| 【発明の名称】 |
屋上及び地上緑化用培地 |
| 【発明者】 |
【氏名】黒田 哲生
【氏名】大塚 秀光
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| 【要約】 |
【課題】緑化用の固形培地方式の栽培において培地として最適の物性及び粒度を見出し、栽培にほとんど手間がかからず、水管理が容易で、基本的には排液を発生することのない建造物の屋上及び地上部分の緑化用培地を提供する。
【解決手段】屋上及び地上緑化用培地として、通常の土より嵩比重が小さく、軽石の嵩比重が、0.3〜0.8である粒状軽石から構成されることを特徴とする屋上及び地上緑化用培地。また、前記粒状の軽石は、飽和透水係数が0.1〜1.0cm/sec、通気係数が乾燥試料及び湿潤試料で5〜60cm/secであることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 屋上及び地上緑化用培地として、通常の土より嵩比重が小さく、軽石の嵩比重が、0.3〜0.8である粒状軽石から構成されることを特徴とする屋上及び地上緑化用培地。 【請求項2】 前記粒状軽石は、飽和透水係数が0.1〜1.0cm/sec、通気係数が乾燥試料及び湿潤試料で5〜60cm/secであることを特徴とする請求項1に記載の屋上及び地上緑化用培地。 【請求項3】 前記粒状軽石が、1〜10meq/100gの陽イオン交換容量を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋上及び地上緑化用培地。 【請求項4】 前記粒状軽石が、0.1〜10mmの粒径範囲を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の屋上及び地上緑化用培地。 【請求項5】 前記粒状の軽石が、採掘後に乾燥工程を施されて5.0%以下の含水率を有するように調整されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の屋上及び地上緑化用培地。 【請求項6】 更に炭を配合したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の屋上及び地上緑化用培地。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、屋上及び地上緑化用培地に関し、更に具体的には、建造物の屋上及び地上部分において、例えば野菜、樹木、芝、草花などを施設栽培法によって節水及び省資源下で栽培するのに好適な植物栽培用の培地に関する。また、培地の水分調節ができるので、果菜類のうちトマトやメロン等で糖度を上げることができるなど、付加価値のある農作物を栽培することのできる屋上及び地上緑化用の栽培用培地に関する。 【0002】 【従来の技術】この百年間で、東京の平均気温は2.9℃も上昇した。こんな都心の「ヒートアイランド現象」に歯止めをかけようと、東京都は自然保護条令を改正し、国内で初めて、新改築のビルに「屋上緑化」を義務づけることを決定した(平成11年12月20日)。これは、利用可能な屋上スペースの20%に樹木や芝、草花などを植えることを義務づけるものである。従来、建築物であるビルの屋上に土を乗せ、樹木を植えたり、また大きなビルでは屋上などに庭園を作る例があるが、土を乗せて樹木を植えことは大きな重量が掛かることになり、屋根からの水漏れの原因となることから、建造物を傷めることになるので、個人所有の小さいビルに限られ、庭園を作る場合には営業関係のものに限られていた。そのため、「屋上緑化」のための特別な技術というものがそれほどあるわけではなかった。また、最近は建築物に限らず、人工地盤など大がかりな建造物が作られ、その上に建築物を建てることが行われており、この場合屋上緑化だけではなく、建造物の地上部分の土壌がないコンクリート製部分に緑化域を形成する必要が出てきているが、その部分に単に土を入れることが行われているレベルである。最近、民間でもビルの屋上を野菜畑に転換するエコガーデンシステムが開発され、ビルでは不適とされた野菜の栽培ができ、芝や花の栽培にも成功している。 【0003】ところで、高級野菜や果樹植物の優れた施設栽培法として、養液栽培法がある。養液栽培法は、固形培地方式と非固形培地方式とに分類される。固形培地方式には、例えば、砂耕、れき耕、くん炭耕などがある。これは、砂、礫、くん炭などを敷き詰めて培地とし、ここに栄養水液などを絶えずふりかける方法である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、都市のヒートアイランド現象を防ぐために、建築するすべてのビルの屋上を緑化するために、屋上に樹木を植えるようにするとなると、従来のようにビルの屋上を防水して、そこに土を入れ、樹木を植えるというやり方では非常に困難な問題を起こすことになる。特に高層ビルでは柱に掛かる重量を少しでも減らすために多くの軽量化材料を使用しているのに、屋上に重い土を乗せたのでは、建物の強度上の問題を起こし、耐震性にも問題を起こすことになる。また、建造物の中の建築物に限らず、大型の建造物では周囲の土を除いてしまう関係で、また地下に駐車場を作る関係などで周囲がコンクリート製の地上部分となることが多いが、その場合景観上などからその地上部分を緑化する必要がある。この場合下がコンクリート製部分である関係で、防水や重量の問題などがあり、緑化をすることが容易ではない。 【0005】すなわち、建造物の屋上や地上部分を緑化するために、建造物の屋上や地上部分に植物を植えるための土壌を保持するときには、その土壌の重量で建造物に負担が掛かる問題、及び保持している土壌に植えた植物を栽培させるために水や培養液を供給する際に、水等の供給量が多すぎたり、あるいは大雨が降ったりすると、土壌の下の建造物の天井部分に漏水の問題を起こしたり、また土壌の重量がさらに増して、前記の建造物に負担が掛かることが一層深刻になる問題があり、それを防ぐのには建造物の強度を一層増大させたり、また建造物の屋上の屋根の防水構造を一層強化する必要がある。さらに、ビルの屋上では地上よりも日当たりが強く、ビル全体の熱容量も大きく、また風も強いために、土壌を植物の生育に適した条件になるよう、また土壌が飛ばないようにに水の供給条件などを設定したりすることは難しいことであった。従来の固形培地方式においては、栽培に非常に手間がかかるという問題があった。砂や礫などの培地には、植物は根を張りにくく、そのため収穫率が悪かった。また、植物が病気になりやすく、絶えず監視の目を怠ることができなかった。更に、水管理が難しく、しばしば大量の排水を排出したり、或いは逆に水不足を起こすという問題もあった。 【0006】現在、屋上及び地上緑化用の施設栽培用の培地として、特に屋上緑化用として軽量で保水性に優れた培地の中から、様々な用途や目的に応じてさまざまな培地が検討されているが、養液を多量に必要とせず、また養液を滞留させることがなくて病気を発生させにくいなどの点から、軽石を培地として使用することが提案されている。しかしながら、培地として軽石を使用するとしても、どのような物性を有する軽石が施設栽培用培地として適しているか、或いはどの程度の粒度のものが適しているかという研究はこれまで行われていない。本発明は、特に屋上緑化用の固形培地方式の栽培法において軽石を培地として用いる場合の最適の物性及び粒度を見出し、栽培にほとんど手間がかからず、水管理が容易で、基本的には排液を発生することのない屋上及び地上緑化用培地を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明者等は、軽石の種々の物性の屋上及び地上緑化用培地に及ぼす影響について鋭意検討を行った。種々の培地の中で、粒状の火山性軽石を培地とすると、培地の透水性が良好で、軽量であり、また粘着性がないことから、栽培作業が簡便になる利点がある。また、この粒状軽石の培地は、土と比べると根圏に対する養分の補給機能が少なく、肥料成分の保持機能も低いが、養液を滴下チューブによって適宜供給することにより、作物を含めた隔離床からの水分の蒸発量とほぼ等しい液滴供給量で適正な水分状態を維持できる利点がある。したがって、極めて少量の水と極めて少ないエネルギーで栽培を行うことができる。 【0008】軽石とは、火山噴火で、流紋岩、安山岩などのケイ長質マグマが空中に噴出されるときに、急激な圧力の低下によってマグマ中の揮発分が放出され、多数の気孔が生じたガラス質の岩石を言い、小孔のある泡のような外観を呈する無数の小さな穴を有することを特徴とする。軽石は、通常その産地で区別される。その理由は、軽石の原料となる岩石の種類の違いによって、その物性が異なるからである。軽石が安山岩を主成分とする場合には優黒質気味であるのに対して、流紋岩を主成分とする場合には白ないし淡灰色を示し、後者の方がより多孔質である。 【0009】本発明者らは、屋上及び地上緑化用固形培地方式において用いる培地としての軽石の種々の特性について研究を行った結果、飽和透水係数及び通気係数に着目し、飽和透水係数が0.1〜1.0cm/sec、通気係数が乾燥資料及び湿潤資料で5〜60cm/secで、また屋上緑化用の軽量性の観点から、軽石の嵩比重が0.3〜0.8の粒状軽石を用いることにより、極めて優れた栽培用培地を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。かかる範囲内の物性を有する粒状の軽石から構成される栽培培地は、作物の根の吸水作用、呼吸作用に理想的な環境条件を具現し、更に培地中に好気性条件が維持されて嫌気性菌の繁殖を抑制し、根の病気の発病を抑制するという効果を発揮する。 【0010】すなわち、本発明は下記の構成からなるものである。 (1)屋上及び地上緑化用培地として、通常の土より嵩比重が小さく、軽石の嵩比重が、0.3〜0.8である粒状軽石から構成されることを特徴とする屋上及び地上緑化用培地。 (2)前記粒状の軽石は、飽和透水係数が0.1〜1.0cm/sec、通気係数が乾燥試料及び湿潤試料で5〜60cm/secであることを特徴とする前記(1)に記載の屋上及び地上緑化用培地。 (3)前記粒状の軽石が、1〜10meq/100gの陽イオン交換容量を有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の屋上及び地上緑化用培地。 (4)前記粒状の軽石が、0.1〜10mmの粒径を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の屋上及び地上緑化用培地。 (5)前記粒状の軽石が、採掘後に乾燥工程を施されて5.0%以下の含水率を有するように調整されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の屋上及び地上緑化用培地。 (6)更に炭を配合したことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の屋上及び地上緑化用培地。 【0011】 【発明の実施の形態】上述したように、本発明に係る栽培用培地は、軽量で、飽和透水係数及び通気係数が所定の範囲内にある粒状の軽石から構成されることを特徴とする。本発明に係る栽培用培地において用いられる軽石は、0.1〜1.0cm/secの範囲内の飽和透水係数を有することが好ましい。飽和透水係数が0.1cm/sec未満の場合、水の拡散が遅すぎて、培地の水分が不均一になり、古い培養液が滞留して植物の根を傷め易くなり、好ましくない。また、1.0cm/secを超えると、水の拡散が速すぎて、培地から水が抜けてしまい、十分な給水或いは栄養補給が困難となり、好ましくない。「飽和透水係数」は、例えば、「土壌環境分析法」、日本土壌肥料学会監修、土壌環境分析法編集委員会編、博友社刊、1997年第1刷発行、66〜69頁に説明されている。本発明において規定する飽和透水係数は、定水位法によって求める。定水位法による飽和透水係数を測定するために用いられる土壌透水性測定器(例えば、大起理化工業製、DIK−4000)の例を図1に概念図として示す。 【0012】まず、分析する試料を充填した採土円筒1の上部に、ゴムリング2によって定水位ホルダー3を接続する。次に、採土円筒1を水槽4に据え、定水位ホルダー3の排水パイプ6の上方に位置させる。これは、余剰水を排水させるためである。なお、採土円筒1の下部は金網キャップ11によって止められている。水槽の排水口7の下にメスシリンダー8を置き、自在ノズル9を定水位ホルダー3の上に位置させて給水パイプ10から給水を開始する。この時、給水によって試料の土壌面が乱されないように、ろ紙片などで土壌面を保護する。給水は常温のものを用いる。定水位ホルダー内の水位が一定に保たれるように自在ノズル9のコックによって給水量を適度に調節し、メスシリンダー内に一定時間t(sec)の間に流入した水の体積Q(ml)を測定する。測定は2〜3回繰り返して行う。 【0013】試料の飽和透水係数(cm/sec)は、次式によって係数Kとして算出される。 K=Q÷{(A・t・H)/L} (1) 上式中、Qは流量(ml);Aは試料の断面積(cm2 );tは時間(sec);Hは位差(cm);Lは試料の厚さ(cm);である。 【0014】本発明に係る栽培用培地において用いられる軽石は、通気係数が乾燥試料、湿潤試料ともに5〜60cm/secであることが好ましく、20〜30cm/secであることがより好ましい。通気係数が5cm/sec未満となると、根に対する酸素供給の低下が起こり、植物に攻撃的な嫌気性菌の増殖を助長するおそれがあり、好ましくない。また、60cm/secを超えると、酸素供給の面からは問題がないが、空隙率が高い為に根と培地とが密着しずらくなる傾向になり、好ましくない。なお、湿潤試料とは、水の飽和状態下で24時間放置した直後の試料をいう。 【0015】「通気係数」は、例えば、「土壌物理性測定法」、農林省農林水産技術会議事務局監修、土壌物理性測定法委員会編、養賢堂刊、1978年発行、下巻270〜273頁に説明されている。土壌の通気係数を測定するための装置の概念図を図2に示す。実際の測定には、例えば大起理化工業製の土壌通気性測定器DIK−5001などを用いる。図2において、12は試料の入っている円筒で、厚いゴム板13の中に密着するように挿入してある。ゴム板13は、ガラス容器14の上に気密を十分保たせてのせる。水中マノメーター16で試料の入口圧力と出口圧力の差(P2−P1)(水頭cm)を測定しながら一定量(Qcm3 )の空気をガスメーター15で計量しながら試料に通気して、通過時間t(sec)を測定する。流路面積をAcm2 、流路長をLcmとすると、通気係数Ka(cm/sec)は次式で求められる。 Ka=Q×L/{(P2−P1)×A・t} (2) 【0016】更に、本発明に係る栽培用培地において用いられる軽石は、1〜10meq/100gの陽イオン交換容量を有することがより好ましい。なお、本明細書においてmeq/100gは100gの乾土あたりのミリ当量をいう。陽イオン交換容量が1meq/100g未満の場合には、保肥力が小さく収穫率が悪くなるので好ましくなく、また、軽石の組成上、陽イオン交換容量が10meq/100gを超えることはほぼ無い。陽イオン交換容量の測定は、例えば、上述の「土壌環境分析法」208〜210頁に記載のセミミクロSchollenberger法(pH7.0の1M酢酸アンモニウムを用いたSchollenberger法を10分の1に縮小した方法)を用いて行うことができる。Schollenberger法では、浸透管に土壌カラムを作成し、酢酸アンモニウム中のNH4 + で交換性陽イオンを交換・浸出した後、エタノールで余剰の酢酸アンモニウムを洗浄し、次いで塩化ナトリウム液でNH4 + を浸出し、水蒸気蒸留・滴定等によってNH4 + を定量し、吸着NH4 + をもって陽イオン交換容量とする。 【0017】本発明者らの研究により、軽石は、0.1〜10mmの範囲の粒径を有する場合に、上記に規定する範囲の適度な飽和透水係数、通気係数及び陽イオン交換容量を有する場合が多いことが分かった。とりわけ、鹿児島県地方のシラス軽石で上記の範囲の粒径を有するものは、上記に規定する適度な飽和透水係数、通気係数及び陽イオン交換容量を有することが分かった。例えば、粒径0.1mm以下の軽石粒子は、通気係数が乾燥試料で10cm/sec近辺、湿潤試料で2〜5cm/secである。したがって、0.1mm以下の粒径の軽石粒子を用いると、特に湿潤状態で通気性が著しく悪くなる。粒径が0.1〜10mmの範囲では、乾燥試料、湿潤試料ともに、安定して優れた通気係数が得られる。 【0018】粒径は、例えばJIS Z8801記載の試験用標準篩を用いて分ける。粒径0.1〜10mmの軽石は、JIS Z8801の呼称寸法10mmの篩を通過し、呼称寸法0.1mmの篩を通過しない大きさのものをいう。篩い分けは常法によって操作し、粒径値は、事実上の主たる粒子の粒径値を指す。全重量中に10体積%以下の割合で微粉末を含んでいることは問題にはならず、このような軽石も、本発明の範囲内に含まれる。したがって、本発明に係る屋上及び地上緑化用培地において用いられる軽石は、0.1〜10mmの範囲の粒径を有し、且つ、0.1〜1.0cm/secの範囲内の飽和透水係数を有し、更に通気係数が乾燥試料、湿潤試料ともに5〜60cm/secを有することが特に好ましい。更には、本発明に係る屋上及び地上緑化用培地において用いられる軽石は、上記の範囲の粒径を有し、且つ、1〜10meq/100gの陽イオン交換容量を有することが更に好ましい。粒径が0.1mm未満の軽石は、しばしば陽イオン交換容量が1.0meq/100g未満に下がる。 【0019】シラス軽石については、例えば、「土の環境圏」、岩田進午ら監修、(株)フジテクノシステム発行、1997年、30〜32頁にその定義と共に説明がなされている。これによれば、「シラス」とは、「後期沙羅更新世の大規模なカクデラ火山から噴出した火砕軽石流堆積物の非溶結部またはその2次堆積物」の総称であり、我が国においては、南九州のものがよく知られている。また、これ以外にも、屈斜路湖、十勝岳、支笏湖、洞爺湖、十和田湖、阿蘇山などのカルデラ火山周辺に同様のシラスが分布するが、国土庁の土地分類基本調査等の表層地質図では軽石流堆積物として図示されている。図3にシラス軽石の500倍拡大顕微鏡写真を、図4に砂粒の500倍拡大顕微鏡写真を示す。図3及び図4を比較すると、シラス軽石の多孔質性が確認される。 【0020】また、本発明に係る屋上及び地上緑化用培地に用いられる軽石は、上記に説明したように、粒径0.1〜10mmの範囲で採掘及び選別し、直ちに含水率を5.0%以下になるように乾燥工程を施したものが更に好ましい。したがって、本発明の他の態様は、飽和透水係数が0.1〜1.0cm/sec、通気係数が乾燥試料及び湿潤試料で5〜60cn/secの粒状の軽石を、採掘後に乾燥工程を施して5.0%以下の含水率を有するように調整された軽石から構成される屋上及び地上緑化用培地に関する。 【0021】採掘された軽石は、空隙部分などに有機物や微生物などが付着していたり、或いは取り扱い中に付着したりするので、これが栽培の際に悪影響を与えたり、これらの有機物や微生物などの存在によって軽石の物理性及び化学性が不安定になる場合があるが、このように採掘直後の軽石に乾燥工程を施することにより、軽石の物理性及び化学性を安定させると共に、微生物の繁殖を防ぐことができ、安定した品質を保持できる栽培用培地を提供することができる。乾燥は、加熱炉又は電子レンジ等によって行うことができる。加熱炉を用いる場合には、軽石の温度として最低でも105℃まで加熱すべきで、望ましくは250℃前後で加熱することが好ましい。また、電子レンジを用いる場合には、工業用で出力の大きな電子レンジを用いる必要がある。加熱時間は、軽石の含水率が5.0%以下になる時間とする。軽石中に初期に含まれている水の量が異なる場合が多いので、安全をみて加熱時間を少し長めにとることが望ましい。乾燥工程が終了した軽石は、常温になった時点でビニール等の湿気を遮断する袋に密封して保管することが望ましい。 【0022】土壌の含水率は、以下の式で表される。 含水率(重量%)=(水分重量/湿土重)×100 (3) ここで、水分重量=湿土重−乾土重であり、乾土重は、採取した土壌を105℃で24時間乾燥した後の重量である。なお、乾土重の定義は、上述の「土壌環境分析法」21〜23頁の記載に基づく。 【0023】更に、本発明者らは、上記に説明した所定の物性を有する粒状の軽石から構成される栽培用培地に更に粒状の炭を混合することによって、大規模栽培により一層適した屋上及び地上緑化用培地を提供することができることを見出した。このような混合培地は、培地の物理性及び化学性が軽石培地とほぼ同等の条件で、保水力及び保肥力を大きくして、苗の定植後に生育速度の大きな栽培をさせることができる。したがって、本発明の更に他の態様は、上記に規定する粒状の軽石から構成される培地に、更に炭を配合したことを特徴とする屋上及び地上緑化用培地に関する。 【0024】ここで用いることのできる粒状の炭は、各種の有機性材料を乾留して得られる炭であれば何でもよいが、保水性と保肥性との観点から、多孔質の程度の大きなものが好ましい。本発明の好ましい態様において好ましく用いることのできる炭の形態としては、木炭、竹炭、もみがら炭などをあげることができる。本発明の好ましい態様において炭を加える目的は、保肥性のあまりよくない火山性軽石の欠点を補うものであるので、多孔質の程度が高く、保水力及び保肥力の高いものであることが好ましい。また、例えば、農業副産物を炭化したもの、具体的には例えばビール粕(かす)を炭化したものを用いると、廃棄物の有効利用にもつながり、極めて好ましい。更に、本発明の好ましい態様に係る栽培用培地において用いる炭は、その有効利用の観点から、循環して再利用することが好ましい。 【0025】炭の粒度は、軽石の粒度と同程度でよいが、炭の多孔質の状態、軽石に対する配合割合などによって、適宜選択することができる。炭の好ましい粒度は1〜5.6mmの範囲がよいが、平均粒径はその状況によって選択する。軽石と混合した際に均一に混ざり合うような平均粒径を有する炭が好ましい。軽石と炭との配合割合は、栽培する作物との関係で種々選択することができるが、一般に、軽石の質量に対する炭の質量が0.1〜0.5倍の範囲とすることができる。 【0026】 【実施例】以下の実施例によって、本発明の各種態様をより具体的に説明する。これら実施例は、本発明の具体例を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0027】実施例1本実施例で用いた屋上及び地上緑化用栽培装置の概念を図5に示す。450mm×1200mmの広さの栽培ボックス20を設け、鹿児島県算出のシラス軽石21を深さ80mmに充填し、7、8月時期にサラダナAを栽培した。栽培試験は静岡県において行った。用いたシラス軽石21は、5660μmの篩と1000μmの篩とを用いて粒径1.0mm〜5.6mmに選別し、加熱炉内で250℃で4時間乾燥したものを用いた。軽石の含水率は0.2%であった。軽石の飽和透水係数は3.4×10-1cm/sec、通気係数は乾燥試料で29cm/sec、湿潤試料で27cm/sec、陽イオン交換容量は3.4meq/100gであった。放水小孔22が所定間隔で周壁に長さ方向に一列に点在する多孔放水管23を、栽培ボックス20の上方に水平に掛け渡し、適宜散水を行った。サラダナを播種して2日後に発芽を確認し、10日後に温室内の栽培ボックス20に定植した。栽培面積は20m2 であった。太陽光を照射しながらかけ流しして栄養(液肥)と水を補給した。定植30日後、1m2 あたり36株の収穫があった。収穫されたサラダナの株のうちの12株の重量を測定した。ここで、株の重量とは、根を除くサラダナの重量である。結果を第1表に示す。 【0028】 【表1】
【0029】比較例1シラス軽石に代えて以下の性状を有する砂を培地として用いた他は、実施例1と同様にサラダナの栽培試験を行った。用いた砂の粒径は0.2〜1.0mm、含水率は0.5wt%、飽和透水係数は3.7cm/sec、通気係数は乾燥試料で59cm/sec、湿潤試料で63cm/sec、陽イオン交換容量は0.9meq/100gであった。栽培面積は10m2 であった。1m2 あたり22株の収穫があり、そのうち12株について重量を測定した。結果を第2表に示す。12株の平均株重量は82.9gであった。実施例1と比較例1とを比較することにより、本発明に係る軽石培地を用いると、砂耕に比べて栽植密度を高くすることが可能で、且つ株当たりの重量を高めることができることが分かる。 【0030】 【表2】
【0031】比較例2鹿児島県産出のシラス軽石を、粒径0.1mm未満に篩選別した試料の飽和透水係数、通気係数、陽イオン交換容量を測定した。飽和透水係数は2.5×10-2cm/secと実施例1で用いたシラス軽石試料の約10分の1以下であった。通気係数は乾燥試料で12cm/sec、湿潤試料で4cm/secであり、特に湿潤試料の通気係数が低かった。また、陽イオン交換容量は1.3meq/100gであった。 【0032】実施例2軽石に木炭を混合した培地を用いた栽培試験を行った。軽石としては、実施例1で用いたものと同じシラス軽石試料を用いた。木炭(ヤシガラ炭)を粉砕して粒径1〜2mmに調整した木炭粒子を準備し、シラス軽石に対して、木炭を重量比で、それぞれ0%(A)、10%(B)、20%(C)、30%(D)、40%(E)、50%(F)となるように混合した培地を形成した。それぞれの培地においてサラダナを栽培した。栽培は沖縄県において行った。5月末に播種し、播種後17日目に定植し、その32日後に収穫した。灌水方法は、点滴かけ流しとし、育苗中は50ミリリットル/株、定植中は60ミリリットル/株の量の灌水を行った。肥料として液肥を施した。それぞれの培地に関して21株を収穫し、株当たりのサラダナの平均重量(根を除いた部分の重量)を求めた。結果を第3表及び図6に示す。 【0033】 【表3】
【0034】第3表及び図6より、木炭を混合しない培地で栽培したサラダナに対して、木炭を混合した培地で栽培したサラダナの重量が株当たり平均20g増大したことが分かる。 【0035】実施例3軽石に木炭を混合した培地を用いた連作栽培試験を行った。軽石としては、実施例1で用いたものと同じシラス軽石試料を用いた。木炭(ヤシガラ炭)を粉砕してシラス軽石試験と同じサイズの分級を行い(粒径1〜5.6mm)、粒度を調整した木炭粒子を準備し、シラス軽石に対して、木炭を重量比で、それぞれ0%(A)、10%(B)、20%(C)、30%(D)、50%(E)、80%(F)、100%(G)となるように混合した培地を形成した。それぞれの混合培地を1鉢について800gとなるように採取し、1リットルのパイレックス(登録商標)製ビーカーに収容して培地とし、それぞれの培地においてコマツナを栽培した。 【0036】栽培は静岡県において行った。播種後約10日目に定植し、その約30日後に収穫した。これを10連作行った。養液として、河川水をベースに養分を添加したものを用いた。添加下養分の割合は、園芸試験場標準処方の培養液(成分濃度:N=16(meq/リットル:以下単位同じ);P=4;K=8;Ca=8;Mg=4)とほぼ同じになるようにした。全ての培地に対して、一つの養液タンクで調整した養液を同じタイミングで同じ量だけ供給するようにした。栽培試験期間中、培地はビニールハウス内に収容した。収穫されたコマツナの株の重量を測定した。結果を第4表に示す。なお、株重量は、10株の重量を測定した値の平均値である。第4表より、シラス軽石100%の培地よりも、10〜50重量%の木炭を配合した混合培地の方が、収穫が増えており、また、連作による作物の収量低下が起こらなかったことが分かる。 【0037】 【表4】
【0038】 【発明の効果】本発明に係る屋上及び地上緑化用培地は、仮比重が一般の土壌(砂質土壌や粘度質土壌)が1.0〜1.3であるのに比べて、例えば粒径範囲が1〜10mmの粒状軽石で嵩比重が0.45〜0.6という、一般土壌に対してその数値が半分以下の粒状軽石から構成されることを特徴とする。従って一般土壌の荷重負荷に対し、屋上及び地上での荷重負荷が半分になり、建造物に対して強度上の問題を起こすことがなく、建築基準法を満たすことが容易であるため、特に屋上緑化用に好適な培地である。本発明に係る栽培用培地を用いて栽培することのできる植物としては、具体的には、野菜、果樹、花卉植物、樹木などを挙げることができる。また、本発明の更に好ましい態様においては、更に培地に炭を加えることにより、培地の保水力及び保肥力が高まり、連作による作物の収量低下を防ぐことができ、長期間に亘って栽培を繰り返すことができるので、農作業が簡略化される。更に、培地の汚染による培地の交換頻度が少なくなることによって、使用済みの培土の廃棄による経済的な負担が軽減される。 【0039】本発明の粒状軽石培地は、植物の栽培に必要な水や培養液の供給が少なくて済むので、建造物の屋上及び地上部分での栽培に必要な灌水装置が簡単となり、また水や培養液の供給による建造物の屋上及び地上部分の損傷が少ないので、建造物の寿命を縮めることがない。本発明の粒状軽石培地は、もともと陽イオン交換容量(CEC)が一般土壌に比べて小さい。屋上緑化や地上緑化の場合は、培地が被覆されていないので、雨が降った場合は、培地に直接大量の水が流れ込み、培地の肥料成分を流出させてしまう。粒状軽石培地はCECが3meq/100g程度なので、一般土壌のCEC15〜30meq/100gの1/10程度であり、雨がいくら降っても肥料成分の流出量が少ない。流出量がCECに比例するのであれば、1/10程度となり極めて肥料の流亡防止効果も大きい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000239 【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
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| 【出願日】 |
平成13年4月18日(2001.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105647 【弁理士】 【氏名又は名称】小栗 昌平 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−315432(P2002−315432A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月29日(2002.10.29) |
| 【出願番号】 |
特願2001−119811(P2001−119811) |
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