| 【発明の名称】 |
施設園芸用被覆材 |
| 【発明者】 |
【氏名】坂本 秀志
【氏名】安藤 勇二
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| 【要約】 |
【課題】ハウス等への展張直後だけでなく時間が経過しても優れた防曇性を有し、時間の経過につれてフィルム中の防曇剤が消費されてもぼた落ち等が発生し難く、日射量やぼた落ちに起因する病害虫の発生を抑えることのできる、耐べたつき性及び強靱性に優れた施設園芸用被覆材を提供する。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】防曇剤を含有する熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの少なくとも片面に、実質的に連続した凸部と前記凸部に仕切られた不連続の凹部とからなる凹凸形状が形成され、前記凹凸形状が下記条件を満足することを特徴とする施設園芸用被覆材。 1)凹部の深さdaが0.005〜0.5mm。 2)凹凸形状が形成されたフィルム面における凹部面積Saと凸部面積Sbの割合Sa/Sbが、0.1≦ Sa/Sb≦ 5。 【請求項2】熱可塑性樹脂組成物中の防曇剤の含有量が、0.5〜5重量%である請求項1記載の施設園芸用被覆材。 【請求項3】熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂の群から選ばれた1種または2種以上である請求項1もしくは2記載の施設園芸用被覆材。 【請求項4】凹凸形状が形成されたフィルムが一軸もしくは二軸方向に延伸された延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の施設園芸用被覆材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、施設園芸用ハウスやトンネル等(以下ハウス等という)に使用する施設園芸用被覆材に関する。詳しくは、優れた防曇性を有し、時間の経過につれてフィルム中の防曇剤が消費されても、ぼた落ち等が発生し難く、耐べたつき性及び強靱性に優れた施設園芸用被覆材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、ハウスやトンネル等の施設園芸用被覆材として様々な熱可塑性樹脂フィルムが使用されている。それらの代表的なものとして、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂フィルムで被覆されたハウスやトンネル等の内部では、地面や作物から蒸散した水蒸気が外気で冷やされたフィルム面で結露し水滴となって付着する。この水滴は、光を反射させてハウス等の中へ入る日射量を減少させるだけでなく、フィルム面から落下(以下「ぼた落ち」という)して作物を濡らし病虫害発生の原因にもなるため、速やかに取り除く必要があり、通常、ハウス等の天面部に勾配を持たせて付着した水滴を水膜にしてフィルム面に沿って流下させ、ハウス等の側面(サイド)から地面に吸収させる方法が採られている。 【0003】付着した水滴を水膜にして流下させるために、前記熱可塑性樹脂フィルムには、古くからソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート等のソルビタン系界面活性剤、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート等のグリセリン系界面活性剤等の防曇剤が配合されてきた。 【0004】しかしながら、一般に基材となる熱可塑性樹脂には極性基が少ないため、これらの界面活性剤を配合しても、昼夜の温湿度環境条件によっては、十分な表面張力の低減効果が得られ難くハウス等の内面側に付着した水滴を水膜とすることができずに、前記日射量の低減やぼた落ちに起因する病害虫の発生を引き起こす場合があった。 【0005】また、これらのフィルムをハウス等へ展張した直後は均一な水膜を形成していても、熱可塑性樹脂フィルムに配合された防曇剤が時間の経過につれてフィルム表面に析出し消費されるため、数ヶ月経過すると水膜を形成せず水滴となることがあり、日射量低減やぼた落ちによる病害虫の発生等の問題があった。 【0006】また、前記熱可塑性樹脂フィルムには防曇剤や可塑剤が添加されており、ハウスの天面や側面の換気部分に展張したりハウス内の内張りとして展張して巻き上げた場合に、巻き上げられたフィルム間に水分が介在することによりフィルム同志が密着してしまい巻き戻し難いという問題(以下「べたつき」という)があった。特に、ポリ塩化ビニルフィルムの場合には、防曇剤の他に可塑剤を含有しているためその傾向が激しく、場合によってはこのべたつきにより自動換気装置が壊れてしまう等の問題も発生しており、べたつき問題の発生しない耐べたつき性の良好な被覆材が望まれていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハウス等への展張直後だけでなく時間が経過しても優れた防曇性を有し、時間の経過につれてフィルム中の防曇剤が消費されてもぼた落ち等が発生し難く、日射量やぼた落ちに起因する病害虫の発生を抑えることのできる、耐べたつき性及び強靱性に優れた施設園芸用被覆材を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討した結果、防曇剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムに特定の凹凸形状を付与して得られる施設園芸用被覆材により前記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。 【0009】本発明は、以下の構成を有する。 〔特許請求の範囲〕 (1)防曇剤を含有する熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの少なくとも片面に、実質的に連続した凸部と前記凸部に仕切られた不連続の凹部とからなる凹凸形状が形成され、前記凹凸形状が下記条件を満足することを特徴とする施設園芸用被覆材。 1)凹部の深さdaが0.005〜0.5mm。 2)凹凸形状が形成されたフィルム面における凹部面積Saと凸部面積Sbの割合Sa/Sbが、0.1≦ Sa/Sb≦ 5。 【0010】(2)熱可塑性樹脂組成物中の防曇剤の含有量が、0.5〜5重量%である前記(1)項記載の施設園芸用被覆材。 【0011】(3)熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂の群から選ばれた1種または2種以上である前記(1)もしくは(2)項記載の施設園芸用被覆材。 【0012】(4)凹凸形状が形成されたフィルムが一軸もしくは二軸方向に延伸された延伸フィルムであることを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載の施設園芸用被覆材。 【0013】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を説明する。本発明の施設園芸用被覆材に用いられる熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。中でも、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂や、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニル系樹脂が加工性や経済性の観点から好ましい。 【0014】前記ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレン以外の単量体との二元以上のランダムまたはブロック共重合体及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。なお、本発明において主成分とは最も多い成分をいう。前記エチレン以外の単量体としては、特に限定されないが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数3〜12のα−オレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、一酸化炭素等が例示できる。これらは1種でも2種以上の併用でもよい。 【0015】また、前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン以外の単量体との二元以上のランダムまたはブロック共重合体及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。前記プロピレン以外の単量体としては、特に限定されないが、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数2〜12のα−オレフィン等が例示できる。これらは1種でも2種以上の併用でもよい。 【0016】これらのポリオレフィン系樹脂には、柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン系弾性共重合体等の弾性共重合体を添加しても構わない。 【0017】また、前記ポリオレフィン系樹脂には、通常ポリオレフィン系樹脂に使用される保温剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防霧剤や帯電防止剤等の界面活性剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。 【0018】前記ポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルを50重量%を超えて含有する塩化ビニルとそれ以外の単量体との共重合体をいう。塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等があげられる。これらポリ塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって製造されたものであってもよい。 【0019】前記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は600〜3,000程度のものが用いられ、引張強さや引裂強さ等の物性を向上させるためには平均重合度の高いものが望ましいが、平均重合度を高くするにつれ加工性が低下する。これらの加工性を改善する目的で平均重合度2,000〜3,000程度のポリ塩化ビニル系樹脂に平均重合度600〜2,000程度のポリ塩化ビニル系樹脂を混合しても構わない。 【0020】前記のポリ塩化ビニル系樹脂には、柔軟性を付与するために、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、20〜60重量部の可塑剤が配合される。可塑剤の配合量を上記範囲にすることにより、目的の施設園芸用ポリ塩化ビニル系樹脂被覆材に、優れた柔軟性と機械的性質を付与することができる。 【0021】前記可塑剤としては、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;その他、エポキシ化大油、エポキシ樹脂系可塑剤等があげられる。また、樹脂フィルムに柔軟性を付与するために、上述の可塑剤に限られるものでなく、例えば熱可塑性ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体等を使用することもできる。 【0022】前記ポリ塩化ビニル系樹脂には、上記可塑剤のほかに、通常ポリ塩化ビニル系樹脂に使用される紫外線吸収剤、光安定剤、有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、安定化助剤、防霧剤、帯電防止剤、無機フィラー、着色剤、防カビ剤、防藻剤等を必要に応じて配合することができる。 【0023】本発明に用いられる防曇剤としては、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等の多価アルコールの部分カルボン酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコールの部分カルボン酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、アミン類及び脂肪酸アミド類が挙げられる。 【0024】その中でも防曇剤が下記式(1)で表される化合物及びそれらの有機酸との中和塩もしくはエステルから選ばれる1種または2種以上であると、得られる施設園芸用被覆材は低温時に優れた防曇性を示すため、凹凸形状の形成による防曇性向上効果との相乗効果により特に優れた防曇性を示し透明性の向上と共に日射量の低減を抑制できる。 【0025】
(式中、R1は炭素数が8〜22のアルキル基、アルケニル基またはアシル基、R2及びR3は互いに独立して水素原子またはアシル基、a及びbは互いに独立してa+b=2〜20となる1以上の整数、cは0または1〜10の整数、nは2または3を示す。) 【0026】上記式(1)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(8モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)牛脂アミン等のアミン化合物、ポリオキシエチレンラウリルアミド、ポリオキシエチレンステアリルアミド等のアミド化合物、及びこれらアミン化合物及びアミド化合物とラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸との脂肪酸エステルが挙げられる。また、有機酸としてはカルボン酸、スルホン酸、フェノールカルボン酸等があり、中でもカルボン酸が前記化合物との反応性及び安定性の点で好ましい。具体的には、ラウリル酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸及び安息香酸等を挙げることができる。 【0027】熱可塑性樹脂組成物の前記防曇剤の含有量は、0.5〜5重量%、好ましくは0.8〜3重量%であることが望ましい。前記含有量が上記の範囲であると、優れた防曇性が長時間持続し、防曇剤のフィルム表面への多量析出による透明性の低下やべたつきも少ない。 【0028】本発明の施設園芸用被覆材においては、少なくともハウスやトンネル等の内面側に、実質的に連続した凸部と前記凸部に仕切られた不連続の凹部とからなる凹凸形状が形成され、凹部は凸部により囲まれた正方形、平行四辺形、菱形、円形や楕円形等の形状となる。なお、本発明においては、施設園芸用被覆材として必要な物性を損なわない範囲で凸部に部分的に不連続個所が設けられる場合、凸部は実質的に連続したものとみなす。 【0029】凹凸形状は、総平均厚さや防曇性の要求特性等によって、また更に熱可塑性樹脂フィルムを延伸する際には延伸倍率や総平均厚さ等を勘案して決定されるが、施設園芸用被覆材としての引張強さ、引裂強さや衝撃強さ向上の観点から、また、延伸する際には加工性の観点から網目模様が好ましい。 【0030】本発明の施設園芸用被覆材においては、前記凹凸形状の形成により下記の効果が得られる。 ■表面の凹凸形状により付着した水分が水滴となりにくいため、防曇剤の添加量が少なくても良好な防曇性が得られ、ぼた落ちが発生しにくく、病害虫の発生や日射量の低減を抑制することができる。 【0031】■時間の経過につれて防曇剤が消費され、従来の平坦な農業用フィルムではぼた落ちが発生するような場合でも、表面の凹凸形状により付着水分が水滴となりにくいため、病害虫の発生を未然に予防できる。 【0032】■従来、ハウスの換気部用や内張り用の被覆材として展張し巻き上げる際に、フィルム同志の密着によるべたつきの問題があったが、表面の凹凸形状によりフィルム同志の間に空気溜まりが存在し、また、フィルム同志の接触面積も少なくなるため耐べたつき性に優れ、作業性に優れた施設園芸用被覆材を提供することができる。 【0033】■従来、延伸された施設園芸被覆材は引裂強さが弱く、台風等で破れやすかったが、表面の凹凸形状により、引裂強さが向上し耐久性が向上する。 【0034】本発明において、凹凸形状の形成方法としては、公知の加工技術であるカレンダー装置、Tダイ装置やインフレーション装置等により熱可塑性樹脂フィルムを製造した後、前記フィルムを一対の加熱エンボスロールユニット間に挟み込んで冷却する方法、前記熱可塑性樹脂フィルムを溶融軟化させ一対の冷却エンボスロールユニット間で押圧し冷却する方法、また、熱可塑性樹脂を押出機やカレンダーロールで溶融状態としたものを一対の冷却エンボスロールユニット間で押圧し冷却する方法等が挙げられる。 【0035】熱可塑性樹脂フィルムの片面のみに凹凸形状を付与する場合には、一方のロール表面にフィルム表面と逆の凹凸形状を形成したものを、他方のロールは表面が平滑な金属ロールやゴムロールを用い、熱可塑性樹脂フィルムの両面に凹凸形状を形成させる場合には、凹凸形状を有する二本のエンボスロールを用いる。 【0036】また、施設園芸用被覆材に更に剛性や引張強さが必要な場合には、1軸延伸もしくは2軸延伸の手法が用いられる。この場合は、延伸前の熱可塑性樹脂フィルム・シートに予め凹凸形状を形成させておくことが望ましく、延伸後の被覆材に凹凸形状を形成させるためには、被覆材を再溶融させる必要があるため、延伸の効果が失われて所期の剛性や引張強さが得られないことがある。 【0037】2軸延伸の手法では、凹凸形状が形成された熱可塑性樹脂フィルム・シートは、通常、縦(機械)方向と横方向の2軸方向にそれぞれ2〜8倍の延伸倍率(面積倍率で4〜60倍)で延伸されるが、同時に2軸方向に延伸する同時2軸延伸方式でも、縦方向に延伸した後に横方向へ延伸、もしくは横方向に延伸した後に縦方向に延伸する逐次延伸方式であっても構わない。延伸の面積倍率が4〜60倍であると、均一に延伸することができ、延伸時の前記フィルム・シートの破断も起こりにくい。また、こうして得られた延伸フィルムは内部の残留歪みを除去する目的で、溶融温度以下の加温環境下で緩和処理してもよい。 【0038】本発明の施設園芸用被覆材に形成される凹部の深さdaは0.005〜0.5mmである。その中で、好ましい凹部の深さdaは施設園芸用被覆材の種類により異なり、ポリ塩化ビニル系樹脂やポリオレフィン系樹脂の軟質系被覆材では、0.005〜0.1mmが、フッ素系、ポリエステル系等の硬質系被覆材では、0.005〜0.5mmが好適である。前記daが0.005mm未満では所期の防曇性向上効果が得られ難く、前記daが0.5mmを超える場合は、前記被覆材に優れた防曇性や強靱性は得られるが、凹凸形状の付与は硬質系被覆材では困難で生産性が低下し、軟質系被覆材ではその利点である柔軟性が低下して取扱がしにくくなる。 【0039】本発明の施設園芸用被覆材に形成された凹凸部の厚さは特に限定されるものではなく、被覆材として必要とされる強度や保温性等の特性によって決定されるが、軟質系被覆材の場合には0.03mm〜0.2mm、硬質系被覆材の場合には0.2mm〜5mm程度のものが用いられる。 【0040】本発明の施設園芸用被覆材の凹凸形状が形成された面における凹部面積Saと凸部面積Sbの割合Sa/Sbは、0.1≦Sa/Sb≦5、好ましくは0.3≦Sa/Sb≦4、更に好ましくは0.5≦Sa/Sb≦3である。この割合Sa/Sbが0.1未満の場合には、凸部の幅が大きくなり、防曇性の向上効果が得られにくくなる。また、Sa/Sbが5を超える場合には、凸部の幅が狭くなるため前記防曇性の向上効果には好ましいが、エンボスロールへの凹凸形状の形成が難しくなる。 【0041】前記施設園芸用被覆材の凹凸形状において、凹部もしくは凸部のピッチ(図1参照)は1〜50mm、好ましくは5〜25mmが好適である。ピッチが50mmを超える場合には、付着水が水滴となりやすくなり、本発明の防曇性の向上効果は得られ難い。また、1mm未満の場合には、エンボスロールへの凹凸形状の形成が難しくなる。 【0042】本発明の施設園芸用被覆材をハウスやトンネル等に展張する場合、前記被覆材の凹凸形状が形成された面がハウスやトンネル等の内面となるように展張される。また、施設園芸用被覆材では、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等の方法により長さや幅の継ぎ加工が行われるが、ヒートシール等をし易くするために施設園芸用被覆材の表面に、共押出法、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の公知の方法によりシール層が形成されていても構わないし、塵埃等による汚れを防止する目的から施設園芸用被覆材のハウス外面側となる面に公知の防塵性塗布膜を形成しても構わない。また、前記熱可塑性樹脂フィルム・シートは、その断面が一層のものだけでなく、2種3層、3種3層、3種5層、4種5層等の多層構造のものでもよい。 【0043】 【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 【0044】なお、実施例及び比較例における施設園芸用被覆材のそれぞれの特性は、下記評価方法により実施した。 ■密度;JIS K7112−1980「プラスチックの密度と比重の測定方法」6.1A法(水中置換法による測定方法)により測定した【0045】■メルトフローレート;JIS K 7210−1976「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の条件4(試験温度190℃、試験荷重21.18N)によりポリエチレン系樹脂を、表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)によりポリプロピレン系樹脂を測定した。以下MFRという。 【0046】■防曇性;間口4m、長さ8mのアーチパイプ型施設園芸用ハウスに施設園芸用被覆材サンプルを展張し、時間の経過に伴う防曇性及び光線透過率の変化を評価した。 ・試験圃場;熊本県水俣市。 ・試験期間;2000年10月6日から2001年3月5日まで実施。 ・防曇性評価;下記評価基準に従い、展張3、4、5ヶ月後の防曇性をハウス内より朝8時に目視判定した。 ◎:防曇性が非常に良好であり、ハウス外側がクリアーに見える。 ○:防曇性が良好であるが、若干水滴が認められる。 △:水滴の発生が認められるが、ぼた落ちにはなっていない。 ×:水滴の発生が激しく、ぼた落ちしている状態。 【0047】■光線透過率;■記載の被覆材サンプルを展張した施設園芸用ハウスにおいて、2台の照度計を用い、ハウス内外にて同時に地上1.2mの位置の照度を測定し、下記式により光線透過率を求め日射量低減の目安(光線透過率が低いほど被覆材に起因する日射量低減が大きい)とした。 光線透過率(%)=(ハウス内照度/ハウス外照度)×100【0048】■耐べたつき性;■記載の被覆材サンプルを展張した施設園芸用ハウスにおいて、光線透過率を測定した後にサイド部の巻き上げを行い、夕方16時に巻き上げられたフィルムを巻き戻し、その状態を観察し、下記評価基準に従い判定した。 ○:全く問題なく巻き戻すことが可能な状態。 △:多少巻き戻しに抵抗があるが、巻き戻しが可能な状態。 ×:巻き戻しに抵抗があり、逆巻き現象が発生する状態。 【0049】■引張切断強さ及びエルメンドルフ引裂強さ;JIS K 6732「農業用ポリ塩化ビニルフィルム」の試験方法に従って測定した。 【0050】実施例1MFR=3.5g/10分(190℃、21.18N)、密度=0.910g/cm3のシングルサイト触媒より重合された直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:PL1845、ダウケミカル日本(株)製)に、防曇剤としてジグリセリンセスキステアレート1.5重量%とジグリセリンセスキオレート1.5重量%、ハイドロタルサイト類化合物(商品名DHT4A、協和化学工業(株)製)5重量%、ヒンダードアミン系耐候剤0.1重量%、紫外線吸収剤0.05重量%、フェノール系安定剤0.1重量%、リン系安定剤0.1重量%を配合した熱可塑性樹脂組成物を90mm押出機にて溶融混練し、Tダイより溶融フィルムとして押出した。 【0051】次に、前記溶融フィルムを、凹部の深さ、幅及び縦横ピッチがそれぞれ0.05mm、1.0mm、5mmであって、凸部の形状が正方形である凹凸形状をロール表面の機械方向(MD)に配列した鉄製エンボスロールと、テフロン(登録商標)チューブで被覆したゴムロールとの間に挟み込むことにより冷却固化し、幅2m、目付重量90g/m2の施設園芸用被覆材を得た。更に、幅2m、長さ10mの前記施設園芸用被覆材を幅方向に4枚並べ、熱融着し、幅7.8mのハウス展張用サンプルとした。被覆材の仕様と評価結果を表1に示した。 【0052】実施例2MFR(230℃、21.18N)=1.8g/10分、密度=0.90g/cm3のエチレン−プロピレン共重合体樹脂(商品名:チッソポリプロXF1800、チッソ(株)製)に、全結合スチレン量=10重量%、メルトフローレート(230℃、21.18N)=3.5g/10分、密度=0.89g/cm3の水添されたスチレン−ブタジエン系共重合体ゴム(商品名;DYNARON1320P、日本合成ゴム(株)製)20重量%、防曇剤としてポリオキシエチレンステアリルアミンモノステアレート2.0重量%、ヒンダードアミン系耐候剤0.1重量%、紫外線吸収剤0.05重量%、フェノール系安定剤0.1重量%、リン系安定剤0.1重量%を配合した熱可塑性樹脂組成物を90mm押出機にて溶融混練し、Tダイより溶融シートとして押出した。 【0053】次に、前記溶融シートを凹部の深さ、幅及び縦横ピッチがそれぞれ0.3mm、0.6mm、2mmであって、凸部の形状が正方形の凹凸形状をロール表面の機械方向に配列した鉄製エンボスロールと鏡面鉄製ロールとの間に挟み込むことにより冷却固化し、目付重量が1800g/m2の熱可塑性樹脂シートとした。得られた熱可塑性樹脂シートをシート温度が140℃となるように加熱したのち、縦方向延伸倍率×横方向延伸倍率がそれぞれ4×5倍(面積倍率20倍)の条件で2軸延伸し、幅2m、凹部厚さ0.025mmであって、目付け重量91g/m2の施設園芸用被覆材を得た。更に、幅2m、長さ10mの前記施設園芸用被覆材を幅方向に4枚並べ、熱融着し、幅7.8mのハウス展張用サンプルとした。被覆材の仕様と評価結果を表1に示した。 【0054】実施例3ポリ塩化ビニル(平均重合度=1400)100重量部、ジオクチルフタレート50重量部、防曇剤としてソルビタンモノステアレート1.5重量部とソルビタンモノパルミテート0.5重量部、バリウム−亜鉛系複合液状安定剤1.5重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、ステアリン酸亜鉛0.4重量部、有機リン酸エステル、紫外線吸収剤0.1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.1重量部からなるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を90mmφ押出機を用い、押出温度190℃にて溶融・混練した後に溶融シートとして押出した。 【0055】次に、前記溶融シートを凹部の深さ、幅及び縦横ピッチがそれぞれ0.3mm、0.6mm、2mmであって、凸部の形状が正方形の凹凸形状をロール表面の機械方向に配列した鉄製エンボスロールと鏡面鉄製ロールとの間に挟み込むことにより冷却固化し、目付重量が1100g/m2の熱可塑性樹脂シートとした。得られた熱可塑性樹脂シートを温度が110℃に加熱したのち、縦方向延伸倍率×横方向延伸倍率がそれぞれ3×3倍(面積倍率9倍)の条件で2軸延伸し、幅2m、目付け重量124g/m2の施設園芸用被覆材を得た。更に、幅2m、長さ10mの前記施設園芸用被覆材を幅方向に4枚並べ、熱融着し、幅7.8mのハウス展張用サンプルとした。被覆材の仕様と評価結果を表1に示した。 【0056】比較例1エンボスロールの代わりに鏡面鉄製ロールを用いる他は実施例1の記載と同様に実施した。被覆材の仕様と評価結果を表1に示した。 【0057】比較例2エンボスロールの代わりに鏡面鉄製ロールを用いる他は実施例2の記載と同様に実施した。被覆材の仕様と評価結果を表1に示した。 【0058】比較例3エンボスロールの代わりに鏡面鉄製ロールを用いる他は実施例3の記載と同様に実施した。被覆材の仕様と評価結果を表1に示した。 【0059】表1に示すように実施例1〜3の施設園芸用被覆材は、防曇性に優れ、時間の経過に伴う防曇性の低下も少なく、ぼた落ちがなく日射量の低減が抑制されている。また、引裂強さの向上も認められるため、耐久性に優れた施設園芸用被覆材として期待される。 【0060】 【表1】
【0061】 【発明の効果】本発明の施設園芸用被覆材は、防曇剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムに特定の凹凸形状を付与することにより得られた、ハウス等への展張直後だけでなく時間が経過しても優れた防曇性を有する耐べたつき性及び強靱性に優れた作業性の良好な施設園芸用被覆材である。この施設園芸用被覆材を用いることにより、従来の防曇剤練り混みタイプの施設園芸用被覆材で課題とされていた経時的な防曇性の低下に起因する日射量の低減や病害虫の発生を抑制することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002071 【氏名又は名称】チッソ株式会社 【識別番号】596032100 【氏名又は名称】チッソ石油化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月24日(2001.4.24) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−315445(P2002−315445A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月29日(2002.10.29) |
| 【出願番号】 |
特願2001−126451(P2001−126451) |
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