| 【発明の名称】 |
育苗用紙ポット |
| 【発明者】 |
【氏名】古木 孝典
【氏名】松本 弘義
【氏名】本間 義之
【氏名】遠藤 恭延
【氏名】日吉 公男
【氏名】村松 重緒
【氏名】原 研一
【氏名】佐藤 修
【氏名】若槻 直一
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| 【要約】 |
【課題】手で折り曲げて成形でき、かつ育苗中は強度を保持し、定植後は速やかに分解する育苗用紙ポットを提供する。
【解決手段】略四角形状の原紙から成るブランク2に、手で折り曲げて育苗用紙ポット1を成形できるような罫線加工を施す。原紙は、60〜200g/m2の坪量を有し、かつ0.5〜10質量%の防カビ剤を含有する。緑藻類の発生を目立たなくするため、育苗用紙ポット1を着色する。定植後の根系の発育を妨げないように、育苗用紙ポット1の全面に2〜5mmの小孔2aを設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 略四角形状の原紙から成るブランクに、折り曲げ指示手段を施すことにより、手で折り曲げて成形可能としたことを特徴とする有底無蓋の育苗用紙ポット。 【請求項2】 前記原紙が、60〜200g/m2の坪量を有し、かつ対パルプ固形分0.5〜10質量%の防カビ剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の育苗用紙ポット。 【請求項3】 前記育苗用紙ポットを、着色したことを特徴とする請求項1又は2に記載の育苗用紙ポット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、野菜や花壇苗の育苗に用いられる、使い捨ての紙ポットに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、野菜や花壇苗の育苗にはポリエチレン製のポット(以下、ポリポットと言う)が用いられることが多く、これらは使用後不要となるが、プラスチック製なので長年放置しても分解せず、結局ゴミとなってしまう。また、定植時には苗をポットから取り出す必要があるため手間がかかるだけでなく、定植後にはポットを片づける必要が生じていた。さらに、ポリポットを用いて育苗し、ポットを外して定植した場合には根系が崩壊する危険があった。 【発明が解決しようとする課題】 【0003】そこで、上記問題点を解決するために紙製のポットやピートを素材としたポットなどが市販されているが、市販の紙製ポットは、あらかじめ成形されているため高価であると共に、かさばり、流通コストや陳列スペースを多く必要とする。また、成形された状態では、そのものを広告媒体等として利用しにくい。そこで、一部成形されており、使用時に組み立てる形式のものも提案されているが(特開平9−224482号)、原紙の形状も複雑で、加工コストがかかるという問題がある。さらに、市販の紙製ポットは、花壇苗の栽培及び流通容器として通常使用されているトレー(以下、「SSトレー」と言う)にうまくフィットしないので、あまり普及していない。 【0004】苗をポットに入れたまま定植するためには、ポットには以下のような機能が必要である。すなわち、育苗中は崩壊せずに強度を保ち、定植後には土中で速やかに崩壊ひいては分解し、根のポット外への進出を妨げない構造が必要である。しかしながら現在の紙製ポットは分解しない、あるいは分解速度が遅いために、ポットのまま苗を植え付けると苗が生育不良になることがあった。また、分解の早い紙でポットを作製すると育苗中にポットが壊れてしまい、定植作業が困難になるという問題があった。さらに、土中での分解が遅いため、ポットごと苗を定植した場合には根がポットの外に出にくく、生育が抑制されてしまう。同様に、素材に生分解性プラスチックを用いたポットもあるが、高価なうえ、分解に時間がかかるなどの問題があって、十分普及していない。 【0005】さらに、従来のポリポットでは藻の発生は少なく、仮に発生しても容易に拭き取ることができるが、紙製のポットでは藻が紙に発生するため拭き取ることができない。従って、花壇苗のように苗を商品とする場合には商品価値を低下させる原因になるという問題があった。 【0006】また、紙等の生分解性素材を用いた従来のポットは、排水又は通風の目的で、底面及び/又は側面の下部周辺に1又は数個の孔が設けられているだけなので、ポット外への根の伸長がポットによって遮られてしまう。従って、ポットの素材が崩壊するまで根はポットの外に出にくく、定植直後の発根が妨げられ、生育が不良となることがあった。 【0007】本発明は、上述したような育苗用紙ポットにおける問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、簡単な形状の原紙を手で折り曲げて容易に成形することのできる育苗用紙ポットを提供することである。本発明の他の目的は、育苗中は崩壊することなく強度を保ち、定植後には土中で速やかに崩壊ひいては分解し、定植後の発根を妨げることのない育苗用紙ポットを提供することである。また、本発明の他の目的は、藻の発生による商品価値の低下を防止することのできる育苗用紙ポットを提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に記載の発明は、有底無蓋の育苗用紙ポットであって、略四角形状の原紙から成るブランクに、折り曲げ指示手段を施すことにより、手で折り曲げて成形可能としたことを特徴とする。ここで、折り曲げ指示手段としては、ブランク表面に、折り曲げ線に合わせて印刷を付すこと、折り曲げ線に合わせて罫線加工を施すこと、及び紙ポットの成形手順を印刷して提示すること等を挙げることができる。また、これらの手段を適宜併用すると、なお一層簡単に育苗用紙ポットを成形可能となり好適である。このような構成としたことにより、切り込み等を付与することなく、単純な形状の平面状態のブランクを、折り紙の要領で簡単に育苗用紙ポットに成形することができる。従って、加工コストや流通コスト、陳列スペース等を削減できる。 【0009】この育苗用紙ポットは、種々の形状、大きさに成形することができるが、SSトレーにフィットするように構成することが好ましい。ここで、SSトレーとは、花壇苗の栽培および流通容器として通常使用されている「かごトレー」を指す。このSSトレーは、ポットを収納するためのポケットが複数連接されている。このポット収納ポケットは、例えば2.5号、3号、4号等のポットのサイズに合わせて形成されている。例えば、3号ポット用としては、一辺が約78mmの略正方形の開口を有し、高さが約70〜75mm、かつ側面は傾斜して底面が上部開口より小さく形成された(径が60mm程度の略正方形又は円形の底面)ポット収納ポケットが複数連接されたものが、一般に使用されている(図5参照)。従って、このポット収納ポケットに合わせて、ポットの開口及び底部の大きさや形状、高さ、並びに上部から下部方向への傾斜等を調整することによって、SSトレーにフィットする育苗用紙ポットを成形することができる。 【0010】このような構成にすると、ポットのSSトレーへのセットが容易である。また、育苗用土をきれいに詰めることができ、土がこぼれることが少なく、土詰めの機械化に対応させることができる。さらに、ポットが、SSトレーの中で踊ることがないので、栽培中も倒れることがない。従って、倒れて苗が斜めに生育してしまうことを防止できる。また、安全に運搬することができるので、ポットが落ちて苗を破損してしまうことをも回避することができる。SSトレーは、業界標準であるため、これに育苗用紙ポットをフィットさせることによって、確実に普及させることができる。 【0011】育苗用紙ポットを成形するための原紙は、上述したように、育苗時には適度な強度を保ち、定植後には速やかに崩壊ひいては分解する必要がある。そこで、請求項2に記載の発明のように、前記原紙が、60〜200g/m2の坪量を有し、かつ対パルプ固形分0.5〜10質量%の防カビ剤を含有することが好ましい。原紙の坪量については、季節による地温の変動や水分の多寡による分解速度の変動を考慮して適宜選択することができるが、原紙の坪量が60g/m2未満では強度が劣り、育苗中又は移植時に壊れやすい。また、200g/m2を超えると、分解に時間がかかり過ぎ、かつ、コスト的にも不利である。さらに好ましくは、原紙の坪量は80〜120g/m2である。 【0012】防カビ剤は、カビの発生により、育苗中に紙ポットが腐敗して崩壊してしまうことを制御する機能を果たす。この防カビ剤は、原紙の抄造時に、パルプ固形分の質量に対して0.5〜10質量%の量で添加することができる。0.5質量%未満では、防カビの効果が劣る。10質量%を超えると、防カビ剤の定着率が低下する可能性、及び工程の汚れ等の問題が発生する可能性があり、さらにコストの観点から好ましくなく、紙力も低下してしまう。防カビ剤の濃度は、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。防カビ剤としては、一般に使用される防カビ剤を使用できるが、有機窒素系化合物と有機窒素複素環系化合物の複合系を使用すると、防カビ効果を高めることができ、好適である。なお、育苗用紙ポットは、育苗中の潅水により湿潤状態にさらされるので、湿潤紙力増強剤を添加して紙力を高めてもよい。例えば、エポキシ系の湿潤紙力増強剤を、パルプ固形分に対して0.5質量%程度添加することができる。 【0013】ここで、原紙の原料としては種々のパルプを使用できるが、例えば、バージンパルプ、クラフト古紙等の強度の高いパルプ原料と、新聞古紙、雑誌古紙、リサイクルの回数の多い古紙(再生紙)等の生分解しやすいパルプ原料とを混合して使用すると好ましい。このような構成にすることにより、育苗中には紙ポットの強度を確保し、かつ定植後の土中での分解を促進できる。この場合、育苗中の強度を保持するために、強度の高いパルプ原料を30質量%以上配合することが好ましく、50質量%程度が最も好ましい。 【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の育苗用紙ポットを着色したことを特徴とする。このような手段を講じることにより、藻の発生を目立たなくすることができ、外観を損ねることがないため、商品価値の低下を防止できる。また、積極的に着色することにより、脱色した白いポットあるいは古紙そのままの段ボール色(うす茶色)のポットよりも、上品な感じの色を設定することが可能で、商品性を向上させることができる。色調としては、藻の色に近い緑を基調とした色から黒に近い色まで幅広い色調が選択可能である。なお、使用する染料は、日光や雨露等で退色しないような耐候性のものを使用することが好ましく、例えば、カチオン系直接染料を使用することができる。染料は、原紙の抄造時に、使用パルプの各種調整後、パルプ固形分の2質量%程度の量で内添して使用することができる。 【0015】ここで、上述の育苗用紙ポットの全面に、複数の直径2〜5mmの小孔を設けることができる。このような構成にすると、根が外に出やすくなり、定植直後の発根を妨げることなく、苗の活着と初期生育を確保することができる。すなわち、従来の生分解性素材を用いたポットでは、ポット外への根の伸長はポットにより遮られていたため、ポットの素材が崩壊し始めるまで根はポットの外に出ることができず、定植直後の生育が不良となることがあったが、本構成によれば、そのようなことはなく、後述するように、草丈・葉数・開花数等に差がみられる。なお、小孔の大きさは、加工性、外観の問題、紙の強度や鉢土の洩れの観点から、2mm〜5mm程度が好適である。2mm未満では、素材の加工性が低下する。一方、5mmを超えると、外観を損ね、紙の強度低下や鉢土の洩れの問題が生じうる。 【0016】上述の育苗用紙ポットを成形するためのブランクは、略四角形状の平面状態の紙なので、その表面に広告文等を印刷することによって、そのまま広告媒体等として使用できる。従って、例えば、展示会等で配布して育苗用紙ポットの利用促進を図ることができ、各種催しの宣伝にも利用することができる。裏表両面に広告を付すことも可能である。また、教育の一環として、折り紙の要領で紙からポットを作製し、苗を育て、かつ土中では分解して無くなってしまうという一連の作用を教えることにより、知能の発育を促すことができる。ゴミを出さないというエコロジー感覚を養うこともでき、新規な学校教材としても利用可能である。さらに、本ブランクと共に土と種とをセットにして販売することも考えられ、販売促進製品としても有用である。また、景品や銀行等で配布するテイッシュ等の代替として、いわゆるノベルティグッズとしてのいろいろな可能性を提案することができる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されない。図1は、本発明の一実施形態を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態の育苗用紙ポット1を成形するためのブランク2を示し、(A)は表面、(B)は裏面を示し、ブランク2(第1の正方形)は、一辺が190mmの正方形である。このブランク2の中央に、一辺が約43mmの第2の正方形3が、ブランク2に対して45度回転した向きに配置されている。この第2の正方形3は、育苗用紙ポット1の底面1aを構成する。この第2の正方形3の各辺3aを短辺として等脚台形4が、ブランク2に内接して配置されている。この各等脚台形4は、育苗用紙ポット1の側面1bを構成する。隣接する2つの等脚台形4のそれぞれの側辺4aと、ブランク2の一辺2bによって画定される第1の三角形部分5の、2つの側辺4aの交点4bからブランク2の一辺2bに引かれる垂線5aを折り曲げることによって、育苗用紙ポット1のひだ部1cを構成する。等脚台形4の長辺4cとブランク2の二辺2b、2bで画定される第2の三角形部分6は、長辺4cを折り曲げることによって、育苗用紙ポット1の側面1bの上部の重畳部1dを構成する。ブランク2には、複数の小孔2aが設けられている。この小孔2aは、通常2〜5mm程度の大きさである。また、各折り曲げ線には、折り曲げやすいように罫線加工が施されている。図2(B)に示されるように、ブランク2の裏面には、折り曲げ線に合わせて各種指示線等(太線、二重線、破線、二重丸)が印刷されており、育苗用紙ポット1をより成形し易くする構成となっている。 【0018】また、ブランク2は、図3(A)に示されるように、広告文7を印字して、そのまま広告媒体として使用できる。また、図3(B)に示されるように、ブランク2の裏面に、前記指示線等に加え、成形手順を印刷して提示することにより、さらに育苗用紙ポット1の成形を容易にすることができる。折り紙感覚で環境に優しい紙ポットを成形できるので、例えば学校教材や景品等として供することもできる。 【0019】このブランク2を、図4に示す手順に従い、折紙の要領で折り曲げることによって、育苗用紙ポット1が形成される。すなわち、まず、(2)に示されるように、4カ所の垂線5aを山折りにしてから開き、(3)に示されるように、4カ所の長辺4cを谷折りにしてから開く。次いで、(4)に示されるように、A部を手で押さえ、左下のB部を右上のC部に合わせて側辺4aを折る。同じ要領で4カ所とも折る。そして、(5)に示されるように、ひだ部1cを折り込むようにして、その上から第2の三角形部分6をかぶせる。4カ所とも同じ要領で折り込むと、(6)に示される育苗用紙ポット1が完成する。完成した育苗用紙ポット1に、そのまま土を入れるか、或いはSSトレーにセットして土を入れれば、育苗に使用できる。なお、第2の三角形部分6をかぶせた後、ひだ部1cと共にホッチキス又はクリップ等の係止手段(図示せず)で留めると成形しやすい。また、各第2の三角形部分6の適所に再湿接着剤(図示せず)を塗布しておき、その部分を湿らせて第2の三角形部分6を留めるようにすることもできる。 【0020】このように、本実施形態によれば、単純な正方形のブランク2から、切り込み等を付与することなく、簡単に育苗用紙ポット1を成形することができる。従って、紙の加工費を抑制でき、紙ポットを安価に供給することが可能となる。また、側面は、ひだ部1cを有するので、丈夫な育苗用紙ポット1とすることができる。さらに、側面上部に重畳部1dを有するので、その部分が補強される。従って、育苗用紙ポット1の中に土を満たして質量が増した場合、その重畳部1dを摘んで育苗用紙ポット1を持ち上げても支障がなく、移動等の処理をスムーズに行うことができる。 【0021】本実施形態のブランク2から、高さが約77mm、及び一辺が約70mmの正方形の開口を有する育苗用紙ポット1を作製することができる。この育苗用紙ポット1は、3号ポット用SSトレーにうまくフィットする。SSトレーは、種々のものが使用されているが、例えば、概略図5に示すようなものが知られている。このSSトレー10は、複数のポット収納ポケット11が連接されている。例えば、3号ポット用としては、一辺が約78mmの略正方形又は正方形の角が面取りされた八角形状の開口11aを有し、高さは約70〜75mm、かつ側壁11bは傾斜して底面11cが上部開口11aより小さく形成されている。底面11cは、径が約60mm程度の略正方形若しくは円形、又は正方形の角が面取りされた八角形状のものが多い。図6は、八角形状の開口11a及び底面11cを有するSSトレー10のポット収納ポケット11に、本実施形態の育苗用紙ポット1を収納した状態を示しており、うまくフィットすることが分かる。SSトレーは、種々のものが流通しているが、ポット収納ポケットの開口や底面の形状、高さ、及び側壁の構造等が多少異なっても、本実施形態の育苗用紙ポット1は良く適合する。 【0022】ここで、ブランク2を構成する原紙は、上述したように、強度の高いパルプ原料と生分解しやすいパルプ原料を配合して、通常の方法で抄造した紙である。強度の高いパルプ原料としてクラフト古紙を使用し、生分解しやすいパルプ原料として新聞古紙を使用すると、リサイクル性に優れ、環境に優しい製品とすることができ、好適である。紙の坪量は、60g/m2〜200g/m2の範囲で適宜設定できるが、強度及びコスト面から80g/m2〜120g/m2程度が好適である。 【0023】なお、育苗中は、潅水によって湿潤状態にさらされるため、カビが発生しやすくなる。そこで、原紙には、適宜の防カビ剤を添加することが好ましい。添加量は、有効な防カビ作用があり、かつ、ポットの生分解性に影響を及ぼさない程度の量で添加すればよく、通常、原料パルプ固形分の0.5〜10質量%であり、0.5%〜3質量%がさらに好ましい。防カビ剤としては、例えば、有機窒素系化合物と有機窒素複素環系化合物の複合系を使用できる。また、育苗時の紙力を高めるために、0.5質量%程度の湿潤紙力増強剤を添加することができる。さらに、本実施形態のブランク2は、原紙の抄造時に緑色染料を約2質量%内添することにより、藻(緑藻類)に近い色、すなわち上品なうぐいす色に着色されている。 【0024】また、図7に示されるような、一辺が190mmの正方形のブランクを利用することもでき、一辺が約23mmの八角形の底面と、約75mmの高さを有する育苗用紙ポット1を作製することができる。この場合も、3号ポット用のSSトレーにうまくフィットする。なお、ブランクの大きさ、折り曲げ線の長さ等を適宜変更することにより、2.5号、4号等の大きさの育苗用紙ポットを成形できることはいうまでもない。 【0025】 【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳述する。 実施例1:原料パルプの配合として、クラフト古紙50質量%と、新聞古紙50質量%に、パルプ固形分に対して2質量%の防カビ剤(カビガード80wp(登録商標)、有機窒素系化合物と有機窒素複素環系化合物の複合系:ケイアイ化成株式会社)、0.5質量%のエポキシ系湿潤紙力増強剤、及び2質量%の緑色染料(TOAグリーンKE(L):東亜化成株式会社)を添加し、通常の方法で抄紙して坪量100g/m2の原紙を得た。この原紙の全面に、15mmのピッチで直径2mmの小孔を穿設し、各折り曲げ線に合わせて罫線加工を施し、190mmの正方形に切断して、図2に示されるようなブランクを作製した。このブランクを図4の手順に従い折り曲げて育苗用紙ポットを得た。実施例2:原料パルプの配合率を、バージンパルプ50質量%と、再生紙古紙50質量%とする以外は、実施例1と同様の紙ポットを得た。 【0026】[紙の坪量の紙強度及び土壌分解性に及ぼす影響]実施例1のポット(坪量100g/m2)を、坪量を50g/m2及び220g/m2の原紙を使用した場合と比較して、育苗中の耐久性及び素材強度を評価し、その結果を表1に示した。その結果、50g/m2のポットは、ポットの端を摘んで持ち上げた際に破れが生じ、耐久性の面から実用的な使用は困難であると考えられるが、220g/m2及び100g/m2のポットは、破損を生じることがなかった。 【0027】 【表1】
【0028】そこで、坪量100g/m2及び220g/m2については、その土壌中の残存率から分解性について評価し、その結果を表2に示した。定植30日後のポットの残存率は、坪量220g/m2では46.3%であるのに対し、坪量100g/m2では24.6%に達し、坪量の低い紙の分解が早いことが実証された。このことから、育苗用紙ポットに使用する紙の坪量は、実際の育苗に耐えられる強度と定植後の分解速度の両面から、坪量100g/m2程度が最も適していることがわかった。 【0029】 【表2】
【0030】[防カビ剤の種類及び濃度の検討]好適な防カビ剤の種類及び添加濃度を検討するため、以下の条件で試験した。 (1)手抄条件使用パルプ:NUKP、防かび剤添加量:1.5質量%(対パルプ固形分)、湿潤紙力増強剤(エポキシ系):0.5質量%(対パルプ固形分)、手抄坪量:160g/m2、乾燥条件:115℃、30分(2)試験方法防かび試験条件:25℃、90%RH試験ポット:手抄シートを箱形に折り、中に市販園芸用培養土を50g入れ、1日1回散水を行い、恒温恒湿槽にてカビが発生するまで観察を行った。 【0031】防カビ剤の種類による、カビが発生するまでの日数の比較を下表3に示した。 【表3】
【0032】上記試験結果より、有機窒素系と有機窒素複素環系化合物の複合系の防カビ効果が高いことがわかった。そこで、この系の防カビ剤(カビガード80wp(登録商標)、前出)について、添加量による防カビ効果を比較検討し、その結果を下表4に示した。 【表4】
【0033】この結果より、防カビ剤を0.5質量%以上添加することにより、有効な防カビ作用を奏することがわかった。多量の防カビ剤を添加すれば、当然に高い防カビ効果を奏すると考えられるが、抄紙時の取扱い上の問題及びコストの観点、並びにあまり多量の防カビ剤の使用は紙力を低下させること等から、10質量%以下の濃度が妥当である。さらに、一般的に農作物・花壇苗の育苗期間は、1〜3ヶ月であることから、0.5〜3質量%が好適である。 【0034】[原紙の配合率の相違による育苗中のポットの劣化状況]下表5に示されるような配合率の原紙について、育苗中のポットの劣化状態を調査した。表5の結果から、バージンパルプ100%と同様に紙質の劣化が見られなかった区は、それぞれ、実施例1及び2に相当する新聞古紙50%+クラフト古紙50%及び再生紙古紙50%+バージンパルプ50%であった。従って、実施例1及び2のポットは、バージンパルプのみから成るポットと同程度の強度を示し、育苗用紙ポットとして有効であることがわかった。これらを比較した場合、再生利用率が高いので、新聞古紙50%+クラフト古紙50%(実施例1に相当)が好適である。 【0035】 【表5】
【0036】そこで、実施例1の育苗用紙ポットの原紙について、分解性を評価するために以下の試験を行った。実施例1の原紙を5cm角に切って試験片を得た。鉢物用土:堆肥=3:1又は1:1で混合した用土内にメッシュで挟んだ試験片を入れた。湿潤条件下(1日おきに灌水)、恒温器内(25℃及び35℃)で20日間培養し、余分な水は容器の下から落ちるようにした。そして、10日後、15日後、20日後にサンプリングし、乾燥質量を量って分解程度を調査した。 【0037】図8に、本試験により得られた、処理開始後の日数に対する原紙の残存率(質量による)を表すグラフを示した。このグラフから、実施例1の原紙は、35℃という高温下でも10日目まではあまり分解せず、その後急激に分解が進むことがわかる。従って、栽培開始直後、すなわち育苗中は分解しないが、その後(定植後)短期間で分解するという、育苗用紙ポットに必要とされる機能に合致していることが実証された。 【0038】[着色による外観上の効果]表面に藻が発生した紙ポットについて着色の効果を調べるため、藻の発生を知らせずにアンケート調査を行った。その結果、図9に示されるように、無着色のポットでは緑藻の発生に気づいた人は60%に上ったが、着色ポットでは5%程度であった。従って、ポットを着色し、藻の発生を目立ちにくくすることにより、薬剤を使用せずに、藻による視覚的な不快感を軽減できる効果が確認された。 【0039】[小孔の効果] 比較例1:小孔を設けないこと以外は、実施例1と同様に育苗用紙ポットを得た。上記実施例1、比較例1及び対照としてポリポットを使用してニチニチソウを育苗した。そして、実施例1及び比較例1のポットはそのまま定植し、ポリポットは取り外して定植した。8日後に、ニチニチソウの活着に及ぼす影響を、草丈、葉数及び開花数で評価し、その結果を表6に示した。この調査から、小孔を設けることにより、慣行(ポリポットの場合)と同程度の草丈、葉数を得ることができ、調査当日の開花数は、慣行より多いことがわかった。従って、小孔を設けると、定植直後の活着に有効であることが実証された。 【0040】 【表6】
【0041】 【発明の効果】上述したように、本発明の育苗用紙ポットは、手で容易に折り曲げて成形できるので、加工コストを低減することができる。成形前のブランクは、簡単な形状の平面状態なので、広告媒体、学校教材、景品等のノベルティグッズとして使用することができる。また、原紙の坪量を調整し、かつ適量の防カビ剤を添加することにより、育苗中における強度を確保しながら、定植後の土中への分解を進めることができる。さらに、紙ポットを着色することによって、藻の発生を目立たなくすることができると共に、意匠的にも優れた紙ポットを提供することができ、商品価値が向上する。以上のように、本発明品は、ポットに成形する前は広告媒体等として、成形後育苗期間中はポットとしての役割を果たし、定植後は速やかに土中で分解する環境に優しい機能を有する、新規かつ有用な製品である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】590002389 【氏名又は名称】静岡県 【識別番号】594155023 【氏名又は名称】大興製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月26日(2001.3.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107157 【弁理士】 【氏名又は名称】遠藤 比呂美
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| 【公開番号】 |
特開2002−281833(P2002−281833A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月2日(2002.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−86496(P2001−86496) |
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