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【発明の名称】 緑化基盤材及びのり面などの緑化工法
【発明者】 【氏名】牧野 暖

【要約】 【課題】未分解の木質資材や植物資材を緑化基盤材として使用する場合の窒素飢餓、酸素不足、育成阻害物質、育成阻害菌などの問題を解決し、現地発生資材を有効利用して自然生態系と諸資源の保全に貢献しうるリサイクル緑化工法を実現可能とする。

【解決手段】粘土鉱物にパイナップル酵素及びアンモニアを配合した植物生育剤を水に混合、分散させ、これを現地発生資材を破砕した木質破砕材や植物破砕材、高度化成肥料、植物種子、高分子バインダーと混合した緑化基盤材を、のり面などの緑化用地の地表面に吹き付けることで緑化用地に植物を導入し、その生育助長、生育環境の改善などにより植物群落を創造、回復、保全することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木質破砕材及び/又は植物破砕材からなる基材に、パイナップル酵素、粘土鉱物、高度化成肥料及び植物種子を配合してなる緑化基盤材。
【請求項2】 粘土鉱物にパイナップル酵素を配合した植物生育剤と、木質破砕材及び/又は植物破砕材からなる基材、高度化成肥料及び植物種子を配合してなる緑化基盤材。
【請求項3】 更に高分子バインダーを配合してなる請求項1又は2に記載の緑化基盤材。
【請求項4】 更にアンモニアを配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の緑化基盤材。
【請求項5】 基材が、現地発生資材を破砕した木質破砕材又は植物破砕材である請求項1〜4のいずれかに記載の緑化基盤材。
【請求項6】 粘土鉱物が、ベントナイトである請求項1〜5のいずれかに記載の緑化基盤材。
【請求項7】 粘土鉱物が、ベントナイトを主原料とし、化石地層の粘土鉱物を配合してなるものである請求項6に記載の緑化基盤材。
【請求項8】 粘土鉱物にパイナップル酵素を配合してなる植物生育剤。
【請求項9】 更にアンモニアを配合してなる請求項8に記載の植物生育剤。
【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載の緑化基盤材を用い、パイナップル酵素及び粘土鉱物又は粘土鉱物にパイナップル酵素を配合した植物生育剤を水に混合、分散し、これと木質破砕材及び/又は植物破砕材からなる基材、高度化成肥料、植物種子及びその他の成分を混合してのり面などの緑化用地の地表面に吹き付けることからなるのり面などの緑化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路などののり面、造園用地、その他の緑化用地に吹き付け工法により植物導入を行う緑化工事に際して使用される緑化基盤材及びこれを用いてなるのり面などの緑化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】のり面などの緑化工事は、緑化用地に植物を導入し、その生育助長、生育環境の改善などにより植物群落を保全し、群落を創造あるいは回復するものである。この緑化工事では、緑化基礎工に続いて、例えばハイドロシーターなどによる植物種子の散布、コンプレッサーなどによる生育基盤の改善、造成をかねた緑化基盤材の吹き付け、更には木本、草本の植栽などが行われる。
【0003】上記のような緑化工事の工法として、植生誘導工と呼ばれる工法がある。この植生誘導工は、開発予定地などから採取した既成の植物生育基盤の表土などを用いて緑化用地に生育基盤を造成し、基盤中に含まれる埋土種子の発芽や周辺に植生する植物の自然侵入を期待して緑化を行うことで、自然生態系の破壊を最小限にくい止めるために、一定面積の植生をそのまま緑化用地へ移植する方法であり、緑化用地の郷土植物の回復を考慮した工法である。しかし、この植生誘導工では、既成の植物生育基盤の表土ごとすくい取り、これをそのまま緑化用地へ移動させて生育基盤を造成、定着させるものであることから、表土採取に専用の採土機やユンボ又はバックホーなどの専用の大型機械が必要となる。このため、機動性に欠け、かつ道路ののり面などの傾斜地での施工や狭い場所での施工が困難であるうえに、経費が高くつくという問題がある。また、手作業で表土採取を行う場合には、傾斜地や狭い範囲での緑化工事も可能ではあるが、作業能率が悪く工期が長期化するうえに、やはり人件費などの経費が高くつくという問題がある。このように、植生誘導工の場合には、機動性、労力及び経費の面で問題が多く、また既成の植物生育基盤の表土を移植する関係から、広い面積に対する緑化工事は極めて困難であった。
【0004】そこで、上記のような植生誘導工に代わる緑化工法として、植生基材吹付工(あるいは厚層基材吹付工)と呼ばれる工法が実施されている。この植生基材吹付工は、樹皮などの植物資材を堆肥化したバーク堆肥などに高度化成肥料、高分子バインダー及び植物種子、更には必要に応じてセメントなどを配合した植生基材を、モルタル吹き付け機などを用いてのり面などの緑化用地の地表面に吹き付けることで、植物生育基盤を造成、定着させる方法である。この植生基材吹付工の場合には、既成の植物生育基盤の表土を移植する植生誘導工のような大型専用機械などは必要とせず、吹き付け機から伸びるホースの先端に取り付けたノズルから地表面へ前記植生基材を吹き付けるものであることから、ホースを伸ばしてゆくだけで、道路ののり面などの傾斜地や狭い場所での施工も容易である。また広い範囲の緑化工事も可能であり、しかも既存の生育基盤を移植する植生誘導工に較べて作業の能率もよいことから工期も短くて済み、経費も比較的安くつくといった利点があり、現在でも広く実施されている。しかし、この植生基材吹付工の場合には、使用するバーク堆肥を製造するには、樹皮などの植物資材を堆肥化するための場所まで運搬し、これを破砕したうえで、半年以上の長い時間をかけて熟成させて堆肥化する必要があることから、運送費が高くつくばかりでなく、堆肥化するための広い敷地の確保も必要であるうえに、伐採から熟成、堆肥化するまでの期間が長く、製造効率が悪く、しかも熟成、堆肥化に際して悪臭が発生するという問題を抱えている。更に、堆肥化したバーク堆肥を緑化工事に使用するためには、施工現場までの運送費に加え、運送するための袋詰め、施工に際しての袋の開封作業などが必要となり、そのための労力や人件費、更には袋代などの経費がかかるという問題がある。また、この植生基材吹付工の場合には、植生基材を地表面に定着させるために基材中に高分子バインダーを多量に配合していることから、撥水性が大きく保水性に欠けるきらいがあり、植物の生育に必要な水分が不足するといった問題もある。
【0005】通常、開発現場などの土木工事によって発生した木質資材や植物資材の多くは、一般の廃棄物と同様に焼却処分又は埋め立て処分されている。例えば、ダムなどの建設現場やのり面工事の現場では、自然植生の樹木などの伐採が大規模に実施されているが、伐採された樹木などは廃棄物として焼却処分されるのが一般的である。また山間部の廃屋の木材なども廃棄物として焼却処分されている。そこで、このような開発現場やのり面工事などの現場で伐採された樹木や廃木、その他の木質資材をチップ状に破砕して、植物の生育のための緑化基盤材として使用することが検討されている。このように、従来、廃棄物とされていた開発現場などで発生する廃木などやのり面工事などの緑化用地で発生する現地発生植物資材などを、緑化工事に際して基盤材として有効活用することで、資源のリサイクルが可能となり、特にのり面工事などで発生する木質資材や植物資材を、当該のり面の緑化基盤材として施工現場でそのまま活用できれば、運搬などに必要な経費もかからず、工費の低減が期待できる。
【0006】しかし、開発現場や緑化工事の施工地などで伐採した木材などを粉砕した未分解の木質破砕材などを緑化基盤材として使用した場合には、植物の発芽率が極端に低くなり、目的とする緑化の達成は困難であり、木質資材や植物資材を使用する場合には、完全に堆肥化させたものでなければ良好な発芽が得られないということは常識とされていた。この原因のひとつは、未分解のままの木質破砕材や植物破砕材は、バーク堆肥などに較べると空隙が大きく、保水性、保肥性などが悪いことが挙げられるが、主な原因は、堆肥化していない廃木などの未分解の木質資材や植物資材に含まれる、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、樹脂成分などの難分解性有機化合物にある。即ち、これらの現地発生資材を破砕したままの木質破砕材や植物破砕材中には、前記難分解性有機化合物がそのままの形で残っており、これらの有機化合物は、微生物分解されるのを待っている状態にある。このような未分解の木質資材や植物資材を粉砕してそのまま緑化基盤材として使用した場合、前記有機化合物が微生物により分解されて、窒素源となるアミノ酸が生成される。植物の根は、この窒素源であるアミノ酸がアンモニアを経て硝酸に代わったものを栄養源として吸収し、生育するのであるが、前記窒素源であるアミノ酸が増殖する微生物によって大量消費されて土中が窒素飢餓状態になり、栄養源である硝酸が生成されず、植物の発芽不良、生育不良、更には根腐れ(病気)などの原因となる。また、前記木質資材や植物資材の中に含まれる蛋白質、脂肪などが化学的分解される際に酸素が大量に消費され、土壌が酸素不足(嫌気状態)となり、やはり植物の発芽不良、生育不良、更には根腐れ(病気)などの原因となる。更には、未分解の木質資材や植物資材中には、腐朽菌、硫酸還元菌(チオバチルス菌)、きのこ菌糸、カビなどが発生し、これも植物の発芽不良、生育不良、更には根腐れ(病気)などの原因となっている。また、未分解の木質資材や植物資材を分解させるためには肥料を必要とするが、植物の発芽、発根時の土壌電気伝導度が低いと浸透圧により肥料が植物の種子中に侵入し、発芽、発根を阻害し、土壌への植物の活着が阻害されるという問題がある。また、この未分解の木質資材や植物資材中には、タンニンやフェノール系物質など、植物の生育を阻害する物質も含まれている。このため、未分解の木質資材や植物資材の使用量を少なくして、堆肥化したバーク肥料などを併用することにより、上記のような窒素飢餓、酸素不足、植物生育阻害物質などの植物発芽生育抑制要因を除くことが検討されているが、植物の発芽不良、生育不良、更には根腐れ(病気)などを確実に防止することは困難で、また伐採された樹木や廃木などのリサイクル効率が低下するうえに、堆肥化のための労力や経費により、施工コストが上昇するという問題がある。
【0007】上記のような現地発生植物資材などの未分解の木質資材や植物資材を緑化基盤材として使用する場合における、リグニンなどの難分解性有機化合物の微生物分解による窒素飢餓や、化学的分解による酸素不足、植物生育阻害物質などの植物発芽生育阻害要因を除くことを目的として、特開2000−204558号公報には、開発現場などで発生する廃木、廃根、枯死樹木、剪定枝葉などの植物発生材からなり粉砕された有機木材チップを基盤材として用い、これに光合成細菌及び窒素質肥料からなる生育促進剤を配合してなる緑化基盤材が提案されている。しかしながら、この方法にあっても、前記の目的は充分には達成されていないようである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような未分解の木質資材や植物資材を緑化基盤材として使用する場合の窒素飢餓、酸素不足、生育阻害物質、生育阻害菌、土壌電気伝導度などの問題を解決し、現地発生資材を有効利用することで、自然生態系と諸資源の保全に貢献しうるリサイクル緑化工法を実現可能とする、緑化基盤材及び緑化工法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、現地発生木質資材や植物資材などを破砕して未分解のままで緑化基盤材として使用する際に、前記木質資材や植物資材にパイナップル酵素を配合しておくと、リグニンなどの難分解性有機化合物が微生物分解される際の土壌中の窒素飢餓、これら木質資材や植物資材中の炭水化物、蛋白質、脂肪などが化学分解される際の土壌中の酸素不足、タンニンやフェノール系物質などの生育阻害物質、腐朽菌などの生育阻害菌、さらには土壌電気伝導度に起因する植物種子中への肥料の侵入などの影響が排除され、植物の発芽、生育が促進されることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明に係る緑化基盤材は、道路などののり面、造園用地、その他の緑化用地に吹き付け工法により植物導入を行う緑化工事に際して使用される緑化基盤材であって、木質破砕材及び/又は植物破砕材からなる基材に、パイナップル酵素、粘土鉱物、高度化成肥料及び植物種子を配合してなり、更に必要に応じて高分子バインダー、アンモニアなどを適宜配合してなる。また本発明に係る緑化工法は、上記の緑化基盤材を用いて、道路などののり面、造園用地、その他の緑化用地に対する緑化工事を行う工法であって、パイナップル酵素及び粘土鉱物又は粘土鉱物にパイナップル酵素を配合した植物生育剤を予め水に混合、分散したものと、木質破砕材及び/又は植物破砕材からなる基材、高度化成肥料、植物種子及びその他の成分とを混合し、これをのり面などの緑化用地の地表面に吹き付けるというものである。
【0011】上記のような本発明に係る緑化基盤材中で、木質破砕材や植物破砕材からなる基材は、緑化用地の覆土の機能を果たし、植生生育基盤を創造、回復するものであり、この木質破砕材や植物破砕材が分解、熟成されて堆肥化することで導入植物の栄養源となる。また、この木質破砕材や植物破砕材からなる基材は、夏季には断熱効果、冬季には保温効果により植物の発芽、生育に適した環境を実現することで、植物の生育を促進して植物群落を回復、創造し、更に、将来にわたって植物の生育のための緑肥として作用することで当該用地の完全な緑化を実現するものである。
【0012】パイナップル酵素は、前記木質破砕材や植物破砕材などからなる未分解の基材が分解される際の土壌の窒素飢餓、酸素不足、木質破砕材や植物破砕材中の生育阻害物質、生育阻害菌、植物の発芽、生育阻害要因を排除し、また植物の発芽時の土壌電気伝導度を調整するとともに、有用菌の助長作用などにより、導入植物の発芽、生育を促進し、緑化用地への植物の活着を可能とする。
【0013】粘土鉱物は、緑化用地の地表面への吹き付け後に、この粘土鉱物の接合力により木質破砕材や植物破砕材が土壌の表面で絡み合ってポーラスな状態で団粒構造を形成することで、覆土としての木質破砕材や植物破砕材からなる基材を定着させ、緑化基盤層の保水性、保肥性、通水性、通気性、保温性を向上させ、かつ雨水などによるのり面などの浸食を防止し、粗悪な土壌環境を緩和して植物の生育に最適な生育基盤を創造する。
【0014】更に、高度化成肥料は速効性肥料として作用し、前記木質破砕材や植物破砕材が分解、熟成されて堆肥化されるまでの間の植物の栄養源となる。また、植物種子は前記木質破砕材や植物破砕材などの基材によって緑化用地に造成される生育基盤に植物を導入するためものである。
【0015】更に、高分子バインダーは基盤層を定着させるための接合剤であり、前記粘土鉱物が比較的遅効性の接合剤として作用するのに対し、速効性の接合剤として作用して粘土鉱物による基盤層の定着作用を補う。アンモニアは窒素源として植物の栄養となり、導入植物の生育を促進させるものである。
【0016】また、本発明の緑化基盤材として、粘土鉱物にパイナップル酵素を配合して植物生育剤とし、これを木質破砕材や植物破砕材からなる基材、高度化成肥料及び植物種子を配合して緑化基盤材とすることは好ましい態様である。また、粘土鉱物にパイナップル酵素、好ましくは更にアンモニアを配合した植物生育剤は、緑化工法における植物生育剤としてのみでなく、野菜などの農作物、その他の植物の生育剤としても利用することができる。
【0017】前記木質破砕材や植物破砕材としては、現地発生資材を破砕して未分解のまま使用することができる。このような現地発生資材を基材として、しかも未分解のままで使用することで、木質破砕材や植物破砕材に混入する植物種子などによる現地発生植物の蘇生、回復が期待できるとともに、堆肥化のための労力や経費を節減でき、かつ現地発生木質資材や植物資材を廃棄、運搬するのための労力や経費も節減することが可能となる。
【0018】また粘土鉱物としては、ベントナイトを用いることが好ましい態様である。ベントナイトは、良質のモンモリロナイト属の粘土で、モンモリロナイトを主成分とする粘土鉱物である。ベントナイトは、団粒構造の形成による基盤層の定着効果や保水効果、保温効果などに加えて、養分を保持する機能が大きいことから、窒素やリン酸などを吸収して植物に養分を補給する機能を果たし、より一層の植物の発芽、生育を促進する効果を発揮する。
【0019】更に、粘土鉱物として、ベントナイトを主原料とし、これに化石地層の粘土鉱物を配合するとより好ましい。この化石地層の粘土鉱物は、良質なミネラル分に富み、植物の生育を促進させるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る緑化基盤材及び緑化方法について、更に詳細に説明する。
【0021】本発明の緑化基盤材において、緑化用地の覆土となる基材としての木質破砕材や植物破砕材としては、緑化用地付近で発生する現地発生木質資材や植物資材の他、例えばダムなどの建設現場で大量に発生する自然植生の樹木などが伐採された廃木、更には山間部の廃屋の木材などの木質資材も利用することができる。これらの木質資材や植物資材は、一般的には廃棄物として焼却処分されていたものであり、これを本発明では緑化基盤材の基材として有効利用することにより、資源のリサイクルを可能とするとともに、木材焼却に伴う二酸化炭素の発生、排出を抑制することで、地球の温暖化防止にも役立ち、環境保護にも貢献するものである。前記現地発生木質資材や植物資材としては、緑化用の施工現場あるいはその付近において自然植生あるいは人工植生された木本、草本、花、竹類、その他の植物を刈り込んで採取された伐採樹木や植物を破砕機によりチップ状に破砕、裁断したものや、剪定された樹木の枝葉、植物の根、茎、葉、木製廃材、古紙、その他、施工現場あるいはその付近で発生あるいは入手される資材を用いることができる。破砕、裁断された後の木質破砕材や植物破砕材のチップの大きさは、モルタル吹き付け機などにより吹き付け可能であれば特に限定はないが、通常の場合は5cm以下がよく、2.5〜4cm程度が好適である。
【0022】本発明の緑化基盤材に使用されるパイナップル酵素は、未分解の木質破砕材や植物破砕材が分解する過程で発生する窒素飢餓、酸素不足などの阻害要因を排除して植物の良好な発芽、生育を実現させるものである。このパイナップル酵素は、パイナップル果汁を、好ましくは非酸化条件下で搾出し、酵素が活性状態のまま濃縮又は乾燥させた液状又は粉状もしくは顆粒状のものである。前記パイナップル酵素は、多種の高分子有機化合物分解酵素を含有しており、パイナップル果汁を搾出するのみの作業で容易に入手できるため、個々の分解酵素を人工的に合成したり、別個に抽出するよりも安価に製造できる。なお、通常、パイナップル酵素は、活性を保持したまま使用するために、木炭粉や粘土などの無機粉体に担持させたり、またはブドウ糖に含浸させた製剤の状態で使用される。本発明における使用形態は、液状であっても、また乾燥粉末若しくは顆粒状であっても良いが、粉末の形態で用いることが好ましい。
【0023】前記パイナップル酵素を保持させる無機粉体の種類には特に制限はなく、例えばグリーンゼオライト、白色ゼオライトなどのゼオライト、炭酸カルシウム、ケイ石など各種のものを使用することができる。これらの中でも、ゼオライトのような多孔性無機粉体の場合には、パイナップル酵素の保持量が大きく、また該多孔性無機粉体が木質破砕材や植物破砕材の分解ガスなどの吸着して悪臭の発生を防止するとともに、吸着された分解ガスを該多孔性無機粉体に保持させたパイナップル酵素が効率よくアミノ酸に変換することができる。また、無機粉体としてクロレラ化石、ケイ藻化石などの藻類化石や、かき殻などの貝殻など、ミネラルを含むものを用いた場合には、これらの粉体に含まれるミネラルが有用微生物の代謝物栄養源となり、植物生育作用を促進させることができる。特に、かき殻粉末は、100種類以上もある海水中のミネラルを豊富に含むことから有用微生物のミネラル源として好ましい。本発明では、上記のようなゼオライトなどの多孔質無機粉末、セラミック粉末、更には藻類化石やかき殻のようなミネラルを含む粉末など、それぞれ異なる特徴を有する複数の粉体を組み合わせて使用することができる。前記無機粉体の粒度には特に制限はないが、20〜30μmの範囲が好ましい。
【0024】このパイナップル酵素は、本発明の緑化基盤材において、臭気吸着成分が木質破砕材や植物破砕材の分解ガスなどの臭気を吸着し、悪臭の発生を防止する。また吸着した分解ガスをアミノ酸に変換し、微生物の栄養源とすることができる。更にパイナップル酵素による微生物の活性化作用により、微生物の増殖がなくても同等以上の分解効果が得られることで、アミノ酸の大量消費が抑制でき、窒素飢餓を防止することができる。また、パイナップル酵素を触媒とする化学反応によっても植物破砕材中のリグニン、樹脂成分などの難分解性有機化合物が分解されるため、微生物分解以上の分解速度を有するにもかかわらず酸素消費量は少ないことから、酸素不足(嫌気状態)になることもない。また、パイナップル酵素には、硫酸還元菌(チオバチルス菌)などの生育阻害菌を不活化させる効果も認められている。更には、パイナップル酵素が木質破砕材や植物破砕材中に存在する、光合成細菌、根尖部寄生菌などの植物生育促進用細菌も同時に活性化することにより、外部から各種細菌を導入しなくとも同様の生育促進効果を発揮することができる。また、パイナップル酵素は、脱水素、脱炭酸、脱アミノ酸、脱サルファ、脱塩素作用などの機能も有する。これらのパイナップル酵素の各種機能により、根瘤、根腐れ、紋羽病などの植物の病気の発生が防止され、植物の発芽、発育が促進される。
【0025】なお、パイナップル酵素の主成分を例示すると、下記の如くである。括弧内は作用対象物である。
アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)
ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)
グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)
アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)
L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)
グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)
アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)
NADPH2 チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)
グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)
トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)
ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)
エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)
トレハローズフォスファターゼ(糖質)
メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)
イヌラーゼ(イヌリン)
β−マンノシターゼ(糖質)
ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)
シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)
メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)
アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)
コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)
アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)
フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)
マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)
クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)
イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)
LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)
モノアミンオキシダクターゼ(アミン)
ヒスタミナーゼ(アミン)
ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)
ATPアーゼ(ATP)
ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)
エンドポリフォスファターゼ(ATP)
ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)
オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)
およびその他の酵素。
【0026】また、植物の生育には土壌電気伝導度の影響も無視できない。即ち、植物の発芽、発根には土壌電気伝導度が低い方が有利とされ、土壌電気伝導度が0.1〜0.2程度の場合に発芽、発根が促進される。一方、発芽、発根後の植物の生育途上では土壌電気伝導度は0.3〜0.4、更には0.5〜0.6程度が好ましいとされている。未分解の木質破砕材や植物破砕材の分解には肥料を必要とするのであるが、植物の発芽、発根時の土壌電気伝導度が高い場合には、浸透圧により植物種子中に肥料が侵入して発芽、発根を阻害し、土壌への植物の活着が阻害される。パイナップル酵素は、この発芽、発根時の土壌電気伝導度を低下させ、土壌への植物の活着を促進する効果もある。
【0027】本発明の緑化基盤材中の粘土鉱物としては、ベントナイトの他、グリーンゼオライト、白色ゼオライトなどのゼオライト、クロレラ化石、ケイ藻化石などの藻類化石などミネラルを含む化石地層の鉱物粘土を用いることができる。これらの粉体に含まれるミネラルが有用微生物の代謝物栄養源となり、植物生育作用を促進させることができる。
【0028】高度化成肥料は、肥料の3要素である窒素、リン酸、カリを含み、植物の根の活性を高め、品質のよい植物を生育させるものであり、かつ速効性肥料であることから、木質破砕材や植物破砕材が分解されて堆肥化するまでの間の植物の栄養源となるものである。また、高度化成肥料は、粒度が程良く揃っており、吹き付けによる機械施肥を効率よく行うことができる。
【0029】また、植物種子は、前記木質破砕材や植物破砕材によって緑化用地に造成される生育基盤に植物を導入するものである。使用する植物種子の種類には特に限定はなく、施工地により適宜選択して用いればよいが、施工地周辺に植生する植物と同種のものを使用することで、連続性のある植生環境を創造でき、自然環境の保全を行うことができる。なお、植物種子は、吹き付ける基盤材中に配合する代わりに、吹き付けた基盤材の上から播種するようにしてもよい。
【0030】必要に応じて使用される高分子バインダーは、基盤層を定着させる接合剤として作用するものであるが、施工後、早い段階で土粒子と結合することにより保水性、保肥性、通水性、通気性、保温性に富む団粒構造を形成して基盤層を固定する。本発明で使用する高分子バインダーは特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂など、緑化基盤材のバインダーとして従来公知のものを使用することができ、具体的には栗田工業製のクリコート(商品名)などを用いることができる。
【0031】本発明に係る緑化基盤材は、上記のような各配合成分を混合して使用される。前記各成分の混合に際しては、粘土鉱物にパイナップル酵素、更に必要な場合はアンモニアを配合した植物生育剤を水に混合、分散させ、これを木質破砕材や植物破砕材からなる基材、高度化成肥料及び植物種子、更に必要な場合は高分子バインダーなどの他の成分と混合することで、基盤材中に粘土鉱物、パイナップル酵素、更にはアンモニアを全体に均一に分散させることができ、植物の発芽、生育が効率よく行われることから好ましい態様である。各成分の混合割合としては、例えばベントナイトなどの粘土鉱物に対してパイナップル酵素を重量比で10ppm〜0.1%程度混合し、更に必要に応じてアンモニアを100ppm〜0.5%程度混合して植物生育剤とする。前記、ベントナイトとともに化石地層からの粘土鉱物を併用する場合には重量比で20%程度とするとよい。そして、木質破砕材や植物破砕材などの基材1000L〜1500Lに対して、前記鉱物粘土などからなる植物生育剤が50〜150kg程度、高度化成肥料が4kg程度、更に高分子バインダーが5kg程度の割合で、緑化基盤材として使用する。また、前記粘土鉱物や植物育成剤を水に混合、分散する場合の水量としては、緑化基盤材1m3当たり400〜500kg、好ましくは450kg程度である。なお、前記緑化基盤材の各成分や水の配合割合は、通常の場合の目安であり、これに限定されるものではない。
【0032】また、前記粘土鉱物にパイナップル酵素、好ましくは更にアンモニアを配合した植物生育剤は、緑化工法における植物生育剤としてのみでなく、野菜などの農作物、その他の植物の生育剤としても使用することができる。例えば、この植物生育剤を畑などの土壌に250〜500g/m2の割合で散布し、必要に応じて耕したうえで野菜などの農作物の植物種子を播種することにより、植物の発芽、生育が促進され、良質の農作物を収穫することができ、また地力の乏しい農地においても良質の作物を収穫することが可能となる。また、この植物生育剤は、芝に対する生育促進効果もあり、公園や庭などに散布することで、芝の発芽、発根を促進し、土壌への定着促進効果を発揮する。
【0033】なお、本発明の緑化基盤材には、基材としての木質破砕材や植物破砕材に加えて現地発生土や開発現場で発生する客土などを配合することもできる。基材として現地発生土を用いた場合には、それらに混入している植物種子による現地発生植物の蘇生、回復が期待でき、また、緑化用地の切り土や掘削土の残りの土の処理が軽減され、廃棄、移送のための経費が節減できる。
【0034】また、植物生育促進成分として、パイナップル酵素に加えて光合成細菌を併用することもできる。この光合成細菌は、基材として用いる木質破砕材や植物破砕材にも含まれており、土壌微生物によるアミノ酸の吸収を抑制して空気中の窒素を固定し、短時間でアンモニアと硝酸を生成することにより植物への窒素の供給を容易にするという効果がある。また、光合成細菌には、有機物の分解などにより発生する生育阻害要因を抑制する効果もある、更に、この光合成細菌と有機栄養細菌が共存すると、植物の生育を活性化することができ、窒素固定量を増大させることもできる。
【0035】更に、本発明の緑化基盤材には、植物の栄養源として、上記高度化成肥料やアンモニアの他、半熟成バーク肥料、全熟成バーク肥料、化学肥料、窒素質肥料、ピートモスなどを配合してもよい。
【0036】次に、上記のような緑化基盤材を用いた本発明による緑化工法の具体的手法について以下に説明する。本発明方法は、前記緑化基盤材をモルタル吹き付け機などを用いてのり面などの緑化用地の地表面へ吹き付けるものである。具体的な施工例としては、まず、覆土として機能する木質破砕材や植物破砕材などの基材となる資材を調達する。例えば、施工現場やその周辺で木本、草本、花、竹類その他の植物を刈り込み、樹木や植物などの資材を集積する。なお、施工現場の周辺などで剪定された樹木の枝葉、植物の根、茎、葉、木製廃材、古紙その他、施工現場あるいはその付近で発生あるいは入手される木質資材や植物資材などを用いることもできる。更には、ダムの建設現場で伐採された樹木や枝葉、ダム湖に流れ着く樹木や枝葉などの流木を使用することもできる。前記基材として竹類を使用する場合、竹類は伐採しても短期間で容易に再生することから自然環境を破壊することもなく、また緑化基盤材の基材として使用した場合には、分解速度が比較的遅いため、施工後の初期段階での植物の発芽、生育期間中における微生物の増殖による土壌中の窒素飢餓を防止でき、植物の発芽、生育が良好に行われるという利点もある。次に、前記のように施工現場に集積した木質資材や植物資材を、破砕機により、吹き付け可能な大きさ、例えば2.5〜4cm程度のチップ状に破砕、裁断する。このようにして得られた木質破砕材や植物破砕材などの基材は、ホッパなどからベルトコンベアなどでモルタル吹き付け機へ供給されるが、このベルトコンベアでの移送途上で高度化成肥料、植物種子、高分子バインダーなどを基材に添加混合する。また、ベントナイトや化石地層からの粘土鉱物にパイナップル酵素、更に必要に応じてアンモニアを配合し均一混合した植物生育剤を水に混合、分散する。一方、のり面などの緑化用地においては、清掃工、金網張工など、従来の植生基材吹付工と同様の緑化基礎工を施す。この基礎工を施した緑化用地の地表面に、前記緑化基盤材の基材、高度化成肥料、植物種子、高分子バインダーなどの混合物をモルタル吹き付け機などを用いて吹き付けるのであるが、その際、吹き付け機のホース先端のノズル部分などから前記植物生育剤を混合、分散させた水を前記基材などに混合して吹き付けることで、緑化用地の地表面に緑化基盤層を形成する。形成する緑化基盤層の厚みとしては、通常の場合は3〜8cm程度であるが、これに限定されるものではなく、施工現場の状況に応じて調整すればよい。例えば、施工現場が土砂面の場合には3cm程度、軟岩の場合には5cm程度の厚みに緑化基盤材を吹き付け、また硬岩の場合には、現地発生土を5cm程度吹き付けた上から緑化基盤材を3cm程度の厚さで吹き付けて緑化基盤層を形成するとよい。
【0037】なお、本発明の緑化基盤材の吹き付け時には、接合剤としてセメントを用いてもよい。この場合には、セメントを水に混合した接合用含水原料に前記ベントナイトなどの植物生育剤を混合したものを、前記モルタル吹き付け機などにより基材その他の混合物を吹き付ける際に、吹き付け機のホース先端のノズル部分などから混合すればよい。
【0038】
【実施例】(実験1:パイナップル酵素の配合による効果)下記の表1に示す配合の緑化基盤材を作成し、これを直径約30cm、容量6.3Lの植木鉢がほぼ一杯となるように充填し、1鉢あたり100粒の植物種子を播種し、適宜水を散布して、播種後の発芽及び生育状況を観察し、35日経過後の結果を表1に併せて示した。なお、基材(植物破砕材)としては、建設現場で伐採された樹木及び枝葉などを生のまま裁断機で2.5〜4cm程度のチップ状に裁断したもの、粘土鉱物はベントナイト、高分子バインダーはクリコートC710(商品名、栗田工業製)、植物種子としてはトールフェスク(イネ科)を使用した。またパイナップル酵素はコスモバイオサービス製のパイナップル酵素製剤(商品名;UE−WO)を用い、予めベントナイトに混合しておいた。
【0039】
【表1】

【0040】観察の結果、播種後7日経過した時点での発芽密度は、酵素配合区では20本/鉢に対して、非配合区では14本/であり、発芽率でも酵素配合区が30%高い数値を示した。生育高についてはほぼ同一で推移していたが、35日経過の時点では、酵素配合区が8.8cmであったのに対し、非配合区では6.9cmであり、1.9cmの差が認められた。更に、植物被覆率については、酵素配合区が40%と高い値を示したのに対し、非配合区では20%にすぎず、酵素配合区が断然優位であった。また、酵素配合区では、導入植物のみでなく、侵入植物の発芽生育も多く認められ、パイナップル酵素を配合することで、周辺に植生する植物の誘導も充分に期待できる結果であった。
【0041】(実験2:植物生育剤による生育促進効果)ベントナイト79.9重量%、化石地層の粘土鉱物20重量%及び実験1で用いたと同じパイナップル酵素製剤0.1重量%にアンモニア100ppmを加えて均一混合した植物生育剤を、長ネギ畑、オクラ畑及びヨモギ畑の土壌中に300g/m2の割合で散布した後、播種し、これらの作物の発芽、生育状況を、前記生育剤を散布しないものと比較観察したところ、いずれの場合にも、植物生育剤を散布した方が発芽、生育は良好で、良質の作物が得られた。
【0042】(実施例1)面積321m2の付替国道ののり面を5つの試験区に区画し、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施したのち、各試験区の地表面に、下記表2に示す緑化基盤材又は従来の植生基材を、モルタル吹き付け機を用いて表3に示す要領で吹き付け、導入植物及び侵入植物の密度、被度、植物被覆率及び導入植物と侵入植物の草丈について調べた。なお、基材(植物破砕材)としては、建設現場で伐採された枝葉を裁断機で2.5〜4cm程度のチップ状に裁断したもの、粘土鉱物はベントナイト、高分子バインダーはクリコートC710(商品名、栗田工業製)を使用した。またパイナップル酵素はコスモバイオサービス製のパイナップル酵素製剤であるUE−WO(商品名)を用い、予めベントナイトに混合しておいたものを使用した。また、緑化基盤材の吹き付けに際しては、前記パイナップル酵素を混合したベントナイトを水に混合、分散させたものを、モルタル吹き付け機により基材その他の成分を地表面に吹き付ける際にノズル部分から混合して吹き付けた。結果を表4〜15に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
【表7】

【0049】
【表8】

【0050】
【表9】

【0051】
【表10】

【0052】
【表11】

【0053】
【表12】

【0054】
【表13】

【0055】
【表14】

【0056】
【表15】

【0057】表4〜15の結果から明らかなように、本発明に係る緑化基盤材は、未分解の植物資材を基材とし、バーク堆肥やピートモスなどを用いることなく、それらを用いた従来の植生基材と同様あるいはそれ以上の植物導入効果を発揮することができる。
【0058】(実施例2)未分解植物基材1500L/m3、高度化成肥料4kg/m3、植物種子及び高分子バインダー5kg/m3を混合したものと、ベントナイトにパイナップル酵素及びアンモニアを配合した植物生育剤(実験2で使用したと同じもの)50kg/m3を水457kg/m3に混合、分散したものとを、前記基材などの混合物をモルタル吹き付け機で吹き付ける際に、吹き付け機のホース先端にあるノズル部分で混合して緑化基盤材として使用した。なお未分解植物基材(植物破砕材)としては、建設現場で伐採された樹木及び枝葉などを裁断機で2.5〜4cm程度のチップ状に裁断したもの、高分子バインダーとしてはクリコートC710(商品名、栗田工業製)を使用した。また、植物種子としては、基盤材1m3あたり、トールフェスクを8.1g、ヤマハギを90.6g、メドハギを106.7g、イタチハギを117.8g及びコマツナギを175.4gの割合で配合した。この基盤材を、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施した面積1660m2のダム付替道路のり面に、モルタル吹き付け機を用いて5〜8cm程度の厚さで吹き付け、緑化基盤層を形成した。その結果、施工後、導入した5種類の植物のいずれも良好に発芽、生育し、施工後1年経過の時点では、全面に植物群落が創造され、完全な緑化が達成された。
【0059】(実施例3)実施例2と同じ配合の緑化基盤材を使用し、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施した面積2150m2の付替国道のり面に、モルタル吹き付け機を用いて5〜8cm程度の厚さで吹き付け、緑化基盤層を形成した。その結果、施工後、導入した5種類の植物のいずれも良好に発芽、生育し、施工後1年経過の時点では、全面に植物群落が創造され、完全な緑化が達成された。
【0060】(実施例4)植物種子として、基盤材1m3あたり、トールフェスクを8.1g、バヒヤグラスを10.0g、ヒラミレモンを20.0g、オキナワシャリンバイを50.0g及びイスノキを50.0gの割合で配合した以外は実施例2と同じ配合の緑化基盤材を使用し、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施した面積26700m2のダム工事用運搬路のり面に、モルタル吹き付け機を用いて5〜8cm程度の厚さで吹き付け、緑化基盤層を形成した。その結果、施工後、導入した5種類の植物のいずれも良好に発芽、生育し、施工後1年経過の時点では、全面に植物群落が創造されていた。
【0061】(実施例5)実施例2と同じ配合の緑化基盤材を使用し、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施した面積2421m2の道路のり面に、モルタル吹き付け機を用いて5〜8cm程度の厚さで吹き付け、緑化基盤層を形成した。その結果、施工後、導入した5種類の植物のいずれも良好に発芽、生育し、施工後1年経過の時点では、全面に植物群落が創造され、完全な緑化が達成された。
【0062】(実施例6)実施例2と同じ配合の緑化基盤材を使用し、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施した面積2796m2の付替国道のり面に、モルタル吹き付け機を用いて5〜8cm程度の厚さで吹き付け、緑化基盤層を形成した。その結果、施工後、導入した5種類の植物のいずれも良好に発芽、生育し、施工後4月経過の時点では、緑化基盤層のほぼ全面に植物群落が創造されていた。
【0063】(実施例7)実施例2と同じ配合の緑化基盤材を使用し、清掃工、金網張工などの緑化基礎工を施した面積6420m2の付替国道のり面に、モルタル吹き付け機を用いて3〜8cm程度の厚さで吹き付け、緑化基盤層を形成した。その結果、施工後、導入した5種類の植物のいずれも良好に発芽、生育し、施工後1年経過の時点では、全面に植物群落が創造され、完全な緑化が達成された。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る緑化基盤材及び緑化工法は、未分解の木質資材や植物資材を用いた緑化基盤材の吹付工法によりのり面などの緑化を行うものであり、現地発生植物資材などを利用することで、周囲の植物と同じ種類の郷土植物を回復することで自然生態系を保全することができ、またダムなどの建設現場で大量に伐採され、従来は廃棄物として焼却処分されていた自然植生などの植物資源を有効に再利用することができることから、自然環境に優しい自然環境保全型のリサイクル緑化工法を実現可能とするものである。更には、木質資材や植物資材を未分解のまま基材として使用することができ、バーク堆肥などを用いた従来の植生基材吹付工のように木質資材や植物資材を堆肥化するための労力、経費、敷地の確保といった問題もなく、比較的安価に緑化工事を実施することができる。また、植生誘導工のように専用大型機械を必要とせず、のり面などの傾斜地や狭い場所での施工も可能である。
【出願人】 【識別番号】596116891
【氏名又は名称】株式会社マキノグリーン
【識別番号】501491619
【氏名又は名称】株式会社ケイエフ
【識別番号】593064227
【氏名又は名称】宇山 静雄
【出願日】 平成13年2月28日(2001.2.28)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開2002−253046(P2002−253046A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−54311(P2001−54311)