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【発明の名称】 トピアリー及びその製造方法
【発明者】 【氏名】唐沢 明彦

【氏名】親林 和生

【要約】 【課題】この発明は、高度な技術を要することなく安価で大量生産することができるトピアリー及びその製造方法を提供することを課題とする。

【解決手段】本体1は幾何学形や動物等の所望の形状に形成された多孔質コンクリート層2から構成され、多孔質コンクリート層2の骨材3の間に植物の種子4、水分吸い上げ材5、保水性材料6及び肥料7が充填され、多孔質コンクリート層2の底部に透水性のシート8が貼付される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所望の形状に形成されると共に少なくとも表面部分に多孔質コンクリート層が形成された本体と、前記本体の多孔質コンクリート層内の空隙に充填された植物の種子及び水分吸い上げ材とを備えたことを特徴とするトピアリー。
【請求項2】 所望の形状に形成されると共に少なくとも表面部分に多孔質コンクリート層が形成された本体を備え、前記本体の表面上に植物の種子あるいは苗を配置したことを特徴とするトピアリー。
【請求項3】 前記本体の多孔質コンクリート層内の空隙に充填された保水性材料をさらに備えた請求項1または2に記載のトピアリー。
【請求項4】 型枠内にコンクリートを打設して少なくとも表面部分に多孔質コンクリート層が形成された本体を形成し、植物の種子及び水分吸い上げ材を本体の多孔質コンクリート層内の空隙に充填することを特徴とするトピアリーの製造方法。
【請求項5】 本体に振動を与えながら植物の種子及び水分吸い上げ材を多孔質コンクリート層内の空隙に充填する請求項4に記載のトピアリーの製造方法。
【請求項6】 植物の種子及び水分吸い上げ材をスラリー化し、このスラリーを本体の表面部分に付着させることにより植物の種子及び水分吸い上げ材を多孔質コンクリート層内の空隙に充填する請求項4に記載のトピアリーの製造方法。
【請求項7】 本体の多孔質コンクリート層内の空隙に保水性材料をさらに充填する請求項4〜6のいずれか一項に記載のトピアリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、草花による造形物であるトピアリーとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】草花を用いて造形物に形づくられたトピアリーは、その美観及び環境性から種々の箇所に幅広く使用されている。このトピアリーは、従来次のような方法で作成されていた。
(1)コニファーやベンジャミン等の樹木を剪定あるいは刈り込んで所望の造形物に形づくる、(2)針金やチキンワイヤで所望の形状のフレームを作り、このフレームにアイビーやプミラ等のつる性植物を這わせることにより造形物とする、あるいは、(3)針金やチキンワイヤで所望の形状のフレームを作ってフレーム内に水苔を詰め、ここにつる性植物や草花を植裁することにより造形物とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のいずれの方法によっても、所望の形状を得るために高度な技術を要し、大量生産することができず、高価であるという問題点があった。この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、高度な技術を要することなく安価で大量生産することができるトピアリー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1のトピアリーは、所望の形状に形成されると共に少なくとも表面部分に多孔質コンクリート層が形成された本体と、本体の多孔質コンクリート層内の空隙に充填された植物の種子及び水分吸い上げ材とを備えたものである。また、この発明に係る第2のトピアリーは、所望の形状に形成されると共に少なくとも表面部分に多孔質コンクリート層が形成された本体を備え、本体の表面上に植物の種子あるいは苗を配置したものである。なお、これらのトピアリーにおいて、本体の多孔質コンクリート層内の空隙に充填された保水性材料をさらに備えるようにしてもよい。この発明に係るトピアリーの製造方法は、型枠内にコンクリートを打設して少なくとも表面部分に多孔質コンクリート層が形成された本体を形成し、植物の種子及び水分吸い上げ材を本体の多孔質コンクリート層内の空隙に充填する方法である。植物の種子及び水分吸い上げ材の充填は、本体に振動を与えながら行う、あるいは植物の種子及び水分吸い上げ材をスラリー化し、このスラリーを本体の表面部分に付着させることにより行うことができる。さらに、本体の多孔質コンクリート層内の空隙に保水性材料を充填すると効果的である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.図1にこの発明の実施の形態1に係るトピアリーの一部断面を示す。トピアリーは造形物を形づくるための本体1を有している。この本体1は多孔質コンクリート層2から幾何学形や動物等の所望の形状に形成されている。造形物の内部にまで多孔質コンクリートが詰まっていてもよく、あるいは造形物の表面部分のみに多孔質コンクリート層2が存在して内部は中空または他の材料が詰めてあってもよい。多孔質コンクリート層2は、空隙率25〜35%で粒径5〜40mmの骨材3を含み、骨材3の間に植物の種子4、水分吸い上げ材5、保水性材料6及び肥料7が充填されている。また、多孔質コンクリート層2の底部には透水性のシート8が貼付されている。
【0006】植物の種子4としては、芝、苔などの植物や、つる性の植物の他、各種の植物を使用することができる。水分吸い上げ材5としては、広葉樹パルプ粉砕品、パーライト、結晶セルロース等の吸水性ポリマーを使用することができる。また、珪砂、天然砂、砕砂、自然土等は、それ自体では吸水性が弱いが、隣接する珪砂粒子の間の隙間により毛細管現象が起きて水分を吸い上げるので、水分吸い上げ材5として使用することができる。保水性材料6としては、ポリビニルアルコール系共重合体、アクリル酸・アクリル酸ナトリウム共重合架橋体、土壌粒子、アルギン酸カルシウム等が挙げられる。また、シート8としては、濾紙、不織布等を用いることができる。保水性材料6、肥料7及びシート8は種子4の種類やトピアリーの設置条件等に基づき必要に応じて使用すればよい。
【0007】実施の形態2.図2に実施の形態2に係るトピアリーの一部断面を示す。所望の形状に形成される本体11が基盤多孔質コンクリート層12とその上に形成された被覆多孔質コンクリート層13とからなる2層構造を有している。基盤多孔質コンクリート層12の底面には透水性のシート8が貼付されている。被覆多孔質コンクリート層13は、図1に示した実施の形態1の多孔質コンクリート層2と同様に、空隙率25〜35%で粒径5〜40mmの骨材3の間に植物の種子4、水分吸い上げ材5、保水性材料6及び肥料7が充填されたものである。一方、基盤多孔質コンクリート層12は、空隙率25〜35%で粒径2.5〜10mmの骨材3の間に水分吸い上げ材5、保水性材料6及び肥料7を充填したもので、植物の種子4は充填されていない。基盤多孔質コンクリート層12の骨材粒径を被覆多孔質コンクリート層13の骨材粒径より小さくしたのは、基盤多孔質コンクリート層12の下部からの水分を毛細管現象によって吸い上げやすくすると共に植物の種子4が基盤多孔質コンクリート層12に入り込まないような空隙を持たせるためである。これにより、種子4の植え込み深さを調節することができる。
【0008】実施の形態3.実施の形態3に係るトピアリーは、実施の形態1のトピアリーにおいて、多孔質コンクリート層2内に植物の種子4を充填させないで所望の形状の本体1を形成し、本体1の表面上に植物の種子4あるいは苗をポット等の形で配置したものである。本体1の表面に適宜凹部を形成しておき、この凹部に植物の種子4あるいは苗のポットを入れるようにすれば、配置したポットが動いてしまうことを防止することができる。
【0009】
【実施例】実施例1.図1に示した1層構造の多孔質コンクリート層2を有するトピアリーを製作した。まず、次のような配合のコンクリートを調合する。
水 34.2kg/m3 普通ポルトランドセメント 171kg/m3 骨材(砕石、粒径10〜20mm) 1556kg/m3 混和材(粗粒率1.4の珪砂) 82kg/m3 混和剤(花王株式会社製マイテイ150) 8.55kg/m3【0010】所望の形状に形成した型枠内にシート7として不織布を敷き、上記のコンクリートを詰めて押圧し、養生した後、脱枠して多孔質コンクリート層2からなる本体1を作成した。この本体1をテーブルバイブレーターの上に固定し、珪砂+沸石とパーライトを1:0.5〜1:5の比率で配合した粒径1.2mm以下の水分吸い上げ材5を肥料7と共に振動を与えながら均一に充填し、充填後集塵機で多孔質コンクリート層2の表面から深さ8mm分の水分吸い上げ材5及び肥料7を吸引除去した。そして、この表面から深さ8mmの部分に、200gの水分吸い上げ材5及び肥料7にケンタッキー31フェクス2.975g及びクリーピングレッドフェクス2.975g(雪印種苗株式会社製、品種名)の芝の種子4を混合したものを振動を与えながら均一に充填した。さらに、エスフィックス(セキスイエスダイン株式会社製)を20倍に希釈した液を多孔質コンクリート層2の表面に噴霧し、自然乾燥させて骨材3の間に充填された種子4、水分吸い上げ材5及び肥料7を固定した。このようにして、例えば図3に示されるようなカモの形状のトピアリーを作成した。
【0011】実施例2.実施例1と同様の配合のコンクリートを調合して多孔質コンクリート層2からなる本体1を作成した。種子4、水分吸い上げ材5、保水性材料6及び肥料7をスラリー化し、このスラリーを本体1の表面部分に吹き付けて付着させることによりこれらの充填材を多孔質コンクリート層2内の空隙に充填させ、その後エスフィックス(セキスイエスダイン株式会社製)を20倍に希釈した液を多孔質コンクリート層2の表面に噴霧し、自然乾燥させた。
【0012】実施例3.実施例1と同様の配合のコンクリートを調合して多孔質コンクリート層2からなる本体1を作成した。本体1の表面にはポットを置くための複数の凹部を形成した。この本体1を振動ブロックの上に固定し、水分吸い上げ材5、保水性材料6及び肥料7を振動を与えながら均一に充填した。このようにして充填材を充填した本体1の凹部に植物の苗のポットを載置し、トピアリーを製作した。
【0013】実施例4.次のような配合のコンクリートを調合した他は実施例1と同様にして1層構造の多孔質コンクリート層2を有するトピアリーを製作した。
水 49.2kg/m3 普通ポルトランドセメント 261kg/m3 骨材(砕石、粒径10〜20mm) 1540kg/m3 混和剤(花王株式会社製マイテイ150) 5.21kg/m3【0014】実施例5.図2に示した2層構造の多孔質コンクリート層を有するトピアリーを製作した。まず、次のような配合の基盤多孔質コンクリート及び被覆多孔質コンクリートを調合する。
(1)基盤多孔質コンクリート 水 58.2kg/m3 普通ポルトランドセメント 233kg/m3 骨材(砕石、粒径2.5〜5mm) 592kg/m3 混和剤(花王株式会社製マイテイ150) 3.15kg/m3(2)被覆多孔質コンクリート 水 52.7kg/m3 普通ポルトランドセメント 211kg/m3 骨材(砕石、粒径10〜15mm) 618kg/m3 混和剤(花王株式会社製マイテイ150) 2.85kg/m3【0015】幾何学形や動物等の所望の形状に形成した型枠内に上記の基盤多孔質コンクリートを25mmの厚さに詰め、その上に被覆多孔質コンクリートを25mmの厚さに詰めてテーブルバイブレーターの上で振動成型し、24時間20℃で養生した後、脱枠して基盤多孔質コンクリート層12と被覆多孔質コンクリート層13の2層構造の多孔質コンクリート層からなる本体11を作成した。さらに、本体11の基盤多孔質コンクリート層12の底面全面に濾紙からなるシート8を貼付した。この本体11に水分吸い上げ材5として結晶セルロース47gを手で振動を与えながら均一に充填した後、ジェームスタウン1.15g(雪印種苗株式会社製、品種名)の種子4と結晶セルロース50gを均一に充填した。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係るトピアリーは、所望の形状に形成された本体の多孔質コンクリート層内の空隙に植物の種子及び水分吸い上げ材を充填させたものであるので、高度な技術を要することなくトピアリーを安価に且つ大量生産することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【出願日】 平成13年2月23日(2001.2.23)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外7名)
【公開番号】 特開2002−247913(P2002−247913A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−48367(P2001−48367)