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【発明の名称】 高床式栽培装置及び床形成部材
【発明者】 【氏名】春口 英起

【要約】 【課題】組み立てに固定金具を不要にして、設置や撤去に要する手間を大幅に低減することができる高床式栽培装置を提供する。

【解決手段】高床式栽培装置A1は、床形成部材1、脚部材9、下部床受部材8、上部床受部材8a、床シート2及び固定クリップを備えている。床形成部材1は凹状に形成されており、上面で床形成部19を形成する基部10と突出部11により構成されている。基部10の下部には脚部材装着孔12が設けられ、上部両側には床受部材装着部13が設けられている。突出部11の上端部には床受部材装着部14が設けられている。床形成部19と、床受部材装着部13間と床受部材装着部14間に架設される下部床受部材8、上部床受部材8aで形成される部分には床シート2が被せられている。床シート2は、固定クリップにより上部床受部材8aに固定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 床形成部(19)を有する床形成部材(1,1a)と、床形成部材(1,1a)に着脱可能な脚部材(9)と、床形成部材(1,1a)に着脱可能な床受部材と、を備えていることを特徴とする、高床式栽培装置。
【請求項2】 脚部材(9)が装着された床形成部材(1,1a)が所要間隔で複数並設されており、床形成部(19)を有する各床形成部材(1,1a)間には床受部材が装着されていることを特徴とする、高床式栽培装置。
【請求項3】 床形成部(19)と床受部材で形成される部分に栽培床(4)をつくるための床シート(2)またはプランターが設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の高床式栽培装置。
【請求項4】 床形成部材(1,1a)の側部に張り出し部を設けるための拡張部材(7)を有することを特徴とする、請求項1、2または3記載の高床式栽培装置。
【請求項5】 床形成部(19)と、脚部材(9)が着脱可能な脚部材装着部と、床受部材が着脱可能な床受部材装着部(13,14)と、を備えていることを特徴とする、床形成部材。
【請求項6】 床形成部材(1,1a)の側部に張り出し部を設けるための拡張部材(7)が着脱可能な装着部(16)を有することを特徴とする、請求項5記載の床形成部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高床式栽培装置及び床形成部材に関するものである。更に詳しくは、苺などの栽培に使用される栽培装置であって、栽培装置の組み立てに固定金具を不要にして、栽培装置を設置するとき、または撤去するときにかかる手間を低減し、設置者側にかかる時間的、コスト的な負担を低減することができる高床式栽培装置及び床形成部材に関する。
【0002】
【従来技術】例えば、苺の栽培はビニルハウスなどで大きな規模で行われている。初期の頃は、ビニルハウス内で土壌に直接栽培していたが、作業をしゃがんでしなければならないために、作業従事者にかかる肉体的負担が大きかった。そこで、近年では、作業従事者の肉体的負担を低減するために、作業従事者が立って作業をすることができる高床式の栽培装置をビニルハウス内に設置して栽培するのが主流となっている。従来の一般的な高床式の栽培装置は、金属パイプを溶接した脚ユニットを地面に立て、脚ユニット間に固定金具で連結部材を固定して架台を組み、その上に床シートやプランターをおいて土壌を入れ、栽培床を形成した構造である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したような従来の高床式の栽培装置には、次のような課題があった。すなわち、金属パイプを溶接した脚ユニットに連結部材を固定するために固定金具を使用するが、苺の栽培を例にとれば、10a(アール)当たり、約2400個の固定金具を必要とする。このため、栽培装置を設置するとき、または撤去するときにも大変な手間がかかり、設置者側にとっては時間的にもコスト的にも大きな負担となっていた。また、脚ユニットには溶接部分があるために、その部分から錆が発生しやすく、耐久性に難があった。
【0004】(本発明の目的)本発明の目的は、高床式の栽培装置の組み立てに固定金具を不要にして、栽培装置を設置するとき、または撤去するときにかかる手間を低減し、設置者側にかかる時間的、コスト的な負担を大幅に低減することができる高床式栽培装置及び床形成部材を提供することである。本発明の他の目的は、錆が発生しにくく、耐久性に優れた高床式栽培装置及び床形成部材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明にあっては、床形成部を有する床形成部材と、床形成部材に着脱可能な脚部材と、床形成部材に着脱可能な床受部材と、を備えていることを特徴とする、高床式栽培装置である。
【0006】第2の発明にあっては、脚部材が装着された床形成部材が所要間隔で複数並設されており、床形成部を有する各床形成部材間には床受部材が装着されていることを特徴とする、高床式栽培装置である。
【0007】第3の発明にあっては、床形成部と床受部材で形成される部分に栽培床をつくるための床シートまたはプランターが設けられていることを特徴とする、第1または第2の発明に係る高床式栽培装置である。
【0008】第4の発明にあっては、床形成部材の側部に張り出し部を設けるための拡張部材を有することを特徴とする、第1、第2または第3の発明に係る高床式栽培装置である。
【0009】第5の発明にあっては、床形成部と、脚部材が着脱可能な脚部材装着部と、床受部材が着脱可能な床受部材装着部と、を備えていることを特徴とする、床形成部材である。
【0010】第6の発明にあっては、床形成部材の側部に張り出し部を設けるための拡張部材が着脱可能な装着部を有することを特徴とする、第5の発明に係る床形成部材である。
【0011】(作用)高床式栽培装置の組み立ては、次のように行う。まず、脚部材を所要の間隔で地面に打ち込んで立てる。脚部材に床形成部材の脚部装着部を装着して、各床形成部材が所要間隔で厚み方向に平行になるようにする。床形成部材の床受部材装着部間に床受部材を架け渡すようにして装着し、各床形成部材を連結する。床形成部材が有している床形成部と、床受部材で形成される部分に、床シートまたはプランターを設ける。その後、床シートまたはプランター内部に土壌を入れて栽培床を形成する。
【0012】また、必要に応じて、床形成部材の側部に張り出し部を設けるための拡張部材を取り付ける。このように、本発明に係る高床式栽培装置は、設置時における組み立て作業を特別な工具や技術を必要とせず、また、従来のような固定金具も使用することなく、短時間で簡単に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。図1は本発明に係る床形成部材の実施の形態を示す斜視図、図2は図1に示す床形成部材の底部に設けられている脚部材装着部の説明図、図3は本発明に係る高床式栽培装置の第1の実施の形態を示す要部斜視図、図4は図3に示す高床式栽培装置の要部平面図、図5は床シートの固定構造を示す斜視説明図、図6は床シートの固定構造を示す断面説明図、図7は上部床受部材、下部床受部材の連結部の構造を示す分解斜視図である。
【0014】床形成部材1は、ほぼ凹状に形成されており、基部10と、その両側に上方へ突出して設けられている突出部11により構成されている。基体10と両側の突出部11により、上部側に床形成部19が形成されている。基部10の両側の下部には、突出部11内部へ続く脚部材装着孔12(図2参照)が設けられている。脚部材装着孔12には、後述する脚部材9を縦方向に着脱可能に装着できる。
【0015】基部10の上部両側の二箇所には、金属パイプで形成された下部床受部材8を横方向に着脱可能に装着できる床受部材装着部13が設けられている。床受部材装着部13の入り口には下部床受部材8が入りやすいようにする誘導部130が設けられている。なお、基部10の下部に、栽培養液を回収する樋部材(図示省略)を装着するための装着部を設けてもよい。また、各突出部11の上端部には、後述する上部床受部材8aを横方向に着脱可能に装着できる床受部材装着部14が設けられている。床受部材装着部14に、上記誘導部130と同様の誘導部を設けることもできる。床受部材装着部13と床受部材装着部14は、材料である合成樹脂の弾性により、それぞれ下部床受部材8と上部床受部材8aの円滑な着脱が可能である。床形成部材1は、合成樹脂製であるが、これに限定せず、金属など他の材料で形成することもできる。
【0016】次に、床形成部材1を使用した高床式栽培装置A1の構造を説明する。高床式栽培装置A1は、床形成部材1と、脚部材9と、下部床受部材8、上部床受部材8aと、床シート2及び固定クリップ3を備えている。床形成部材1の各脚部材装着孔12には、金属パイプで形成された所要長さの脚部材9が装着される。各床形成部材1は、地面に所要間隔で立てられた脚部材9に装着され、床形成部材1が互いに平行になるようにして設置される。
【0017】各床形成部材1の床受部材装着部13間と床受部材装着部14間に、それぞれ金属パイプで形成された下部床受部材8と上部床受部材8aを装着して各床形成部材1を連結する(図3、図4参照)。なお、図3においては、床受部材装着部13に装着される下部床受部材8は図示を省略している。下部床受部材8と上部床受部材8aは、長尺に設けられるので所要長さのものを接続する構造である。下部床受部材8と上部床受部材8aは、図7に示すように、接続部の一方側が径小に形成され、ほぼ隙間なく差し込むことができる構造のものが一般的であるが、これに限定するものではない。
【0018】各床形成部材1が有している床形成部19と、下部床受部材8、上部床受部材8aで形成される部分には床シート2が被せられている。床シート2は合成樹脂製で、土壌を入れたときの重さに耐え得る十分な強度と防水性を有している。なお、床シート2の底部には、水抜きのための孔(図示省略)が設けられている。床シート2は、材料自体に透水性を持たせることもできる。
【0019】床シート2は、固定クリップ3により、上部床受部材8aに要所で固定される。固定クリップ3は、弾性を有する合成樹脂により形成されており、嵌着部30と、嵌着部30に通じる開口部31で構成されている。嵌着部30は上部床受部材8aの直径とほぼ同じ内径に設定され、開口部31の幅はそれより狭く形成されている。なお、上部床受部材8aの直径は、下部床受部材8の直径よりやや径大に形成されている。固定クリップ3は、上部床受部材8aに被せられた床シート2の上から上部床受部材8aに嵌め込まれ、床シート2を上部床受部材8aに固定することができる。なお、固定クリップ3の代わりに他の構造の各種固定手段を採用することもできる。
【0020】(作 用)図8は図3、図4に示す高床式栽培装置の使用状態を示す断面説明図である。図1ないし図8を参照して、高床式栽培装置A1の作用を説明する。高床式栽培装置A1の組み立ては、次のように行う。
(1)二本の脚部材9を所要の間隔(床形成部材1の脚部材装着孔12同士の間隔)で地面に並べて立て、これを一組とする。更に、前記並設方向とは直角方向に所要の間隔で必要な組数の脚部材9を地面に打ち込んで立てる。
(2)脚部材9に床形成部材1の脚部装着孔12を装着して、各床形成部材1が所要間隔で厚み方向に平行になるようにする。
【0021】(3)各床形成部材1の床受部材装着部13間及び床受部材装着部14間に、それぞれ下部床受部材8、上部床受部材8aを装着して各床形成部材1を連結する。
(4)床形成部材1が有している床形成部19と、下部床受部材8、上部床受部材8aで形成される部分に床シート2を被せる。床シート2は、固定クリップ3で上部床受部材8aに固定される。
(5)床シート内部に土壌40を入れて栽培床4を形成し、苺5を植えて栽培する。
【0022】上記構造の高床式栽培装置A1によれば、設置時における組み立て作業を特別な工具や技術を必要とせず、従来のような固定金具も使用することなく、短時間で簡単に行うことができる。また、脚部材9や下部床受部材8、上部床受部材8aなどの各金属部分に、耐食性の良好な金属(ステンレススチールなど)や防錆処理を施した金属を使用すれば、装置全体としての十分な耐久性が得られ、交換の頻度が少なくなるので、コストが安価になる。なお、脚部材9と下部床受部材8、上部床受部材8aの材質やサイズを同じにすれば、組み立て時に脚部材9と下部床受部材8、上部床受部材8aの選別の手間がかからず、組み立てを更に簡単にすることができる。
【0023】図9は本発明に係る高床式栽培装置の第2の実施の形態を示す要部斜視図、図10は図9に示す高床式栽培装置の使用状態を示す断面説明図である。図面において、上記高床式栽培装置A1と同一または同等箇所には同一の符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。なお、図9においては、下部床受部材8、上部床受部材8aの図示を省略している。
【0024】高床式栽培装置A2に使用されている床形成部材1aは、各突出部11の外側面の上下二箇所に装着部16を有している点において、上記床形成部材1と相違している。各装着部16には、図9、図10に示すように拡張部材7が装着されている。拡張部材7は、金属パイプで形成された「く」字状の取着基体70と、取着基体70の一端部に装着される受部材71で構成されている。なお、取着基体70の形状は、拡張部材7を張り出して設けることができれば特に限定するものではなく、直角や鋭角に折り曲げてもよいし、湾曲させてもよい。
【0025】受部材71は、金属パイプで所要長さに形成されており、所要間隔(床形成部材1が地面に設けられる間隔)で挿入突起72が設けられている。受部材71は、挿入突起72を、装着部16に着脱可能に装着された取着基体70の上端部に差し込んで装着される。そして、床シート2は、拡張部材7の受部材71を越える位置まで延出されている。なお、床シート2は、固定クリップ3で受部材71に固定することもできる。この場合、固定クリップ3による床シート2の上部床受部材8aへの固定は省略できる。
【0026】高床式栽培装置A2は、高床式栽培装置A1が有する上記作用に加えて、苺5のランナー50を延ばして果実51を拡張部材7の外側に垂らすようにすることにより、日当たりをよくし、生育を良好にすると共に摘果を容易にすることができる(図10参照)。
【0027】なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0028】
【発明の効果】本発明に係る高床式栽培装置は、栽培装置の組み立てにあたって、従来のような固定金具が不要となるので、栽培装置を設置するとき、または撤去するときにかかる手間を低減することができ、設置者側にかかる時間的、コスト的な負担を大幅に低減することができる。また、装置には溶接箇所もないので、金属部分に、耐食性の良好な金属や防錆処理を施した金属を使用すれば、装置全体としての十分な耐久性が得られ、交換の頻度が少なくなるので、コストが安価になる。
【出願人】 【識別番号】501097558
【氏名又は名称】春口 英起
【識別番号】391057889
【氏名又は名称】株式会社アグリス
【出願日】 平成13年3月12日(2001.3.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−262669(P2002−262669A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−69346(P2001−69346)