| 【発明の名称】 |
高機能屋根 |
| 【発明者】 |
【氏名】小栗 健
【氏名】桝 泰将
【氏名】松本 奈弥
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| 【要約】 |
【課題】屋根上に設置された水浄化用あるいは緑化用の盤状体に満遍なく水を供給し、効率よく水浄化あるいは緑化を行うことができる高機能屋根を提供する。
【解決手段】建物1の屋根に多数のトレー5を水勾配方向に列状に配設し、各トレー5に緑化基盤6を嵌め込む。トレー5は、その最水上部5bがビス9によって野地板3に留め付けられる。トレー5の最水下部5aは最水上部5bよりも幅が小さくなっており、水下側に先に取り付け施工されたトレー5の最水上部5bに対し、後から取り付け施工されるトレー5の最水下部5aが内嵌され、ビス9に上方から覆い被さる。トレー5の各列に水勾配を均等に供給するように、棟に沿って散水管22を配設する。緑化基盤6は、水の浄化機能と植物の生育機能とを有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水を浄化するか又は植物を生育させるための盤状体を傾斜した屋根上に設置してなる高機能屋根において、該屋根の水勾配方向に延在する仕切板によって該屋根の上面に複数の区画が形成され、各区画にそれぞれ前記盤状体が配置されていることを特徴とする高機能屋根。 【請求項2】 請求項1において、各区画に略同等量の水を供給するための給水手段が設けられていることを特徴とする高機能屋根。 【請求項3】 請求項1又は2において、トレー底板と、該トレー底板から立設された前記仕切板とを有するトレーが、複数個、該水勾配方向に連なった列状に配置され、且つ該トレーの列が複数列併設されることにより前記区画が形成されていることを特徴とする高機能屋根。 【請求項4】 請求項3において、最も水下のトレーの水下側が軒先から突出しており、この突出した部分に水の流出部が設けられ、この水の流出部の下側に樋が配置されていることを特徴とする高機能屋根。 【請求項5】 請求項3又は4において、前記トレー底板は略方形であり、該トレー底板の両側辺から前記仕切板が立設されており、且つ該トレーの最水下部の幅員は最水上部の幅員よりも小となっており、水上側に配置されたトレーの最水下部が水下側に配置されたトレーの最水上部に内嵌していることを特徴とする高機能屋根。 【請求項6】 請求項3ないし5のいずれか1項において、水勾配と交叉方向に隣接するトレーの仕切板同士が重なり合っており、この重なり合った仕切板同士に対し上方から下向き略コ字形断面形状のカバーが装着されていることを特徴とする高機能屋根。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根に係り、特に水を浄化する機能あるいは屋根の緑化機能を有した高機能屋根に関する。 【0002】 【従来の技術】屋上に土壌を造成し、この土壌に樹木を植栽して屋上緑化すると共に、この土壌に中水(浄化槽処理水)を給水する緑化及び水浄化システムが特開平8−228618号に記載されている。 【0003】また、特開平6−141670号には、多孔板の空隙部に培養土と保水材を混入させたパネル状の緑化資材を建物の屋上に設置して建物の断熱や吸音あるいは都市のヒートアイランド現象防止を図ることが記載されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記特開平8−228618号のように土壌を屋上に設ける方式は、傾斜屋根では土壌が流れてしまい、採用することができない。 【0005】上記特開平6−141670号の緑化資材には、これを屋根上に多数設置して水浄化に利用する点の開示はない。 【0006】本発明は、傾斜した屋根に複数の水浄化用あるいは植物生育用の盤状体を配置し、且つ各盤状体に満遍なく給水することができる高機能屋根を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の高機能屋根は、水を浄化するか又は植物を生育させるための盤状体を傾斜した屋根上に設置してなる高機能屋根において、該屋根の水勾配方向に延在する仕切板によって該屋根の上面に複数の区画が形成され、各区画にそれぞれ前記盤状体が配置されていることを特徴とするものである。 【0008】かかる屋根にあっては、屋根の水勾配方向に延在する仕切板によって複数の区画が平行に設けられているので、各区画にそれぞれ給水することにより、いずれの区画内の盤状体にも水を十分に供給することができる。この場合、各区画に略同等量の水を供給することにより、各盤状体への給水量を十分なものとすることができ、各盤状体で十分に水の浄化や植物の生育を行わせることができる。 【0009】本発明では、トレー底板と、該トレー底板から立設された前記仕切板とを有するトレーが、複数個、該水勾配方向に連なった列状に配置され、且つ該トレーの列が複数列併設されている構成とすることが好ましい。これにより各区画を簡単に形成することができる。 【0010】この場合、最も水下のトレーの水下側が軒先から突出しており、この突出した部分に水の流出部が設けられ、この水の流出部の下側に樋が配置されている構成とすることにより、最も水下のトレーから流出した水を直接に樋で受けて集水することができる。これにより、盤状体によって浄化した水をそのまま集水することが可能となる。 【0011】また、トレー底板は略方形であり、該トレー底板の両側辺から前記仕切板が立設されており、且つ該トレーの最水下部の幅員は最水上部の幅員よりも小となっており、水上側に配置されたトレーの最水下部が水下側に配置されたトレーの最水上部に内嵌している構成とすることにより、トレー同士の継目から漏水させることなく水を水下のトレーへ流下させることができる。 【0012】本発明では、水勾配と交叉方向に隣接するトレーの仕切板同士が重なり合っており、この重なり合った仕切板同士に対し上方から下向き略コ字形断面形状のカバーが装着されている構成とすることにより、水勾配と交叉方向に隣接したトレーの仕切板同士の間に水が入り込むことが確実に防止される。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る高機能屋根を備えた建物(この場合は戸建て住宅)の斜視図、第2図は該屋根の構成を示す分解斜視図、第3図はトレー及び緑化基盤の斜視図である。 【0014】この建物1の屋根は、第2図の通り、垂木2上に野地板3を釘留めし、この野地板3の上にアスファルトルーフィング4を施して防水層を形成し、その上に多数のトレー5を水勾配方向に列状に配設し、各トレー5に緑化基盤6を嵌め込んだものである。 【0015】このトレー5は、第3図に示す通り、略方形のトレー底板7と、このトレー底板7の両側辺から立設された仕切板8とを備えている。このトレー5は、その最水上部5bがビス9(釘でも良い。)によって野地板3に留め付けられる。トレー5の最水下部5aは最水上部5bよりも幅が小さくなっており、水下側に先に取り付け施工されたトレー5の最水上部5bに対し、後から取り付け施工されるトレー5の最水下部5aが内嵌され、ビス9に上方から覆い被さる。 【0016】即ち、トレー5は、屋根の軒側から順次に取り付け施工される。この場合、まず、第2図のように棟先用トレー10を屋根の棟先に配置し、ビスにて野地板3に留め付け、この棟先用トレー10の最水上部に対しトレー5の最水下部5aを内嵌させる。当然ながら、トレー5は、両側辺の仕切板8が水勾配方向となるように向きが定められる。このトレー5の最水下部5aを棟先用トレー10に内嵌させてそのトレー底板7をアスファルトルーフィング4上に重ねた後、ビス9を打ってトレー5を固定する。 【0017】次に、このトレー5の水上側に下から2番目のトレー5を配置し、固定する。即ち、この2番目のトレーの最水下部5aを上から1番目の固定済みトレー5の最水上部5bに内嵌させてビス9を覆い、その後、該2番目のトレー5の水上部5bをビス9で野地板3に留め付ける。以下、3番目以降のトレー5も同様にして配置され、固定される。このようにして、水勾配方向にトレー10,5が連なってトレーの列が形成される。 【0018】このトレー10,5の列は、水勾配と直交方向に複数列形成される。なお、トレー10,5の列は1列ずつ形成されてもよく、各列のトレー10を取り付け施工し、その次に各列のトレー5をそれぞれ取り付け施工してもよい。 【0019】第2図の通り、棟先用トレー10は、長方形状の底板部11と、この底板部11の1対の短手辺から立設された仕切板12と、底板部11の1つの長手辺から立設された立壁13とを有しており、この立壁13が水下側となるように配置される。前記の通り、この棟先用トレー10の水上側がビスで野地板3に固定され、このビスを覆うように、1番目のトレー5の最水下部5aが棟先用トレー10の水上部に内嵌される。 【0020】この棟先用トレー10の水下側は、棟先から突出しており、この突出した部分に水の流出部として孔、スリット等の開口14が設けられる。この開口14の下方に、軒先に沿って雨樋15が設置されている。 【0021】棟先用トレー10の仕切板12は、各トレー5の仕切板8と一直線状に連なって水勾配方向に配設される。この仕切板8,12は、隣接するトレー列の仕切板8,12と背中合わせになるので、この背中合わせとなった仕切板8,12同士に上方からカバー16を被冠させる。このカバー16は、1対の垂下片16aと、該垂下片16aの上端同士を連結している天片16bとを有した下向き略コ字形状のものである。垂下片16a,16aが仕切板8,12の内側面(背中合わせ面と反対面)に沿って垂下するようにカバー16を装着し、必要によってカバー16をビスによって仕切板8,12に固定する。 【0022】このようにして配設されたトレー5に対し、前記緑化基盤6を嵌め込む。この緑化基盤6は、後に詳述する通り、透水性の多孔質材を主体としたものである。 【0023】第1図の通り、トレー10,5の各列に水を均等に供給するように、棟に沿って散水管22を配設する。 【0024】建物1から排出される排水を地中に配置された小型合併浄化槽20に流入させ、処理した浄化槽処理水がポンプ(図示略)及び配管21を介して散水管22に供給し、該散水管22から各トレー列の最も水上側のトレー5に流出させる。 【0025】この水は、各緑化基盤6を透過しながらトレー5の列を水勾配に従って流れ、やがて棟先用トレー10に至り、開口14から雨樋15に流れ込む。この雨樋15に流れ込んだ水は、緑化基盤6を透過して濾過処理されると共に、緑化基盤6に植物が生育しているときには植物によって浄化処理(例えばリンや窒素の吸収)を受けたものであり、浄化槽処理水よりも水質が良好なものとなっている。そこで、この雨樋15内の水を配管23を介して地中等に配置された貯水槽24に導入し、建物1内のトイレ洗浄水や庭の散水栓等に供給して再利用することができる。 【0026】次に、上記の緑化基盤6の好ましい形態について説明する。 【0027】この緑化基盤6は粒状の無機多孔体を盤状に成形し固化させてなるものであり、例えば粒状の無機多孔体とガラス粉とを混合して焼成し、熔融して固化したガラスによって粒状無機多孔体同士を結着したものである。 【0028】この緑化基盤6は、無機多孔体同士の間の比較的大きな空隙に植物の根が入り込み易く、また無機多孔体が保水や水浄化の機能を有し、植物の成育に好適である。 【0029】この緑化基盤6を構成する上記粒状の無機多孔体としては、ゼオライト、バーミキュライト、鹿沼土、マサ土、赤玉土などが好適である。この無機多孔体の平均粒径は、0.5〜10mm特に2〜5mmが好ましい。この無機多孔体は、天然鉱物を粗砕して上記粒度に篩分けしたのものであってもよく、それよりも細かい粒度のものを造粒して焼成し、粒状としたものであってもよい。 【0030】この無機多孔体がゼオライトである場合、N,P両成分を除去することができる。無機多孔体がバーミキュライトであれば、N分を除去でき、鹿沼土であればP分を除去できる。無機多孔体が、鉄分の多い都市ゴミなどの焼却灰(例えばFe2O3を1%以上特に10%以上含むもの)や、鉄屑、石灰石、貝殻など、鉄イオン、カルシウムイオンを供給するものを含有する場合、P分をリン酸鉄やリン酸カルシウムとして除去することができる。 【0031】この焼却灰等は、ゼオライト、バーミキュライト、鹿沼土などの粉体あるいは粉粒体と混合され、造粒及び焼成されて粒状体とされる。焼却灰等の配合割合は、ゼオライト等100重量部に対し、都市ゴミ焼却灰の場合5〜20重量部、鉄屑の場合1〜15重量部、石灰石及び貝殻の場合5〜50重量部程度が好ましい。 【0032】この緑化基盤を製造する場合、上記無機多孔体に対しガラス粉を添加し、このガラスの融点よりも高い温度にまで加熱し、ガラスを熔融させ、次いで冷却してガラスを固化させ、この固化したガラスによって無機多孔体同士を結着するのが好ましい。 【0033】このガラスとしては珪酸ソーダガラス、ホウ珪酸ソーダガラスなどの珪酸系のものが好適であるが、これに限定されるものではない。ガラスは、新品のガラスであってもよく、廃ガラスであってもよい。釉薬に用いられるガラスフリットであってもよい。ガラス粉の平均粒径は10〜2000μm特に10〜50μmが好ましい。ガラス粉の配合量は無機多孔体100重量部に対し5〜100重量部特に20〜50重量部程度が好ましい。 【0034】製造された緑化基盤には、粒状無機多孔体同士の間に平均して500μm〜5mm程度の空隙が形成されていることが好ましい。 【0035】この緑化基盤の無機多孔体同士の間の空隙に、有機系バインダーが配合された土を詰めてもよい。この有機系バインダーとしては、デンプン、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、「とびこ(飛粉)」と称されるこんにゃく滓などが好適である。有機系バインダーの添加量は、乾燥重量で100重量部の土に対し、10〜30重量部が好適である。 【0036】このような土を目詰めした緑化基盤又は土を目詰めしていない緑化基盤の上に、第3図の通り、土の保持層6aを設け、この土の保持層に土を詰めるか又は土の保持層の上に土6bを堆積させてもよい。この土としては、降雨による流去や風による飛散を防止するために上記の有機系バインダー配合土を用いる。 【0037】土の保持層6aとしては、ヤシやココナツの木の繊維をマット状に成形したヤシマットやココナツマット、ガラス繊維、スラグ繊維等の鉱物質繊維の不織布、ウレタン等の軟質合成樹脂のスポンジ等が好適である。この土保持層の厚さは10〜50mm程度が好適である。この土保持層は、繊維同士の間やスポンジ孔等に土の少なくとも一部が入り込むので土の流去や飛散を防止する機能を有する。 【0038】この土の保持層に詰めるか又はその上に堆積させる土6bの量は植物の種類に応じて適宜定めればよい。 【0039】この緑化基盤あるいは複合緑化基盤に成育させる植物6cは、スナゴケ、ハイゴケ等のコケ類、メキシコマンネングサ、ツルマンネングサ、サカサマンネングサなどのセダム類が好適である。このセダム類は、多年草であり、成長しても高さが低く、屋根において成育させるのに好適である。 【0040】上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態としてもよい。例えば、トレー5は両側辺の仕切板8,8同士の間にこれと平行方向に延在する仕切板を有したものであってもよい。また、上記のカバー16に、側方に張り出すフランジを設け、このフランジによって緑化基盤6を上方から押え付けるようにしてもよい。 【0041】さらに、トレー5に緑化基盤6のずり下げ防止用の突部を設けてもよい。 【0042】上記実施の形態では植物生育機能及び水浄化機能を有した緑化基盤を用いているが、いずれか一方の機能を主体とした基盤を用いてもよい。 【0043】 【発明の効果】以上の通り、本発明の高機能屋根によると、屋根上に設置された水浄化用あるいは緑化用の盤状体に満遍なく水を供給し、効率よく水浄化あるいは緑化を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000479 【氏名又は名称】株式会社イナックス
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| 【出願日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086911 【弁理士】 【氏名又は名称】重野 剛
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| 【公開番号】 |
特開2002−291328(P2002−291328A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月8日(2002.10.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−100440(P2001−100440) |
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