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【発明の名称】 多連棟型耐候性温室
【発明者】 【氏名】柿沼 秀明

【氏名】山城 正行

【要約】 【課題】事前に製作準備すべき各種部材の種類と使用部材の量を削減するとともに、従来の大型温室の構造強度を維持し得る大型温室の簡潔な軸組み構造を提供すること。

【解決手段】それぞれの長さについてモジュール化された柱2、梁3、谷樋4、棟木5及び垂木6より構成され、棟木と垂木とからなる屋根軸組が梁間に複数構築される多連棟型耐候性温室の軸組構造であって、垂木と谷樋は同一長さモジュールの中で更にその棟方向正面視形状についてもモジュール化されており、これら柱、梁、谷樋、棟木及び垂木が長さ及び形状についてのモジュールが選択されて構築されてなる多連棟型耐候性温室の軸組構造1とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 温室の軸組構造が、それぞれの長さについてモジュール化された柱、梁、谷樋、棟木及び垂木より構成され、前記棟木と前記垂木とからなる屋根軸組が梁間に複数構築される多連棟型耐候性温室の軸組構造であって、前記垂木と谷樋は同一長さモジュールの中で更にその棟方向正面視形状についてもモジュール化されており、これら柱、梁、谷樋、棟木及び垂木が長さ及び形状についてのモジュールが選択されて構築されてなる多連棟型耐候性温室の軸組構造。
【請求項2】 適宜間隔で立設された柱と、間口方向の柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を前記谷樋に他端を前記棟木に連結固定された垂木とより構成され、前記垂木は、前記柱同士の間隔より小さな間隔で多数設けられ、前記谷樋は、その側壁上部に前記垂木材の端部を固定する固定手段を具備してなる多連棟型耐候性温室の軸組構造。
【請求項3】 適宜間隔で立設された柱と、間口方向の柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を前記谷樋に他端を前記棟木に連結固定された垂木とから軸組構造が構成され、屋根面及び壁面にフィルムが展張された多連棟型耐候性温室であって、前記谷樋は、その側壁上部に前記垂木端部とフィルム締着具とを固定する固定装置を具備しており、前記谷樋下方全長に亘って谷樋外面を伝わる結露水を誘導する結露水誘導樋が配設されてなる多連棟型耐候性温室。
【請求項4】 適宜間隔で立設された柱と、間口方向の柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を前記谷樋に他端を前記棟木に連結固定された垂木とから軸組構造が構成され、屋根面及び壁面にフィルムが展張された多連棟型耐候性温室であって、前記谷樋は、その側壁上部に前記垂木材の端部とフィルム締着具とを固定する固定装置を具備しており、該固定装置は、前記フィルム締着具を前記谷樋内面との間に間隙を設けて抱持し、前記屋根面に展張されたフィルム内面を伝わる結露水を前記谷樋内に排出する結露水排出構造を有する多連棟型耐候性温室。
【請求項5】 温室の谷樋にフィルム締着具を固定するための固定装置であって、該固定装置は、上方に向かって湾曲する底板と、該底板両端部から上方に向かって拡開した側壁と、該側壁上端から前記フィルム締着具の外側壁を抱持する包持板とを具備しており、前記上方に向かって湾曲する底板が緊締具の締め付けにより平面とされたとき、前記抱持板が前記フィルム締着具の外側壁を抱持するものであるフィルム締着具固定装置。
【請求項6】 前記フィルム締着具固定装置は、前記上方に向かって湾曲する底板が緊締具の締め付けにより平面とされたとき、一方の前記側壁上端から前記底板の平面と平行する延長舌片が形成されていることを特徴とする請求項5のフィルム締着具固定装置。
【請求項7】 固定基材の基部から第1の方向に向かって離間して設けられた円形軸及び前記基部から第2の方向に向かって離間して設けられた規制部材とからなる雄部材と、その周壁の一部が全長に亘って切り欠かれて開口部を有する断面C字状の筒形軸受及び該筒形軸受の一方の開口端近傍から放射状に伸びさらに前記筒形軸受軸心の円弧に沿って開口部方向に向かって伸び、円弧状内面を有する案内部材とからなる雌部材とからなる固定基材とウィングを連結するヒンジ構造であって、前記筒形軸受の他方の開口端と前記案内部材先端の内面間距離が、前記円形軸と前記規制部材の前記第1の方向における外面間距離より小さく、前記円形軸と前記規制部材の前記第2の方向における外面間距離大きく設定されてなり、前記筒形軸受けが前記円形軸廻りに、前記規制部材が案内部材の前記円弧状案内面に対向する角度範囲で回動自在に係合されてなる固定基材とウィングを連結するヒンジ構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、植物を栽培する多連棟型耐候性温室、特にその軸組構造と、結露水排出構造と、フィルム固定装置と、ウィングのヒンジ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図11に示すように、植物を栽培する大型温室の軸組構造31としては、地面に立設された柱材32と、該柱材32の上端に固定された合掌材33と、該合掌材33の頂点に固定された棟木35と、該棟木35と平行して前記合掌材33上に複数本固定された母屋材34とから大型温室の軸組構造を構成するものが広く知られている。
【0003】また、大型温室の屋根に降り注ぐ雨水を効果的に排水処理するため、前記合掌材両端部位いわゆる谷間に、通常前記母屋材に沿って樋を設ける例が多い。
【0004】この従来の大型温室の軸組構造は、鉛直荷重と合掌材方向の水平荷重は、基本的には合掌材と柱材とで支えられ、棟木方向の水平荷重は、基本的には棟木で支えられる。しかし実際には、前記合掌材は倒く字状の重量物であるので、合掌材と柱材で構成される門型アーチの重心が高い関係から、棟木方向の水平荷重に対抗するためには棟木のみでは強度的に不足するので、棟木と平行して多数の母屋材を設けている。
【0005】また、従来の大型温室では、前記母屋材34上に前記合掌材33と平行して垂木材36が設けられている。しかしこの垂木材36は、大型温室の軸組構造材としてはほとんど機能していない。
【0006】このように、従来の大型温室は、強度的には満足できるものであるが、このものを建築するに当たっては、多くの種類の部材を事前に製作準備し、これら部材を建築現場まで運搬した上で多数の部材を組立加工する必要がある。こうした実状から、大型温室の築造には多くの手間とコストが掛かるという欠点があった。
【0007】他方、上記したものとは別の大型温室(図示せず)、いわゆるダッチライト型といわれる棟木と母屋材と垂木とからなる屋根材が梁間に複数(2個の例が多い)構築される大型温室が、我が国において広く普及しているが、このタイプのものは、屋根材が構造材で構成されていないのでその強度が不足しているため、屋根材に強風、降雨、降雪、地震等によるある程度以上の荷重が掛かると屋根部が倒壊するという事例も発生している。栽培者はこのような温室内では安心して作業に従事できないという問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の実状に鑑み本発明は前記従来技術の欠点を克服すべく、事前に製作準備すべき各種部材の種類と使用部材の量を削減するとともに、従来の大型温室の構造強度を維持し得る大型温室の簡潔で多様性に富んだ軸組構造を提供することを目的とするものである。
【0009】併せて、大型温室の張設すべきフィルムを温室に固定するための新規のフィルム固定装置、新規の温室の結露水排出構造及び新規のウィングのヒンジ構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、多連棟型耐候性温室の軸組構造として、それぞれの長さについてモジュール化された柱、梁、谷樋、棟木及び垂木より構成され、前記棟木と前記垂木とからなる屋根軸組が梁間に複数構築される多連棟型耐候性温室の軸組構造であって、前記垂木と谷樋は同一長さモジュールの中で更にその棟方向正面視形状についてもモジュール化されており、これら柱、梁、谷樋、棟木及び垂木が長さ及び形状についてのモジュールが選択されて構築されてなる多連棟型耐候性温室の軸組構造とした。
【0011】また、多連棟型耐候性温室の軸組構造として、適宜間隔で立設された柱と、間口方向の柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を谷樋に他端を棟木に連結固定された垂木とより構成され、垂木は、柱同士の間隔より小さな間隔で多数設けられ、谷樋は、その側壁上部に垂木材の端部を固定する固定手段を具備するものとした。
【0012】本発明は、多連棟型耐候性温室の結露水排出構造として、適宜間隔で立設された柱と、間口方向の柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を谷樋に他端を棟木に連結固定された垂木とから軸組構造が構成され、屋根面及び壁面にフィルムが展張された多連棟型耐候性温室であって、谷樋は、その側壁上部に垂木端部とフィルム締着具とを固定する固定装置を具備しており、谷樋下方全長に亘って谷樋外面を伝わる結露水を誘導する結露水誘導樋が配設されたものとした。
【0013】また、多連棟型耐候性温室の結露水排出構造として、適宜間隔で立設された柱と、間口方向の柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を谷樋に他端を棟木に連結固定された垂木とから軸組構造が構成され、屋根面及び壁面にフィルムが展張された多連棟型耐候性温室であって、谷樋は、その側壁上部に垂木材の端部とフィルム締着具とを固定する固定装置を具備しており、この固定装置は、フィルム締着具を谷樋内面との間に間隙を設けて抱持し、屋根面に展張されたフィルム内面を伝わる結露水を谷樋内に排出するものとした。
【0014】本発明は、温室の谷樋にフィルム締着具を固定するための固定装置として、上方に向かって湾曲する底板と、該底板両端部から上方に向かって拡開した側壁と、該側壁上端から前記フィルム締着具の外側壁を抱持する包持板とを具備しており、前記上方に向かって湾曲する底板が緊締具の締め付けにより平面とされたとき、前記抱持板が前記フィルム締着具の外側壁を抱持するものとした。また、前記上方に向かって湾曲する底板が緊締具の締め付けにより平面とされたとき、一方の前記側壁上端から前記底板の平面と平行する延長舌片が形成されたものとした。
【0015】本発明は、固定基材とウィングを連結するヒンジ構造として、固定基材の基部から第1の方向に向かって離間して設けられた円形軸及び前記基部から第2の方向に向かって離間して設けられた規制部材とからなる雄部材と、その周壁の一部が全長に亘って切り欠かれて開口部を有する断面C字状の筒形軸受及び該筒形軸受の一方の開口端近傍から放射状に伸びさらに前記筒形軸受軸心の円弧に沿って開口部方向に向かって伸び、円弧状内面を有する案内部材とからなる雌部材とから構成するとともに、前記円形軸と前記規制部材の前記第1の方向における外面間距離が、前記筒形軸受の他方の開口端と前記案内部材先端の内面間距離より大きく、前記円形軸と前記規制部材の前記第2の方向における外面間距離が、前記筒形軸受の他方の開口端と前記案内部材先端の内面間距離より小さく設定され、前記筒形軸受けが前記円形軸廻りに、前記規制部材が案内部材の前記円弧状案内面に対向する角度範囲で回動自在に係合されてなるものとした。
【0016】
【実施例1】図1乃至図3に、主として請求項1乃至請求項2に係る本発明の多連棟型耐候性温室の軸組構造の実施例を示す。図1は、本発明の棟木と垂木とからなる屋根軸組が梁間に複数構築される多連棟型耐候性温室の斜視図で、図2は、図1の屋根軸組が円弧状の垂木からなる点及び天窓を表している点で相違するもののその余の点では全く図1のものと同じである。図3は、図2の天窓が開いた状態を示す温室妻面正面図である。これらの図において1は、棟木と垂木とからなる屋根軸組が梁間に複数構築される多連棟型耐候性温室の軸組構造の全体を示している。以下、この多連棟型耐候性温室の軸組構造の構成要素について説明する。2は柱材で、間口方向及び棟方向に適宜間隔をもって基礎上に立設されている。3はトラス梁で、間口方向に柱材2上端部に固定されている。4は本発明の特徴となす構造材である谷樋で、棟方向に柱材2上端部に固定されている。さらにこの谷樋4は、トラス梁3の柱と柱の中間位置にも谷樋束7を介して連結固定されている。
【0017】以上の多連棟型耐候性温室の基本的な下部構造としての軸組に、さらに上部構造としての屋根組たる棟木材5と垂木材6とが構築されている。この実施例では、垂木材6は、多連棟型耐候性温室の隅部において密に、その他の場所ではそれよりも粗に配設してある。この垂木材6の配置密度は、多連棟型耐候性温室全体に求められる強度、天窓の配置等に応じて設計的に決定すればよい。
【0018】トラス梁3の両端部には、梁自体の高さよりも長く、梁の幅と同幅の取付金具25が溶接にて固定されている。そして、この取付金具25と前記柱材2には、数本のボルトを螺入するためのネジ孔が形成されている。温室を組み上げるときには、柱材2とトラス梁3の取付金具25とに形成された前記ネジ孔を合致させた状態でボルトを螺入して、柱材2とトラス梁3とを連結固定するものである。また、構造材である前記谷樋4は、端部同士が柱材2上で継がれる。この実施例では、その底壁形状がV字状に形成されている。もちろん、単純な水平面としてもよい。そして図6に示されるように、柱材2の頂部には、形状が谷樋4の底壁と同一で、幅及び長さが柱材2よりも大きな支持金具23が溶接固定されている。この支持金具23の上に、断面谷樋4の底・側壁と同形状で長さが前記支持金具23とほぼ同程度の接合金具24を介在して、構造材である谷樋4の端部同士を突き合わせ状態で柱材2上端部に接合するものである。そしてこの支持金具23と、接合金具24と、谷樋4には、数本のボルトを挿入するための孔が形成されているので、該孔を合致させた状態でボルトを挿入ナットを螺合して、柱材2と谷樋4の端部同士を連結固定するものである。11は、温室妻面に立設した妻間柱であり、12は側胴縁、13は柱ブレース、14は水平ブレース、21は竪樋、Hは棟高、hは柱高である。
【0019】今まで説明してきた柱材、梁材、谷樋、棟木、垂木材の長さ寸法は、例えば柱材3500mm、4000mm、梁材8000mm、8200mmのように、それぞれの構造材毎にその寸法がモジュール化されて製作準備されている。また、垂木材については、棟木方向正面視で、直線形、上方凸状湾曲形、屈曲形等の形状についてもモジュール化されている。すなわち、柱材、梁材、谷樋の長さ寸法が決定されて、多連棟型耐候性温室の下部軸組構造が寸法的に確定しても、その上に構築される屋根軸組についてはなお、直線形の垂木を選択して図1に示されるように鋭利な逆W字状の屋根形状とするか、上方凸状湾曲形の垂木を選択して図2,図3に示されるように丸みを帯びた逆W字状の屋根形状とするか、それとも1点屈曲形の垂木を選択して5角形の屋根形状(図示せず)とするか、自由に選択し得る余地が残されている。
【0020】このように本発明は、多連棟型耐候性温室の軸組構造のうち、下部軸組構造を共通するものとしながら、上部軸組構造である屋根軸組を、地域の気象条件、意匠性、コスト等に応じて自由に選択し得て、多様性に富んだものとなっている。また、屋根組について選択肢が多く用意されていて、温室形式において多様性に富んでいながら、屋根軸組そのものがいわば屋根の構造材として機能するようにしたから、屋根材が風速力、積雪荷重等構造計算範囲内の荷重に対して充分に耐え得るものとなっている。
【0021】図2の図面符号6は、図1に示した直線状の垂木が上方凸状湾曲状のものに代えられたものである。また、この多連棟型耐候性温室は、天窓22を具備していることを図2、図3に代表的に明示したもので、この天窓22は上端が棟木5にヒンジ結合されている。このヒンジ結合構造の詳細については後述する。一端を天窓下端に他端をピニオンに駆動されて左右動するラック体24に枢着された支持棒23が天窓22を開閉操作するものである。なお、ラック体24は、柱材2上方部と、トラス梁3の上弦材上に複数個固定された支持体25と同じく上弦材中央位置に固定された谷樋束7中央部を貫通して配置されているものである。さらに、垂木同士を接合するジョイント金具は、垂木の形状の差異に基づいて受け部の形状を変えてあるが、棟木を載置する部位の形状は共通させて、垂木の形状が異なっても棟木を変更する必要はないものとしてある。
【0022】
【実施例2】図4は、図3の天窓部の部分拡大図である。また図5は、天窓枠に設けられた雌部材を、棟木に設けられた雄部材に装着またはそれから離脱するときの様子を拡大して表した図である。以下、図5を参照して、棟木と天窓のヒンジ結合構造について詳述する。棟木5の右肩部基部には、略図面視やや左に傾斜した上方、すなわち第1の方向に向かって前記基部から一定距離離間して円形軸52が形成されている。前記第1の方向とは異なる方向で右方向、すなわち第2の方向に向かって前記基部から前記一定距離より短い距離離間して規制軸53が形成されている。この円形軸52と規制軸53とで雄部材が構成されている。一方、天窓枠22の先端には、その周壁の一部が全長に亘って切り欠かれて開口部227を有する断面C字状の筒形軸受221が形成されている。そして案内部材224が、一方の開口端222近傍から放射状に伸びさらに前記筒形軸受軸心の円弧に沿って開口部227方向に向かって伸びて、円弧状内面226を形成している。筒形軸受221の他方の開口端223と案内部材224の先端225の内面間距離l3は、円形軸52と規制軸53の前記第1の方向における外面間距離l1より小さく、同前記第2の方向における外面間距離l2より大きく設定されている。そして、この天窓枠22を棟木5に装着または離脱するときは、図5に示すように、天窓枠22を所定角度に傾斜させて、筒形軸受221の他方の開口端223と案内部材先端225を結ぶ線が前記第2の方向に平行する位置関係で前記第1の方向へ下降させ、その後案内部材224が規制部材53に係合する方向に回転すればよい。このように、雌部材を雄部材の前記第1の方向へ直線的に移動しその後円形軸52廻りに回転させれば簡単に装着することができ、従来の円形軸52方向からスライドして挿入するものに比べ、格段にその装着操作を簡素化でき、特に重量物である天窓枠を棟木に取り付ける作業を軽減し効率的な施工に資するものである。なお、天窓枠を棟木に装着した後は、規制軸53が案内部材224の円弧状内面226に対向する範囲内で回動するよう、天窓枠22の動きを規制する。このようにすれば、天窓枠22の雌部材は棟木5の雄部材から離脱することはない。
【0023】
【実施例3】図7は谷樋周辺の構造を温室の妻面から見た正面図、図8は図7の一部拡大図、図9はフィルム締着具を固定するための固定装置の斜視図、図10は固定装置の取り付け状態を説明する図である。先ず図6を参照して、谷樋4と垂木材6との接合構造について説明する。谷樋4はそれ自体軸組を構成する構造材で、柱材2の間を撓まずに、しかも棟木5、垂木材6及びフィルムの重量を支えるものである。したがって、それ相応の厚みを有しているものである。この谷樋4は断面略U字状を呈しており、その側壁上部は垂木材6の傾斜角と同一となるように折曲げ加工され、さらにその先端は内方へ折曲げられて折曲先端部とされている。
【0024】一方、垂木材6はこの実施例では丸パイプにて構成されており、その先端は圧壊されて平板とされている。この垂木材6の先端平板は、谷樋4の傾斜側壁外面に緊締具18、19にて固定されるのであるが、その際、谷樋4に沿って棟方向に伸びるフィルム締着具17と、垂木材6に沿って間口方向に伸びるフィルム締着具15を固定するための固定具16を介在して固定される。
【0025】次いで、温室内の結露水を排水する結露水排水構造について説明する。この固定具16は、図4に示されるように、負荷のかからない自然状態で上方に向かって湾曲する底板と、該底板両端部から上方に向かってやや拡開した側壁と、該側壁上端からフィルム締着具の外側壁の形状に倣った形状を有する包持板とを具備している。
【0026】そして、緊締時に底板に負荷がかかったときに、固定具の形状が変化していく様子を図5に示したが、上方に向かって湾曲する底板が緊締具の締め付けにより平面とされたとき、前記抱持板がフィルム締着具17の外側壁を抱持するものである。
【0027】また、図7においては図示を省略したが、この固定具16は、抱持板の基底部からほぼ水平方向に伸びる延長舌片を有している。この延長舌片は、垂木材6に沿って間口方向に伸びるフィルム締着具15を固定するためのもので、該フィルム締着具15の先端をネジ止めしている。なお、図7においては予めネジ孔を形成したものを例示しているが、ドリルネジを使用する場合はネジ孔を設けないで無孔としておいてもよい。このフィルム締着具15は、通常棟方向に10〜15m間隔で設置されるものである。
【0028】そして、温室屋根部に展張されるフィルムは、フィルム締着具15上に沿い、フィルム締着具17側壁上端を乗り越えて該締着具17のあり溝内に締着される。
【0029】そして、フィルム締着具17の最も外方に位置する側壁外面と、フィルム締着具15の最下端との間には、前記固定具16の抱持板が存在するため、間隙が形成、保持される。そこで、谷樋4の折曲先端部をフィルム締着具15の最下端よりも外方に位置させれば、結果的には、谷樋内面とフィルム締着具17の最も外方に位置する側壁外面との間に間隙Sが形成されることとなる。このためフィルム内面を伝わって落下してきた結露水は、谷樋4の内面とフィルム締着具17の最も外方に位置する側壁外面との間に形成された間隙Sを通って谷樋4内に導かれることとなる。
【0030】また、谷樋4下方には、その全長に亘って谷樋外面を伝わる結露水を誘導するための結露水誘導樋20が配設されている。この結露水誘導樋20は、柱材2と前記したトラス梁3上に固定された谷樋束7を貫通して設けられている。このため、谷樋4外面を伝わる結露水についても、完全に温室外へ誘導することができるものである。
【0031】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、多連棟型耐候性温室の軸組構造が、それぞれの長さについてモジュール化された柱、梁、谷樋、棟木及び垂木より構成され、前記棟木と前記垂木とからなる屋根軸組が梁間に複数構築される多連棟型耐候性温室の軸組構造であって、前記垂木と谷樋は同一長さモジュールの中で更にその棟方向正面視形状についてもモジュール化されており、これら柱、梁、谷樋、棟木及び垂木が長さ及び形状についてのモジュールが選択されて構築されるようにしたから、連棟型耐候性温室の軸組構造のうち、下部軸組構造を共通するものとしながら、上部軸組構造である屋根軸組を、地域の気象条件、意匠性、コスト等に応じて自由に選択し得て、多様性に富んだものとすることができる。また、屋根組について選択肢が多く用意されていて、温室形式において多様性に富んでいながら、屋根軸組そのものがいわば屋根の構造材として機能するようにされているから、屋根材が強風、豪雪等構造計算範囲内の荷重に対して充分に耐え得るものとすることができる。
【0032】請求項2に係る発明によれば、多連棟型耐候性温室の軸組構造を、適宜間隔で立設された柱材と、間口方向の柱材同士を連結固定する梁材と、棟方向の柱材同士を連結固定する谷樋と、棟木と、一端を前記谷樋に他端を前記棟木に連結固定された垂木材とより構成し、垂木材を、前記柱材同士の間隔より小さな間隔で多数設けるとともに、谷樋を、その側壁上部に前記垂木材の端部を固定する固定手段を具備したから、母屋材を不要とできて、事前に製作準備すべき部材の種類と、部材使用量を削減するとともに、従来の多連棟型耐候性温室の構造強度を維持し得る多連棟型耐候性温室の簡潔な軸組み構造を提供することができる。
【0033】請求項3に係る発明によれば、多連棟型耐候性温室の構造材としての谷樋下方全長に亘って谷樋外面を伝わる結露水を誘導する結露水誘導樋を配設したので、谷樋外面を伝わる結露水を完全に温室外へ誘導することができる。
【0034】請求項4に係る発明によれば、谷樋はその側壁上部に垂木材の端部とフィルム締着具とを固定する固定装置を具備し、該固定装置はフィルム締着具を谷樋内面との間に間隙を設けて抱持する結露水排出構造としたから、屋根面に展張されたフィルム内面を伝わる結露水を確実に谷樋内に排出することができる。
【0035】請求項5に係る発明によれば、フィルム締着具固定装置を、上方に向かって湾曲する底板と、該底板両端部から上方に向かって拡開した側壁と、該側壁上端からフィルム締着具の外側壁を抱持する包持板とから構成したから、上方に向かって湾曲する底板が自然状態にあるときは図5左図のように無理なくフィルム締着具を挿入することができ、緊締具の締め付けにより平面とされたときには、この抱持板がフィルム締着具の外側壁を確実に抱持することができる。
【0036】請求項6に係る発明によれば、フィルム締着具固定装置を、上方に向かって湾曲する底板が緊締具の締め付けにより平面とされたとき、一方の側壁上端から底板の平面と平行する延長舌片が形成されたものとしたから、1つの固定装置で谷樋に沿って棟方向に伸びるフィルム締着具と、垂木材に沿って間口方向に伸びるフィルム締着具とを確実に固定することができる。
【0037】請求項7に係る発明によれば、固定基材とウィングを連結するヒンジ構造として、固定基材の基部から第1の方向に向かって離間して設けられた円形軸及び前記基部から第2の方向に向かって離間して設けられた規制部材とからなる雄部材と、その周壁の一部が全長に亘って切り欠かれて開口部を有する断面C字状の筒形軸受及び該筒形軸受の一方の開口端近傍から放射状に伸びさらに前記筒形軸受軸心の円弧に沿って開口部方向に向かって伸び、円弧状内面を有する案内部材とからなる雌部材とから構成するとともに、前記円形軸と前記規制部材の前記第1の方向における外面間距離が、前記筒形軸受の他方の開口端と前記案内部材先端の内面間距離より大きく、前記円形軸と前記規制部材の前記第2の方向における外面間距離が、前記筒形軸受の他方の開口端と前記案内部材先端の内面間距離より小さく設定され、前記筒形軸受けが前記円形軸廻りに、前記規制部材が案内部材の前記円弧状案内面に対向する角度範囲で回動自在に係合されるものとしたから、雌部材を雄部材の前記第1の方向へ直線的に移動しその後円形軸廻りに回転させれば簡単に装着することができ、従来の円形軸方向からスライドして挿入するものに比べ、格段にその装着操作を簡素化でき、特に重量物である天窓枠を棟木に取り付ける作業を軽減し効率的な施工に資することができ、また、回動角度を規制部材が案内部材の前記円弧状案内面に対向する角度範囲に規制するだけで、雌部材が雄部材より離脱することはない。さらに、装着したものを外すときは、前記角度規制を取り除くだけで装着したときの姿勢に戻せば簡単に外すことができる。
【出願人】 【識別番号】000218362
【氏名又は名称】渡辺パイプ株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100114100
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 昭
【公開番号】 特開2002−291348(P2002−291348A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−101871(P2001−101871)