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【発明の名称】 挿穂及び台木の活着処理剤並びに挿穂及び台木の活着方法
【発明者】 【氏名】服部 俊雄

【氏名】佐々木 茂雄

【要約】 【課題】挿木における挿穂の発根及び活着並びに接木における台木の活着を促進する取り扱いが容易、且つ安全な処理剤を提供すること。

【解決手段】活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなる水性分散液を処理剤として使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなる挿穂及び台木の活着処理剤。
【請求項2】 活性炭の平均粒子径が100μm以下である請求項1に記載の挿穂及び台木の活着処理剤。
【請求項3】 活性炭の含有量が1〜50重量%である請求項1又は2に記載の挿穂及び台木の活着処理剤。
【請求項4】 分散剤の含有量が0.01〜20重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の挿穂及び台木の活着処理剤。
【請求項5】 挿穂の切り口又は台木の根を請求項1に記載の挿穂及び台木の活着処理剤で処理してから挿木するか又は台木を定植することを特徴とする挿穂及び台木の活着方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優良品種の果樹などを挿木や接木で繁殖させる際の挿穂の発根及び台木の活着を促進する処理剤並びに挿穂及び台木の活着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから、挿木や接木によって優良品種の果樹や花木を、その形質を保存したまま繁殖させることが行われている。例えば、挿木はブドウ、イチジクなどの果樹、キク、ベゴニア、カーネーションなどの花卉、クワ、チャ、スギなどの樹木の繁殖に広く利用されている。一方、接木は果樹栽培などで広く行われており、例えば、リンゴをカイドウの台木に接ぎ、モモをウメやアンズの台木に接ぐことが行われている。果樹を実生の苗から育てることはむしろ稀である。
【0003】挿木に際しては、通常、発根を促進させて活着をよくするために挿穂の切り口をショ糖の希薄液やオーキシン(インドール−3−酢酸及びそのエステル誘導体や前駆体、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸など)溶液などに浸すことが行われている。接木に際しては、台木が栽培地に活着していることが不可欠であり、台木を定植して活着させるために上記と同様の処理が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、挿木及び接木における挿穂の発根を促進し、台木の活着を促進する新規な処理剤を開発すべく、鋭意検討した結果、活性炭の水性分散液が上記の作用を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなる挿穂及び台木の活着処理剤及び挿穂の切り口又は台木の根を上記の処理剤で処理してから挿木するか又は台木を定植することを特徴とする挿穂及び台木の活着方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明を更に詳細に説明する。本発明で使用する活性炭は特に制限されず、例えば、木炭、木材、おがくず、動物の骨、ヤシ殻、石炭等を原料とし、炭化して製造され、薬品又は水蒸気で賦活した活性炭が挙げられる。又、粉末炭として市販されているもの、粒状炭を粉砕したもの、繊維状のもの等が挙げられる。
【0007】活性炭は、その内部に無数の微細孔を有する多孔質の炭素で、非常に大きな内部表面積を持ち、各所の分子を吸着する性能を有している。活性炭内部の炭素原子の引力により(ファンデアワールス力)、各種の分子が吸着保持される。
【0008】本発明の挿穂の発根及び台木の活着を促進するために使用される活性炭の水性分散液は、活性炭を分散剤を用いて水中に分散させたものである。水性分散液中の活性炭の含有量(濃度)は、特に限定されないが、水性分散液の全重量基準で1〜50重量%が好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。含有量が少なすぎると上記の発根、活着促進作用が充分でなく、多すぎても含有量に見合った効果は得られず、不経済であるばかりでなく、分散液の安定性も低下する。
【0009】活性炭は分散剤を用いて水中に分散させるが、本発明で使用する分散剤としては、活性炭の分散効果に優れ、且つ安全衛生上の問題がないものであれば、特に制限なく使用することができる。このような分散剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリカゾル等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。又、分散剤の使用量も特に限定されないが、分散液中の濃度が0.01〜20重量%(水性分散液の全重量基準)となる量が好ましい。
【0010】活性炭を水中に分散させるためは、ビーズミルやサンドミル等の従来公知の分散手段が使用される。活性炭は、分散液中の平均粒径が100μm以下となるように分散させることが好ましい。
【0011】挿木の際の挿穂及び台木の定植に際し、挿穂の切り口や台木の根を活性炭水性分散液で処理するが、処理方法としては、例えば、挿穂の切り口及び台木の根を活性炭水性分散液に浸漬する(以下ではドブ漬けと称する)方法、台木の土付き根に活性炭水性分散液を潅注する方法、これらの方法を併用する方法、壌土に処理剤を散布してから台木を定植する方法などによって行うことができるが、これらの方法に限定されず、挿穂及び台木の根が該水性分散液と充分に接触できる方法であれば特に制限されない。
【0012】本発明の処理剤で処理される挿穂は、挿木で繁殖させることができる花木(花と樹木)であれば特に限定されない。例えば、ブドウ、オリーブ、イチジク、モモ、リンゴなどが挙げられる。又、台木としては、例えば、リンゴ台木、モモ台木などが挙げられる。
【0013】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中の部及び%は重量基準である。
【0014】実施例1、比較例1粉末活性炭(太閤活性炭S:二村化学工業社製)25部、アニオン性界面活性剤(デモールP:花王社製)2.5部及び水72.5部をビーズミルで活性炭の平均粒径が10μm以下となるまで分散させて処理剤を得た。
【0015】挿穂としてJM7(わい性台木)の休眠枝を用い、挿木直前に上記の処理剤の25倍希釈液又は50倍希釈液に浸漬し、次いでオキシベロン液剤4倍希釈液(IBA(インドール酪酸)1000ppm)に浸漬してから挿床(砂質土壌:長野県須坂市)に挿木した。又、上記の浸漬処理を行わずにオキシベロン液剤4倍希釈液に浸漬してから挿床に処理剤の50倍又は100倍希釈液を3リットル/10m2散布し、その後マルチングフィルムをカバーしてから挿木した(いずれも平成12年4月20日)。
【0016】同年11月20日に挿木苗を全て掘上げ、発根の程度を調査した。発根の程度は、目視で、少ない場合を程度1、中程度の場合を程度2、多い場合を程度3で表示した。結果を表1に示す。
【0017】

【0018】JM7の発根程度は、いずれの処理区も無処理区に比べて発根量の多い苗木の割合が多く、活性炭水性分散液の発根促進効果が確認された。
【0019】実施例2、比較例2「おはつもも」1年生を表2に記載の樹高に切断したものをそれぞれ台木として用い、60リットルの砂壌土を詰めた60リットルコンテナー2個のそれぞれに前記の処理剤の50倍希釈液を5リットル散布し、各コンテナーに台木を2樹植え、ハウス栽培した(平成12年3月から1年間)。又、60リットルの砂壌土とバイオ堆肥(富士見工業社製)をそれぞれ1600g(堆肥1)及び800g(堆肥2)混合したものを詰めた60リットルのコンテナーのそれぞれに台木を2樹植え、ハウス栽培した(平成11年11月から1年間)。植付1年後の台木の、樹高(剪定前の)、幹周(地表から10cm部位の)、葉色(主幹延長枝先端部第2〜4葉をグリーンメータ(ミノルタ社製SPAD−502)で測定)等を測定し、活着状態を評価した。結果を表2に示す。
【0020】

【0021】処理区は無処理区に比べ、植え付け1年後の生育が全ての指標において勝り、堆肥を加えたものと比べても生育は優れていた。特に、樹高、葉生重量、根生重量等の数値に優位差が認められた。このように活性炭水性分散液による活着促進効果が確認された。
【0022】
【発明の効果】以上の本発明によれば、挿木における挿穂の発根・活着及び接木における台木の活着を促進する安全な処理剤が提供される。
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【出願日】 平成13年4月2日(2001.4.2)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外2名)
【公開番号】 特開2002−291330(P2002−291330A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−103718(P2001−103718)