| 【発明の名称】 |
培地体 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 篤
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| 【要約】 |
【課題】生分解性を有し、小型かつ軽量で、運搬や敷設が極めて容易であり、かつ、当初から所定の種子と肥料を含有しており、その種子からの発芽、発芽したものの成長を望ましい形態に自然に制御できるようにした、あらゆる場所の緑化推進および花木の栽培に有用な培地体を提供する。
【解決手段】(a)炭化物を含有したセルローススポンジからなり、上面に沿って下方に向けて延びる切り込みが延設されているとともに、該切り込みの下端部に該切り込みに沿って延び切り込みの幅よりも大きい内径を有する第1の孔が形成され、該第1の孔とは別に第2の孔が形成された培地ブロックと、(b)前記第1の孔に挿入され、内部に種子が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第1の柱体と、(c)前記第2の孔に挿入され、内部に肥料が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第2の柱体を備えていることを特徴とする培地体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)炭化物を含有したセルローススポンジからなり、上面に沿って下方に向けて延びる切り込みが延設されているとともに、該切り込みの下端部に該切り込みに沿って延び切り込みの幅よりも大きい内径を有する第1の孔が形成され、該第1の孔とは別に第2の孔が形成された培地ブロックと、(b)前記第1の孔に挿入され、内部に種子が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第1の柱体と、(c)前記第2の孔に挿入され、内部に肥料が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第2の柱体を備えていることを特徴とする培地体。 【請求項2】 前記第1の孔および第1の柱体と、前記第2の孔および第2の柱体が、交互に配置されている、請求項1の培地体。 【請求項3】 前記培地ブロックの厚み方向において、前記第1の孔および第1の柱体とは異なる位置に、それらを横切る方向に延びる第2の孔および第2の柱体が配置されている、請求項1の培地体。 【請求項4】 前記培地ブロックの厚み方向ににおいて、前記第1の孔および第1の柱体と実質的に同じ位置に、それらを横切る方向に第2の孔が延設され、該第2の孔に第2の柱体が断続的に配置されている、請求項1の培地体。 【請求項5】 さらに、前記培地ブロックの下部に、該培地ブロックを支持し、生分解性プラスチックからなる支持体が設けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載の培地体。 【請求項6】 前記支持体に、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられている、請求項5の培地体。 【請求項7】 前記支持体が、少なくともその上下面と並行な方向に通水性を有する、請求項5または6の培地体。 【請求項8】 前記培地ブロックに設けられた切り込みおよび第1の孔が、培地ブロックの面方向において少なくとも2方向に延びている、請求項1ないし7のいずれかに記載の培地体。 【請求項9】 前記培地ブロックに、前記切り込みとは別に、培地ブロックの厚みを貫通しない長さだけ延び、培地ブロックの内部を培地ブロックの面方向において複数の区分に区画する区画用切り込みが設けられている、請求項1ないし8のいずれかに記載の培地体。 【請求項10】 前記第1および/または第2の柱体が、被覆層によって所定の柱体形状に保持されている、請求項1ないし9のいずれかに記載の培地体。 【請求項11】 前記第1および第2の柱体を構成する生分解性繊維がセルロース繊維、ポリ乳酸繊維および脂肪酸ポリエステル繊維のいずれかからなる、請求項1ないし10のいずれかに記載の培地体。 【請求項12】 前記肥料が、水溶性材料からなるカプセルに収容されている、請求項1ないし11のいずれかに記載の培地体。 【請求項13】 前記肥料が、草花や木の種子に応じて、溶解性が時間的に異なるカプセルに収容されている、請求項12の培地体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、公園、家屋やビルの屋上、堤防、さらには屋内ホール等の緑化の推進および花木の栽培に好適な培地体に関し、とくに、小型かつ軽量に形成でき、運搬や敷設が極めて容易であり、多数敷設することにより自由に所望の面積や形状の緑地や花壇等を形成可能で、かつ、保水性が高く、自然にしかも所望の形態で出芽させることが可能な、近年の緑化推進要求を合理的に満たすことができる培地体に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、公園、家屋やビルの屋上、堤防、さらには屋内ホール等の緑化の推進および花木の栽培の要求は益々高まりつつある。一般に、緑化は、所定の場所に土を敷きつめて培地を形成し、種子を蒔いて発芽させ、それが所望の成長を遂げるように管理していくことによってなされているが、このような作業や管理は、とくに家屋やビルの屋上、屋内ホール等のスペースが限られた場所や運搬が難しい場所、堤防、河川ののり面、および高速道路、鉄道等の斜面として形成された場所に対しては、簡単に行うことができず、その困難性が緑化推進の妨げとなっている。 【0003】培地自体としては、予め小型に形成しておき、運搬や敷設の便利性を高めたものも知られているが、種子からの発芽性を高めるようにした構造等については殆ど提案されておらず、ましてや、最初から所定の種子や肥料を含有し、その種子からの発芽や成長を所望の形態に制御できるようにした構造を有するものは知られていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、このような現状に鑑み、生分解性を考慮することは勿論のこと、小型かつ軽量で、運搬や敷設が極めて容易であり、かつ、当初から所定の種子と肥料を含有しており、その種子からの発芽、発芽したものの成長を望ましい形態に自然に制御できるようにした、あらゆる場所の緑化推進および花木の栽培に極めて有用な培地体を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る培地体は、(a)炭化物を含有したセルローススポンジからなり、上面に沿って下方に向けて延びる切り込みが延設されているとともに、該切り込みの下端部に該切り込みに沿って延び切り込みの幅よりも大きい内径を有する第1の孔が形成され、該第1の孔とは別に第2の孔が形成された培地ブロックと、(b)前記第1の孔に挿入され、内部に種子が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第1の柱体と、(c)前記第2の孔に挿入され、内部に肥料が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第2の柱体を備えていることを特徴とするものからなる。この炭化物を含有したセルローススポンジからなる培地ブロックは、後述の如く、優れた生分解性を有する、環境に優しいものである。 【0006】この本発明に係る培地体においては、上記第1の孔および第1の柱体と、前記第2の孔および第2の柱体は、種々の配置形態を採り得る。たとえば、第1の孔および第1の柱体と、前記第2の孔および第2の柱体が、交互に配置されている形態を採り得る。あるいは、培地ブロックの厚み方向において、第1の孔および第1の柱体とは異なる位置に、それらを横切る方向に延びる第2の孔および第2の柱体が配置されている形態を採り得る。さらには、培地ブロックの厚み方向ににおいて、第1の孔および第1の柱体と実質的に同じ位置に、それらを横切る方向に第2の孔が延設され、該第2の孔に第2の柱体が断続的に配置されている形態も採り得る。 【0007】この本発明に係る培地体においては、さらに、前記培地ブロックの下部に、該培地ブロックを支持し、生分解性プラスチックからなる支持体が設けられていることが好ましい。生分解性プラスチックは、発泡体、マット、不織布のいずれの形態のものでもよい。この支持体により、保管、運搬、敷設の際に、柱体を含む培地ブロックを所定の形状に確実に保持することができる。 【0008】上記支持体には、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられていることが好ましい。このように貫通孔を設けておくと、柱体に含有されている種子から培地ブロックを通して根がはってきたとき、該根は、貫通孔に沿って容易に下方へと導かれるようになる。 【0009】また、上記支持体は、少なくともその上下面と並行な方向に通水性を有することが好ましい。通水性を有することにより、はってきた根に適切に水分と空気中の酸素を補給できるとともに、水分が充満しすぎないように、適当な排水性も付与できる。 【0010】培地ブロックに設けられた切り込みおよび第1の孔は、一方向に複数平行に延設することもできるし、培地ブロックの面方向において少なくとも2方向に延びる構成とすることもできる。つまり、切り込みおよび第1の孔を縦横に延設することもできる。少なくとも2方向に延設すれば、より密に発芽させることが可能になる。 【0011】また、上記培地ブロックに、前記切り込みとは別に、培地ブロックの厚みを貫通しない長さだけ延び、培地ブロックの内部を培地ブロックの面方向において複数の区分に区画する区画用切り込みが設けられている構造を採用することもできる。このような区画用切り込みが設けられていると、該切り込みは厚み方向に貫通していないので培地ブロックをばらばらにすることはなく、培地ブロックを適当な大きさの複数の区分に区画することができ、隣合う区分の根同士間や芽同士間を適切に遮断して、それらが絡み合うことを抑制できる。また、ある程度成長した後に、区画用切り込みに沿って培地ブロックを適当な大きさのものに容易に分割することも可能になる。 【0012】生分解性繊維からなるフィルター状の柱体は、そのまま培地ブロックに挿入されることが望ましいが、繊維からなるフィルター状の柱体そのものは一般に形態を保持しにくいので、柱体形状に形成される際および孔に挿入される際には、被覆層、たとえば、巻き紙層で被覆された形態に形成することが好ましい。培地ブロックの孔に挿入される際には、厚みの薄い適当なパイプ、たとえば薄肉金属製パイプ(たとえば、ステンレスパイプ)を用いることにより容易にフィルター状の柱体を孔内に挿入できる。挿入後にそのパイプだけを引き抜き、フィルター状の柱体を、上記被覆層ごと孔内に残せばよい。上記柱体を構成する生分解性繊維は、たとえばセルロース繊維、ポリ乳酸繊維および脂肪酸ポリエステル繊維のいずれかから構成することができる。 【0013】上記肥料は、そのまま、たとえば乾燥形態で柱体内に保持させることも可能であるが、水溶液の形態、あるいは場合によっては乾燥形態で、水溶性材料からなるカプセルに収容し、そのカプセル形態で柱体内に保持させることもできる。このようにすれば、培地ブロックが吸水すると、その水分が水溶性材料からなるカプセルを溶解し、カプセル内に収容されている肥料が順次流出し、成長時期に合わせて供給されることになる。また、顆粒状の肥料に、たとえば澱粉でコーティングしたものを用いてもよい。 【0014】肥料としては、たとえば、草花や木の成長に合わせてそれらに適した肥料を使用することもできるし、これらの混合肥料を使用することもできる。また、肥料を、溶解性が時間的に異なるカプセルに収容しておくようにすれば、草花や木の成長の過程に応じて、そのときに最も必要な肥料を適時に供給することができる。 【0015】上記のような本発明に係る培地体は、セルローススポンジからなる培地ブロックと、その培地ブロックの各孔内に挿入された、種子と肥料を含有するフィルター状の柱体からなるので、あるいは、それらにさらに生分解性プラスチックからなる支持体を加えた形態からなるので、個々の培地体は、容易に小型でかつ極めて軽量なものに構成できる。したがって、保管、運搬、敷設は極めて簡単であり、この培地体を必要数、必要面積にわたって敷設することにより、容易に所望の面積、所望の形状の培地が形成される。とくに、支持体を併用することにより、保管、運搬、敷設の形態保持性能が著しく高められる。 【0016】そして、本発明に係る培地体は、各柱体内に種子および肥料を含有しているので、単に敷設して、必要な水分を供給するだけで種子から適切に発芽させ、水分の流れにのせて肥料は種子の成長時期に合わせて供給できる。この水分供給は、セルローススポンジからなる培地ブロックを介して容易にかつ適切に行われ、この培地ブロックは炭化物を含有したセルローススポンジからなるので、後述の如く生分解性を有し、かつ、各柱体も生分解性繊維から構成されているので、ある期間経過後には、自然に分解し、緑化に好適な環境が形成されることになる。 【0017】また、第1の柱体を保持している培地ブロックの第1の孔は、その上方に位置する切り込みに通じており、その切り込みは上方へと開口されているので、発芽してきた芽は、切り込みに沿って上方へと延びることになる。つまり、柱体内に保持されていた種子からの発芽方向が、最も適切な方向に制御され、かつ、各種子からの芽の伸びる方向が、切り込みに沿って望ましい方向に揃えられることになる。その結果、当初計画していた方向および配置をもって、整然とした発芽が達成される。また、支持体に貫通孔を設けておけば、根の方向についても望ましい方向に制御できる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明の培地体における培地ブロックは、炭化物を含有したセルローススポンジからなる。この炭化物を含有したセルローススポンジは、セルローススポンジに炭化物を含有させたもので優れた吸水性、保水性および膨潤性能を有する。また、炭化物を含有するセルローススポンジは、後述のように天然素材から構成されるものであり、自然界に放置した場合には生分解する。この炭化物を含有したセルローススポンジは、たとえば、比較的厚手のシート状物に形成される。炭化物は、セルローススポンジの全体に分散している。このシート状物を所定の形状、所定の厚さに切断して、本発明に係る培地ブロックの素材を形成できる。 【0019】セルローススポンジにおいて、使用するビスコースとしては、セルロースの含有量が好ましくは3〜15%、より好ましくは5〜10%、苛性ソーダが好ましくは2〜12%、より好ましくは6〜9%であり、その重合度は好ましくは200〜600、より好ましくは300〜500の組成物であるものが好ましく使用される。 【0020】炭化物含有セルローススポンジは、ビスコース100部に対して、炭化物を好ましくは1〜30部、より好ましくは5〜15部添加し焼成して製造する。炭化物は、セルローススポンジの全体に分散して存在するものであるが、その添加量をセルロース固形分に換算すると、セルロース固形分100部に対して好ましくは6〜200部、より好ましくは30〜100部である。炭化物含有量を調整することにより、吸水・保水性の制御機能とセルローススポンジの生分解機能を促進することができる。炭化物含有量が少なすぎると、上述の両機能が惹起せず、また炭化物含有量が多すぎると、セルローススポンジそのものが硬くなり、引っ張り強度も弱くなる傾向にある。 【0021】炭化物の原料としては、たとえば、炭素を含む可燃物を焼成して炭化したものを使用できる。かかる可燃物としては、植物および有機物から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。要するに燃焼して炭化物を形成するもの、たとえば、産業廃棄物や生活廃材なども全て含まれる。中でも木材、紙、パルプ、穀物、種類、飲食品などやそれらの加工品から焼成されて作られる木炭(繊維質炭)や活性炭が好ましく使用され、さらに好ましくはかかる炭化物が、多孔質無機物で被覆されたいわゆるセラミック炭を用いることが好ましい。セラミック炭は、たとえば、粒状、粉状さらには泥状の可燃物(約40%程度が好ましい)を、無機質粉体(約60%程度が好ましい)と湿式で混合、混練して、被覆構造体を形成し、これを好ましくは600℃以上、より好ましくは700℃以上で焼成することができる。この焼成において、無機質粉体で被覆された可燃物は、無機質粉体で保護されているので、燃焼しないで炭化される。 【0022】無機質粉体としては、ひる石、モンリロナイトを含むベントナイト、緑泥石、モンリロナイトを含む粘土などの粉粒体を主体とする粘結材が必須材料として使用されるが、その他に骨材として、黒曜石、無機質廃棄物、鋳物砂、汚泥砂、レンガ、コンクリート、瓦、スラグ、パーライト、ガラスなどの微粉体を併用することができる。ここで該粘結材は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、特に好ましくは50重量%以上含む無機質粉体組成物が好ましく使用される。 【0023】ここで重要なことは、可燃物も無機質粉体も、微粒子化して水の存在下で混合して、可燃物を無機質粉体で被覆しておくことである。かかる被覆構造体を微粒子化するには、スプレー方式で噴霧することで所望の粒径の被覆構造を有する炭化物を得ることができる。特に繊維質炭は、焼成時の割れ防止に有効に作用するので、炭化物の主たる組成成分として使用するのが好ましい。 【0024】炭化物の粒径としては、好ましくは5mm以下のものが、セルローススポンジに混合させたときの、保持性の上から好ましい。 【0025】炭化物は、セルローススポンジに含有させるが、その製造法は、たとえばビスコースと粒径5mm以下に粉砕した炭化物と、発泡剤としての硫酸ナトリウム(芒硝)の結晶を均一になるまで混合し、この混合物を金型に充填した後、それを芒硝浴中で凝固・再生することにより、製造することができる。ここで、芒硝の添加量はビスコース100部に対し、好ましくは300〜900部、より好ましくは500〜700部である。 【0026】このとき、セルローススポンジの強度を補強したり、適度の硬さを付与するために、牛乳パックや古紙からリサイクルしたパルプなどの粉砕物や、パーム、バガス、茶葉などの天然繊維素材を補強材として、該ビスコースに添加することができる。その添加量はビスコース100部に対し、好ましくは1〜20部、より好ましくは3〜10部である。 【0027】上記炭化物を含有したセルローススポンジからなる培地ブロックには、その上面に沿って下方に向けて延びる切り込みが延設されるとともに、該切り込みの下端部に該切り込みに沿って延び切り込みの幅よりも大きい内径を有する第1の孔が形成される。切り込みの幅としては、たとえば、1〜7mmの範囲、好ましくは2〜5mmの範囲から、より好ましくは2.5〜4mmの範囲(3mm近傍の値)から選べばよい。この切り込みは、平行線状に複数配設されるが、その配設ピッチは、たとえば、5〜40mmの範囲、好ましくは7〜30mmの範囲、より好ましくは10〜20mmの範囲から選べばよい。また、この切り込みは、後述の実施例に示すように、培地ブロックの面に沿う方向に複数方向、とくに2方向に(たとえば、縦横に)延設することもできる。 【0028】上記各切り込みの下端部には、切り込みに連通するように、切り込みに沿って延び切り込みの幅よりも大きい内径を有する第1の孔が形成される。この第1の孔の内径は、たとえば、切り込みの幅よりも3〜30mm程度大きい径、好ましくは5〜20mm程度大きい径に形成されればよいが、この孔に挿入される第1の柱体の成形サイズとの兼ね合いも考慮する必要がある。 【0029】また、上記培地ブロックには、上記第1の孔とは別に第2の孔が設けられる。この第2の孔は、第1の孔と同様にその上部に切り込みを備えたものであってもよく、切り込みを持たない単なる孔のみの形態としてもよい。また、第1の孔と第2の孔は、交互に配置してもよく、第1の孔の近傍、たとえば第1の孔の下部に、たとえば第1の孔を横切る方向に延びる孔として第2の孔を形成してもよい。さらに、培地ブロックの厚み方向において実質的に同じ位置に、第2の孔を、第1の孔を横切るように形成することも可能である。 【0030】上記第1の孔には、内部に種子が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第1の柱体が挿入され、第2の孔には、内部に肥料が保持された生分解性繊維からなるフィルター状の第2の柱体が挿入され、各孔内に保持される。生分解性繊維としては、セルロース繊維、ポリ乳酸繊維および脂肪酸ポリエステル繊維のいずれかを使用することが好ましいが、天然繊維、中でも、油ヤシ繊維やココヤシ繊維、麻繊維、綿類および絹も使用可能である。フィルター状の柱体に成形する技術は、たばこのフィルター成形技術等により一般に確立されているので、その成形装置、成形方法を使用すればよい。フィルター状に成形する際の密度は、発芽のし易さおよび種子の大きさ等を考慮して適切に決めればよい。 【0031】しかし一般に、繊維のみからなるフィルター状物体は、自身の形状(形態)を保ちにくい傾向にあるので、上記生分解性繊維からなるフィルター状の柱体の成形後には、あるいは成形と同時に、薄手の紙等からなる適当な被覆層を外周に巻き、それによって所定の柱体形状を保った状態で培地ブロックの孔内への挿入に供するようにすればよい。培地ブロックの孔内への挿入は、前述の如く挿入用パイプを使用すれば、容易に行うことができる。 【0032】肥料は、いわゆる3大肥料とされている窒素、燐、カリウムを含むものが好ましく、これらが別々の肥料として含有されたもの、混合された肥料として含有されたもののいずれでもよい。肥料の含有形態は、水溶性材料からなるカプセルに収容したものを含有させたり、澱粉をコーティングしたものを含有させたりできる。これによって、培地体を敷設、使用時に、浸透してきた水分によりカプセルやコーティング層が溶解し、中の肥料が適時洩れ出して草木や花の成長時期に供給されることになる。 【0033】とくに、肥料が、溶解性が時間的に異なる水溶性のカプセル等にそれぞれ収容されていると、成長時期に合わせて、適時にそのときに最も適した肥料を自動的に供給できるようになる。 【0034】以下に、図面を参照して、本発明に係る培地体のより具体的な実施態様について説明する。図1は、本発明の第1実施態様に係る培地体を示している。本実施態様では、培地体1は、炭化物を含有したセルローススポンジからなる培地ブロック2と、培地ブロック2の下部に設けられた生分解性プラスチックからなる支持体3とを有するものに構成されている。培地ブロック2の上面側には、上面2aに沿って培地ブロック2の長手方向に平行に延びる複数本(図示例では6本)の切り込み4が延設されており、各切り込み4は、上面2aから下方に向けて延びている。各切り込み4の下端部には、該切り込み4に連通するように切り込み4に沿って延び、切り込み4の幅よりも大きい内径を有する第1の孔5と第2の孔6が形成されている。第1の孔5と第2の孔6は、本実施態様では交互に配置されている。第1の孔5内には、内部に種子を含有した、生分解性繊維からなるフィルター状の第1の柱体7が挿入されて保持されており、第2の孔6には、内部に肥料を含有した、生分解性繊維からなるフィルター状の第2の柱体8が挿入されて保持されている。なお、本実施態様では、第2の孔6に対しても切り込み4が設けられているが、第2の孔6に対しては切り込み4を省略することもできる。ただし、切り込み4を設けた方が、第2の柱体8を挿入しやすくなる。 【0035】第1の柱体7は、たとえば図2に示すように、内部に種子9を保持しており、第2の柱体8は、たとえば図3に示すように、内部に肥料10を保持しており、本実施態様では、肥料10は水溶性材料からなるカプセル11内に収容されている。また本実施態様では、第1の柱体7および第2の柱体8は、生分解性繊維からなるフィルター状部12の柱体形状を保持するために、フィルター状部12の周囲に、被覆層13としての紙が巻かれた形態に形成されている。 【0036】生分解性プラスチックからなる支持体3は、下方から培地ブロック2を支持し、保管、運搬、敷設時にも培地ブロック2を所定形状に保つ。この生分解性プラスチックからなる支持体3は、たとえば60倍程度の発泡倍率の発泡プラスチックからなり、内部に多数の微細空孔を有しており、その上下面に沿う方向に通水性を有している。したがって、培地ブロック2を介して水分を各柱体7、8に向けて供給できるとともに、この支持体3を介しても水分を各柱体7、8に向けて供給できるようになっており、さらに、第1の柱体7側から下方に向けて根がはってきたときには、その根に支持体3を介して水分を補給できるようになっている。また、支持体3には、その厚み方向に貫通する多数の貫通孔14が設けられており、根のはう方向を各貫通孔14に沿う方向に制御できるとともに、過剰水分を各貫通孔14を介して下方に排出できるようになっている。なお、図示は省略するが、支持体3の面に沿う方向への通水性を向上するために、支持体3の上面または/および下面に、通水用の溝を延設しておいてもよい。 【0037】このように構成された培地体1は、たとえば図4に示すように多数、隣合うように敷設され、目標とする面積や形状に敷きつめられる。この敷設は、水平面上のみならず、堤防、河川ののり面、および高速道路、鉄道等の斜面として形成された場所に対しても容易に行うことができる。また、少なくとも1辺が円弧形状あるいは湾曲形状に形成された培地体を組み合わせれば、曲線形状を有する場所に対しても、隈なく敷設することが可能になる。 【0038】敷設後には、単に雨水による水分供給を利用するだけでもよく、人手あるいはスプリンクラー等による水分供給を行ってもよい。水分供給により、培地ブロック2、各柱体7、8、支持体3の生分解性が発揮され、ある期間経過後に、下方の土壌等に馴染んだ培地となる。そして、第1の柱体7に水分および空気中の酸素が供給されると、まず、種子から根がはってくる。そして、第2の柱体8に水分が供給されると、水溶性カプセル11が溶解して内部から流出してきた肥料10が供給あるいは吸収され、種子9が発芽し、芽が成長していく。図5に示すように、芽15の茎16の部分は切り込み4に沿って上方へと伸び、やがて外部に現れて葉17をつける。種子9の下部側からは根18がはって、主として水分の流下方向に沿って下方へと伸びていき、やがて支持体3内まで伸びて、貫通孔14に沿って下方へと伸びていく。支持体3の下部側に本土壌が有る場合には、その土壌内へと根づいていく。 【0039】上記のような発芽や根づきは、自然に行われ、かつ、とくに発芽の方向は、切り込み4の存在により、望ましい方向に自然に制御される。また、ある期間経過後には、培地体1は生分解して本土壌と同様の形態になるから、目標とした培地が望ましい形態で自然に形成されることになる。 【0040】また、上述したように、個々の培地体1は小型、軽量に構成されるから、緑地化しようとする場所に容易に運搬でき、所定数敷設することにより、大面積であっても簡単に緑地化のための培地を形成できる。斜面等にあっても、狭い場所にあっても、さらには複雑な地形の場所にあっても全く問題なく敷設できる。 【0041】さらに、前述したように、肥料の流出時期をコントロールすれば、成長に合わせて最も適切なときに肥料を供給することもできる。 【0042】さらにまた、切り込み4の配設形態に沿わせて発芽させることができるので、単に種を蒔いた場合に比べ、整然とした芽列に揃えることができる。発芽の密度も、第1の柱体7内への種子9の含有密度や切り込み4の配設ピッチの適切な設定により、容易にかつ自由に設定できる。 【0043】図6は、上記第1実施態様の変形例に係る培地体21の平面図を示している。本実施態様においては、とくに、培地ブロック22の上面側に設けられる切り込みが、培地ブロック22の長手方向に平行に延びる第1の切り込み23aと、その第1の切り込み23aを横切るように培地ブロック22の幅方向に平行に延びる第2の切り込み23bとの、2方向に延びる切り込みからなる。各切り込みの下部には、図1に示したのと同様の孔が設けられ、各孔に、第1の柱体および第2の柱体が、適当な配列をもって挿入されている。このように構成すれば、縦横に配置された各切り込みに沿わせて発芽させることが可能になり、発芽の密度を高めることができる。 【0044】図7および図8は、本発明の第2実施態様に係る培地体31を示している。本実施態様においては、培地ブロック32に、第1の孔33が複数並設されており、各第1の孔33に第1の柱体7が挿入されているとともに、培地ブロック32の厚み方向に、第1の孔33および第1の柱体7とは異なる位置に、それらを横切る方向に延びる第2の孔34が延設され、各第2の孔34に第2の柱体8が挿入されている。そして本実施態様では、第1の孔33間および第2の孔34間に、培地ブロック32の上面から、培地ブロック32の厚みを貫通しない深さの区画用切り込み35が縦横に刻設されている。 【0045】第2の孔34および第2の柱体8を、第1の孔33および第1の柱体7の下部側に配置することにより、とくに根18を介して適切に肥料成分を供給することができる。また、区画用切り込み35を設けておくことにより、前述の如く、根同士や芽同士の絡み合いを適切に抑制でき、かつ、ある程度成長後には、区画用切り込み35に沿って、培地体31を適当な大きさのものに容易に分割できるようになる。 【0046】図9および図10は、本発明の第3実施態様に係る培地体41を示している。本実施態様においては、培地ブロック42に、第1の孔43が複数並設されており、各第1の孔43に第1の柱体7が挿入されているとともに、培地ブロック42の厚み方向に、第1の孔43および第1の柱体7と実質的に同じ位置に、それらを横切る方向に延びる第2の孔44が延設され、各第2の孔44に第2の柱体45が、第1の柱体7と干渉しないように断続的に挿入、配置されている。断続的な第2の柱体45の第2の孔44内への挿入は、切り込み4を介して容易に行うことができる。 【0047】第1〜第3実施態様に示したように、第1の孔および第1の柱体と、第2の孔および第2の柱体の配置は、実質的に自由に設定可能である。 【0048】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の培地体によれば、生分解性を有し環境に優しい培地体を、小型、軽量に形成でき、保管、運搬、敷設を容易に行うことができる。また、最初から種子と肥料を含有しているので、実質的に水分の供給のみで自然に望ましい形態で成育させることができる。また、切り込み、孔、柱体の適切な配置により、発芽の方向および位置を好ましい状態に制御できる。さらに、支持体を付加しておくことにより、保管、運搬、敷設を一層容易に行うことができるとともに、根側の給排水を自動的に好ましい状態に保つことができる。この本発明に係る培地体は、緑化が要求されるあらゆる場所に有用である。 【0049】また、セルローススポンジを使うことによって汎用性の高い商品とすることにより、コストを従来の緑化マットよりも安くできる。さらに、この材料は、草花や木と同様のコンポスト化により有機肥料として使用できる。あるいはすべてを炭化することによって、再度セルローススポンジ中のセラミック炭の材料として使うこともできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593085358 【氏名又は名称】トーア商事株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月14日(2001.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091384 【弁理士】 【氏名又は名称】伴 俊光
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| 【公開番号】 |
特開2002−262660(P2002−262660A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月17日(2002.9.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−71525(P2001−71525) |
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