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【発明の名称】 地表被覆防草シート
【発明者】 【氏名】広中 隆

【氏名】織田 吉晃

【氏名】久保長 誠

【要約】 【課題】凡ゆる地表に敷設するのに適し、また凡ゆる種類の栽培植物、樹木に好影響を与える、耐久性のある地表被覆防草シートを提供する。

【解決手段】地表被覆防草シート10は、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維から選ばれる少なくとも1種類の繊維を含むスパンボンド1の地面側シートと、ウールを主成分とする不織布2の大気側シートとが積層し、結合している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維から選ばれる少なくとも1種類の繊維を含むスパンボンドの地面側シートと、ウールを主成分とする不織布の大気側シートとが積層し、結合していることを特徴とする地表被覆防草シート。
【請求項2】 厚さが1〜10mm、繊維目付量が少なくとも100〜500g/mであることを特徴とする請求項1に記載の地表被覆防草シート。
【請求項3】 該ウールの目付量が150〜280g/mであって、該低融点ポリエステル繊維との混合比が95:5〜50:50であることを特徴とする請求項1または2に記載の地表被覆防草シート。
【請求項4】 該ウールがウール製品を解繊したリサイクル綿、ウール製品の製造工程中に発生した紡績屑、裁断屑、断ち屑から選ばれた少なくとも1種類のウールであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の地表被覆防草シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雑草の生長を抑制し栽培植物や植栽樹木を保護する地表被覆防草シートに関する。
【0002】
【従来の技術】圃場、空き地、公園の植え込みや街路樹の周り等に生えた雑草の繁殖力は強く、その除去にはかなりの労力や経費を必要とする。このような労を軽減するため、ビニールシートなどに孔をあけ、圃場等ではその孔に栽培植物を通して地表を覆う、いわゆるマルチングという手法が採用されている。しかしながら、ビニールシートなどのプラスチックシートは透水性や通気性がないため、栽培する植物の種類によっては適さない。透水性や通気性を得るため、孔を大きめにすると植物の根際から雑草が生えてしまう。また水が溜まってしまうということもある。
【0003】このような不都合を避けるための透水性の合成繊維不織布で造られた防草シートが、例えば特開平8−103177号公報に開示されている。しかしながら、これら合成繊維のシートは紫外線で劣化しやすく、日光に曝されると日数の経過にともなって亀裂が入り、その亀裂から雑草が生えるようになってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような不都合を解消し、凡ゆる地表に敷設するのに適し、また凡ゆる種類の栽培植物、樹木に好影響を与え、耐久性のある地表被覆防草シートを提供するものである。本発明の発明者は、ウールが紫外線に対する耐久性が極めて良いこと、および保水性、保温性、難燃性に優れていることに着目し本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するためになされた本発明を適用する地表被覆防草シート10は、図1に示すとおり、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維から選ばれる少なくとも1種類の繊維を含むスパンボンド1の地面側シートと、ウールを主成分とする不織布2の大気側シートとが積層し、結合していることを特徴とする。
【0006】この地表被覆防草シートで覆った地面は、大気側の混綿不織布上に雑草の種がこぼれて発芽することがあっても、根が地面側のスパンボンドシートを突き抜けて延びることは抑制されるので、雑草が生長しない。光を通さないので、シート下に雑草の種があっても光合成が阻止され雑草は育たない。さらに大気側シートが紫外線に耐久性のあるウールが主体であり、太陽光がポリエステル繊維のスパンボンドである地面側シートまで到達しないので、長時間日光に曝されても劣化することがない。
【0007】また透水性があるため雨や養分となる液体肥料を通し、栽培植物や樹木の生長を阻害しない。雨の後でも水溜りができない。
【0008】混綿不織布とスパンボンドシートの二重層が適度な剛柔性を与えるために巻きつけて保存しても巻き癖が付きにくく、敷設工事がやりやすいものとなる。
【0009】この地表被覆防草シートは、厚さが1〜10mm、繊維目付量が少なくとも300g/mであることが好ましい。
【0010】また、この地表被覆防草シートは、ウールの目付量が150〜280g/mであって、低融点ポリエステル繊維との混合比が95:5〜50:50であることが好ましい。
【0011】スパンボンドシートは、繊維目付量が20〜200g/m、厚さが0.2〜2mmであることが好ましい。
【0012】この地表被覆防草シートに使用されるウールは、ウール製品を解繊したリサイクル綿、ウール製品の製造工程中に発生した紡績屑、裁断屑、断ち屑のウールで適切に実施できる。このように廃棄処分されるウール製品や利用価値の少ないウールの紡績屑等を使用できるので、廃棄物の減少や資源の有効活用ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の地表被覆防草シートは、以下のようにして製造される。
【0014】ポリエステル繊維のスパンボンドシートの上に、ウールのリサイクル綿と低融点ポリエステル繊維とを均一に混合した混綿を、均一な厚さに広げ、混綿側からニードルパンチ加工を施す。スパンボンドシートの上に混綿の不織布が一体化したシートを加熱して低融点ポリエステル繊維を溶融させると低融点ポリエステルがバインダーとなってスパンボンドシートの上に混綿の不織布が融着するとともに不織布内のウール繊維同士も融着して強度が向上する。低融点ポリエステルのバインダーはスパンボンドシートの全面を覆うわけではないし、ウール繊維同士の空隙を埋め尽くすわけではないので、通気性は云うに及ばず透水性をも維持することになる。
【0015】図1に示すように、このようにして製造された地表被覆防草シート10は、スパンボンドシート1側を地面側、混綿不織布側2を大気側にして敷設される。地面3に敷設するには大きさだけを適宜に裁断して使用する。圃場のマルチングや樹木4の間に敷設するには、植物が通る孔をあけて使用する。
【0016】
【実施例】本発明の地表被覆防草シートを以下のような条件で製造し、実際に敷設して試験した例を説明する。
【0017】ポリエステル繊維製スパンボンド不織布(密度0.2g/cm、厚み0.3mm、目付60g/m)の上に、羊毛のリサイクル綿と融点が110℃のポリエステル繊維とを均一に混合した混綿(羊毛/低融点ポリエステル繊維=90/10)を、260g/mの目付で均一な厚さに広げ、混綿側から、32番手の針により密度85本/cmでニードルパンチ加工を行う。つぎにシートを均一に140℃で加熱処理することにより、低融点ポリエステルを溶融させた。このようにして、厚み4mm、密度0.08g/cm、目付320g/mの防草シートを試作した。この防草シートの特性は貫通抵抗10.1kgfであった。
【0018】本発明の防草シートは、234g/m羊毛リサイクル綿を使用するため、リサイクル促進と廃棄物減少などの効果を有する。また、従来使用されている市販のポリエステル製スパンポンド不織布の目付は150g/m以上のものがほとんどであるが、本発明におけるポリエステルの使用量は86g/mであるため、合成繊維の使用量を約1/2に削減する効果を有する。したがって、本発明の防草シートは、環境にやさしくリサイクル促進・廃棄物減少・省資源などの著しい効果を有する。
【0019】上記で試作した防草シート、および比較のための市販のポリエステルスパンボンド不織布製防草シートとウール製防草シートにつき■雑草の発芽成長試験、■栽培植物の生育試験、■経時強度劣化試験、■防炎性能試験を行った。
【0020】■雑草の発芽成長試験雑草が繁茂していた日当たり良好な空地を草刈機で草刈した後、各防草シート(2×5m)を敷設し、金属製固定具で地面に固定した。1年間に渡って発芽成長状況を観察した。その結果は表1に示されている。本発明の防草シート、および市販のポリエステルスパンボンド不織布製防草シートは雑草の発芽成長は認められなかったが、市販のウール製防草シートは雑草の発芽成長が見られた。
【0021】
【表1】

【0022】■栽培植物の生育試験各防草シート(1×0.5m)の中心に約10cmの十字の切り込みを入れたものを各3枚ずつ計9枚用意した。日当たりのよい露地に化成肥料(10−10−10)30g/mを施肥して耕し整地した床土に、1×0.5mの間隔でトールフェスク、アリッサム、マツバギクの3種類の8cmポット苗を各3本ずつ計9本定植した。その苗が十字の切り込みの隙間を通るように、各防草シートで床土を覆った。苗の3ヶ月の成長量(草丈)を測定した。成長量の平均は、本発明の防草シートで覆った植物は14.7cm、市販のポリエステルスパンボンド不織布製防草シートで覆った植物は6.3cm、市販のウール製防草シートで覆った植物は7.7cmであった。本発明の防草シートを敷設した場合の植物の生長量は、市販品2種類の約2倍であり、本発明の防草シートがマルチングとして使用すると、栽培植栽の生長に好ましい条件になることを示している。
【0023】■経時強度劣化試験直射日光の強くあたる場所に各防草シートを広げ、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後にその一部を切り取ってJIS L 1096に準じて引張強度測定をした。夫々の引張強度(kgf/5cm)の結果を、新品時の引張強度とともに表2に示してある。本発明の防草シートは経時的な引張強度の劣化はほとんどなかったが、市販品2種類のシートではかなりの劣化があった。
【0024】
【表2】

【0025】■防炎性能試験上記で試作した防草シート、および比較のための市販のポリエステルスパンボンド不織布製防草シートを、各々0.2×0.2mに裁断して50℃−24時間乾燥後、シリカゲル入りデシケーター中で2時間放置した。金属の試験体支持枠を水平に設置し、その上に防草シートを敷設し、試料の中心に火がついているタバコ(5mm燃焼した両切ピース)をおき、焼焦げ乃至は燃焼状態を1時間観察した。本発明の防草シートは、表面が焼焦げただけでタバコが燃え尽き、発炎やくすぶりの進行はなく、また炭化溶融による穴あきも見られなかった。ポリエステルスパンボンド不織布製防草シートは、発炎やくすぶりの進行する前にタバコが燃え尽きたが、炭化溶融による穴あきが生じた。本発明の防草シートは、タバコのポイ捨てによるシートや下草の延焼の危険性を予防できることが確認された。
【0026】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の地表被覆防草シートは、雑草の発芽生長を抑制し、長時間日光に曝されても劣化することがないから、その抑制効果を長期間維持することができる。その一方で透水性のみならず保水性が良いので栽培植物や樹木の生育に良い影響を及ぼす。したがって、空き地などの植物のないところは勿論、公園の植え込みや街路樹の周り、圃場のマルチングとしても使用できる。特に難燃性があるので、公園の通路脇の植込みや街路脇の植込みなど、タバコの吸殻が捨てられやすいような場所にも使用でき火災防止に役立つ。
【0027】さらにこの地表被覆防草シートは、敷設も容易である上、廃棄処分されるウール製品や利用価値の少ない繊維屑を有効に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000219510
【氏名又は名称】東亜紡織株式会社
【識別番号】000110170
【氏名又は名称】トスコ株式会社
【出願日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【代理人】 【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄 (外1名)
【公開番号】 特開2002−281838(P2002−281838A)
【公開日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願番号】 特願2001−90197(P2001−90197)