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【発明の名称】 生物育成装置
【発明者】 【氏名】竹澤 秀久

【氏名】藤田 慎也

【要約】 【課題】育成室内の温度へ影響を与える熱量として、日射熱と貫流熱の両方を勘案することにより、空調機の稼働を最小限に抑えるべく窓の開閉による温度調整を可能とし、ランニングコストを大幅に低減することが可能な生物育成装置を提供する。

【解決手段】育成室11の外壁に設けられた窓開閉手段20と、育成室11内の温度を調整可能な空調手段40と、制御手段50とを有し、制御手段50は、育成室11の日射量及び育成室11の内外温度差に応じて、窓開閉手段20の窓22の開閉と、空調手段40の稼働の有無とをそれぞれ選択することで、育成室11内の温度を予め定めた室内温度設定値に調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】植物または動物を収容する育成室を備え、該育成室内における環境要因のうち少なくとも温度を人為的に制御可能な生物育成装置において、前記育成室の外壁に設けられた窓開閉手段と、前記育成室内の温度を調整可能な空調手段と、制御手段とを有して成り、前記制御手段は、前記育成室の日射量及び育成室の内外温度差に応じて、前記窓開閉手段の窓の開閉と前記空調手段の稼働の有無とをそれぞれ選択することで、前記育成室内の温度を予め定めた室内温度設定値に調整することを特徴とする生物育成装置。
【請求項2】前記窓開閉手段は、前記育成室の天井及び側壁の少なくとも一方に換気用開口部を開設し、該換気用開口部に自動で開閉可能な窓を装着して成ることを特徴とする請求項1記載の生物育成装置。
【請求項3】前記制御手段は、前記窓開閉手段の窓を開いて前記空調手段の稼働を停止させた状態と、前記窓開閉手段の窓を閉じて前記空調手段を稼働させる状態とを、択一的に選択することを特徴とする請求項1または2記載の生物育成装置。
【請求項4】前記育成室の外壁付近の風速を測定する風速検知手段を備え、前記風速検知手段により所定値以上の風速が測定された場合、前記日射量及び前記内外温度差に関わらず、前記窓開閉手段の窓を閉じて前記空調手段の稼働により、前記育成室内の温度を前記室内温度設定値に調整することを特徴とする請求項1,2または3記載の生物育成装置。
【請求項5】前記制御手段は、前記日射量と前記室内温度設定値とに基づき、日射熱及び貫流熱による育成室に対する熱収支を勘案した外気温設定値を算出し、前記外気温設定値と、前記育成室外で実際測定された外気温検出値との比較に基づき、前記窓開閉手段の窓の開閉と前記空調手段の稼働の有無とをそれぞれ選択することを特徴とする請求項1,2,3または4記載の生物育成装置。
【請求項6】前記制御手段は、前記窓開閉手段の窓を閉じて前記空調手段を稼働させた状態において、前記外気温設定値より前記外気温検出値の方が小さくなった時に、前記窓開閉手段の窓を開いて前記空調手段の稼働を停止させる状態へ移行し、前記窓開閉手段の窓を開いて前記空調手段の稼働を停止させた状態において、前記外気温設定値より前記外気温検出値の方が大きくなった時に、前記窓開閉手段の窓を閉じて前記空調手段を稼働させる状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の生物育成装置。
【請求項7】前記制御手段は、前記窓開閉手段の窓を開いて前記空調手段の稼働を停止させた状態において、前記外気温設定値より前記外気温検出値の方が小さかった時に、続いて外気温検出値と予め定めた外気低温値とを比較し、ここで外気温検出値が外気低温値より小さい時は、前記窓開閉手段の窓を閉じて前記空調手段を稼働させる状態へ移行することを特徴とする請求項6記載の生物育成装置。
【請求項8】前記制御手段は、予め定めた日射設定値と前記日射量の実測値とを比較し、その大小に応じてそれぞれ異なる補正値を、前記室内温度設定値から減算することで、前記外気温設定値を算出することを特徴とする請求項5,6または7記載の生物育成装置。
【請求項9】前記育成室の天井及び側壁の少なくとも一方をガラス板で構成することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の生物育成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物または動物を収容する育成室を備え、該育成室内における環境要因のうち少なくとも温度を人為的に制御可能な生物育成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の生物育成装置としては、例えば、図5に示すような植物用の温室実験装置1が知られている。かかる温室実験装置1では、植物を収納する育成室2内の温度を任意に制御できるように構成されており、育成室2内において様々な環境条件下で、植物の育成実験や研究を行えるようになっている。
【0003】すなわち、育成室2の傍らには、制御室3が隔壁で仕切られるように設けられており、この制御室3内で空調機4により温度が調整された空気が、育成室2内へ循環するように構成されていた。ここで空調機4は、冷房装置による冷却作用と、暖房装置による加熱作用とを組み合わせることで、所定の温度に恒常的に調整できるものであり、また加湿乃至除湿装置も必要に応じて装備されていた。
【0004】また、育成室2の天井や側壁には、開閉駆動装置により開閉可能な複数の窓5が設けられている。更に育成室内には屋内温度センサ6が、育成室外には屋外温度センサ7が設けられていた。それぞれの温度センサ6,7による測定値は、前記空調機4の制御に用いられる。
【0005】このような温室実験装置1によれば、屋内温度センサ6より測定される育成室2内の実測温度を、予め設定した所定の目標温度に近づけるように、前記空調機4の稼働を制御するのであるが、前記窓5は単なる換気用のものではなく、この窓5の開閉によっても、育成室2内の温度調整の補助を担うようになっている。
【0006】窓5の自動開閉による温度調整は、育成室内外のそれぞれの温度センサ6,7の測定値に基づき実行される。具体的にはある所定の目標温度に対して、屋内温度が低く屋外温度が高い場合、あるいは逆に屋内温度が高く屋外温度が低い場合に、それぞれ窓5を積極的に開放して自然対流による熱交換が促され、このとき空調機4の稼働を停止させることで、該空調機4の稼働によるランニングコストを低減できるように設定されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来の温室実験装置1では、その育成室2の内外温度差による熱量、すなわち貫流熱負荷だけに着目して、前記窓5を開閉することにより、空調機4の補助的に温度調整を行うように構成されていたが、これが却ってコストアップの要因となるおそれがあった。
【0008】すなわち、晴天時等の日射量が多い時には、温室実験装置1の設置場所における周囲温度からの熱量(=貫流熱)よりも、前記日射量の増加による透過日射熱の増大による高温化への影響の方が大きい場合がある。
【0009】そのため、育成室2の内外の温度差だけに着目して、育成室2の温度を下げるべく窓5を開けたにも拘わらず、透過日射熱が多いことにより却って育成室2の温度を上げてしまう結果を招く場合があり、空調機4の余分な稼働が強いられることで、結局ランニングコストを増大させてしまうおそれがあった。
【0010】本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたもので、育成室内の温度へ影響を与える熱量として、日射熱と貫流熱の両方を勘案することにより、空調機の稼働を最小限に抑えるべく窓の開閉による温度調整を可能とし、ランニングコストを大幅に低減することが可能な生物育成装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]植物または動物を収容する育成室(11)を備え、該育成室(11)内における環境要因のうち少なくとも温度を人為的に制御可能な生物育成装置(10)において、前記育成室(11)の外壁に設けられた窓開閉手段(20)と、前記育成室(11)内の温度を調整可能な空調手段(40)と、制御手段(50)とを有して成り、前記制御手段(50)は、前記育成室(11)の日射量及び育成室(11)の内外温度差に応じて、前記窓開閉手段(20)の窓(22)の開閉と前記空調手段(40)の稼働の有無とをそれぞれ選択することで、前記育成室(11)内の温度を予め定めた室内温度設定値に調整することを特徴とする生物育成装置(10)。
【0012】[2]前記窓開閉手段(20)は、前記育成室(11)の天井(11a)及び側壁(11b)の少なくとも一方に換気用開口部(21)を開設し、該換気用開口部(21)に自動で開閉可能な窓(22)を装着して成ることを特徴とする[1]記載の生物育成装置(10)。
【0013】[3]前記制御手段(50)は、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて前記空調手段(40)の稼働を停止させた状態と、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)を稼働させる状態とを、択一的に選択することを特徴とする[1]または[2]記載の生物育成装置(10)。
【0014】[4]前記育成室(11)の外壁付近の風速を測定する風速検知手段(34)を備え、前記風速検知手段(34)により所定値以上の風速が測定された場合、前記日射量及び前記内外温度差に関わらず、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)の稼働により、前記育成室(11)内の温度を前記室内温度設定値に調整することを特徴とする[1],[2]または[3]記載の生物育成装置(10)。
【0015】[5]前記制御手段(50)は、前記日射量と前記室内温度設定値とに基づき、日射熱及び貫流熱による育成室(11)に対する熱収支を勘案した外気温設定値を算出し、前記外気温設定値と、前記育成室(11)外で実際測定された外気温検出値との比較に基づき、前記窓開閉手段(20)の窓(22)の開閉と前記空調手段(40)の稼働の有無とをそれぞれ選択することを特徴とする[1],[2],[3]または[4]記載の生物育成装置(10)。
【0016】[6]前記制御手段(50)は、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)を稼働させた状態において、前記外気温設定値より前記外気温検出値の方が小さくなった時に、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて前記空調手段(40)の稼働を停止させる状態へ移行し、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて前記空調手段(40)の稼働を停止させた状態において、前記外気温設定値より前記外気温検出値の方が大きくなった時に、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)を稼働させる状態へ移行することを特徴とする[5]記載の生物育成装置(10)。
【0017】[7]前記制御手段(50)は、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて前記空調手段(40)の稼働を停止させた状態において、前記外気温設定値より前記外気温検出値の方が小さかった時に、続いて外気温検出値と予め定めた外気低温値とを比較し、ここで外気温検出値が外気低温値より小さい時は、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)を稼働させる状態へ移行することを特徴とする[6]記載の生物育成装置(10)。
【0018】[8]前記制御手段(50)は、予め定めた日射設定値と前記日射量の実測値とを比較し、その大小に応じてそれぞれ異なる補正値を、前記室内温度設定値から減算することで、前記外気温設定値を算出することを特徴とする[5],[6]または[7]記載の生物育成装置(10)。
【0019】[9]前記育成室(11)の天井(11a)及び側壁(11b)の少なくとも一方をガラス板で構成することを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5],[6],[7]または[8]記載の生物育成装置(10)。
【0020】前記本発明は次のように作用する。本発明に係る生物育成装置(10)によれば、育成室(11)内の温度は空調機の稼働による調整ばかりでなく、窓開閉手段(20)による窓(22)の自動的な開閉によっても適宜調整される。すなわち、制御手段(50)により、育成室(11)の日射量及び育成室(11)の内外温度差に応じて、前記窓開閉手段(20)の窓(22)の開閉と前記空調手段(40)の稼働の有無がそれぞれ選択されて、前記育成室(11)内の温度が予め定めた室内温度設定値に調整される。
【0021】このように、育成室(11)の内外温度差だけでなく日射量も勘案することにより、窓開閉手段(20)の窓(22)を開けた場合に、該窓(22)からの熱負荷のうち貫流熱よりも大きな影響を及ぼす日射熱に関する熱収支も検討される。それにより、日射熱の増大を原因とする空調機の余分な稼働によるエネルギーの消費を極力抑えることができ、ランニングコストを低減することができる。
【0022】前記窓開閉手段(20)は、前記育成室(11)の天井(11a)及び側壁(11b)の少なくとも一方に換気用開口部(21)を開設し、該換気用開口部(21)に窓(22)を自動で開閉可能に装着して構成すればよい。ここで天井(11a)及び側壁(11b)に窓(22)を設けることにより、窓(22)を開けた際の育成室(11)内における熱交換率を向上させることができ、また、窓(22)を自動で開閉可能とすることで、開閉制御操作が容易となり、人手による窓(22)の開閉の労力を軽減することができる。
【0023】また、前記制御手段(50)により、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて前記空調手段(40)の稼働を停止させた状態と、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)を稼働させる状態とを、択一的に選択するようにすれば、窓(22)の開閉だけで温度調整が可能な時は、空調手段(40)の消費電力を削減でき、また空調手段(40)の稼働が必要な時は、窓(22)を閉じることで空調効率を高めることができる。
【0024】また、風速検知手段(34)により所定値以上の風速が測定された場合、日射量及び内外温度差に関わらず、窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて空調手段(40)の稼働により、育成室(11)内の温度を調整するようにすれば、強風の吹き込みにより育成室(11)内の環境が乱れたり、窓開閉手段(20)の窓(22)等が破損するのを防止することができる。
【0025】また、前記制御手段(50)による具体的な温度制御に関しては、例えば、先ず実測された日射量と前記室内温度設定値とに基づき、日射熱及び貫流熱による育成室(11)に対する熱収支を勘案した外気温設定値を算出する。この外気温設定値と前記育成室(11)外で実際測定された外気温検出値との比較に基づき、前記窓開閉手段(20)の窓(22)の開閉と前記空調手段(40)の稼働の有無とをそれぞれ選択するとよい。
【0026】具体的には制御手段(50)により、窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて空調手段(40)を稼働させた状態において、前記外気温設定値より外気温検出値の方が小さくなった時に、窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて空調手段(40)の稼働を停止させる状態へ移行する。一方、窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて空調手段(40)の稼働を停止させた状態において、前記外気温設定値より外気温検出値の方が大きくなった時に、窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて空調手段(40)を稼働させる状態へ移行する。
【0027】ここで窓開閉手段(20)の窓(22)を開いて空調手段(40)の稼働を停止させた状態において、前記外気温設定値より外気温検出値の方が小さかった時に、続いて外気温検出値と予め定めた外気低温値とを比較し、ここで外気温検出値が外気低温値より小さい時は、前記窓開閉手段(20)の窓(22)を閉じて前記空調手段(40)を稼働させる状態へ移行するように設定するとよい。
【0028】それにより、冬季等の外気温が低い場合において、空調手段(40)の稼働を停止させて窓(22)を開け、育成室(11)内の温度を外気で冷やす場合に、低温の外気により過度に育成室(11)内が冷えすぎてその後の空調手段(40)の稼働により、却って消費電力が増大してしまうような事態を防止することができる。
【0029】なお、制御手段(50)による外気温設定値であるが、予め定めた許容し得る日射設定値と前記日射量の実測値とを比較し、その大小に応じてそれぞれ異なる補正値を、前記室内温度設定値から減算することで算出するようにすれば、日射熱及び貫流熱による育成室(11)に対する熱収支を十分に勘案することができる。
【0030】また、前記育成室(11)の天井(11a)及び側壁(11b)の少なくとも一方をガラス板で構成すると良いが、天井(11a)及び側壁(11b)の双方をそれぞれ全体的にガラス板で構成したり、それぞれの一部分だけをガラス板で構成しても良い。もちろん、天井(11a)または側壁(11b)の何れか一方のみ全体的にガラス板で構成したり、あるいは何れか一方の一部分だけをガラス板で構成しても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明を代表する一の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の一実施の形態を示している。本実施の形態に係る生物育成装置10は、その育成室11内における環境要因のうち少なくとも温度を人為的に制御可能なものであり、以下、植物育成用の温室実験装置として用いられる場合を例に説明する。
【0032】図1に概略的に示すように、生物育成装置10は、箱型の装置本体10a内に、植物を収納する育成室11と、該育成室11の側方に隔壁13で仕切られた制御室12を備えて成る。制御室12内で温度等が調整された空気は、育成室11の底面側より天井側へと循環するように構成されている。
【0033】すなわち、隔壁13の下方には、制御室12内の調整された空気を育成室11の底部側へ送り出す吹出口14が開設され、隔壁13の上方には、育成室11内を循環した空気を再び制御室12へ導く吸込口15が開設されている。なお、吸込口15には、空気中の塵や埃を除去するエアーフィルタを装着すると良い。
【0034】育成室11の外壁には、適所に窓開閉手段20が設けられている。この窓開閉手段20は、育成室11の天井11a及び側壁11bにそれぞれ換気用開口部21を開設し、各換気用開口部21に窓22を自動で開閉可能に装着して成る。窓22の開閉を操作する駆動モータ23は、後述する制御手段50によって制御されるように設定されている。
【0035】育成室11の内部には、適所に屋内温度センサ31と日射センサ33が設けられており、また育成室11の外壁付近には、適所に屋外温度センサ32と風速センサ(風速検知手段)34が設けられている。図2に示すように、各センサ31〜34は、それぞれ信号線を介して制御手段50に接続されており、それぞれが実際に検知したデータを送信するように設定されている。
【0036】また、制御室12の内部には空調手段40が設けられている。かかる空調手段40は、前記育成室11内へ循環させる空気を加熱するヒータと、冷却する冷凍機、それに空気を循環させるための送風機等を組み合わせて成る。
【0037】ヒータ及び冷凍機の具体的な構成は一般的であるので説明は省略するが、何れも電気的に出力操作量を適宜調整できるものであり、次述する制御手段50によって、それぞれの出力が制御されるように設定されている。なお、ヒータ及び冷凍機の出力調整によって、所望の湿度に制御するようにしても良く、あるいは別途、加湿器・除湿器を組み合わせることで湿度制御可能に構成しても良い。
【0038】図2に示す制御手段50は、前記窓開閉手段20の駆動モータ23や空調手段40を含む関連機器を集中管理するものであり、インターフェース,CPU,RAM,ROM等から構成されたマイクロコンピュータから成る。制御手段50には、窓開閉手段20や空調手段40の他、前述した各センサ31〜34がそれぞれ接続されている。また、各種操作データを入力するための操作部53も接続されている。
【0039】制御手段50は、前記育成室11の日射量及び育成室11の内外温度差に応じて、前記窓開閉手段20の窓22の開閉と前記空調手段40の稼働の有無とをそれぞれ選択することで、前記育成室11内の温度を予め定めた室内温度設定値に調整するものである。かかる制御手段50は、選択判断部51と空調制御部52とを機能として備えている。
【0040】選択判断部51は、後述する条件に応じて、前記窓開閉手段20の窓22を開いて前記空調手段40の稼働を停止させた状態と、前記窓開閉手段20の窓22を閉じて前記空調手段40を稼働させる状態とを、択一的に選択する制御を行う機能である。また、空調制御部52は、前記窓開閉手段20の窓22を閉じて前記空調手段40を稼働させる状態において、前記室内温度設定値と前記屋内温度センサ31で測定された室内温度検出値とに基づき、室内温度検出値を室内温度設定値に近づけるように、前記空調手段40の出力を制御するものである。
【0041】次に作用を説明する。図1において、窓開閉手段20の窓22を閉じている状態では、育成室11内へ循環させる空気は、制御室12にある空調手段40の稼働により所望の温度に調整されてから、吹出口14より育成室11の下方へ送られる。また、育成室11内を循環した空気は、吸込口15より再び制御室12内へ導入される。
【0042】空調手段40の稼働は、図2に示す制御手段50の空調制御部52で制御され、育成室11内は所望の温度に保たれる。すなわち、操作部53から入力された室内温度設定値と、屋内温度センサ31から送信された室内温度検出値との偏差が算出され、その値に基づいて空調手段40のヒータないし冷凍機の操作出力が算出されて、空調手段40へ出力される。
【0043】本生物育成装置10によれば、育成室11内の温度は、このような空調機40の稼働による調整ばかりでなく、窓開閉手段20による窓22の自動的な開閉によっても適宜調整される。ここで制御手段50の選択判断部51により、育成室11の日射量及び育成室11の内外温度差に応じて、前記窓開閉手段20の窓22の開閉と前記空調手段40の稼働の有無がそれぞれ択一的に選択される。
【0044】このように、育成室11の内外温度差だけでなく日射量も勘案することにより、窓開閉手段20の窓22を開けた場合に、該窓22からの熱負荷のうち貫流熱よりも大きな影響を及ぼす日射熱に関する熱収支も検討される。それにより、日射熱の増大を原因とする空調機40の余分な稼働によるエネルギーの消費を極力抑えることができ、ランニングコストを低減することができる。
【0045】ここで貫流熱とは、窓22を通して温度の高い空間から低い空間へ伝わる熱量であり、この貫流熱負荷は次式で表される。
貫流熱負荷:Qn[W]=A×K×EA:窓面積[m
K:窓熱透過率[℃]
E:育成室内外温度差[℃]。
【0046】また、日射熱とは、太陽の日射を受けた窓22から育成室11内に取り込まれる熱量であり、この日射熱負荷は次式で表される。
日射熱負荷:Qg[W]=A×S×CA:窓面積[m
S:標準日射熱取得基準値[W/m
C:窓遮蔽係数。
【0047】前記制御手段50による温度制御に関しては、日射センサ33から送信された日射検出値や、操作部53より予め入力された前記室内温度設定値等のデータに基づき、先ず選択判断部51によって、前記日射熱及び貫流熱による育成室11に対する熱収支を勘案した外気温設定値が算出される。この外気温設定値と、屋外温度センサ32から送信された外気温検出値との比較に基づき、前記窓開閉手段20の窓22の開閉による温度調整か、あるいは前記空調手段40の稼働による温度調整かが選択される。以下、詳細に説明する。
【0048】先ず図3に示すように、窓開閉手段20の窓22を閉じて空調手段40を稼働させた状態では、制御手段50の選択判断部51により、日射設定値Rsと、前記日射センサ33から送信された日射検出値Rpとの大小が随時比較判断される(ステップ10)。
【0049】窓22を開けることによる育成室11内外の熱交換量は、育成室11の内外温度差や風量等により定まるが、窓22を開けた際に換気用開口部21からの日射による育成室11内の発熱量のうち、窓22を開けることで処理し得る熱量に対応した日射量の閾値が、前記日射設定値Rsとして予め設定される。かかる日射設定値Rsは、具体的な数値として操作部53から制御手段50に入力される。
【0050】日射設定値Rsの方が日射検出値Rpより大きい時には(ステップ10でY)、室内温度設定値Tisより第1のバイアス値T1が減算されて外気温設定値Tosが算出され(ステップ11)、日射設定値Rsの方が日射検出値Rpより小さい時には(ステップ10でN)、室内温度設定値Tisより第2のバイアス値T2が減算されて外気温設定値Tosが算出される(ステップ12)。
【0051】ここでバイアス値とは、日射による発熱量を処理するために必要な育成室11内外の温度差であり、日射設定値Rsと日射検出値Rpとの大小により場合分けして、予め2つの値が設定される。日射設定値Rsの方が日射検出値Rpより大きい時は、第1のバイアス値T1が選択され、日射設定値Rsの方が日射検出値Rpより小さい時は、第2のバイアス値T2が選択される。なお、各バイアス値T1,T2とも、それぞれ具体的な数値として操作部53から制御手段50に入力される。
【0052】制御手段50による外気温設定値Tosの算出であるが、予め定めた許容し得る日射設定値Rsと実際の日射検出値Rpとを比較し、その大小に応じてそれぞれ異なる補正値として前記バイアス値T1,T2を、前記室内温度設定値Tisから減算して算出することで、日射熱及び貫流熱による育成室11に対する熱収支を十分に勘案することが可能となる。
【0053】具体的な外気温設定値Tosが算出されると(ステップ11,12)、続いてこの外気温設定値Tosと、屋外温度センサ32から送信された外気温検出値Topとが比較判断される(ステップ13)。ここで、外気温検出値Topの方が外気温設定値Tosより小さい時には(ステップ13でN)、そのまま窓22を閉じて空調手段40を稼働させた状態が維持され、かかる空調手段40によって育成室11の温度が調整される。
【0054】一方、外気温検出値Topの方が外気温設定値Tosより大きい時には(ステップ13でY)、今度は窓開閉手段20の窓22を開いて(ステップ14)、空調手段40の稼働を停止させた状態へと移行する(ステップ15)。かかる場合には、窓22を開けるだけで所望の温度に調整することが可能となり、空調機40を停止されることにより余分なエネルギー消費を抑えることができる。
【0055】窓22を開けることによる育成室11内外の熱交換量は、育成室11の内外温度差や風量、それに換気用開口部21の開口面積により定まるが、窓開閉手段20を育成室11の天井11a及び側壁11bにそれぞれ設けたことにより、窓22を開けた際の育成室11内外における熱交換率を向上させることができる。なお、窓22は自動で開閉制御されるため、人手による窓22の開閉の労力はない。
【0056】次に図4に示すように、窓開閉手段20の窓22を開いて空調手段40の稼働を停止させた状態でも、制御手段50の選択判断部51により、日射設定値Rsと、前記日射センサ33から送信された日射検出値Rpとの大小が随時比較判断される(ステップ20)。
【0057】ここで日射設定値Rsの方が日射検出値Rpより大きい時には(ステップ20でY)、室内温度設定値Tisより第1のバイアス値T1が減算されて外気温設定値Tosが算出される(ステップ21)。また、日射設定値Rsの方が日射検出値Rpより小さい時には(ステップ20でN)、室内温度設定値Tisより第2のバイアス値T2が減算されて外気温設定値Tosが算出される(ステップ22)。
【0058】具体的な外気温設定値Tosが算出されると(ステップ21,22)、続いてこの外気温設定値Tosと、屋外温度センサ32から送信された外気温検出値Topとが比較判断される(ステップ23)。ここで、外気温検出値Topの方が外気温設定値Tosより大きい時には(ステップ23でY)、窓開閉手段20の窓22を閉じて(ステップ25)、空調手段40を稼働させる状態へ移行する(ステップ26)。
【0059】一方、外気温検出値Topの方が外気温設定値Tosより小さい時には(ステップ23でN)、続いて外気温検出値Topと予め定めた外気低温値とが比較判断される(ステップ24)。外気低温値は、具体的な数値として操作部53から制御手段50に入力されているが、外気温検出値Topが外気低温値より小さい時にも(ステップ24でY)、窓開閉手段20の窓22を閉じて(ステップ25)、空調手段を稼働させる状態へ移行する(ステップ26)。
【0060】それにより、冬季等の外気温が低い場合において、空調手段40の稼働を停止させて窓22を開け、育成室11内の温度を外気で冷やす場合に、低温の外気により過度に育成室11内が冷えすぎてその後の空調手段40の稼働により、却って消費電力が増大してしまうような事態を防止することができる。
【0061】そして、外気温検出値Topが外気低温値よりも大きい時は(ステップ24でN)、前記育成室11内の冷えすぎによる空調手段40の負荷増大のおそれがないため、そのまま窓開閉手段20の窓22を開いて、空調手段40の稼働を停止させた状態が維持される。なお、外気低温値は、生物育成装置10を設置する場所の環境に応じて個々に定められるものである。
【0062】以上のように制御手段50によって、窓開閉手段20の窓22を開いて空調手段40の稼働を停止させた状態と、窓開閉手段20の窓22を閉じて空調手段40を稼働させる状態とを、択一的に選択することにより、窓22の開閉だけで温度調整が可能な時は、空調手段40の消費電力を削減でき、また空調手段40の稼働が必要な時は、窓22を閉じることで空調効率を高めることができる。
【0063】更にまた、前記風速センサ34により所定値以上の風速が測定された場合、日射量及び内外温度差に関わらず、窓開閉手段20の窓22を閉じて空調手段40の稼働により、育成室11内の温度を調整するようにすれば、強風の吹き込みにより育成室11内の環境が乱れたり、窓開閉手段20の窓22等が破損するのを防止することができる。かかる制御も制御手段50によって容易に実行することができる。
【0064】なお、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記窓開閉手段20は、前記育成室11の天井11a及び側壁11bの双方に設けるのではなく、何れか一方にのみ設けるように構成しても良い。
【0065】また、前記育成室11の天井11a及び側壁11bの少なくとも一方をガラス板で構成すると良いが、天井11a及び側壁11bの双方をそれぞれ全体的にガラス板で構成したり、それぞれの一部分だけをガラス板で構成しても良い。もちろん、天井11aまたは側壁11bの何れか一方のみ全体的にガラス板で構成したり、あるいは何れか一方の一部分だけをガラス板で構成しても良い。
【0066】
【発明の効果】本発明に係る生物育成装置によれば、制御手段により、育成室の日射量及び育成室の内外温度差に応じて、窓開閉手段の窓の開閉と空調手段の稼働の有無とをそれぞれ選択することで、前記育成室内の温度を予め定めた室内温度設定値に調整するから、育成室の内外温度差だけでなく日射量も勘案することにより、窓開閉手段の窓を開けた場合に、該窓からの熱負荷のうち貫流熱よりも大きな影響を及ぼす日射熱に関する熱収支も検討され、日射熱の増大を原因とする空調機の余分な稼働によるエネルギーの消費を極力抑えることができ、ランニングコストを低減することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】390010054
【氏名又は名称】小糸工業株式会社
【出願日】 平成13年4月24日(2001.4.24)
【代理人】 【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
【公開番号】 特開2002−315448(P2002−315448A)
【公開日】 平成14年10月29日(2002.10.29)
【出願番号】 特願2001−125693(P2001−125693)