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【発明の名称】 植物栽培装置、植物栽培容器および植物栽培システム
【発明者】 【氏名】中村 泰明

【要約】 【課題】ビルの屋上等の建物床上に容易に設置可能であり、かつ、防水機能および防根機能を向上させて植物の生育を良好とする一方、根の建物床への侵入防止を確実にしてビルの屋上壁施工等に対する過度の複雑化を避け、建築コストの低減も図れるようにする。

【解決手段】薄箱状の容器ユニット2からなる植物栽培装置1であって、各容器ユニット2は、土床の支持範囲を画する周枠9と、この周枠9の下端から下方に向かって緩やかな角度で下降傾斜し、周枠9の下方全範囲を閉塞するとともに、その下端位置に水抜き孔13を有する底壁10と、この底壁10の上面に複数のリブ11を介して周枠9内で水平に配置され、土床を下方から支持する通水可能な土床支持板8と、底壁10の水抜き孔13に設けられた防根用の蓋体7と、底壁10の下面複数箇所から垂下し、建物床上等に固定載置される支持脚12とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビルの屋上、ベランダ等の建物床上等に植物栽培用の土床を一定範囲に亘って形成する際に適用され、前記土床をその下方から支持する複数の相互に連結された薄箱状の容器ユニットからなる植物栽培装置であって、前記各容器ユニットは、前記土床の支持範囲を画する周枠と、この周枠の下端から下方に向かって緩やかな角度で下降傾斜し、前記周枠の下方全範囲を閉塞するとともに、その下端位置に水抜き孔を有する底壁と、この底壁の上面に複数のリブを介して前記周枠内で水平に配置され、前記土床を下方から支持する通水可能な土床支持板と、前記底壁の前記水抜き孔に設けられた防根用の蓋体と、前記底壁の下面複数箇所から垂下し、前記建物床上等に固定載置される支持脚とを備えたことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】 周枠と、この周枠の下端から下方位置に向って緩やかな角度で下降傾斜し、前記周枠の下方全範囲を閉塞するとともに、その下端位置に水抜き孔を有する底壁と、この底壁の上面複数箇所から立ち上がる複数のリブと、前記底壁の下面複数箇所から垂下する固定載置用の支持脚とを、合成樹脂により一体形成したことを特徴とする植物栽培容器。
【請求項3】 請求項1記載の植物栽培装置において、容器ユニットは、請求項2記載の植物栽培容器の底壁上にリブを介して、土床支持用の支持板を載置したものであることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項4】 請求項1または3記載の植物栽培装置において、前記容器ユニットの底壁の水抜き孔に、排水管を接続したことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項5】 請求項4記載の容器ユニットを2個以上連結した植物栽培システムであって、各容器ユニットは連結具により個別的に着脱可能としたことを特徴とする植物栽培システム。
【請求項6】 請求項5記載の植物栽培システムにおいて、前記植物栽培装置の排水管を主排水管に接続したことを特徴とする植物栽培システム。
【請求項7】 請求項6記載の植物栽培システムにおいて、前記各植物栽培装置の排水管を継手により各容器ユニットごとに接続して統合管とし、この統合管を主排水管に接続したことを特徴とする植物栽培システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋上やベランダなどのスペースを緑化するための植物栽培装置、植物栽培容器および植物栽培システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、都心部における限られたスペースを有効活用した緑化対策が進められており、特に、屋上やベランダなどの緑化が注目されている。
【0003】屋上やベランダなどの緑化は、例えば、以下に示すような防水加工や防根加工などの作業により行われている。
【0004】すなわち、まず、ビルやベランダの床上に直接防根シートおよび防水シートを敷き、防根シートおよび防水シート上にモルタル加工を施す。モルタル加工を施した後、上下方向にランダムに突起し水の通過孔を備えた樹脂板を配置し、この樹脂板上にフェノール樹脂などの軽量土を敷き詰め、軽量土により植物を固定配置し、植物の栽培を行っている。
【0005】植物には、当然水分が必要とされるが、過剰な水分は、軽量土の間を通過した後さらに樹脂板を通過して、樹脂板下部に排出される。さらに、排水は、樹脂板の下部位置からビルなどの隅に形成される排水溝に排水される構成となっている。
【0006】植物に供給される水分が過剰になると根腐りを起し、植え込んだ植物が枯れる原因となる。このため、植物の生育を良好とするため、水はけを改善することが必須となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したように、建物の床上に防水加工および防根加工を施し、その上に土床を形成した場合であっても、年月を経るにつれて成長した根がコンクリートや防水シートなどに侵入するのを防止することが困難であった。その結果、防水加工および防根加工を再度施す必要があり、作業に手間を要求され、設置施工が煩雑であるといった問題を有していた。
【0008】詳述すると、コンクリートは自然に劣化部分が生じる。植物を長期間に亘り植え込むと、コンクリートの劣化部分に根が侵入し、時間経過とともに、根の成長により劣化部分に根が入り込み、コンクリートにひび割れが生じる。さらに、根の成長によりひび割れは一層拡大し、侵入した根はコンクリートを貫通し、コンクリートの下部に形成された防根シートおよび防水シートにまで及び、さらにはこれらのシートを貫通してしまう。その結果、防水シートに孔が形成され、防水機能としての効果が低下して、水漏れが生じるという問題を有していた。
【0009】一方、成長した根は排水溝さらに配水管にまで侵入する可能性があり、排水管に根が侵入すると、排水管での詰りの原因となり、これにより排水機能の低下がみられ、過剰な水分が排出されず、その結果、過剰な水分が貯留すると根腐りを生じてしまい、植物が枯れてしまうという問題を有していた。
【0010】また、一旦、水漏れが生じると、ビル屋上の床上に形成した土床、コンクリート、防水シートおよび防根シート等を全て除去する必要があり、これら全てを除去した後に、改めて防水加工および防根加工を施して、再度土床を形成して、植物を植え込まなければならず、水漏れが生じた際の作業が極めて煩雑であった。
【0011】本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ビルの屋上等の建物床上に容易に設置可能であり、かつ、防水機能および防根機能を向上させて植物の生育を良好とする一方、根の建物床への侵入防止を確実にしてビルの屋上壁施工等に対する過度の複雑化を避け、建築コストの低減も図れる植物栽培装置を提供することを目的とする。
【0012】また、本発明は、土床を支持する植物栽培装置の構造強度を高めて人が乗ってもその荷重に十分耐え、栽培作業等に支障を生じないばかりでなく、仮に部分的な破損等が生じた場合でも一部のユニット交換が容易に行なえて土床の修復等についての利便性も得られ、さらに装置適用場所に応じた適切な排水系統を選択してあらゆる設置場所に対応することができる植物栽培システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため、本発明者らは種々研究を重ねた結果、排水管への根の侵入を防止することにより排水管での根詰りを防いで防水機能を向上させ、その結果、植え込んだ植物の根腐りを防止し、植物の生育を良好に保持できることを見い出し、本発明を完成させたものである。
【0014】すなわち、本発明に係る植物栽培装置は、ビルの屋上、ベランダ等の建物床上等に植物栽培用の土床を一定範囲に亘って形成する際に適用され、前記土床をその下方から支持する複数の相互に連結された薄箱状の容器ユニットからなる植物栽培装置であって、前記各容器ユニットは、前記土床の支持範囲を画する周枠と、この周枠の下端から下方に向かって緩やかな角度で下降傾斜し、前記周枠の下方全範囲を閉塞するとともに、その下端位置に水抜き孔を有する底壁と、この底壁の上面に複数のリブを介して前記周枠内で水平に配置され、前記土床を下方から支持する通水可能な土床支持板と、前記底壁の前記水抜き孔に設けられた防根用の蓋体と、前記底壁の下面複数箇所から垂下し、前記建物床上等に固定載置される支持脚とを備えたことを特徴とする。
【0015】また、本発明に係る植物栽培容器は、周枠と、この周枠の下端から下方位置に向って緩やかな角度で下降傾斜し、前記周枠の下方全範囲を閉塞するとともに、その下端位置に水抜き孔を有する底壁と、この底壁の上面複数箇所から立ち上がる複数のリブと、前記底壁の下面複数箇所から垂下する固定載置用の支持脚とを、合成樹脂により一体形成したことを特徴とする。
【0016】そして、合成樹脂により一体形成された上記容器ユニットは、植物栽培容器の底壁上にリブを介して、土床支持用の支持板を載置したものであることを特徴とする。
【0017】上記態様の植物栽培装置において、容器ユニットの底壁の水抜き孔に、排水管を接続したことを特徴とする。
【0018】一方、本発明に係る植物栽培システムは、容器ユニットを2個以上連結したものであり、各容器ユニットは連結具により個別的に着脱可能としたことを特徴とする。
【0019】この植物栽培システムにおいて、植物栽培装置の排水管を主排水管に接続してもよく、また、各植物栽培装置の排水管を継手により各容器ユニットごとに接続して統合管とし、この統合管を主排水管に接続しても良い。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る植物栽培装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は建物床上、例えばビルの屋上に植物栽培装置を設置したものである。
【0021】図1は、植物栽培装置の全体構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示した植物栽培装置の部品構成を側断面として示す分解図、図3は図1の平面図である。
【0022】図1および図2に示すように、植物栽培装置1は、基本的に、土床を下方から支持する薄箱状の容器ユニット2と、排水管3とから構成される。
【0023】土床は、後述する盛土(図5参照)と、この盛土の下部に配置される袋入り軽量土とが適用され、本実施形態では袋状に形成した不織布4の中にフェノール樹脂などの軽量土5を収納している。この袋入り軽量土5は、その上に配置する盛土に供給する水、肥料等のろ過フィルターとしても機能する。
【0024】容器ユニット2は、合成樹脂により一体に形成された植物栽培容器6と、この植物栽培容器6内に配置される防根用の蓋体7と、防根用の蓋体7上に配置される土床支持板8とを備えて構成される。
【0025】植物栽培容器6は、平面視で四角形、例えば正方形状の周枠9と、この周枠9の下端に連設された底壁10と、この底壁10の上下面に突設されたリブ11および支持脚12とから構成され、これらが合成樹脂により一体形成されている。周枠9は、袋4入り軽量土5の上下厚さとほぼ一致する高さを有し、この周枠9の下部位置に底壁10が形成されている。底壁10は、周枠9の下端から下方に向って緩やかな角度で傾斜する四角錐形状に形成され、周枠9の内側下方全範囲を閉塞する形状となっている。さらに、底壁10の下端中央位置に水を抜くための水抜き孔13を有している。
【0026】リブ11は、図1に示したように、例えば升状のものであり、底壁10の上面中央位置に、周枠9の下端位置付近まで達する高さで立ち上がっている。このリブ11の上に水平な土床支持板8が支持されている。なお、このリブ11の下端部分には図示しないが、通水用の小孔等が形成してある。
【0027】土庄支持板8は、上述した袋入り軽量土5およびその上に配置される盛土等の植物栽培用土床によって作用する一定以上の荷重に耐え得る強度を有する金網板またはパンチングメタル板等から形成されており、周枠9の下端位置に水平に配置される。そして、この支持板8としての金網板等の端部が、周枠9の下端位置より僅かに下側位置で係止具14により固定されている。
【0028】一方、底壁10下面から垂下した支持脚12は、例えば升を下向とした形状のものであり、底壁10中心に対して二重構造をなし、これによりビル屋上等の床上に固定載置できようになっている。なお、この支持脚12の内側のもの12aは、上述したリブ11の立設位置と上下に一致しており、これにより土床の荷重はリブ11およびこの内側の支持脚12aにより担持されるようになっている。
【0029】防根用の蓋体7は、上面が閉じた円筒状の金網からなり、下端部が底壁10の水抜き孔13内に嵌合固定され、上端は周枠9のほぼ下端位置の高さに達し、底壁10の水抜き孔13の全面を覆うように配置されている。この円筒状の金網からなる蓋体7によって、通水可能となっている。そして、栽培植物の根が、もし下方に長く延びた場合であって、底壁10を伝わって水抜き孔13の位置まで達したとしても、この蓋体7によって水抜き孔13への根の進出を防止できる。
【0030】排水管3は、容器ユニット2の底壁10の水抜き孔13に螺合した管継手15を介して接続され、植物栽培容器6内に流下した水を外部に排水できるようになっている。
【0031】なお、図3に示すように、周枠9の下端位置の四隅から水抜き孔13に向かい底壁10に沿った溝16が形成され、これにより曲げあるいは圧縮に対する底壁10の補強が図られている。この底壁10に形成された溝16の断面構造の2例を図4(A),(B)に示す。
【0032】図4(A)は、下方位置を尖った三角形構造とした溝16aを示してあり、図4(B)は、上面が開口したU字型形構造とした溝16bを示してある。なお、溝16の形状は、図4(A),(B)以外の他の任意断面構造としても良い。
【0033】次に、植物栽培装置1の実際の使用状況を示す。図5は、その側断面図である。
【0034】図5に示すように、各容器ユニット2は、周枠9の上部位置に設置された薄箱の側部位置が連結具としてのボルト・ナット17の締結により接続され個別的に着脱可能となっている。また、締結部には、締結部上面から断面コ字型のシール板18が被着されており、容器ユニット2上に配置する土床19の下部への漏洩を防止している。なお、各容器ユニット2の接続方法はボルト・ナット17締結に限定されるのではなく、図示しないが、各ユニット2の周枠9に凹凸嵌合部等を形成して、はめ込み式として接続しても良い。なお、各容器ユニット2の大きさは、一辺が60cm、高さが10cm程度の大きさとした。
【0035】各容器ユニット2を複数個接続し、接続された袋入り軽量土5の上にさらに盛土からなる土床19を形成して植物を植え込み、植物栽培システムとしている。
【0036】各容器ユニット2を複数個接続して構成された植物栽培システムでは、排水を図6に示す構成とした。
【0037】図6は、植物栽培システムの排水構造を示す図である。図6(A)は、各植物栽培装置1の排水管3をそれぞれ主排水管20に接続したものであり、図6(B)は、各植物栽培装置1の排水管3を継手により各容器ユニットごとに接続して統合管21とし、この統合管21を主排水管20に接続したものである。
【0038】本実施形態によれば、植物栽培容器6内に金網などの土床支持板8を形成したため、根が土床支持板8に絡み付き下方への伸びを防止するとともに、水ぬき孔13の上部位置に水抜き孔13を覆う金網などの防根用の蓋体7が形成され、水抜き孔13内への根の侵入を防止できる。その結果、排水管3内での根の侵入による根詰まりを防止して排水機能を確保できるため、過剰な水の貯留により生じる根腐りを防ぎ、植物の生育を良好とすることができる。さらに、根の建物床への侵入防止を確実にしてビルの屋上壁施工等に対する過度の複雑化を避け、建築コスト低減を図ることができる。
【0039】また、本実施形態の植物栽培システムは、図5に示すように、各容器ユニット2をボルト・ナット17により締結して個別的に着脱可能としているため、植物栽培用の土床を形成する建物床面積に応じ、各容器ユニット2の接続個数を変えることにより、本実施形態の植物栽培システムを適用することができる。また、このように各容器ユニット2を個別的に着脱可能としたため、部分的な破損等が生じた場合でも、一部のユニット交換が容易に行なえて土床の修復等についての利便性をも得られる。
【0040】さらに、本実施形態では、植物栽培容器1内に金網などの土床支持板8を形成し、土床を支持する植物栽培装置の構造強度を高めているため、人が乗ってもその荷重に十分耐え、除草などの栽培作業が可能である。
【0041】また、図6に示すように、本実施形態によれば、装置適用場所に応じた適切な排水系統を選択してあらゆる設置場所に対応可能である。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の植物栽培装置によれば、ビルの屋上等の建物床上に容易に設置可能であり、かつ、人が乗ってもその荷重に十分耐えることから設置した状態で栽培作業等を行え、さらに、根の建物床への侵入防止を確実にし、建築コストの低減を図るとともに、長期に亘って植物の生育を良好に保つことができる。
【出願人】 【識別番号】591171127
【氏名又は名称】中村 泰明
【出願日】 平成13年2月28日(2001.2.28)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【公開番号】 特開2002−253052(P2002−253052A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−55827(P2001−55827)