| 【発明の名称】 |
植栽方法および植栽用鉢 |
| 【発明者】 |
【氏名】雪谷 修治
【氏名】犬塚 一和
【氏名】杉山 芳夫
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| 【要約】 |
【課題】河川、湖沼等の岸辺等において、葦原等を再生する際、その苗等の植物を水流、波浪等により流失しないように保護して確実に育成する。
【解決手段】植物9を育成している植栽用鉢1を水底となる河床部11等に固定状態に保持させる。植栽用鉢1は底部の少なくとも一部を開放し、分解性プラスチック、若しくは土砂、燃焼灰等を主原料とする多孔質成形材料により成形することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物を育成している植栽用鉢を水底となる部分に固定状態に保持させる植栽方法。 【請求項2】 植栽用鉢を水底となる部分に埋込んで固定状態に保持させ、前記植栽用鉢に植栽されている植物を水底となる部分から水中に露出させる請求項1記載の植栽方法。 【請求項3】 植栽用鉢を水底となる部分に埋込んで固定状態に保持させ、前記植栽用鉢に植栽されている植物に覆土を施す請求項1記載の植栽方法。 【請求項4】 水底となる部分が、在来の地盤である請求項1ないし3のいずれかに記載の植栽方法。 【請求項5】 水底となる部分が、在来の地盤上の盛土である請求項1ないし3のいずれかに記載の植栽方法。 【請求項6】 周壁を有し、上部が開放されるとともに、底部の少なくとも一部が穴により開放された植栽用鉢。 【請求項7】 分解性プラスチックにより形成してある請求項6記載の植栽用鉢。 【請求項8】 多孔質成形材料により形成してある請求項6記載の植栽用鉢。 【請求項9】 多孔質成形材料が、土砂、燃焼灰等の主原料と、セメント、石灰等の固化剤と、Ca++、Na+、Mg++、K+、NH4+、Ba++、Fe3+、Al3+、Mn4+、Co++、Ti4+のうち8種類以上の陽イオン、Cl-、SO4--、P043-のうち2種類以上の陰イオンおよび有機酸を主成分とする混和剤とから成る成形体である請求項8記載の植栽用鉢。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、河川、湖沼等の岸辺等において、葦等の植物を植栽する方法および植栽用鉢に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、様々な開発工事により河川、湖沼等、特に、それらの岸辺で古来より形成されていた葦原等の自然植物等の生育域が破壊されて来た。その結果、自然景観、生態系等の破壊や、水質浄化作用の低下等、種々の弊害をもたらし、その重要性が再認識されるに至っており、各地で葦原再生計画が持ち上がり、試験工事も実施されている。 【0003】従来の植栽方法の一例として、図5に示すように、川の海に流れ込む河口部において、まず、水13の面(水位)が下がった際に河床部11の上に盛土14を施し、次いで、水位が下がって盛土14が露出した際、その盛土14の上層部に苗9を植栽し(若しくは種子を播き)、その後、盛土14に立設した枕15に盛土14および苗9の上方においてネット(若しくはマット)16を張設している。そして、ネット(若しくはマット)16により、特に、洪水、波浪に伴って盛土14が浸食されたり、苗9が流出するのを防止している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記のような従来例の植栽方法では、盛土14自体が強固でないため、水13の流れに対し、ネット(若しくはマット)16では盛土14の浸食を防止することができず、盛土14が流出しやすいばかりでなく、苗9が盛り土14に根付くには相当の日数を要するため、根付く前に簡単に流出しやすい。また、苗9が盛土14に根付いた後においても盛土14自体が浸食されて流出しやすいため、なお、苗9が盛土14と共に流出するおそれがある。更に、ネット(若しくはマット)16は人工的であるため、景観を損なうばかりでなく、ネット(若しくはマット)16は長期間に亘って放置しても自然に還元されず、自然環境を破壊するおそれがあるため、回収する必要があり、その回収作業に人手を要するばかりでなく、費用を要する。 【0005】本発明の第1の目的は、前記のような従来の問題を解決しようとするものであって、河川、湖沼等の岸辺等において、葦原等を再生する際、その苗等の植物を水底となる部分に植栽する前に計画栽培を行うことができ、しかも、苗等の植物を水底となる部分に植栽した状態で水流、波浪等により流失するのを防止することができ、したがって、植物を確実に育成することができるようにした植栽方法およびこの植栽方法に用いる植栽用鉢を提供しようとするものである。 【0006】本発明の第2の目的は、植栽した状態のまま放置することにより自然に還元することができ、したがって、自然環境の破壊を防止することができ、しかも、回収作業を不要として結果的に植栽に要するコストの低下を図ることができるようにした植栽用鉢を提供しようとするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明の植栽方法は、植物を育成している植栽用鉢を水底となる部分に固定状態に保持させるようにしたものである。 【0008】そして、前記構成において、前記植栽用鉢を水底となる部分に埋込んで固定状態に保持させ、前記植栽用鉢に植栽されている植物を水底となる部分から水中に露出させることができ、または前記植栽用鉢を水底となる部分に固定状態に保持させ、前記植栽用鉢に植栽されている植物に覆土を施すことができる。 【0009】また、水底となる部分が、在来の地盤であってもよく、または水底となる部分が、在来の地盤上の盛土であってもよい。 【0010】前記課題を解決するために本発明の植栽用鉢は、周壁を有し、上部が開放されるとともに、底部の少なくとも一部が穴により開放されたものである。 【0011】そして、前記構成の植栽用鉢は、分解性プラスチックにより形成し、または多孔質成形材料により形成することができる。 【0012】前記多孔質成形材料として、土砂、燃焼灰等の主原料と、セメント、石灰等の固化剤と、Ca++、Na+、Mg++、K+、NH4+、Ba++、Fe3+、Al3+、Mn4+、Co++、Ti4+のうち8種類以上の陽イオン、Cl-、SO4--、P043-のうち2種類以上の陰イオンおよび有機酸を主成分とする混和剤とを用い、この多孔質成形材料から成る成形体により植栽用鉢を構成することができる。 【0013】前記のような本発明の植栽方法によれば、植物を育成している植栽用鉢を水底となる部分に固定状態に保持させるようにしているので、植物を水底となる部分に植栽する前に計画栽培を行うことができ、しかも、植物を水底となる部分に植栽した状態で水流、波浪により流失するのを防止することができる。 【0014】前記のような本発明の植栽用鉢によれば、底部の少なくとも一部が開放されているので、育成されている植物の根を水底となる部分に伸長させて根付かせることができる。 【0015】植栽用鉢を分解性プラスチック、または多孔質成形材料により形成することにより、植栽した状態のまま放置しておけば、自然に還元することができる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る植栽方法を示す説明図、図2は同植栽方法に用いる本発明の第1の実施形態に係る植栽用鉢を示す斜視図、図3は同植栽用鉢に葦根苗を植栽した状態を示す斜視図である。 【0017】まず、植栽用鉢について説明する。図2および図3に示すように、植栽用鉢1は、その一例として、植栽用鉢本体2と蓋体3とから構成されている。植栽用鉢本体2は、周壁4が上端から下端に至るに従い、次第に収斂形状となる逆円錐状に形成され、周壁4の内部空所5が上端開放口6により開放され、底部においても底部開放口7により開放されている。上端開放口6は必要に応じ、蓋体3が挿入されて閉じられる。この蓋体3は中央部に植栽する植物を挿通させるための貫通穴8が形成されている。そして蓋体3はドーナツ状に形成し、植栽用鉢1に植栽する植物を貫通穴8にあらかじめ挿通させるようにしてもよいが、植栽用鉢1に植物を植栽した後、植物の回りで植栽用鉢1の上端開口部6を閉塞することができるように二つ割等、複数片の分割片により構成するのが好ましい。 【0018】植栽用鉢本体2は、例えば、上端開口部6の径に対して底部開口部7の径が約1/3程度となり、上端部側から下端部側に至るに従い、次第に小径となるように設定することにより、図3に示すように、植物、例えば、葦根苗9を土砂等の培養材10により植栽用鉢1内に植栽する際、植栽用鉢1内に充填した培養材10の粒子同士が底部開口部7側でやや圧密状態となって、底部開口部7側から外部へ排出され難くすることができ、しかも、後述するように河床部11等に植栽する際、植栽用鉢1を河床部11に挿入する作業を容易に行うことができる。 【0019】次に、植栽の手順について説明する。まず、図3に示すように、植栽用鉢本体2に葦根苗9を培養材10により植栽する。培養材10としては、任意の材料を用いることができるが、葦の育成地における根付きの確実性を増すには、葦を育成する地域の土砂を採取して用いるのが好ましい。この植栽に際し、必要に応じ、前記のように、植栽用鉢本体2の上端開口部6を葦根苗9の回りで蓋体3により閉塞する。次に、図1に示すように、水13の面(水位)が下がった際に水底となる部分の施工予定箇所、例えば、河川の河床部11の掘削、整地を重機により行う。次に、水位が下がった際に河床部11に植栽穴12をこて等により掘り、植栽穴12に前記のように葦根苗9を植えてある植栽用鉢1を挿入して固定状態に保持し、葦根苗9を河床部11から露出させる。そして、河床部11に植栽穴12を縦横で所望間隔毎に掘りながら植栽用鉢1を挿入して固定状態に保持させることにより、河床部11に対して葦根苗9を植栽することができる。この植栽作業については、前記のようになるべく干潮時等の河川水位が低い時間帯に行うのが望ましいが、水位13が河床部11の上方に位置していても差支えない。このように、河床部11から水13中へ露出させるように植栽するのは、根が伸長して成育する品種(葦、竹等)が可能であることは勿論のことであるが、特に、茎が伸長して成育する品種(ホテイアオイ等)については重要である。 【0020】以上のような植栽方法において、葦根苗9を植栽用鉢1に植えた状態で河床部11に植栽するので、植栽用鉢1により葦根苗9を水流、波浪から保護し、流失するのを防止することができ、葦根苗9を河床部11に確実に根付かせることができる。そして、葦根苗9を植栽用鉢1に植えるので、発芽管理等の計画栽培が可能で、成育を確認した後、河床部11に植栽することができ、しかも、河床部11と同じ土砂を培養材10として用い、成育を確認することができるので、一層、確実に根付かせることができる。また、植栽用鉢1の上端開口部6を蓋体3により閉塞することにより、培養材10の流失を確実に防止することができ、しかも、植栽用鉢1は底部を開口部7により開放し、葦根苗9を早期に河床部11に直接、伸長させることができるので、葦根苗9を河床部11に更に一層、確実に根付かせることができる。また、前記従来例のような流失防止用ネット等を用いる必要がないので、自然な景観を損なうおそれがない。 【0021】次に本発明の第2の実施形態について説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る植栽方法を示す説明図である。 【0022】前記第1の実施形態においては、植物である葦根苗9を河床部11から水13中に露出させているが、本実施形態においては、図4に示すように、植栽用鉢1を河床部11の植栽穴12に挿入した後、河床部11からあらかじめ採取してある土砂を用いて覆土14を施し、葦根苗8を覆土14により覆ったものであり、その他の構成については前記第1の実施形態と同様である。このような植栽方法は葦のほか、竹のように根が伸長して成育する植物の植栽に適する。 【0023】なお、自然景観の向上を譲歩するのであれば、前記第1の実施形態の場合、葦根苗9の上方で前記従来例のようにネット、若しくはマット等により覆うようにしてもよい。また、植栽用鉢1は河床部11上に施した盛土(図示省略)に挿入して固定状態に保持させることもでき、要するに、植栽用鉢1は水底となる部分に固定状態に保持させればよい。このほか、本発明の植栽方法は、その基本的技術思想を逸脱しない範囲で種々変更することができる。 【0024】前記植栽用鉢1の具体例について説明すると、植栽用鉢1の植栽用鉢本体2および蓋体3は土砂、燃焼灰等の主原料、固化剤および混和剤から成る多孔質成形材料により成形して固化させる。 【0025】主原料である土砂としては、真砂土、黒ぼく土等の種々の土、粘土、泥土、砂等を単独で、若しくは適宜の組合わせで混合して使用することができる。また、燃焼灰としては、下水汚泥等の各種のごみや石灰の燃焼灰を有効利用することができる。 【0026】固化剤は、主原料を水和反応により固化させるもので、セメント、石灰等を用いることができる。混和剤は、固化剤による主原料の固化を助けるなどの役割を果たすもので、その一例として、Ca++、Na+、Mg++、K+、NH4+、Ba++、Fe3+、Al3+、Mn4+、Co++、Ti4+のうち8種類以上の陽イオン、Cl-、SO4--、P043-のうち2種類以上の陰イオンおよび有機酸を主成分とするものを用いることができ、前記有機物として、クエン酸、酒石酸、マレイン酸から1種類以上用いることができる。 【0027】混和剤は、その一例として、粉体状の固形混和剤と液状混和剤とを混和して用いる。 【0028】固形混和剤としては、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アンモニウム(NH4Cl)をそれぞれ100g〜300g用い、塩化コバルト(CoCl2)、酸化バリウム(BaO)、硫酸カルシウム(CaS04)、燐酸カルシウム(CaHPO4)、二酸化マンガン(MnO2)を合計で10g〜20g用い、クエン酸(C6H8O7)を10g〜30g用いる。 【0029】液状混和剤としては、天然の蛭石(Vermicurite)からミネラル分を硫酸抽出したものを用いるが、その原液の組成例は下記のとおりである。なお、この液状混和剤の各成分は、イオンまたはミネラルとして存在し、比重1.1〜1.2、pH0.3〜1.0である。 鉄(Fe) 22.7g/lアルミニウム(Al) 9.1g/lマグネシウム(Mg) 2.7g/lカリウム(K) 1.5g/lチタン(Ti) 832mg/lマンガン(Mn) 559mg/lリン(P) 216mg/lカルシウム(Ca) 129mg/lナトリウム(Na) 101mg/lシリカ(Si) 55mg/l亜鉛(Zn) 42mg/lセレン(Se) 32mg/lバナジウム(V) 19mg/l銅(Cu) 8.4mg/1ゲルマニウム(Ge) 8.0mg/1コバルト(Co) 7.0mg/1ニッケル(Ni) 6.5mg/1モリブデン(Mo) 4.4mg/1リチウム(Li) 4.0mg/1遊離硫酸(S042-) 25mg/l【0030】前記液状混和剤は用途に応じて2000倍に希釈し、硫酸濃度が100ppm程度となるようにして用い、前記固形混和剤にその希釈を兼ねて前記液状混和剤を用途に応じて適宜混和することにより、混和剤を得ることができる。 【0031】そして、土等の主原料1m3に対してセメント20〜600kg、望ましくは50〜300kgを混和し、混和剤0.3〜2kg(固形物の塩換算)を混和することにより土壌を硬化させることができる。そして、前記のようにセメントを土等の主原料に混和するに際し、主原料にセメントの固化に必要とするのに十分な水を含んでいない場合には、セメントの固化に必要とする適量の水を追加使用するが、主原料にセメントの固化に必要とするのに十分な水を含んでいる場合には、水を追加使用しなくてもよい。 【0032】セメントは水と混和すると、セメント中の成分(CaO、SiO2、Al2O3、Fe2O3など)が各種反応により各種無機塩やそれらの含水塩の結晶や固溶体を形成しつつ固化する。そして、セメント固化物と主原料の粒子との結合を強固にして硬度の高いものとし、かつそれが無数の微細な空隙を有し、植物の成育に資する植栽用鉢1を形成するためには、各種無機塩のうち、まずはCaO−SiO2−Al2O3−Clの4成分系の含水塩であるクロルエトリンガイトを主体とする針状結晶体の形成とその安定化が不可欠である。 【0033】それらの強固で安定した結晶群を主体とし、回りに無数の微細な空隙を有するように、上記クロルエトリンガイドとは別の各種無機塩やそれらの含水塩の板状や針状等の結晶及びそれらが混ざり合った固溶体が混在し、かつ土等の主原料の粒子と強固に結びついて硬度を高めるなどのために前記混和剤を用いる。この混和剤は、前記のように固形物からなる混和剤と液状物である混和剤とを混和したもので、土等の主原料とセメントの混和物に極く少量添加することにより効果が発現する。この効果は固形の混和剤と液状の混和剤の諸成分の相乗作用により発現するものであって、以下に主要成分の効果及び各成分の配合比に関する理由について説明する。 【0034】セメントは硬化(または固化)する際、セメント硬化体中のアルミネートと各種硫酸塩とが反応してエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜33H2O)と呼ばれる比重の軽い(1.78)、針状結晶を主体とした化合物が生成される。針状結晶が多く生成すると、硬度を低下させるため、硬度を低下させない方策が望まれる。 【0035】基本としては針状結晶を残しつつ、その回りに板状ほか、各種形状の結晶体を生成させ、無数の微細な空隙を有する強固な混合体とすることであり、前記混和剤に示す成分中には板状ほか、各種結晶体の形成を助長する成分が各種ある。まず、主体となる強固な針状結晶体であるが、上述のエトリンガイトに加え、同種のクロルエトリンガイド(エトリンガイトのSO42-がCl-に置換したもの)を生成する。並行してそれらの回りに各種形状の結晶を生成し、かつ複雑にからみ合って上記針状結晶を補強し、かつ安定化させる必要があり、それらの観点より各成分の役割と混合比率の範囲が定められる。 【0036】クエン酸(有機酸の一例)は、共存するNa+、K+といったアルカリ金属との塩、すなわち、クエン酸ソーダやクエン酸カリとして、セメント硬化体中の石コウ等の結晶成長面に作用し、平板状プリズム形結晶を成長させる。酒石酸、マレイン酸などの有機酸も同様の効果を有する。ここで、クエン酸量が10gより少ないと上記結晶成長への寄与が少なく、逆に30gより多いと気孔構造体の硬度が低下する。同様に、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウムもそれぞれ異なった石コウなどの板状結晶の形成に寄与する。前記クエン酸に比べて多い量の添加を必要とし、それぞれ100gより少ないと硬度向上効果が見られず、逆に各々が300gより多いと、付随する塩素イオンが増え、針状結晶であるエトリンガイト類が増え過ぎ、他の結晶構造体との比率が悪くなって気孔構造体の硬度低下を引き起こすことになり、望ましくない。 【0037】また、塩化コバルト、酸化バリウム、硫酸カルシウム、二酸化マンガン、燐酸カルシウムのそれぞれの添加量は前記アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩と比べて少ないが、それぞれ石コウや水酸化カルシウム及びトベルモライト、モノサルフェイトなど、エトリンガイトより変化してできる塩を板状や不定形結晶形への変化をもたらす役目をする。つまり、前記各種結晶の生成時に各種金属イオンによるイオン置換が無秩序に起こり、それら結晶中に格子欠陥が生じ、結晶構造が変わる効果を得るため、微量ではあるが前記種々の塩を添加するわけである。 【0038】例えば、バリウム(Ba)は小判状の結晶形成に、マンガン(Mn)は六面体結晶形成に、コバルト(Co)は各種結晶の成長を早める効果がある。混和量がそれぞれ少なく、効果は見分けにくいきらいがあるが、これらの合計量として20g以上では効果の発現が頭打ちとなり、かつ価格も他に比べ高いものが多いため、合計で10g前後なる添加量が好ましい。硬度や気孔率の目標値が低い場合等、用途によってはこれら微量成分の添加を省略してもよい場合がある。 【0039】また、主原料として、特に、ヘドロを用いた場合には植栽用鉢1の製造に際し、腐敗臭の問題があるが、この腐敗臭の軽減に関しては前記液状混和剤を併用するとよい。つまり、固形混和剤は、使用時には水に溶解し、10%程度の濃度として土とセメントの混和物に散布するが、その際の希釈水を兼ねて液状混和剤を用いる。前記のように液状混和剤は天然の蛭石よりミネラル分を硫酸抽出したものであって、用途に応じ、水で2000倍に希釈し、硫酸濃度が100ppmとして用いる場合が多い。この溶液の特徴は、溶存酸素として活性酸素の一種であるOHラジカルを含むことと、各種金属イオンやミネラルを含むことである。OHラジカルについてはヘドロに含まれる有機質の汚染物質や腐敗物を酸化し、あるいは含有するミネラルとの相互作用により溶解性有機物の分子構造を変えて、不溶解性の塩類を析出することなどにより汚染物質を減少させ、ヘドロを固化した固化物よりの溶出や臭気の放出を軽減することができる。また、金属イオンやミネラルを含むことに関しては前記固形混和剤の成分の効果と同様で、より多くの種類の金属イオンや硫酸イオンが各種(複合)塩の結晶構造や形状を変えるのに役立ち、固化物のより緻密化に寄与する。液状混和剤の希釈倍率については、例えば、処理するヘドロの臭気の程度に対応して適宜選定することができる。 【0040】前記のような固形混和剤および液状混和剤を用いることにより、有機物含有量が2%以上ある土壌の固化が可能となった。しかし、有機物の量が2%程度と少なくても含まれる成分により硬化しない場合がある。そこで、土壌中の腐蝕酸が多いと固化し難い主原因を検討した結果、腐蝕酸の構造中に含まれるカルボキシル基(−COOH)量であることをつきとめた。その量はCEC(Cationexchange capacity)値(陽イオン交換容量)にて代表でき、土中の有機物量OM(organic matter)値との相関も認められる。 【0041】このカルボキシル基はかなり強い酸としての性質を示し、前記のようにヒドロニウムイオン化した水分子を強く周囲に取り巻き、それが硬化の発現を妨害するわけである。その妨害を低減するには、Ca++等の金属陽イオンによりカルボキシル基末端のH+をイオン交換により中性化すればよい。また、そのために用いる液状混和剤中の金属イオンや土等の主原料中のカルボキシル基量に対応して、更に添加するCa++等の金属イオンが効率的に土等の主原料中のカルボキシル基に到着し、中和が行われるようにそれら金属イオンの運び屋としてクエン酸、酒石酸、マレイン酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)のソーダ塩、ニトロフミン酸のソーダ塩、若しくはアンモニウム塩など、キレート効果を持った物質を同時に添加するとよい。液状混和剤を用いず、水に土等の主原料中のカルボキシル基量に対応した量のCa++とクエン酸などのキレート効果を持った物質を添加した水溶液、若しくはそれらの粉状混和物を用いてもよい。それら薬剤を前処理として土等の主原料に施して混和し、前記中和反応を行わせ、その後、セメントと適量の水と混和剤とを混和すれば、従来、硬化が難しかった腐蝕物の多い土等の主原料のセメントにより硬化が可能となる。 【0042】以下、本発明の具体例について説明する。固形混和剤の各成分は下記ように選定した。 塩化マグネシウム(MgCl2) 175g(20.0%) 塩化カリウム(KCl) 250g(28.4%) 塩化カルシウム(CaCl2) 175g(20.0%) 塩化ナトリウム(NaCl) 125g(14.2%) 塩化アンモニウム(NH4Cl) 125g(14.2%) 塩化コバルト(CoCl2) 1.5g 酸化バリウム(BaO) 3.9g 硫酸カルシウム(CaSO4) 3.6g 燐酸カルシウム(CaHPO4) 3.5g 二酸化マンガン(MnO2) 0.58g (塩化コバルト、酸化バリウム、 硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、 二酸化マンガンの合計) 13.08g(1.5%) クエン酸(C6H8O7) 15g(1.7%) 計 878.08g(100.0%) 【0043】一方、液状混和剤としては下記配合比のものを用いた。そして、前記固形混和剤1kgを上記液状混和剤(この場合、ラジカル水原液の800倍希釈液)に溶解し、液量を10lとした。こうして得られた混和剤の成分は下記のとおりである(なお、金属他は重量換算値で表示している。)。 カルシウム(Ca) 7,700mg/lカリウム(K) 15,000mg/lマグネシウム(Mg) 2,700mg/lナトリウム(Na) 9,200mg/lコバルト(Co) 45mg/lリン(P) 4.0mg/lシリカ(Si) 4.3mg/lゲルマニウム(Ge) <1mg/l亜鉛(Zn) 0.05mg/lマンガン(Mn) 0.10mg/l鉄(Fe) 1.3mg/l銅(Cu) 0.14mg/lセレン(Se) <0.01mg/lニッケル(Ni) 0.05mg/lモリブデン(Mo) <0.1mg/lリチウム(Li) 0.3mg/lバナジウム(V) <0.1mg/lタングステン(W) <1mg/lバリウム(Ba) <1mg/lチタン(Ti) <1mg/lルビジウム(Rb) <1mg/lアルミニウム(Al) 0.94mg/lアンモニウム(NH4+) <1mg/lpH 3.2〔−〕 塩素イオン(Cl-) 4.5wt%硫酸イオン(SO4--) <0.05wt%燐酸イオン(Po43-) <0.01wt%クエン酸 0.25wt%【0044】上記配合比から成る混和剤を用い、川の採取浚渫土砂1m3に対し、セメントと混和剤とを下表に示すように配合し、得られたサンプルの一軸圧縮強度(qu:kg/cm2)、含水比(ω:%)、浸潤密度(ρt:t/m3)、pHを測定した。 【0045】 【表1】
【0046】前記試験結果から明らかように、本例によれば、現状土の含水比、湿潤密度に比べてすべてを上回り、改善が見られる。そして、一軸圧縮強度の観点からは強度を上げるために必要なセメント添加量は40kg/m3と言えるが、混和剤の添加に比例して強度が上がっており、混和剤による顕著な添加効果が見られる。この結果からも、混和剤を用いることにより、土等の主原料中のフミン酸などの有機物に起因するセメントと土等の主原料との結合阻害を軽減し、土壌の硬度を高めることができることが明らかである。 【0047】そして、前記のような多孔質成形材料により、一例として、図2において、高さaが約200mm、周壁4の肉厚bが約17mm、上端外径cが約150mm、下端外径dが約70mmとなる植栽用鉢本体2を成形した。その結果、上端開口部6の径が約116mm、底部開口部7の径が約36mmとなった。この植栽用鉢本体2に施工予定箇所の土砂を培養材10として葦根苗9を植えた。定期的に散水し、30日経過後の葦根苗9の状況を見ると、葦根苗9の根の一部は植栽用鉢本体2の底部開口部7から外方へ伸びるとともに、植栽用鉢本体2の周壁4の微細な空隙から外部へ伸びていることを確認することができた。したがって、このようにして成育した状態の葦根苗9を植栽用鉢1に植えたまま、前記のように河床部11の植栽穴12に挿入して固定状態に保持することにより、葦根苗9を河床部11に根付かせることができることは容易に推測される。 【0048】植栽用鉢1は成形のみにより強度を持たせ、焼成していないため、葦根苗9の成育に伴い、その根によりいずれは植栽用鉢本体2が破壊されるに至るが、前記のような多孔質成形材料、培養材10は自然環境を破壊するおそれはないので、そのまま放置しておいて差支えない。また、このような植栽用鉢1を用いれば、製造コストの低下を図り、植栽に要するコストの低下を図ることができる。 【0049】なお、植栽用鉢1は前記多孔質成形材料に限定されるものではなく、このほか、例えば、土砂、燃焼灰等の主原料と、セメント、石灰等の固化剤と、少なくとも塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを含み、更に必要に応じて硫酸ナトリウム、クエン酸、塩化コバルト等を添加した混和剤とを用いることにより、焼成することなく、成形のみにより強度を持たせた植栽用鉢1を製造することができる。また、植栽用鉢1は前記のような多孔質成形材料に限らず、分解性プラスチックにより成形し、葦根苗9が河床部11に根付いた後、分解して自然還元させるようにしてもよい。また、植栽用鉢1に培養材10を用いて植物を植える際、培養材10上で前記のような多孔質成形材料を硬化させて蓋体を形成することもできる。また、植栽用鉢1は蓋体3を用いなくてもよく、その形状も任意に選択することができる。更に、植栽用鉢本体2の底部を大きく形成する場合には、底部開口部7は底部全体に形成することなく、中央部等の一部に形成してもよい。 【0050】 【発明の効果】以上説明したように本発明の植栽方法によれば、植物を育成している植栽用鉢を水底となる部分に固定状態に保持させるようにしているので、植物を水底となる部分に植栽する前に計画栽培を行うことができ、しかも、植物を水底となる部分に植栽した状態で水流、波浪等により流失するのを防止することができる。したがって、植物を確実に育成することができる。 【0051】また、本発明の植栽用鉢によれば、底部の少なくとも一部が開放されているので、育成されている植物の根を水底となる部分に伸長させて根付かせることができる。したがって、植物を確実に育成することができる。 【0052】また、植栽用鉢を分解性プラスチック、または多孔質成形材料により形成することにより、植栽した状態のまま放置しておけば、自然に還元することができる。したがって、自然環境の破壊を防止することができ、しかも、回収作業を不要として結果的に植栽に要するコストの低下を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399120246 【氏名又は名称】株式会社田口技術研究所
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| 【出願日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071515 【弁理士】 【氏名又は名称】三宅 景介
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| 【公開番号】 |
特開2002−335783(P2002−335783A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月26日(2002.11.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−144974(P2001−144974) |
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