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【発明の名称】 接ぎ木装置
【発明者】 【氏名】塩谷 力

【氏名】小川 誠

【要約】 【課題】活着を確実に行わせることができ、括れを生じさせることがなく、台木及び穂木の位置決めを容易に行うことができる接ぎ木装置を提供する。

【解決手段】接ぎ木装置1の保持体2は、弾性素材によって形成され、内部に台木25と穂木26を挿入して繋げる挿入孔3が形成されている。挿入孔3は、長手方向に伸びる複数の面5〜8によって、断面形状が略多角形状に形成され、一つの面5とこれと隣り合う他の面8の接続部30にこれらを分離する割れ目10が形成され、それ以外の面と面の接続部31〜33に切込溝11〜13が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の要件を備えたことを特徴とする接ぎ木装置。
(イ)少なくとも一つの保持体を有すること。
(ロ)この保持体は、弾性素材によって形成され、内部に台木と穂木を挿入して繋げる挿入孔が形成されていること。
(ハ)挿入孔は、長手方向に伸びる複数の面によって、断面形状が略多角形状に形成され、一つの面とこれと隣り合う他の面の接続部にこれらを分離する割れ目が形成され、それ以外の面と面の接続部に切込溝が形成されていること。
【請求項2】 下記の要件を備えたことを特徴とする接ぎ木装置。
(イ)二つの保持体と二つの保持体を連結する連結部とからなること。
(ロ)二つの保持体と連結部は、弾性素材によって一体形成され、二つの保持体の内部に台木と穂木を挿入して繋げる挿入孔が形成されていること。
(ハ)挿入孔は、長手方向に伸びる複数の面によって、断面形状が略多角形状に形成され、一つの面とこれと隣り合う他の面の接続部にこれらを分離する割れ目が形成され、それ以外の面と面の接続部に切込溝が形成されていること。
【請求項3】 連結部から一番離れた位置の接続部に割れ目が形成されていることを特徴とする請求項2記載の接ぎ木装置。
【請求項4】 長手方向に伸びる複数の面の数が4つであり、挿入孔の断面形状が略四角形状であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の接ぎ木装置。
【請求項5】 割れ目を挟んだ両側の面の端縁が略半円状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接ぎ木装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、台木に穂木を繋げ、活着させる接ぎ木装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の接ぎ木装置は、特開平9−294465号公報に開示されているように、円筒状の保持体を有し、台木と穂木を挿入して繋げる挿入孔の断面形状が円形状に形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の接ぎ木装置は、円筒状の保持体の挿入孔が台木と穂木の周面全体を保持するので、少しでも茎径サイズの合わない茎に対しては接ぎ木装置と茎の支持点が少ないため不安定であり、保持上問題があるため活着率が悪いという問題点があった。また、台木と穂木の成長に伴い径が太くなっていくが、保持体の形状の変化が小さいので、台木と穂木が成長しても該接ぎ木装置が外れることがなく、台木と穂木の周面全体を締め付けるようになり、括れが生じるという問題点があった。さらにまた、台木及び穂木の太さに対応して位置決めすることができず、芯がずれ易いという問題点があった。
【0004】本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、台木と穂木の周面の数ヶ所を保持するので、1種類の径のものを用いて多様な茎の径の接ぎ木に対応させることができ、台木と穂木の成長に伴い径が太くなっても、保持体がスムーズに拡がって、括れを生じさせることがなく、台木及び穂木の位置決めを容易に行うことができる、従来にない新規な構造の接ぎ木装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の接ぎ木装置は、上記目的を達成するため、下記の手段を有する。
(イ)少なくとも一つの保持体を有すること。
(ロ)この保持体は、弾性素材によって形成され、内部に台木と穂木を挿入して繋げる挿入孔が形成されていること。
(ハ)挿入孔は、長手方向に伸びる複数の面によって、断面形状が略多角形状に形成され、一つの面とこれと隣り合う他の面の接続部にこれらを分離する割れ目が形成され、それ以外の面と面の接続部に切込溝が形成されていること。
【0006】請求項2記載の接ぎ木装置は、上記目的を達成するため、下記の手段を有する。
(イ)二つの保持体と二つの保持体を連結する連結部とからなること。
(ロ)二つの保持体と連結部は、弾性素材によって一体形成され、二つの保持体の内部に台木と穂木を挿入して繋げる挿入孔が形成されていること。
(ハ)挿入孔は、長手方向に伸びる複数の面によって、断面形状が略多角形状に形成され、一つの面とこれと隣り合う他の面の接続部にこれらを分離する割れ目が形成され、それ以外の面と面の接続部に切込溝が形成されていること。
【0007】請求項3記載の接ぎ木装置は、上記目的を達成するため、上記手段に加え、連結部から一番離れた位置の接続部に割れ目が形成されている。
【0008】請求項4記載の接ぎ木装置は、上記目的を達成するため、上記手段に加え、長手方向に伸びる複数の面の数が4つであり、挿入孔の断面形状が略四角形状である。
【0009】請求項5記載の接ぎ木装置は、上記目的を達成するため、上記手段に加え、割れ目を挟んだ両側の面の端縁が略半円状に形成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】本願発明に係る接ぎ木装置を図面に基づいて説明する。図1は、接ぎ木装置の一つの実施の形態を示す全体斜視図である。図2は、図1の平面図である。図3は、図2のX−X断面図である。図4は、図2のA方向から視た正面図である。図5は、図2のY−Y断面図である。図6は、図1の接ぎ木装置の動きを説明する平面図である。図7は、図1の接ぎ木装置の使用形態を示す正面図である。図8は、接ぎ木装置の他の実施の形態を示す説明図である。図9は、図8のZ−Z断面図である。
【0011】図10乃至図12は、接ぎ木装置の他の実施の形態を示す平面図である。図13は、接ぎ木装置のさらに他の実施の形態を示す平面図である。図14は、図13の一部断面にした正面図である。図15は、図13の接ぎ木装置の使用形態を示す正面図である。図16は、接ぎ木装置のさらに他の実施の形態を示す平面図である。図17は、図16の一部断面にした正面図である。図18は、接ぎ木装置のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【0012】接ぎ木装置1は、図1,2に示すように、少なくとも一つの保持体2を有する。この保持体2は、弾性素材によって形成され、内部に台木25と穂木26を挿入して繋げる挿入孔3が形成されている。挿入孔3は、長手方向に伸びる複数の面5〜8によって、断面形状が略多角形状に形成され、一つの面5とこれと隣り合う他の面8の接続部30にこれらを分離する割れ目10が形成され、それ以外の面と面の接続部31〜33に切込溝11〜13が形成されている。
【0013】なお、接ぎ木装置21は、図13,14に示すように、二つの保持体2,2と二つの保持体2,2を連結する連結部23とからなり、二つの保持体2,2と連結部23は、弾性素材によって一体形成されるようにしても構わない。またかかる場合、連結部23から一番離れた位置の接続部30に割れ目10が形成されるようにしても良い。また、長手方向に伸びる複数の面5〜8の数が4つであり、挿入孔3の断面形状が略四角形状であっても良い。さらにまた、割れ目10を挟んだ両側の面5,8の端縁5a,8aが略半円状に形成されても良い。
【0014】接ぎ木装置1についてさらに詳述する。接ぎ木装置1は、図1乃至図7に示すように、軟質合成樹脂素材又は合成ゴム等の弾性を有する弾性素材によって形成された円筒状の保持体2を有する。この保持体2は、内部に台木25と穂木26を挿入して繋げる挿入孔3が形成されている。挿入孔3は、長手方向に伸びる4つの面5,6,7,8によって、断面形状が略四角形状に形成されている。
【0015】面5とこれと隣り合う他の面8の接続部30にこれらを分離する割れ目10が形成され、面5と面6の接続部31に切込溝11が形成され、面6と面7の接続部32に切込溝12が形成され、面7と面8の接続部33に切込溝13が形成されている。この切込溝11〜13は、略U字状に形成されている。また割れ目10を挟んだ両側の面5,8の端縁5a,8aが略半円状に形成されている。なお、図8,9に示すように、挿入孔3の上下開口15,16周縁に、テーパ面17,18を形成し、台木25と穂木26の差し込みを容易にするようにしても構わない。
【0016】上記実施の形態では、挿入孔3の断面形状を略四角形状に形成した接ぎ木装置1について説明したが、図10に示すように、挿入孔3aの断面形状を略三角形状に形成した接ぎ木装置1a、図11に示すように、挿入孔3bの断面形状を略五角形状に形成した接ぎ木装置1b、図12に示すように、挿入孔3cの断面形状を略六角形状に形成した接ぎ木装置1cであっても構わない。
【0017】上記構成の接ぎ木装置1は、図7に示すように、挿入孔3の下部開口16から斜めに切断した台木25の先端27を挿入孔3の略半分まで挿入し、挿入孔3の上部開口15から斜めに切断した穂木26の先端28を挿入孔3に挿入して、穂木26の先端28と台木25の先端27を繋ぎ合わせる。台木25及び穂木26は、図2に示すように、これの周面の4ヶ所が挿入孔3の面5,6,7,8によって挟持され、先端27,28が繋ぎ合わされた状態で保持される。
【0018】このように、接ぎ木装置1は、茎径が変化しても常に4箇所で台木25及び穂木26を保持するので、活着が確実に行われる。また、台木25及び穂木26の成長に伴い、径がD1からD2に太くなっても、図6に示すように、各面5,6,7,8が接続部31,32,33を中心にして拡がるため、台木25及び穂木26の周面の4ヶ所が挿入孔3の面5,6,7,8によって挟持されている。このように、この接ぎ木装置1は、台木25及び穂木26の太さに関係なく、必ず周面の4ヶ所を面5,6,7,8が中心側に押圧するようにして挟持するので、芯ずれが生じ難い。
【0019】また、この接ぎ木装置1は、面と面の間の接続部の弾性によって、多角形状が保持されている。即ち、接ぎ木装置1は、面5と面6の接続部31の弾性によって面5と面6の角度が保持され、面6と面7の接続部32によって面6と面7の角度が保持され、面7と面8の接続部33によって面7と面8の角度が保持されている。従って台木25及び穂木26の挟持は、上記弾性によって行われるため、台木25と穂木26が太くなると、各接続部31〜33の弾性に抗して各面5,6,7,8が拡がるが、各面5,6,7,8は変形せず、たとえ変形しても僅かなので、各面5,6,7,8は、台木25及び穂木26の周面の4ヶ所を挟持することになる。なお、各接続部31〜33に切込溝11〜13が設けられているので、各面5,6,7,8が拡がり易くなっている。
【0020】この種の接ぎ木装置は、台木25及び穂木26がある程度太くなると、割れ目が大きく開いて自然に外れるが、上記接ぎ木装置1は、割れ目10を挟んだ両側の面5と面8の端縁5a、8aが半円状に形成されているので、台木25及び穂木26から簡単に外れる。
【0021】また、接ぎ木装置21は、図13、図14に示すように、二つの円筒状の保持体2,2とこの二つの保持体2,2を連結する連結部23とからなる構成にしても良い。二つの保持体2,2と連結部23は、軟質合成樹脂素材又は合成ゴム等の弾性を有する弾性素材によって一体形成され、二つの保持体2,2の内部に台木25と穂木26を挿入して繋げる挿入孔3が形成されている。挿入孔3の形状は、上記した通りである。なお、割れ目10は、連結部23から一番離れた位置の接続部30に形成されている。
【0022】また、上記接ぎ木装置21は、前記接ぎ木装置1と同様に、保持体2を片方ずつ使うことができるが、図15に示すように、一方の保持体2の挿入孔3を地面に立てた支持棒35に挿入し、他方の保持体2に台木25と穂木26を挿入して接ぎ木させることができ、この支持棒35によって台木25と穂木26を支えることができる。また、両方の挿入孔3,3の大きさを変えておくことにより、さらに茎径の適用範囲を広げることができる。
【0023】なお保持体2の外側の形状は、特に限定されるものではなく、図1,図13に示すように、円形に形成される他、図16、図17に示すように、保持体2a、2bの外側の形状を略矩形状に形成しても構わないのは勿論であり、両側に配置される保持体2a,2bの挿通孔3d,3eの大きさを変えるようにしても構わない。また、図18に示すように、割れ目10a、10bの位置を連結部23の近い位置に設けても良い。
【0024】
【発明の効果】以上説明してきたように、本願請求項1の接ぎ木装置は、保持体に台木と穂木を挿入して繋げる挿入孔が形成され、この挿入孔が長手方向に伸びる複数の面によって断面形状が略多角形状に形成され、この略多角形の各面が台木と穂木を挟持するので、台木と穂木の周面全体を圧着して保持する従来の接ぎ木装置に比べ、活着を確実に行わせることができるという効果がある。また、各面が台木及び穂木を中心側に向かって押圧するので、位置決めが可能で、芯ずれが生じ難いという効果がある。また、各面と各面の角度は、各面と各面との接続部によって行われ、台木と穂木の成長に伴い太くなると、この接続部を中心として各面が拡がるが、この接続部に切込溝が形成されているため、この広がりがスムーズに行われ、従来の接ぎ木装置のように台木と穂木の周面を圧着して括れを生じさせるようなことはないという効果がある。
【0025】本願請求項2、3の接ぎ木装置は、上記効果を有する保持体を二つ備えており、両方の挿入孔の大きさを変えておくことにより、いろいろな太さの接ぎ木に対応させることができ、また一方の保持体を支持棒に取り付けることにより、他方の保持体での接ぎ木の際に台木及び穂木を支えることができるという効果がある。
【0026】本願請求項4の接ぎ木装置は、長手方向に伸びる複数の面の数が4つであり、挿入孔の断面形状が略四角形状であるので、成形が容易であると共に4つの各面が台木と穂木を中心側に向かって押圧するようにして挟持するので、より一層芯ずれが生じ難いという効果がある。
【0027】本願請求項5の接ぎ木装置は、上記効果に加え、割れ目を挟んだ両側の面の端縁が略半円状に形成されているので、台木と穂木が太くなると簡単に外れるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100081363
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 修治
【公開番号】 特開2002−291337(P2002−291337A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−102548(P2001−102548)