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【発明の名称】 セル苗処理剤、セル苗処理方法及びセル苗の定植方法
【発明者】 【氏名】服部 俊雄

【氏名】佐々木 茂雄

【要約】 【課題】生育中のセル苗の健康的な生育を促進し、定植後のセル苗の活着及び生育を促進するセル苗の処理剤及びセル苗の処理方法並びにセル苗の定植方法を提供すること。

【解決手段】活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなるセル苗の処理剤、上記の処理剤にセル苗を浸漬及び/又は上記の処理剤をセル苗に潅柱するセル苗の処理方法及び上記処理剤で処理されたセル苗を定植するセル苗の定植方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 活性炭を分散剤を用いて水中に微細に分散させてなるセル苗処理剤。
【請求項2】 活性炭の平均粒径が100μm以下である請求項1に記載のセル苗処理剤。
【請求項3】 活性炭の含有量が1〜50重量%である請求項1又は2に記載のセル苗処理方法。
【請求項4】 セル苗を請求項1に記載の処理剤に浸漬及び/又は請求項1に記載の処理剤をセル苗に潅注することを特徴とするセル苗の処理方法。
【請求項5】 請求項4に記載の方法で処理されたセル苗を定植することを特徴とするセル苗の定植方法。
【請求項6】 定植後、セル苗に請求項1に記載の処理剤を潅注する請求項5に記載のセル苗の定植方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、育苗容器を用いて野菜苗を健康に成育させるセル成型苗(以下ではセル苗と称する)の処理剤及び処理方法並びにびセル苗の定植方法に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜や花卉の栽培における育苗は極めて重要であり、「苗半作」と言われるように定植までの苗の善し悪しでその後の収量や品質が左右される場合が多い。従来は、各農家は、長年の経験と勘を活かして自ら苗作りを行っていたが、近年は後継者の減少とこれに伴う就農者の高齢化が進み、育苗の煩わしから解放され、栽培に専念したいという要求から分業化が進み、育苗された苗を購入、植え付けるようになってきた。
【0003】種々の育苗方式が検討されているが、なかでもセル苗は、大量の苗を省力的に管理でき、軽量で取扱い易く、輸送性にも優れ、移植に際しても慣行の土付き苗と同様に取り扱え、移植作業の機械化が可能なこと等の理由から、主要な育苗技術となりつつある。
【0004】セル苗は、容器等を用いて根圏培地の量・形状を一定にした成型苗の一つに位置付けられ、小さな容器を意味する「セル」(cell)内で培地を通して根を張らせ、根鉢形成させた苗をいう。通常、野菜等のセル苗は、多数のセルを連結したセルトレイを用いて育苗され、前記の特徴に加えて、単位面積当たりの生産効率が高く、根鉢形成した株を用いることで移植等の定植作業性がよく、植え傷みが少ない等の苗生産のシステム化に有利な特徴を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、セル育苗の野菜等の苗に要求される苗質は、健康な苗(根の成育が充分で、徒長でない等)で、定植後の確実な活着及び成育が期待できることである。本発明者らは、上記苗質のセル苗を提供すべく種々検討した結果、セルで育苗中の苗を活性炭を水中に微細に分散させた処理剤で処理することにより目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、活性炭を分散剤を用いて水中に微細に分散させてなるセル苗処理剤、セル苗を上記の処理剤に浸漬及び/又は上記の処理剤をセル苗に潅注することを特徴とするセル苗の処理方法及びセル苗の定植方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】次に本発明を更に詳細に説明する。本発明が対象とするセル苗は、野菜及び花卉の苗であり、これらのの種類は特に限定されない。本発明のセル苗の処理剤において使用する活性炭は、特に限定されず、例えば、木炭、木材、おがくず、動物の骨、ヤシ殻、石炭等の原料を炭化し、薬品又は水蒸気で賦活して製造された活性炭が挙げられる。又、粉末炭として市販されているもの、粒状炭を粉砕したもの、繊維状のもの等が挙げられる。
【0008】活性炭は、その内部に無数の微細孔を有する多孔質の炭素で、非常に大きな内部表面積を持ち、各種の分子を吸着する性能を有している。活性炭内部の炭素原子の引力(ファンデアワールス力)により、各種の分子が吸着保持される。
【0009】本発明の野菜などのセル苗の処理剤は、活性炭を分散剤を用いて水中に微細に分散させたものである。水性分散液中の活性炭の含有量(濃度)は、特に限定されないが、水性分散液の全重量基準で1〜50重量%が好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。含有量が少なすぎるとセル苗の健康な(充分な根の成育及び茎の成育(徒長しない))成育及び定植後の活着及び成育が不充分となる場合があり、多すぎても含有量に見合った効果は得られず、不経済であるばかりでなく、分散液の安定性も低下する。
【0010】活性炭は分散剤を用いて水中に分散させるが、本発明で使用する分散剤としては、活性炭の分散効果に優れ、且つ安全衛生上の問題がないものであれば、特に制限なく使用することができる。このような分散剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリカゾル等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。又、分散剤の使用量も特に限定されないが、分散液中の濃度が0.01〜20重量%(水性分散液の全重量基準)となる量が好ましい。尚、セル苗の処理に際しては本発明の処理剤を適当な濃度に希釈して使用することもできる。
【0011】活性炭を水中に分散させるためには、ビーズミルやサンドミル等の従来公知の分散手段が使用される。活性炭は、分散液中の平均粒径が100μm以下となるように分散させることが好ましい。
【0012】セル苗の活性炭水性分散液による処理は、例えば、セル苗を活性炭水性分散液に浸漬する(以下ではドブ漬けと称する)方法、セル苗に活性炭水性分散液を潅注する方法、又はこれらの方法を併用する方法等によって行うことができるが、これらの方法に限定されず、セル苗の根が該水性分散液と充分に接触できる方法であれば特に制限されない。
【0013】本発明のセル苗の処理剤は、定植するまでのセル苗の健全育成(発根が良くなり(特に毛細根の発生が多くなる))及び定植後の活着と生育促進に効果がある。処理剤の使用は、定植前は、例えば、幡種前の土壌又は幡種直後の土壌への潅注、更には幡種後定植までの間に適宜潅注すればよく、定植に際しては、例えば、セル苗を処理剤にドブ漬け又は処理剤を潅注処理してから定植し、定植後は植え溝等に適宜潅注することが好ましい。
【0014】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中の部及び%は重量基準である。
【0015】実施例1、比較例1粉末活性炭(太閤活性炭S:二村化学工業社製)25部、アニオン性界面活性剤(デモールP:花王社製)2.5部及び水72.5部をビーズミルで活性炭の平均粒径が10μm以下となるまで分散させ、セル苗処理剤Aを得た。
【0016】1999年6月1日にアスパラガスのセル苗(9cmポット苗2年株使用)を25倍に希釈したセル苗処理剤Aの処理浴に30分ドブ漬けして処理した後、セル苗を引き上げ、同年11月26日まで成育させた。無処理のセル苗との成育対比結果を表1に示す。
【0017】

表1から明らかなように、アスパラガスのセル苗の生育が、活性炭の水性分散液のドブ漬け処理によって促進される。
【0018】実施例2、比較例22000年5月26日、9cmポット苗2年株(アスパラガス)を、実施例1のセル苗処理剤Aの25倍希釈液に1株当たり処理液の量が100mlとなるように20分間ドブ漬けした後ポット苗を引き上げ、その直後に下記の畑に定植した。又、株によっては更に定植後、上記の希釈液を定植苗の土壌に潅注(1株当たりの潅注量400ml)した。定植した株は下記の357株である。
【0019】

【0020】上記の処理したアスパラガスのセル苗を、露地栽培の欠株率33.2%の定植後6年のアスパラガス畑(7a、うね間1.8m×株間35cm)の欠株に定植し、同年12月8日に各区10株について地上部調査及び根重調査を実施した。試験区と処理内容は表2のとおりである。結果を表3に示す。
【0021】

【0022】

【0023】
【発明の効果】以上の本発明によれば、生育中のセル苗を健康的に生育させ、定植後の活着及び生育を促進するセル苗の処理剤及び処理方法並びにセル苗の定植方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【出願日】 平成13年4月2日(2001.4.2)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外2名)
【公開番号】 特開2002−291340(P2002−291340A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−103126(P2001−103126)