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【発明の名称】 底泥置換工法とそのシステム
【発明者】 【氏名】吉田 満宏

【要約】 【課題】環境への影響を最小限に押さえて底生生物が生存しやすい環境を再生する。

【解決手段】連続オーガ23の掘削と同時にケーシング21の下面からは、高圧のエアーが空気ホース36により供給される。連続オーガ23の中空シャフト24の下部の鉛直ノズル29、及び斜ノズル30からは、高圧の海水が噴出される。連続オーガ23によるシルト層の掘削と同時に、高圧の海水によりシルト層の掘削と共に、シルト層を攪拌することになる。この両層の混合、置換により、微生物の活動が活発になり、底生動物である貝類、エビ類等が生息環境が改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】水底の上層の底泥より下層の地盤を置換する底泥置換工法において、スパイラル状の羽根を連続して取り付けたオーガにより、前記底泥より下層の土を掘削して、前記底泥より上層に持ち上げて、前記底泥と前記土とを置換することを特徴とする底泥置換工法。
【請求項2】請求項1に記載の底泥置換工法において、前記掘削時に前記オーガを回転駆動する中空シャフトの下端部に配置されたノズルから高圧の水を噴射させることを特徴とする底泥置換工法。
【請求項3】請求項1又は2に記載の底泥置換工法において、前記掘削時に前記オーガの下部に配置されたノズルから空気を吹き込むことを特徴とする底泥置換工法。
【請求項4】請求項1又は2に記載の底泥置換工法において、前記高圧の水は、空気を含んだものであることを特徴とする底泥置換工法。
【請求項5】請求項1又は2に記載の底泥置換工法において、前記土は、シルト、又は砂であることを特徴とする底泥置換工法。
【請求項6】水底の上層の底泥より下層の地盤を置換する底泥置換システムであって、シャフトの周囲にスパイラル状の羽根を連続して取り付けたオーガと、前記オーガを回転駆動するためのオーガ駆動装置とからなることを特徴とする底泥置換システム。
【請求項7】請求項5に記載の底泥置換システムにおいて、前記シャフトが中空シャフトであり、前記中空シャフトの下端部に配置され、高圧の水を噴射させるためのノズルとからなることを特徴とする底泥置換システム。
【請求項8】請求項5又は6に記載の底泥置換システムにおいて、前記掘削時に前記オーガの下部に配置され、空気を噴射させるためのノズルとからなることを特徴とする底泥置換システム。
【請求項9】請求項5又は6に記載の底泥置換システムにおいて、前記オーガの外周に前記オーガを収納するオーガーケーシングが配置されていることを特徴とする底泥置換システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海底、湖底、河川等の底泥をそれより下層の土であるシルト、砂等と置換する底泥置換工法とそのシステムに関する。更に詳しくは、海底、湖底、河川等の底泥、汚泥をそれより下層の砂、シルト等の土と置換して、同時に水、空気と混合させて底生生物の生息環境を改善するための底泥置換工法とそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】ダム建設による土砂の流出量の減少、生活排水による汚染等の理由で近年河川・湖沼・ダム・港湾等の底に、底泥、不溶性の有機物を含む汚泥(ヘドロ)が堆積する地域が出現している。この底泥、汚泥は汚染が進むと底生生物、即ち水域に生息する生物のうちで水底に生活するものが少なくなる。従って、海底・湖底・河床を構成する堆積物や基盤の岩石である底質は、底生生物が生存しやすい環境が望ましい。特に、底質の環境が悪化すると、底生動物である貝類、エビ類等が減少し漁業にとっても打撃となる。
【0003】長期的には、下水道の完備、流入河川からの適度な水量の確保、河川の岸、湖岸に生育するヨシ、マコモ等の植物を利用した植生浄化等の対策が重要である。しかしながら、既に汚染された河川・湖沼・ダム・港湾等の底質を浄化するには当面は間に合わない。
【0004】このために、河川・湖沼・ダム・港湾等において、堆積した底泥、汚泥を浚渫する方法も提案されている。例えば、浚渫した底泥、汚泥は、グラブバケットを用いて浚渫し、空気圧送により目的場所まで輸送し、土砂輸送管途中から固化剤を添加し、管内固化処理を行うことにより軟泥土を固化する方法が提案されている。これらの方法は、新たに処理された底泥、汚泥を処理するという問題も残る。
【0005】更には、元々自然に堆積したものを人工的に取り出すと、生態系を壊す可能性も否定できない。また、高圧水をシルト層、砂層に吹き込み、このシルト、又は砂をガイド管に沿ってリフトして、底泥の上層にリフトして底泥をカバーする方法も提案されている。しかしながら、この方法は、リフトしやすい地層の場合は、問題がないが粘着質のシルト、砂のようなときは効率的に置換はできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、環境への影響を最小限にし、しかもエネルギーコストが少なくして底泥、汚泥の堆積を除去、又は底生生物が生存しやすいように活性化することが望ましい。本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
【0007】本発明の目的は、環境への影響を最小限に押さえて底生生物が生存しやすい環境を再生するための底泥置換工法とそのシステムを提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、エネルギーコストが少なくして、かつ環境への影響を最小限に押さえて底生生物が生存しやすい環境を再生するための底泥置換工法とそのシステムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。本発明の底泥置換工法は、水底の上層の底泥より下層の地盤を置換する底泥置換工法において、スパイラル状の羽根を連続して取り付けたオーガにより、前記底泥より下層の土を掘削して、前記底泥より上層に持ち上げて、前記底泥と前記土とを置換する前記掘削時に前記オーガを回転駆動する中空シャフトの下端部に配置されたノズルから高圧の水を噴射させると良い。前記掘削時に前記オーガの下部に配置されたノズルから空気を噴射させると、掘削土に対する空気の攪拌と、空気の上昇に伴って掘削土を上層にリフトする。前記土は、シルト、又は砂である。
【0010】前記掘削時に前記オーガの下部に配置されたノズルから酸素、又は酸素を含んだ空気を吹き込むと、前記底泥、前記底泥より下層の土の中の好気性微生物の活動を活発化させることができる。本発明の底泥置換システムは、水底の上層の底泥より下層の地盤を置換する底泥置換システムであって、シャフトの周囲にスパイラル状の羽根を連続して取り付けたオーガと、前記オーガを回転駆動するためのオーガ駆動装置とからなる。
【0011】前記シャフトが中空シャフトであり、前記中空シャフトの下端部に配置され、高圧の水を噴射させるためのノズルとからなると良い。前記掘削時に前記オーガの下部に配置され、空気を噴射させるためのノズルを配置すると、掘削土に対する空気の攪拌と、空気の上昇に伴って掘削土を上層にリフトする。前記オーガの外周に前記オーガを収納するオーガーケーシングが配置されているとより掘削土の置換が円滑である。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態を示すものであり、底泥置換システムを構成する機器の概要を示すシステム図である。底泥置換システムは、海底の底泥をこれより下層の土と置換するためのシステムである。台船1は起重機2等の機材、装置等を搭載し、作業員が乗り込み乗船して作業を行うする船である。台船1の上には、海水を高圧に加圧するためのポンプユニット3、油圧ユニット4、及び油圧ユニット用発電機5が搭載されている。台船1は、作業現場まで運ぶための移動手段であり、推進動力を備えた曳舟で牽引しないとそれ自体では海上を移動できない。
【0013】起重機2は、一端が機体17に軸支持されたブーム6を備え、このブーム6はロープ9により起伏角度位置を調節できる。このブーム6の先端からロープ7を垂らし、このロープ7は巻き取りドラム(図示せず)に巻かれたロープ7の先端のフック11で後述する底泥置換オーガ装置10を吊り上げ、吊り下げする。起重機2の機体17は、水平面内で揺動可能な旋回台8上に搭載されている。旋回台8は、台船1上に固定されている。
【0014】結局、起重機2は、機体17の旋回機能、ブーム6の起伏機能等により底泥置換オーガ装置10を吊り上げ、又は吊り下げて所定位置に位置決めするためのものである。この起重機2の構造、機能の詳細については周知であり説明を省略するる。ポンプユニット3は、海水に垂らした水中ポンプ12により、パイプ13を通して海水を汲み上げて、この海水を高圧に加圧するためのプランジャーポンプ、エンジンを備えた発電機ユニットを内蔵したシステムである。プランジャーポンプは、電動機により所用の回転速度で回転駆動される。
【0015】高圧に加圧された海水は、高圧ホース14により底泥置換オーガ装置10に供給される。油圧ユニット4は、油圧動力を発生するための油圧ポンプである。油圧ユニット4で発生された油圧は、回転方向切替弁15、油圧ホース16を通して底泥置換オーガ装置10に供給され、連続オーガ23を回転駆動するための動力として使用される。
【0016】回転方向切替弁15は、油圧の流れを切り替えて連続オーガ23の回転方向を正転、又は逆転方向に切り替えるための切替弁である。油圧ユニット用発電機5は、油圧ユニット4内の油圧ポンプを駆動するための発電機であり、動力を発生するエンジンであるディーゼルとこれに駆動される発電機とからなる。
【0017】[底泥置換オーガ装置10]図2は、底泥置換オーガ装置10の一部を切断した正面図である。図3は、図2の平面図である。底泥置換オーガ装置10は、海底の下層の土と上層の底泥とを攪拌・混合して入れ替えるためのものである。底泥置換オーガ装置10の上部には、矩形で格子状のフレームからなる本体20が配置されている。本体20は、断面がU字状の溝形鋼で構成され、これを格子状に、ボルトによる固定と溶接により組み立てたものである。この本体20には、2個の円筒状のオーガケーシング21の上端が固定配置されている。
【0018】オーガケーシング21の上端は、吊り部材22の下端により固定されている。従って、オーガケーシング21の上部は開放されている。オーガケーシング21の中心には、連続オーガ23が収納されている。連続オーガ23は、中空シャフト24の外周に螺旋状の羽根25を備えたものである。中空シャフト24の上端は、本体20に固定された軸受26に回転自在に支持されている。
【0019】連続オーガ23の最下端には、2枚の掘削ビット27が180度の間隔で配置されている。掘削ビット27には、波状の歯28が形成されており、海底地盤に食い込むためのものである。中空シャフト24は中空の軸であり、中空シャフト24の下端部には軸線方向に海水を噴射するための鉛直ノズル29、鉛直から鋭角方向に角度α、即ち鉛直斜め下方に海水を噴射するための斜ノズル30が配置されている。
【0020】この海水には、好ましくは微細な泡状の酸素、又は空気を混合したものを噴出させると良い。この混合方法は、例えば、ポンプユニット3のプランジャポンプの吐出側に空気吸引孔を形成し、海水の吐出に伴う負圧で吸引するもの等公知の如何なる方法であっても良い。中空シャフト24の最上端には、継手31が配置されている。
【0021】継手31は、ポンプユニット3で加圧された海水を中空シャフト24に供給するために高圧ホース14と連結用するための継手である。中空シャフト24は、油圧モータ32により回転駆動される。油圧モータ32は、ギヤを介して(図示せず。)中空シャフト24を正転、又は逆転方向に回転駆動する。本体20の上部には、底泥置換オーガ装置10を起重機2で吊るための作業等のために作業員が乗るための足場33が配置されている。
【0022】[低質地盤置換工法]以上のようなシステムにおいて、以下のように工事を行う。海底の上層にシルト層41、その下層に砂層42がある地層において、シルト層(本工法の場合は、上層の汚泥を含むものを意味する。)41と、この下層の砂層42の砂を置換する工法を例にとって説明する。シルト層41を構成するシルトは、砂より小さく粘土よりあらい体積土である。台船1を曳舟で移動させて置換しようとする海域に錨を降ろして固定する。起重機2のブーム6を操作して、ブーム6の先端から垂らしたロープ7の先端のフック11で、台船1上の底泥置換オーガ装置10に固定されたロープ35を吊り上げる。
【0023】底泥置換オーガ装置10は、吊り下げられて海底まで降ろされる。底泥置換オーガ装置10を吊り下げた状態で、油圧モータ32を起動して連続オーガ23を回転駆動させる。同時に、ポンプユニット3から高圧に加圧された海水を高圧ホースを介して中空シャフト24に供給する。連続オーガ23は、回転駆動され、この先端のビット27はシルト層41を掘削する。
【0024】この掘削と同時にケーシング21の下面からは、高圧のエアー(本例では0.7Mpa)が空気ホース36により供給される。更に、連続オーガ23の中空シャフト24の下部の鉛直ノズル29、及び斜ノズル30からは、高圧の海水(本例では15Mpa)、及び酸素、又は空気が噴出される。このために、連続オーガ23によるシルト層41の掘削と同時に、高圧の海水によりシルト層41を掘削することになる。
【0025】同時に、高圧の空気が連続オーガ23に供給されるので、連続オーガ23で掘削された底泥を含むシルト層41に高圧の空気を吹き込むことになる。このために、シルト層41に空気が混合され、好気性微生物の活動を活発にし有機物の分解を促進する。更に、ロープ7を徐々に延ばして底泥置換オーガ装置10の掘削が進行すると、底泥置換オーガ装置10の下部は砂層42に突き当たる。
【0026】このために、連続オーガ23は、砂層42の砂を螺旋羽根25により底泥置換オーガ装置10の上部に移送する。高圧海水も砂を流動化し、かつ高圧空気もケーシング21内に沿って上昇するので、高圧海水と空気は掘削された砂層42の砂を上層にリフトする手助けをする。底泥置換オーガ装置10の上部は、開口40されているのでここから砂層42の砂を流出する(図5参照)。
【0027】この結果、砂層42の砂はシルト層41の上層の底泥と混合、又は置換される。この両層の混合、置換により、汚れた底泥が、砂によりカバーされ、かつ底泥、砂に酸素が吹き込まれて微生物の活動が活発になり、底生動物である貝類、エビ類等が生息環境が改善される。置換が終了して、底泥置換オーガ装置10を引き上げるときは、回転方向切替弁15を操作して、油圧モータ32の回転方向を切り替えて、連続オーガ23の回転を逆回転させながら引き上げる。
【0028】(その他の実施の形態)前記実施の形態では、オーガ23をケーシング21に収納しているが、ケーシング21がないものでも良い。また、本件工法は、底泥、汚泥を含む層とそれより下層の土とを置換することを目的とするものであるから、置換が円滑であれば高圧海水、酸素、空気等の吹き込みは、必ずしも必須なものではない。
【0029】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によると、次の効果が奏される。上層の底泥、汚泥と、下層の土が効率的に置換されると同時に、空気、水、又は海水が攪拌されるので微生物の生息環境も改善される。
【出願人】 【識別番号】390025759
【氏名又は名称】株式会社ワイビーエム
【出願日】 平成13年4月16日(2001.4.16)
【代理人】 【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成 (外2名)
【公開番号】 特開2002−306001(P2002−306001A)
【公開日】 平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願番号】 特願2001−116315(P2001−116315)