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【発明の名称】 農園芸ハウス用遮光資材
【発明者】 【氏名】井上 智季

【要約】 【課題】軽量、高強度で、ほぼ100%の遮光性を備えるとともに太陽光を吸熱することによる温度上昇を抑えた農園芸ハウス用遮光資材を提供すること。

【解決手段】ポリオレフィンからなるフラットヤーンを経緯糸に用いて織成した基布2の少なくとも片面に光吸収性顔料を含有するポリオレフィンラミネート層3を設け、該ラミネート層上に光反射性顔料を含有する印刷層4を設けてなる農園芸ハウス用遮光資材1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリオレフィンからなるフラットヤーンを経緯糸に用いて織成した基布の少なくとも片面に光吸収性顔料を含有するポリオレフィンラミネート層を設け、該ラミネート層上に光反射性顔料を含有する印刷層を設けてなる農園芸ハウス用遮光資材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、花卉類の短日処理栽培におけるほぼ100%の遮光率を要求される栽培法に使用される農園芸ハウス用遮光資材に関するものである。
【0002】
【従来技術】電照菊、ポインセチア、ベゴニアなどの花卉類の短日処理栽培は、栽培ハウスの内側あるいは外側に遮光資材を張り巡らし日照時間を調整して開花時期を調整する栽培方法で、採花時期を自由に調整して高付加価値化を計ったり長期間の継続採花を可能とするものである。
【0003】このような栽培ハウスに用いられる遮光資材としてはほぼ100%の遮光率が要求され、一般的にはカーボンブラックで黒く着色したり、アルミニウム粉末でシルバーに着色されたポリ塩化ビニルフィルムやポリエチレンフィルムなどが用いられている。このように顔料を練り込んでほぼ遮光率99%であるシートをほぼ遮光率100%にするためには遮光性能をかなり向上させねばならず、シート厚みが増し、その結果重量増となって取扱い性が悪くなり作業者の作業の負担となるなどの問題があった。また、暗色の顔料を練り込んだシートは太陽光を吸収して蓄熱し、夜間などに再放熱することによりハウス内の温度を上昇させて農作物の品質の低下の原因となるなどの問題があった。
【0004】また、他の遮光資材としてアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムなども使用されるが、アルミニウム箔は折畳みなどに不適でハウス用には使用が困難であり、アルミニウム蒸着フィルムは遮光率をほぼ100%に向上させるためには蒸着膜の膜厚を相当に厚くする必要があり製造コストが嵩むという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、軽量、高強度で、ほぼ100%の遮光性を備えるとともに太陽光を吸熱することによる温度上昇を抑えた農園芸ハウス用遮光資材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の農園芸ハウス用遮光資材は、ポリオレフィンからなるフラットヤーンを経緯糸に用いて織成した基布の少なくとも片面に光吸収性顔料を含有するポリオレフィンラミネート層を設け、該ラミネート層上に光反射性顔料を含有する印刷層を設けてなる構成からなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明する。本発明におけるポリオレフィンからなるフラットヤーンとは、延伸効果を有する結晶性のポリオレフィンを用いて、公知のフラットヤーン製造方法により形成するものである。上記結晶性のポリオレフィンとしては、具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン。プロピレンーエチレンブロック共重合体などが挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いてもよい。上記ポリオレフィンのメルトフローレート(以下、MFRと略す)は、好ましくは0.1〜20g/10min.、より好ましくは0.2〜10g/10min.である。
【0008】フラットヤーンを形成する方法は、まずポリオレフィンを押出機にて溶融混練し、インフレーション法またはTダイ法にてフィルムを成形する。冷却固化したフィルムを約5〜20mm幅にスリットした後延伸し、次いで熱処理してフラットヤーンを形成する。延伸処理はポリオレフィンの融点以下、軟化点以上の温度下に行われるが、加熱方式としては、熱ロール式、熱板式、赤外線式、熱風式等いずれの方式も採用でき、これらの内では熱ロール式が延伸効率、高速生産性、安定性の上で好ましい。スリットされたポリオレフィンフィルムは加熱され、前後ロールの周速度差により延伸を行う。延伸倍率は好ましくは3〜15倍、より好ましくは5〜10倍である。上記フラットヤーンの単糸繊度は、好ましくは100〜3000デシテクス(以下、dtと略す)、より好ましくは400〜2000dtである。
【0009】こうして得られたポリオレフィンフラットヤーンを経緯糸に用いて織成して基布を形成する。基布の目付量は、50〜300g/mが好ましく、70〜150g/mがより好ましい。
【0010】上記基布の少なくとも片面に光吸収性顔料を含有するポリオレフィンラミネート層を積層したラミネートシートを形成する。上記ポリオレフィンラミネート層に用いられるポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、プロピレンーエチレンランダム共重合体、プロピレンーエチレンブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。上記ポリオレフィンのMFRは、好ましくは1〜50g/10min.、より好ましくは5〜30g/10min.である。
【0011】上記光吸収性顔料としては、具体的にはカーボンブラック、酸化コバルト、酸化銅などの黒色系顔料、コバルトブルーなどの青色系顔料、酸化クロムなどの緑色系顔料等である。これらのうちではカーボンブラックが好適に用いられる。これらの光吸収性顔料の配合量は好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0012】上記ラミネートシートには、耐候性を向上させるためにヒンダードアミン系光安定剤または紫外線吸収剤を配合するのが好ましい。
【0013】上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサンと2,4-ジクロロ-6-第3オクチルアミノ-s-トリアジンの重縮合物等が挙げられる。光安定剤の配合割合はポリオレフィンに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜1重量%がより好ましい。
【0014】上記紫外線吸収剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5′-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2′-ヒドロキシ -5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′-t-ブチル-5′-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2′-メチレンビス(4-t-オクチル-6-ベンゾトリアゾル)フェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3′-5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3-5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の配合割合はポリオレフィンに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜1重量%がより好ましい。
【0015】前記基布にポリオレフィンラミネート層を設ける方法としては、公知の押出ラミネート法が用いられる。ラミネート層の厚みは30〜100μmが好ましい。
【0016】つぎに本発明においては、上記ポリオレフィンラミネート層上に光反射性顔料を含有する印刷インキによる連続した印刷層を設ける。印刷インキとしては、公知のバインダー樹脂をビヒクルとし、光反射性顔料を加え、さらに所定の助剤などを添加した後希釈剤等で調整して生成することができる。ここで、光反射性顔料としては、具体的には酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛などの白色系顔料、アルミニウム粉末などの銀色系顔料などである。これらのうちではアルミニウム粉末が好適に用いられる。
【0017】上記印刷層を設ける方法としては、上記ラミネート層上に、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の通常の印刷方式で連続する印刷層を形成することができる。これらのうちではグラビア印刷が好ましい。印刷膜の膜厚としては、0.5〜20g/mが好ましく、1.0〜10g/mがより好ましい。本発明においては、上記のような連続する印刷層により太陽光を反射して、シートが太陽熱を吸収することによりハウス内の温度上昇を起こすことなく遮光性を付与する効果を奏するものである。
【0018】このようにして得られた農園芸ハウス用遮光資材は、JISL1055により測定した初期照度150,000Lxに対して光透過照度が10Lx以下であるのが好ましい。上記光透過照度が10Lxを超えると短日処理栽培の遮光効果が低下して好ましくない。
【0019】本発明に用いられるポリオレフィンには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。
【0020】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、光吸収性顔料を含有するラミネート層上に光反射性顔料を含有する印刷層を設けることにより、印刷層による光反射効果と印刷層を透過した光をラミネート層で吸収する二重の効果によりほぼ100%の遮光率を備えたシートである。光反射層による太陽光の反射よりラミネート層に対する太陽光の吸熱は軽減されるため、夜間再放熱による温度上昇が少なくなり自然の夜間の状態に近似した状態を保持することができ、その結果農作物の品質を低下させることのないという実質的な効果を奏するものである。さらに軽量で高強力で、かつ柔軟性を備えているためにハウスの開閉作業においても良好な収束性のために作業員の負担を軽減する効果を有するという短日処理栽培に好適に用いられる農園芸ハウス用遮光資材を提供することができる。
【0021】
【実施例】実施例1:高密度ポリエチレン(MFR=1.0g/10min.、密度=0.956g/cm)を用いて、押出機を用いてインフレーション法を用いてフィルムを形成した。このフィルムを15mm幅にスリットし、ついで熱ロール法で延伸倍率9倍で延伸して繊度1000dtのフラットヤーンを得た。このフラットヤーンを用いて、縦横10×10本/2.54cmの打込密度で、平織の織布からなる基布2を形成した。
【0022】上記基布2の両面に、低密度ポリエチレン(MFR=8.0g/10min.、密度=0.918g/cm)に光吸収性顔料のカーボンブラック4重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:キマソーブ944)0.3重量%を含有した厚さ40μmのラミネート層3を押出ラミネート法で設けた。
【0023】ついで、上記ラミネート層3の上面にコロナ処理を施してぬれ指数を40ダイン/cmとした後、アルミニウム粉末を含有するシルバーインキ(商品名:ラミエース、東洋インキ製造株式会社製)を用いてグラビア印刷法によりインキの乾燥後の厚さが1.5〜2.5g/mで連続する印刷層4を設けた。
【0024】このようにして得られた農園芸ハウス用遮光資材1は、初期照度150,000Lxを照射して測定した光透過照度は1.2〜1.4Lxであった。また、引張強力は、縦80kgf/5cm、横64kg/5cm、引裂強力は12kgfと充分な機械的強力を有しており、ウエザオメーター照射800Hr後引張伸び残率が90%で耐候性にすぐれていた。この農園芸ハウス用遮光資材1は、電照菊栽培ハウス用遮光資材として好適に用いられた。
【出願人】 【識別番号】000234122
【氏名又は名称】萩原工業株式会社
【出願日】 平成13年4月26日(2001.4.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−320413(P2002−320413A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−128528(P2001−128528)