| 【発明の名称】 |
植物育成のための水分コントロールシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】荒 川 陽 司
【氏名】齋 藤 高 弘
【氏名】高 井 政 和
【氏名】嶋 貫 雅 一
【氏名】松 田 秀 美
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| 【要約】 |
【課題】培地内の水分を宇宙空間でも植物の必要量に合わせてコントロールでき、培地内の水分を短時間で均一に拡散できる植物育成のための水分コントロールシステムを提供する。
【解決手段】閉鎖空間10と、閉鎖空間内に敷設された培地11と、培地11に埋設される管13を有する給排水手段26と、培地の水分を検出する水分センサ21とから構成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】閉鎖空間と、閉鎖空間内に敷設された無機質繊維不織布を含む培地と、培地に埋設される管を有し培地に養水を供給し培地から水を排出する給排水手段と、培地の水分を検出する水分センサとを備えたことを特徴とする植物育成のための水分コントロールシステム。 【請求項2】培地は、シリカ繊維の不織布、シリカ繊維にロックウールを混入した不織布またはシリカ繊維を軽石で固めた粒状体で形成されることを特徴とする請求項1に記載の植物育成のための水分コントロールシステム。 【請求項3】給排水手段は、周面に複数の孔を設けた管と、複数の孔を覆うように管の外面に設けられた表面張力スクリーンと、養水を蓄える養水タンクと、養水タンクの養水を加圧して培地に送る供給ポンプと、水を培地から吸引して養水タンクへ戻す排出ポンプとを有することを特徴とする請求項1または2に記載の植物育成のための水分コントロールシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば宇宙環境のような閉鎖環境において、植物の育成を可能にする植物育成システムに関する。 【0002】 【従来の技術】植物の育生を、宇宙ステーションや月面基地に代表される閉鎖環境下で行う場合、人間による管理や手間を極力少なくし、対象植物に最適な環境を保持するシステムが必要である。 【0003】このシステムは、対象植物の適用範囲が広く、かつ、植物の成長に伴って植物の最適生育環境が順次変化する場合にも対応するものでなければならない。生育環境のうち、水分環境が生命の生育に欠くことができない環境である。 【0004】植物の水分コントロールに関して、これまでは、培地からの水分供給として、主に水耕栽培や多孔質体に養水分を吸収させる方法による栽培が採用されているが、水耕栽培は栽培可能な植物が限定され、広範な種類の植物生育には適していない。また、稲や大麦のように最適生育環境が順次変化する植物の場合、1種類の植物でも、その成長過程において必要とされる培地中の水分量が異なり、培地中の水分量をコントロールすることができない。 【0005】閉鎖環境での植物の育成においては、その植物に必要な水分の総量を把握する必要があるが、宇宙ステーションのような微小重力環境下では、水分総量のデータもなく、どれだけの水分量を確保しておけばよいのか分かっていない。 【0006】地球上で植物の吸水量を測定する方法として、ポトメータ法が知られているが、ポトメータ方法が微小重力環境下でも測定可能かどうか実証されていない。 【0007】植物栽培システムとして、図6および図7に示すように、軸線方向に間隔を置いて複数の開口1を設けたパイプ2の内部に多孔質焼成ファインセラミックチューブ3を同心に設け、植物4の根5を多孔質焼成ファインセラミックチューブ3の外側に這わせ、多孔質焼成ファインセラミックチューブ3の内部に水6を流すようにした植物栽培システムは知られている。 【0008】しかし、この植物栽培システムでは、植物の種類によって多孔質焼成ファインセラミックチューブへの根つきが悪いものがあり、対象植物が限られたものになり、しかも植物への水分供給量が安定しない。 【0009】多孔質体の保水に関して、ロックウール粒状綿とピートモスからなる混合培地は知られているが、この混合培地は、水耕栽培と同様の問題があることに加えて、乾燥させた後では、吸水が悪く、また、混合培地の培地内の水分拡散も混合培地の毛管現象を利用しているに過ぎず、水分量が均一になるまでに相当な時間を要する。 【0010】ロックウール粒状綿とピートモスを主成分とし、これに粒状軽石や粒状バーミキュライトの保水量調整成分を添加し、培地の乾燥後の保水低下を改善した植物育成用培地が特公平6−38723号公報に記載されている。 【0011】また、湿度管理に眼を向けた植物栽培装置は、特許第2662200号や実用新案登録第2599881号に記載されている。 【0012】閉鎖環境下での植物栽培に関連して、人工光源と保水性を有する栽培床とガス循環装置と水および養分供給手段とを備えた植物栽培装置が特公平7−63275号公報に記載されている。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】ロックウール粒状綿とピートモスを主成分とし、これに保水量調整成分を添加した植物育成用培地は、それでも対象植物による水分量調整に限界があり、対象生育時期による調整、水分量均一分布までに要する時間の短縮ができず、また、乾いたら水分を供給することをコンセプトとしているため、水分量が過供給された場合には、培地の水分量を自然乾燥により調整しなければならない。 【0014】さらに、従来の培地を使用し、養水分の供給のみを行う生育法の場合、水分は蒸発によって失われるが、植物によって取得されてない養分は培地に残ってしまい、この状態で、さらに養水分を供給すると、水分は適切に供給されるものの養分が過剰となり、培地が乾くと塩類が析出するなどの植物の生育に適さない環境になることが考えられる。 【0015】上記閉鎖空間における植物栽培装置は、光環境やガスの循環については考慮しているものの、培地や湿度管理等の水分量コントロールについては言及していない。 【0016】本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、培地内の水分量を宇宙空間でも植物の必要量に合わせてコントロールできる植物育成システムを提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明の水分コントロールシステムは、閉鎖空間と、閉鎖空間内に敷設された無機質繊維不織布を含む培地と、培地に埋設される管を有し培地に養水を供給し培地から水を排出する給排水手段と、培地の水分を検出する水分センサとを備え、培地内の水分量を宇宙空間でも植物の必要量に合わせてコントロールできる。 【0018】本発明の水分コントロールシステムは、培地を、シリカ繊維の不織布、シリカ繊維にロックウールを混入した不織布またはシリカ繊維を軽石で固めた粒状体で形成することができる。 【0019】給排水手段を、周面に複数の孔を設けた管と、複数の孔を覆うように管の外面に設けた表面張力スクリーンと、養水を蓄える養水タンクと、養水タンクの養水を加圧して培地に送る供給ポンプと、水を培地から吸引して養水タンクへ戻す排出ポンプとから構成することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 【0021】図1において符号10は本発明による水分コントロールシステムを備えた植物生育容器である閉鎖空間を示し、この閉鎖空間10内に培地11が敷設されている。培地11に図3に示す表面張力フィルタ12を備えた送排水管13が埋設されている。培地11は、表面張力フィルタ12を通して水分受脱を行なう機能を備えている。 【0022】上記培地11は、1〜10デニールのシリカ繊維の不織布または1〜10デニールのシリカ繊維を主成分としこれにロックウールを混入した不織布で形成されている。不織布は、製造時に繊維間に刺し通されるニードルの間隔を調整することで密度を変えることができる。不織布の密度を調整することで対象植物に適したノミナル保水量を得ることができる。たとえば、不織布の密度は、多湿を好む植物に対して0.15g/cm3、乾燥を好む植物に対しては0.5g/cm3である。 【0023】また、培地11を不織布では達成できない乾燥状態を好む対象植物に適用する場合、培地11を水掃けのよい発泡多孔質体の中に毛管力の強い繊維を挿入した粒状体で形成する。この場合、発泡多孔質体は例えば軽石であり、繊維は例えばシリカ繊維である。粒状体は、軽石を空隙率を低く抑えつつ固めたマトリックスに湿式法にて繊維を3次元的にからませる方法で作られる。この粒状体を培地に用いた場合、与えられる環境範囲が拡大するばかりでなく、能動的水分コントロールシステムの効果を最大限に期待できる。 【0024】上記表面張力フィルタ12は、図4に示すように、線径が0.065mmのステンレス鋼線等の腐食しにくく耐久性のあるワイヤ12aを用いて、25.4mm平方で1400メッシュまたは2300メッシュに綾畳織した薄網板である。この場合、ワイヤ12aの表面を親水性処理することが好ましい。 【0025】表面張力フィルタ12は、図3に示すように、内径30mmの壁面に5mmの孔14aを7mmピッチで穿孔した孔区域14を覆うように送配水管13の外面に貼着される。 【0026】送排水管13は、開口端を蓋片15により閉じ、60mm間隔を置いて列をなして培地11に埋設される。送排水管13に送られた養水は表面張力フィルタ12を介して培地11に供給される。 【0027】送排水管13に設けた表面張力フィルタ12は、図5に示すように、予め液体(水)を付着することで隣接するワイヤ12a,12aの間に表面張力による液体膜16を形成する。液体膜16は、表面張力以下の圧力では壊れることはなく、したがって、水分17は通すが空気等の気体18の侵入を阻止する特性を有する。 【0028】また、閉鎖空間10内には、培地11内の水分量を検出して信号を発する水分センサ21が配設されている。水分センサ21の発する検出信号は、それぞれ制御器25に送られる。制御器25は、これらセンサから送られる検出信号と予め組み込まれたデータとを比較演算し、作動指令信号を発する。 【0029】さらに、閉鎖空間10には、培地11内に養水を供給するとともに培地11から水を吸引して排出する給排水手段26が付設されている。 【0030】上記給排水手段26は、表面張力フィルタ12を備えた送排水管13と、養水を蓄える養水タンク28と、送排水管13と養水タンク28を接続する接続配管27とを有する。接続配管27は、送排水管13に接続された管路29と、この管路29から分岐して養水分タンク28に接続された管路30a,30bとを有する。管路30aには養水タンク28の養水を加圧して培地11に送る送水ポンプ31が配置されている。管路30bには水を培地11から吸引して養水タンク28へ戻す排水ポンプ32が配置されている。送水ポンプ31および排水ポンプ32は、制御器25から発する作動指令によりそれぞれ制御される。 【0031】つぎに、本発明による植物育成のための水分コントロールシステムの作用を説明する。 【0032】培地11の水量制御は給排水手段26により行われる。培地11の水量制御を行う場合には、給排水手段26に設けた送水ポンプ31を作動し、図1に示すように、養水タンク28の養水を管路30aと管路29を介して培地11に埋設された送排水管13へ送る。埋設された送排水管13には孔区域14を覆うように表面張力フィルタ12が設けられているので、送排水管13に送られた養水は、孔14aおよび表面張力フィルタ12を通して培地11へ供給される。 【0033】培地11に供給された養水の水量は、培地11に設けた水分センサ21により検出され、水分センサ21による検出信号は制御器25に送られる。制御器25は水分センサ21から送られた検出信号を予め設定された値と比較演算し、培地11に供給された養水の水量が設定値より多くなったとき、制御器25から作動指令を送水ポンプ31および排水ポンプ32に発し、送水ポンプ31を停止させるとともに排水ポンプ32を作動させる。 【0034】送水ポンプ31が停止すると、養水の培地11へ供給が止まり、排水ポンプ32が作動すると、排水ポンプ32による吸引力により、培地11内の水は培地11に埋設された送排水管13の表面張力フィルタ12を介して管路29および管路30bを通って養水タンク28へ戻される。この場合、培地11内の水量が多いと、表面張力フィルタ12の液体膜16に加えられる吸引力は、表面張力以下の圧力であるから、液体膜16が吸引力により壊れることがなく、培地11から水17のみが送排水管13に排出される。 【0035】培地11に供給された水量が所定値以下になると、培地11に設けた水分センサ21から発する検出信号を受けた制御器25から発する作動指令で、排水ポンプ32が停止し、送水ポンプ31が作動する。これを順次繰り返すことで、培地11内の水量は所定値を維持する。 【0036】このように、本発明による水分コントロールシステムは、自然に生物を生育しにくいような環境、例えば宇宙空間のような微小重力環境下で培地内の水分量をアクティブにコントロールすることで、生物の生育に適した保水量を持つ培地を確保できる。 【0037】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、培地内の水分を宇宙空間でも植物の必要量に合わせてコントロールでき、培地内の水分を短時間で均一に拡散させることができ、培地を一度乾燥させた場合でも培地の保水復活を容易に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005348 【氏名又は名称】富士重工業株式会社 【識別番号】501193964 【氏名又は名称】齋藤 高弘
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| 【出願日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075812 【弁理士】 【氏名又は名称】吉武 賢次 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−335782(P2002−335782A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月26日(2002.11.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−145011(P2001−145011) |
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