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【発明の名称】 種菌接種装置
【発明者】 【氏名】長部 雅二

【要約】 【課題】栽培容器への種菌の供給を簡潔に時間管理でき、また、種菌の接種量がばらつくことなく各栽培容器内に供給することのできる種菌接種装置を提供する。

【解決手段】縦横に複数整列して搬送される栽培容器2内に液状種菌Sを少なくとも栽培容器2一列単位毎に接種する液状種菌接種装置Aであって、栽培容器2それぞれに対応した噴射ノズル27を有し、栽培容器2内に液状種菌Sを供給する液状種菌噴射手段23と、液状種菌噴射手段23による液状種菌Sの供給を時間管理する単一の供給量調整手段33と、を備えてなる
【特許請求の範囲】
【請求項1】縦横に複数整列して搬送される栽培容器内に液体状の種菌を少なくとも前記栽培容器一列単位毎に接種する種菌接種装置であって、前記栽培容器それぞれに対応したノズルを有し、前記栽培容器内に前記種菌を供給する供給手段と、前記供給手段による前記種菌の供給を時間管理する単一の供給量調整手段と、を備えてなることを特徴とする種菌接種装置。
【請求項2】前記供給量調整手段は、前記種菌の供給時間を設定変更可能に設けてなることを特徴とする請求項1に記載の種菌接種装置。
【請求項3】前記ノズルそれぞれに前記切換手段を有し、前記供給時間を前記供給手段単位で補正する補正手段を設けてなることを特徴とする請求項2に記載の種菌接種装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きのこ栽培容器内に充填した培養基にきのこの種菌を接種する種菌接種装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大鋸屑や米ぬかなどを主成分に栄養源を配合した培養基を用いてきのこ類を人工栽培する方法としては、培養基を栽培容器に充填して殺菌処理し、その充填した栽培容器の中にエノキダケ,マイタケなどのきのこ類の液状種菌を接種した後に、栽培容器の口部に蓋体を被せて閉塞し、予め決められた温度,湿度条件下で菌を培養して工業的に栽培する方法などが行われている。
【0003】この場合、種菌を接種する際、その接種作業の作業効率を高めるために、栽培容器を搬送コンベアに載せながら液体状の種菌を接種することができる接種装置が、例えば特開2000−175559号公報で提案されている。
【0004】また、上述の接種装置以外のものとしては、栽培容器を複数列に整列して搬送したり、栽培容器が複数本詰め込まれたコンテナごと搬送し、複数用意されたノズルにて、例えば一列毎の複数の栽培容器に対して、一度にまとめて接種を行うものが考えられており、例えば、本願出願人は特願2000−323298号に示すように、作業効率をさらに高めるような改善を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の接種装置が多種の種菌を接種させる場合、品種毎に必要な種菌量が異なることがあり、この場合、ノズルによって種菌を噴射供給する噴射時間(供給時間)を変更する必要がある。また、同一品種の接種においても種菌の粘性に応じて必要な種菌量を噴射するための噴射時間が異なってしまい、噴射状態に応じた噴射時間の設定変更が必要であった。
【0006】しかしながら、複数のノズルにて噴射する場合、それぞれのノズル毎における噴射時間を確認し、外部タイマ等を用いて各々設定する必要があり、作業者にとってこの作業は煩わしいものとなっていた。
【0007】そこで本発明は、上述の問題点を解決するものであって、その目的とするところは、栽培容器への種菌の供給を簡潔に時間管理でき、また、種菌の接種量がばらつくことなく各栽培容器内に供給することのできる種菌接種装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の種菌接種装置は、請求項1に記載したように、縦横に複数整列して搬送される栽培容器内に液体状の種菌を少なくとも前記栽培容器一列単位毎に接種する種菌接種装置であって、前記栽培容器それぞれに対応したノズルを有し、前記栽培容器内に前記種菌を供給する供給手段と、前記供給手段による前記種菌の供給を時間管理する単一の供給量調整手段と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0009】また、請求項2に記載したように、請求項1に記載した種菌接種装置において、前記供給量調整手段は、前記種菌の供給時間を設定変更可能に設けてなることを特徴とするものである。
【0010】また、請求項3に記載したように、請求項1に記載した種菌接種装置において、前記ノズルそれぞれに前記切換手段を有し、前記供給時間を前記供給手段単位で補正する補正手段を設けてなることを特徴とするものである。
【0011】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき説明する。図1から図3を用いて本発明の実施の形態における液状種菌接種装置の機械的構成について説明する。液状種菌接種装置Aは、液状種菌接種装置A本体の機枠1の略全長に渡って設けられ、大鋸屑や米ぬかなどの培養基が充填された栽培容器2を縦横に複数整列して収納したプラスチック製のコンテナ3を搬送可能とする搬送手段Bと、コンテナ3を搬送手段B上において間欠的に移送するためのストッパ機構Cと、栽培容器2に設けられる蓋体4を開閉するための第1,第2の蓋体開閉機構D,Eと、各蓋体開閉機構D,Eによって蓋体4が開かれた状態の栽培容器2に液状種菌Sを噴射する第1,第2の液状種菌供給機構(種菌接種装置)F,Gとから主に構成されている。
【0012】搬送手段Bは、機枠1の略全長に渡って、コンベヤからなる搬送機構5が設けられ、この搬送機構5は機枠1の両端側にそれぞれ複数個のスプロケットホイール6が軸支され、機枠1の両端に設けられたスプロケットホイール6間にエンドレスのチェーン7が平行に掛け渡されており、駆動源側となるスプロケットホイール6には、例えばインダクションモータからなる駆動手段8による回転力が伝達されるようになっている。
【0013】また、搬送手段Bは、蓋体4で密封された栽培容器2を、例えば搬送方向と平行である縦列に4個、搬送方向と垂直である横列に4個を収納したコンテナ3を搬入側(供給側)の搬送機構5のチェーン7上に載せ、駆動用モータである駆動手段8を駆動させることによってチェーン7を走行させ、コンテナ3を搬送機構5の排出側に向けて搬送できるようになっている。
【0014】また、搬送手段Bには、栽培容器2が適正な種菌接種領域に到達した際に搬送機構5を介して送られてくるコンテナ3を間欠的に搬送する手段として後で詳述するストッパ機構Cが設けられる。
【0015】ストッパ機構Cは、第1,第2のストッパピン9,10が備えられ、この各ストッパピン9,10の間隔は、コンテナ3内に収納されている栽培容器2の縦列に整列された栽培容器2間隔に合わせて搬送方向に対して2列に配設され、この各ストッパピン9,10は、例えばエアーシリンダ11を介して上下動可能に設けられるとともに、各ストッパピン9,10がそれぞれ独立して搬送機構5の搬送面より上方に向かってバネ部材9a,10aによって常時弾発付勢されて設けられている。なお、各ストッパピン9,10の間隔は、コンテナ3に収納された栽培容器2の縦列に整列された栽培容器2の間隔に合わせて設けられている。
【0016】第1,第2の蓋体開閉機構D,Eは、本願出願人が先に提案した特開平5−103542号公報等に示される構造が用いられる。第1,第2の蓋体開閉機構D,Eは、図2に示すように、横一列に配列された栽培容器2の蓋体4に対応し、この各蓋体4をその上面および下面から対をなす固定挟着部材12と可動挟着部材13とを備え、この可動狭着部材13には、この可動挟着部材13を進退させ、可動挟着部材13と固定挟着部材12間に横一列単位(搬送方向に対し垂直方向となる列単位)の栽培容器2群の各蓋体4を挟着およびその解除を行う挟着部材開閉手段であるエアシリンダ14がそれぞれ設けられている。また、この各エアシリンダ14は、機枠1の幅方向に沿って設けられたシリンダ保持板15上に取り付け固定される。このシリンダ保持板15の端部には、逆T字状のリンクアーム部材からなる伝達移動手段16が取り付け固定され、シリンダ保持板15上に取り付けられた固定挟着部材12と、可動挟着部材13及びシリンダ14とは、伝達移動手段16を介して栽培容器2の蓋閉塞位置と蓋開放位置との間を移動可能なように構成されている。伝達移動手段16は、機枠1に設けられた支軸16aを介して回動可能に設けられている。
【0017】また、伝達移動手段16には、搬送機構Bの下方側に配設される駆動シリンダ17のロッド17aの先端部が伝達移動手段16の端部に枢着されて連結固定されるとともに、この伝達移動機構16の端部側と、案内ロッド18に沿って水平方向に往復移動可能に配設されたシリンダ支持板19に取り付け固定された駒部19a側とが連結ロッド20を介して連結固定されている。
【0018】従って、第1,第2の蓋体開閉機構D,Eは、駆動シリンダ17の収縮動作によって、移動伝達手段16が主軸16aを基点として半時計方向及び時計方向に回動動作することで固定狭着部材12及び可動狭着部材13によって狭持された蓋体4を栽培容器2から脱着可能にし、また伝達移動手段16と連結ロッド20を介して連結されるシリンダ支持板19が案内ロッド18に沿って水平方向に往復移動することになる。
【0019】なお、第1の蓋体開閉機構Dの固定挟着部材12と可動挟着部材13とからなる蓋体狭着機構の配設位置は、コンテナ3内における最前列の横一列単位に整列された栽培容器2群に位置し、また、第2の蓋体開閉機構Eの固定挟着部材12と可動挟着部材13とからなる蓋体狭着機構の配設位置は、コンテナ3内における3列目の横一列単位に整列された栽培容器2群に位置することになる。
【0020】また、コンテナ3内の横一列単位の栽培容器2群の各蓋体4を脱着する際に、栽培容器2の浮き上がり防止するため、コンテナ3内の栽培容器2を位置規整しつつ栽培容器2を位置決め保持可能とする容器位置決め機構21が機枠1に設けられている。
【0021】第1,第2の液状種菌供給機構F,Gは、シリンダ支持板19に取り付け固定され、栽培容器2の蓋閉塞位置と蓋開放位置との間を案内ロッド18に沿って往復移動する第1,第2の蓋体開閉機構D,Eの移動動作に同期するように構成されている。
【0022】第1,第2の液状種菌供給機構F,Gは、シリンダ支持板19に取り付けられる下降シリンダ22と、下降シリンダ22のロッド端部に取り付けられるフレーム(図示しない)に取り付け固定される液状種菌噴射手段(供給手段)23と、液状種菌噴射手段23へ液状種菌Sを供給するための供給機構24とから構成されている。
【0023】下降シリンダ22は、第1,第2の蓋体開閉機構D,Eの横一列単位で設けられる固定挟着部材12と可動挟着部材13とからなる蓋体狭着機構に対応して設けられ、下降シリンダ22の動作点にて液状種菌噴射手段23の後述する噴射ノズルにおける液状種菌Sの突出口が栽培容器2の口部位置に到達するように設けられる。
【0024】液状種菌噴射手段23は、栽培容器2の液状種菌Sを噴射するための噴射ノズル(ノズル)25を備えるとともに、液体種菌噴射シリンダボディ26の内部に設けられた液状種菌Sの供給,遮断を行う図示しない噴射開閉弁の開閉動作によって、噴射ノズル25の先端部分から液状種菌Sを噴射させるものである。なお、前記噴射開閉弁における開閉動作は噴射用電磁弁27のオン/オフ制御によって行われる。
【0025】供給機構24は、種菌容器28から液状種菌Sをパイプ29を介して噴射ノズル25側へと供給するために、種菌容器28内にコンプレッサなどからなる第1の加圧気体供給機構30によって雑菌フィルタ31を介してエアー圧を加えるように構成する。また供給機構24は、液体種菌噴射シリンダボディ26内の前記噴射開閉弁を作動させるために、エアーを供給するコンプレッサなどからなる第2の加圧気体供給機構32がパイプ29a及び雑菌フィルタ31を介して前記噴射開閉弁に接続されている。従って供給機構24は、加圧気体であるエアーの供給,遮断を行う噴射用電磁弁27が電気的にオン/オフされることで、横一列単位に整列された各栽培容器2への液状種菌Sの供給が可能となる。
【0026】以上の各部によって液状種菌接種装置Aが構成されている。
【0027】次に、図4を用いて本発明の主要部となる液状種菌供給機構F,Gの電気的構成について説明する。図4において、供給量調整手段33と、噴射用電磁弁27と、制御手段34と、補正手段35と、を備えている。
【0028】供給量調整手段33は、噴射ノズル25から噴射される液状種菌Sの供給時間を液状種菌Sの接種適正量に応じて任意に設定できるものである。この場合、供給量調整手段33は、モニタとスイッチとを備えた専用の外部タイマ(図示しない)からなり、作業者が前記モニタの表示にて確認しながらスイッチ操作を行い、品種や粘性,エアー圧などに応じてなる液状種菌の供給時間を設定入力できるもので、例えば、「供給時間2.20秒」のように設定できる。
【0029】噴射用電磁弁27は、コンテナ3内に横列に配設される各栽培容器2に対応して配設される各噴射ノズル25毎に設けられるものであり、本発明の実施の形態では、噴射用電磁弁27は、8個の噴射ノズル25に対して1個ずつ計8個設けられるものである。なお、噴射用電磁弁27は、後で詳述する制御手段34の制御信号に基づいて、オン/オフ制御なされる。
【0030】制御手段34は、シーケンサーやマイクロコンピュータなどからなるもので、所定のプログラムを記憶するROM,演算処理や前記プログラムを実行するためのCPU及び演算処理されたデータ等を一時的に記憶するRAM等を備えるもので、供給量調整手段33によって設定された液状種菌Sの供給時間に基づいて、制御信号を出力して噴射用電磁弁27を制御することで、第1,第2の液状種菌供給機構F,Gを動作させるものである。
【0031】また、制御手段34は、内部タイマを有しており、内部タイマは、パイプ29や噴射ノズル25の特性に応じた接種量のばらつきを補正し、すべての噴射ノズル25から供給される液状種菌Sの接種量が均等になるように、各噴射用電磁弁27に対して供給時間を調整することができ、例えば、供給量調整手段33で設定された供給時間に「0.05秒延長」のように補正設定することができる。なお、この場合、制御手段34に接続されるタッチパネルやデジタルスイッチ等からなる補正手段35によって接種量を決定する補正時間を設定することができる。これにより、パイプ29や噴射ノズル25の特性に応じた接種量のばらつきを補正することができるため、各栽培容器2内に均等な量の液状種菌Sを供給することができる。
【0032】上述の構成によれば、縦横に複数整列して搬送される栽培容器2内に液状種菌Sを少なくとも栽培容器2一列単位毎に接種する液状種菌接種装置Aであって、栽培容器2それぞれに対応した噴射ノズル27を有し、栽培容器2内に液状種菌Sを供給する液状種菌噴射手段23と、液状種菌噴射手段23による液状種菌Sの供給を時間管理する単一の供給量調整手段33と、を備えてなることによって、接種量に応じた各噴射ノズル25から各栽培容器2への供給時間を一括して管理することができる。
【0033】また、供給量調整手段33は、液状種菌Sの供給時間を設定変更可能に設けてなることによって、接種量に応じた各噴射ノズル25から各栽培容器2への供給時間の設定変更が一括して行える。従って、作業者にとって設定作業が簡潔な供給量調整手段33となる。
【0034】なお、本発明の実施の形態では、一列単位毎に八つの噴射ノズル25を用いて同時に接種を開始するものを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、整列された栽培容器に対して少なくとも一列単位に接種するものであればよく、例えば、二本ずつ整列して搬送される栽培容器に対して液状の種菌を接種する種菌接種装置においても本発明を適用できる。
【0035】また、本発明の実施の形態における供給量調整手段33は設定操作可能な外部タイマからなるものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、タッチパネルやデジタルスイッチ等からなる操作手段および内部タイマにて構成されるものであってもよい。
【0036】
【発明の効果】本発明は、縦横に複数整列して搬送される栽培容器内に液体状の種菌を少なくとも前記栽培容器一列単位毎に接種する種菌接種装置であって、前記栽培容器それぞれに対応したノズルを有し、前記栽培容器内に前記種菌を供給する供給手段と、前記供給手段による前記種菌の供給を時間管理する単一の供給量調整手段と、を備えてなることによって、前記栽培容器への前記種菌の供給を簡潔に時間管理できる種菌接種装置を提供することができる。
【0037】また、前記供給量調整手段は、前記種菌の供給時間を設定変更可能に設けてなることによって、前記栽培容器への前記種菌の供給時間を簡潔に設定変更できる種菌接種装置を提供することができる。
【0038】また、前記ノズルそれぞれに前記切換手段を有し、前記供給時間を前記供給手段単位で補正する補正手段を設けてなることによって、前記種菌の接種量がばらつくことなく各栽培容器内に供給することのできる種菌接種装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
【出願日】 平成13年2月28日(2001.2.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−253048(P2002−253048A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−53434(P2001−53434)