| 【発明の名称】 |
植物栄養体を用いた緑化工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】神部 廣之
【氏名】中野 裕司
【氏名】武田 正二郎
【氏名】中村 剛
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| 【要約】 |
【課題】通常は埋設してしまうと枯死し、生育しない苔やセダムを用いて、植生環境としては粗悪なコンクリート面や岩盤を容易に緑化可能であり、より自然な緑化を行なう植物栄養体を用いた緑化工法を提供する。
【解決手段】苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体1bと、この植物栄養体1bの3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材1aとを混合した混合物1’を、低圧噴流体輸送装置7を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤1を形成するように緑化対象部分Nに吹付ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように緑化対象部分に吹付けることを特徴とする植物栄養体を用いた緑化工法。 【請求項2】 緑化対象部分に種子を含まない1〜5cm程度の厚みを有する植生基盤を吹き付け、その上に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付けることを特徴とする植物栄養体を用いた緑化工法。 【請求項3】 緑化対象部分に種子を含まない1〜5cm程度の厚みを有する植生基盤を吹き付け、その上に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付けることを特徴とする植物栄養体を用いた緑化工法。 【請求項4】 緑化対象部分に対して0.5〜3cmの目合いを有する網体を敷設した後に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付けることを特徴とする植物栄養体を用いた緑化工法。 【請求項5】 緑化対象部分に大型の草本や木本類の種子を含む厚層基盤材をランダムに1〜5cm程度の厚みを有するように吹き付け、その上または厚層基盤材の吹付け箇所以外の箇所に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付けることを特徴とする植物栄養体を用いた緑化工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は植物栄養体を用いた緑化工法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、法面やグランドなどの緑化対象部分の緑化を行なうために、客土植生材料に加えて化学肥料や外来草や郷土野草および樹木種子などを混合して、これを緑化対象部分に3〜10cmの厚みを有するように吹き付けることが行われている。このような方法は、エアの勢いで資材を搬送し吹きつける厚層基材吹付工法と、資材を用水に溶かしてスラリーとしてポンプ圧送する客土吹付工法、種子散布工法などがある。これらの方法は、エアまたはスラリーを高圧乱流としてホース内を圧送し吹きつける方法である。 【0003】一方、近年はセダムなどの栄養体により自己増殖する植物の苗を用いて景観を良くするための緑化を行う工法が考えられている。とりわけ、セダムはベンケイソウ科に属する多肉性植物であり、一般的に耐乾性および耐寒性があって、極めて強健で繁殖力が強く、水や肥料の要求量が少ないので、痩せた土壌や岩盤などの劣悪な環境の下における緑化を達成するために注目されつつある。このため、苔やセダム類をマット状に仕立てた苗を屋上などのコンクリート面などに敷設して緑化を行なうことが考えられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、マット状に仕立てられた苗は屋上のような平面に敷設する場合は良いものの、凹凸のある面に敷設する場合には、凹凸に合わせて苗の切り貼りを行う必要が生じ、施工に多大の時間がかかるという問題があった。特に、岩盤やコンクリートによって補強された法面は、多くの場合必然的に凹凸面が形成されるので、その施工がより困難になることは避けられなかった。 【0005】そこで、前述の厚層基材吹付工法において吹き付ける種子の代わりにセダムなどの自己増殖して地上を這うように成長する植物の種子や苗を植生材料にブレンドして吹き付ける方法が考えられる。しかしながら、厚層基材吹付工法などを用いて植物の種子や苗を客土材料と混合して施工すると、光を受けない下層の植物種子や苗は枯死してしまい植物の種子や苗の無駄が多くなるので、結果的に高価なものとなり、経済性に欠けるという問題があった。また、厚層基材吹付工法などによる場合、搬送の際のエア等の流体の勢いが強いために、搬送ホース内の乱流により、栄養体が細かくちぎれてしまい、さらに定着が困難となる。 【0006】本発明はこのような実情を考慮に入れてなされたものであって、通常は埋設してしまうと枯死し、生育しない苔やセダム類の栄養体を用いて、植生環境としては粗悪なコンクリート面や岩盤を容易に緑化可能であり、より自然な緑化を行なう植物栄養体を用いた緑化工法を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明の植物栄養体を用いた緑化工法は、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように緑化対象部分に吹付けることを特徴としている。(請求項1)なお、低圧噴流体輸送装置としては一般的にはエジェクタやブロアなどを用いることが多い。 【0008】本発明の植物栄養体を用いた緑化工法を実施することにより、苔およびセダムは地面を這うように生育し、早期に緑化を達成することができる。特にセダムや苔はより少ない水分および栄養素で繁殖できるので、劣悪な環境においても十分に繁殖することができる。 【0009】なお、本明細書における植物栄養体とは、敷設に伴って活着し、繁殖する能力を有する植物の組織体を示すものであり、とりわけセダムや苔の場合は、植物栄養体は種子から発芽して間もない植物を指す苗である必要はなく、成長した苔やセダムを適宜に切断してなるものであってもよいので、植物栄養体の育成にかかる時間を短縮できる。また、苔やセダム類は種子を採用することは困難であるが、野芝、ティフトン(バーミューダーグラスの改良種)、木本類としてヤナギやタニウツギなどの結実期に植物栄養体と共に採取し使用することで、植物栄養体と種子の両方を用いることができるため効率的な植物導入を可能とするものである。 【0010】低圧噴流体による搬送・吹付けは、エジェクタ、ブロアなどを用いて行われる。これらを用いた搬送・吹付けはコンプレッサによる高圧圧縮空気や高圧ポンプを用いた水流と異なり、乱流の発生を抑えて資材を搬送することができ、植物栄養体を噴流によって転がしながら土壌などと均一に混合して緑化基盤を吹付けるものであるから、植物栄養体のさらなる切断を防いで植物栄養体の活着および繁殖を確実に行うことができる。 【0011】そして、従来のようにマット状の苗を敷設するための手間がないので、施工者は苔やセダムの植物栄養体を少ない労力で敷設することができ、凹凸のある法面や岩盤などに対しても極めて容易に施工することが可能となる。加えて、苔やセダムの植物栄養体は苗に比べて小さいものであるから吹付けによる緑化工法に適している。 【0012】なお、苔やセダムの容量に対する土壌や土壌改良材の使用量は3倍以下であるから、より多くの植物栄養体を敷設でき、それだけ植物栄養体のより確実な活着を促進すると共に、植物栄養体に必要な光を遮断することがない。特に苔の施工においては土壌と併用することにより、活着・生育が良くなる。 【0013】緑化対象部分に種子を含まない1〜5cm程度の厚みを有する植生基盤を吹き付け、その上に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付けた場合(請求項2)および、緑化対象部分に種子を含まない1〜5cm程度の厚みを有する植生基盤を吹き付け、その上に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付けた場合(請求項3)には、施工直後より苔やセダム類の生体で覆われるため、吹付け完了時点で緑の景観を造成することができ、これらの定着・成長によりさらに景観が改善されていくものである。苔やセダム類は、水分が少なくとも生育可能な植物であるため、とりわけ岩盤やコンクリート・モルタル面のような水分の少ない場所、急勾配な場所でも緑化可能であり、苔やセダム類の定着により植物生育環境の改善を行なう効果が高いものである。 【0014】このため、植物栄養体によって地表面の早期緑化を図った後に飛来してきた他の植物による自然な緑化を達成できる。苔やセダム類などの自然界では裸地部に最初に侵入定着する植物より緑化を始めるために、自然の治癒力である周辺植生から風散布種子の飛来定着が容易となり、早急に自然の回復・復元を図ることができる。 【0015】また、全面を苔やセダム類により被覆し、その所々にランダムに厚い植物生育基盤を造成し、低木などを生育させるならば、鳥の止まり木を提供することとなり、鳥などを飛来招致し鳥散布種子の導入を図ることにより、より自然の復元を促進することができる。 【0016】さらに、従来の厚層基材吹付工法などは、種子により植物を導入するために発芽可能な時期が限られ施工適期が限定されるものであったが、これに比較し、耐乾燥性に優れる苔やセダム類などの植物栄養体を用いる方法は、施工時期の幅が広いことも緑化を行う点では有利に働くものとなる。 【0017】加えて、前記植物栄養体によって地表面の早期緑化を図ったのちに、飛来してきた他の植物の活着および生育のために十分な栄養素を供給することができ、飛来してきた他の植物によるより自然な緑化を達成できる。さらに、苔やセダムは水分が少なくても生育可能であるが、とりわけ岩盤法面のような水分の少ない場所や勾配の急な場所であっても、植生基盤を吹き付けた後に緑化基盤を形成することにより、活着に必要な水分をより確実に確保できる。 【0018】緑化対象部分に対して0.5〜3cmの目合いを有する網体を敷設した後に、苔またはセダムなどの栄養体繁殖植物の植物栄養体と、この植物栄養体の3倍以下の容量を有する土壌および/または土壌改良材とを混合した混合物を、低圧噴流体輸送装置を用いて、2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤を形成するように吹付ける場合(請求項4)には、急勾配の法面であっても緑化基盤が流亡することを防止できる。網体を絡み力のある麻やヤシの繊維とすることにより、緑化基盤の流亡をより効果的に防止できると共に、麻やヤシ繊維は長期的には分解されるので、最終的には自然環境により近いものとなる。なお、網体をポリエチレン繊維などによって形成する場合には、長期に渡って強靱な保護を行うことができる。 【0019】前記網体は、薄い基盤の保持、栄養体の保持を考慮すると、絡み力を適切なものとすることができる立体ネットを用いることが望ましい。つまり、本発明の場合、低圧噴流体輸送装置を用いて搬送するために基盤を圧密するのではなく、幾らかの隙間を形成するように吹きつけることにより、植物栄養体の定着をより確実に行うことができるようにすることを特徴とするものである。したがって、急勾配法面に対しては、目の立った立体ネットで緑化基盤を保持することが適当かつ必要となる。 【0020】前記緑化基盤の中に、粘性を有する糊材を混入する場合には、施工時に吹き付ける苔やセダムの植物栄養体を粘着力により施工対象面および互いに定着させ、十分に活着していないときの風や降雨による緑化基盤の剥離や流亡を防止できる。 【0021】なお、種子による植物導入の場合には、直接的に植物体に影響を与える程度が低いために様々な糊材を用いることができる。しかしながら、植物栄養体は生きた枝葉の切片であるから、耐水性の皮膜を造るような糊材を用いた場合、糊材の種類によっては苔やセダム類に損傷を与えることとなる。このため、糊材はアクリルアマイド、カルボキシルメチルセルロースなどの耐水性皮膜を造ることがなく、植物栄養体に影響を与えることのない糊材を用いることを基本とし、酢酸ビニールのような耐水性皮膜を造る糊材を用いる場合は濃度を低くすることにより、植物栄養体との相性の良い糊材とすることが望ましい。 【0022】また、糊材の添加方法としては、植物栄養体に直接混合する方法の他にパウダー状の糊剤を吹付材料に混入し、ノズル先端部で用水を噴霧し接着する方法、用水に溶解した糊材をポンプで圧送しノズル先端部で添加する方法などがある。 【0023】前記緑化基盤の中に、繊維を混入する場合には、植物栄養体が十分に活着していないときにおける緑化基盤同士の結合を強化でき、これによって緑化基盤の剥離や流亡を防止できる。なお、前記繊維はピートモスやバーク堆肥などの有機物繊維や合成繊維など多様な資材を用いることができる。 【0024】前記緑化基盤の中に、1〜2年草本植物等の比較的短期間生育する植物種子を混入する場合には、草本植物の成長によって苔やセダムの生育に適度な遮光を形成し、乾燥を抑制することによって植物栄養体の活着を促進できる。そして、苔やセダムが活着し生育する過程では導入草本植物は枯死または衰退し、苔やセダムの生育を阻害することがなく、土壌に還元される。なお、草本植物の種子はm3 当たり500〜10粒程度でよい。 【0025】また、木本類種子を用いる目的は自然の植生遷移に習ったものであり、自然界では裸地が生ずると苔などの乾燥に耐える低草高の植物が生育し、これにより土壌の整備がなされると土壌要求量の高い草丈の高い草本類が侵入定着し、これらによる土壌環境の改善により木本類が侵入定着するとされている。しかし、このようなルートとは異なり、小面積の場合は、苔類などにより土壌環境が改善されると先駆的な木本植物が直接侵入定着するとされている。 【0026】このような現象に鑑み、本発明は苔類やセダム等による環境改善効果により侵入定着が可能な先駆的な樹種の種子をあらかじめ混入しておこうというものである。このような樹種としては、ヤシャブシ、ヤマハンノキ、シラカバ、リョウブなどの風散布型植物が知られている。このような木本類を用いる場合、播種量は1m2 当たり1〜50粒程度でよい。 【0027】 【発明の実施の形態】図1は本発明の一例を示す図である。図1において、Nは緑化対象部分となる岩盤やコンクリート面などの法面、1はこの法面Nに吹き付けられる緑化基盤、2は緑化基盤の下層に形成される植生基盤、3は法面Nに対してアンカーなどを用いて固定した例えばヤシ繊維からなる網体である。4は緑化基盤1を形成するための緑化基材1’を法面Nに吹き付けるための低圧噴流体輸送装置からなる吹付け装置、5は植生基盤2を形成するための植生基材2’を法面Nに吹き付けるための吹付け装置である。 【0028】吹付け装置5の構成は圧搾空気やスクイズ式ポンプを用いた搬送を行うものなど、種々の構成が考えられるが、緑化基材1’を吹き付ける吹付け装置4は緑化基材1’を傷めない構成であることが求められる。すなわち、本例の緑化基材1’は、図2に示すように例えば土壌または土壌に代わるベントナイトやバーミキュライトなどの土壌改良材1aと、例えばセダムを繁殖能力を有する程度に小さく粉砕して形成してなる植物栄養体1bとからなる混合物であるので、吹付け装置4は植物栄養体1bに強い圧力を加えることなく緑化基材1’を搬送する構成であることが求められる。 【0029】なお、緑化基材1’は土壌改良材1aと植物栄養体1bの混合物に限られるものではなく、土壌と植物栄養体1bの混合物、土壌と土壌改良材と植物栄養体1bの混合物であってもよい。従って、この緑化基材1’の吹付けによって形成される緑化基盤1は植物栄養体1bと土壌および/または土壌改良材との複合基盤となる。また、本例のように緑化対象面Nに先ず植生基盤2を形成する場合には、緑化基材1’として植物栄養体1bだけを吹きつけて植物栄養体1bからなる緑化基盤1を形成してもよい。この場合、緑化基盤1はその一部または全部が土壌改良材1aの表面部分に埋没するので、その厚み2mm〜3cmは必ずしも図1に示すような断面図に表現できるものではない場合がある。 【0030】図2は吹付け装置4の構成を明示する図である。図2において、6はバイブレータ6a付きのシュート6bを備えたホッパー装置であり、その下部側には緑化基材1’を取出口6cに送りだすためのスクリューコンベア6dを配置している。7は取出口6cに連設する円周エジェクタ装置(低圧噴流体輸送装置の一例)、8はこの円周エジェクタ装置7に連設するホース、9はホース8によって導かれた緑化基材1’を法面Nに吹きつけるための吹付けノズルである。なお、吹付けノズル9には例えば図1に示すように、吹付け時に緑化基材1’に水分を添加して吹き付けを容易に行うための給水装置9aが取り付けられている。 【0031】前記円周エジェクタ装置7の構成は、図3に拡大して示すように、取出口6cの外まわりに環状のエアチャンバーAを形成すると共に、このエアチャンバーAからホース8内に連通する微小の環状スリットaを形成してなる。したがって、このエアチャンバーA内にコンプレッサ7aによって空気を送入することにより、環状スリットaから空気が噴出し、この空気の噴出がコアンダ効果によって矢印bに示すようにホース8の壁面に沿うジェット気流を形成する。そして、このジェット気流bの生成によって取出口6cの内部に負圧域Bが形成される。 【0032】7’はホース8の途中に設けられた円周エジェクタ装置であり、その構成および効果は円周エジェクタ装置7とほゞ同じであるから、その詳細な説明を省略する。また、7bは各円周エジェクタ装置7,7’のエアチャンバーAを連通連結する配管であり、前記コンプレッサ7aからの加圧空気を各円周エジェクタ装置7,7’に送り込むためのものである。 【0033】上記の構成によれば、ホッパー装置6に投入された緑化基材1’は、スクリューコンベア6dによって確実かつ定量的に負圧域Bに送り出されることになり、負圧域Bに送りだされた緑化基材1’は、負圧の吸引作用を受けて、順次負圧域Bを通過し、ついでホース8内面に引き寄せられる高密度のジェット気流bに乗ってホース8内を転がりながら搬送される。つまり、緑化基材1’に対して高圧の圧搾空気による力が直接的に作用することがなく、機械的に高い圧力がかかることもないので、緑化基材1’の搬送段階で植物栄養体がさらに分解されることを防止できる。 【0034】また、負圧域Bへの緑化基材1’の送り出しが定量的であるから、吹付け装置による緑化基材1’の搬送能力は安定したものとなり、かつ、緑化基材1’を随時、ホッパー装置6内に追加供給することで、緑化基材1’は定量的に連続搬送されることになる。つまり、緑化基材1’を常に所定の割合で吹きつけることが可能となり、それだけ緑化基盤1を薄く均一に形成することができる。 【0035】なお、負圧域Bへの緑化基材1’の供給はホッパー装置6とスクリューコンベア6dを用いることにより定量的に連続供給することが可能であるが、本発明はその構成を限定するものではない。すなわち、図3に二点鎖線にして示すように緑化基材1’を負圧域Bへ直接的に供給するようにしてもよい。 【0036】何れにしても、作業者は前記吹付け装置4を用いることにより、法面Nに凹凸がある場合であっても、緑化基盤1を極めて容易に形成でき、施工にかかる時間を短縮することができる。また、吹付け装置4は低圧噴流体輸送装置はエアの勢いで資材を搬送し吹きつけるものではないので、ホース8に高圧乱流が発生することがない。つまり、エアの圧力ではなく風量によって搬送することにより緑化基材1’を傷めることなく搬送するものである。なお、本例は低圧噴流体輸送装置の一例としてエジェクタを用いた例を示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、ブロアなどその他の低圧噴流体輸送装置を用いてもよい。 【0037】図4は施工手順を示す図である。すなわち、本例において説明する植物栄養体を用いた緑化工法では、先ず図4(A)に示すように、法面Nに網体3を敷設し、吹付け装置5を用いて種子を含まない厚層基材もしくは客土からなる植生基材2’を吹き付けて、1〜5cm程度の厚みを有する植生基盤2を形成する。 【0038】前記網体3は絡み力を有するものが望ましく、本例では好適なものとして例えばヤシ繊維を用いた目合い0.5〜3cmの網体を形成していので、急勾配の法面Nにおいても植生基盤2が安定に敷設できる。なお、本発明は網体3の材料をヤシ繊維に限定されるものではなくジュート繊維を用いて形成されていてもよい。これらの繊維は敷設当時に十分の強度を有すると共に、何れは分解されるので、植物栄養体1bが定着した後はより自然な状態に帰ることが可能となる。また、網体3をポリエチレン繊維などの化学繊維で形成することにより、長期に渡って強靱な保護を行うことも可能である。加えて、網体3の目合いの大きさもその強度に合わせて自由に選択可能である。 【0039】なお、前記網体3は、植生基盤を安定して敷設するだけにとどまらず、薄い緑化基盤1の保持や、植物栄養体1bを安定させて、その保持を確実に行うために緑化基盤1に設けられてもよい。この場合、網体3は、絡み力を適切なものとすることができる立体ネットを用いることが望ましい。 【0040】つまり、本発明の場合、低圧噴流体輸送装置である吹付け装置4を用いて搬送するために基盤を圧密するのではなく、幾らかの隙間を形成するように吹きつけることにより、植物栄養体の定着をより確実に行うものであるから、急勾配法面に対しては、目の立った立体ネットで緑化基盤を保持することにより緑化基盤1の保持をより確実に行うことができ、薄い緑化基盤1であっても流水などによって流亡することを防止できる。 【0041】植生基盤2の形成が終わると次いで、図4(B)に示すように、吹付け装置4を用いて緑化基材1’を吹き付けることにより2mm〜3cm程度の厚みを有する緑化基盤1を形成する。この緑化基盤1の厚さは3cm以下に抑えることにより、植物栄養体1bの全てが活着に必要な光を受けることができ、植物栄養体1bが無駄になることがなく、結果的に経済的な緑化工法を実現できる。 【0042】なお、前記植物栄養体1bをセダムによって形成する場合は、セダムが多肉性植物であるから植物栄養体1bはセダムの葉1枚程度のもので繁殖可能な組織体を構成する。つまり、本例の植物栄養体を用いた緑化工法では、植物栄養体1bを用意する際にセダムの苗を育成する必要がなく、成長したセダムを適宜の大きさに切断するだけでよいので、それだけ施工にかかる時間を短縮できる。また、従来の厚層基材吹付工法などは、種子により植物を導入するために発芽可能な時期が限られ施工適期が限定されるものであったが、本発明は植物栄養体を用いた緑化工法を実施する場合には、施工時期の幅が広いので、施工を行う点で有利である。 【0043】同様に、植物栄養体1bとして苔を用いた場合にも、植物栄養体1bは苔を細かく分離したものでよい。以下の説明においては、主にセダムを用いた施工を例示するが、苔を植物栄養体1bとして用いる場合にもほゞ同様の施工を行うのでその詳細な説明を省略する。 【0044】加えて、前記土壌改良材1aにはピートモスやバーク堆肥などの繊維を混合したり、酢酸ビニール、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル等の粉体状の糊材を混合してもよい。すなわち、土壌改良材1aに繊維を混合することにより緑化基盤1の結束力を強化して雨風による植物栄養体1bの流亡を防止できる。同様に、土壌改良材1aに糊材を混合することにより、法面Nに対する緑化基盤1の付着および互いの結束力を強化して施工後の植物栄養体1bの流亡を防止できる。 【0045】なお、本発明は植物栄養体を用いた緑化工法であり、植物栄養体は生きた枝葉の切片であるから、前記糊材は苔やセダム類に損傷を与えることのない植物栄養体との相性のよいものを選択することが望ましい。すなわち、糊材はアクリルアマイド、カルボキシルメチルセルロースなどの耐水性皮膜を造ることがなく、植物栄養体に影響を与えることのない糊材を用いることを基本とし、酢酸ビニールのような耐水性皮膜を造る糊材を用いる場合は濃度を低くすることにより、植物栄養体の成長を阻害することがない用にすることが肝要である。また、糊材の添加方法としては、パウダー状の糊剤を緑化基材1’に混入し、ノズル9の先端部において給水装置9aによって供給された用水を噴霧して接着する方法、あるいは、用水に溶解した糊材を給水装置9aによって圧送しノズル9の先端部で添加する方法などがある。 【0046】また、前記土壌改良材1a内に、1〜2年草本植物種子をm3 当たり500〜10粒併用してもよい。これらの草本植物を土壌改良材1aに含ませることにより、草本植物が苔やセダムなどの生育に適切な遮光を形成することができる。さらに、前記土壌改良材1a内または植生基盤2内に苔類やセダム等による環境改善効果により侵入定着が可能な先駆的な樹種の種子をあらかじめ混入していてもよい。このような樹種としては、ヤシャブシ、ヤマハンノキ、シラカバ、リョウブなどの風散布型植物が知られており、その播種量は1m2 当たり1〜50粒程度でよい。 【0047】何れにしても、植物栄養体1bに対する土壌改良材1aの量は3倍以下であることが望ましい。すなわち、植物栄養体1bの3倍以下の土壌または土壌改良材1aを用いることにより、苔やセダムの活着を促進すると共に植物栄養体1bに必要な光を遮断することをなくし、より多くの植物栄養体1bを活着させることができる。 【0048】また、本例の場合は、緑化基盤1の下層に種子を含まない植生基盤2が形成されているので、岩盤やコンクリート面からなる法面Nのような粗悪な環境においても、植物栄養体1bが活着するために十分な水分や栄養素を取り入れることが可能となる。さらに、緑化対象部分が岩盤やコンクリート面でない場合には、緑化基盤1の下層に植生基盤2を形成することにより、飛来してきた種子が成長するために十分な水分や栄養素を供給することも可能となる。 【0049】また、上述の例では法面Nに対してほゞ均一な厚みを有する植生基盤2を形成する例を示しているが、法面Nの所々にランダムに厚い植生基盤2(厚層基盤)を造成し、その上または植生基盤2を形成した箇所以外の箇所に緑化基盤を形成し、この植生基盤2に大型の草本や木本類の種子を混入し、この厚層基盤材を用いて低木などを生育させるならば、全面を苔やセダム類により被覆すると共に、鳥の止まり木を提供することが可能となる。したがって、鳥などを飛来招致し鳥散布種子の導入を図ることにより、より自然な生態系の復元を促進することができる。 【0050】図5は施工後の変化を示す断面図である。図5(A)は施工直後を示す図であって、Cは緑化基盤1を構成する緑化基材1’に混入させた1〜2年草本植物の種子である。 【0051】図5(B)は施工後所定の時間が経過した状態を示す図である。すなわち、施工後はまず前記種子Cから草本植物Dが成長する。そして、草本植物Dの成長によって、法面Nが早期に緑化されるとともに、草本植物Dが適当な遮光を形成するので、セダムEの成長に適切な環境を整えてセダムEが活着することを助けることができる。 【0052】図5(C)は施工後さらに時間が経過した状態を示す図である。すなわち、草本植物Dは長期的には枯死し、セダムEが強固に根を張って、法面Nの緑化を達成する。また、セダムEは地を這うように成長する植物であるから、セダムEが十分に成長することによって、飛来してきた別の種子を容易にとらえて、それが容易に成長することができる環境を整えることができるようになり、以後、多様性に富む緑化が行われて、より自然な緑化を達成することができる。 【0053】なお、上述の例では植物栄養体1bとして主にセダムを用いた例を用いて説明しているが、苔を用いても同様の効果を望むことができる。また、植物栄養体1bとして苔を用いた場合は急勾配の法面などにおいてより安定した緑化を達成することができる。 【0054】さらに、上述の例では植生基盤2には種子を混入しないようにしているが、この植生基盤2に従来の播種工法を組み合わせることにより、多様性に富む緑化を積極的に取り入れることも可能である。 【0055】逆に、苔やセダムは栄養素や水分の要求量が少ないので、法面でない緑化対象部分に敷設する場合には、植生基盤2の吹付けを省略することも可能であり、これによってより少ない手間と材料を用いて緑化を達成することが可能となる。 【0056】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の植物栄養体を用いた緑化工法によれば、植物栄養体を吹付け方法で定着・生育させることができる、施工にかかる手間を少なくし、そのコストを引き下げることができる。また、公園や法面など大規模な裸地面を少量の材料を用いて短期間に緑化することが可能となる。さらに、法面においては、苔を導入することにより周辺の自然植生の侵入が促進される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231431 【氏名又は名称】日本植生株式会社 【識別番号】000115463 【氏名又は名称】ライト工業株式会社 【識別番号】501122621 【氏名又は名称】株式会社山陽緑地
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| 【出願日】 |
平成13年3月26日(2001.3.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074273 【弁理士】 【氏名又は名称】藤本 英夫
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| 【公開番号】 |
特開2002−281820(P2002−281820A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月2日(2002.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−88102(P2001−88102) |
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