トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コケ栽培容器の風防
【発明者】 【氏名】山下康展

【要約】 【課題】採光性と鑑賞性を損なわずに空中湿度を保持し,コケの乾燥を防ぐこと,および,浮遊塵埃の微粒子の付着・堆積を防ぐことである.

【解決手段】採光性と鑑賞性を確保するために,透明体材料の風防5を,製作容易な単純形状で,かつ,対称性の高い形状を採用し,風防内部の乾燥を防ぐために風防の内壁に発生した結露水を散逸させずに還流させる機構として結露水を砂に誘導するガイド6を設けた。また,栽培容器の内部に結露水を溜める機能を有する貯水溝を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 岩石,砂利,砂などにコケを植えたミニチュア自然の鑑賞手段である盆景を保持するためのコケ栽培容器において,蒸散する水分量を制限するための風防を,楕円体(楕円体の特別な場合として球も含む.以下同じ)の一部,もしくは楕円体の一部から成る立体の下端部に楕円柱(楕円柱の特別な場合として円柱も含む.以下同じ)の筒,もしくは楕円台の筒を接続した形状の透明体材料,あるいは,四角錐の如き多角錐,もしくは多角錐の底面に多角柱の筒もしくは多角錐台の筒を接続した形状の透明体材料によって形成したことを特徴とするコケ栽培容器の風防.
【請求項2】 請求項1記載のコケ栽培容器の風防において,風防の内壁に結露現象によって発生する水滴がコケ栽培容器の外部に滴ることを避けるために,風防の開口端の内側に楕円筒もしくは多角形の筒を下方に接続し,結露水がコケ栽培容器の内部だけに還流させて風防内の空中湿度を飽和近くに維持する機能を実現したことを特徴とするコケ栽培容器の風防.
【請求項3】 請求項1記載のコケ栽培容器の風防において,風防の内壁に結露現象によって発生する水滴がコケ栽培容器の外部に滴ることを避けるために,風防の開口端の内側に楕円筒もしくは多角形の筒の上端部を余して下方に接続し,風防内壁と楕円筒もしくは多角形の筒の上端部によって貯水溝を形成し,結露水を溜めて風防内の空中湿度を飽和近くに維持する機能を実現したことを特徴とするコケ栽培容器の風防.
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は盆景など採光を必要とするコケの栽培容器に関するものである.
【0002】
【従来の技術】従来,コケの鑑賞は,岩石,砂などを入れる陶器の皿内に,図1に示すような盆景を構成し,露出状態で鑑賞していた.コケには耐乾性の強い種類もあるが,鑑賞性に優れたコケの多くは湿度を好む種類である.コケは乾燥で枯死することはめったにないが,乾燥によって葉が変色したり,萎縮して鑑賞性を損なうことがあった.また,過度の乾燥条件が続けば枯死するため,従来の露出状態の栽培方法は過乾燥になることもあり,必ずしもコケの生育に適した栽培法とは言えなないものであった.また,近年は大気汚染のため,浮遊塵埃の微粒子がコケの葉に付着・堆積してコケの生育を阻害したり,鑑賞性を損なうこともあった.従来,これらの欠点の対策は,その道の愛好者の日々丹誠に負う以外に特に有効な手段がなかった.具体的な対策は,灌水,変色葉の除去,水をかけて葉の表面を洗浄するなどの手作業であった.
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,採光性と鑑賞性を損なわずに空中湿度を保持し,コケの乾燥を防ぐこと,および,浮遊塵埃の微粒子の付着・堆積を防ぐことである.
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するための本発明の特徴は,コケ栽培容器(1)に設けた風防(5)の構造にある.第一の特徴は,採光性と鑑賞性を確保するために,透明体材料の風防(5)を,製作容易な単純形状で,かつ,対称性の高い形状を採用した点にある.第二の特徴は,風防内部の乾燥を防ぐために,風防の内壁に発生した結露水を散逸させずに還流させる機構として,結露水を砂(4)に誘導するガイド(6)を設けた点,あるいは,栽培容器の内部に結露水を溜める機能を有する貯水溝(7)を設けた点にある.
【0005】
【発明実施の形態】図2のコケ栽培容器(1)の盆景に灌水し,風防(5)をかぶせ,明るい場所に置くだけでよい.ただし,風防(5)内の温度が上昇し過ぎないよう注意を要する.コケの生育適温の範囲を越えて昇温する恐れがある場合には,風防(5)をコケ栽培容器(1)より浮かせて隙間を作り,通風できるようにする.
【0006】
【実施例】以下,本発明に係わる栽培容器の実施例を図面を用いて説明する.最初にコケの生体構造と生態について簡単に説明する.通常見られるコケは配偶体と呼ばれ,葉状部分と仮根より成る.葉状部分では光合成が行われるが,光合成に必要な水は葉状部分に直接降り注ぐ雨水,付着する霧や露,空中湿度などが利用される.仮根は配偶体を支えるためのものであり,水分の吸収にはほとんど寄与していない.図1は盆景と呼ばれる従来のコケ栽培容器の概念図である.コケ栽培容器(1)は,長径約30cm,短径約22cmの楕円形,高さ約3.5cmの陶器の器で,その中にはコケ(3)が着生した岩石(2)と砂(4)が入っている.コケ栽培容器(1)の底に排水口は開いていない.図2は,図3または図4に示す本発明の風防(5)を図1のコケ栽培容器(1)にかぶせた本発明の実施例である.風防(5)は,肉厚1mmの透明なポリスチレン樹脂で,コケ栽培容器(1)とほぼ同寸の長径と短径を有し,長径を回転軸とする回転楕円体を長径を含む面で半分に切った形状である.即ち,ラグビーボールを2分した形状であり,その底面部にはコケ栽培容器(1)との接続を兼ねたガイド(6)が形成されている.ガイド(6)の外径はコケ栽培容器(1)の内径よりやや小さく,コケ栽培容器(1)内に収まるように形成されている.コケの育成は,岩石(2)に着生したコケ(3)に水分を補給することにより行われるが,従来,水分補給は,コケ(3)に直接灌水すると同時に,コケ栽培容器(1)内の砂(4)を適量の水で湿らせ,空中湿度を高める方法により行われていた.また従来,コケの鑑賞は,図1に示すように露出状態で行われていた.そのため灌水した水が短時間で散逸して乾燥し,コケ(3)が変色したり,萎縮して鑑賞性が低下することがあった.
【0007】図3は本発明の風防の第1の実施例の風防の断面図である.本発明においては,風防(5)をかぶせることにより,水分の散逸を抑制するとともに,風防(5)の内壁に結露した結露水を,風防(5)の底面部に形成したコケ栽培容器(1)との接続を兼ねたガイド(6)を経由して砂(4)に還流させることが可能であり,鑑賞性低下という欠点が対策されている.本発明の風防は完全密閉構造ではないが,結露が発生する限り,容器内の相対湿度は,ほぼ100%に保たれる.
【0008】図4は本発明の風防の第2の実施例の断面図である.図4の風防の機能は,本質的に図3風防の機能と大差ないが,砂に還流する結露水を一時的にトラップする機構を追加している.即ち,風防(5)の内部にせり出したガイド(6)の上端部と風防の内壁とで囲まれた溝部分に結露水を貯水する構造である.これにより,過剰の灌水によって大量の結露水が発生した場合においても,貯水溝(7)溜まった結露水を捨てることが可能であり,過剰の水分によってコケの生育に不都合が生ずること,あるいは多量の結露水の発生によって鑑賞性が低下することを回避することが可能である.
【0009】
【発明の効果】本発明の風防(5)の機能は,コケの生育や鑑賞性を妨げずに,水分の散逸を抑制すること,および,浮遊塵埃の沈着を防止することであるが,本発明の風防(5)を図1に示すコケ栽培容器(1)にかぶせることにより,外部から植物の種子や他のコケやカビの胞子の飛来を防止し,かつ,コケの胞子を飛散させないという効果を有する.また,本発明の風防は対称性の良い構造であり,風防部分によって採光が妨げられたり,視野が制限されるなどの悪影響が小さく,どの方向からもほぼ同等に鑑賞することが可能である.このように本発明は,カプセル型のインテリアとして使用できるという効果を合わせ持っている.
【出願人】 【識別番号】501127512
【氏名又は名称】有限会社神与
【出願日】 平成13年3月29日(2001.3.29)
【代理人】 【識別番号】591142091
【氏名又は名称】貝塚 隆則
【公開番号】 特開2002−281823(P2002−281823A)
【公開日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願番号】 特願2001−95318(P2001−95318)