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【発明の名称】 自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックとそれを用いた藻場造成構造体および藻場造成方法
【発明者】 【氏名】村上 和美

【氏名】湯浅 幸久

【氏名】前川 明弘

【氏名】辻ヶ堂 諦

【氏名】山田 浩且

【要約】 【課題】例えば、アマモの藻場造成を有利に実現し得る、新規な構造の自己崩壊型コンクリートブロックを提供すること。

【解決手段】廃ガラス等のアルカリシリカ反応性鉱物を、骨材10,12および結合材16の少なくとも一方に採用して、アルカリ刺激による膨張崩壊を積極的に生ぜしめるように調製して、ポーラス構造のコンクリートブロックを得た。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 骨材を結合材で結合して一体形成することにより内部に連続気孔を形成したポーラスコンクリートにおいて、前記骨材および前記結合材の少なくとも一方において、アルカリシリカ反応性鉱物を、アルカリ刺激による膨張崩壊を生ずるのに好ましい配合量で採用したことを特徴とする自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項2】 前記アルカリシリカ反応性鉱物として、廃ガラスを破砕乃至は粉砕したものを採用した請求項1に記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項3】 前記アルカリ反応性骨材の粒度を0.3mm以上とした請求項1又は2に記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項4】 前記結合材において、アルカリ量が0.75重量%以上のセメントを採用した請求項1乃至3の何れかに記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項5】 前記連続気孔を、15%以上の空隙率で形成した請求項1乃至4の何れかに記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項6】 前記連続気孔に土壌や砂等の培地を充填して植栽するようにした請求項1乃至5の何れかに記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項7】 表面に開口するポット状凹所を設けて、該ポット状凹所に土壌や砂等の培地を充填して植栽するようにした請求項1乃至6の何れかに記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック。
【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを水中に設置することにより、藻類の植栽用の基盤を水中に形成したことを特徴とする藻場造成構造体。
【請求項9】 請求項1乃至7の何れかに記載の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックにおける連続気孔に培地を充填して、該培地に対して藻類を播種乃至は植栽すると共に、かかる自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを海水中に浸漬せしめて海底に設置することを特徴とする藻場造成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は、設置後に適当な日数を経過することによって崩壊するようにされて、例えば、海面下で藻類等の植栽を行うに際して好適に採用される自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックと、それを用いた藻場造成構造体および藻場造成方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、海藻類の着生や生育を図る技術の研究は、特に沿岸岩礁域に繁茂するアラメやカジメ,ホンダワラなどの付着海藻類に関して多く為されており、例えば、山から切り出した自然石やコンクリートブロックを海中に投入して、半ば永久的に存在せしめることによって実績を上げている。ところが、地下茎を有するアマモ等の海藻類の植栽に関しては、未だ有効な方策が提案されていないのが実情である。
【0003】すなわち、アマモは、海岸近くの浅瀬の砂地に対して、地下茎を砂地内に発達させて植生することから、付着海藻類のように自然石やコンクリートブロックを海中に投入することによっては、有効な着生等が実現され難く、たとえ播種や植苗しても、地下茎が未発達の状態で、漁網等による削り取りや、漂砂,海流による砂地の流失などに晒されることによって、有効な生育が見込めないのである。
【0004】なお、このような問題に対処するために、特開平8−242717号公報や特開平9−74939号公報,特開平9−191784号公報等には、アマモ等の藻場造成構造が提案されているが、これらの何れも、砂地の表面に展張設置した網状体を、金属やコンクリート製の重量物からなる固定重りによって固定した構造とされているに過ぎず、海流による砂地の流失と、それに伴う未着生状態のアマモの流失などの問題に対して、満足できる程の効果を発揮し得るものでは、決して無かったのである。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、例えばアマモ等の藻場造成などに有利に適用され得る、従来にない新規な構造の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを提供することにある。
【0006】また、本発明は、かかる新規な構造の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックの用途発明として、新規な藻場造成構造体および藻場造成方法を提供することも、目的とする。
【0007】
【解決手段および発明の具体的構成】以下、このような課題を解決するために為された本発明の特徴とその具体的構成を記載する。なお、以下に記載された本発明の特徴や具体的構成は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の特徴および具体的構成は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】先ず、自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックに関する本発明の特徴とするところは、骨材を結合材で結合して一体形成することにより内部に連続気孔を形成したポーラスコンクリートにおいて、前記骨材および前記結合材の少なくとも一方において、アルカリシリカ反応性鉱物を、アルカリ刺激による膨張崩壊を生ずるのに好ましい配合量で採用した自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックにある。
【0009】すなわち、コンクリートブロックは、従来から、強度や耐久性,造形自由度性,コスト性などが非常に優れていることから、各種構造体の強度部材を始めとして、土木・建築の分野をはじめとして広く採用されているが、コンクリートブロックは、長い歴史において、専ら耐久性を高めることに努力されてきており、例えば、JIS規格においてさえ、専ら、セメントのアルカリ量を制限したり、骨材の材質を制限することによって、コンクリートの耐久性低下の主な原因であるアルカリ骨材反応を可能な限り抑えるように規定されていることからも、明らかである。
【0010】ところが、前述の如きアマモ等の藻場造成という極めて困難な技術的要求に際して、本発明者等が、従来からの「コンクリートブロックは、可能な限り強度と耐久性が優れている方が望ましい」という考え方を離れて発想の転換を図ったことによって、今回、新たな革新的な技術に到達するに至ったのであり、以て、上述の如き、新規な構造の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックに係る発明を完成し得たのである。
【0011】ここにおいて、上述の如き構造とされた本発明に係る自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックは、いわば「崩壊することを予定したコンクリートブロック」乃至は「積極的に崩壊させるようにしたコンクリートブロック」であって、特に、従来ではコンクリートの技術分野において欠点としか考えられていなかったアルカリ骨材反応を、積極的に利点として利用するという、180度の発想の転換のもとに、コンクリートの技術分野で専らタブー視されてきたアルカリシリカ反応性鉱物を積極的に活用し、しかも、連続した多孔質構造のポーラスコンクリートと組み合わせたことによって、従来にない、全く新規を構造と特性を有する自己崩壊型のポーラスコンクリートを実現することが出来たのである。
【0012】そして、このような本発明に係る自己崩壊型ポーラスコンクリートにおいては、ポーラス構造であって連続した多孔質構造を有しているが故に、例えば、その孔内にアマモ等の地下茎を成長させて入り込ませることにより、地下茎を有する海藻の培地用の基盤を有利に形成し得ることに加えて、上述の如き自己崩壊型であることから、例えば、アマモ等の海藻の地下茎が十分に発達するまでの間だけ重量剛体製の人口的なブロック構造体からなる藻場を与える一方、或る期間の経過によって地下茎が十分に発達した後は、特別な作業を必要とすることなく、かかるブロック構造体を崩壊させて自然に近い状態として、環境への悪影響を回避することが可能となるのである。
【0013】また、自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックに関する本発明においては、アルカリシリカ反応性鉱物として、廃ガラスを破砕乃至は粉砕して採用することが、可能であり、それによって、廃棄物の処理が問題となっている廃ガラスを有効活用することが可能となり、廃棄物のリサイクルが有利に実現され得るのである。
【0014】ここにおいて、本発明において採用される廃棄ガラスは、瓶ガラスの他、板ガラスや鉛クリスタルガラス,照明用ガラス,理化学用ガラス,繊維用ガラス等の各種のガラスを含むが、特に、アルカリシリカ反応が顕著なものが有効である。特に、瓶ガラスのリサイクルが進んでいない現状では、廃棄物としての瓶ガラスは、その体積を減小させるために多くの処分場で破砕されてカレットの状態として放置されているのが実態であり、そのような廃ガラスを、本態様において有効活用することが可能となるのである。
【0015】さらに、自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックに関する本発明において採用されるアルカリシリカ反応性鉱物としては、上述の如き廃ガラスの他、従来からアルカリ反応性骨材として公知の各種のアルカリシリカ反応性鉱物が採用可能であり、具体的には、例えば、陰微晶質石英,玉髄,オパール,火山ガラス,クリストバライト,トリジマライト等が知られている。これらのうち、陰微晶質石英と玉髄は堆積岩に含まれることが多いと共に、その他の鉱物は火山岩に含まれることが多く、特に国内でアルカリシリカ反応が原因とされた被害の実例が多い岩種が、安山岩とチャートであることを考慮して、本発明においては、それら安山岩やチャートが、好適に採用され得る。なお、アルカリシリカ反応性鉱物であるか否かの判断は、例えばJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の付属書により規定されている化学法およびモルタルバー法により容易に判定することが可能である。
【0016】ここにおいて、上述の如き本発明で採用され得るアルカリシリカ反応性鉱物は、それを産出する地層や岩脈により、問題となる程のアルカリシリカ反応性を有するか否かを分類することが可能であり、従来においては、アルカリシリカ反応性鉱物であると判断された場合、それらの分別された岩石は、廃棄物として処理されており、リサイクルは現実的に為されでいないのが状況であることから、本発明は、こうした岩石の有効利用という新たな技術的効果も期待することができるのである。
【0017】また、コンクリートにおけるアルカリ骨材反応は、一般にセメントや海水等から供給されるアルカリ金属によって反応性を持つ骨材がアルカリ珪酸塩ゲルを生成して、水により膨張する化学反応であり、これによって、結合材を破壊してコンクリートブロックを自然崩壊にまで至らせることが可能である。そして、かかるアルカリ骨材反応は、コンクリートにおける極めて大きな問題点として従来から多くの研究や実験、検討が行われて来た実績と成果があることから、本発明では、これらの成果を反対の技術的観点から活用することが可能である。例えば、アルカリシリカ反応性鉱物からなるアルカリ反応性骨材は、鉱物の種類やその含有率の違いにより、膨張量等を指標として、劣化の程度がすでに分類判定されており、多くのデータが存在することから、それらの公知の各種データを適宜に利用することによって、本発明に従う構造とされた自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックが自然崩壊する時期を、或る程度、予測したり、コントロールすることが可能となる。なお、廃ガラスをアルカリシリカ反応性鉱物として採用する場合には、骨材として採用する場合と、結合材への混合材として採用する場合の何れにおいても、骨材乃至は結合材に対して好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは25重量%の割合で採用されることとなり、特に骨材として採用する場合には、50重量%以上の割合で採用することが一層望ましい。
【0018】さらに、アルカリシリカ反応性鉱物の粒径も、アルカリシリカ反応に影響することとなり、本発明者等が検討したところ、材質にもよるが、一般に、有効なアルカリシリカ反応を生ぜしめるためには、アルカリ反応性骨材の粒度を0.3mm以上とすることが望ましく、特に好適には0.3〜30.0mmの粒度が採用される。なお、本発明においてアルカリシリカ反応性鉱物として好適に採用される廃ガラスは、一般に、その破砕されている粒径が、粉砕機の種類にも依存するが、3〜20mm程度とされていることから、これをそのまま、或いは必要に応じて表面に付着する紙等の汚染物を洗浄等で除去するだけで、利用することも可能である。
【0019】また、本発明においては、アルカリシリカ反応性鉱物を骨材として採用することも、結合材として採用することも可能であるが、骨材として採用する場合には、連続気孔を有利に形成すること等の目的のために粗骨材程度乃至は細骨材程度の粒径とすることが望ましく、具体的には、従来から指標として採用されている骨材粒度で示すと、単粒度砕石の粒径である5号(13〜25mm)、6号(5〜13mm)または7号(2.5〜5mm)程度が好適に採用される。一方、セメントペースト等からなる結合材に配合する場合には、ポーラスコンクリートの製造性等の点から、5mm以下の粒径とすることが好ましく、より好適には2.5mm以下の粒径とされる。
【0020】更にまた、本発明において、結合材に採用されるセメントは、特に制限されることなく、各種ポルトランドセメントや高炉セメント,アルミナセメント,フライアッシュセメント,スラグセメント,シリカセメント,マグネシアセメント等の何れもが採用可能であるが、好適には普通ポルトランドセメントや高炉セメントが好適に採用される。そこにおいて、従来のコンクリートでは、アルカリ骨材反応を惹起し易いことを理由に採用されていなかった高アルカリのセメント、例えば全アルカリ量が0.75%を越えるようなセメントも、有利に採用され得る。また、接合材には、セメントの他、シリカフューム等の混和材や活性持続ポリマ等の混和剤などが、適宜に配合され得る。
【0021】なお、アルカリ骨材反応を起こすために必要とされるアルカリは、コンクリートの材料中に含まれるアルカリ金属イオンだけでなく、海水や融氷剤等に含まれるアルカリとして外部からも容易に、特にコンクリートブロックの設置環境によっては極めて容易且つ豊富に供給され得ることから、本発明においては、低アルカリのコンクリートを採用することも可能である。
【0022】特に、本発明は、ポーラスコンクリート構造を採用したことから、外部環境の影響をブロック内部に至る全体に亘って効率的に且つ均一に受け易く、例えば海中に設置される場合には、コンクリートブロック内に形成された連続気孔を通じて海水が導かれて通水状態とされることから、アルカリ骨材反応が均一に進行するという特徴がある。
【0023】さらに、本発明においては、連続気孔を、15%以上の空隙率で形成することが望ましく、それによって、例えば本発明に係る自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックによって藻場等を形成するに際して、砂等を連続気孔中に充填して培地を有利に形成することが出来ると共に、海藻等の地下茎の連続気孔への侵入が容易に許容され得て根付きが良好とされ得る。なお、空隙率が大き過ぎると、強度上の問題が発生するおそれがあることに加えて、例えば藻場等を形成するに際して培地の連続気孔内への保持性が低下するおそれがあることから、30%以下の空隙率に抑えることが望ましい。
【0024】なお、目的とする空隙率を実現する方法として、例えば、骨材の成形型への充填時における締め固めで調節することも可能であるが、本発明においては、配合による制御方法が好適に採用される。配合による空隙率の制御方法は、予め骨材の実績率(充填比率)を求め、それ以外の体積から必要とされる空隙の体積を除き、その残りの体積分をセメントのペーストで埋めていく方法をいう。このような配合による空隙率制御方法によれば、締め固めによる制御に比して、空隙率をより高精度に設定,制御することが可能となる。
【0025】そして、本発明に係る自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックは、上述したように、例えば、その連続気孔に土壌や砂等の培地を充填して植栽するようにすることが可能であり、それによって、例えば、地下茎を連続気孔に入り込ませて、藻場等を形成することが可能である。その際、ブロック表面に開口するポット状凹所を設けて、該ポット状凹所に土壌や砂等の培地を充填して植栽することも可能である。
【0026】さらに、本発明は、上述の如き本発明に従う構造とされた自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを水中に設置することにより、藻類の植栽用の基盤を水中に形成してなる藻場造成構造体も、特徴とする。このような藻場造成構造においては、ポーラスコンクリート構造が採用されていることから、地下茎がブロックの内部にまで入り込んで、藻類が強固に付着植生し得る藻場が実現され得るのであり、しかも、アルカリ骨材反応を積極的に利用したことにより、十分に地下茎が発達して地盤に対して十分な付着力が発揮され得るようになった後は、コンクリートブロックが自然に自己崩壊することとなり、自然や漁場環境等への悪影響が可及的に軽減乃至は回避され得るのである。
【0027】また、本発明は、上述の如き本発明に従う構造とされた自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックにおける連続気孔に培地を充填して、該培地に対して藻類を播種乃至は植栽すると共に、かかる自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを海水中に浸漬せしめて海底に設置する藻場造成方法も、特徴とする。このような本発明方法に従えば、上述の如く、地下茎を有する海藻の藻場を、周囲環境に与える影響を軽減乃至は回避しつつ、有利に形成することが可能となるのである。なお、培地に対する藻類の播種や植栽は、結合剤の調製に際して種子等を混合したり、連続気孔に充填する培地に予め種子等を混合しておく他、コンクリートブロックに設けた培地表面への種子のばら蒔きや植生など、各種の手法が採用可能である。
【0028】
【実施例】以下、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明の実施例を記載するが、本発明は、以下の実施例の記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。特に、本発明に従う構造とされた自己崩壊型コンクリートブロックの用途は、何等、限定されるものでなく、以下の実施例に記載のアマモ以外の各種の海藻の藻場造成用に適用可能である他、着生初期の草木を保護するために河岸の法面等に敷設したり、或いは公園等への植樹などに利用することも可能であることは言うまでもなく、その他、構造物の設置前のプレローディング等の盛土を効率的に行うことなど、土木分野などにも適用可能である。
【0029】先ず、廃棄物処分場より回収した他種類の瓶ガラスからなる廃ガラスカレットを水酸化ナトリウム溶液中に浸漬し、表面に付着した不純物を除去した。得られたアルカリシリカ反応性鉱物としての廃ガラスカレットを乾燥した後、網目5mmの篩いを用いて、5mm 以下の細カレットと、5mmより大きい粗カレットに分級した。このようにして得た細カレットを、アルカリ量が0.75%以下の普通ポルトランドセメントを用い、水/ セメント比を21〜23%で調製してペースト先練りで混練したセメントペーストに対して混入することにより、アルカリシリカ反応性鉱物が混入された結合材を得た。
【0030】なお、かかるセメントペーストにおいては、一般的なコンクリートを得る場合に比較して、水/ セメント比が小さいことを考慮して、高性能AE減水剤を1〜5%添加した。また、先練りセメントペーストの混練時間は、廃ガラスカレットを混入していることや水/セメント比が小さいこと等を考慮して、一般的なコンクリート混練時間よりも長く設定することが望ましく、強制2軸型の混練機を採用した本実施例では、状態を見ながら180〜450秒の間で制御した。なお、かかる混練時間は、混練機の形式によっても異なり、より多くの実験を行ったところ強制2軸型では180〜450秒の混練時間が適当であったが、オムニ型では270〜450秒程度が適当であった。
【0031】このようにして得たスラリ状の結合材に対して、骨材としての前記粗カレットとアルカリシリカ反応性骨材である岩石破砕材を投入し、更に混練した。なお、骨材を投入した後の混練時間は、混練機の形式には依存せず、90秒程度の混練時間で充分であり、それによって均質な結合材とすることが可能である。また、本実施例では、骨材中における粗カレットの重量割合を30〜60%とした。
【0032】そして、原料を、成形用型枠に投入し、振動と加圧によって締め固めて、20cm×20cm×10cmの直方体を成型した。なお、かかる成型に際しては、型内容積から予め設定した骨材の充填比率と空隙分の体積を除いた残りの体積分をセメントのペーストで埋めていく配合方法を執ることにより、空隙率の調節を行い、空隙率を15%,20%,25%の3種類に設定して、複数の個体を得た。その後、養生期間を置くことによって、実施例としての自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを得た。
【0033】得られた本実施例の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックについて観察したところ、図1に示されているように、骨材としての粗ガラス10や岩石破砕物12が、ペースト混合材としての細ガラス14を含有する結合材16によって一体的に結合固着された、連続した多孔質構造の空隙18を備えた構造体であることを確認した。
【0034】また、かかる自己崩壊型ポーラスコンクリートブロック構造体のそれぞれについて一軸圧縮試験を行ったところ、その強度は、10〜20N/mm2 の範囲内にあり、実用強度を有することを確認した。
【0035】続いて、埋込資材として海砂(粒径:0.3〜2.0mm)を採用し、図2に示されているように、この埋込資材20を実施例の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックにおける空隙18に充填することによって、培地を構成した。そして、このようにして得られた複数の自己崩壊型ポーラスコンクリートブロックを、常時海水を汲み上げて循環させた水槽に浸漬した実験設備を用いて、かかる培地に対してアマモを播種することにより、栽培育成実験を行った。
【0036】かかる実験に際して、アマモの播種時期は12月を基準とした。また、栽培水温は基本的に制御しないが、厳冬期だけは9 ℃に加温した。栽培日長は制御せず、炭酸ガスは敢えて添加しなかった。
【0037】このような条件下での育成実験の結果、何れの実施例の自己崩壊型コンクリートブロック構造体においても、播種後1〜2週間で、アマモの発芽を観察することが出来、更に、その後、アマモが順調に生育することを確認した。また、試験日程の関係で、具体的なブロック崩壊速度は観測完了していないが、過去のデータから、本実施例に用いた自己崩壊型コンクリートブロックが、何れも、所定時間の経過によって自然崩壊することは、明らかである。
【0038】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた自己崩壊型コンクリートブロックは、従来に無かった技術的着想に基づく新規な構造体であり、かかる構造体を採用することにより、例えば、アマモ類のような地下茎を中心とした生育形態をする海藻の藻場造成も、有利に実現され得るのである。
【0039】また、かかる自己崩壊型コンクリートブロックは、適当な期間の経過によって自然的に崩壊するものであり、特に、骨材として例えば廃ガラスを利用することも可能であり、それによって、現在のところ有効な活用方法が見出されていない廃棄物としての廃ガラスをリサイクル材として有効活用して、自然環境を回復させる、総合的な環境保全型の技術等も、有利に実現可能となるのである。
【出願人】 【識別番号】594156880
【氏名又は名称】三重県
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
【公開番号】 特開2002−291359(P2002−291359A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−99977(P2001−99977)