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【発明の名称】 防根資材およびそれを用いた防根容器
【発明者】 【氏名】高橋 達

【氏名】山根 直樹

【要約】 【課題】植物の生長を妨げることなく、根域と非根域を完全に区別できるような防根資材であって、低コストで、かつ施工しやすい防根資材を提供する。

【解決手段】基材シートの少なくとも片側表面に、クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルを6.25×10-2mg/(2.5cm)2以上有している防根資材およびこれを用いてなる防根容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材シートの少なくとも片側表面に、クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルを6.25×10-2mg/(2.5cm)2以上有していることを特徴とする防根資材。
【請求項2】 基材シートの少なくとも片側表面に、クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルを含有する接着剤が付着していることを特徴とする請求項1記載の防根資材。
【請求項3】 基材シートが合成長繊維からなる不織布であることを特徴とする請求項1または2記載の防根資材。
【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項に記載の防根資材を用いてなることを特徴とする防根容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路や法面などの植生に用いる防根資材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植物による緑化は、例えば川の堤防などの法面において、その景観および環境上好ましいという観点から好んで進められているものである。そして、より重要な働きとしては、その堤防の地盤に植物の根を蔓延させることによって、堤防の地盤そのものを強化し、局所的な大雨や地震などの災害に対して容易に崩壊しない堤防を築くことに利用されている。
【0003】また、都市での植物による緑化においては、街路樹として知られている道路脇に植生される木々は、前記同様、景観および環境上好ましいという観点のほか、自動車や人間から発生する炭酸ガスを吸収するなどといった重要な役割を担っている。
【0004】しかしながら、植物の生長に伴う根の成長力が強いために、例えば、前述の堤防においては、防水や川の形状安定のために施工されているコンクリート防水層を破壊し、漏水や堤防の決壊等の悪影響を及ぼすという問題がある。また、路肩の街路樹においても、アスファルト構造を破壊し、路面の平坦性を失わせるといった問題がある。
【0005】このような状況下において、植物の生長を妨げることなく、根域と非根域を完全に区別できるような防根資材が求められている。
【0006】近年、建造物の屋上における緑化が盛んに行われ、それに伴い、防根と透水を目的とした防根透水構造が多数開発されている。
【0007】例えば、特開平6−225635号公報には、土の濾過層(フィルター層)と通水層と防根層とからなる屋上緑化用の防根透水構造が、また、特開平8−308390号公報には、仮植用の植生マットを作成するためのフラッシュ紡糸不織布からなる防根用シートが提案されている。
【0008】しかし、前者の技術においては、完全な防根を得るために、防根部に透水性や透湿性のない樹脂シートを使用し、別途濾過層と通水層を必要とするという大がかりなものであり、容易に土中に埋設したり出来るような物ではなく、高コストのものであった。
【0009】一方、後者の技術においては、防根用シートであるフラッシュ紡糸不織布に、根の成長力に打ち勝てるシート強力が必要とされる。フラッシュ紡糸不織布では、幼木の段階では使用できるが、木が大きく成長した場合や木の種類によっては、根の成長を十分に抑制することができず、あらゆる木に対応できるものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題を解決し、すなわち、植物の生長を妨げることなく、根域と非根域を完全に区別できるような防根資材であって、低コストで、かつ施工しやすい防根資材を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討の結果、本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明は、基材シートの少なくとも片側表面に、クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルを6.25×10-2mg/(2.5cm)2以上有していることを特徴とする防根資材を要旨とするものである。
【0013】また、本発明は、前記防根資材を用いてなる防根容器を要旨とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の防根資材は、基材シートの少なくとも片側表面に、クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルを有している。
【0015】クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルは、水に不溶性で、蒸発することもないため、土中に埋設しても雨水等により漏出することがなく、効力を長く維持することができる防根剤である。
【0016】本発明において用いる前記防根剤は、前述した通り、拡散性がないため、植物の根が、基材シートが有する防根剤に接触したときに、初めて防根特性を発揮する、すなわち、根の伸びる方向を転換する、あるいは根の成長を抑制することができる。よって、本発明の防根資材においては、前記防根剤を、基材シートの少なくとも片側表面の全面に保持させる。
【0017】また、本発明の目的を達成するためには、防根剤は、基材シートの全面に均一に有していることが好ましい。ここで、「均一に有している」とは、シート全面すべてにおいて防根剤が付着しているということではなく、本発明の目的を達成する程度に、すなわち、根が、防根剤に触れることなく基材シートを貫通することがなければよいのであって、例えば、基材シート全面に繰り返しのドット状、ストライプ状、格子状あるいはランダムな網の目状等の形態で分散していてもよい。このような分散形態により、防根剤を付着させる場合は、その間隔は、10mm以下程度であることが望ましい。
【0018】基材シートが有する前記防根剤の量は、基材シートに対して6.25×10-2mg/(2.5cm)2以上である。防根剤の保持量が、6.25×10-2mg/(2.5cm)2未満の場合には、目的とする防根効果を十分に奏することができない。また、前記防根剤の固着形態が分散形態であって、かつ防根剤の保持量が均一でない場合には、防根剤の保持量が少ない個所より根が貫通しやすくなる。一方、防根剤の保持量の上限は、特に限定されずコスト等に応じて適宜設定すればよい。
【0019】本発明に用いる防根剤を効果的に基材シートに保持させるためには、接着剤を介して付着させることが好ましい。接着剤としては、一般に知られている接着剤、例えば、アクリル樹脂などを用いればよいが、水溶性のものでは雨水や散水等の水によって接着剤が溶出し、防根剤が水によって移動する恐れがあり、防根性能が部分的に劣ってしまうなどの恐れがあるため、耐水性の接着剤を用いることが望ましい。
【0020】接着剤を介して防根剤を付着させる方法としては、接着剤に前記防根剤を混入させ、基材シート表面に防根剤を混入させた接着剤の塗工等を行えばよい。塗工方法としては、グラビアロール等による印刷法や泡コート法、スプレー法、コーティング法により基材表面に付与する方法、また、ディップ法によって基材シート表面だけでなく、基材シート内に含浸させてもよい。また、基材シート表面に、接着剤を印捺した後、接着剤部分に防根剤を付着させてもよい。本発明においては、根が直接この防根剤に触れることにより効果を発揮することができるものであることから、基材シート表面にのみ付着させることが、コストを抑えて優れた効果を奏することができるため好ましい。また、後述する防根資材の透水性も考慮して、防根資材の透水係数が小さくなりすぎないように、接着剤を塗工することが好ましい。
【0021】防根資材に用いる基材シートとしては、織編物、立体織編物、不織布等の繊維構造物を用いることができ、なかでも合成長繊維からなる不織布を用いることが好ましい。また、不織布の形態としては、構成繊維同士がニードルパンチ法等により三次元的に交絡してなる不織布がより好ましい。構成繊維同士が三次元的に交絡してなる不織布は、繊維間空隙が大きく嵩高で、排水性に優れる。また、土中に埋めて使用した際に、土の流動に応じて、不織布が伸縮することができ、その変動を吸収することができる。
【0022】基材シートを構成する繊維としては、強力が高いことから合成繊維を用いることが好ましく、ポリエステル系重合体やポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体等の熱可塑性合成樹脂からなる合成繊維を用いることができる。また、アルカリ性の肥料等を用いる場合等、アルカリ性のものと接触することが多い場合には、アルカリ性に対して高い耐久性を有する樹脂からなる合成繊維を用いる等、使用形態に応じて適宜選択することが好ましい。
【0023】繊維の形態としては、長繊維であっても短繊維であってもよい。
【0024】本発明の防根資材は、透水性を有していることが好ましく、防根資材の面方向に対して垂直な方向における透水係数が1×10-2cm/sec以上であることが好ましい。防根資材の透水係数が1×10-2cm/sec未満では、水が抜け難い状態であり、防根資材の使用法にもよるが、雨水や撒水等の水の抜けが悪くなり、植物が根腐れを起こし、良好に生育しない恐れがある。
【0025】本発明の防根資材は、着色しても、また、印刷等により模様や印を付与してもよい。特に、防根資材において、防根剤を片側表面のみに保持させる場合には、片側表面に印刷等による模様や印を施すことによって、防根剤を保持している面を識別させることができ、好ましい。また、防根剤を接着剤に混入させる際に、顔料等の着色剤をも同時に混入させて付与することができる。
【0026】本発明の防根資材は、布帛の形態のまま使用することもできる。また、防根資材を縫製加工等により袋状とし、本発明の防根容器を得、容器の形態で使用することもできる。
【0027】例えば、図1(a)(b)に示すように、本発明の防根資材からなる側面部1と底部2とを縫製部3により縫製して、円柱状や角柱状の本発明の防根容器4を得ることができる。
【0028】また、本発明の防根容器においては、すべて防根資材からなるものであっても、その一部が防根資材からなるものであってもよい。使用する際に、根の成長を抑制したい部位にのみ、防根資材を配し、根の成長を抑制する必要がない部位には、防根剤を有していない基材シートを配して防根容器を得ることもできる。例えば、図1(b)に示す四角柱状の防根容器においては、側面および/または底面の一部にのみ防根資材を用い、残りの側面および/または底面には、防根剤を有しない基材シートを用いて縫製することもできる。
【0029】本発明の防根容器は、容器内に植物の種子や幼木を植え込み、植栽枡等の保持枠を用いて、あるいは用いずに、道路の路肩や中央分離帯等に埋め込んで使用することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される物ではない。また、特性値については、下記測定法により測定した。透水係数(cm/sec):JIS A 1218 土の透水試験方法 定水位試験方法 に記載に基づき測定した。
【0031】実施例1防根剤としてクロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルと、接着剤としてアクリル系樹脂と、希釈溶剤とからなる溶液(クロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステル30質量%)を調整し、この溶液を、版深度60ミクロンのグラビア版を備えた印刷機にて、ポリエステル長繊維からなりニードルパンチ処理により構成繊維が三次元交絡してなる不織布(目付150g/m2)に塗工し、乾燥させて防根資材を得た。防根資材におけるクロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルの保持量は、3.125mg/(2.5cm)2であった。
【0032】上記方法にて得られたシートを用い、図1(b)記載のごとき縫製加工を行って、防根容器を得た。
【0033】得られた防根容器に培土を入れ、ナンキンハゼ、クスノキ、ゴールドクレストの幼木を植生し、さらにその防根容器を土壌中に埋めた。4ヶ月後に掘り起こして、植物の成長状況と防根シートへの根の貫通状況を調べたところ、幼木は順調な生育をしていたものの、防根シートから貫通し外に伸びている根は認められなかった。
【0034】比較例1実施例1において、防根剤を接着剤溶液に混合しなかった以外は、実施例1と同様にして、長繊維不織布からなる容器を得た。
【0035】また、実施例1と同様、ナンキンハゼ、クスノキ、ゴールドクレストの幼木を植生し、4ヶ月後に掘り起こして、植物の成長状況と容器からの根の貫通状況を調べたところ、容器を貫通して外に伸びている根が多数あった。
【0036】
【発明の効果】本発明の防根資材は、上述したように基材シートの少なくとも片側表面に、防根剤であるクロロトリルオキシプロピオン酸ポリグリコールエステルを6.25×10-2mg/(2.5cm)2以上有しているものであり、植物の根は、基材シートが保持している防根剤に接触したときに、初めて防根特性を発揮する、すなわち、根の伸びる方向を転換する、あるいは根の成長を抑制することができる。
【0037】また、本発明の防根資材においては、前記防根剤を、基材シートの少なくとも片側表面の全面に一定の小さい面積あたりに一定量有しているので、植物の根が防根資材のあらゆる部位に接触しても、基材シートを貫通することなく、効果的に防根効果を発揮することができる。
【0038】また、本発明で用いる防根剤は、公知の接着剤によって基材シートの表面に固着させることができるため、特別な付与装置を用いずとも、低コストで取り扱いが容易で施工しやすい防根資材を得ることができる。
【0039】本発明の防根資材は、根の成長を抑制する用途において、様々な形態で用いることができ、例えば、緑化用地へ定植施工する前の幼木を育成する際に用いる植生マットの下に敷設する防根シートとしての使用や、道路や堤防等の法面、路肩、中央分離帯、建物周辺等の緑化用地において、そのまま敷設したり、または防根容器の形態で使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【出願日】 平成13年5月23日(2001.5.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−335762(P2002−335762A)
【公開日】 平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願番号】 特願2001−154016(P2001−154016)