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【発明の名称】 穂木接合部の成形装置及び成形刃
【発明者】 【氏名】南 克司

【要約】 【課題】接ぎ木用ナイフを使用せずに穂木端部を斜めカットして形成層を側方に向け露出させ短時間で良質な接ぎ木用穂木を大量に生産する技術を提供する。

【解決手段】穂木の支持部26と、支持した穂木端部を斜めカットする成形刃11と、成形刃11を駆動する電動モータ4を備え、成形刃11は回転軸への取付け部を中心部に有する円盤状基板部13と、基板部13の正面側において中心部から半径方向に沿って刃先を配置しその刃先に沿って排出口17を開設している。成形刃11を覆う安全カバー21に穂木の挿入口24と支持部26を形成してもよい。穂木の斜めカット部背面側外皮を剥ぎ取る皮むき器を安全カバーまたは本体フレーム1に設けてもよい。基板部13の裏面側において正面側に配置した刃部と交互となる位置に別の刃部と排出口を配置してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 台木に接合して成長させる穂木の接合部を成形する装置であって、穂木の支持部と、支持部で支持した穂木端部を斜めカットする成形刃と、この成形刃を駆動させる駆動手段とを備えたことを特徴とする穂木接合部の成形装置。
【請求項2】 成形刃が穂木の支持部端に近接して該支持部位置を次々と通過させる複数の刃先を有していることを特徴とする請求項1記載の穂木接合部の成形装置。
【請求項3】 成形刃が刃先を平面内で放射状に複数配置して形成されると共にこの刃先を放射状に配置した全体の中心部が駆動手段としての電動モータ回転軸に回転軸に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穂木接合部の成形装置。
【請求項4】 成形刃が安全カバーで覆われ、該安全カバーに穂木の挿入口と支持部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の穂木接合部の成形装置。
【請求項5】 穂木の斜めカット部背面側外皮を剥ぎ取る皮むき器が安全カバーまたは本体フレームに装着されていることを特徴とする請求項4に記載の穂木接合部の成形装置。
【請求項6】 請求項1ないし請求項5の穂木接合部の成形装置に使用する成形刃であって、駆動手段が有する回転軸への取付け部を円盤状板面の中心部に有する基板部と、該基板部の表面側において前記中心部から半径方向に沿って刃先を配置された刃部からなり、前記基板部には前記刃先に沿って排出口が開設されていることを特徴とする成形刃。
【請求項7】 基板部の裏面側において正面側に配置された刃部と交互となる位置に刃部と排出口が配置されていることを特徴とする請求項6記載の成形刃。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、台木に接合して成長させる穂木の接合部を成形する装置およびそれに使用する成形刃に関する。
【0002】
【従来の技術】果実の栽培において生産量の高度維持のため果実の茎をいつも若々しく維持するために接ぎ木を行なっている。この接ぎ木を行なう場合、台木に裂けめを設けて穂木を差し込み固定するが、この穂木の形成層を台木の形成層とよく密着させるため、穂木の差し込み側先端部であって側方側に向け形成層を露出させる必要がある。従来では、接ぎ木用ナイフを手持ちして先端部を斜めカットするように、人手により一本づつ手作りしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】果樹園などでは穂木を大量に必要としているから、日に何千本もの穂木を生産する必要がある。しかしながら、穂木先端に形成層を露出させるためには上記のように接ぎ木用ナイフを手持ちして一本一本そぎ落すような手作業によって行なわれており、このため手や体が大変疲れるし能率も上がらず、人手も余分に必要とするなどの問題があった。また、カット面は波打ちなどがなくできるだけ平滑に仕上げなければならずその維持管理にも手間が掛るという問題があった。
【0004】本発明は、上記した従来の問題点を解決するためになされたものであって、接ぎ木用ナイフを使用せずに穂木端部を斜めカットして穂木の形成層を側方に露出させ、かつ短時間で良質な接ぎ木用穂木を大量に生産できるようにした穂木接合部の成形装置及びそれに使用する成形刃を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明請求項1記載の苗木接合部の成形装置では、台木に接合して成長させる穂木の接合部を成形する装置であって、穂木の支持部と、支持部で支持した穂木端部を斜めカットする成形刃と、この成形刃を駆動させる駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】請求項2記載の穂木接合部の成形装置では、請求項1記載の穂木接合部の成形装置において、成形刃が穂木の支持部端に近接して該支持部位置を次々と通過させる複数の刃先を有していることを特徴とする。
【0007】請求項3記載の穂木接合部の成形装置では、請求項1または請求項2に記載の穂木接合部の成形装置において、成形刃が刃先を平面内で放射状に複数配置して形成されると共にこの刃先を放射状に配置した全体の中心部が駆動手段としての電動モータ回転軸に回転軸に着脱自在に装着されていることを特徴とする。
【0008】請求項4記載の穂木接合部の成形装置では、請求項3に記載の穂木接合部の成形装置において、成形刃が安全カバーで覆われ、該安全カバーに穂木の挿入口と支持部が形成されていることを特徴とする。
【0009】請求項5記載の穂木接合部の成形装置では、請求項4に記載の穂木接合部の成形装置において、穂木の斜めカット部背面側外皮を剥ぎ取る皮むき器が安全カバーまたは本体フレームに装着されていることを特徴とする。
【0010】請求項6記載の成形刃では、請求項1ないし請求項5の穂木接合部の成形装置に使用する成形刃であって、駆動手段が有する回転軸への取付け部を円盤状板面の中心部に有する基板部と、該基板部の正面側において前記中心部から半径方向に沿って刃先を配置された刃部からなり、前記基板部には前記刃先に沿って排出口が開設されていることを特徴とする。
【0011】請求項7記載の成形刃では、請求項6に記載の成形刃において、基板部の裏面側において正面側に配置された刃部と交互となる位置に刃部と排出口が配置されていることを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1および請求項2に記載の穂木接合部の成形装置では、装置が成形刃を有し、この成形刃を駆動手段で駆動させるから、作業者は成形刃に対し穂木先端部が斜めに接するようにして支持部で支持すると共に、そのまま穂木端部を成形刃に押し付けるように挿入するだけで簡単に斜めにカットすることができる。成形刃が複数の歯先を支持部の端部位置を次々と通過させるようにすると、作業者が穂木端部を成形刃側に寄せていくことにより、それぞれの刃先が次々と薄くそぎ落していき、穂木端部を短時間で所定の形状に成形することができる。
【0013】請求項3および請求項4に記載の穂木接合部の成形装置では、成形刃は刃先を放射状に配置して回転しており、同一のリズムで穂木先端部をそぎ落していくから、作業者は簡単な要領で同一形状に成形することができる。この場合、安全カバーに設けた支持部に穂木を支持させて挿入口から挿入することにより穂木端部のそぎ落しを行なうので、誰でも安全に素早く、大量に成形していくことができる。
【0014】請求項5に記載の穂木接合部の成形装置では、穂木端部を斜めカットして成形し、次いでその背面側外皮を皮むき器で剥ぎ取ることにより、接ぎ木できるまでの完全な成形を一つの成形装置により簡単に連続的に行なうことができる。
【0015】請求項6および請求項7に記載の成形刃では、刃先は円盤状の基板部の正面側に配置されており、基板部の回転により次々と保持部を通過する。穂木を保持部に保持しその端部が基板部に当接するまで挿入することにより、回転してくる刃先により、穂木端部が該刃先と基板部との間隔分だけ切除される。従って、穂木端部を基板部側に押圧している間だけ、前記間隔分を切除厚さとし刃先の通過回数分だけ切除される。切りくずは排出口から基板部裏面側に排出される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態1による穂木接合部の成形装置の一部を分解して示す斜視図、図2は成形刃の取付け状態を示す断面図、図3は成形刃を示す正面図であり、1は本体フレームである。前記本体フレーム1は略箱状を成し、内部には引き出し式のトレー2が着脱自在に挿入されている。3は本体フレーム1の上面に設けた開口部でありトレー2の上部に位置させている。
【0017】4は駆動手段となる電動モータであり、回転軸5にはフランジ6が装着され、このフランジ6が前記開口部3の上方位置となるようにして、本体フレーム1上に配置されている。7は円形突起でありフランジ6端面の回転中心に設けられている。8は電動モータ4の速度制御部であり、周波数制御により2極の電動モータ4の回転速度を低速から高速まで任意に制御する。9は回転軸5側を開口したモータカバー、10は前記開口部3の端部で電動モータ4を仕切る隔壁板である。
【0018】11は成形刃であり、前記フランジの円形突起7に嵌合する位置決め穴12を円盤状板面の中心部に有する基板部13と、該基板部13の正面側14において前記中心部から半径方向に沿って刃先16を配置された刃部15、および前記刃先16を沿わせた排出口17より成っている。また、前記刃部15は基板部13とは別体で細長い板状に形成されており、基板部正面側14に120度づつの割り付けで3カ所配置されるが、その裏面側18にも同一状態で正面側14と交互となる位置に3カ所配置されている。上記刃先16はいずれも図4(イ)に示すように、研ぎ面(逃げ角のある方)側19が排出口17側に向くように固定されており、刃先16と基板部13との間には刃部15の板厚による間隔mが形成された状態となっている。
【0019】前記成形刃11は電動モータ4に装着するに際し、位置決め穴12を前記フランジの円形突起7を嵌合するようにして回転軸5に装着し、ビス20で締め付け固定する。この状態で成形刃11は前記モータカバー9の端部に位置するように配置される。
【0020】21は安全カバーであり、モータカバー9の端部をカバーする成形刃カバー部22と開口部カバー部23とで構成される。前記成形刃カバー部22は、装着状態のとき成形刃11の正面側に近接しており、片側には図5に示すように、成形刃11の回転中心(回転軸5の軸心)を通る水平線より少し高い位置から前記回転中心に向け下方に傾斜した挿入口24が開設されている。また、その側の開口部カバー部23において前記挿入口24の下辺と同一に傾斜させて穂木25の支持部26を設けている。27は挿入口24に対する挿入安全カバーであり、その挿入口24と直交する側を開口28して前記成形刃11に対して傾斜した状態で穂木25を挿入可能に形成されている。この安全カバー21はビス29にて本体フレーム1に着脱自在に固定されている。
【0021】次に、図6を加えて実施の形態1の使用状態と作用を説明する。まず、電動モータ4を駆動し、速度制御部8で適宜速度を調整する。そして、穂木25の一端を手持ちして開口28から支持部26に沿わせた状態(図6(ロ))にし、更に挿入口24に対しては手持ち側が成形刃に対して開くように傾斜した状態(同図(ハ))にして先端側を挿入する。これにより、図4(イ)にも示すように、穂木25の端部が成形刃11に対して傾斜して端部の角部が当接した状態となる。
【0022】成形刃11は、刃先16が基板部13より間隔mの位置で回転してくるから、穂木25は、まず、前記当接していた角部がmの厚み分だけそぎ落されることになる図4(ロ)。このそぎ落された切りくずは排出口17を介し、下方のトレー2に蓄積される。また、前記刃先16は次々と回転してくるため、穂木25の端部を基板部13に押し付けている限り、次々と厚さmだけづつそぎ落されていく(図6(ニ),(ホ))。穂木の略直径分押し込むことにより、穂木25の端部は奇麗に斜めカット30された状態となる(同図(ヘ))。前記作業中、大量の穂木のカットにより、刃先16の切れ味が悪くなった場合、安全カバー21を外して成形刃11を裏返し、裏面側18を使用することにより、更に作業を続行することができる。
【0023】以上説明してきたように、本実施の形態では、穂木25の先端を基板部13に押し付けるだけで平坦で奇麗な斜めカットを行なうことができる。また、支持部26の斜め形状と挿入安全カバーの開口28による挿入方向の規制により、誰でも簡単に一定した挿入角度を設定することができる。成形刃11は表裏使用できるから、1個の成形刃で極めて大量の穂木をカットしていくことができ、大変経済的である。また、その取り換えも大変簡単に行なうことができる。成形刃11は円盤状であり回転させて使用するから、慣性力の作用もあってカットする力も乱れず、常に均質なカットを行なうことができるし、小型化も可能となる。穂木25の直径や固さの違いにより、回転数を適正に調節可能であり、刃先を保護し常に大量の穂木を奇麗にカットすることができる。構造が簡単で取り扱い易く、安価に製造することができる。
【0024】次に、図7に基づいて実施の形態2を説明する。尚、本実施の形態において、前記実施の形態1と同様の構成部分は同一の符号を付してその具体的な説明は省略する。本実施の形態では、図7(イ)に示すように、前記安全カバー21に皮むき器31を備えたことに特徴がある。皮むき器31はガイド部32に対し刃先33を斜め上に向けて少しガイド部32より突出するように配置されており、その下方は前記トレー2に向けた開口34が設けられている。尚、この皮むき器31は、くだものや根菜類の皮をむくものでもよい。
【0025】以上説明してきたようにこの穂木接合部の成形装置では、成形刃で穂木25の端部を斜めカットした後、引き続いてその裏面側を皮むき器31により外皮35を細長く剥ぎ落すことができる(同図(ロ))。この穂木25は、同図(ハ)に示すように、台木36に設けた割り口37に挿入することにより、両方の形成層が良好に接着することになる。
【0026】以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、刃部15の形状、刃先16の配置位置、配置数などは任意に設定することができる。成形刃11の回転軸5への取付け構造は任意に設定することができる。皮むき器31の形状、取付位置なども任意に設定することができる。穂木25の挿入方法は任意であり、例えば図8に示すように、支持部26に調整レバー38を設け、この調整レバー38の先端部を前記成形刃11に近接して回動可能に軸支39し、穂木端部のカット角度が最適となる位置で固定することもできる。この場合、穂木25を調整レバーに沿わせて挿入することにより、簡単に同一角度でカットすることができる。
【0027】
【発明の効果】以上、説明してきたように本発明にあっては、作業者が穂木端部を成形刃側に寄せていくことにより、刃先が次々と薄くそぎ落していき、穂木端部を短時間で所定の形状にカットするから、作業者は簡単な要領で波打ちなどがなく平坦で奇麗なカット面を成形することができる。安全カバーに設けた支持部に穂木を支持させて挿入口から挿入することにより穂木端部のそぎ落しを行なうので、誰でも安全に素早く、大量に成形していくことができる。皮むき器を設けることにより、接ぎ木できるまでの完全な成形を一つの成形装置により簡単に連続的に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】501130589
【氏名又は名称】土屋 雄司
【識別番号】501130590
【氏名又は名称】福嶋 義男
【識別番号】501130626
【氏名又は名称】内藤 達也
【識別番号】501130637
【氏名又は名称】栗木 敏彦
【識別番号】501130693
【氏名又は名称】栗木 康幸
【識別番号】501130707
【氏名又は名称】土屋 公人
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−291336(P2002−291336A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−100520(P2001−100520)