| 【発明の名称】 |
植物栽培用人工培地、植物の栽培方法および植物栽培体 |
| 【発明者】 |
【氏名】國分 信孝
【氏名】竹内 浩史
【氏名】遠山 昌之
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| 【要約】 |
【課題】保水剤として、植物生長阻害が少なく、高い吸水性能を有しており、アニオン成分の中和度を下げても植物生長に好ましくない酸性に偏ることのない低コストの親水性樹脂を採用した植物栽培用人工培地の提供。
【解決手段】保水剤として、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー 60〜90重量%;B成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩) 10〜40重量%;必要に応じて、C成分:A成分、B成分と共重合可能な架橋性モノマー 5重量%以下の構成成分からなる共重合体で、さらに、共重合体の一部がアルカリ土類金属塩である親水性樹脂を含有してなる植物栽培用人工培地。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 保水剤として、親水性樹脂を含有してなる植物栽培用人工培地であって、前記親水性樹脂は、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー 60〜90重量%B成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩) 10〜40重量%必要に応じて、前記A成分とB成分に加えることに、C成分:A成分、B成分と共重合可能な架橋性モノマー 5重量%以下からなる共重合体であり、更に、前記共重合体中のカルボキシル基およびスルホン酸基の1〜50モル%がアルカリ土類金属塩であることを特徴とする植物栽培用人工培地。 【請求項2】 前記親水性樹脂は、空孔の平均孔径が0.1〜2mmの多孔質親水性樹脂の形状をとることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用人工培地。 【請求項3】 前記親水性樹脂は、A成分が(メタ)アクリルアミドであり、B成分の少なくとも一つとして使用する(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)が2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)であることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培用人工培地。 【請求項4】 前記親水性樹脂は、B成分の少なくとも一つとして、(メタ)アクリル酸のアルカリ土類金属塩を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培用人工培地。 【請求項5】 前記親水性樹脂は、B成分の中和度が10〜50%であり、なおかつ、B成分として、(メタ)アクリル酸のアルカリ土類金属塩および/または2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のアルカリ土類金属塩を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培用人工培地。 【請求項6】 前記記載のアルカリ土類金属がカルシウムである請求項4〜5記載の植物栽培用人工培地。 【請求項7】 植物を栽培する際、その栽培用培地として請求項1〜6のいずれかに記載の植物栽培用人工培地を用いることを特徴とする植物の栽培方法。 【請求項8】 請求項7に記載の植物の栽培方法により栽培された植物栽培体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガーデニング、施設園芸、建造物の緑化、組織培養等で使用される植物栽培用人工培地、ならびに、それを栽培用培地として利用し、植物を栽培する方法と栽培された植物の栽培体に関する。より具体的には、栽培用培地の主要な構成要素である保水剤として、高吸水性を示す親水性樹脂を含有してなる植物栽培用人工培地に関する。 【0002】 【従来の技術】紙おむつや生理用品における吸水部剤として、広く利用されている高吸水性樹脂の優れた保水特性に着目し、高吸水性樹脂を植物栽培に適するように改良した保水剤が提案されている。 【0003】例えば、特開平9−78050号公報には、末端がアルコキシ基、フェノキシ基、またはオキシアルキルフェニル基であるポリアルキレングリコール系(メタ)アクリレートとアニオン性単量体の架橋共重合体のアルカリ土類金属塩を含み、植物根への親和性が高く生長阻害を起こさない農園芸用保水材が記載されている。 【0004】また、特開2000−139208号公報、WO98/05196には、高吸水性樹脂に含まれるポリアクリル酸ナトリウム塩のうち、そのナトリウムイオンの一部をカルシウムイオンで置換することにより、植物生長の必須成分であるカルシウムイオンのポリマーへの吸着量を抑制できることが開示されている。かかるカルシウムイオンへの置き換え処理を施すことにより、カルシウムの枯渇に起因する植物生長阻害を抑えた植物保水用担体が開示されている。具体的には、特開2000−139208号公報では、カルシウムイオンを含む水溶液にポリアクリル酸ナトリウムを混合し、イオン交換した後、樹脂を乾燥、粉砕して、目的の粉・粒状物を得ている。 【0005】さらには、土壌保水材の形態とする目的で、固形状の多孔性基材に吸水性樹脂を含浸させた形状とすることも試みられ、例えば、特開平9−302339号公報には、多孔材の空孔部に感温吸水性ポリマーを充填した土壌保水材が開示されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来高吸水性樹脂の成分として用いられてきた、ポリアクリル酸ナトリウムは、植物の生育に必要なカルシウムイオン等の多価金属イオンを土壌中、または植物体中から吸収してしまう。そのため、植物栽培用の人工培地に使用される保水剤中に含有されるポリアクリル酸ナトリウム成分比率がある一定量を超えると、そのような人工培地では、植物の発根、生長に著しい阻害が生じることが知られており、近年その研究結果が報告されている。(「バイオサイエンスとインダストリー」、Vol. 56、No.1、p40−41、1998)これら植物生長阻害の問題点を解決するため、前記特開平9−78050号公報、あるいは特開2000−139208号公報、WO98/05196に記載されたポリマーが提案され、植物根に対する親和性を高める効果、あるいはポリアクリル酸ナトリウム成分に起因するカルシウムイオン吸収量を抑制することによる効果が認められている。 【0007】特開平9−78050号公報では、ポリアルキレングリコール系(メタ)アクリレート成分が植物根への親和性を示し、且つポリ(メタ)アクリル酸などのアニオン性ポリマー成分のアルカリ土類金属塩が、イオン架橋により水不溶ゲルを形成し、土壌からの流失が抑制されることにより、充分な保水性能が得られるものと考えられている。また、このアニオン性ポリマーのアルカリ土類金属塩が植物生長の必須成分であるカルシウムイオン等の多価金属イオンを吸着し難いこと、もしくはこれらアルカリ土類金属イオンがポリマー中から放出され、これが養分として植物体に活用されることにより、植物体に対する親和性が更に高まることが推定される。しかしながら、ポリアルキレングリコール系(メタ)アクリレート成分は比較的高価であり、これを原料とすることはコスト面から不利である。また、アニオン性ポリマーのアルカリ土類金属塩のイオン架橋によりゲルの膨潤が抑制され、最終的には吸水性能の著しい低下をも引き起こすという問題がある。 【0008】一方、特開2000−139208号公報、WO98/05196記載の如く、ポリアクリル酸ナトリウムに起因するカルシウムイオン枯渇の機構は、ポリアクリル酸ナトリウムがカルシウムイオンと交換し、カルシウムイオンに対する安定なキレートを形成することで、人工培地に含まれる水媒体中に溶解している、植物にとっても必須なミネラル成分の一つであるカルシウムイオンを吸着してしまう現象であると推定されている。従って、ポリアクリル酸ナトリウムの一部をカルシウムイオンで予め置換しておけば、カルシウムイオンの吸着を抑制できるとされている。その他、カルシウムイオンの吸着抑制効果だけではなく、カルシウムイオンで予め置換したポリマーから溶出したカルシウムイオンが、養分として活用されることも考えられる。また、カルシウムイオンで置換すると、その付随的な効果としてイオン架橋が進行し、その結果ゲルの膨潤が抑制され、最終的には吸水性能の著しい低下をも引き起こす。この好ましからざる副作用のため、カルシウムイオンでの交換量には、自ずから限界があった。加えて、ポリアクリル酸ナトリウムの中和度を下げた後、カルシウムイオンでの交換を行うと、カルシウムイオンの吸着抑制に更に有効であるとも考えられるが、中和度を下げると吸水性能が低下してしまう。その上に、中和度を下げたポリマー自体は強酸性となり、このような状態は、植物に悪影響を与える可能性も想定される。 【0009】かかる吸水性樹脂成分自体が有する課題とは別に、栽培する植物の種類によっては、葉茎に加えて、植物根においても酸素の吸収を行うものも存在するが、吸水性樹脂成分は水を吸収すると、膨潤してハイドロゲルとなるので、場合によっては、この気相と植物根との接触・流通を果たす間隙を確保することが困難となる。培地における通気性を与えるためは、例えば、特開平9−302339号公報記載の多孔材の空孔部に感温吸水性ポリマーを充填した土壌保水材のように、形状保持のための固形担体を利用する手法は有効ではあるものの、多孔材の空孔部への充填など、工業的に生産する上で、必ずしも高い再現性、効率性が期待できない工程を要するという問題を含んでいる。 【0010】本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、植物栽培用の人工培地に使用される保水剤として、従前の吸水性樹脂成分であるポリ(メタ)アクリル酸系樹脂において課題となっている、植物生長阻害を抑制し、同時に所望の吸水性能を維持することである。また、非イオン性の汎用モノマーを主要成分として使用することにより吸水性樹脂のコスト上昇を抑制し、さらに吸水性樹脂のアニオン成分の中和度を下げても吸水性樹脂が植物生長に好ましくない酸性に偏る事態が回避される新規な構成の親水性樹脂成分を採用した植物栽培用の人工培地を提供することにある。さらには、前記の新規な構成の親水性樹脂成分を用いた保水部材の形状を、それ自体、多孔質な粒状として、人工培地内における植物根と気相との接触などをも確保可能とし、特定の用途により適合する新規な植物栽培用の人工培地の提供も、本発明の目的に含まれる。 【0011】加えて、本発明が最終的に目的とするものは、前記の植物生長阻害の抑制を図り、優れた吸水性能を示す新規な構成の親水性樹脂成分を保水剤に用いる植物栽培用の人工培地を使用して、植物の良好な生育を達成する方法、すなわち、新規な植物栽培用の人工培地を使用した植物の栽培方法、ならびに、かかる方法で栽培された植物の栽培体の提供である。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、親水性樹脂の主要な構成要素として、酸性基を有していない、非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマーを用い、この非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマーに対して、(メタ)アクリル酸(塩)の一部を予めアルカリ土類金属塩としたモノマーを共重合させるか、前記(メタ)アクリル酸(塩)のモノマー群の一部を置き換える形で、(メタ)アクリル酸(塩)と比較して、有意にイオン解離性の強い(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)を、その一部を予めアルカリ土類金属塩とした前記(メタ)アクリル酸(塩)とともに共重合させるか、あるいは、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)の一部を予めアルカリ土類金属塩にしたモノマーを共重合させるか、この三つの態様の何れかの共重合体とし、この構成とすることにより、共重合体中に所望の含有率でアルカリ土類金属イオンを添加した親水性樹脂が得られ、また、この予めアルカリ土類金属イオンを添加した親水性樹脂を保水剤に用いる植物栽培用人工培地を利用すると、低コストで植物生長阻害を大幅に抑制可能な親水性樹脂が得られることを見出した。そして、これらの効果は、本発明の親水性樹脂中のアニオン性基の一部をアルカリ土類金属塩とすること、並びにイオン解離性が強く、多価金属イオンの捕捉能が比較的弱いスルホ基を該親水性樹脂中に導入することにより、植物生長の必須成分であるカルシウムイオン等の多価金属イオンの樹脂への吸着を抑制するのみならず、親水性樹脂中から溶出するアルカリ土類金属イオンが植物体に有効活用されるという知見に基づき、本発明を完成するに至った。 【0013】すなわち、本発明の植物栽培用人工培地は、保水剤として、親水性樹脂を含有してなる植物栽培用人工培地であって、前記親水性樹脂は、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー 60〜90重量%B成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩) 10〜40重量%必要に応じて、前記A成分とB成分に加えることに、C成分:A成分、B成分と共重合可能な架橋性モノマー 5重量%以下からなる共重合体であり、さらに、前記共重合体中のカルボキシル基およびスルホン酸基の1〜50モル%がアルカリ土類金属塩であることを特徴とする植物栽培用人工培地である。かかる本発明の植物栽培用人工培地において、前記親水性樹脂の形状は、空孔の平均孔径が0.1〜2mmの多孔質親水性樹脂の形状をとるものとすることができる。 【0014】また、本発明の植物栽培用人工培地に利用する前記親水性樹脂は、A成分が(メタ)アクリルアミドであり、B成分の少なくとも一つとして使用する(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)が2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)であることが好ましい。あるいは、前記親水性樹脂が、B成分の少なくとも一つとして、(メタ)アクリル酸のアルカリ土類金属塩を含有したものも、好ましいものとなる。その際、例えば、前記親水性樹脂は、B成分の中和度が10〜50%であり、なおかつ、B成分として、(メタ)アクリル酸のアルカリ土類金属塩および/または2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のアルカリ土類金属塩を含有しているものがより好ましいものとなる。 【0015】更に本発明は、上述する構成を有する本発明の植物栽培用人工培地を利用して、植物を栽培する方法も提供し、すなわち、本発明にかかる植物の栽培方法は、植物を栽培する際、その栽培用培地として、上記の本発明の植物栽培用人工培地のいずれかを用いることを特徴とする植物の栽培方法である。また、本発明にかかる植物栽培体は、前記本発明の植物の栽培方法により栽培された植物栽培体である。 【0016】 【発明の実施の形態】以下に、本発明を更に詳細に説明する。 【0017】本発明の植物栽培用人工培地において、保水剤として用いられる親水性樹脂は、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー、B成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)の二成分に加えて、必要に応じて、このA成分とB成分とで形成される共重合体主鎖間の架橋を行うC成分:A成分、B成分と共重合可能な架橋性モノマーとを、原料モノマーとする共重合体からなるものである。前記共重合体の原料モノマーであるA成分とB成分のうち、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマーが主成分であり、その含有率は、60〜90重量%の範囲とし、一方の副次成分であるB成分は、二種以上のモノマーを用いることもでき、その合計として、含有率は、40〜10重量%の範囲に選択される。なお、架橋形成に利用されるC成分の架橋性モノマーは、形成すべき架橋の程度に応じて、その含有率を適宜選択するが、多くとも、その含有率は、5重量%を超えない範囲に留める。 【0018】かかる合計3種の成分を構成要素とする親水性樹脂は、共重合体を構成するB成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)に由来するカルボキシ基ならびにスルホ基を酸性基として有している。主に、前記B成分中のカルボキシ基ならびにスルホ基の酸性基をアルカリ土類金属塩で中和することにより、共重合体内に予めアルカリ土類金属イオンを含有せしめた親水性樹脂とし、周囲の水媒体に含有されているカルシウムイオン等の多価金属イオン、あるいは、植物体(あるいは種子)が本来持っているカルシウムイオン等の多価金属イオンの親水性樹脂への吸着を抑制して、植物に対する生長阻害作用を抑制する効果を有する。加えて、親水性樹脂からイオン交換等により溶出するアルカリ土類金属イオンは、植物生育の養分として活用されることにより、植物に対する生長阻害作用を抑制する効果をも有する。 【0019】一方、保水剤として必要となる吸水性は、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマーが有するアミドに由来する親水性に加えて、それを補足するカルボキシ基ならびにスルホ基の酸性基を有するB成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)を適量加えることによって、所望とするハイドロゲルを形成できるものとなっている。なお、このような構成の共重合体主鎖間を連結する架橋が過多となると、吸水に伴う樹脂の膨潤を阻害する要因ともなるので、架橋形成に利用されるC成分:A成分、B成分と共重合可能な架橋性モノマーの含有率は、5重量%を超えない範囲に留めるている。 【0020】上記の構成の親水性樹脂は、含水ゲル状の膨潤体として保水剤に利用できるが、多孔質体の形状として、保水部材とすることもできる。その際には、多孔質体に密に形成されている空孔の平均孔径が0.1〜2mmの範囲とし、かかる空孔を利用して、気相との流通が可能となる形態とすることができる。 【0021】本発明において、上記親水性樹脂の原料モノマーの一つとして使用されるA成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロイルピペリジン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルサクシンイミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中で、特に(メタ)アクリルアミドが好適である。 【0022】このA成分の使用量は、A成分、B成分、C成分を含む原料モノマーを合計した総重量を100重量%とした際、その60〜90重量%の範囲、好ましくは70〜80重量%の範囲に選択する。A成分の使用量を90重量%以下とし、B成分の使用量が10重量%以上となるようにすることで、B成分の中和度が低くても親水性樹脂を植物への悪影響がない程度の弱酸性から中性に保つことができ、同時に養分中に含まれる塩類による吸水性能の低下を抑制することができる。一方、A成分の使用量を60重量%以上とし、B成分の使用量が40重量%を超えない範囲とすることで、充分な吸水性能・保水性能を確保することができる。 【0023】本発明において、上記親水性樹脂の原料モノマーの一つとして使用されるB成分に関しては、先ず、(メタ)アクリル酸(塩)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどである。一方、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)としては、例えば、(メタ)アクリルアミドメタンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、これら各々に対応するナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが、それぞれ代表例として挙げられる。これらの中でも、特に、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カルシウムが好適である。B成分は、これら(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)をそれぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用して使用してもよい。さらには、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)をそれぞれ単独で使用する際に、二種類以上の化合物を併用して使用してもよい。 【0024】このB成分の使用量は、複数種を使用する際には、その合計量として、A成分、B成分、C成分を含む原料モノマーを合計した総重量を100重量%とした際、その10〜40重量%の範囲、好ましくは20〜30重量%の範囲に選択する。A成分の使用量を90重量%以下とし、B成分の使用量が10重量%以上となるようにすることで、B成分の中和度が低くても親水性樹脂を植物への悪影響がない程度の弱酸性から中性に保つことができ、同時に、養分中に含まれる塩類による吸水性能の低下を抑制することができる。一方、A成分の使用量を60重量%以上とし、B成分の使用量が40重量%を超えない範囲とすることで、充分な吸水能力・保水性能を確保することができる。 【0025】本発明において、上記親水性樹脂の架橋に使用されるC成分:A、B成分と共重合可能な架橋性モノマーとしては、二官能以上のラジカル重合性基を有する単量体ならば特に限定はないが、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、特に、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドが好適である。C成分の使用量は、A成分、B成分、C成分を含む原料モノマーを合計した総重量を100重量%とした際、5重量%以下に留め、好ましくは1重量%以下に選択する。C成分の使用量を5重量%以下とすることで、過度な架橋を有する樹脂とならず、吸水に伴う膨潤の妨げとはならないため、所望の吸水性能が維持される。 【0026】親水性樹脂の共重合体は、その一部をアルカリ土類金属塩とするが、なかでも、カルシウムを主に用いることが好ましい。より具体的には、B成分の(メタ)アクリル酸(塩)あるいは(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)は、部分的にアルカリ土類金属塩に変換され、より好ましくは、B成分の中和度が10〜50%の範囲となるように、アルカリ土類金属塩、特にはカルシウム塩に変換されたものとする。なお、少なくとも、共重合体中に存在するカルボキシル基およびスルホン酸基について、その1〜50モル%をアルカリ土類金属塩とする。 【0027】好ましくは、A成分およびB成分、必要に応じて適量を加えるC成分とからなる共重合体に対して、カルシウムイオンを共重合体1g当たり、総カルシウム含有量を、1〜50mgの範囲に、好ましくは5〜30mgの範囲となるように予め付加させる。このカルシウムイオンは、前記B成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)の一部をカルシウム塩として、原料モノマーに用いることで含有させることが好ましい。なお、カルシウム含有量は、B成分の含有率に応じて、特に、B成分として用いる(メタ)アクリル酸(塩)の含有率に応じて、好ましくは、これらB成分の個々の含有率に比例するように、前記の範囲内で増減させることができる。B成分の含有率、特に、B成分として用いる(メタ)アクリル酸(塩)の含有率にもよるが、カルシウムの含有量が、共重合体1g当たり1mg未満となると、親水性樹脂によるカルシウムの吸着が十分に抑制できない場合も生じる。従って、カルシウムの枯渇に起因する植物生長阻害を効果的にの抑制することができない。一方、カルシウムの含有量が、共重合体1g当たり50mgを超えると、隣接するポリマー鎖のB成分に由来する(メタ)アクリル酸同士の間でイオン架橋が増大し、その結果、吸水に伴う膨潤の妨げとなる場合がある。カルシウムの含有量が前記の範囲を超えて増加すると、過度なイオン架橋により本来の優れた吸水性能が著しく低下するので、前記含有量範囲内に留めることが好ましい。 【0028】本発明において、親水性樹脂は、上記するA、B、C成分を、それぞれ記載する含有率範囲で含む共重合体であるが、得られる親水性樹脂の性能を損なわない範囲で、A、B、C成分以外の他のモノマー成分をも、少量含有する共重合体とすることも可能である。なお、その際、前記A、B、C成分はその含有率範囲となるように選択し、カルシウムの含有量は、得られる共重合体全体に対して、前記の比率範囲となるように選択する。このA、B、C成分と共重合可能な他のモノマーとしては、ラジカル重合性基を有していれば特に限定はないが、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル・メチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル・ベンジルクロライド塩などのカチオン性(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド・メチルクロライド塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド・ベンジルクロライド塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド・ジメチル硫酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド・ジエチル硫酸塩などのカチオン性(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニル系水溶性モノマー等が挙げられる。 【0029】本発明において、前記の構成を有する親水性樹脂は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合等の公知の重合法で製造することができるが、脱イオン水などの水性媒体中での溶液重合が特に好適である。使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過酸化物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノブタン)2塩酸塩などのアゾ系重合開始剤が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、単独もしくは二種類以上の混合物として使用することができる。また、前記過酸化物に、第三級アミン、亜硫酸塩、第1鉄塩などの還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤、さらには、レドックス系重合開始剤とアゾ系重合開始剤を組み合わせた併用重合開始剤を使用してもよい。 【0030】なお、本発明で用いる親水性樹脂は、多孔質体とすることもできる。その際、多孔質化の処理に利用される手法には、モノマーの重合工程で発泡剤、界面活性剤等を添加し、モノマ−溶液を発泡させると同時に重合、ゲル化を行い多孔質体とする方法、公知の重合法で得られた親水性樹脂を溶融発泡成型し多孔質化する方法などが挙げられる。 【0031】本発明の植物栽培用人工培地において、多孔質親水性樹脂を保水剤として用いられる場合、その空孔の平均孔径が0.1〜2mmのもの、好ましくは0.3〜1mmの平均孔径のものを用いるとよい。この平均孔径が大きいほど、人工培地内での、植物根の呼吸に有利であり、小さいほど多孔質体の強度は高くなる。ここで平均孔径とは、乾燥状態の多孔質体を約1mmの薄さにスライスしたものの断面を顕微鏡写真に撮影し、面内から無作為に取り出した50個の空孔について、その直径を測定し、その平均値を意味する。 【0032】多孔質親水性樹脂とする際には、非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩)の架橋共重合体を多孔質化処理して、その空孔の平均孔径を前記の範囲に選択すると、植物の生育に充分な保水力と、植物根の呼吸に必要な空隙(気相)を有し、同時に、植物の自重を支持できる強度も保持することがでる。従って、植物根の呼吸にも配慮する必要のある植物に対して、その生長を阻害しない植物栽培用人工培地により適するものとなる。 【0033】本発明の植物栽培用人工培地には、保水剤として利用する前記の親水性樹脂以外に、植物栽培用培地の形態に応じて、汎用される成分が含まれてもい。この汎用される成分としては、例えば、土壌、土壌改良材などが挙げられる。土壌改良材としては、例えば、パーライト、バーミキュライト、ゼオライト、酸性白土、珪藻土、カオリン、ロックウールなどの無機鉱物、ピートモス、ウレタンフォーム、ヤシ殻、クリプトモスなどの有機素材等、植物栽培で通常使用されるものが挙げられる。 【0034】本発明の植物栽培用人工培地は、実際に植物栽培に適用する際には、各植物に応じて、適正な水分を含む形態で使用される。従って、本発明の植物栽培用人工培地は、所望量の水媒体として、植物の生育に必要な成分を含む水溶液を含んでいてもよい。このような植物栽培用人工培地は、親水性樹脂に植物の生育に必要な成分を含む水溶液を吸収させて調製することができる。 【0035】植物の生育に必要な成分としては、窒素、リン、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛など、必須元素等が挙げられる。これらの元素源としては、これらの元素を含む有機または無機塩類が通常用いられる。鉄、銅、マンガン、亜鉛は、窒素、リン、カリウム、カルシウムに比べて、その含有量は微量でよい。 【0036】また、本発明の植物栽培用人工培地では、上記の植物の生育に必要な成分を含む水溶液に、更に植物の生長を調節するホルモン剤や農薬などを含ませることもできる。 【0037】本発明の植物栽培用人工培地を用いて植物を栽培する方法としては、例えば、水または植物の生長に必要な成分等を含んだ水溶液を吸水性樹脂に吸収させた後、植物の種子もしくは苗、あるいは植物の一部(茎など)を接種するなどの方法が挙げられる。また、植物片を無菌的条件下で培養することも、植物の栽培の一形態であり、その際にも、本発明の植物栽培用人工培地を利用できる。また、水または植物の生長に必要な成分などを含ませた親水性樹脂と、土壌および/または土壌改良材とを任意の比率で混合して調製される植物栽培用人工培地に播種するか、もしくは苗または植物の一部を植えるといった方法が挙げられる。 【0038】本発明の植物の栽培方法を適用することが可能な植物は、上で説明した本発明の植物栽培用人工培地が利用できる環境下において、露地栽培ないし施設内栽培が可能な植物であれば特に限定されない。従って、本発明の植物の栽培体は、前記の本発明の植物の栽培方法を適用することが可能な植物について、植物栽培用人工培地に播種するか、もしくは苗または植物の一部を植えるといった方法で、本発明の植物栽培用人工培地に移し、所望の栽培段階に達するまで、栽培・生育させた植物の栽培体である。 【0039】 【実施例】以下、実施例などの具体例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。下記する実施例は、何れも本発明の最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により、限定を受けるものではない。 【0040】(吸水倍率測定法)吸水倍率は親水性樹脂0.2gを不織布製袋に封入し、1L容ビーカー中の脱イオン水に24時間浸漬した後、充分に水切りして重量を測定した。また別に、親水性樹脂の入っていない不織布製袋を上記方法によって測定し、これをブランクとした。このようにして得られた親水性樹脂0.2gを封入した不織布製袋試料に対する吸水処理後の測定値から、親水性樹脂を封入していない不織布製袋試料に対する吸水処理後のブランク値を差し引き、親水性樹脂 1g当たりの重量変化倍率に換算した値を吸水倍率とした。この数値が大きいほど、高吸水性であることを示す。 【0041】吸水倍率(g/g)=(吸水膨潤した親水性樹脂を含む不織布製袋の質量−ブランクの不織布製袋の質量)/0.2(親水性樹脂中のカルシウム量測定法)親水性樹脂0.2gを白金るつぼに秤量し、700℃の電気炉で灰化した後、残渣を5mLの1N−塩酸に溶解し、脱イオン水を加えて50mLに定容し、原子吸光スペクトル分析装置(パーキンエルマージャパン社製、商品名:GFAAS−SIMMA6000)によりカルシウムイオン含有量を測定した。 【0042】(植物栽培用人工培地の性能評価)親水性樹脂を脱イオン水で膨潤させて調製した培地に供試植物であるカイワレ大根を播種し、NK式人工気象器((株)日本医化器械製作所製)により温度:25℃、相対湿度:70%RH、照明点灯時間:16時間の評価条件で7日間発芽、生育試験を行い、植物体の生育状態を10段階(1:不良〜10:良好)で評価することにより行った。 【0043】<製造例1−1>1L容ビーカーに、50wt%アクリルアミド水溶液(三菱レイヨン社製)224g、アクリル酸(三菱化学社製)48g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(日東理研工業社製)0.8g、脱イオン水300gを秤り取った。これを攪拌しながら、水酸化カルシウム2.5g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液14gを添加して溶解し(アクリル酸中和度21%)、更に全量が800gとなるように脱イオン水を加えてモノマー水溶液を調製した(モノマー濃度20wt%)。 【0044】このモノマー水溶液を冷浴で15℃まで冷却し、温度センサー、窒素導入管を備えた1L容のデュワー瓶にモノマー水溶液を移した後、1時間窒素バブリングを行った。このモノマー水溶液に、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(V−50、和光純薬工業社製)の10wt%水溶液4.0mL、過硫酸アンモニウム(関東化学社製、以下APSと略す)の10wt%水溶液1.6mL、L−アスコルビン酸(和光純薬工業社製)の10wt%水溶液0.8mLを添加すると直ちに重合が開始し、約40分間で72℃に到達した。更に3時間熟成した後、得られたポリマー(含水ゲル状)を取り出し、ミートチョッパーで解砕し、80℃で22時間乾燥させ粉砕し、親水性樹脂:HP−1を得た。 【0045】<製造例1−2>製造例1−1におけるモノマー水溶液の調製に用いた水酸化カルシウム2.5gに代えて、水酸化カルシウム7.4gを用いて(アクリル酸中和度 45%)モノマー水溶液の調製をおこなった点以外は、製造例1−1に記載と同様な操作を行い、親水性樹脂:HP−2を得た。 【0046】<製造例1−3>製造例1−1において、原料のうち、架橋性モノマーのN,N’−メチレンビスアクリルアミドを使用しない以外は、同様な操作を行い、架橋鎖のない親水性樹脂:HP−3を得た。 【0047】<製造例1−4>製造例1−3と同様に、原料のうち、架橋性モノマーのN,N’−メチレンビスアクリルアミドを使用せず、一方、モノマー水溶液の調製に用いた水酸化カルシウム2.5gに代えて、水酸化カルシウム7.4gを用いて(アクリル酸中和度 45%)モノマー水溶液の調製をおこなった点以外は、製造例1−1と同様な操作を行い、製造例1−3と同様に架橋鎖のない親水性樹脂:HP−4を得た。 【0048】<製造例1−5>製造例1−1において、アクリル酸の代わりに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(日東理研工業社製)を使用し、それに併せて、水酸化カルシウム2.5g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液14gを、それぞれ水酸化カルシウム0.86g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液6.6gの添加に変更して、モノマー水溶液の調製をおこなった。この変更点以外は、製造例1−1の記載と同様の操作を行い、親水性樹脂:HP−5を得た。 【0049】<製造例1−6>製造例1−5に示す条件のうち、水酸化カルシウム0.86gを、水酸化カルシウム2.6gの添加に変更した以外は、製造例1−5と同様の操作を行い、親水性樹脂:HP−6を得た。 【0050】<製造例1−7>製造例1−5に示す条件のうち、原料のうち、架橋性モノマーのN,N’−メチレンビスアクリルアミドを使用しないという変更点以外は、製造例1−5と同様な操作を行い、架橋鎖のない親水性樹脂:HP−7を得た。 【0051】<製造例1−8>製造例7において、水酸化カルシウム2.6gを用いた以外は同様の操作を行い、親水性樹脂:HP−8を得た。 【0052】<比較製造例1−1>製造例1−1の重合を行う際に、水酸化カルシウム2.5g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液14gに代えて、20wt%水酸化ナトリウム水溶液125gを用いて(中和度94%)モノマー水溶液を調製する以外は、製造例1−1と同様な操作を行い、中和度が高く、カルシウムを含有していないポリマー:P−1を得た。 【0053】<比較製造例1−2>製造例1−3の重合を行う際に、水酸化カルシウム2.5g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液14gに代えて、20wt%水酸化ナトリウム水溶液125gを用いて(中和度94%)モノマー水溶液を調製する以外は、製造例1−3と同様な操作を行い、中和度が高く、カルシウムを含有してなく、架橋鎖のないポリマー:P−2を得た。 【0054】<比較製造例1−3>製造例1−5の重合を行う際に、水酸化カルシウム0.86g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液6.6gに代えて、20wt%水酸化ナトリウム水溶液44gを用いて(中和度96%)モノマー水溶液を調製する以外は、製造例1−5と同様な操作を行い、中和度が高く、カルシウムを含有していないポリマー:P−3を得た。 【0055】<比較製造例1−4>製造例1−7の重合を行う際に、水酸化カルシウム0.86g、20wt%水酸化ナトリウム水溶液6.6gに代えて、20wt%水酸化ナトリウム水溶液44gを用いて(中和度96%)モノマー水溶液を調製する以外は、製造例1−7と同様な操作を行い、中和度が高く、カルシウムを含有してなく、架橋鎖のないポリマー:P−4を得た。 【0056】上記で得た樹脂サンプルHP−1〜8、P−1〜4、更に、市販の樹脂サンプルとして、ポリアクリル酸塩系高吸水性ポリマー;三菱化学社製、商品名:アクアパール:SAP−1、および日本触媒社製、商品名:アクアリックCA:SAP−2の合計14樹脂サンプルについて、その吸水倍率測定、ポリマー中のカルシウム量測定をおこなった。また、各樹脂サンプルを保水剤として用いた人工培地における、カイワレ大根の発芽、生育試験を行った。 【0057】以下の表1に、吸水倍率およびポリマー中のカルシウム含有量の分析結果を示す。 【0058】 【表1】
【0059】<実施例1−1>製造例1−1で得られた親水性樹脂:HP−1 0.1gを100mL試験管に秤り取り、脱イオン水を添加し、厚さ約5cmになるまで膨潤させ、培地を調製した。この培地にカイワレ大根を5粒播種し、NK式人工気象器(日本医化器械製作所社製)により、温度:25℃、相対湿度:70%RH、照明点灯時間:16時間の評価条件で7日間カイワレ大根の発芽、生育試験を行い、植物体の生育状態から10段階(1:不良〜10:良好)で評価した。 【0060】<実施例1−2〜1−8、比較例1−1〜1−6>実施例1−1と同様の評価方法で、親水性樹脂:HP−2〜HP−8、ポリマー:P−1〜P−4、ならびに市販のポリマー:アクアパール:SAP−1とアクアリックCA:SAP−2に関して、それぞれ、各樹脂サンプルを保水剤として用いた人工培地における、カイワレ大根の発芽、生育試験を行った。 【0061】以下の表2に、カイワレ大根の発芽、生育試験の結果を示す。 【0062】 【表2】
【0063】製造例1−1〜1−8で得られた親水性樹脂:HP−1〜HP−8(実施例1−1〜1−8)は、比較製造例1−1〜1−4で得られたポリマー:P−1〜P−4(比較例1−1〜1−4)、ならびに市販のポリマー:アクアパール(SAP−1:比較例1−5)とアクアリックCA(SAP−2:比較例1−6)と比較して、それを保水剤として用いた人工培地におけるカイワレ大根の発芽、生育状態は、地上部、根部ともにより高い生長が得られ、良好であった。また、比較製造例1−1〜1−4で得られたポリマー:P−1〜P−4および市販のポリマー:アクアパール(SAP−1)とアクアリックCA(SAP−2)では、生長が遅く、生長阻害が発生しており、さらには一部では枯死が生じていた。 【0064】本発明に従って、これら実施例1−1〜1−8において調製された人工培地では、十分な保水性を示すとともに、カルシウムイオンの吸着の抑制がなされている利点のため、上記の試験結果にも示されるように、良好な植物の生育状態が維持されていると判断される。 【0065】加えて、多孔質親水性樹脂をも作製し、以下の評価を行った。 【0066】(多孔質親水性樹脂中のカルシウム量測定法)多孔質親水性樹脂0.2gを白金るつぼに秤量し、700℃の電気炉で灰化した後、これを5mlの1N−塩酸に溶解し純水を加えて50mlに定容し、原子吸光スペクトル分析装置(パーキンエルマージャパン製、GFAAS−SIMMA6000)によりカルシウムイオン含有量を測定した。 【0067】(植物栽培用人工培地の性能評価)植物栽培用人工培地の性能は、NK式人工気象器(日本医化器械製作所社製)により、温度:25℃、相対湿度:70%RH、照明時間16時間の評価条件で7日間供試植物であるカイワレダイコンの発芽・生育試験を行い、植物体の生育状態から10段階(1:不良〜10:良好)で評価した。 【0068】<製造例2−1>温度センサー、窒素導入管、攪拌子、マグネチックスターラーを備えた3L容の4つ口セパラブルフラスコに50wt%アクリルアミド水溶液(三菱レイヨン社製)280g、アクリル酸(三菱化学社製)60g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(日東理研工業社製)1g、純水500gを秤り取った。これを攪拌しながら、水酸化カルシウム3.1g、水酸化ナトリウム3.3gを添加して溶解して、モノマー溶液(これをa液とする)を調製し、30分間窒素バブリングを行った。他方、200ml容ビーカーに炭酸水素ナトリウム6g、純水100gを秤り取り、攪拌溶解して30分間窒素バブリングを行うことにより、発泡剤溶液(これをb液とする)を調製した。 【0069】窒素雰囲気下で、a液を攪拌しながらポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(花王社製、レオドールTW−O106)10gをフラスコ側管より添加し、次いで2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(V−50、和光純薬工業社製)の10%水溶液3ml、過硫酸アンモニウム(関東化学社製)の1%水溶液2mlを添加した。一方、b液にアスコルビン酸(和光純薬工業社製)の1%水溶液1ml添加し、この混合液をセパラブルフラスコ側管から重合開始剤を含むa液に添加した。発泡と同時に室温下で重合が開始し、気泡を内包しながらゲル化が進行し、30分で78℃に到達した。2時間放置後ゲルを取り出し、約5mm角に裁断した後、80℃で20時間乾燥させ、多孔質親水性樹脂:PHP−1(平均孔径:0.5mm、カルシウムイオン含有量6.9mg/g)を得た。 【0070】<製造例2−2>製造例2−1において、a液に添加する水酸化カルシウム3.1gに代えて、水酸化カルシウム9.3gを使用した以外は、製造例2−1と全く同様の操作手順で多孔質親水性樹脂:PHP−2(平均孔径:0.7mm、カルシウムイオン含有量21.2mg/g)を得た。 【0071】<製造例2−3>製造例2−1において、a液の調製に用いたアクリル酸60gの代わりに、アクリル酸40g、2-アクリルアミド-2−メチルプロパンスルホン酸(三菱レイヨン社製)20gを使用し、更に、水酸化カルシウム3.1g、水酸化ナトリウム3.3gに代えて、水酸化カルシウム2.4g、水酸化ナトリウム2.6gを使用した以外は、製造例2−1と同様の操作手順で多孔質親水性樹脂:PHP−3(平均孔径:0.6mm、カルシウムイオン含有量5.1mg/g)を得た。 【0072】<製造例2−4>製造例2−3の条件おいて、水酸化カルシウム2.4gを、水酸化カルシウム7.2gの添加に変更した点以外は、製造例2−3と全く同様の操作手順で多孔質親水性樹脂:PHP−4(平均孔径:0.7mm、カルシウムイオン含有量15.3 mg/g)を得た。 【0073】<製造例2−5>製造例2−1において、2-アクリルアミド-2−メチルプロパンスルホン酸の代わりに、N,N−ジメチルアクリルアミド(興人社製)を使用した以外は、製造例2−1と全く同様の操作手順で多孔質親水性樹脂:PHP−5(平均孔径:0.6mm、カルシウムイオン含有量5.2mg/g)を得た。 【0074】<製造例2−6>製造例2−5の条件において、水酸化カルシウム3.1gを、水酸化カルシウム7.2gの添加に変更した以外は、製造例2−5と全く同様の操作手順で多孔質親水性樹脂:PHP−6(平均孔径:0.8mm、カルシウムイオン含有量14.9mg/g)を得た。 【0075】<比較製造例2−1>1L容ビーカーに、50wt%アクリルアミド水溶液224g、アクリル酸48g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.8g、純水300gを秤り取った。これを攪拌しながら、25wt%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH5.0に調製し、更に全量が800gとなるように純水を加えてモノマー水溶液を調製した。このモノマー水溶液を冷浴で15℃まで冷却し、温度センサー、窒素導入管を備えたデュワー瓶にモノマー水溶液を移した後、1時間窒素バブリングを行った。このモノマー水溶液に、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(V−50、和光純薬工業社製)の10%水溶液4.0mL、過硫酸アンモニウム(関東化学社製、以下APSと略す)の10wt%水溶液1.6mL、L−アスコルビン酸(和光純薬工業社製)の10wt%水溶液0.8mLを添加すると直ちに重合が開始し、約50分間で72℃に到達した。更に3時間熟成した後、得られたポリマー(含水ゲル状)を取り出し、ミートチョッパーで解砕し、80℃で20時間乾燥させ、粉砕し、粒径が40〜90μmのカルシウムを含有せず、多孔質化処理を施してない吸水性樹脂:AP−1を得た。 【0076】<比較製造例2−2>比較製造例2−1において、アクリル酸48gの代わりに、アクリル酸32g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸16gを使用した他は、比較製造例2−1と同様の操作で、粒径が30〜100μmのカルシウムを含有せず、多孔質化処理を施してない吸水性樹脂:AP−2を得た。 【0077】<比較製造例2−3>比較製造例2−2の条件において、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の代わりに、N,N−ジメチルアクリルアミドを使用した他は、比較製造例2−2と全く同様の操作で、粒径20〜70μmのカルシウムを含有せず、多孔質化処理を施してない吸水性樹脂:AP−3を得た。 【0078】<実施例2−1>実施例2−1では、製造例2−1で得られた多孔質親水性樹脂:PH−1を100mlの試験管に入れて蒸留水を加え、厚さが約5cmとなるまで膨潤させてハイドロゲルを形成することにより、人工培地を調製した。この人工培地にカイワレダイコンを5粒播種し生育試験を行った。 【0079】<実施例2−2〜2−6>製造例2−2〜2−6で得られた多孔質親水性樹脂:PH−2〜PH−6についても、実施例2−1と同様の手順で、人工培地を調製し、各人工培地におけるカイワレダイコンの生育試験を行った。表3に、実施例2−1〜2−6の生育試験の結果を併せて示す。 【0080】<比較例2−1>比較製造例2−1で得られた吸水性樹脂:AP−1についても、実施例2−1と同様の手順で、人工培地を調製し、その人工培地におけるカイワレダイコンの生育試験を行った。 【0081】<比較例2−2〜2−5>比較製造例2−2、2−3で得られた吸水性樹脂:AP−2、AP−3、さらには、市販のポリアクリル酸系高吸水性ポリマー:SAP−1(日本触媒社製アクアリック)、SAP−2(三菱化学社製アクアバール)に関しても、実施例2−1と同様の手順で、人工培地を調製し、その人工培地におけるカイワレダイコンの生育試験を行った。表3に、比較例2−2〜2−5の生育試験の結果を併せて示す。 【0082】 【表3】
【0083】本発明に従って、これら実施例2−1〜2−6において調製された人工培地では、十分な保水性を示すとともに、カルシウムイオンの吸着の抑制がなされている利点のため、上記の試験結果にも示されるように、良好な植物の生育状態が維持されていると判断される。加えて、これら実施例2−1〜2−6において調製された人工培地では、多孔質親水性樹脂の形態としたことで、植物の生育に充分な保水力と植物根の呼吸に必要な空隙(気相)の確保が同時に達成でき、その効果も、かかる地下部においても良好な生育状態が維持されているに貢献していると判断される。 【0084】 【発明の効果】本発明の植物栽培用人工培地は、保水剤として、A成分:非イオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー 60〜90重量%;B成分:(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(塩) 10〜40重量%;必要に応じて、C成分:A成分、B成分と共重合可能な架橋性モノマー 5重量%以下の構成成分からなる共重合体からなり、その一部がアルカリ土類金属塩である親水性樹脂を利用しているので、充分な吸水倍率を有し、植物の生育に必要なカルシウムイオン等の多価金属イオンの親水性樹脂への吸着を抑制することで植物生長阻害を抑制し、良好な植物の栽培・生育状態を達成できる。特に、かかる親水性樹脂を、多孔質親水性樹脂の形態とすると、植物の生育に充分な保水力と植物根の呼吸に必要な空隙(気相)を有し、さらには、植物の自重を支持できる強度の保持もでき、植物の生長を阻害しない多孔質性の親水性樹脂を含有する植物栽培用人工培地とすることができる。更には、本発明の人工培地を用いて植物を栽培することにより、優れた生育環境を提供することができるので、植物の生産性を向上させ、有用植物の生産コストを低減をすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006035 【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月16日(2001.5.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088328 【弁理士】 【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−335754(P2002−335754A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月26日(2002.11.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−146505(P2001−146505) |
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