| 【発明の名称】 |
茸類培地の表面殺菌法、及び茸類の容器栽培法 |
| 【発明者】 |
【氏名】三田村 隆
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| 【要約】 |
【課題】培地の表面だけを効果的に殺菌でき、簡便かつ容易に実施できる茸類用培地の表面殺菌法、茸類の容器栽培法を提供すること。
【解決手段】培地の表面に電解水を散布することを特徴とする茸類培地の表面殺菌法、及び、培地を調製し、容器に充填するとともに滅菌処理し、親菌を植菌し、親菌を培養し、菌掻し、培地を表面殺菌し、もって茸を発育させる茸類の栽培法において、表面殺菌を、前記の表面殺菌法によって行う茸類の容器栽培法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 培地の表面に電解水を散布することを特徴とする茸類培地の表面殺菌法。 【請求項2】 培地を調製し、容器に充填するとともに滅菌処理し、親菌を植菌し、親菌を培養し、菌掻し、培地を表面殺菌し、もって茸を発育させる茸類の栽培法において、培地の表面殺菌を、培地の表面に電解水を散布することによって行うことを特徴とする茸類の容器栽培法。 【請求項3】 電解水の散布を、電解水を噴霧して行う請求項2に記載の茸類の容器栽培法。 【請求項4】 親菌の培養及び/又は茸の発育を、培地の表面及び/又は周囲に電解水を適宜噴霧して湿度を調整しつつ行う請求項2又は請求項3に記載の茸類の容器栽培法。 【請求項5】 電解水が、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、pHが4.5〜6.8の範囲の電解水である請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の茸類の容器栽培法。 【請求項6】 電解水が、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、電気分解し、水で希釈して製造された電解水である請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の茸類の容器栽培法。 【請求項7】 請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の容器栽培法によって栽培された茸類。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、茸類を栽培する培地の表面を殺菌する方法、その殺菌方法を用いた茸類の容器栽培法、及び茸類に関する。更に詳しくは、本発明は、培地の表面だけを効果的に殺菌できるとともに培地の内部を殺菌することがなく、容易に、しかも手軽に表面殺菌する方法、カビ・細菌類の繁殖を予防して茸類の生育歩留まり及び品質向上を図り得る茸類の容器栽培法、及び茸類に関する。 【0002】本発明において、「電解水」とは、塩素イオンを含有する水を電気分解して得られ、塩素ガスが溶解している殺菌作用のある水を意味する。 【0003】本発明において百分率は、特に断わりのない限り重量による値であるが、湿度の値は相対湿度による表記である。 【0004】 【従来の技術】茸類は、独特の味わいや香りがあり、食感も良好であることから、国民に広く嗜好されている。また茸類は、各種の生理活性物質を豊富に含有するため、健康食品としてのニーズも見込まれている。従って、茸類の栽培は、今後、大きな市場規模に発展し得る有望な産業分野ということができる。 【0005】茸類の栽培法は、主として原木栽培法と容器栽培法とに大別され、茸類の種類に応じて最適な栽培法が選択される。 【0006】後者の容器栽培法は、木粉、おがくず等を主体とする培地を、木箱、ビン等の容器に詰め、これを培養基として茸類を栽培するものである。 一般に、茸類の栽培法としては、しいたけ等のように原木栽培法を主流とするものを除き、大部分が、えのきだけ、ひらたけ等のように容器栽培法が採用されている。 【0007】従来の容器栽培法は、次のようなものであった。即ち、最初に、木くず、おがくず、豆類粉砕物、こめぬか、とうもろこし粉砕物、ビール粕、粉炭、堆肥等の培地素材を適宜混合し、培地を調製する。尚、この場合、適量の栄養剤や保型材、中和剤等を混合することも可能である。 【0008】調製した培地は、容器に充填する。この場合の容器は、例えば500〜3000cc容量の耐熱性の広口ビンが最も好適であるが、これに限られるものではなく、木製や樹脂製の箱を使用しても良い。容器に充填した培地は、滅菌処理する。容器として広口ビンを利用する場合は、培地を充填した後にビン口に不織布の蓋を被せ、オートクレーブによって蒸気滅菌すれば良い。また、箱を利用する場合は、ドラム缶に入れて蒸す等の方法で培地を滅菌処理した後に箱に充填する。このように容器への充填・滅菌したものを培養基とするのである。 【0009】次いで、このような培地に親菌を植菌する。植菌の作業は、例えば、培地の表面に、親菌の塊を載せるか、または培地に挿入することによって行うことができる。植菌が終了した後は、ビンの場合はビン口を消毒して綿栓することが好ましく、箱の場合は、カビ・細菌類が入らないように消毒した布などで覆うことが好ましい。 【0010】このように植菌が終わった培地は、好適な環境に保持し、親菌を培養する。このように親菌を培養する環境は、茸類の種類にもよるが、例えば、えのきだけの場合は、16℃、湿度80%の環境に静置して培養する。 【0011】親菌が培地の全面に繁殖した後は、培地の表面を掻き取る「菌掻き」の作業を行う。この菌掻きは、培地の表面にある菌糸を除去する作業であり、繁殖した親菌に一定の刺激を与える効果を有する。 【0012】この菌掻きの際に、培地の表面を殺菌する工程が行われる。尚、本発明においては、このように培地の表面だけ目標として殺菌する行為を「表面殺菌」と称している。 【0013】菌掻きの後は、可及的にカビ・細菌類の繁殖を防止する必要があるため表面殺菌を行うのである。このように培地に繁殖するカビ・細菌類としては、例えば、青カビ、クモノスカビ、毛カビ、麹カビ等を例示することができる。 【0014】表面殺菌の方法は、従来は、培地の表面をバーナーで燃やす火炎滅菌法や、培地の表面に消毒液(アルコール水溶液等)を散布する方法が採用されていた(以下、これらの方法を従来殺菌法と記載する。)。 【0015】菌掻き及び表面殺菌を行った後は、培地に充分な水分を与えながら、茸を発育させるのである。この場合、最初に、例えば培地を温度4〜6℃の抑制室に12日間程度置いた後に、6〜7℃の発茸室に12日間置く等の、二段階の発育を行うことが望ましい。成長した茸類は、適宜包装して出荷する。 【0016】以上のような茸類の栽培法においては、茸類に害を与えるカビ・細菌類の繁殖を可及的に防止することによって、茸類の生育歩留を向上させることができるとされている。即ち、茸類を栽培している間に、カビ・細菌類に汚染されてしまった場合には、収穫の段階で茸類の品質が劣化し、市場の信用を失ってしまいかねない。即ち、カビ・細菌類による汚染は、茸類を収穫する段階まで判明することがないため、一旦汚染されてしまうと、被害が大きくなりやすいのである。 【0017】一方、近年、種々の溶液を電気分解して得られる電解水に殺菌効果があることが知られており、このような電解水の応用技術の確立が急がれている(芝紀代子ら著、「強電解水ハンドブック」、医学情報社、平成7年)。 【0018】従来の電解水は、例えば、特開平1−180293号に開示された技術により製造されるものであった(以下、従来電解水1と記載する。)。この技術においては、食塩を添加した水を隔膜付きの電解槽に通水し、これを電気分解し、陰極側に生成する強酸性水を電解水として取得するものであり、この電解水のpHは1.5以上3.2以下であって、単なる低pH液に比して殺菌効果が高いとされている。 【0019】また、特許第2627100号に開示された技術によって製造される電解水(以下従来電解水2と記載する。)は、塩化ナトリウムを添加した水と、塩酸を添加した水とを混合し、これを無隔膜電解槽によって電気分解して得られるものであり、この塩化ナトリウムを添加した水は、電解する際の電解効率を上げるために不可欠の添加物とされている。 【0020】本発明者らは、先に、塩化ナトリウムを添加せず、ほぼ中性のpHを有する電解水、及びその製造法を見出し、特許出願している(特開平10−128336号。以下、この電解水を推奨電解水と記載する。)。 【0021】これらの各電解水は、例えば、次亜塩素酸ソ−ダを水に溶解して調製した殺菌水に比して、低塩素濃度であっても殺菌等の効果が高く、また、毎回使用する度に細かい濃度調整を行なう必要がない点で好ましいと言われているが、その反面、有機物に接触すると塩素が無効化し、殺菌の効果が減少するという弱点がある。尚、以下の記載においては、このように電解水の殺菌効果が減少する現象を「失活する」と表現することがある。 【0022】 【発明が解決しようとする課題】ところが前記したように、茸類の栽培においては、菌掻きを行った後には、培地を表面殺菌する必要があるが、前記従来殺菌法では、培地表面の火炎滅菌や、消毒液の散布しかなく、これらの従来殺菌法には次のような問題があった。 【0023】即ち、一般に表面殺菌は、培地の表面だけを殺菌し、培地の内部は殺菌してはならないのであるが、従来殺菌法では、誤って培地の内部までも殺菌してしまう確率が高く、表面だけを殺菌するよう調節することが困難であった。 【0024】例えば、火炎滅菌では、火力の調節が難しく、また、培地の乾燥の程度や湿度によって培地の燃えやすさが変化するため、適度な火力に設定することが難しく、また、消毒液の散布は、消毒液が培地の内部まで浸透してしまうため、培地の表面のみならず培地の内部までをも殺菌してしまうことが多く、甚だしい場合は、親菌が死滅してしまうという事故を起こすことが多かった。このように、従来殺菌法は、極めて高度な熟練を要する作業とされていた。 【0025】そして、従来殺菌法を使用した場合は、表面殺菌の程度を調節することが困難であるため、表面殺菌の際に安全をみて殺菌の程度を弱くせざるを得ず、結果的に殺菌の効果が限定されたものとなる傾向にあった。 【0026】また、このように殺菌の効果が限定されてしまうため、従来の茸類の栽培法では、カビ・細菌類の繁殖を効果的に防止する手段がなく、カビ・細菌類の繁殖による品質の劣化を甘受せざるをえない状況であり、一段と効果の高い表面殺菌法と、容器栽培法が待望されていたのである。 【0027】本発明者等は、電解水について、有機物に接触した場合に失活するという弱点に着目し、この弱点を逆に積極的に利用することによって、培地の表面殺菌に好適に適用できることを見い出し、本発明を完成させた。 【0028】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は、培地の表面だけを効果的に殺菌でき、培地の内部を殺菌することがなく、作業にあたっては特段の習熟を要することなく、誰でも簡便かつ容易に実施することができる茸類用培地の表面殺菌法を提供することである。 【0029】本発明の他の目的は、そのような表面殺菌法を使用し、培地におけるカビ・細菌類の繁殖を軽減することができ、茸類の生育歩留の増加、及び品質の向上を図ることができる茸類の容器栽培法を提供することである。 【0030】更に本発明の他の目的は、そのような容器栽培法によって栽培された品質の良好な茸を提供することである。 【0031】本発明の第一の発明は、培地の表面に電解水を散布することを特徴とする茸類培地の表面殺菌法、である。 【0032】本発明の第二の発明は、培地を調製し、容器に充填するとともに滅菌処理し、親菌を植菌し、親菌を培養し、菌掻し、培地を表面殺菌し、もって茸を発育させる茸類の栽培法において、培地の表面殺菌を、培地の表面に電解水を散布することによって行うことを特徴とする茸類の容器栽培法、である。 【0033】この第二の発明は、電解水の散布を、電解水を噴霧して行うこと、親菌の培養及び/又は茸の発育を、培地の表面及び/又は周囲に電解水を適宜噴霧して湿度を調整しつつ行うこと、電解水が、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、pHが4.5〜6.8の範囲の電解水であること、及び、電解水が、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、電気分解し、水で希釈して製造された電解水であること、を好ましい態様としている。 【0034】本発明の第三の発明は、前記第二の発明の容器栽培法によって栽培された茸類、である。 【0035】 【発明の実施の形態】本発明の第一の発明は、培地の表面殺菌法である。本発明の表面殺菌法は、表面殺菌を、電解水を散布することによって行うことを特徴としている。 【0036】電解水は殺菌作用を有しているため、培地の表面に散布すれば、当然、培地の表面部分を殺菌することができる。ところが、前記のように、電解水の殺菌効果は、有機物と接触すれば失活するため、電解水が培地の内部に浸透した場合には、浸透した電解水が培地の外面に付着している有機物と接触して失活する。このため、培地の内部に浸透した電解水は、親菌にとっては無害なものとなる。 【0037】かくして、本発明では、電解水の量をさほど気にすることなく散布することが可能であり、表面のみを確実に殺菌し、かつ内部の親菌には悪影響を与えることが全くないのである。従って、作業員に特段の習熟を要求することなく、誰でも簡便かつ容易に実施することができ、しかも、培地の表面のみを確実に殺菌することができる。 【0038】尚、本発明の表面殺菌法は、菌掻きの工程の際に実施することが好適であるが、他の工程で適用することもできる。例えば、植菌する前の段階で、念の為に培地の表面を殺菌しておきたい場合等に、本発明の表面殺菌法を好適に用いることが可能である。 【0039】以上のような本発明の表面殺菌法は、本発明の第二の発明である茸類の容器栽培法に好適に活用することができる。即ち、本発明の容器栽培法は、菌掻きの後の表面殺菌の工程を、前記第一発明の表面殺菌法によって行うことに特徴がある。 【0040】基本的には、本発明の容器栽培法は、前記した従来公知の容器栽培法と共通の工程を行う。即ち、培地を調製し、容器に充填するとともに滅菌処理を施し、親菌を植菌し、親菌を培養し、菌掻きし、培地を表面殺菌し、茸を発育させる、という工程を行う。そして、この表面殺菌を、培地の表面に電解水を散布することによって行うのである。 【0041】このような電解水の散布により、培地の表面のみを効果的に殺菌することができるため、カビ・細菌類の繁殖を効果的に軽減することができる。本発明は、例えば、青カビ、クモノスカビ、毛カビ、麹カビ等に対して効果的であり、この結果、茸類の生育歩留と品質とが向上するのである。 【0042】このような電解水の散布は、可及的に培地の表面を濡らすように行うことが望ましく、少量の電解水で済ますことが好ましい。従って、電解水は、噴霧して散布することが好ましい。 【0043】噴霧する装置としては、圧力噴霧ノズル、二流体噴霧ノズル、超音波霧化機等を例示することができるが、この中では、電解水に溶存している塩素を有効に活用することができる圧力噴霧ノズルが最も好ましい。特に、電解水を可及的に細かい液滴に霧化して噴霧することが好ましいといえる。 【0044】このような噴霧は、培地の表面1平方センチメートル(cm2)あたり電解水0.1cc以上、好ましくは0.2cc以上行うことが望ましい。例えば、培地表面1平方センチメートル(cm2)あたり0.3〜5ccの範囲、好ましくは0.3〜2ccの範囲で電解水を噴霧する。 【0045】また、電解水としては、遊離次亜塩素酸濃度10〜30ppmのものを使用し、噴霧した際の液滴は、ザウター平均径で20〜80μmの微細な液滴になるように噴霧すれば、少量で培地表面に広がるため好ましい。 【0046】また、本発明の栽培法では、電解水を噴霧することにより、栽培施設の空間中に浮遊している細菌を殺菌・除菌する効果も得られ、更に、電解水の消臭効果によって、作業員の作業環境の向上に役立つことも期待できる。 【0047】本発明の栽培法においては、表面殺菌に電解水を利用することの他に、親菌を培養している過程や、茸類を生育させている過程において、併せて電解水を適宜噴霧し、培養・生育の雰囲気における湿度の調整に活用することが可能である。 【0048】すなわち、培地を調製し、これを容器に充填して高圧蒸気を用いて加熱殺菌し、十分に冷却後、種菌を接種する(植菌)。この後の工程で、更に電解水の噴霧を行うのである。 【0049】このような処理を行えば、親菌の培養、茸類の生育の過程で、カビ・細菌類が付着することを軽減する効果を得ることができる。特に、茸類の生育歩留まり及び品質が更に向上し、出荷の際の衛生も向上することが期待できる。 【0050】即ち、茸類自体に繁殖するカビ・細菌類、例えば、青カビ、根グサレ(腐敗菌)、黒斑病バクテリア等に起因する茸類の疾病を軽減・予防する効果が得られるのである。 【0051】以上のような本発明においては、使用される電解水は、従来公知のものであって良く、前記の従来電解水1又は2を使用することもできる。 【0052】しかしながら、前記従来電解水1及び2は、いずれも食塩を含有しているため、噴霧した後に、電解水が乾燥した際に食塩が固体として析出してしまうという問題点がある。 【0053】また、前記従来電解水1及び2は、いずれも食塩が大量に含有されているため、金属を腐食する性質があり、金属製の器具が多い栽培施設内で使用した場合には、器具が腐食し易く、長期間の使用は望ましくないという問題もある。このような観点から、本発明においては、前記の推奨電解水を使用することが好ましいといえる。 【0054】本発明に使用する推奨電解水は、ナトリウムイオン濃度が、一般的な上水の水質基準である200ppm以下、より好ましくは50ppm以下の電解水からなることを一つの特徴としている。 【0055】従来の電解水(例えば、従来電解水1又は2)は、水を電気分解して得られるものであるが、電解効率を上昇させるために塩化ナトリウムを添加することが常識であったが、本発明では、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下の推奨電解水を使用することが好ましいのである。また、この推奨電解水は、pH値が4.5〜6.8の中性付近であることを他の一つの特徴としている。 【0056】このような推奨電解水を、本発明の茸類の容器栽培法に使用すれば、前記従来電解水1又は2のように金属を腐食することが少ないのである。また、このような推奨電解水であれば、実質的に塩化ナトリウムを含有しない電解水であるから、噴霧した後に、仮に蒸発したとしても食塩が析出することはない。そして、培地を再利用する場合等では、培地中の塩分濃度が上昇することがないため好都合である。 【0057】このような電解水は、次の手順で製造されるものであることが望ましい。即ち、まず、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加する。 【0058】ここに「水」は、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水を意味している。 【0059】「実質的に塩化ナトリウムを含有しない」の意味は、人為的に塩化ナトリウムを添加することがないということである。この場合、水に自然に含有されている微量の塩化ナトリウムは考慮しない。 【0060】塩化ナトリウムが人為的に添加されていないということは、塩酸を添加した水のナトリウムイオン濃度が、前記「水」に含有されていたナトリウムイオン濃度を越えることがないことを意味している。例えば、このような「水」は、一般にナトリウムイオン濃度200ppm以下であるから、本発明における塩酸を添加した水も、ナトリウムイオン濃度は200ppm以下である。 【0061】また、塩酸を添加した水の塩化水素濃度は、適切な反応を起させるためには0.01%以上であることが望ましく、特に0.1%以上であることが推奨される。ただし、経済性を追及する場合には、塩化水素濃度は、1.0%以上、21.0%以下であることが望ましい。即ち、塩化水素濃度が1.0%以上であれば、工業的に安定した反応を得ることが可能であり、また21.0%以下であれば、常温で発煙することがなく、保管、取扱いの点で望ましいからである。 【0062】このような塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水した後、陰陽両極に通電し、電気分解する。尚、無隔膜電解槽は、隔膜を有しない電解槽である。 【0063】この無隔膜電解槽は、単極式の電解槽であっても良いが、複極式の電解槽であることが望ましい。 【0064】一般に、電解槽の中で複数の電極を結線する方式としては、単極式と複極式の2種類がある。単極式とは、電極の全てが電源の陰極又は陽極のいずれかと接続される方式であり、複極式とは、例えば、複数の電極を一定間隔で重ね合わせ、相互に絶縁した構造を有しており、電源の陽極に接続された電極(即ちアノード)と、電源の陰極に接続された電極(即ちカソード)との間に、いずれの極とも接続されない中間電極が、少なくとも1枚存在する方式である。 【0065】尚、電気分解の際には、電極1対あたりの電圧は1.5ボルト以上、4.0ボルト以下であることが望ましい。複極式電解槽の場合は、前記したようにカソードとアノードとの間に中間電極が存在しているが、「電極1対あたりの電圧」とは、カソード、アノード、及び中間電極を含めて、隣り合った2枚の電極の間の電圧を意味する用語である。 【0066】一般に、電極1対あたりの電圧を上げていくと、1.3ボルト以上で塩素が発生し始め、1.5ボルト以上で最大の発生量に達する。従って、電極1対あたりの電圧は1.5ボルト以上が望ましいのである。また、電圧が4.0ボルトを越えると、酸素が発生し始め、5.0ボルトを越えるとオゾンが発生し始める。オゾンの発生は望ましくないため、電圧は5.0ボルト以下が望ましい。また、酸素の発生は電力の無駄になるため、電圧は4.0ボルト以下が特に望ましい。尚、電圧は、経済上の観点からは、3.0ボルト以下であることが好ましい。少なくとも、オゾンの発生は作業環境の面で好ましくないため、電圧は5.0ボルト以下が望ましく、使用する電解水は特にオゾンのない電解水であることが好ましいのである。 【0067】このように電解水を製造した後は、得られた電解水は希釈する。一般に、電解水の製造においては、塩素濃度が高い水を少量だけ製造し、その後これを希釈して使用することが経済性の上からは望ましい。従って、電気分解した後は、希釈した上で、電解水を採取するのである。希釈の度合いは、pHが4.0以上、好ましくは4.5〜7.0、有効塩素濃度が10〜30ppmの範囲になるように希釈することが好ましい。 【0068】本発明の製造方法により製造された電解水は、有効塩素濃度が1ppm乃至2ppmの濃度まで希釈されたとしても殺菌効果が消失することがない。尚、有効塩素濃度は、オルトトリジン法(日本薬学会編、「衛生試験法・注解 1980」、第746頁、金原出版株式会社、1980年3月20日)又はヨウ素滴定法(社団法人日本水道協会、「上水試験方法 1993年版」、第218〜219頁、平成5年11月15日)によって測定することが可能である。 【0069】また、電解水は、中和剤により中和しても良い。有効塩素濃度が高い電解水を得た場合に、その電解水のpHが低くなる場合があるが、一般に、塩素が溶解した水は、pHによってその殺菌力が変化することが知られており(株式会社フジ・テクノシステム発行、「食品工業の微生物制御総合技術資料集」、第242〜243ペ−ジ、昭和52年)、電解水のpHも7.0以下、好ましくは6.5以下であれば殺菌力が高くなるため望ましいのである。また、電解水が強酸性であれば、使用する場所、方法等に制約を受けることになるため、電解水のpHは4.0以上、好ましくは4.5以上であることが好ましい。このような中和剤としては、アルカリ性の薬品が好適であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を使用することができるが、水酸化ナトリウムが最も望ましい。このように電解水を中和する場合は、中和剤の添加は、希釈の前であっても後であっても良いが、後の方が望ましい。 【0070】以上の操作は、例えば、市販の電解水製造装置であるピュアスタ−(商標。森永エンジニアリング社製、以下同じ。)によって行うことができる。この装置に、21%の塩酸又は3%の塩酸を貯留したタンクを設置する。前者の場合は21%の塩酸を水で希釈した後に無隔膜電解槽に通水し、後者の場合には、3%の塩酸は、それ自体が「塩酸を添加した水」であるから、そのまま無隔膜電解槽に通水する。そして連続的に電気分解し、電解水を製造することが可能である。この際は、得られた電解水が、pH4.0以上、好ましくはpH4.5〜6.8、有効塩素濃度10〜30ppmの範囲になるような条件で、無隔膜電解槽の電解条件を調節し、また電解水を希釈する。 【0071】このようにして得られた電解水は、塩化ナトリウムが実質的に添加されておらず、しかもpHはほぼ中性の付近にあり、前記従来電解水1又は2に比して、より自然水に近い物性を有している。従って、本発明に好適に利用することができるのである。 【0072】以上のような本発明の容器栽培法によって栽培された茸類(即ち本発明の第三の発明。)は、培地に繁殖するカビ・細菌類、例えば、青カビ、クモノスカビ、毛カビ、麹カビ等のが予防されたものであり、しかも茸類自体にダメージを与えるカビ・細菌類、例えば、青カビ、根グサレ(腐敗菌)、黒斑病バクテリア等が低減されているため、食品としての安全性が高く、しかも衛生的である。また出荷、流通の際に、前記のカビ・細菌類が繁殖する確率も低いため、市場における不良品発生率も低い。 【0073】以上の本発明を適用できる茸類としては、しいたけ、ひらたけ、えのきたけ、まいたけ、ぶなしめじ、マッシュルーム、ふくろたけ、ヒメマツタケ、エリンギ、畑しめじ、なめこ、きくらげ、柳たけ、あわびたけ、アガリスたけ、万年たけ等を例示することができる。 【0074】 【実施例】次に、参考例・実施例を示して本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 参考例図1は、本発明に使用する電解水製造装置の一例の概略構造を説明するための説明図である。 【0075】ピュアスタ−100は、21%塩酸が貯留された塩酸タンク101を備えており、塩酸タンク101には、塩酸送液管102が接続されている。塩酸送液管102には、塩酸用の定量ポンプ103(ダイアフラムポンプ)が配設されており、末端には無隔膜電解槽104が接続されている。 【0076】無隔膜電解槽104には、電極105及び106が内設されている。尚、図1及び図2では電極105及び106を一対の電極として簡略化して図示しているが、実際は電極105及び106は複極式の電極である。この電極105及び106は電源107に結線されている。 【0077】無隔膜電解槽104の排出口104aには、電解水送出管108が接続されており、この電解水送出管108の末端は、電解水貯留タンク120に至る。 【0078】また、電解水送出管108には、電解水を希釈する希釈手段110が接続されている。 【0079】この希釈手段110は、基本的には、水の供給源110a(水道タップ)と、この供給源110aに接続される水供給管111によって構成されている。水供給管111には、自動開閉弁112及び定流量弁113が配設されている。水供給管111の末端111aは、前記電解水送出管108に合流する。 【0080】また希釈手段110においては、水供給管111より塩酸希釈管114が分岐しており、この塩酸希釈管114には定量ポンプ115が設置され、塩酸希釈管114の末端は、前記塩酸送液管102に合流する。 【0081】尚、前記無隔膜電解槽104には塩酸タンク101及び塩酸送液管102のみが、又はこれらに加えて塩酸希釈管114のみが配設されることが望ましい。即ち、無隔膜電解槽104には、実質的に塩化ナトリウムを含有しない塩酸を通液することが好ましいのである。 【0082】電解水貯留タンク120は、電解水を一旦貯留するタンク本体120aを有しており、このタンク本体120aには、図示しない空気源からの空気管121の末端が接続されており、更に、タンク本体120aの上面には、水素排出口122が備えられている。 【0083】また、タンク本体120aには、レベル計123が設置されているが、このレベル計123は、タンク本体120aの内部の電解水のレベルをチェックするものであり検出部124を備えている。尚、電解水貯留タンク120には、電解水噴霧手段200の先端が接続される。 【0084】電解水噴霧手段200は、定量ポンプ201と電解水噴霧管202を備えており、電解水噴霧管202は、最終的に圧力ノズル(図示せず)に至る。尚、茸類の栽培施設の中には、電解水噴霧スイッチ300が備えられている。 【0085】以上、自動開閉弁112、定量ポンプ103、定量ポンプ115、無隔膜電解槽の電源107、レベル計の検出部124、及び電解水噴霧スイッチ300は、各々信号線112a、103a、115a、107a、124a、及び300aによって、コントロ−ラ−400に結線されている。 【0086】尚、コントロ−ラ−400としては、市販のシーケンサー、パーソナルコンピューター等(例えば、キーエンス社KZシリーズ、三菱電機社MELSEC[商標]、オムロン社SYSMAC[商標]等)を例示することができる。 【0087】以上の装置の作用について説明する。ピュアスター100において、塩酸タンク101には21%塩酸が貯留されており、この塩酸は、塩酸送液管102を介して定量ポンプ103によって無隔膜電解槽104に送液される。この際、塩酸希釈管114を介して定量ポンプ115によって、希釈水が送られ、無隔膜電解槽104に流入する塩酸の濃度が調節される。 【0088】無隔膜電解槽104においては、電極105及び106に電流が通電され、塩酸は電気分解され、電解水となる。電解水は、無隔膜電解槽104の排出口104aより排出され、電解水送出管108を介して電解水貯留タンク120に至る。 【0089】希釈手段110において、水の供給源110aより、水供給管111を介して水が供給されるが、この場合の水量は定流量弁113によって一定に保たれる。この水は、水供給管111を介して末端111aにおいて電解水排出管108に合流し、ここで電解水は希釈された上で、電解水貯留タンク120に送水される。 【0090】電解水貯留タンク120においては、レベル計123によって液位が検知されており、液位が所定位置よりも下がった場合は、検出部124より、信号線124aを介してコントローラー400に信号が出力され、この信号を受けて、コントローラー400が、信号線112a、103a、115a、107aを通じて、自動開閉弁112、定量ポンプ103及び115、無隔膜電解槽の電源107を稼動し、電解水を作成かつ希釈して電解水貯留タンク120に補充するのである。尚、液位が所定位置よりも上がった場合は、同様に電解水の作成を中断する。 【0091】一方、電解水貯留タンク120には、図示しない空気源からの空気管121の末端が接続されており、上部の空間には常時空気が少量供給される。供給された空気は水素排出口122よりが排出されるが、この際、タンク本体120a内部の電解水から発生した水素ガスも同伴され、水素ガスが除去される。以上の作用によって、電解水貯留タンク120においては、水素が除去された電解水が、所定の液位で貯留されているのである。 【0092】茸類の栽培施設において、電解水を噴霧する必要が生じた場合には、作業員が栽培施設内にある電解水噴霧スイッチ300をオンにする。これによって、信号線300aを介してコントローラー400にオン信号が出力される。コントローラー400は、入力されたオン信号を受けて、出力線201aを介して定量ポンプ201を稼動し、電解水貯留タンク120より電解水を電解水噴霧管202に流し、先端に設置された図示しない圧力ノズルより電解水を噴霧するのである。 【0093】尚、このような電解水製造装置は、親菌の培養の工程、茸類の発育の工程において、定時的に培地又は茸類に噴霧することに使用しても良い。この場合、コントローラー400に付属するタイマー機能を利用すれば良い。 【0094】実施例1ガラス製シャーレの底に、よう化カリウムでんぷん紙の切片(アドバンテック社製、7×70mm。)1枚を載置し、その上に、ぶなの木の粉砕品からなるおがくずを厚さ5mmになるように敷き詰め、更に敷き詰めたおがくずの上に同様の切片1枚を載せた。 【0095】市販の電解水製造装置ピュアスタ−(商標。森永エンジニアリング社製)によって、有効塩素濃度30ppm、pH6.1の電解水を製造し、園芸用噴霧器(ナショナルパナスプレーBH−568。商標。)に充填した。 【0096】この園芸用噴霧器によって、前記おがくずの上から、1平方センチメートル(cm2)あたり0.3ccの量の電解水を噴霧した。この結果、おがくずの上表面に載せた切片は、電解水の塩素と反応して青色に変色した。 【0097】ガラス製シャーレを持ち上げて、シャーレの底から内部を確認したところ、おがくずに電解水が浸透してシャーレの底に到達しており、シャーレの底に置いた切片は湿潤されていたが、全く変色はしていなかった。 【0098】この結果、培地の上から電解水を噴霧した場合、培地の表面では塩素が作用して培地が殺菌されるが、培地の内部においては、浸透した電解水は失活し、培地の内部の親菌には全く無害であることが確認された。 【0099】尚、おがくずの厚さを種々変更して反復したところ、総じておがくずの厚さが3mm以上である場合に、シャーレの底の切片の変色が完全になくなることが確認された。即ち、本発明の表面殺菌法によれば、培地の表面から3mm未満の浅い範囲までが殺菌され、3mm以上の深い範囲は殺菌されないことが判明した。 【0100】 【発明の効果】本発明の表面殺菌法によれば、培地の表面のみを効果的に殺菌でき、培地の内部の殺菌をすることがなく、作業者が特段の習熟を要することなく、誰でも簡便かつ容易に表面殺菌を実施することができる。また、本発明の茸類の栽培法によれば、培地におけるカビ・細菌類の繁殖を軽減することができ、茸類の生育歩留が向上する。また、このような容器栽培法によって栽培された茸は、茸類自体にダメージを与えるカビ・細菌類が少なくなっているため、安全性が高く、しかも衛生的であり、しかも出荷、流通の際に、カビ・細菌類が繁殖する確率も低いため、市場における不良品発生率も低い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006127 【氏名又は名称】森永乳業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】300019386 【氏名又は名称】重兼 彰夫
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| 【公開番号】 |
特開2002−335758(P2002−335758A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月26日(2002.11.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−144812(P2001−144812) |
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