| 【発明の名称】 |
農業用フィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】市村 拓野
【氏名】大西 俊一
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| 【要約】 |
【課題】耐候性、耐農薬性、保温性、耐久性に優れ、長期間使用可能な農業用フィルムを提供する。
【解決手段】エチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体(A)を含有する層を少なくとも1層と式(I) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】エチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体(A)を含有する層を少なくとも1層と式(I)で示される複合水酸化物塩(B)を含有する層を少なくとも1層有する農業用フィルム(なお、(A)と(B)が同一の層中に含有することを妨げない)。 【化1】[Al2(Li(1-x)・M(x+y))(OH)6+y]2(An-)2(1+x)/n・mH2O(I) (式中、MはMg及び/又はZnで、Aはn価のアニオン、mは0又は正の数、x及びyは0≦x<1、0≦y≦0.5の範囲である。) 【請求項2】上記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩において、x=0の数を示し、Aが炭酸イオンであることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム【請求項3】上記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩において、Aが炭酸イオンであることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム【請求項4】上記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩において、Aがケイ酸イオンであることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム【請求項5】請求項1乃至4記載の金属複合水酸化物塩が約0.1〜10重量%の脂肪酸、脂肪酸塩、ワックス類、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、リン酸エステルまたはカップリング剤の群から選ばれる1種又は2種以上のコーティング剤でコーティングされていることを特徴とする金属複合酸化物塩であることを特徴とする農業用フィルム。 【請求項6】更に、下記式(II)で表されるピペリジン環構造を少なくとも2個以上有し、かつ分子量が500以上であるヒンダードアミン化合物の少なくとも一種含有する層を少なくとも1層有する請求項1乃至5記載の農業用フィルム。 【化2】
【請求項7】更に、紫外線吸収剤の少なくとも1種含有する層を少なくとも1層有する請求項1乃至6記載の農業用フィルム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は農業用フィルムに関し、さらに詳しくは、耐候性、耐農薬性、保温性、耐久性に優れ、長期間使用可能な農業用フィルムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、農業用作物を半促成又は抑制栽培して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビニルフィルム(以下、農ビという)やポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム(以下、農ポリ、農酢ビという)などの農業用被覆材による被覆下に有用植物を栽培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。 【0003】さて、この様な農業用ハウスは年々大型化しており、ハウスをフィルムで覆うためのフィルム展張作業は多くの人手を要するようになってきている。その一方で、農業従事者の数は年々減少すると共に高齢化が進行しており、毎年の展張作業に人手を確保することは容易ではない状況にある。この様な状況に鑑み、ハウスに展張するフィルムは展張作業が容易で極力張り替えまでの使用期間の長いフィルム、言いかえれば、2年以上の長寿命を有し、長期間にわたり当初性能を保持できる高性能な農業用フィルムの開発が求められている。この様な要求に対して、フィルムが具備し、長期間保持すべき性能としては、その用途に応じて、例えば赤外線吸収能(保温性)、透明性、耐農薬性、耐候性などの様々な性能が要求される。従来より、これらの性能を成型品に付与するため、赤外線吸収能を有する金属複合水酸化物塩を始めとした、様々な粒子あるいは添加剤などを含有する樹脂組成物が提案されている。 【0004】これら農業用フィルム中に赤外線吸収剤を分散させた樹脂組成物は広く用いられており、従来、上記農業用フィルムには、赤外線吸収剤として有効な無機酸化物、無機水酸化物等、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物等が挙げられる。これらの内でも、樹脂中での分散性、透明性および保温性の点からハイドロタルサイト類化合物、及びその焼成物等が多く用いられていた。 【0005】しかしながら、このような粒子含有樹脂組成物から得られる成形品は透明性が低いレベルにあるか、使用時、例えば酸性雨や農薬に曝露される条件で透明性不良を発生するなど、透明性を要求される農業用フィルムなどの用途には満足に使用し得るものではなかった。一方、これら農業用フィルムに添加される耐候性改良を目的とした添加剤のうち代表的なものとしてヒンダードアミン系の耐候剤が挙げられる。既に、ヒンダードアミン系耐候剤は、例えば、特開昭59−86645号公報や特開平2−167350号公報)に開示されているように、少量の添加でポリオレフィン系樹脂の耐候性が著しく向上すると共に、その効果が長期間保たれ、ポリオレフィン系樹脂フィルムの光沢や色調の変化が著しく抑制されることから好ましく使用されている。 【0006】これに対し更なる効果の持続性を目的としてヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体及びハイドロタルサイト類を添加した農業用フィルム(例えば特開平5−112725号公報及び特開平5−124161号公報等)が考案されている。このヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、その製造方法、分子構造から通常のヒンダードアミン系耐候剤とは明確に区別される(例えば特許第2695971号公報及び特許第2695975号公報)。しかしながら、このエチレン系共重合体は樹脂との相溶性は高く、その添加による耐候性改良効果は認められるものの、高コストである為、添加量を増やすことが難しい等の問題がある。添加量が低い場合、化合物総重量に占めるヒンダードアミン基の割合が、通常のヒンダードアミン系耐候剤と比較して低いため、耐候性改良効果が低く、必ずしも一般的に用いられているとはいえなかった。又、特開平5−112725号公報及び特開平5ー124161号公報記載のハイドロタルサイト類を使用した場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境下での透明性不良などを伴う場合があり、耐農薬性、耐候性を含めて性能は未だ十分ではない。 【0007】特開平5−112725号公報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタルサイト類に代わり、耐候性の良好な成形品を与え得る粒子含有樹脂組成物としてアルミニウム−リチウム系複合水酸化物を用いた農業用フィルムが提案されている(例えば特開平7−286052号公報など)。しかしながら、これら粒子の多くは、通常のヒンダードアミン系耐候剤(例えば特開平7−286052号公報記載のヒンダードアミン系安定剤)と併用した場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境下での耐候強度が十分とはいえない上、高濃度のヒンダードアミン系安定剤を添加すると、安定剤のブリードアウトにより、防曇性の悪化や防曇塗膜、防塵塗膜の剥離を誘発し、工業的に未だ満足しうるものが得られるとはいえなかった。 【0008】一方、特開平5−112725号公報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタルサイト類に代わり、透明性の良好な成形品を与え得る粒子含有樹脂組成物として樹脂の屈折率と概ね等しい屈折率の塩基性複合水酸化物塩が提案されている(例えば特開平WO98/17739及び9−279124号公報など)。しかしながら、これら粒子の多くは、通常のヒンダードアミン系耐候剤(例えばWO98/17739及び特開平9−279124号公報記載のヒンダードアミン系安定剤)と併用した場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境下での耐候強度を維持することが難しく、工業的に未だ満足しうるものは得られるとはいえなかった。 【0009】農業用フィルムとして使用する場合においては、硫黄系、リン酸系、ハロゲン系などの酸性物質からなる農薬が多く使用され、これが作用して例えばヒンダードアミン化合物などはその作用効果が低下し、それが原因となって耐候性が低下する。これら樹脂劣化に伴いフィルムの透明性も悪化するため、これを解決する目的で、例えば、特開昭63−175072号公報には、熱可塑性樹脂に光安定剤であるヒンダードアミン系化合物とハイドロタルサイト類化合物とを配合した、農薬耐性を付与した農業用フィルムが提案されており、特開平8−48822号公報には、立体障害アミンおよび金属酸化物または水酸化物を含有する、耐候性および有害生物防除剤耐性を有するポリオレフィン(コポリマー)フィルムが提案されており、特開平8−224049号公報には、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロタルサイト類化合物および紫外線吸収剤を含有し、無機硫黄剤で土壌または植物を処理する施設園芸ハウス・トンネル栽培に用いられることを特徴とするポリオレフィン系樹脂被覆フィルムが提案されているが、未だ満足できる性能のものは得られていない。 【0010】また、特開平5−179052号公報、特開平6−248109号公報などには、ハイドロタルサイト類似のアルカリ金属−アルミニウム錯体を樹脂用安定剤とすることが、特開平8−311284号公報には、リチウム−マグネシウム−アルミニウム複合水酸化物塩を含有する、ハロゲン含有樹脂用安定剤が、さらに、特開平10−219004号公報には、リチウム−マグネシウム−アルミニウム複合水酸化物塩とヒンダードアミン系化合物による耐農薬性の付与された農業用フィルム含有樹脂用安定剤が提案されているが、これらを単独にあるいは、具体的に記載された化合物を単純に併用した場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境下での耐候強度を維持することが難しく、工業的に未だ満足しうるものは得られるとはいえなかった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、ハウスやトンネルに用いる農業用のフィルムとして好適に使用することのできるような耐候性、耐農薬性、保温性、耐久性に優れ、長期間使用可能な農業用被覆材用熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討を重ねた結果、エチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体(A)を含有する層を少なくとも1層と式(I)で示される複合水酸化物塩(B)を含有する層を少なくとも1層有する農業用多層(もしくは単層)フィルム(なお、(A)と(B)が同一の層中に含有することを妨げない)が上記問題点を解決しうることを見いだし本発明に至った。 【0013】 【化3】[Al2(Li(1-x)・M(x+y))(OH)6+y]2(An-)2(1+x)/n・mH2O(I) (式中、MはMg及び/又はZnで、Aはn価のアニオン、mは0又は正の数、x及びyは0≦x<1、0≦y≦0.5の範囲である。) 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂などがあげられる。上記熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂は、光線透過性、耐久性に優れ、しかも焼却した場合にも有害なガスが発生するおそれがないため好ましい。 【0015】本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などがあげられ、、例えば高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。 【0016】また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体であり、例えば特開昭58−19309号公報や特開平6ー9724号公報等に記載の種々の公知の製法により得られる。 【0017】本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、以下の物性を示すものを用いることが好ましい。 メルトフローレート(MFR)JIS−K7210により測定されたMFRが0.01〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFRがこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。 【0018】密度JIS−K7112により測定された密度が0.880〜0.930g/cm3 、好ましくは0.880〜0.920g/cm3 の値を示すものである。該密度がこの範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロッキングが生じ実用性に乏しくなる。 【0019】分子量分布ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。 【0020】本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル含有量が10〜25重量%の範囲であり、好ましくは12〜20重量%の範囲である。酢酸ビニル含有量がこの範囲より小さいと、得られるフィルムが硬くなりハウスへの展張時にシワや弛みが出来やすく、防曇性に悪影響が出るため実用性に乏しく、また、酢酸ビニル含有量がこの範囲より大きいと、樹脂の融点が低いためハウス展張時に夏場の高温下でフィルムが弛み、風でばたつきハウス構造体との擦れ等により破れが生じやすくなるため実用性に乏しい。 【0021】本発明には、上記熱可塑性樹脂として、塩化ビニル系樹脂を使用することもできる。この場合、塩化ビニル系樹脂は透明性、保温性に優れるため好ましい。本発明には、上記熱可塑性樹脂として、ポリエステル系樹脂を使用することもできる。この場合、ポリエステル系樹脂は透明性、耐久性に優れるため好ましい。本発明における、また上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルポリエステルなどがあげられる。 【0022】本発明における基材となる熱可塑性樹脂フィルムには、ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を含有することを特徴とする。この共重合体は、通常時は勿論、農薬や酸性雨に曝露される条件下において、一般的農業用フィルムに用いられるヒンダードアミン系耐候剤と比較して、格段に耐候性を向上させる光安定剤としての効果を奏する。 【0023】本発明に使用するヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体とは、エチレンと環状アミノ化合物とを共重合させて得られた共重合体であり、特にエチレンと環状アミノ化合物との和に対する環状アミノ化合物の割合が1モル%未満、更に好ましくは0.1〜0.7モル%で、該共重合体のMFRが0.1〜200g/10分である共重合体を用いることが好ましい。 【0024】環状アミノビニル化合物は、下記一般式(III)で示されるものである。 【0025】 【化4】
【0026】(式中、R1 及びR2 は水素原子またはメチル基を、R3 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ示す) 代表例を挙げれば下記の通りである。 4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−メタクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−クリトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−クリトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンこれらのヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、高圧ラジカル共重合法によって製造される。 【0027】ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体の添加量は、層を構成する樹脂成分に対し、環状アミノビニル化合物に基づく構成単位の割合で0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%である。0.05%未満では耐候性改良効果が少なく、また5重量%を越えても増量による耐候性向上効果はほとんど無く、経済的に不利である。 【0028】本発明において用いられるエチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、コスト的な観点から、必ずしも多層フィルムの全層に含有されている必要はなく、少なくとも1層含有されていればよい。また、このヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、通常用いられる一種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤と組み合わせて用いることができる。更に、ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を含有しない層に対して、通常用いられる一種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤を用いることもできる。ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、もちろん全層に含有させてもよいが、例えば最内層と最外層(ハウス外面)に含有させ、その他の層には農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。また、同一の層にヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体と農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。その場合は全層にヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を用いる場合よりコスト的に有利になる。 【0029】併用可能な農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光耐候剤は、分子中に前記式(II)で表されるピペリジン環構造を少なくとも2個以上有しかつ分子量が500以上のヒンダードアミン化合物(以下、「ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物」ともいう)である。ここで、上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物のピペリジン環の数が2個未満では十分な耐候性が得られず、また、分子量が500未満では揮発しやすくなり、長期の耐候性を得ることができない。また、上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物のピペリジン環の数は2〜50個であることが好ましく、また、分子量は750以上であることが好ましい。 【0030】上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。使用可能な市販のヒンダードアミン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LD、CHIMASSORB119FL、CHIMASSORB944(以上、チバガイギー社製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−68、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−57(以上、アデカ・アーガス社製)等が挙げられる。これらのピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物は、一種又は二種以上で用いられる。 【0031】上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。該含有量が0.001重量部未満では十分な効果が得られず、20重量部よりも多くても効果の向上がみられないばかりか、フィルムの物性を低下させるなどの悪影響を与える。 【0032】本発明に使用される金属複合水酸化物塩は、下記一般式(I)で代表される。 【0033】 【化5】[Al2(Li(1-x)・M(x+y))(OH)6+y]2(An-)2(1+x)/n・mH2O(I) 前記一般式(I)中、MはMg及び/又はZnで、Aはn価のアニオン、mは結晶水の数を示し0又は正の数、x及びyは0≦x<1、0≦y≦0.5の範囲である。好ましくはx=0である。この範囲を満たすことにより効果を発揮し、範囲外のときは効果が得られにくい。n価のアニオンとしては、例えば、炭酸イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、アジピン酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン、p−オキシ安息香酸イオン、サリチル酸イオン、ピクリン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、塩酸イオン、ヨウ酸イオン、フッ酸イオン、シュウ酸イオン等を挙げることができる。なかでも、導入が容易で、樹脂との屈折率をあわせやすいことから炭酸イオン、硫酸イオン、ケイ酸イオンが好適に使用できる。また、上記金属複合水酸化物塩は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。この金属複合水酸化物塩は、特開平7ー286052号公報、特開平9ー279124号公報等に記載の製法により得ることができる。 【0034】また、上記金属複合水酸化物塩は、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、リン酸エステルまたはカップリング剤の群から選ばれる1種又は2種以上のコーティング剤などで被覆したものも使用できる。コーティング剤の添加量は0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜6重量%の範囲であり、0.1重量%以下では分散性が悪く、10重量%以上では効果は十分であるが、経済的に不利である。表面処理は、常法に従って湿式法でも乾式法でも容易に行うことができる。 【0035】上記金属複合水酸化物塩は、単独または2種以上組み合わせて使用することが出来る。その平均粒子径は好ましくは、0.05〜15μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。無機微粒子の平均粒子径が上記範囲より小さいと、樹脂中での分散性が劣りブツ(無機物の2次凝集物)が生成してフィルム外観が悪化すると共に、樹脂との混練時の粉立ちが激しくハンドリング性が劣る。逆に、無機微粒子の平均粒子径が上記範囲より大きいと、透明性で劣ったり押出し機ブレーカースクリーン部で目詰まりが生じ、生産性が悪化する。 【0036】これら金属複合水酸化物塩の使用量は、樹脂100重量部に対し、1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは1〜20重量部である。1重量部未満では、充分に赤外線を吸収することはできず、50重量部を超える範囲では農業用フィルムとしての透明性及び機械的強度が劣る上、経済的に不利である。 【0037】これらの金属複合水酸化物塩は、更に赤外線吸収能を有する無機微粒子と一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。組み合わせて用いることの出来る無機微粒子は例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物等が挙げられる。これらは結晶水を脱水したものであってもよい。 【0038】上記無機微粒子は天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。また、上記無機微粒子は、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものも使用できる。 【0039】本発明の熱可塑性樹脂フィルムには、更に、紫外線吸収剤を含有させることで、透明性の低下、耐農薬性の低下を抑制し、さらに耐候性向上を図ることが可能となるため好ましい。 紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’.5’−ジクミルフェニル) ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール等のトリアジン類があげられる。これらの紫外線吸収剤は、一種又は二種以上で用いられる。 【0040】上記紫外線吸収剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜10重量部、更に好ましくは0.01〜5重量部であり、単独で用いても二種類以上を併用してもかまわない。該紫外線吸収剤の使用量が0.001重量部未満では、耐候性向上効果を発揮し難く、10重量部を超えると効果の向上が図れず、着色などの欠点を生じる可能性がある。 【0041】また、本発明の熱可塑性樹脂フィルム中には、通常合成樹脂に使用される各種添加剤を併用することができる。それらの添加剤としては、例えば、金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系およびホスファイト系などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤、可塑剤などがあげられる。 【0042】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、上述した成分が組合わされて含有してなり、更に本発明の熱可塑性樹脂フィルムに含有することができる下記の任意成分を、必要に応じて含有させることができる。任意成分とは、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、造核剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤などを挙げることができる。 【0043】また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、単層構造フィルムでも多層構造フィルムでもよい。ここで、多層構造フィルムの場合には、これら成分を全ての層に配合することもできるし、一部の層にのみ配合することもできる。さらに、各成分を別々の層に配合することもできる。従って、本願発明のヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体(A)と特定の複合水酸化物塩(B)を同一層中に含有する態様を妨げないものである。 【0044】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、各種添加剤を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用することができる。 【0045】本発明の熱可塑性樹脂フィルム厚みについては、強度やコストの点で0.001〜1mmの範囲のものが好ましく、0.03〜0.5mmのものがより好ましい。本発明において基材層にポリオレフィン系樹脂を用いる場合、前記ポリオレフィン系基材の最内層に接して防曇性被膜を形成することができる。本発明における防曇塗膜としては既に公知の農業用フィルムに用いることができる防曇塗膜を適応することが出来る。好ましくは無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とした防曇塗膜や無機コロイド物質とアクリル系樹脂を主成分とする防曇塗膜を用いることができる。 【0046】本発明において用いることができる無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とする防曇塗膜として、例えば、特公昭63−45432号、特公昭63−45717号、特公昭64−2158号、特許第3094296号等に示されている化合物を挙げることができる。また、本発明においてはアクリル系樹脂及び無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性被膜も好適に用いることができる。アクリル系樹脂として好ましく用いられる1つの例としては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、またはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重合体または共重合体である疎水性アクリル系樹脂を挙げることができる。 【0047】本発明のアクリル系樹脂は、特に、ガラス転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎる場合、透明性のある均一な被膜を得るのが困難となりやすい。本発明で用いる無機質コロイドゾルは、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に塗布することにより、フィルム表面に親水性を付与する機能を果たすものである。 【0048】無機質コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いられるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単独で用いても併用しても良い。 【0049】無機質コロイドゾルとしては、その平均粒子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、また、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組み合わせて用いても良い。平均粒子径が大きすぎると、被膜が白く失透することがあり、また、平均粒子径が小さすぎると、無機質コロイドゾルの安定性に欠けることがあるため好ましくない。 無機質コロイドゾルは、その配合量をアクリル系樹脂の固形分重量に対して、固形分として50〜400重量%にするのが好ましい。すなわち、配合量が少なすぎる場合は、十分な防曇効果が発揮できないことがあり、一方、配合量が多すぎる場合は、防曇効果が配合量に比例して向上しないばかりでなく、塗布後に形成される被膜が白濁化してフィルムの光線透過率を低下させる現象があらわれ、また、被膜が粗雑で脆弱になることがあり、好ましくない。 【0050】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面活性剤等の界面活性剤を添加することができる。これら界面活性剤の添加は、疎水性アクリル系樹脂と無機質コロイドゾルとを容易にかつ速やかに均一に分散することができ、また無機質コロイドゾルと併用することにより、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水性を付与する機能を果たす。界面活性剤の添加量は、アクリル系樹脂の固形分100重量部に対し0.1〜50重量部の範囲で選ぶと良い。界面活性剤の添加量が少なすぎると、アクリル系樹脂及び無機質コロイドゾルが十分に分散するのに時間がかかり、また、無機質コロイドゾルとの併用での防曇効果を十分に発揮しえず、一方界面活性剤の添加量が多すぎると塗布後に形成される被膜表面へのブリードアウト現象により被膜の透明性が低下し、顕著な場合は被膜の耐ブロッキング性の悪化や被膜の耐水性低下を引き起こす場合がある。 【0051】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができる。架橋剤は、アクリル系樹脂同士を架橋させ、被膜の耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられるが、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキシ化合物類が好ましく使用できる。これら架橋剤は、その添加量がアクリル系樹脂固形分に対して0.1〜30重量%の範囲で使用することができる。 【0052】本発明に使用される防曇剤組成物には、必要に応じて、液状分散媒を配合することができる。かかる液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性溶媒がふくまれ、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併用しても良い。防曇剤組成物は、アクリル系樹脂、無機質コロイドの固形分として一般に0.5〜50重量%の濃度で調製し、これを希釈して使用することが多い。 【0053】本発明で調製される防曇剤組成物には、更に必要に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、造粘剤、顔料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。また、アクリル系樹脂以外のバインダー成分として、たとえばポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系の水分散性ウレタン樹脂などをアクリル系樹脂の含有量未満の量範囲で混合していてもよい。 【0054】なお、本発明でいう、アクリル系樹脂被膜のガラス転移温度は、次式により算出した。 【0055】 【数1】1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wn/Tgnただし、Tgはアクリル系樹脂のガラス転移温度(絶対温度)、Tg1、Tg2、…、Tgnは各成分1、2、…、nのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)、W1、W2、…、Wnは各成分1、2、…、nの重量分率をそれぞれ示す。 【0056】基体フィルムの表面に防曇性被膜を形成するには、前述の重合にて得られたアクリル系樹脂溶液及び防曇剤組成物をそれぞれドクターブレードコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り法等それ自体公知の塗布方法を採用し、塗布後乾燥すればよい。塗布後の乾燥方法は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法を採用する場合、通常50〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度範囲で乾燥すればよい。加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等適宜方法を採用すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが有利である。 【0057】本発明において、基体フィルムの表面に形成させる被膜の厚さは、基体フィルムの1/10以下を目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。被膜の厚さが基体フィルムの1/10より大であると、基体フィルムと被膜とでは屈曲性に差があるため、被膜が基体フィルムから剥離する等の現象がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基体フィルムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましくない。 【0058】また、基体フィルムと被膜組成物に由来する被膜との接着性が充分でない場合には、基体フィルムに表面処理を施しておいてもよい。本発明の積層フィルムの表面に施す処理の方法としては、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラスト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面にアルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理である。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じた正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィルム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗布層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、コロナ放電処理が好適である。本発明に係る農業用熱可塑性樹脂フィルムを、実際に使用するにあたっては、防曇被膜の設けられた側をハウス又はトンネルの内側となるようにして展張するのがよい。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、マルチング用、袋掛用等の農業用フィルム(いわゆる農ビ、農ポリ、農サクビ、農PO、硬質フィルム等)の用途に好適に使用することができる。 【0059】 【実施例】以下、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。 (1)積層フィルムの調整(防曇剤練り込みタイプ、防曇塗膜塗布タイプ共に) 3層インフレーション成形装置として3層ダイに100mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出し機温度180℃、中間層押し出し機温度170℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、引取り速度3〜7m/分、厚さ0.10〜0.15mmにて表−2〜表−7に示した成分からなる3層の積層フィルムを得た。なお、これらのフィルムは、ハウス展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層(内面)となる。 〔配合〕 添加量は各表記載通り。 【0060】HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製造した分岐状ポリエチレン(MFR:1.1g/10分、密度0.920)日本ポリケム製ノバテックLD「YF30」 メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・αオレフィン共重合体(MFR:2g/10分、密度0.907)日本ポリケム製カーネル「KF270」 EVA■ :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量5重量%、MFR2g/10分) EVA■ :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分) キマソーブ944:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤UV1164:サイテック社製トリアジン系紫外線吸収剤(2)フィルムの表面処理(防曇塗膜塗布タイプ) 得られたチューブ状フィルムの外層表面を、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/minでコロナ放電処理を行い、JIS−K6768による「濡れ指数」を測定し、その値を表−2〜表−7に示した。 (3)防曇性塗膜の形成(防曇塗膜塗布タイプ) 表−1に示した主成分(シリカゾル及び/又はアルミナゾル)と熱可塑性樹脂と架橋剤及び液状分散媒とを配合して防曇剤組成物を得た。防曇剤組成物配合は以下の配合とした。 無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ) 4.0熱可塑性樹脂(サンモールSW−131) 3.0架橋剤(T.A.Z.M) 0.1分散媒(水/エタノール=3/1) 93(注)無機質コロイドゾルの配合量は、無機質粒子量で示し熱可塑性樹脂の配合量は重合体固形分量で示す。 コロイダルシリカ:日産化学社製スノーテックス30、平均粒子径15nmサンモールSW−131:三洋化成社製アクリルエマルジョンT.A.Z.M:相互薬工社製アジリジン系化合物(2)で表面処理した基体フィルムの表面に、上記の防曇剤組成物を#5バーコーターを用いて各々塗布した。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持して、液状分散媒を揮発させ防曇性塗膜を形成した。得られた各フィルムの塗膜の厚みは約1μmであった。 【0061】防曇剤を練り混んだタイプ(フィルム厚100μm)、防曇性塗膜を設けたタイプ(フィルム厚150μm)各々について次のような物性測定を行った。実施例及び比較例における各測定法を以下に示す。 ■透明性3層インフレーション成形により得られた積層フィルムの(防曇塗膜を塗布するタイプの場合、ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)、波長555nmにおける直進光線透過率及び波長325nmにおける全光線透過率を分光光度計(日立製作所製、U3500型)により測定し、その値を示した。 ■曇価(HAZE) 3層インフレーション成形により得られた積層フィルムの(防曇塗膜を塗布するタイプの場合、ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)、HAZE値(曇価)をヘイズメーター(東京電色製:TC−H3DP)により測定し、その値を示した。 ■透視性(NAS:狭角透過光特性値) 3層インフレーション成形により得られた積層フィルムの(防曇塗膜を塗布するタイプの場合、ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)、NAS値(狭角透過光特性値)を視覚透明度試験機(東洋精機製)により測定し、その値を示した。 ■初期物性得られた各積層フィルムの機械的強度をJIS−K6732の測定法に準拠して、温度23℃におけるフィルムの流れ方向(タテ)の引張破断強度及び引張破断伸びを測定し、その数値を示した。 ■耐農薬試験(白濁) 上記、三重県一志郡の圃場に構築したパイプハウスにフィルムを密閉状態になるように展張した。また、上記パイプハウス中で硫黄5gを市販の硫黄薫蒸器(商品名:新こなでん)で加熱することによって日中8時間燻蒸処理した。平成12年11月初旬〜平成13年1月初旬の約2ヶ月に渡り展張、燻蒸処理したフィルムを、耐候性試験機(The Q−PANEL COMPANY製)に400時間暴露した。これらフィルムの、波長555nmにおける直進光線透過率を分光光度計(日立製作所製、U3500型)により測定し、その値を示した。(耐農薬性評価)。 ■耐農薬耐候性(引張伸び) 上記、三重県一志郡の圃場に構築したパイプハウスにフィルムを密閉状態になるように展張した。また、上記パイプハウス中で硫黄5gを市販の硫黄薫蒸器(商品名:新こなでん)で加熱することによって日中8時間燻蒸処理した。平成12年11月初旬〜平成13年1月初旬の約2ヶ月に渡り展張、燻蒸処理したフィルムを、耐候性試験機(The Q−PANEL COMPANY製)に暴露した。各時間においてこれらフィルムの縦方向(樹脂流れ方向)の破断点強伸度を引張り試験(JIS−K6732準拠)により測定し、原点の破断点強伸度に対する保持残率を算出した。(耐農薬性評価)。 ■保温性(遠赤外部平均透過率) 遠赤外部平均透過率の測定は、15℃の黒体放射エネルギースペクトルを入射エネルギーとし、これに別途赤外分光器を用いて波長4μm〜25μmの範囲で測定したフィルムの透過率スペクトルを乗じて得られた透過エネルギースペクトルを乗じて得られた透過エネルギースペクトルを積分して透過エネルギーを求め、入射エネルギーで除して透過率とした。透過率の値が小さい程、保温性に優れる。 【0062】〔実施例1〜8〕上記配合、加工法により100μmフィルム(防曇剤練り込みタイプ)及び150μmフィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成した。ここで得られたフィルムを用いて上記条件により各種試験を行なった。 〔実施例1〜3、比較例1,2〕上記配合により、フィルム厚100μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇剤練り込みタイプ)を作成し、前記方法により初期透明性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、保温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行い、各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表1〕に示す。ここで比較例に用いたサンプルは下記出願記載の化合物である。 合成ハイドロタルサイト(特開平5−112725号公報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタルサイト類化合物):Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oキマソーブ944(特開昭63−175072号公報及び特開平10−219004号公報記載のヒンダードアミン系化合物):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤【0063】 【表1】
【0064】〔実施例3,4〕前記方法により初期透明性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、保温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行い、各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表2〕に示す。 【0065】 【表2】
【0066】〔実施例5〜7、比較例3,4〕上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法により初期透明性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、保温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行い、各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表3〕に示す。ここで比較例に用いたサンプルは下記出願記載の化合物である。 合成ハイドロタルサイト(特開平5−112725号公報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタルサイト類化合物):Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oキマソーブ944(特開昭63−175072号公報及び特開平10−219004号公報記載のヒンダードアミン系化合物):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤【0067】 【表3】
【0068】〔実施例7,8〕前記方法により初期透明性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、保温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行い、各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表4〕に示す。 【0069】 【表4】
【0070】以上の結果から明らかなように、熱可塑性樹脂フィルム中に、前記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩とエチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を配合してなる本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、透明性、保温性、耐農薬性等の諸性能において著しく優れたものである(実施例参照)。これに対し、特開平5−112725号公報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタルサイト類化合物及び本発明に係るエチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を添加した場合(比較例1,3)には、農薬曝露後の物性(引張伸び)が比較的良好であるものの、保温性及び農薬曝露後の光線透過率低下の抑制が不十分である。 【0071】また、特開昭63−175072号公報及び特開平10−219004号公報記載のヒンダードアミン系化合物に本発明に係る前記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩保温剤を組み合わせた場合(比較例2,4)には、透明性、保温性及び農薬曝露後の光線透過率低下の抑制は比較的良好であるものの、農薬曝露後の物性(引張伸び)が不十分である。 【0072】つまり、本発明の構成要件である、エチレンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体及び前記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩は、本発明の効果を得るためには必要不可欠であり、そのどちらが欠けても透明性、保温性、耐農薬性(強度、透明性)、透視性の低下防止およびそれらの効果の持続性等の性能をバランス良く有した農業用フィルムは得られない。 【0073】また、本発明の熱可塑性樹脂フィルム中に紫外線吸収剤を併用することでその耐候性は一層改善され、耐候性、耐農薬性に優れ、さらに透明性の持続にも優れたフィルムを作成することができる(実施例4,8)。 【0074】 【発明の効果】本発明の農業用フィルムは、ハウスやトンネルに用いる農業用のフィルムとして好適に使用することのできるような透明性、保温性、耐農薬性、透視性の低下防止およびそれらの効果の持続性等の諸性能において優れたものであり、農業用被覆資材としての利用価値は極めて高いものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000176774 【氏名又は名称】三菱化学エムケーブイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月7日(2001.3.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103997 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 曉司
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| 【公開番号】 |
特開2002−262674(P2002−262674A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月17日(2002.9.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−62825(P2001−62825) |
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