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【発明の名称】 育苗袋及び育苗方法
【発明者】 【氏名】景山 英治

【氏名】景山 昌治

【氏名】景山 政光

【氏名】森 久義

【氏名】森 隆志

【要約】 【課題】構造が簡単で容易に大量生産でき、僅かな収容スペースでも大量保管、搬送でき、通気性を有し育生期の植物根を適切に成長させることができ、かつ、運搬時、移植時などにおける熟練を要する根巻き作業、容器の取り外し作業などが不要となり、かかる作業労力を大幅に軽減できる特には生分解性の栽培容器(育苗袋)と、この栽培容器を使用した植物育苗、育樹方法を提供すること。

【解決手段】平均孔径が50μm〜4mmの微細孔21を無数穿設した薄肉フィルムを製袋してなる上方に開口を有する袋状であり、特には,薄肉フィルムが生分解性フィルムであり、下端又は両側にガゼット24が設けられており、内部に培土Xを収容すると前記ガゼット24が展開して底面26を形成し、有底の筒状となるところに特徴があり、収容した培土Xを苗床とし、該苗床Xに植物の種を播種し又は挿し穂を挿し木して当該植物を育苗、育樹するところに特徴を有する育苗方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】平均孔径が50μm〜4mmの微細孔を無数穿設したフィルムを製袋してなる、上方が開口する袋状の育苗袋。
【請求項2】前記フィルムが、生分解性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の育苗袋。
【請求項3】前記フィルムに遮光処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の育苗袋。
【請求項4】前記育苗袋にガゼットを設け、内部に培土を収容すると、前記ガゼットが展開して底部を形成し、有底の筒状をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の育苗袋。
【請求項5】前記育苗袋の内部に培土を収容すると、全体形状が上方に向けて拡径する筒状であることを特徴とする請求項4に記載の育苗袋。
【請求項6】前記育苗袋の開口部分を該育苗袋の周壁外面側に折り込んで使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の育苗袋。
【請求項7】上方に開口を有する育苗袋の中に培土を収容して苗床とし、該苗床に植物の種を播種し又は挿し穂を挿し木し、該植物を育成させる育苗方法であって、前記育苗袋は、平均孔径が50μm〜4mmの微細孔を無数穿設したフィルムを製袋してなることを特徴とする育苗方法。
【請求項8】前記育苗方法において、前記育苗袋を、該育苗袋と略同一の寸法形状を有する収容容器内に収容して、前記植物の苗木を育苗することを特徴とする請求項7記載の育苗方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造が簡単で容易に大量生産でき、僅かな収容スペースでも大量保管、搬送でき、通気性を有し植物根を適切に成長させ得る育苗袋と、この育苗袋を使用した植物の育苗方法に関するものであり、特には、当該育苗袋の取外し作業などを必要とせずそのまま移植でき、移植時の労力を大幅に軽減できる育苗袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の育苗・育樹用ポットの殆どは、合成樹脂を溶融し鉢状に成形した栽培容器(ポリポット)であるが、合成繊維ウェブを部分的な熱圧着により結合させることにより形成された不織布を原材とする栽培容器(特開昭57−94225号公報等)や、合成繊維のフェルトシートを熱成形した栽培容器(特開平8−56494号公報等)も開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、環境保全、移植後の樹木の活着等の観点からすると、合成樹脂製のポリポットは構造が簡単で大量生産で廉価に提供できるという利点があるものの、ポリポットの内面に到達するまで生長した植物苗の根は、ポットの周壁を貫通することができず、そして、ポットの内面は平滑性が高いので、根の先端部が曲がり易いという問題があった。
【0004】また、ポリポットには通気性がないため、ポット内の土壌より蒸発した水分がポット外部に蒸散することができず、ポット内面とポット内部の土壌との間に結露が生じるため、ポットの内面に到達した植物根がポットの内面に沿って伸長し、いわゆる根巻き現象が生じ、この根巻き現象によって、ポット内の根は細根が少なくなり、このために、根の生育不良や分根不良が生じ、植物苗の育成も優れずまた、移植時に根付け不良を生じ易いという問題ががあった。
【0005】さらにまた、このような苗木を育成するためには、播種床、床替え床ごとに床の深さを変え、そして移植時には根切り掘取機を用いて樹木の細根を切断し、そして樹木を地中から取り出すことが必要であるため、多大な労力と作業時間が必要であった。
【0006】一方、上記特開昭57−94225号公報記載のポットは通気性を有しており、ポット内の土壌中の水分が不織布を通過して外部に蒸散できるためにポット内面が結露し難く、また、内面の平滑性が高くないので、ポットの内面に到達するまで生長した根は、周壁(不織布)を貫通して外部に張り出すことができる。そのため、根巻き現象を起こし難く、ポット内で細根が発根し、これが育樹用ポット内に広がり、発育の良好な苗木を生産できるという利点がある。
【0007】しかし、ポットを作製するために使用する不織布は、代表的にはポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維などのような微生物による生分解性を有していない合成繊維であるため、当然ながら、地中にそのまま埋設することができず、移植時に、ポットから植物(樹木)を取り出して地中に埋める必要があり、労力を要するだけでなく、使用後のポットは産業廃棄物になるという問題があった。
【0008】また、不織布を貫通した根が締め付けられ、根の成長、ひいては植物の成長を阻害する要因となったり、移植時に植物苗からポットを外す作業が必要で作業能率が悪いという問題があった。さらに、ポットを外す際に不織布に入り込んだ細根をむしり取ってしまうために、根の回りの土がとれてしまうため、根に傷が生じ移植時の根の活着が悪くなるという問題点もあった。
【0009】また、特開平6−7039号公報には レーヨン繊維およびウール繊維をベースにした生分解性不織布を用いた育苗・育樹用ポットが開示されており、ジュートのような天然繊維の織布を用いた育苗・育樹ポットも使用されている。
【0010】本発明は、叙上の従来技術の具有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、構造が簡単で容易に大量生産でき、僅かな収容スペースでも大量保管、搬送でき、通気性を有し育生期の植物根を適切に成長させることができる栽培容器を提供せんとするものである。
【0011】本発明の他の目的は、運搬時、移植時などにおける、熟練を要する根巻き作業、容器の取り外し作業などが不要となり、かかる作業労力を大幅に軽減できる、生分解性の栽培容器を提供せんとするものである。
【0012】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明が採用した手段は、請求項1の発明は、平均孔径が50μm〜4mmの微細孔を無数穿設したフィルムを製袋してなる、上方に開口を有する育苗袋を、その要旨とするものである。
【0013】請求項2の発明は、請求項1記載の育苗袋において、前記フィルムが、生分解性樹脂フィルムであるものを、その要旨とするものである。
【0014】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の育苗袋において、前記フィルムに遮光処理が施されているものを、その要旨とするものである。
【0015】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の育苗袋において、前記育苗袋にガゼットを設け、内部に培土を収容すると、前記ガゼットが展開して底部を形成し、有底の筒状になるものを、その要旨とするものである。
【0016】請求項5の発明は、請求項4に記載の育苗袋において、前記育苗袋の内部に培土を収容すると、全体形状が上方に向けて拡径する筒状であるものを、その要旨とするものである。
【0017】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の育苗袋において、前記育苗袋の開口部分を該育苗袋の周壁外面側に折り込んで使用するものを、その要旨とするものである。
【0018】上記各請求項の発明に係る育苗袋によると、全面に平均孔径50μm〜4mmの微細孔を無数穿設した有孔フィルムを製袋してなるから、その複数を例えば積み重ねて束ねた状態で保管、搬送することができ、保管、搬送時の収容効率に優れる。
【0019】また、微細孔の孔径が4mm以下(好ましくは3mm)以下であるから、微細孔を介した培土の漏洩防止が図れる。
【0020】また、通気性が確保でき、育苗袋内の土壌水分が微細孔を通過して外部に蒸散されるため、育苗袋の内面が結露し難く、また、育苗袋の内面に到達するまで生長した根は、微細孔を貫通して外部に張り出し、その殆どが主根となる。また、育苗袋内では新たな細根を生じて根巻き現象を起こし難く、育苗袋内に広がり、発育良好な植物を育成できる。
【0021】特に、請求項2の育苗袋は、上記各作用に加えて、微細孔を貫通した根の肥大に伴って微細孔が拡大するから、微細孔による根の締め付けがなく、根の成長曳いては植物成長を阻害することがない。
【0022】また、使用して不要になったときには地中に直接埋設したり、焼却処分することができ、環境を汚染することなく資化させることができる。
【0023】また、植物を有する育苗袋ごとごと定植(埋設)でき、鉢上げ(移植)や定着作業の効率化が図れる。すなわち、移植時に植物苗から育苗袋を外す際に微細孔に入り込んだ細根をむしり取ってしまうとか、根の回りの土がとれてしまうために根に傷が生じ、移植時の根の活着が悪くなるなど、従来の栽培容器が具有する上述した問題を解決できる。
【0024】請求項3に記載の育苗袋は、前記フィルムに遮光処理が施されているから、植物根に対して直射日光等が当たらない。すなわち、上記各作用に加えて、特には、圃場に植え込みした時と酷似した土壌環境にすることができる。
【0025】請求項4の育苗袋によると、内部に培土が収容されると、前記ガゼットが展開して底部を形成し、有底の筒状になるように構成されているから、上記各作用に加えて、特には、上方に開口を備えた状態のまま起立させることができ、カゴトレーに収容し、植物の苗木などを育成できる。
【0026】請求項5の育苗袋は、内部に培土を収容すると全体形状が上方に向けて拡径する筒状となるように構成されているから、上記各作用に加えて、特には、腰の無い袋体であっても、例えばポリポットに収容して使用できる。また、ポリポット内面と育苗袋外面に僅かな隙間ができ、この隙間が蓄熱層として機能するから、育苗袋を保温する作用が得られる。
【0027】請求項6の育苗袋によると、上記各作用に加えて、特には、開口部が中折れし難く、これにより、育苗袋の開口作業性と土入れ作業性の向上が図れる。
【0028】つぎに、請求項7の発明は、上方に開口を有する育苗袋の中に培土を収容して苗床とし、該苗床に植物の種を播種し又は挿し穂を挿し木し、該植物を育成させる育苗方法であって、前記育苗袋は、平均孔径が50μm〜4mmの微細孔を無数穿設したフィルムを製袋してなるところに特徴を有する育苗方法を、その要旨とするものである。
【0029】上記各請求項の発明に係る育苗方法によると、全面に穿孔された微細孔の孔径が50μm〜4mmであるから、微細孔を介した培土漏洩を防止しつつ育苗できる。
【0030】また、通気性が確保でき、容器内の土壌水分が微細孔を通過して外部に蒸散されるため、容器内面が結露し難く、また、容器の内面に到達するまで生長した根は、微細孔を貫通して外部に張り出し、その殆どが主根となるから、育苗袋内では新たな細根を生じて根巻き現象を起こし難く、育苗袋内に広がり、発育良好な植物を育成できる。
【0031】なお、育苗袋が生分解性樹脂フィルムを使用して製袋されていると、この育苗袋は、使用して不要になったときに地中に直接埋設しても、微生物による生分解を受けて資化するため、育苗袋ごと定植(埋設)でき、鉢上げ(移植)や定着作業の効率化が図れ、また、環境を汚染することなく、資化させることができる。
【0032】また、各微細孔は、貫通した根の肥大に伴って拡大するから、微細孔による根の締め付けがなく、根の成長ひいては植物の成長を妨害することがない。
【0033】さらに、移植時に植物苗からポットを外す際に微細孔に入り込んだ細根をむしり取ってしまうとか、根の回りの土がとれてしまうために根に傷が生じ、移植時の根の活着が悪くなるという、従来のポリポットを使用した育苗方法が具有する問題をも解決できる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様を説明する。本発明に係る育苗袋は、無数の微細孔を穿設したフィルム(厚さ:10μm〜1mm、好ましくは20〜100μm)を、上方に開口を有する有底の袋状に製袋したものであり、構造が簡単で、容易に大量生産できる。各育苗袋の中に培土を収容して苗床を作り、この苗床に、植物の種を播種し、植物の挿し穂を挿木し、又は植物の幼若苗を植え込み、灌水しながら育苗、育樹するようになっている。
【0035】本発明の育苗袋を製袋するフィルムとしては、全面に微細孔を形成できるものであればあらゆる種類のプラスチックフィルムあるいはそれらの共重合体フィルム、これらのラミネートフィルムなどが使用できる。より具体的には、成型し易さやコストなどの観点からは、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、OPP等の合成樹脂フィルムを使用し成形されていることが好ましく、地球環境汚染防止の観点からは、ポリ乳酸やカプロラクトン等に代表される生分解性ポリエステル樹脂フィルム、セルロースやセルロース誘導体のフィルム、キチンシート、デンプンシートなどを使用して成形されていることが好ましい。
【0036】生分解性ポリエステル樹脂には、例えば、ジオール(好ましくは、1,4−ブタンジオール)とジカルボン酸(好ましくは、コハク酸)とが脱水することにより形成され、エステル結合を少なくとも2つ鎖中に含むポリマーである「ポリエステル系重合体」をも含むものとする。
【0037】ポリ乳酸も重合体は、生分解性の観点から複数のエステル結合を有することが好ましい。ポリ乳酸重合体としては、生分解性を有する限り特に限定されないが、複数のエステル結合を有し、さらにL−乳酸残基またはD−乳酸残基を70%モル以上含有するポリ乳酸重合体(特開平7−48769号公報などを参照のこと。その明細書は本明細書において参考として援用される)が好ましい。
【0038】この生分解性フィルムには、必要に応じて、遮光処理を施すことができる。育苗袋を地上に設置して苗木を育生させる場合において、フィルム素材に遮光性がないと、側面近くの土に光が差し込み、育苗袋内面まで根を十分に育生することができなくなる場合がある。着色のために用いられる色としては、特に限定されないが、黒色もしくは茶色、または白色が好ましい。着色方法としては、特に限定されないが、原料レジンを調製する際に、原料レジンに顔料などを添加し、コンパウンド化する方法などが挙げられる。
【0039】微細孔は、フィルムの表面処理(例えばコロナ放電処理)面側から、多数の針状体を突出させた熱ローラーを圧着させて形成されている。熱針状体を引き抜きする際にその部分の樹脂が引つ張られるとともに硬化すると、表面処理されていない面側の各微細孔外周縁に大環状体を形成することができ、表面処理されている面側の各微細孔外周縁に小環状体を形成することができ、これによりフィルム両面を凹凸状に形成することができる。
【0040】表面処理されていない面側(大環状体を有する面側)が育苗袋の内面側となるようにすると、内方向に膨出する大環突起が形成されているから(内面側も凹凸状となっているから)、向かい合った内面側が密着し難く(剥離性が良く)、指で簡単に開口させることができ、培土の土詰め作業効率の向上が図れるので、好ましい。ただし、フィルムの表面処理(例えばコロナ放電処理)側を、内面側にするか外面側に配置するかは、適宜設計変更可能な事項である。
【0041】野菜や花の苗を育苗する場合には、微細孔の平均孔径は、50μm以上3000μm以下であることが好ましく、より好ましくは100〜2500μmである。孔径が50μm以下の微細孔を形成することは現実問題として極めて困難であり、孔径が3000μm以上であると、微細孔を通過して培土が消失する傾向がある。また、微細孔の平均孔径が200〜2500μmであると、水の表面張力によって微細孔を閉塞でき、優れた保水性と十分な通気性を確保できるようになる。
【0042】ただし、植物が樹木苗である場合には、使用する培土が一般的には粒径の大きいものを使用する傾向があるために微細孔を通過して培土が消失し難い。そのため、微細孔の孔径を4mm程度まで大きくすることができるものの、孔径200〜3000μmであることが好ましい。
【0043】本発明に係る育苗袋は、一般的には、薄肉で腰が無いため、この弱点を補強するため、例えばポリポットのような育苗ポットを収容容器として使用することが好ましい。この場合、育苗ポットの内面と、育苗袋の外面との間に僅かな隙間ができ、この隙間が蓄熱層として機能するので、育苗袋の保温ができ、植物の根の成長が良好になる傾向があるから、特に寒冷地や冬場での育苗に好都合である。
【0044】なお、各育苗袋の寸法形状などは、当然ながら、例えばポリポットのような収容容器の寸法形状により、適宜設計変更される事項であるし、また、例えばポリポットのような有底の収容容器に収容して育苗、育樹する時には、本発明に係る育苗袋をあえて有底の袋体に製袋する必要はなく、上下の両方が開放されているものを使用してもよい。
【0045】
【実施例】以下、特に代表的な実施の態様に基づいて本発明を説明する。まず、図1は実施例1の育苗袋10の未展開側面図であり、図2は同育苗袋10に培土Xを充填して展開させ、そのまま収容容器(黒色ポリポット)に収容した状態を模式的に示す斜視図であり、収容容器(ポリポット)の一部分が破断して図示されている。ただし、育苗袋の全面に微細孔が穿設されているが、微細孔はその一部しか図示されていない。以下の各実施例においても同様である。
【0046】図において、この育苗袋10は、孔径が50μm〜4.0mmの微細孔11を無数穿設した透明OPPフィルム(厚さ:25μm)を2枚重ねし熱板(熱シーラ)を使用して溶着、溶断して、上端に開口12を有する有底の袋状に製袋したものである。この育苗袋10内部に培土Xを充填してポリポット1内に収容すると、育苗袋10が薄肉のOPPィルムにて製袋されているから、周壁が自在に変形し、ポリポット1の内面形状と略同一形状となって収容できる。
【0047】なお、ポリポット1(収容容器)に育苗袋を収容した場合、育苗袋10の外面はポリポット1内面とほぼ密着した状態となるものの、両者の間には僅かな隙間15ができ、この隙間15が蓄熱層として機能するから、育苗袋10全体をすなわち植物を保温しながら育苗、育樹することができ、植物の根や地上部の成長が良好になるという作用効果が得られる。以下の各実施例の育苗袋を使用して同様に育苗、育樹しても同様の作用効果を得ることができる。
【0048】つぎに、図3は実施例2の育苗袋20の未展開側面図であり、図4は同育苗袋20に培土Xを充填し、そのまま収容容器(ポリポット)1に収容した状態を模式的に示す斜視図であり、収容容器1の一部分が破断して図示されている。
【0049】この育苗袋20は、透明ポリ乳酸フィルム(厚さ:40μm)を、上端に開口22を有する有底の袋状に製袋したものであり、上端部23は折り曲げにて二層構造に構成されており、下端部にはガゼット24が設けられており、その全体形状は逆台形状である。
【0050】上記ポリ乳酸フィルムは、カネボウ合繊株式会社から購入したポリ乳酸バージンペレット(商品名「ラクトロン 700DA」:熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合体)100重量部に再生「ラクトロン700DA」20重量部を混合した混合ペレットを、熱風乾燥機にて、60℃、3.0時間乾燥処理した後、Tダイから押し出し加工することで、厚さ40μmのポリ乳酸フィルムを製造した。ついで、このポリ乳酸フィルムを、多数の針状体を突出させた熱ローラーにて圧着し、孔径が200μm〜2500mmの微細孔21を無数を穿設したものである。
【0051】この育苗袋20によると、上記実施例1の育苗袋10の奏する作用効果に加え、上端部23が二重構造に構成されているから、内部に培土Xが充填され全体が展開しても、開口22の周端部が腰折れし難く、これにより、土詰め作業性の向上が図れる。また、下端部にガゼット24が設けてあるから、培土Xを充填するとガゼット24が展開して底面26を形成することができる。
【0052】なお、図4に示すように、培土Xを充填するとガゼット24が展開して底面26が形成でき、転倒防止を図ることができるから、ポリポット等のような転倒防止用収容容器を使用しなくて、例えばカゴトレー内に並べて使用することもできる(図示しない)。
【0053】つぎに、図5は実施例3の育苗袋30の未展開側面図であり、図6は同育苗袋20に培土Xを充填した状態を模式的に示す斜視図である。
【0054】この育苗袋30は、孔径が50μm〜3.0mmの微細孔31を無数穿設した黒色OPPフィルム(厚さ:25μm)を溶着、溶断して、上端に開口32を有する有底の袋状に製袋したものであり、下端部にガゼット34が設けられており、その全体形状は軸線方向に長い方形である。
【0055】この育苗袋30によると、上記実施例2の育苗袋20の奏する作用効果に加え、下端部にガゼット34が設けてあるから、培土Xを充填するとガゼット34が展開して底面36を形成でき、これにより、転倒防止を図ることができる。また、黒色の遮光フィルムにて製袋されているから、図6に示すように、上記ポリポット等のような転倒防止用収容容器を使用しないで、例えばカゴトレー(図示しない)のようなオープン系収容容器に収容して使用することができる。
【0056】つぎに、図7は実施例4の育苗袋40の未展開側面図であり、図8は同育苗袋40に培土Xを充填して全体を展開した状態を模式的に示す斜視図である。なお、育苗袋10,20のように、収容容器1内に収容して使用することもできる。
【0057】図において、この育苗袋40は、孔径が50μm〜4.0mmの微細孔41を無数穿設した黒色ポリ乳酸フィルム(厚さ:40μm)を、上端に開口42を有する有底の袋状に製袋したものであり、両側に上下方向のガゼット44,44が設けてあり、その全体形状は軸線方向に長い方形である。
【0058】この育苗袋40によると、内部に培土Xを充填すると、両側のガゼット44,44が展開して有底の筒状であり平坦な底面46を形成できるから、転倒防止を図れ、上記オープン系収容容器に収容して使用することもできる。
【0059】ついで、前記実施例2の育苗袋20(10.5x14.5x9.0cm、がゼット3.5cm)に、市販の培土約250mlを充填して苗床を作り、そのまま黒色ポリポットに収容し、サルビア(ブキャナニー)の挿し穂を苗床に植え付け、温度調整されていないハウスの中(4〜15℃)で、15日間栽培した。この間、毎日水を散布した。
【0060】図9は、各育苗袋から取り出した植物の全景を模式的に図示したものである。図9(a)は、孔径200μmの微細孔(開口率1.3%)を設けた育苗袋を使用した実験(実験例1)の結果であり、図9(b)は、孔径600μmの微細孔(開口率5.1%)を有する育苗袋を使用した実験(実験例2)の結果であり、図9(c)は、孔径750μmの微細孔(開口率4.4%)を有する育苗袋を使用した実験(実験例3)の結果であり、図9(d)は、孔径2500μmの微細孔(開口率9.0%)を有する育苗袋を使用した実験(実験例4)の結果である。図9(e)は、微細孔のないいわゆる比較例(コントロール)である。
【0061】実験例1〜4の結果から、育苗袋の内面に到達するまで生長した根は、微細孔を貫通して外部に張り出し、その殆どが主根となること、育苗袋内では新たな細根を生じても根巻き現象が起きず育苗袋内に広がり、発育良好な植物を育成できることが、確認できた。
【0062】また、図示しないが、栽培期間中、通気性が確保できるために、育苗袋の内面が結露しないこと、微細孔を貫通した根の肥大に伴って微細孔が拡大するために微細孔による根の締め付けがなく、根の成長曳いては植物成長を阻害することがないこと、圃場に植え込みした時と酷似した土壌環境を保持できることなども解った。さらに、一般的には約30日かかる育成期間が、約半分の15日で達成できることも解った。
【0063】ついで、各育苗袋20から培土を除き、裁断してコンポスト化したところ、いずれも、2〜5ヶ月で形態を留めなくなり、良好な生分解性を示した。
【0064】その詳細は示さないが、他の各実施例の育苗袋10,30,40においても、育苗袋20と同様の植物成長結果が得られた。
【0065】このことから、植物を有する育苗袋ごと移植(埋設)でき、鉢上げ(移植)や移植作業の効率化が図れる。すなわち、移植時に、細根をむしり取ってしまうとか、植時に主根を切る必要が無く、また、移植時にポットと共に細根や根の周りの土壌がとれてしまい、根に傷が生じ、移植時の根の活着が悪くなるなど、従来の栽培容器が具有する上述した問題を解決することができる。
【0066】また、使用して不要になったときには地中に直接埋設したり、焼却処分することができ、環境を汚染することなく資化させことができることなども解った。
【0067】ところで、以上述べた各実施例は、本発明の代表的なものを示したに過ぎず、本発明の要旨を越えない範囲内で様々に設計変更して実施することができることは、改めて述べるまでもないことである。
【0068】
【発明の効果】上記のとおり、本発明は、フィルムの開口率(通気性)、微細孔の平均孔径などを適宜調整することによって、苗木育成時に根の育生を阻害せず、育苗袋内での根巻きが防止され、そして、育苗袋を地中に埋設して育成させる場合には、苗木の地上部の旺盛な育生をすることができる。更に、特定の生分解性を有する樹脂で構成されたフィルムを用いることによって、移植時には運搬のための熟練を要する根巻き作業やポットから苗木を取り出しての植え替え作業を必要せず、大幅な労力を軽減することが可能である。
【0069】本発明に係る育苗袋は、構造が簡単で容易に製造でき、根巻きが発生し難く、育苗袋内での根張が良好であり、そして適度に育苗袋の壁を貫通した根が延びており、栽培期間における育成状況は目標品質を満足するほど優れている。さらに、移植後の活着状況も良好である。このため、本発明に係る育苗袋を用いる場合には、育生期の苗木の根を適切に育生させることができ、さらに運搬時、移植時などの熟練を要する根巻き作業、育樹用ポットの取り外し作業などを必要とせず、植栽時の労力を大幅に軽減できるなど、極めて実効性に優れた作用効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】593049914
【氏名又は名称】株式会社東海化成
【識別番号】599067684
【氏名又は名称】株式会社森製袋
【出願日】 平成13年3月12日(2001.3.12)
【代理人】 【識別番号】100083932
【弁理士】
【氏名又は名称】廣江 武典
【公開番号】 特開2002−262672(P2002−262672A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−68217(P2001−68217)