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【発明の名称】 クリスマスローズの適時開花調節方法
【発明者】 【氏名】渡邉 偉

【要約】 【課題】クリスマスローズの開花時期をクリスマスの時期に合わせ、観賞できるようにすること。

【解決手段】上記課題を解決するために本発明のクリスマスローズの適時開花調節方法1は採取したクリスマスローズの種子に適度な湿り気を与えて地中に埋めておく発芽準備期21、種子を地中から取り出して播く播種期22及び生長に伴い植え替えを行う葉茎生長期23により構成される予備生長段階2と、ある程生長した苗を所定の期間冷暗処理する冷暗処理期31及び当該冷暗環境下から温暖な環境下に移動する冷暖切替期32により構成される開花時期調節段階3と、温暖な環境下で苗の生長を促し開花直前の最終の準備を行う開花準備期41により構成される開花準備段階4とを具える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 採取したクリスマスローズの種子を用い、翌年のクリスマスの時期に開花するようにクリスマスローズの開花時期を調節する方法において、当該クリスマスローズの開花時期の調節方法は採取したクリスマスローズの種子に適度な湿り気を与えて地中に埋めておく発芽準備期、養分を蓄え発芽の準備が整った種子を地中から取り出して播く播種期及び発芽し葉・茎・根の生長に伴い植え替えを行う葉茎生長期により構成される予備生長段階と、ある程度葉・茎・根が生長した苗を所定の期間冷暗処理し一時休眠させる冷暗処理期及び当該冷暗環境下から温暖な環境下に移動する冷暖切替期により構成される開花時期調節段階と、温暖な環境下で苗の生長を促し開花直前の最終の準備を行う開花準備期により構成される開花準備段階とを具えることを特徴とするクリスマスローズの適時開花調節方法。
【請求項2】 前記冷暗処理期において行う冷暗処理は13℃〜17℃の温度で5日〜10日、8℃〜12℃の温度で5日〜10日、3℃〜7℃の温度で25日〜40日というように段階的に温度を引き下げていくことによって行うことを特徴とする請求項1記載のクリスマスローズの適時開花調節方法。
【請求項3】 前記冷暗処理期における冷暗処理を開始する時期は種子を採取した年の翌年の8月上旬であることを特徴とする請求項1または2記載のクリスマスローズの適時開花調節方法。
【請求項4】 前記開花時期調節段階における冷暖切替期は種子を採取した年の翌年の9月下旬〜10月上旬であり、苗の移動に際しては一挙に行うことを特徴とする請求項1、2または3記載のクリスマスローズの適時開花調節方法。
【請求項5】 前記予備生長段階における播種期は種子を採取した年の9月中旬であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のクリスマスローズの適時開花調節方法。
【請求項6】 前記開花準備段階を経て市場に出荷し得る時期は種子を採取した年の翌年の11月〜12月であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のクリスマスローズの適時開花調節方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は採取したクリスマスローズの種子を用い、翌年のクリスマスの時期に開花するようにクリスマスローズの開花時期を調節するクリスマスローズの開花時期の調節手法に関するものであって、特にある程度生育した苗に対して長期間の冷暗処理を行うようにしたクリスマスローズの適時開花調節方法に係るものである。なお、本明細書において使用するクリスマスの時期とは12月25日のクリスマスの日のみではなく、その前後の数日を含めた期間を意味する。
【0002】
【発明の背景】クリスマスローズは学名をヘレボラスと言い、キンポウゲ科に属する常緑の宿根草である。原産地はギリシャ、イタリアといった地中海沿岸地方から東ヨーロッパにかけての地域、原種の自生地はバルカン半島、トルコ周辺で北緯40°〜50°といった比較的寒冷な地域に集中している。原種の一つであるノイガーという品種はイギリスではクリスマスの時期に開花し、楽しめることからクリスマスローズの名の由来となっている。
【0003】クリスマスローズには数種の原種を交雑して作られたオリエンタリスという品種があり、クリスマスローズの中では最も丈夫であり、花の色も豊富なことから日本ではクリスマスローズといったらオリエンタリスを連想するくらいに親しまれている。しかし、オリエンタリスはノイガーに比べて開花時期が遅く、露地ものでは普通1月〜2月であり、花の観賞時期はクリスマスローズという名にはそぐわないものとなっている。
【0004】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、オリエンタリスのように通常の開花時期が遅い品種であってもクリスマスローズという名のとおり、クリスマスの時期に合わせて開花させ、観賞できるようにクリスマスローズの開花時期を適時に調節し得るクリスマスローズの適時開花調節方法を開発することを技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】まず請求項1記載のクリスマスローズの適時開花調節方法は、採取したクリスマスローズの種子を用い、翌年のクリスマスの時期に開花するようにクリスマスローズの開花時期を調節する方法において、当該クリスマスローズの開花時期の調節方法は採取したクリスマスローズの種子に適度な湿り気を与えて地中に埋めておく発芽準備期、養分を蓄え発芽の準備が整った種子を地中から取り出して播く播種期及び発芽し葉・茎・根の生長に伴い植え替えを行う葉茎生長期により構成される予備生長段階と、ある程度葉・茎・根が生長した苗を所定の期間冷暗処理し一時休眠させる冷暗処理期及び当該冷暗環境下から温暖な環境下に移動する冷暖切替期により構成される開花時期調節段階と、温暖な環境下で苗の生長を促し開花直前の最終の準備を行う開花準備期により構成される開花準備段階とを具えることを特徴として成るものである。この発明によれば予備生長段階においては発芽に必要な充分な養分を種子に蓄え、葉・茎・根の生長を促すことが可能となる。開花時期調節段階においては開花時期がクリスマスの時期となるよう、クリスマスローズの開花時期を調節することが可能となる。開花準備段階においては商品としての品質を更に高め、消費者に満足してもらえるクリスマスローズの提供が可能となる。
【0006】また請求項2記載のクリスマスローズの適時開花調節方法は、前記請求項1記載の要件に加え、前記冷暗処理期において行う冷暗処理は13℃〜17℃の温度で5日〜10日、8℃〜12℃の温度で5日〜10日、3℃〜7℃の温度で25日〜40日というように段階的に温度を引き下げていくことによって行うことを特徴として成るものである。この発明によればクリスマスローズの開花時期をクリスマスの時期に正確に合わせることが可能となる。
【0007】更に請求項3記載のクリスマスローズの適時開花調節方法は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記冷暗処理期における冷暗処理を開始する時期は種子を採取した年の翌年の8月上旬であることを特徴として成るものである。この発明によれば冷暗処理を行うのに充分な葉・茎・根の生長を得ることができ、前記冷暗処理による開花時期の調節作用が効果的に実現される。
【0008】更にまた請求項4記載のクリスマスローズの適時開花調節方法は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記開花時期調節段階における冷暖切替期は種子を採取した年の翌年の9月下旬〜10月上旬であり、苗の移動に際しては一挙に行うことを特徴として成るものである。この発明によれば冷暗処理による効果が充分に得られ、葉・茎・花の形、色相、色つや等のバランスのとれたクリスマスローズを得ることが可能となる。
【0009】更にまた請求項5記載のクリスマスローズの適時開花調節方法は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記予備生長段階における播種期は種子を採取した年の9月中旬であることを特徴として成るものである。この発明によれば発芽に必要な充分な養分を種子に蓄えることが可能となる。
【0010】更にまた請求項6記載のクリスマスローズの適時開花調節方法は、前記請求項1、2、3、4または5記載の要件に加え、前記開花準備段階を経て市場に出荷し得る時期は種子を採取した年の翌年の11月〜12月であることを特徴として成るものである。この発明によれば消費者がクリスマスの時期に先立ってクリスマスローズを購入することが可能となり、まさにクリスマスの時期にクリスマスローズの開花を向かえ、観賞するこが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のクリスマスローズの適時開花調節方法について以下述べる実施の形態を例にとって具体的に説明する。本発明のクリスマスローズの適時開花調節方法1は図1に示すように発芽準備期21、播種期22及び葉茎生長期23により構成される予備生長段階2と、冷暗処理期31及び冷暖切替期32により構成される開花時期調節段階3と、開花準備期41により構成される開花準備段階4という三つの大きなプロセスを具えることによって構成される。
【0012】(i)予備生長段階(a)発芽準備期発芽準備期21は採取したクリスマスローズの種子に適度な湿り気を与えて、地中に埋めておく工程である。クリスマスローズの種子は5月〜6月にかけて結実するため、その時期に採取しておく。採取した種子をそのままにしておき、乾燥させてしまうと発芽しないため、採取した種子は適度な湿り気を与えた状態とし、地中に埋め、発芽に必要な養分を蓄えた状態としておく。なお、採取した種子を地中に埋めておく期間は3カ月半〜4カ月半程度である。
【0013】(b)播種期播種期22は養分を蓄え、発芽の準備が整った種子を地中から取り出して播く工程である。本実施の形態では比較的小さ目のポットを用意し、ポットの中に無菌処理を施したバーミキュライトを入れ、その中に地中から取り出した種子を播いた。なお、種子を播く時期は種子を採取した年の9月中旬とした。
【0014】(c)葉茎生長期葉茎生長期23は発芽し、葉・茎・根の生長に伴い植え替えを行う工程である。クリスマスローズの種子の発芽は種子を採取した年の12月中旬頃となり、その後種子に蓄えられた養分により本葉が出てくる。ポットに充分根が回るようになったら、大き目のポットに植え替えてやり、根づまりを防止する。根づまりを起こすと水分、肥料の吸収が悪くなり、苗の育成に影響を来たすからである。
【0015】(ii)開花時期調節段階(a)冷暗処理期冷暗処理期31はある程度葉・茎・根が生長した苗を所定の期間、冷暗処理し、一時休眠させる工程である。種子を採取した年の翌年の8月上旬頃になったところで苗を冷暗室に入れ冷暗処理を行う。冷暗処理は13℃〜17℃(好ましくは15℃)で5日〜10日(好ましくは1週間)、8℃〜12℃(好ましくは10℃)で5日〜10日(好ましくは1週間)、3℃〜7℃(好ましくは5℃)で25日〜40日(好ましくは1カ月)程度、段階的に温度を引き下げていくことにより行う。なお、肥料は冷暗処理の段階では少な目とし、冷暗室から出してから多少多目に与えるようにする。また水分は苗を冷暗室に入れるときにやり、その後は1ヶ月後に与える程度でよい。
【0016】(b)冷暖切替期冷暖切替期32は上記冷暗処理による冷暗環境下から温暖な環境下に移動する工程である。種子を採取した年の翌年の9月下旬〜10月上旬になったら冷暗室から冷暗処理した苗を取り出し、20℃前後の温度に保温した温室に移し替える。なお、苗の移動は一挙に行うようにし、段階的に温度を引き上げていくようなことはしない。因みに温度を段階的に引き上げていくと茎だけが異常に伸びてしまい、花・茎・葉のバランスを損ねる結果となる。
【0017】(iii)開花準備段階(a)開花準備期開花準備期41は温暖な環境下で苗の生長を促し、開花直前の最終準備を行う工程である。苗を温室に移したことで葉・茎・がく・花芽の生長が急速に高まり、出荷に向けての最終調整が行われる。なお、市場に出荷される時期は種子を採取した年の翌年の11月〜12月頃であり、これにより消費者はまさにクリスマスの時期に、その名のとおりクリスマスローズの開花、観賞を楽しむことが可能となる。
【0018】以上が本発明を具現化した実施の形態の一例を示すものであるが、更に本発明では次のような構成の追加、改変等も可能である。例えばクリスマスの時期より更に早く開花させたい場合にはクリスマスローズの自生地の環境に近い高冷地等で栽培、あるいは一時保存したり、日照時間等を調節したりすることも可能である。また本発明は我が国の温暖多湿な気候条件を基に例えば冷暗処理における温度設定や期間を定めたものであるが、気候条件の異なる他の地域、場所においてクリスマスローズを栽培する場合には上記基本的設定に適宜修正を加えることももちろん可能である。更に本発明はクリスマスローズを対象とするものであるが、同様の性質を有する植物、例えば同じキンポウゲ科のフクジュソウやユキワリソウ等に適用することも可能である。
【0019】
【発明の効果】本発明のクリスマスローズの適時開花調節方法1は以上述べたようなプロセスを有することにより成るものであって、かかるプロセスを有することによって以下のような効果が発揮される。まず、苗ものの植物を冷暗室に1ヶ月余の長期にわたり保存するという、この種の植物においては従来採用されていなかった冷暗処理をクリスマスローズの種子に適用するという画期的な試みを実行することによって、クリスマスローズの開花時期を早め、まさにクリスマスの時期に、その名のとおり開花させることが可能となる。
【0020】また段階的に温度を下げていくという冷暗処理を採用することによって寒さによって枯れてしまう心配のあるクリスマスローズの長期冷暗処理が可能となる。更に冷暗処理後の苗を一挙に温室に移動することにより、葉・茎・花の形、色相、色つや等のバランスの良い高品質なクリスマスローズの提供が可能となる。
【出願人】 【識別番号】501025207
【氏名又は名称】株式会社クレマコーポレーション
【出願日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2002−253051(P2002−253051A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−61233(P2001−61233)