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【発明の名称】 ホンシメジの人工栽培方法及びホンシメジの人工栽培用混合培地
【発明者】 【氏名】衛藤 慎也

【要約】 【課題】麦類又は合成培地を全く含まないトウモロコシ粉含有混合培地を用いた実用的なホンシメジの施設栽培技術を提供する。

【解決手段】少なくともトウモロコシ粉と広葉樹のおが屑を含有する混合培地を調製し、該混合培地を水湿潤状態においてホンシメジの菌糸を接種し、30℃以下の温度で培養する。ここで、混合培地におけるトウモロコシ粉の含有率が10体積%以上であり、かつ、水湿潤状態においた混合培地の含水率が50〜80重量%である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともトウモロコシ粉と広葉樹のおが屑を含有する混合培地を調製し、該混合培地を水湿潤状態においてホンシメジの菌糸を接種し、30℃以下の温度で培養することにより、子実体を発生させることを特徴とするホンシメジの人工栽培方法。
【請求項2】 混合培地におけるトウモロコシ粉の含有率が10体積%以上であり、かつ、水湿潤状態においた混合培地の含水率が50〜80重量%である請求項1記載のホンシメジの人工栽培方法。
【請求項3】 水湿潤状態においてホンシメジの菌糸を接種し、培養することにより子実体を発生可能とするホンシメジの人工栽培用混合培地において、少なくともトウモロコシ粉と広葉樹のおが屑を含有する混合培地であって、トウモロコシ粉の含有率が10体積%以上であり、かつ、水湿潤状態においた混合培地の含水率が50〜80重量%であることを特徴とするホンシメジの人工栽培用混合培地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、麦類又は合成培地(数種類の化学物質を調合したもの)を全く含まない(用いない)培地材料を用いてするホンシメジの人工栽培方法及びホンシメジの人工栽培用混合培地に関する。以下、特にことわらないかぎり、栽培は人工栽培を意味する。
【0002】
【従来の技術】ホンシメジは、本来的に人工栽培が困難な菌根性きのこであるが、近年、麦類を含む固形培地や合成培地を添加した固形培地を用いてする栽培方法が開発されている。例えば、特公平8−4427号参照。
【0003】しかしながら、麦類又は合成培地を用いた栽培は、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシメジ等通常のきのこ栽培に比べ、材料費が高いことや、培地の調整がやや煩雑であることなど実用性という点で難点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】こうしたなかで、通常のきのこ栽培のように、安価で多量に入手することができ、培地の調整が容易に行える培地材料を用いて栽培する実用的な技術の開発が期待されている。
【0005】本発明者は、麦類又は合成培地を全く含まず(用いず)、トウモロコシ粉(コーンミール)と広葉樹のおが屑を主成分とする混合培地を用いることにより、ホンシメジが子実体を形成することを見いだし、本発明を完成するに至った。ここで、トウモロコシ粉(コーンミール)は、家畜の飼料に使用されており、安価で多量に入手可能であり、しかも含水率等の培地の調整が容易に行える培地材料である。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、上記課題を解消し、麦類又は合成培地を全く含まない(用いない)培地材料を用いてするホンシメジの人工栽培方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】課題を解決するために本発明は、新たなホンシメジの人工栽培方法であって、少なくともトウモロコシ粉と広葉樹のおが屑を含有する混合培地を調製し、該混合培地を水湿潤状態においてホンシメジの菌糸を接種し、30℃以下の温度で培養することにより、子実体を発生させることを特徴とするものである。
【0008】また、ホンシメジの人工栽培に供される混合培地であって、少なくともトウモロコシ粉と広葉樹のおが屑を含有し、水湿潤状態において用いることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、上記構成の栽培方法及び混合培地において、トウモロコシ粉の含有率が10体積%以上となるように調製するのが好ましい。
【0010】ここで、トウモロコシ粉は、家畜の飼料用(通称、コーンミール。)として市販されているものを使用するのが実用的である。
【0011】また、広葉樹のおが屑は、ブナのおが屑のように一種類の広葉樹からなるもの、数種類の広葉樹が混ざったもの等のいずれでもよく、通常のきのこ栽培で使用されているものを用いてよい。
【0012】混合培地には、きのこ類の人工栽培用として公知の培地に使用されている栄養分、米糠、ふすま、ビールの搾り滓等を添加してもよい。
【0013】そして、水湿潤状態においた混合培地の含水率を50〜80重量%に調整し、通常のきのこ栽培用培地と同様に、常圧又は高圧加熱により滅菌して使用するのが好ましい。
【0014】ホンシメジの菌糸の培養は、通常のきのこ栽培で行われている方法と同様に、18〜28℃で第一段の培養をした後に、子実体の発生を促すため、第一段の温度より3℃以上低い温度に保持して第二段の培養を行なう方法によるのが好ましい。
【0015】
【実施例】本発明の一実施例について詳細説明する。以下の実施例は実験的事実に基づくものであるが、実施規模の拡縮により発明の内容(事実)に影響はない。
【0016】〔実施例1〕トウモロコシ粉とブナのおが屑を、気乾状態の体積比1:2の割合で混合し、水を加えて含水率を65〜70重量%に調整して培地(M1)を作成(調製)した。
【0017】また、比較のため、オオムギとブナのおが屑を気乾状態の体積比2:3の割合で混合し、水を加えて含水率を65〜70重量%に調整した培地(M2)を作成した。
【0018】これらの培地(M1,M2)を850ml容量の栽培瓶にそれぞれ600g詰め、高圧殺菌し、オオムギを主成分とする培地で子実体形成能が認められたホンシメジの菌株2種(Ls-H008,YG6L)を用いて、あらかじめ赤玉土とトウモロコシ粉を混合した培地で拡大培養しておいたものの菌糸をそれぞれ接種した。
【0019】次に、これらを23℃の培養室で60日間培養し、殺菌した鹿沼土で培地上面を被覆して、さらに7日間培養した後、15℃で湿度95%の発生室に移して子実体の発生を促した。その結果を表1に示す。また、これらの子実体発生状況に関する生物の生態を図面代用写真により示す。図1が菌株Ls-H008 、及び図2が菌株YG6Lである。
【0020】
【表1】

【0021】表1、図1及び図2に示すとおり、トウモロコシ粉とブナのおが屑を混合した培地(M1)において、雑菌汚染のなかった全ての瓶で子実体が発生した。この培地(M1)は、オオムギとブナのおが屑を混合した培地(M2)に比べ、子実体の発生量は少なかったが、1瓶当りの発生量は平均50g以上であり、いずれも実用的な栽培が可能である。詳しくは、菌株Ls-H008 について一瓶当り平均60g、菌株YG6Lについて一瓶当り平均55gであった。また、栽培に要した日数は両培地とも差がなかった。なお、M1の培地材料費はM2の1/5以下である。
【0022】〔実施例2〕ブナのおが屑の替わりに、コナラその他数種類の樹種が混ざった広葉樹のおが屑を用いて、実施例1と同様の条件下で栽培実験を行なった。その結果を表2に示す。なお、これらの子実体発生状況に関する生物の生態を示す図面代用写真は省略した。
【0023】
【表2】

【0024】表2に示すとおり、トウモロコシ粉とコナラその他数種類の樹種が混ざった広葉樹のおが屑を混合した培地(M3)において、雑菌汚染のなかった全ての瓶で子実体が発生した。この培地(M3)は、オオムギとコナラその他数種類の樹種が混ざった広葉樹のおが屑を混合した培地(M4)に比べ、子実体の発生量は少なかったが、1瓶当りの発生量は平均50g以上であった。また、栽培に要した日数は両培地とも差がなかった。また、栽培に要した日数は両培地とも差がなかった。
【0025】さらに、実施例2における結果は、ブナのおが屑を用いて行なった実施例1における結果とほぼ同様であった。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上の構成よりなるものであり、これによればトウモロコシ粉と広葉樹のおが屑を混合した培地でホンシメジの人工栽培が可能である。ここで、トウモロコシ粉と広葉樹のおが屑は、安価で多量入手が可能であり、しかも培地の調製が容易にできるという利点がある。したがって、本発明方法は、ホンシメジの人工栽培に係る実用的な施設栽培技術を確立し、かつ提供するものであり、産業上の利用可能性において極めて価値が高いものである。
【出願人】 【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
【出願日】 平成13年2月23日(2001.2.23)
【代理人】 【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
【公開番号】 特開2002−247917(P2002−247917A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−47498(P2001−47498)