| 【発明の名称】 |
固化成形体及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】雪谷 修治
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| 【要約】 |
【課題】植物の育成に適したものであって、しかも短時間で低コストで製造できる固化成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】土砂と、水和反応により土砂を固化させ得る固化剤と、塩化カリウムと塩化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化ナトリウムと塩化アンモニウムとを包含した添加剤と、水とを配合することにより作成した成形材料を、成形型によって成形することにより多孔質な固化成形体3とし、植物101の根101aを内部に伸ばすことができ、植栽可能なものとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】土砂を主体としたものから構成された固化成形体であって、この固化成形体が、多孔質なものから構成されることにより、固化成形体が植栽可能なものとされたことを特徴とする固化成形体。 【請求項2】成形材料を成形することによって形成された多孔質な固化成形体であって、成形材料が、土砂と、土砂を固める固化剤と、固化剤による土砂の固化を助ける添加剤とを包含したものであることを特徴とする固化成形体。 【請求項3】固化剤が、水和反応により土砂を固化させるものからなることを特徴とする請求項2記載の固化成形体。 【請求項4】添加剤が、塩化カリウムと、塩化マグネシウムと、塩化カルシウムと、塩化ナトリウムと、塩化アンモニウムとを包含したものであることを特徴とする請求項2又は3記載の固化成形体。 【請求項5】固化剤が、土砂1m3に対し、20〜200Kgの配合割合で包含されたものであることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の固化成形体。 【請求項6】上記固化成形体が、多面体に成形され、多面体の少なくとも一面に、植物の根部を収納する植栽用孔が備えられることにより、固化成形体が植物を植栽するための植栽用部材とされたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の固化成形体。 【請求項7】上記固化成形体が、直方体に成形され、植栽可能なレンガ片として使用可能とされたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の固化成形体。 【請求項8】固化成形体が、植物及び植物を育生する土砂を収納するための上方開口の収納部を有する植物用鉢に成形されたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の固化成形体。 【請求項9】土砂を主体としたものから構成され、乾燥及び焼成を行うことなく固化させた植栽可能なものであることを特徴とする固化成形体。 【請求項10】土砂を主体にして乾燥及び焼成を行うことなく固化し得る成形材料を準備し、この成形材料を成形することにより、植栽可能な固化成形体を得ることを特徴とする固化成形体の製造方法。 【請求項11】土砂と、水和反応により土砂を固化させ得る固化剤と、塩化カリウムと塩化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化ナトリウムと塩化アンモニウムとを包含した添加剤と、水とを配合した成形材料を準備し、成形材料を成形することにより、多孔質な固化成形体を得ることを特徴とする固化成形体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、植栽可能な固化成形体及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、例えば植木鉢等の植物用鉢として、粘土を主体とした材料を、上面開口の収納部を有する形状に練り成形し、その後、乾燥し、焼成することにより形成したものが知られている。 【0003】しかし、このような植物用鉢は、乾燥、焼成を行わなければならず、製作に時間を要し、製作コストも高く付いている。又、このような植物用鉢は、壁面に通気孔がほとんどなく、保水性もほとんどないものである。そのため、植物の根に酸素や水を供給し難く、又、植物が根を張ることも困難であり、植物にとって好ましくない。 【0004】又、植物用鉢を、合成樹脂成形により形成したものも知られている。合成樹脂成形により形成すれば、乾燥、焼成を行うことがなく、短時間で多量生産でき、製作コストも低く抑えることができるが、このような合成樹脂成形品では、壁面に、通気孔や保水性がなく、上記の粘土を焼成した植物用鉢以上に、植物にとって好ましくない。 【0005】一方、例えば花壇塀としてレンガ片或いはコンクリートブロックが使用される場合があるが、レンガ片も、粘土を主成分にして練り、型に入れて焼成することにより、直方体に形成したものであり、上述の粘土を焼成した植物用鉢と同様に、焼成を行わなければならず、製作に時間を要し、コストが高く付いている。又、レンガ片も、通気性や保水性が極めて小さいため、植物の根に酸素や水を供給し難く、植物が根を張ることも困難であり、花壇塀の使用には好ましくない。一方、コンクリートブロックは、アルカリ分が溶出する等のため、植物の育成には適さず、花壇壁の使用には不向きなものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本願発明は、このような実情に鑑みて提案されたもので、植物の育成に適したものであって、しかも短時間で低コストで製造できる固化成形体及びその製造方法を提供することを第1の目的とする。 【0007】本願発明は、植物用鉢、又は植栽用部材、或いは植栽可能なレンガ片又はコンクリートブロック代用品として使用できる固化成形体及びその製造方法を提供することを第2の目的とする。 【0008】本願発明は、花壇壁用レンガ片として使用できる固化成形体及びその製造方法を提供することを第3の目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本願発明は、次の特徴を有する固化成形体を提供することにより、上記課題を解決する。 【0010】本願第1発明の固化成形体は、土砂を主体としたものから構成されたものであって、この固化成形体が、多孔質なものから構成されることにより、固化成形体が植栽可能なものとされたことを特徴とするものである。 【0011】本願第2発明の固化成形体は、成形材料を成形することによって形成された多孔質な固化成形体であって、成形材料が、土砂と、土砂を固める固化剤と、固化剤による土砂の固化を助ける添加剤とを包含したことを特徴とするものである。 【0012】本願第3発明の固化成形体は、固化剤が、水和反応により土砂を固化させるものからなることを特徴とするものである。 【0013】本願第4発明の固化成形体は、添加剤が、塩化カリウムと、塩化マグネシウムと、塩化カルシウムと、塩化ナトリウムと、塩化アンモニウムとを包含したことを特徴とするものである。 【0014】本願第5発明の固化成形体は、固化剤が、土砂1m3に対し、20〜200Kgの配合割合で包含されたことを特徴とするものである。 【0015】本願第6発明の固化成形体は、上記固化成形体が、多面体に成形され、多面体の少なくとも一面に、植物の根部を収納する植栽用孔が備えられることにより、固化成形体が植物を植栽するための植栽用部材とされたことを特徴とするものである。 【0016】本願第7発明の固化成形体は、上記固化成形体が、直方体状に成形され、植栽可能なレンガ片として使用可能されたことを特徴とするものである。 【0017】本願第8発明の固化成形体は、植物及び植物を育生する土砂を収納するための上方開口の収納部を有する植物用鉢に成形されたことを特徴とするものである。 【0018】本願第9発明の固化成形体は、土砂を主体としたものから構成され、乾燥及び焼成を行うことなく固化させた植栽可能なものとされたことを特徴とするものである。 【0019】又、本願発明は、次の特徴を有する固化成形体の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。 【0020】本願第10発明の固化成形体の製造方法は、土砂を主体にして乾燥及び焼成を行うことなく固化し得る成形材料を準備し、成形材料を成形することにより、植栽可能な固化成形体を得ることを特徴とする製造方法である。 【0021】本願第11発明の固化成形体の製造方法は、土砂と、水和反応により土砂を固化させ得る固化剤と、塩化カリウムと塩化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化ナトリウムと塩化アンモニウムと、水とを配合することにより植栽可能な物育成材料を形成する。その後、その形成した物育成材料を成形することにより、多孔質な固化成形体を得る製造方法である。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本願発明を具体的に説明する。 【0023】本願発明の固化成形体は、成形材料を成形することによって形成された多孔質なものである。又、固化成形体に用いる成形材料は、土砂と、固化剤と、添加剤とを包含するものである。 【0024】土砂は、その種類を問わずに使用でき、真砂土や黒ぼく土等の種々の土、粘土、泥土、砂等を単独、或いはそれらの混合物を使用できる。 【0025】固化剤は、土砂を固めるためのもので、本実施形態では、水和反応により水和凝結して土砂を固化させる固化剤が用いられている。水和反応により土砂を固化させる固化剤としては、セメント、セメント系固化剤、石灰、石灰系固化剤、石膏等を例示できる。この固化剤の配合割合は、土砂1m3に対し、10〜300Kgが好ましい。固化剤が10Kg未満になると、固化成形後の植物用鉢、植栽用部材、又は、レンガ代用品或いはコンクリート代用品としての強度が弱くなり、一方、300Kgを超えると、固化成形後の成形体の表面にアルカリ分が溶出し、植物の育成に好ましくないものになってしまう。より好ましくは、土砂1m3に対し、20〜200Kgである。 【0026】添加剤は、固化剤による土砂の固化を助ける等の役目をするもので、この添加剤は、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムを包含する。土砂を、上記固化剤で固化させる場合、土砂にはフミン酸等の有機物を含んでいるため、有機物が水和反応を阻害して十分な強度を有する固形物とすることができないが、上記塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムと反応させることによって水和反応の阻害要因を除去でき、土砂を十分な強度で凝固させることができる。しかも、これらの塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムは、植物の育成に有益な成分である。 【0027】添加剤の各成分の配合量は、土砂1m3に対し、次の通りである。 【0028】塩化カリウムは、200〜300gが好ましい。塩化カリウムが200g未満になると、上記固化剤のカルシウムイオンの浸透能力が劣り、一方、300gを超えると、溶解し難くなるとともに、カルシウムイオンに浸透性を与える効果が向上しない。 【0029】塩化マグネシウムは、150〜200gが好ましい。塩化マグネシウムが150g未満になると、気孔構造体に収縮クラッチが発生し易く、一方、200gを超えると、気孔構造体が膨張し易い。 【0030】塩化カルシウムは、150〜200gが好ましい。塩化カルシウムが150g未満になると、気孔構造体の強度を促進させることが困難となり、200gを超えると、破水現象により気孔構造体を崩壊するおそれがある。 【0031】塩化ナトリウムは、100〜150gが好ましい。塩化ナトリウムが100g未満になると、カルシウムイオンの浸透能力が劣り、150gを超えると、溶解し難くなるとともに、カルシウムイオンに浸透性を与える効果が向上しない。 【0032】塩化アンモニウムは、100〜120gが好ましい。塩化アンモニウムが100g未満になると、各成分が溶解し難くなり、120gを超えると、気孔構造体の強度が低下する。 【0033】又、添加剤は、上記成分に加え、塩化コバルト、硫酸ナトリウム、クエン酸の一種又は二種以上を包含させることができる。これらの成分も土砂に含まれている有機物と反応することによって水和反応の阻害要因を除去でき、土砂をより大きな強度で固化させることができ、又、これらの塩化コバルト、硫酸ナトリウム、クエン酸も、植物の育成に有益な元素を含む。 【0034】塩化コバルト、硫酸ナトリウム、クエン酸各々の配合量は、土砂1m3に対し、次の通りである。 【0035】硫酸ナトリウムは、20〜30gが好ましい。硫酸ナトリウムが20g未満になると、固化剤を急速硬化させることができず、30gを超えると、固化剤の強度安定性に劣る。 【0036】クエン酸は、10〜20gが好ましい。クエン酸が10g未満になると、各成分が溶解し難くなり、20gを超えると、気孔構造体の強度が低下する。 【0037】塩化コバルトは、1〜2gが好ましい。塩化コバルトが1g未満になると、各成分のイオン活動を活発にすることができず、2gを超えると、各成分のイオン活動を活発にするという効果が向上しないばかりでなく、高価になってしまう。 【0038】更に、添加剤は、上記成分に加え、酸化バリウム、燐酸カルシウム、二酸化マンガン、亜硫酸ナトリウム、カーボンの一種又は二種以上を包含させることができる。これらの一種又は二種以上を添加することにより、固化剤の凝固過程における液相から固相に変化するまでの間、酸素を連続的に発生させ、土砂粒子間の空隙が液相の固化剤により目詰まりするのを防止し、気孔を有する多孔質体に形成し易くする。 【0039】これらの成分の配合割合は、土砂1m3に対し、酸化バリウムと硫酸カルシウムと燐酸カルシウムと二酸化マンガンと亜硫酸ナトリウムとカーボンとの合計が、10〜15gが好ましい。これらの成分が10g未満になっても、15gを超えても、酸素が発生し難くなってしまう。 【0040】以上のように構成される成形材料は、土砂と固化剤と添加剤とに、水を加えて配合される。そして、このようにして得られた成形材料は、図4及び図5に示すように成形手段としての成形型100、110に入れられて所定の形状に成形される。成形された成形材料は、固化剤の水和反応によって固化し、例えば図1に示すような直方体状のレンガ片1、図2に示すような植物用鉢2、或いは、図3に示すような植栽用部材3を形成できる。尚、成形手段は、成形型によるものに限らず、例えば手で行い、或いは成形型によって成形したものを工具等を用いて最終形状にする等、適宜な方法で行うことができる。 【0041】従って、本願発明の固化成形体は、成形するだけで良く、乾燥及び焼成を不要にでき、容易に短時間で、しかも低コストで製作し得る。この成形体の内部構造は、3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O(エトリンガイド)の針状結晶を形成しており、図7の顕微鏡写真(倍率を5000倍にしたものも)に示すように土砂粒子をエトリンガイドの針状結晶で連結させ、10〜5000オングストロームの空隙を有する多孔質なものである。従って、この成形体は、気体及び液体を通すことができるとともに、液体に接すると毛細管現象によって液体を吸収し、しかも、空隙に入った液体を保持できる保水性を有する。又、この成形体は、添加剤によって土砂中或いは固化剤中に含まれる六価クロム等の重金属を吸着することができ(図7の顕微鏡写真では、略中央に、球状に表れている重金属原子を吸着している状態を示している)、環境汚染のないものにできる。従って、例えば成形体の使用後、壊して土に戻すことができ、廃棄処理の容易なものにできる。 【0042】尚、本願発明の固化成形体は、レンガ片、植物用鉢、植栽用部材の他、コンクリートブロック代用品等として使用できる。又、レンガ片、植物用鉢、植栽用部材、或いはコンクリートブロック代用品として使用する場合の各成形体の形状は、特に限定されず、適宜な形状で実施できる。 【0043】実施例1【0044】塩化カリウム300g、塩化マグネシウム200g、塩化カルシウム200g、塩化ナトリウム150g、塩化アンモニウム120gとで計970gの粉状の添加剤を作成し、この添加剤を9リットルの水に溶かして水溶液にし、そして、添加剤を含む水溶液と、黒ぼく土1m3と、固化剤としてのセメント150Kgとを配合し混合することにより成形材料を作成した。 【0045】次に、得られた成形材料を用いて、図4に示すような成形型100によって、固化成形体を成形した。この成形型100は、成形型本体101と押圧片102とから構成されており、又、成形型本体101の内部には、上面に開口部103aを有する直方体状の成形部103が備えられている。そして、成形材料1aを、成形部103に入れた後、押圧片102を、成形部103の開口部103aを覆うようにして下方側に手で押圧した。その後、24時間程度、養生した後、成形型101から取り出しすことにより、直方体状のレンガ片1を得た。尚、養生は、成形型101から取り出した後に行っても良い。又、養生時間は、特に限定されないが、24時間又はそれ以上行う方が、レンガ片1としての使用に支障のない強度にできる点で好ましい。 【0046】得られたレンガ片1は、水をかけると水を吸収し、下部を水に浸すと毛細管現象によって水を吸い上げるとともに、その吸収した水を保水できた。又、このレンガ片1は、複数積み重ねて花壇壁として使用できた。 【0047】次に、得られたレンガ片1の上面に、植栽用孔31を形成することにより、図3に示す植栽用部材3を形成した。この植栽用部材3の植栽用孔31で植物を育成できるか否かの試験を行ったので以下に説明する。 【0048】試験は、植栽用孔31に、植物101の根部と、土102とを入れ、30日経過後の植物の状況を見ることにより行った。又、水は、植栽用孔31に定期的に入れて補給した。また、水を植栽用孔31に入れると、水は、短時間で植栽用部材3の内部に吸収された。試験の結果、図6に示すように植物101の根101a…101aは植栽用孔31から植栽用部材3の内部の空隙に伸びており、植物101は枯れることなく生き生きとしていた。これは、空隙に伸ばした根101a…101aが植栽用部材3に含まれた水分及び酸素を供給されるためと考えられる。又、植栽用部材3の下部を、水に浸すと、水が植栽用部材3が内部の空隙に毛細管現象により水を吸い上げるとともに、吸収した水を保持できた。従って、植栽用部材3を水に浸しておけば、植栽用孔31から水を供給しなくても、自然と水を吸収して植物の根部に供給可能である。 【0049】尚、植栽用部材3は、上記のように成形型100から取り出した後、使用に際して植栽用孔31を工具等によって形成しても良いが、植栽用孔31を成形可能な成形型を用いて外形と同時に植栽用孔31を型成形することもできる。又、植栽用孔31の配設位置、数量、或いは形状等は、特に限定されず、適宜変更できる。 【0050】次に、作成した上記の成形材料を用いて、図5に示すような鉢成形型110によって、植物用鉢を成形した。この鉢成形型110は、割型からなる鉢成形型本体111と、棒状の中子112とから構成されており、鉢成形型本体111の内部には、上面に開口部111aを有する空間部が備えられている。そして、中子112に設けた位置決め片112aを鉢成形型本体111の上面に載置するようにして中子112を鉢成形型本体111にセットする。これにより、中子112が、鉢成形型本体111の空間部の略中央に配位され、鉢成形型本体111と中子112の全外周との間に、上方に開口部111aを有する成形部111bが区画形成される。この状態から成形部111bに成形材料1aを詰める。その後、24時間程度、養生した後、鉢成形型本体111を分割して取り出し、図2に示す上方開口の収納部21を有する植物用鉢2を得た。尚、この場合においても、鉢成形型本体111から取り出した後に養生するようにしても良い。 【0051】得られた植物用鉢2の収納部21に植物及び土を入れ、土に水をかけてしばらくすると水が植物用鉢2に吸収された。又、植物用鉢2の下部を水に浸すと、植物用鉢2が毛細管現象によって水を吸い上げるとともに、その吸収した水を保水できた。従って、本願発明の植物用鉢2は、種々の場所に置いて使用できる他、特に、湿地に置いて使用する場合には、自然と水を吸収して収納部21の植物の根部に供給でき、湿地載置用の植物用鉢として好ましいものとなる。 【0052】実施例2【0053】この実施例2では、上記実施例1の黒ぼく土に変えて粘土を使用し、又、固化剤としてのセメントを100Kgとした。その他は、実施例1と同条件にしてレンガ片1、植物用鉢2、植栽用部材3を得た。得られたレンガ片1、植物用鉢2、植栽用部材3は、実施例1で得られたものと同様に、水をかけると水を吸収し、下部を水に浸すと毛細管現象によって水を吸収するとともに、その吸収した水を保水できた。 【0054】ここで、実施例1及び実施例2各々で得られた成形体の強度を調べるために、強度試験を行ったので、その結果を下記の表に示す。この強度試験は、実施例1、実施例2各々で製作した上記の成形材料を、円柱状の成形型に入れ、円柱形状(直径5cm、高さ10cm)の試験資料を夫々作成し、実施例1のものを資料1とし、実施例2のものを資料2とし、一軸圧縮試験により行った。 【0055】 【表1】
【0056】試験の結果は、表1に示すように資料1、資料2ともに、レンガ、或いは植物用鉢としての使用に支障のない値であると考えられるものであった。 【0057】又、強度試験に際し、比較試験を併せて行ったので、その結果を表1に示す。この比較試験用の資料は、黒ぼく土1m3とセメント150Kgとを配合した成形材料を、同形状に成形することにより資料3を作成し、又、粘土1m3とセメント100Kgとを配合した成形材料を、同形状に成形することにより資料4を作成した。従って、資料3は、資料1に対して添加剤だけが配合されていないものに相当し、資料4は、資料2に対して添加剤だけが配合されていないものに相当する。そして、同条件で一軸圧縮試験を行い、比較試験とした。 【0058】比較試験の結果は、上記表1に示すように、資料1の一軸圧縮試験の値は、資料3のそれより大きく、又、資料2の一軸圧縮試験の値も、資料4のそれより大きかった。これは、添加剤が、黒ぼく土又は粘土に含まれている有機物と反応することによって水和反応を阻害する要因を除去でき、より強く凝固できたと考えられる。 【0059】実施例3【0060】塩化カリウム300g、塩化マグネシウム200g、塩化カルシウム200g、塩化ナトリウム150g、塩化アンモニウム110g、硫酸ナトリウム28g、クエン酸10g、塩化コバルト2gを配合することにより、計1Kgの添加剤を作成し、1リットルの水に溶いて水溶液にした。その後、添加剤を溶いた水溶液と、黒ぼく土1m3と、固化剤としてのセメント100Kgとを配合することにより、成形材料を作成した。以下、上記実施例1と同様にして、レンガ片1、植物用鉢2、植栽用部材3を得た。得られたレンガ片1、植物用鉢2、植栽用部材3は、実施例1で得られたものと同様に、水をかけると水を吸収し、下部を水に浸すと毛細管現象によって水を吸収するとともに、その吸収した水を保水できた。 【0061】実施例4【0062】塩化カリウム300g、塩化マグネシウム200g、塩化カルシウム200g、塩化ナトリウム140g、塩化アンモニウム105g、硫酸ナトリウム28g、クエン酸10g、塩化コバルト2g、酸化バリウムと硫酸カルシウムと燐酸カルシウムと二酸化マンガンと亜硫酸ナトリウムとカーボンとの計15gとを配合することにより、合計1Kgの添加剤を作成し、9リットルの水に溶いて水溶液にした。その後、添加剤を溶いた水溶液と、黒ぼく土1m3と、固化剤としてのセメント100Kgとを配合することにより、成形材料を作成した。以下、上記実施例1と同様にして、レンガ片1、植物用鉢2、植栽用部材3を得た。得られたレンガ片1、植物用鉢2、植栽用部材3は、実施例1で得られたものと同様に、水をかけると水を吸収し、下部を水に浸すと毛細管現象によって水を吸収するとともに、その吸収した水を保水できた。 【0063】 【発明の効果】以上、本願第1発明、第2発明の固化成形体は、土砂を主体とした多孔質なものから構成されるため、通気性、通水性及び保水性を有する。これにより、植物に酸素や水を供給できるとともに、直接根を張らすこともでき、植栽可能なものにできる。 【0064】本願第3発明の固化成形体は、水和反応により土砂を固化させる固化剤を用いるため、従来の植物用鉢やレンガ等のように乾燥や焼成の工程を不要にでき、容易に低コストで製作できる。 【0065】本願第4発明の固化成形体は、塩化カリウムと、塩化マグネシウムと、塩化カルシウムと、塩化ナトリウムと、塩化アンモニウムとを包含した添加剤を添加する。土砂には、フミン酸等の有機物が含まれているため、有機物が水和反応を阻害して十分な強度を有する固形物とすることができないが、上記塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムと反応させることによって水和反応の阻害要因を除去でき、土砂を十分な強度で凝固させることができる。一方、これらの成分は、植物の育成に害を与えるものではなく、植物の育成に有益なものであり、固化成形体を植物の育成に好ましいものにできる。 【0066】本願第5発明の固化成形体は、土砂1m3に対し、20〜200Kgの配合割合で固化剤を包含したものにすることによって、土砂を、固化成形体の取扱いに支障のない程度に固化できるとともに、植物に固化剤による害を与えることのないものにでき、植物の育成に適したものにできる。 【0067】本願第6発明の固化成形体は、多面体の少なくとも一面に、植物の根部を収納する植栽用孔を有する植栽用部材とすることにより、植栽用孔に植物を入れて栽培できるものとする。固化成形体は、通気性、通水性及び保水性を有する多孔質なものであるため、植物の根に酸素及び水を供給でき、しかも、植物の根を空隙に伸ばすことができる。又、植栽用部材を湿地に置いておけば、植栽用部材が毛細管現象によって湿地の水分や栄養素を吸収し、それらを植物に供給できる。 【0068】本願第7発明の固化成形体は、通常のレンガ片として使用できる。又、花壇壁として使用した場合には、花壇に植えた植物の根がレンガ片まで根を伸ばしてもレンガ片1から酸素及び水分を供給できるとともに、レンガ片の内部にまで根を伸ばしてレンガ片に含まれた水分を吸収できる。一方、レンガ片は、花壇から水分を毛細管現象によって吸収でき、レンガ片の内部に伸びた根に供給でき、花壇壁用レンガ片として好ましいものにできる。 【0069】本願第8発明の固化成形体は、植物用鉢として使用するものにする。植物用鉢として使用するようにすれば、収納部内に植えた植物が、植物用鉢の内壁まで根を伸ばしても植物用鉢の内壁から酸素及び水分を供給できるとともに、植物用鉢の内部にまで根を伸ばして植物用鉢に含まれた水分を吸収でき、植物を育成する植物用鉢として好ましいものにできる。又、湿地に置いておけば、植物用鉢が毛細管現象によって湿地の水分や栄養素を吸収し、それらを収納部に植えた植物に供給できる。また、例えば河川の側部や湿原等に植物用鉢を置くようにすれば、自然と収納部に植えた植物に供給でき、しかも、植物が枯れ等した場合でも、回収せずに放置して土に戻すことができ、緑化事業に使用するものとして適したものにできる。 【0070】本願第9発明の固化成形体、本願第10発明の固化成形体の製造方法、及び本願第11発明の固化成形体の製造方法は、従来の植物用鉢やレンガ等のように乾燥や焼成の工程を不要にでき、容易に低コストで植物用鉢、レンガ片、或いは植栽用部材等を製作できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399120246 【氏名又は名称】株式会社田口技術研究所
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| 【出願日】 |
平成13年2月14日(2001.2.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100106013 【弁理士】 【氏名又は名称】田川 幸一
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| 【公開番号】 |
特開2002−238345(P2002−238345A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月27日(2002.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−37022(P2001−37022) |
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