| 【発明の名称】 |
育苗用給水床の製造方法、及びこのための薬剤包装品 |
| 【発明者】 |
【氏名】辻本 建男
【氏名】湊 莞爾
【氏名】茂田 勝美
【氏名】松下 慎哉
【氏名】中田 博之
【氏名】赤尾 俊和
|
| 【要約】 |
【課題】育苗ポット中の苗に水を供給するための、保水ゲルからなる育苗用給水床の製造方法において、苗の生産地等において容易かつ安全に作製することができ、取り扱いの容易なものを提供する。
【解決手段】常温で固体である、アルカリケイ酸塩及び中和用の酸を用いて包囲ゲルからなる給水床を製造する。詳しくは、アルカリケイ酸塩の粉末、及び中和用の酸の粉末を、それぞれ所定量ずつ水溶性フィルムまたは非透湿性フィルムで包装しておく。給水床を作製する際には、攪拌した水中に、水溶性フィルムに包装されたままで、または非透湿性フィルムの包装を解いて、一組の薬剤を投入する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】育苗ポット中の苗に水を供給するための、保水ゲルからなる育苗用給水床の製造方法において、アルカリケイ酸塩を水に分散・溶解して中和用の酸を加えることによりゲル状に固化した保水ゲルを生成し、この際に、前記アルカリケイ酸塩、及び前記中和用の酸として、常温で固体のものを用いることを特徴とする育苗用給水床の製造方法。 【請求項2】ゲル状に固化する前に、前記中和用の酸により、pH4〜9に調整することを特徴とする請求項1記載の育苗用給水床の製造方法。 【請求項3】前記アルカリケイ酸塩、及び前記中和用の酸の少なくともいずれかが、水溶性または水中崩壊性の材料により包装されて供給されるものであることを特徴とする請求項2記載の育苗用給水床の製造方法。 【請求項4】前記アルカリケイ酸塩、及び前記中和用の酸の少なくともいずれかが、非透湿性のフィルムまたはシートにより包装されて供給されるものであることを特徴とする請求項2または3記載の育苗用給水床の製造方法。 【請求項5】ゲル状に固化する前に界面活性剤を添加することを特徴とする請求項2記載の育苗用給水床の製造方法。 【請求項6】ゲル状に固化する前に水溶性高分子を添加することを特徴とする請求項2または5記載の育苗用給水床の製造方法。 【請求項7】ゲル状に固化する前の液状物、または固化の直後の前記保水ゲルが、育苗ポットを搭載可能な給水容器に移され、この給水容器に充填されることを特徴とする請求項1〜6記載の育苗用給水床の製造方法。 【請求項8】育苗ポット中の苗に水を供給するための、保水ゲルからなる育苗用給水床の製造方法において、アルカリケイ酸塩を水に分散・溶解して中和用の酸を加えることによりゲル状に固化した保水ゲルを生成し、この際に、ゲル状に固化する前に界面活性剤を添加することを特徴とする育苗用給水床の製造方法。 【請求項9】育苗ポット中の苗に水を供給するための、保水ゲルからなる育苗用給水床の製造方法において、アルカリケイ酸塩を水に分散・溶解して中和用の酸を加えることによりゲル状に固化した保水ゲルを生成し、この際に、ゲル状に固化する前に水溶性高分子を添加することを特徴とする育苗用給水床の製造方法。 【請求項10】保水ゲルからなる育苗用給水床を製造するための一組の薬剤を包装した薬剤包装品であって、常温で固体のアルカリケイ酸塩、及び、常温で固体の中和用の酸が、それぞれ、所定量ずつ、水溶性もしくは水中崩壊性材料、または非透湿性のフィルムもしくはシートにより包装されていることを特徴とする薬剤包装品。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、育苗ポット等の苗を健苗状態のまま保管または輸送すべく苗に給水を行うための給水床を製造する方法に関する。特には、育苗ポットを搭載して育苗ポットへの給水を行うための、移送可能な給水床を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、花や野菜苗などの育苗は個々の農家による生産が主体であった。近年、農業の近代化、さらに農家の老齢化等も加わって、セルトレイを中心としたポット育苗体系が確立され、苗生産が農業協同組合や農家の集合体および苗生産業者に移行してきた。そして、苗の安定供給が可能となった現在において、苗生産とその後の栽培との分業化が急速に進んでいる。 【0003】その反面、苗生産の分業化は、天候不良などの環境条件によって圃場の作業が計画通り進行しないと定植が遅延することから、苗に貯蔵性が求められるという問題点を抱えている。 【0004】また、ガーデニングを支える苗販売でも、計画通りに販売が進まないと、スーパーや小売販売の店頭で苗は何日かを過ごすことになる。この場合、管理者は1日何回かの潅水によって販売する苗の維持を図っているが、苗はそれなりに徒長し軟弱化してしまうのが通例である。 【0005】また、育苗場と利用者である植付け圃場あるいは苗販売店との距離が離れていることが多く、苗輸送中における育苗ポットの培土の乾燥、それに伴う苗の萎れや、輸送中に育苗ポットを収納する容器から育苗ポットが飛び出し転倒することによって苗が損傷するなど、改善すべき問題点が多い。 【0006】そのため、育苗業者は軟弱、徒長を避け、極力乾燥に耐え得る水切り育苗に努めているが、それが店頭での健苗貯蔵につながっていないのが現状である。 【0007】これらの問題を解決するため、育苗ポットを給水容器に搭載し、該給水容器に充填された給水材により育苗ポットに給水する方法が提案されており、このような給水材として有機または無機の保水ゲル等が用いられている。 【0008】例えば、給水材として粘度の高い有機ポリマー水溶液をゲル化して用いる手法(特開平8−134447号公報、特開平10−14423号公報、特開平11−151041号公報)、育苗ポットの底部に密封槽を設けて水分を含む有機ポリマー等を充填する手法(特開平9−248066号公報)、無機系ゲル形成材に温水(40℃)を加え給水容器内で瞬時(30秒内)にゲル化する方法(GB2,310,352A)などがある。保水ゲルを給水材として用いる場合、苗への給水のみならず、育苗ポットの転倒防止手法としても有用である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水を含んだ有機ポリマーを用いる場合には、その粘着性のために取扱いにくい。また、瞬時にゲル化する方法では作業可能な時間が非常に短く、かなりの熟練を行っても確実な作業には困難を伴っていた。さらに、これらの給水材を用いる場合、育苗ポットが、農家等の使用者に到着した後、育苗ポットを給水容器から取り出しにくい等の問題が残る。また、特開平9−248066号公報の手法による場合、特殊な給水用密封容器が必要な上、保水剤として用いられる高吸水性ポリマーが高価であり、また廃棄処理の問題も残る。 【0010】そこで、本願発明者らは、本願出願時に未公開である特願平11−260196において、育苗ポットを搭載して給水する給水床を、水ガラスの水希釈液をゲル状に固化してなる給水材より形成することを提案している。 【0011】本願発明者らは、特願平11−260196に提案の方法をベースにさらに検討を行い、育苗用の給水床を、苗の生産地等においてさらに容易かつ安全に作製できるようにすべく改良を行った。 【0012】すなわち、本発明は、育苗用給水床を備えた育苗ポットにおいて、育苗用ポット等の保持性や脱着性に優れる給水床を、特別な装置や設備なしに容易かつ安全に製造できる方法を提供するものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の育苗用給水床の製造方法は、育苗ポット中の苗に水を供給するための、保水ゲルからなる育苗用給水床の製造方法において、アルカリケイ酸塩を水に分散・溶解して中和用の酸を加えることによりゲル状に固化した保水ゲルを生成し、前記アルカリケイ酸塩、及び前記中和用の酸として、常温で固体のものを用いることを特徴とする。 【0014】このような構成により、育苗用ポット等の保持性や脱着性に優れる給水床を、特別な装置や設備なしに容易かつ安全に製造できる。 【0015】請求項3に記載の育苗用給水床の製造方法は、前記アルカリケイ酸塩、及び前記中和用の酸の少なくともいずれかが、水溶性または水中崩壊性の材料により包装されて供給されるものである。 【0016】このような構成により、酸等が人体に付着したり周囲に揮散することがなく、また、特別な計量装置を必要としない。そのため、さらに容易かつ安全に製造を行うことができる。 【0017】 【発明の実施の形態】本発明で用いるアルカリケイ酸塩は、アルカリ金属のケイ酸塩化合物中で、常温にて固体のものである。すなわち、約30℃までの温度で、粉末または顆粒の状態を保つことができるものである。 【0018】常温で固体のアルカリケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(工業用市販品)、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸ナトリウム、及びオルトケイ酸カリウム、またはこれらの混合物が代表的なものとして挙げられる。これらは、取り扱いが容易であり、土壌中に廃棄してもなんら問題のないものである。 【0019】本発明で用いる中和用の酸は、常温にて固体のものであり、上記アルカリケイ酸塩の場合と同様、約30℃までの温度で、粉末または顆粒の状態を保つことができるものである。常温にて固体である中和用の酸としては、ホウ酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、ピルビン酸、ラウリン酸、ミリスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等を挙げることができる。特に、好ましいものとしては、例えば、各種のホウ酸、及び、クエン酸の一水和物や無水物を挙げることができる。 【0020】常温で固体のアルカリケイ酸塩や中和用の酸は、粉末または顆粒状に限らず、繊維状その他の溶解しやすい形状のものであっても良い。 【0021】上記のアルカリケイ酸塩、及び中和用の酸の少なくともいずれかについて、水溶性または水中崩壊性材料により包装したものを用いるのが、作業の容易さ、確実性及び安全性の観点から好ましい。 【0022】水溶性または水中崩壊性材料としては、好ましいものとして、冷水可溶性の各種ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、このようなPVAフィルムをラミネートした水解紙、及び、水溶性の不織布を挙げることができる。水解紙は、例えば、カルボシキメチル化したセルロース繊維を一旦酸型にした上で通常の紙の繊維と混ぜて抄紙した後、アルカリ型に戻したものである。 【0023】これらPVA等は、包装する薬剤に対するある程度の抵抗性を有し、該薬剤による水溶性または水中崩壊性への悪影響が少ないものである。 【0024】上記のアルカリケイ酸塩、及び中和用の酸の少なくともいずれかについて、そのまま、または上記水溶性または水中崩壊性材料で包装した上で、非透湿性のフィルムまたはシートにより包装して供給するのが好ましい。 【0025】非透湿性のフィルムまたはシートとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の単独またはこれらの積層(ラミネート)フィルム、または、これら単独または積層フィルムにアルミニウム等の金属膜や酸化シリコン膜等の非透湿性無機材料の層を設けたものが挙げられる。金属膜は、樹脂フィルムまたは樹脂シートの表面を被覆する薄膜であっても良く、樹脂フィルム等とラミネートされる、アルミ箔等の金属箔であっても良い。例えば金属箔を用いる場合、金属箔を中心層とし表側及び裏側に単層樹脂フィルムを配した3層フィルムとするのが一般的であるが、4層以上の多層フィルムまたは単なる2層フィルムであっても良い。 【0026】非透湿性は、ポリプロピレン等の単層膜であっても一定以上の厚みがあればある程度実現できるが、アルカリケイ酸塩を包装するため、二酸化炭素等に対するガスバリア性をも有するように、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のフィルムとラミネートするのが好ましい。また、湿度の高い状態で保存される場合や、長期にわたって保存される場合には、非透湿性無機材料の膜を、蒸着、スパッタリング等の方法によりコーティングしたものが好ましい。 【0027】育苗用給水床を製造する際には、攪拌した水中に上記固体のアルカリケイ酸塩を投入し、次いで、上記の中和用の酸を投入する。これらは、上記水溶性または水中崩壊性の材料で包装した状態で投入するならば、現場で薬剤の計量を行う必要がなく、薬剤の粉末が飛び散ることもないので、安全かつ、容易に作業を行うことができる。また、計量のミス等がないため、作業の信頼性を向上させることもできる。 【0028】育苗用給水床を製造する際の、上記固体のアルカリケイ酸塩に対する水の量は、重量比で、例えば10〜200倍、好ましくは50〜150倍とすることができる。 【0029】また、中和用の酸の量は、適当な保水ゲルが生成される範囲内であれば良いが、好ましくは、給水床を構成する保水ゲルのpHが4〜9、より好ましくは5〜8になるように選択される。 【0030】この際、pH調整を容易にするとともに給水床のpHの変動を抑えるため、好ましくは、リン酸塩等のpH緩衝剤を添加する。 【0031】また、育苗用給水床を製造する際に、非イオン性、アニオン性等の界面活性剤を添加するのが好ましい。界面活性剤の添加により、育苗ポットへの水の供給をより容易にし、育苗用ポット内の培養土の保水性を向上することができる。ここで、非イオン性の界面活性剤としては、高級アルコール、アルキルフェノールもしくはポリプロピレングリコールなどにエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加してなるアルキレンオキサイド系界面活性剤、グリセリン、ソルビタンもしくはショ糖などを高級脂肪酸でエステル化してなるエステル系界面活性剤、このエステルにさらにエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加してなるアルキレンオキサイド付加エステル系界面活性剤などが挙げられる。また、アニオン性の界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸系界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩もしくは高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩系界面活性剤が挙げられる。これらは、給水性能の向上及び培養土の保水性の向上において優れた効果を発揮するとともに、環境や生体に対する毒性がないか、あってもきわめて小さいものである。 【0032】界面活性剤の添加量は、例えば、0.01〜10%(重量)である。 【0033】育苗用給水床を製造する際に、水溶性高分子を添加するのが好ましい。適当な水溶性高分子を添加することにより、培養土の保水性を向上させることができ、また、給水床をなす保水ゲルの機械的強度を向上させることができる。 【0034】適当な水溶性高分子としては、アルギン酸ナトリウム塩、各種PVA、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)、でんぷん、加工でんぷん等を挙げることができる。水溶性高分子の添加量は、例えば、0.1〜20%(重量)である。 【0035】上記のpH緩衝剤、界面活性剤、または水溶性高分子についても、アルカリケイ酸塩等と同様に、水溶性または水中崩壊性の材料、または非透湿性のフィルム等により所定量ずつ包装して置くのが作業性、安全性等の点で好ましい。また、水溶性または水中崩壊性の材料で包装した上で、さらに非透湿性のフィルム等により包装して置くこともできる。 【0036】なお、育苗用給水床を製造する際に、必要に応じ着色剤、肥料、栄養剤、成長促進剤、酸素発生剤を添加することも可能であり、また、ゲル化直前にかき混ぜ、ゲル体に気泡を持たせることもできる。これらの添加剤についても、上記のpH緩衝剤等と同様、水溶性または水中崩壊性の材料、及び、非透湿性のフィルム等の少なくとも一方を用いて包装しておくことができる。また、上記pH緩衝材等と混合した上で包装しておくこともできる。 【0037】以下に、本発明の実施例について説明する。 【0038】<実施例>1.給水床作製用の薬剤セット包装品の調製アルカリケイ酸塩としてJIS K 1408に規定するメタケイ酸ナトリウム1種の白色粉末を50gずつ計量し、予め「A」の文字を印刷した水溶性フィルム中に分封した。水溶性フィルムとしてはハイセロンC−200(登録商標、日本合成化学工業(株))を用いた。 【0039】また、中和用の酸としては、クエン酸(工業用)の顆粒を50gずつ計量して、予め「B」の文字を印刷した同様の水溶性フィルムに分封した。 【0040】さらに、易溶性のPVA粉末(低分子量・部分けん化品)20g、及びポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル10gを、予め「C」の文字を印刷した一つの水溶性フィルムの袋中にまとめて、同様に包装した。 【0041】これら「A」、「B」及び「C」の袋を一組ずつ、非透湿性フィルム中に包装した。この際、非透湿性フィルムとして、ポリプロピレン(OPP)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)及びポリエチレン(PE)からなるヒートシール可能な三層ラミネートフィルムを用いた。 【0042】このようにして、給水床製造のための薬剤セット分封品を製造した。この薬剤セット分封品をしばらく保存した後、以下のようにして給水床を作製した。 【0043】2.育苗用給水床の作製4Lの水を入れたポリバケツ、及び電動攪拌機を用意する。攪拌させた水の中に、上記Aの袋を投入し、全体がほぼ均一になったならば上記Bの袋を投入する。再度全体がほぼ均一になったならば上記Cの袋を投入して、しばらく強い攪拌を続けた後、粘度が上昇して来たならば、緩い攪拌に切り替える。 【0044】攪拌が少し困難になった状態で、液状の給水材を65cm×35cm×4cmの平底プラスチック製のトレイ状容器に移した。 【0045】給水材が固化してしまう前、すなわち流動性を失う前に、ハクサイの苗(タキイ種苗(株)の「ほまれ」)を植栽した育苗ポットを、トレイ状容器中のペースト状の給水材の上に載置した。ここで、育苗ポットとしては、200個のセルを有するセルトレイ(タキイ種苗(株)「TKポット200」)を用いた。「セルトレイ」とは、プラスチックシートの角形または丸形の「セル」(小鉢部)がマトリクス状に連結されてなる、作業性に優れた育苗ポットである。各セルは、少なくとも底面に給排水用開口を有しており、底面から下方に膨出する複数の足部を有している。 【0046】このようにして、育苗ポットの底部形状に沿った保持用凹部を有する育苗用給水床を作製した。 【0047】3.給水性能の試験次に、育苗用ポットを保持した育苗用給水床を用いて、給水性能を調べた。すなわち、上記のように作製した給水床付きのハクサイの育苗用ポットを、直射日光を遮断したビニールハウス内に設置し、経日による苗の状況を観察した。 【0048】この結果、14日後にも、ハクサイの苗が健全な状態に保たれ、「萎え」や「徒長」も観察されなかった。すなわち、苗がへたることや、もやし状に伸びる現象は全く観察されなかった。 【0049】上記実施例によると、苗場等の現場で、薬剤を計量する必要もなく、薬剤が飛び散ったり、作業者の肌や衣服に付着することもなく、安全かつ容易に作業を行うことができ、また、計量ミス等を防げることから作業の信頼性を向上させることもできる。 【0050】また、必要な全ての薬剤が非透湿性の袋の中に含まれることから、ガラス製その他のビンに液状の薬剤を収納する場合に比べて、輸送及び保管の際の重量及びスペースを低減することができる。さらに、アルカリケイ酸塩粉末等の各薬剤の包装に水溶性等のフィルムを用いていることから、作業の利便性を向上しても、廃棄物となる包装材は、外側の非透湿性フィルムだけであり、廃棄物の量を最小限に抑えることができる。 【0051】一方、非透湿性フィルムによる適当な包装を行うことで、多少、湿気の多い環境の下でも、安定性を持続したままで、保管及び輸送を行うことができる。通常の環境下であれば、かなりの長期間にわたって安定性を持続できる。 【0052】上記実施例では、さらに、適当な界面活性剤の添加により、給水床から育苗ポット中への給水性が向上しており、また、培養土の保水性も向上している。また、適当な水溶性高分子の添加により、培養土の保水性をさらに向上するとともに、給水床をなす保水ゲルのゲル強度を充分に向上させている。 【0053】上記実施例においては、給水床が固化する前に育苗ポットを搭載するとして説明したが、給水床が固化した直後に育苗ポットを搭載しても同様の効果が得られる。固化直後であれば、育苗ポットを保水ゲル中に押し込んでその底部が保水ゲル中に埋まった状態とすることができるので、給水床による育苗ポットの保持においても同様の効果が得られる。 【0054】また、給水床を生成するにあたり、トレイ状等の給水容器に育苗ポットを予め搭載しておき、この状態で給水容器に硬化前の給水床形成液を流し込んでゲル化させても良い。 【0055】上記実施例においては、給水床が、育苗ポットを搭載して保持するものとして説明したが、保持効果がなく、単に搭載することで給水を行うものであっても良い。 【0056】また、空の育苗ポット中に給水床を形成しておき、この給水床の上に培養土及び苗を積載するものであっても良い。さらには、培養土を収納した育苗ポットの底部を硬化前のゲル形成剤液に浸漬することにより、育苗ポットの底部付近で、培養土等が有する空隙に浸透・充填した形の給水床を製造するのであっても良い。 【0057】 【発明の効果】保水ゲルからなる取り扱いの容易な育苗用給水床を、苗の生産地等において容易かつ安全に作製することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】594003104 【氏名又は名称】株式会社テイエス植物研究所 【識別番号】000003506 【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年3月12日(2001.3.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059225 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 璋子 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−262680(P2002−262680A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月17日(2002.9.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−69171(P2001−69171) |
|