみを固化してもよい。本実施例に用いられる固化材の添加量は、植生培土に対して2重量〜20重量%であり、植生培土の種類や傾斜度等により異なるが、平均的には7%程度である。 【0017】実施例において、固化材の添加は、植生培土に当初より添加して均一混合物として使用するが、上下の復層として構成される培土(復層培土)に使用する場合には、上層部に固化材の配合量の高い培土を施したほうが固化効率がよく、植生培土の脱落防止及び植生の観点から好ましい。また、苗床の表面を、布海苔を混合した固化培土でコーテングすることにより、苗の根が乾燥、日焼け等から保護されるように構成することも好ましい手段である。 【0018】(布海苔)本発明の最大の特徴は、上記のように植生培土に布海苔を混入させることによって固化培土とすることにある。固化培土とは、培土を構成する土壌、ピートモス、泥炭ビート等の粒子と粒子を粘着或いは固着させた培土であって、この粘着或いは固着する機能を有する素材として布海苔が最も適切であることがわかったのである。布海苔は、多くの場合、浅い海の岩石に付着して生える海草(フクロフノリ)から作った乾しのりで、古くから煮て洗い張りなどの糊として使われているものである。 【0019】一般的には、糊としては有機質及び無機物からなる糊があり、有機質からなる糊は、米、コンニャクイモ等から作れるが、これらの糊は固化培土中でカビが生え、植物の育成を阻害するという不都合がある。しかし、布海苔を用いた糊は植生培土中でカビが生えないという知見を得た。なお、この布海苔は西陣織の帯や土蔵の漆喰壁に入れて使用されていたことは知られている。 【0020】(布海苔の混入)布海苔の混入割合は、培土の乾燥状態重量で2%〜20%とする。この割合以外では固化培土の特長である水はけ、通気性が失われることになる。最も適切な割合は7%程度、そして、傾斜度70度以上のところでは7%以上、平坦地では5%程度が好適であることが実験上確かめられている。したがって、現場の状況(傾斜度)に応じて混合割合を変えて対処すればよい。通常、植生培土に化学肥料を混入すると肥効はすぐに現れ、3週間くらいでなくなるが、バーク、泥炭等の有機物培土に粘性を持たせ、混入されている有機肥料の雨水による流出を防止すると、例えば2〜3年間、肥料効果を緩効的に、持続的させることができる。そして、更に保水材、例えば保水性を持たせたゲル状のものを混入することで、よりその効果を発揮させることができる。なお、防草効果のみを期待するときは、培土層の全層を固化する必要はなく、表面層のみを固化すればよい【0021】(保水材)上記保水材としては、特に限定されるものではないが、バーミキュライト、フェノールスボンジ、吸水繊維、高吸水性樹脂、ベントナイト、けい藻土、バーク、ピートモス、水苔、パルプ、ロックウール、グラスウール等が挙げられる。これらの保水材は、植生に対して十分な保水性を有する。育成中の植物を更に繁茂させたいときは、保水性は重要である。しかし、繁茂完了後は水の必要性は大きく低下する。 【0022】(現場植生)上記苗床は、その場所や環境を比較的容易に設定できるのに対して、植生現場は、法面、荒地、建物屋上など、植生環境が良くない場所が多いが、用いる固化培土は苗床の場合と基本的に変わるところはない。現場におけるセダムの育成において用いる固化培土、及び、該固化培土を用いた植生方法について試験したので、その結果を説明する。 【0023】(固化培土)現場における施工の具体例も図1に示す状態と変わりはなく、鋤取り地面1上に、水はけ用の砕石2を一定高さ積み上げ、その上に、固化培土4を一定高さに撒布し、セダム苗を挿し木する。なお、水はけの良いところであれば、砕石2層は敷設する必要はない。防根シート3及び椰子殻マット5も、基本的には必要がない。固化培土の組成は、従来のもの或いは本出願人が先に出願した技術を採用すればよいが、その具体的な植生培土として、バーミキュライト30容量%、ピートモス5容量%、パルプ10容量%、布海苔と団粒化剤(エチレングリコール)20容量%、EVA30容量%、コンポスト化バーク肥料5容量%を均一に混合して固化性植生培土を得た。この固化性植生培土の硬化前と硬化後の性質を調査し、布海苔を混入しないものと比較して、表1に示した。 【0024】 【表1】
【0025】また上記固化性植生培土を、植生苗(メキシコマンネングサ)の根を食用油(ナタネ油)に浸漬し、余分の油を除去して斜めの培地に植え付けた。ついで、散水して固化性植生培土を固化した。散水後の植生培土は団粒化しているので、植生苗が根付いた頃、界面活性剤として、脂肪酸メチルグルカミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムの混合物の1重量%水溶液を3回散水した。これにより団粒化剤は生長に影響にない状態にまで分解し、植生苗(セダム)は勢いよく生育した。現場に持ち込まれた直後の苗の繁茂率(育成中の培土表面積において、葉部が平面視において占める割合)は30%程度、半年後の繁茂率は70%、1年後は100%になる。その後は自然に任せておけばよい。 【0026】また、乾燥後の植生培土は、培土間を布海苔が網目構造を形成し、相互に培土間を布海苔がブリッジ状に固定する構造となった固化体が形成される。このように形成された網目構造は植物の根の生長を阻害せず、保水性、通気性を向上させることができ、培土として添加している保水材や繊維系培土の特性を損なうことなく固形化できる。 【0027】上記実施例によれば、固化性培土の選択によっては、雑草が生ぜず、一定の背丈以上に伸ばさないというコントロールができるので、工事後のメンテナンスが不要となり、芝生に比べて除草、刈取等のメンテナンス費用がかからない。また、 除草剤が不要なので、地球にやさしい施工方法であり、公共事業に適している。さらに、今まで施工が困難であった垂直面、例えばビルの壁面等にも応することができる。コストも芝生と比べて安価である。この植生方法は、公園の整備、城の崖、建物の屋上、壁面等、土が流れると困る所、雑草が生えると困る所、通常状態では植物が生育しない所に特に好適である。なお、上記実施例においては、水和凝固剤として布海苔を用いたが、他の海藻類由来の糊でも良い。しかしながら、化学合成糊、米でんぷん、コンニャクでんぷん、芋類のでんぷんは、植生培土中でカビが生え易いなどの問題は残る。 【0028】(実施例のまとめ)以下、本発明の実施例を纏めれば次のようになる。本発明に係る植生培土は、植生培土に布海苔を混入することを特徴とするもので、植生培土としては、通常の自然土壌のほか、各種培土素材からなる人工培土であっても良い。また、混合する布海苔は、古くから煮て洗い張りなどの糊として使われているものである。 【0029】布海苔の混合割合は、培土の種類や植生地の傾斜度、気候(風・降雨量・気温)、植物の種類等によって適宜選択できるものとする。また、苗床や現場の状況に応じて、布海苔を混合した固化培土は、植生培土の表面部分のみに配置してもよい。更に、本発明の実施態様として、植生培土における布海苔の混入割合を、全培土の2%〜20%/重量とすることで、流亡や飛散が少なく、植物の生育がよい植生培土とすることができる。特に、布海苔の混入割合は、7%程度とすることが好ましい。 【0030】更に、植生培土の実施態様として、1種以上の有機質培土を混ぜることで、肥効等の有機質培土の機能を飛躍的に高めることができる。また、保水材を含ませることで、育成中の植物の生長を一層促進することが可能となる。また、上記固化性植生培土を、敷設する場所の傾斜度に応じて、布海苔の混入割合を変えることで、培土の流亡防止と植物の生育促進との両方を満たすことができる。 【0031】 【発明の効果】本発明は、上記のように構成してなるから、環境を汚染・破壊することなく、植物の育成が困難な場所・地域で、植物の育成を可能とすることができる。しかも、素材となる布海苔は、入手し易く兼価であり、植生施工も,簡単で施工後のメンテナンスもきわめて少なくてすむ。更に、本発明を、建物屋上に用いれば、植生培土の総重量が従来の1/3程度で済むから、既存の建物でもほとんど補強を施すことなく採用することが可能である。また、従来ほとんど植生(緑化)が困難であった建物の垂直壁面でも植生が可能となるから、大都市等の緑化に大いに貢献できるものと思料される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500115608 【氏名又は名称】福間 晋作 【識別番号】599128114 【氏名又は名称】藤田 道明
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| 【出願日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069453 【弁理士】 【氏名又は名称】遠山 俊一
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| 【公開番号】 |
特開2002−345327(P2002−345327A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月3日(2002.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−157987(P2001−157987) |
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