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【発明の名称】 被覆シートの巻取り装置
【発明者】 【氏名】入野 恒司

【要約】 【課題】シート巻取り体に巻き取られたシートロールをシート巻取り体から極めて容易に取り外し得るようにする。

【解決手段】駆動軸16とこの駆動軸16を回転駆動する駆動手段32が設けられた架台10と、駆動軸16に装着され、駆動軸16により回転駆動される回転部材19とを有する。回転部材19にその回転中心から所定の半径位置にそれぞれ一端部が取り付けられ、シート巻取り体31を形成する複数の巻取りアーム25,26とを有し、複数の巻取りアーム25,26のうち少なくとも1つの巻取りアーム25をシート巻取り位置とシート取り外し位置との間で回動自在に回転部材19に取り付け、1つの巻取りアーム25をシート巻取り位置に締結するクランプ部材27を回転部材19に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動軸およびこの駆動軸を回転駆動する駆動手段が設けられた架台と、前記駆動軸に装着され、前記駆動軸により回転駆動される回転部材と、前記回転部材にその回転中心から所定の半径位置にそれぞれ一端部が取り付けられ、シート巻取り体を形成する複数の巻取りアームとを有し、前記複数の巻取りアームのうち少なくとも1つの巻取りアームをシート巻取り位置とシート取り外し位置との間で回動自在に前記回転部材に取り付け、前記回動自在の巻取りアームを前記シート巻取り位置に締結するクランプ部材を前記回転部材に設けたことを特徴とする被覆シートの巻取り装置。
【請求項2】 請求項1に記載の被覆シートの巻取り装置において、前記回転部材を前記駆動軸に取り外し自在に装着したことを特徴とする被覆シートの巻取り装置。
【請求項3】 駆動軸およびこの駆動軸を回転駆動する駆動手段が設けられた架台と、前記駆動軸に装着され、被覆シートを巻取るシート巻取り体と、前記架台にて前記駆動軸に平行に取り付けられ、前記シート巻取り体に巻き取られる前記被覆シートを案内するローラと、前記駆動手段の回転運動を揺動アームでの上下方向の揺動運動に変換する変換機構とを有し、前記シート巻取り体に前記被覆シートを巻き取りながら前記被覆シートの付着物を除去することを特徴とする被覆シートの巻取り装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土壌の表面に配置された農業用の被覆シートを回収するための被覆シートの巻取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜など農作物を栽培する際には、ポリエチレンフィルムなどの樹脂により製造されたマルチシートやマルチングシートとも言われる帯状の被覆シートを圃場の表面に設置するようにしている。このようなマルチング処理を行うことにより、雨による土壌流出防止、土壌からの水分の蒸発防止、雑草の発生防止、土壌の消毒作用等の効果を得ることができる。また、ビニールハウスを敷設する場合には、フレームの外側に樹脂製の被覆シートを覆うようにしている。
【0003】被覆シートは農作物の収穫後や土壌消毒後に、再利用したり処分するために土壌の表面から取り除かれる。従来では使用後の被覆シートを手作業によって巻き取るのが通常であったが、この巻き取り作業は重労働である。特に、地面を覆う被覆シートを剥がした直後は、被覆シートの内面に多量の水滴や土砂などが付着しており、その重量は乾燥したものに比べてかなり大きくなる。そこで、被覆シートの土壌の表面からの剥ぎ取り作業を自動的に行うために、たとえば、特開2000-188972号公報に示されるように、被覆シートを巻取りドラムに巻き取るようにした巻取り装置が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】巻取り装置を用いて巻取り体にロール状に巻き取られた被覆シートは、巻き取り時の抵抗により巻取りドラムに強く巻き付けられることになり、特に外気温の高い状況においては、被覆シートが伸長するため、あたかもゴム紐を巻き付けたような状態となる。このように巻き取られた被覆シートの取り外しが大変困難であるため、従来では取り外しの作業を容易にする装置が開発されていた。しかし、従来の装置では、取り外し手順に関しては複数の手順を必要としており、取り外し後の装置復帰に関しても煩雑な手順を必要としていた。
【0005】また、他の課題としては、被覆シートを巻き取る際に付着している水滴および土砂等を除去しきれずに巻取り物の重量が増大することがあった。
【0006】本発明の目的は、シート巻取り体に巻き取られた被覆シートを極めて容易に取り外し得るようにすることにある。
【0007】本発明の他の目的は、被覆シートに付着した水滴および土砂等を除去して巻き取ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の被覆シートの巻取り装置は、駆動軸およびこの駆動軸を回転駆動する駆動手段が設けられた架台と、前記駆動軸に装着され、前記駆動軸により回転駆動される回転部材と、前記回転部材にその回転中心から所定の半径位置にそれぞれ一端部が取り付けられ、シート巻取り体を形成する複数の巻取り部材とを有し、前記複数の巻取り部材のうち少なくとも1つの巻取り部材をシート巻取り位置とシート取り外し位置との間で回動自在に前記回転部材に取り付け、前記回動自在の巻取り部材を前記シート巻取り位置に締結する締結部材を前記回転部材に設けたことを特徴とするものである。
【0009】本発明の被覆シートの巻取り装置は、前記回転部材を前記駆動軸に取り外し自在に装着したことを特徴とするものである。
【0010】本発明の被覆シートの巻取り装置は、駆動軸およびこの駆動軸を回転駆動する駆動手段が設けられた架台と、前記駆動軸に装着され、被覆シートを巻取るシート巻取り体と、前記架台にて前記駆動軸に平行に取り付けられ、前記シート巻取り体に巻き取られる前記被覆シートを案内する棒状部材と、前記駆動手段の回転運動を揺動部材での上下方向の揺動運動に変換する変換機構とを有し、前記シート巻取り体に被覆シートを巻き取りながら被覆シートの付着物を除去することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1は本発明の一実施の形態である被覆シートの巻取り装置を示す平面図であり、図2は図1の矢印A方向から見た側面図である。
【0013】図1および図2に示すように、この巻取り装置は圃場に配置された被覆シートを巻き取るために使用されており、ほぼコの字の枠体からなる架台10を有し、架台10の図2における左右方向の一端部両側には車輪11が設けられ、他端部両側には脚部12が設けられる。架台10の図2におけるほぼ中央には2本の垂直フレーム13,14が上下方向に伸びて設けられ、垂直フレーム13,14の上端部には上端フレーム15が設けられている。
【0014】上端フレーム15には駆動軸16が回転自在に軸受け17によって支持され、駆動軸16には駆動軸16に嵌合する筒状部材18aと、筒状部材18aに固定された棒状部材18bとを有する回転部材19が装着されており、この回転部材19は筒状部材18aに取り付けられるピン20により駆動軸16に固定されるとともにピン20を抜くことにより取り外し自在となっている。棒状部材18bは湾曲形成されており、筒状部材18aに直角な基部18cと基部18cの両端から外方に傾斜した傾斜部18dとそれぞれの傾斜部18dの先端から基部18cに平行となった端部18eとを有している。なお、回転部材19の駆動軸16に対する固定方法としてはピン20によらず、ねじ部材等により固定しても良い。
【0015】図3は回転部材19により形成されるシート巻取り体31を示す斜視図である。図3に示すように、シート巻取り体31は棒状部材18bの所定の半径位置にそれぞれ取り付けられる第1と第2の2つの巻き取りアーム25,26を有している。それぞれ2つの巻取りアーム25、26は棒材を折り曲げ加工することにより形成されており、基部22とその両端部に連なる傾斜部23a,23bとそれぞれの傾斜部23a,23bに連なり基部22に対して直角となったシート誘導部24a,24bとを有し、全体的にほぼC字形状となっている。
【0016】第1の巻取りアーム25の基部22には棒状部材18bの基部18cに固定された支持部材21aにピン21bにより連結されるブラケット21cが固定されており、第1の巻取りアーム25はピン21bを中心に回動自在となって棒状部材18bの一端部側に取り付けられている。傾斜部18dの一端部には第1の巻取りアーム25に固定されたフック27aと係合して第1の巻取りアーム25をシート巻取り位置に締結するクランプ部材27が取り付けられている。クランプ部材27を操作して第1の巻取りアーム25の締結を解くと、第1の巻取りアーム25をほぼ90度回動させて第1の巻取りアーム25をシート取り外し位置に設定することができる。
【0017】一方、第2の巻取りアーム26は棒状部材18bの他端部に溶接により固定されており、傾斜部23bとシート誘導部24bとはそれぞれ棒状部材18bの傾斜部18dと端部18eとに一体となっている。このように、回転部材19と2本の巻取りアーム25,26によって被覆シートを巻き取るシート巻取り体31が形成される。なお、第2の巻取りアーム26の回転部材19に対する固定は溶接によらず、ねじ部材等により固定しても良い。
【0018】2本の巻取りアーム25,26の回転部材19に対する取り付け位置は、図1において、2本の巻取りアーム25,26の傾斜部23bとシート誘導部24bとがそれぞれ回転部材19の傾斜部18dと端部18eとに重なる位置であっても良い。また2本の巻取りアーム25,26の形状は、傾斜部23bとシート誘導部24bとを無くし、第1の巻取りアーム25では基部22と回転部材19とを締結可能とし、第2の巻取りアーム26では基部22の一端部と回転部材19とを固定することによっても使用できる。
【0019】図2に示すように、駆動軸16を回転駆動するために垂直フレーム14には減速機33を介してエンジン32が取り付けられており、エンジン32の出力軸回転は減速機33を介して第1のプーリ34に伝達される。第1のプーリ34と駆動軸16に固定された第2のプーリ35とには無端のVベルト36が掛け渡されており、エンジン32を駆動手段として駆動軸16は回転駆動される。また、垂直フレーム14には張力調整フレーム37が設けられ、張力調整フレーム37にはVベルト36の張力を調整可能なテンションローラ38が回転自在に装着される。
【0020】図4は図1において矢印B方向から見た揺動アーム部の斜視図である。図示するように、架台10の図2における左側端部には回転軸支持フレーム40,41が設けられている。回転軸支持フレーム40,41には揺動軸42が両端部を回転自在に装着され、揺動軸42の回転軸支持フレーム間には案内棒43aを有する揺動アーム43が固定される。
【0021】減速機33に装着される第1のプーリ34には第1のリンク44が固定されており、第1のリンク44には第2のリンク45への取り付け部がプーリ回転中心から離して形成される。揺動軸42のエンジン側端部には第3のリンク46が固定されており、第3のリンク46には第2のリンク45への取り付け部が揺動軸中心から離して形成される。第2のリンク45の一端と第1のリンク44とが回動自在に連結され、第2のリンク45の他端と第3のリンク46とが回動自在に連結される。
【0022】このように変換機構を形成する第1のリンク44、第2のリンク45および第3のリンク46により、第1のプーリ34の回転運動が揺動軸42に固定された揺動アーム43では揺動運動に変換されることとなる。つまり、揺動アーム43が図2において実線と二点鎖線とで示される揺動アーム43の間で揺動運動を行う。
【0023】2つの回転軸支持フレーム40,41の間には2本のローラ47が相互に平行に両端部を回転自在に装着される。2本のローラ47に被覆シート30を蛇行させて通過させることにより被覆シート30への屈曲作用を与えることができる。
【0024】図1から図4までに示される、このような被覆シート30の巻取り装置によって被覆シート30の巻取り操作を行うには、はじめに、第1の巻取りアーム25と回転部材19とをクランプ部材27にて締結する。
【0025】次いで、被覆シート30を巻取り装置まで引き寄せ、揺動アーム43に設けられた2本の案内棒43aに挟まれる隙間を通し、2本のローラ47に蛇行させるように被覆シート30を掛け渡しシート巻取り体31に巻き付ける。
【0026】このようにして準備が完了したら、エンジン32を起動する。エンジン32を起動すると、エンジン32の回転駆動力が減速機33とVベルト36とを介して駆動軸16に伝達され、シート巻取り体31が回転運動を行う。また、第1プーリ34での回転運動が揺動アーム43へは揺動運動に変換され伝達されるため、被覆シート30を通された揺動アーム43が揺動運動を行う。
【0027】揺動アーム43の揺動運動による衝撃により、被覆シート30に付着した水滴および土砂等が落下し、さらに固着した土砂等は2本のローラ47を蛇行して通過する際の屈曲作用により剥離落下する。
【0028】図5(A)はクランプ部材27の解除前におけるシート巻取り体31と巻取り物との位置関係を示す図であり、(B)はクランプ部材27の解除後におけるシート巻取り体31と巻取り物との位置関係を示す図である。巻取り物は一点鎖線で示されている。
【0029】このように水滴および土砂等が除去された被覆シート30は、図5(A)に示すように、第1の巻取りアーム25と第2の巻取りアーム26との基部22および傾斜部23a,23bに巻き付けられる。
【0030】上記のようにして、一定量の被覆シート30によって巻取り物であるシートロール48が形成された後に、シートロール48のシート巻取り体31からの取り外し作業を行う。この取り外し作業は、被覆シート30のシート巻取り体31を回転させ第1の巻取りアーム25を上方に配置する。次いで、図5(B)に示すように、クランプ部材27を解除すると、第1の巻取りアーム25は自重により図示する位置までピン21bを中心に回動変位し、シートロール48についても自重によりシート誘導部24a方向へ第1の巻取りアーム25上を滑動落下するため、シートロール48は極めて容易に取り出すことができる。この操作は回転部材19を駆動軸16に装着した状態で行っても良く、取り外した状態で行っても良い。
【0031】本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、第1の巻取りアーム25を回動式としているが、第1と第2の2つの巻取りアーム25,26を回動させるようにしても良い。また、シート巻取り体31を2本の巻取りアームにより形成することなく、それより多い数の巻取りアームにより形成するようにしても良い。第1の巻取りアーム25を回動させる際の中心が固定されたものではなく可変するものであっても使用できる。巻取りアームはC字形状ではなく基部22のみを有する単なる棒状の部材であっても使用できる。駆動装置としてエンジン32を使用せずにハンドルを設置しての人力による巻取り装置としても良い。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、シート巻取り体に自動的に被覆シートを巻き付けることにより形成されたシートロールをシート巻取り体から外す際には、回動自在の巻取りアームのクランプ部材を解除し、その巻取りアームをシート取り外し位置まで回動させると、複数本の巻取りアーム相互間の間隔が狭くなるので、巻取り物であるシートロールを極めて容易かつ迅速に取り外すことができる。
【0033】揺動アームを上下方向に揺動させると、揺動アームの案内棒が巻き取られる被覆シートを上下に揺らし、これに付着した水滴および土砂等が衝撃により落下し、さらに固着した土砂等は2本のローラを蛇行して通過する際の屈曲作用によって剥離落下するので、巻取り物を軽量化することができる。
【出願人】 【識別番号】000140465
【氏名又は名称】株式会社岡山農栄社
【出願日】 平成13年3月5日(2001.3.5)
【代理人】 【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和 (外1名)
【公開番号】 特開2002−253061(P2002−253061A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−59842(P2001−59842)